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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2022)シンポジウム
プログラム

*」印は講演予定者を表す
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セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.


2022年7月13日(水)

ABCDEFGH
開会式
13:00 - 13:30
セッション開始準備
13:30 - 13:50
1A  統一セッション:社会・経済活動支援
13:50 - 15:30

1C  機械学習方式
13:50 - 15:30
1D  システムセキュリティ
13:50 - 15:30
1E  IoT
13:50 - 15:30
1F  生活空間とVR
13:50 - 15:30
1G  行動認識1
13:50 - 15:30
1H  コンテンツ制作
13:50 - 15:30
休憩
15:30 - 15:50
2A  統一セッション:機械学習アプリケーション
15:50 - 17:30
2B  音響センシング
15:50 - 17:30

2D  ユーザブルセキュリティ
15:50 - 17:30
2E  セキュリティ・ネットワークアーキテクチャ
15:50 - 17:30
2F  教育のDX支援
15:50 - 17:30
2G  行動認識2
15:50 - 17:30
2H  インタラクション
15:50 - 17:30
休憩
17:30 - 17:50
3A  統一セッション:モバイルコンピューティングと新社会システム
17:50 - 19:10
3B  道路・交通/ヘルスケア
17:50 - 19:10
3C  ウェアラブルデバイス
17:50 - 19:10
3D  サイバーセキュリティと心理学
17:50 - 19:10
3E  ネットワーク・モバイル
17:50 - 19:10
3F  感情の共有支援
17:50 - 19:10
3G  環境・行動情報取得
17:50 - 19:10
3H  移動体・位置情報システム
17:50 - 19:10
休憩
19:10 - 20:00
オンライン懇親会
20:00 - 21:00



2022年7月14日(木)

ABCDEFGH
4A  統一セッション:新たなユーザインタフェースへの挑戦
9:00 - 10:40
4B  応用システム
9:00 - 10:40
4C  コミュニケーション・会議支援
9:00 - 10:40
4D  暗号
9:00 - 10:40
4E  感情変容
9:00 - 10:40
4F  スマートコミュニティ
9:00 - 10:40
4G  映像配信システム
9:00 - 10:40
4H  位置情報システム
9:00 - 10:40
休憩
10:40 - 11:00
5A  統一セッション:セキュリティ
11:00 - 12:40
5B  感情・興味・疲労
11:00 - 12:40
5C  行動認識
11:00 - 12:40
5D  コンシューマシステム1
11:00 - 12:40
5E  健康の行動変容
11:00 - 12:40
5F  ITS・データ収集・分析
11:00 - 12:40
5G  遠隔会議支援と非言語情報
11:00 - 12:40
5H  無線・移動体・IoT
11:00 - 12:40
休憩
12:40 - 14:40
6A  統一セッション:クラウド
14:40 - 16:00
6B  AR・3Dモデル
14:40 - 16:00
6C  生体情報
14:40 - 16:00
6D  マルチメディアシステム
14:40 - 16:00
6E  IoT・ナビゲーション
14:40 - 16:00
6F  プライバシー保護・ユーザブルセキュリティ
14:40 - 16:00
6G  災害・社会問題のICT支援
14:40 - 16:00
6H  モバイルコンピューティングと新社会システム2
14:40 - 16:00
休憩
16:00 - 16:20
SP  特別招待講演
16:20 - 17:20
休憩
17:20 - 18:00
DS  デモセッション
18:00 - 19:30
休憩
19:30 - 20:00
NS  ナイトテクニカルセッション
20:00 - 22:00



2022年7月15日(金)

ABCDEFGH
7A  統一セッション:人々の「かかわり」を変えるICT
9:00 - 10:40
7B  視覚情報とアイ・ウェア
9:00 - 10:40
7C  測位システムと位置情報
9:00 - 10:40
7D  サイバーセキュリティ
9:00 - 10:40
7E  農業センシング
9:00 - 10:40
7F  交通制御
9:00 - 10:40
7G  セキュリティ・IoT
9:00 - 10:40
7H  サービス支援
9:00 - 10:40
休憩
10:40 - 11:00
8A  統一セッション:空間移動
11:00 - 12:40
8B  福祉・医療支援
11:00 - 12:40
8C  スポーツ
11:00 - 12:40

8E  コンシューマシステム2
11:00 - 12:40


8H  分散処理
11:00 - 12:40
休憩
12:40 - 14:10
DICOMO2022主催研究会・研究グループのご紹介
14:10 - 14:40
閉会式・表彰式
14:40 - 15:50



論文一覧

*」印は講演予定者を表す

2022年7月13日(水)

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セッション 1A  統一セッション:社会・経済活動支援
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: ロペズ ギヨーム (青山学院大学)

1A-1 (時間: 13:50 - 14:30)
Title(招待講演) 脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)と行動変容について
Author岩崎 哲 (株式会社アイ・グリッド・ラボ)
Pagep. 1

1A-2 (時間: 14:30 - 14:50)
Title物体の誤検出傾向を用いた画像認識による在庫管理システムの開発
Author*嶋田 滉平 (大阪工業大学大学院情報科学研究科), 山本 雄平 (関西大学環境都市工学部), 須山 敬之 (大阪工業大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 2 - 8
Keyword画像認識, 在庫管理, IoT
Abstract近年,IoTの利活用が推進され,IoTを家電に適用したスマート家電が普及している.特にスマート冷蔵庫では在庫管理をはじめとする様々な機能が搭載されている.既存製品では庫内カメラから状況を目視で確認できるものがあり,既存研究では重量センサを用いた在庫管理の手法が提案されている.しかし,既存製品ではカメラの死角の確認が取れなかったり,既存研究では物の入出庫は一度に一つまでの制限があり,利便性が低い問題点がある.本稿では死角の無い冷蔵庫上部からのカメラ動画を画像認識技術で解析することで在庫管理システムを実現し,また開発したシステムは画像の認識結果に大きく依存するため学習データの組み合わせを変え,認識精度に与える影響について検討を行った.

1A-3 (時間: 14:50 - 15:10)
Title購買時の候補商品推定システムの構築と初期評価
Author*徳永 大空, 本松 大夢, Chen Bin (九州大学大学院システム情報科学府), 中村 優吾, 荒川 豊 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 9 - 16
Keyword候補商品推定, 迷い検知, LiDAR, Depthカメラ
Abstractオンライン購買システムは,ページ遷移やクリックの履歴から購買者が商品の購買に至るまでの過程を記録することができる.これにより,興味がある商品や比較検討した商品がわかり,購買者のニーズに近く購買意欲を高めるような商品推薦が可能である.一方,実店舗においては商品の購買以外の情報は,取得と活用の両面における難しさからあまり記録されていない.そのため,購買者がどのような商品に興味を持っており何で悩んでいるのかがわからないという問題がある. こうした問題を解決するために,我々はLiDAR(Light Detection And Ranging)からの点群データとDepth(深度)カメラからの視線情報を用いた購買時における候補商品推定システムを構築し,その初期評価を行った.推定の上では,興味のある商品を購買候補商品とした. 評価の結果,購買時の視線は候補商品と強く結びつき,視線の情報は候補商品を推定する上で非常に重要な特徴となり得ることがわかった.一方で,視線の評価を踏まえ点群データを使用した候補商品の予測を行った結果,予測対象の人物を含んだ状態で学習したモデルは49%と12クラス分類であることを考えると一定の精度を出すことができた.一方でLOPOでは精度が最大22%と,モデルの一般化はまだまだ課題が残ることがわかった.今後は,データ数を増やし,モデルをより適したものに変更・改善していく必要がある.

1A-4 (時間: 15:10 - 15:30)
Title日々の行動データを用いた時間割引率の推定
Author*山本 修平, 冨永 登夢, 倉島 健, 戸田 浩之, 西岡 秀一 (日本電信電話株式会社 NTT人間情報研究所)
Pagepp. 17 - 27
Keyword時間割引率, 行動データ, ウェアラブルデバイス, 行動経済学
Abstract人間の性格を定量的に指標化することは,人間理解のための重要な取り組みの一つである.時間割引率は経済学の中で扱われる性格指標の一つであり,「待つことをどれだけ嫌がるか」という人間の性質に着目した指標である.時間割引率は肥満率,喫煙率といったネガティブな生活習慣と相関があることが知られており,個人の時間割引率を明らかにすることで,自身や他者が「待つこと」の我慢強さを定量的に理解でき,意思決定の効果的な介入支援も可能になると考えられる.本論文では,ウェアラブルデバイスで観測可能な日々の細かな行動に着目し,行動データを用いた時間割引率推定手法を提案する.行動データから,行動の生起時刻,行動間の遷移特徴,またそれらの差異に関する特徴を抽出し,時間割引率との相関分析によって有効な特徴を獲得することで重回帰モデルを構築する.評価実験では,深層学習をベースとした多量の学習パラメータを要するモデルに比べ,適行動特徴を用いた提案手法が時間割引率を高精度に推定できることを示した.


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セッション 1C  機械学習方式
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 中村 嘉隆 (京都橘大学)

1C-1 (時間: 13:50 - 14:10)
Titleコンセプトドリフト対処のための,Adversarial Validationを用いた学習データ選択アルゴリズムの方式検討
Author*今野 由麻 (お茶の水女子大学), 中野 美由紀 (津田塾大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 28 - 35
Keywordコンセプトドリフト, Adversarial Validation, 機械学習
Abstract機械学習モデルの利活用が進み,あるタスクを行うモデルが長期的に利用されるシナリオが想定されるようになった.しかし,長期的な機械学習モデル活用の問題点として,コンセプトドリフトなどが原因の精度低下がある.我々はこれまでに,大規模ストリームデータにおいて時間経過などによりコンセプトドリフトが発生する場面で特定のタスクを行う教師あり学習モデルを継続的に入手し,自動的に時系列データの予測を行う枠組みを提案した.本研究は,その枠組みの根幹を担う敵対的分類器でデータ選択を行うことの効果について,シンセティックなデータを用いて考察を行う.

1C-2 (時間: 14:10 - 14:30)
Titleエッジ・クラウド基盤システムにおける転移学習用ベースモデル選定の自動構築フレームワークの設計と実装
Author*孫 静涛, 太田 智也, 手塚 伸, 小澤 洋司 (日立製作所/研究開発グループ)
Pagepp. 36 - 41
KeywordMLモデル, 転移学習, 自動構築, エッジ・クラウド, フレームワーク
Abstract近年, スマートシティがますます注目されており, 日本国内では, スマート港湾, スマート物流, スマート交通など様々な分野や地域に自動化システムの導入が拡大している.しかし, ヒトの予期せぬ行動で事故が多発しているため, 安全性確保が大きな課題である.本研究では, 現場のデバイスを素早くに制御するため, 機械学習(ML)による人の行動予測と機械を制御する低遅延なエッジ・クラウド基盤の構築を検討した.しかし, 現場の動作規則は倉庫等の現場毎に異なり, かつ頻繁に変化するので, MLモデルの再学習に計算時間と計算リソースの増大を抑制する課題があった.本研究では, 利用者の目的や用途の変化を適応するため, エッジの環境状況と現場規則の管理により, 最適なMLベースモデル選定で計算時間とリソースの増大を抑制し, 計算環境の自動構築できる共進化基盤システムを開発した.また, 本研究の提案手法により, 再学習時間と計算リソースの増大を抑制できるとともに, 定量評価実験を通し, システムの構成・再構成条件の実行時間を大幅に短縮でき, 実装方式の有効性を確認した.

1C-3 (時間: 14:30 - 14:50)
Titleリッチクライアント-エッジサーバ間におけるプライバシ保護に優れた分散機械学習の検討
Author*高野 紗輝 (お茶の水女子大学), 中尾 彰宏 (東京大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 42 - 50
Keywordエッジコンピューティング, 分散機械学習, federated learning, 機械学習, IoTデバイス
Abstract近年,federated learning のようにデバイス上にある個人情報を保護しながらそれらのデータをクラウドやエッジサーバ上での機械学習に用いることが盛んに研究されている.しかし,個人情報の一部をエッジデバイスの外へと受け渡す点においてプライバシ保護が十分であるとはいえず,機密性が高くエッジデバイスの外へ情報を一切持ち出したくない個人データを学習に用いることができない.本研究ではエッジサーバと連携しつつエッジデバイス上でも機械学習を動かすプライバシ保護に優れた分散機械学習モデルの検討を行う.本稿では,エッジサーバ上で一般的なデータを用いて学習した結果とエッジデバイス上で個人データを用いて学習した結果を確信度の比較により融合する学習モデルを提案する.Jetson Nano を用いた顔画像認識を行った結果,提案モデルを用いることで画像データの送受信を行うことなく機密性の高いデータも含めた学習が可能となることを確認した.このシステムを用いることで,従来のシステムでは用いることができなかった大量の個人情報が使用できるようになり,一人一人のユーザに適した結果を提示できるようになるという利点がある.


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セッション 1D  システムセキュリティ
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 菊池 浩明 (明治大学)

1D-1 (時間: 13:50 - 14:10)
Title秘密分散ライブラリの実装における要件の検討
Author*山澤 昌夫 (学校法人中央大学/研究開発機構), 米津 武至 (学校法人中央大学/研究開発機構/(株)リーディングエッジ), 五太子 政史, 山本 博資, 藤田 亮, 辻井 重男 (学校法人中央大学/研究開発機構)
Pagepp. 51 - 54
Keyword秘密分散, 乱数発生, アルゴリズム, エラー検出
Abstract筆者らはDICOMO2021において,認証情報をセキュアに保存するためにISO/IEC19592-2の秘密分散アルゴリズムを使うことを提案し,そのために使う機能をライブラリパッケージとした. この時に,運用する方法を検討し,要求される機能を以下の観点から検討した:(1)分散されるデータ規模,(2)分散数,(3)データ再構成で使われる分散片の運用形態,(4)秘密分散及び再構成に要求される処理時間(速度),(5)乱数性などに要求されるセキュリティ強度,(6)運用時に想定されるエラーの内容,(7)ライブラリ機能,及びそれを使うアプリケーションに対して想定されるアタック,(8)商品としてユーザーに提供する場合に保証すべき安全性及び機能,さらに,実装においてサポートすべき機能,及びユーザーの混乱やレスポンスの低下を防ぐためあえて限定,または削除すべき機能について検討を行った.先の標準方式ISO/IEC19592-2では,分散処理した場合,程度の差はあるが合計のデータ量が増加する. このため,大きなデータの分散保管のメモリ使用効率が低下する.この問題について,筆者の一人により提案された新たな秘密分散方式の実装についても触れる.

1D-2 (時間: 14:10 - 14:30)
Titleテストデータの特徴と計測誤差を用いた判読困難なナンバープレートの自動判別
Author*松澤 南到, 宇田 隆哉 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科)
Pagepp. 55 - 66
Keyword情報セキュリティ, 機械学習, 画像処理, ナンバープレート, デジタルフォレンジクス
Abstract本論文では,人間に判読困難なナンバープレートの数字を自動で判別もしくは候補を絞ることを目 的としている.人間に判読困難なナンバープレートを対象とした研究には,実用性に欠けていることや, トレーニングデータにテストデータの画像と特徴が異なる画像が多く含まれていることにより、判別精度 が低いなどといった問題がある.そこで本論文では,人間に判読困難なナンバープレートが写った車両の 画像(対象画像)から得られる角度や明度など、画像全体から得られる特徴も利用してトレーニングデー タを作成することで,トレーニングデータが網羅的になることを防ぎ,対象画像に適したデータセットの 作成を行う手法を提案した.その結果,数字によって判別精度に差があるものの,精度向上に対して有効 に働いていることが分かった.また,判読困難であることを客観的に評価し,判読困難な画像の目視によ る判断の危険性についても示唆した.

1D-3 (時間: 14:30 - 14:50)
TitleポリシーによるKubernetesリソースのインテグリティ保護の実現
Author*工藤 瑠璃子, 北原 啓州, 渡邊 裕治 (IBM 東京基礎研究所)
Pagepp. 67 - 74
KeywordKubernetes, インテグリティ, クラウド, ポリシーエンジン
Abstract政府や金融機関向けの高い保護レベルが要求される環境では, クラウド上のインテグリティ維持は重要な要件であり, 米国のセキュリティ基準であるNIST SP 800-53では, 電子署名の無いリソース作成は防がなければいけないと定められている. クラウドのプラットフォームであるKubernetesでは, クラスタやアプリケーションの設定はKubernetesリソースで定義される. このKubernetesリソースはYAMLマニフェストで表現されるAPIリソースであるため, マニフェストに署名をつけて, Kubernetes APIの呼び出し時にその署名を検証すれば, 強力なクラウドのインテグリティ保護になる. このような検証処理はadmission controllerという機構を用いることで差し込むことが可能であり, 先行研究では署名検証機能を持つ独自のadmission controllerを提案してきた. 本稿では, ポリシーエンジンを利用することで独自のAdmission controllerの運用によって生じるユーザへの負担を軽減し, より使いやすいシステムを提案する.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1D-4 (時間: 14:50 - 15:10)
TitleProof of Workを用いた検証可能なデバイスフィンガープリントの一提案
Author*天笠 智哉, 奥村 紗名, 井坂 佑介, 佐々木 葵, 大木 哲史, 西垣 正勝 (静岡大学)
Pagepp. 75 - 81
Keywordデバイスフィンガープリント, Proof of Work, Equihash
AbstractPC内の様々な特徴の組み合わせをIDとして用いることで,デバイスを識別するデバイスフィンガープリントという技術がある.デバイスフィンガープリントはブラウザやPCの識別に利用されており,ユーザトラッキング,リスクベース認証,reCAPTCHA,アクティベーションなどに活用されている.しかし,既存の一般的なデバイスフィンガープリントはPC内の様々な静的属性・動的属性を取得して用いているに過ぎないので,改ざんは容易である.そこで本稿では,Proof of Work (PoW)を利用したデバイスフィンガープリントを提案する.PoWとは,「ある水準の作業をある一定の時間をかけて行ったことを明らかにするプロトコル」のことであり,PoWの実行時間をフィンガープリントの特徴量(識別子)とすることで,攻撃者が「自身の所持するデバイスの性能を超える特徴量」を提示することができない.また,PoWは「求解は困難だが,その検証は容易である」という一方向性を有するため,フィンガープリントの真正性の検証を行うことができる.提案方式の第一報として,CPUバウンドなPoWであるHashCashとメモリバウンドなPoWであるEquihash を用い,異なるCPU,RAMを搭載したPCの識別が可能であることを明らかにした.


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セッション 1E  IoT
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 北口 善明 (東京工業大学)

1E-1 (時間: 13:50 - 14:10)
TitleCloud Native WoT/IoT Architecture -- Edge-cloud Integration の提案
Author*増田 欣之, 都島 良久 (ダイキン工業株式会社), 山本 松樹, 瀧崎 尚, 木戸 善之, 下條 真司 (大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 82 - 86
KeywordWoT, Cloud Native Architecture, edge-cloud integration
AbstractIoTの進展に伴い,様々なIoTデバイスが登場しており,さらにhome hubの登場によって簡単に操作できるようになってきている.しかし,これらのIoTデバイスは独自のクラウドサービスに接続されていることが多く,同一のネットワークにあっても,クラウド経由で制御されることが多い.一方で,様々なデバイスを相互接続するための標準化技術であるWoTでは,ローカルネットワーク内のデバイスを統合するintegration modelを提案している. そこで,本研究では,IoTデバイスへのインターフェイスとしてWoTを採用し,さらにEdgeとCloudを統合して管理するCloud Native Architectureを採用することで,EdgeとCloudが完全に統合されたCloud Native WoT/IoT Architectureを提案する.本稿では,提案手法の実現方法と課題について述べる.

1E-2 (時間: 14:10 - 14:30)
TitleSINETStreamを用いたセンサデータの可視化・監視およびストレージ連携機能の開発
Author*小林 久美子 (国立情報学研究所), 竹房 あつ子 (国立情報学研究所/総合研究大学院大学), 北川 直哉, 吉田 浩 (国立情報学研究所), 合田 憲人 (国立情報学研究所/総合研究大学院大学)
Pagepp. 87 - 92
KeywordIoT, センサー, 可視化, 監視, ストレージ
Abstract本研究では,SINETStreamサーバ側で,センサデータの可視化・監視とS3互換ストレージ連携の機能を開発し,非情報系分野での研究・教育を目的としたIoTアプリケーションの構築,利用の促進を目指す.センサデータの可視化・監視機能では,センサ付きRaspberry Pi端末からセンサのデータを読み取り,サーバにデータを送信し,統合監視ソフトウェア Zabbixでセンサデータの可視化や監視を行う機能をDockerコンテナベースで開発する.S3互換ストレージ連携機能では,SINETStreamのクライアント側からサーバ側にセンサデータを送信し,SINETStreamのメッセージからデータをS3互換オブジェクトストレージに直接格納する機能を開発する.また,センサデータの可視化・監視機能を用いたデモパッケージも開発し,非情報系の研究者でもIoTアプリケーションシステムを構築,利用できるようにする.

優秀論文賞 / Paper Awards
1E-3 (時間: 14:30 - 14:50)
Titleブロックチェーンを活用したIoT機器のソフトウェア更新フレームワーク
Author*中西 遼太, 松原 豊, 高田 広章 (名古屋大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 93 - 105
KeywordIoT, ブロックチェーン, OTA
AbstractIoT機器の急増に際して,IoT機器を対象とするサイバー攻撃も増加している.IoT機器を対象とするサイバー攻撃を防ぐために,機器や機器に搭載されるソフトウェアの開発者(機器開発者)には,IoT機器に含まれる脆弱性を修正するためのソフトウェアを迅速に更新することが求められている.機器管理者だけでなく,機器を購入して利用する者(機器利用者)の負担を低減するために,IoT機器向けソフトウェアの配布・更新機能は,低コストで容易に実現でき,かつ人間の関与をできる限り少なくなるよう一連の処理を自動化したフレームワークとして開発することが望ましい.加えて,ソフトウェア更新フレームワークには,ソフトウェアの配布・更新機能を悪用したサイバー攻撃へ耐性も期待される.本論文では,ブロックチェーンとスマートコントラクトによる自動化を特徴とする,IoT機器向けソフトウェア更新フレームワークを提案する.まず,機器管理者や機器利用者などのステークホルダと,そのユースケースを分析し,提案フレームワークの要件を整理する.その結果にもとづいて,フレームワークの設計及び実装について述べる.評価では,既存の関連研究との定性的及び定量的に比較し,提案フレームワークによって,ステークホルダの負担を減らせる可能性があることを示す.


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セッション 1F  生活空間とVR
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 吉野 孝 (和歌山大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
1F-1 (時間: 13:50 - 14:10)
Title静的観光地コンテキストに基づいたインタラクティブVR旅行ツアー自動生成システム
Author*阿部 広夢, 中村 亮太 (武蔵野大学)
Pagepp. 106 - 111
KeywordVR, 観光, 発想支援, 意味的連想
AbstractCOVID-19の流行による移動制限により,現実における旅行が困難になる中,時間的・地理的制約のないVR旅行が近年注目されている.また,VR旅行を体験することで現実の旅行でその場所を訪れようとする意欲が高まる効果が報告されており,観光マーケティングにもVR旅行が有益であることがわかる.しかし,現行のVR旅行ツアーは旅行代理店などが事前に定めたツアーコースを辿るものであり,多種多様なユーザの趣向を網羅しているとは言い難い.また,ツアーコースは静的なものであり,ユーザの趣向に沿ったツアーコースを動的に作成することは実現されていない.そこで本研究ではユーザの趣向推定による観光地の360°画像の出力および、ユーザによって選ばれた観光地の情報から動的にツアーコースを作成するシステムを開発した.評価実験の結果,ユーザに提示された観光地と作成されたツアーコースは従来よりもユーザを満足させることが示唆された.

1F-2 (時間: 14:10 - 14:30)
Titleバーチャル時空間再生システム
Author*中込 久琉美, 杉山 諒馬, 中村 亮太 (武蔵野大学 データサイエンス学部), 枷場 博文 (Microsoft Project Users Forum)
Pagepp. 112 - 117
KeywordVR, データビジュアライゼーション, 行動分析
AbstractWebブラウザを用いてウォーカブルな3次元空間上で多人数が集まることができる展示会や交流会などのバーチャルイベントが開催されている. イベント開催者としては来場者の動線や滞在時間,興味・関心などを分析するために来場者の行動データを取得し,可視化する試みがあるが,来場者の詳細な行動や来場者同士のインタラクションの把握が困難であり,開催者支援が不十分であると考える. そこで本研究では, バーチャルイベントにおける来場者アバタの座標移動と回転角度のデータを自動的に取得し,行動分析をおこなうことが可能なフレームワークを構築している.本稿ではこのフレームワークによって記録された来場者の動きを含めた時空間データから来場者の空間内での行動を再現することが可能なバーチャル時空間再生システムについて述べる.本システムではユーザに平面的な視覚認識を超えたより実態的な分析支援を実現する.システムを評価した結果,バーチャル空間での来場者の回遊行動の可視化や動きの少ない来場者の検出により開催者のイベントの振り返り支援につながる可能性を確認するとともに,バーチャルイベントにおける来場者同士の交流を検知するための条件について知見を得た.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1F-3 (時間: 14:30 - 14:50)
Titleすれ違い時に移動ロボットが提示する横向き矢印の認知
Author*桑宮 陽 (明治大学), 築舘 多藍, 阿部 花南, 武井 秀憲 (明治大学大学院), 小林 稔 (明治大学)
Pagepp. 118 - 126
Keyword矢印, 移動ロボット, すれ違い, 進行方向提示, 誘導
Abstract人が移動ロボットとすれ違いを行う際,見た目からでは回避方向の予測が難しいため衝突の危険がある.我々は,すれ違い時の衝突回避のためのコミュニケーション手法として,移動ロボットが進む方向を進行方向に垂直な面に提示される横向き矢印を用いて示すという手法を検討している.この手法が抱える問題として,矢印はロボットの進む方向を示しているという解釈と,すれ違う歩行者を誘導しているという解釈に分かれてしまうという問題がある.本稿では,本手法の実現が可能な矢印の提示方法の解明のため,矢印の提示タイミング・提示位置という観点から,ロボットとのすれ違いの主観映像を用いた実験によって,すれ違い時に移動ロボットが提示する横向き矢印の認知を調査した.実験の結果,すれ違いの直前に提示された矢印は「すれ違う歩行者を誘導している」という解釈をされる傾向にあった.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1F-4 (時間: 14:50 - 15:10)
TitleHMDと電動車椅子を用いた横断勾配シミュレータの実装
Author*杉本 隆星 (日本大学文理学部), 大河原 巧 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 板床 海斗, 宮田 章裕 (日本大学文理学部)
Pagepp. 127 - 132
Keywordバリアフリー, シミュレーション, 電動車椅子, HMD
AbstractVRベースの車椅子シミュレータは金銭的なコストと臨場感がトレードオフの関係にあるという問題を解決するために,HMDと電動車椅子を組み合わせた車椅子シミュレータの提案が行われている.しかし,このシミュレータで再現されているバリアは坂道のみで,横断勾配のある道のシミュレーションの実装はされていない.そこで本稿では,HMD上に横断勾配のある道を走行する一人称視点の映像を流し,電動車椅子が円運動をすることでユーザに横断勾配を通過している感覚を与えるシミュレータの実装と,そのシミュレータの評価に向けた少人数での予備実験について報告する.予備実験では,HMD上の映像の有無・電動車椅子の円運動の有無を変えた各条件を比較し,HMD上の映像と電動車椅子の円運動を組み合わせることの効果を検証する.予備的な検証の結果,HMD上の映像と電動車椅子の円運動を組み合わせることで,横断勾配シミュレーションの臨場感を高められる傾向にあることを確認した.

1F-5 (時間: 15:10 - 15:30)
TitleBLEを用いた濃厚接触判定アプリによるデータ収集実験と評価
Author*諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所), 松田 裕貴 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所/国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所)
Pagepp. 133 - 139
KeywordBLEセンシング, 接触確認
AbstractCOVID-19などの感染症対策のために,濃厚接触を軽減するための経路案内システムの開発を目指し,接触確認モジュールを用いた濃厚接触判定アプリを開発している.本稿では,開発中のアプリの紹介と活用方法,評価実験デザインおよびプレ実験結果についてについて述べる.開発するアプリは,位置情報,BLE受信情報,加速度,地磁気,照度,角速度を日時情報と共に収集する.収集されたデータにより,いつ,どこで,どの程度他者と接触したか把握できるようになる.これらの情報を可視化することで,濃厚接触を避けるような行動変容をユーザに促すことができると考える.先行研究(DICOMO2021)においては,BLE受信情報の取得に失敗している.本研究では,BLE受信情報の取得について改良したアプリについて紹介するとともに,その性能を評価する.プレ実験の結果,BLE受信数からすれ違いの程度を推定できる可能性があることを示している.


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セッション 1G  行動認識1
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 清原 良三 (神奈川工科大学)

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1G-1 (時間: 13:50 - 14:10)
Title履物裏に貼り付けたBLEビーコンによる歩数推定手法
Author*大鐘 勇輝 (愛知工業大学大学院 経営情報科学研究科), 榎堀 優 (名古屋大学大学院 情報科学研究科), 梶 克彦 (愛知工業大学 情報科学部)
Pagepp. 140 - 148
KeywordBLEビーコン, 行動認識, ステップ認識, ヘルスケア, センサ信号処理
Abstract医療技術の発達による寿命の延伸と,これに伴う高齢化によって,介護業界の人手不足が社会問題となっている.高齢者介護施設では日常生活の介助の他に,健康維持を目的とした活動量の把握・管理が求められる.この作業の負担軽減を目指す試みとして,加速度センサやスマートフォン,カメラを用いた活動量推定が提案されているが,導入コストの問題により広く普及するには至っていない.そこで本研究では,低コストで導入・運用が行える活動量推定を目指し,BLEビーコンをセンサとして使用する歩数の推定手法を提案する.BLEビーコンから発信される電波は,受信機との距離や遮蔽状態の違いによって変化しやすい.この特徴に着目し,履物裏にBLEビーコンを貼り付け,歩行動作によって変化する受信電波強度から歩数を推定した.ただしこの際,貼り付ける履物の素材や歩行速度,受信機の設置位置が,受信電波強度に影響を与える可能性がある.本稿ではこれらの影響についても調査を行い,提案手法の有効性を確かめた.評価実験では,任意の速さで100歩分歩いてもらい,実際の歩数と推定歩数を比較して評価を行った.その結果,91.6%の精度で推定が行えると判明した.

1G-2 (時間: 14:10 - 14:30)
Title加速度と位置情報を用いたバスの乗客の起立・着席推定
Author*上別縄 祐也, 勝間 亮 (大阪公立大学)
Pagepp. 149 - 157
Keyword加速度センサ, GPS, バス, 状態推定, スマホ
Abstractバスの利便性を向上させるには,乗客の状態に応じた高度なサービスを提供することが考えられる.乗客の状態は大きく分けて起立と着席があり,それらを自動で判別することが求められる.本論文では,乗客の所持するスマートフォンで加速度と位置情報を取得することで,起立と着席のどちらの状態であるかを推定する方式を提案する.乗客が受ける揺れの影響はバスの停車や発車時に大きくなる特徴を利用するため,提案手法ではGPSを用いてバスの停車・発車した時刻を推定する.次にバスの停車・発車時の揺れを,加速度センサを用いて計測することでバスの乗客の起立・着席の状態を推定する.また,乗客が装着したイヤホンで加速度を取得することで,推定した停車・発車時刻の推定精度の向上を図る.

1G-3 (時間: 14:30 - 14:50)
Titleスマホに搭載されているセンサを用いた自転車の空気圧低下推定手法の基礎検討
Author*山口 塁 (愛知工業大学 情報科学部情報科学科), 梶 克彦 (愛知工業大学 情報科学部)
Pagepp. 158 - 162
Keywordスマートフォンアプリケーション, センサ信号処理, 自転車, 空気圧
Abstract自転車点検を毎回する人が少なく,走行中に事故やヒヤリハットを経験する人がいる.このような経験をする人を増加させないためには,自転車点検を促進する必要がある.これらの点検から空気圧点検に注目した.これまでの空気圧点検を促進する手法として,タイヤのバルブに気圧センサを接続し,スマホで空気圧を確認する手法や,空気圧を必要としないタイヤを導入する手法がある.しかし,これらの手法は専用のセンサやタイヤが必要であり,導入・運用コストが高いという問題がある.そこで本研究では,身近にあるスマホに搭載されているセンサのみを用いて低コストで行える空気圧低下推定手法を検討し,考察を行う.タイヤの空気圧が低下すると,ペダルを漕ぐのに必要な力が増えるため,走行速度に変化が現れると仮定した.走行区間の中で走行速度が安定している区間の速度を持続速度とし,検証としてスマホのGPSを用いてタイヤの空気圧ごとに走行速度と持続速度を測定し,空気圧低下による変化を分析した.その結果,速度のみのデータでは空気圧との関係は発見できず,他のセンサデータやスマートウォッチなどのデバイスを利用または組み合わせる必要があるとわかった.

1G-4 (時間: 14:50 - 15:10)
Title時間粒度が粗密な大規模測位データを用いた移動手段推定に関する研究
Author*東浦 圭亮, 田村 直樹, 平野 流, 鷲田 健斗, 坂倉 波輝, 山口 公平, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科 情報通信工学専攻 河口研究室)
Pagepp. 163 - 170
Keyword移動手段推定, 位置情報
Abstract位置情報データを用いた研究は現在盛んに行われている.そのなかでも,ユーザがどのような交通手段を用いて移動を行ったかを推定する移動手段推定は,多く研究されている分野の一つである.またスマートフォンを用いた位置情報の大規模な集積及び利活用を目的とした,大規模位置情報データプラットフォームが登場するようになった.このようなプラットフォームは容易な位置情報データの大規模分析を可能にする反面,位置情報データを収集する際に用いるSDKの特性や測定環境によって,位置情報に大幅な誤りを含む場合がある.また一般的な移動手段推定の研究で用いられるデータは,測位間隔が数秒程度で一定かつ密であることが多いが,大規模測位データでは位置情報の測位間隔が数分程度と長いことが多く,測位間隔も一定ではない.現状,このような性質を持つ大規模測位データを対象とした移動手段推定の検討は十分に行われていない.そこで本研究では,時間粒度が粗密な大規模測位データを対象とした移動手段推定手法の提案を行う.実世界で運用実績のあるSDKにより取得された位置情報データに対して提案手法を適用し,ユーザの移動手段を滞在・徒歩・電車・車の4種類に分類するタスクを行った結果,79.97%の精度での分類を達成した.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1G-5 (時間: 15:10 - 15:30)
Title軽量可搬型3次元空間センシングデバイスの設計開発
Author*大河内 悠磨, Hamada Rizk, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 171 - 178
Keyword3次元点群, LiDAR, 可搬型デバイス, セグメンテーション, 移動支援
AbstractIoT・センシング技術の進化により,人々の周辺環境のデータを取得し活用するアプリケーションが数多く開発されている.特に3次元距離センサから得られる3次元点群は被写体の形状を立体的に取得できる利点があり,プライバシー侵害リスクも低い.一方で,既存の距離センサの多くは高性能コンピューティングを前提とした据置型デバイスであるため,使用形態に制約が多い.本稿では,我々の研究グループで開発している,小型の3次元距離センサを搭載した軽量可搬型の3次元空間センシングデバイスの設計開発について述べるとともに,同デバイス上でリアルタイム実行可能な3次元点群の物体認識手法を提案する.同手法では,センサから得られる距離情報から周辺環境の3次元点群を取得し,それをグリッド分割した点群に対する特徴量抽出を行う. 次に特徴空間上で事前にパラメータ推定したGMMに対し,Fisher Vectorに基づく特徴量表現を行い,被写体の形状を識別するためのシグネチャを得る. 得られたグリッド毎の特徴量に対し,サポートベクターマシンでクラス分類を行い,点群に対するクラスラベルを付与する.開発したデバイスを用いたデータセットによる評価の結果,提案手法は人や椅子に対し91.8以上のAPを達成した.また,同デバイス上での処理レートは28.2フレーム/秒であり,エッジデバイスでも十分高速に物体検知処理を実行可能であることがわかった.


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セッション 1H  コンテンツ制作
日時: 2022年7月13日(水) 13:50 - 15:30
座長: 水野 慎士 (愛知工業大学)

1H-1 (時間: 13:50 - 14:10)
Title料理レシピ共有サービスのための音声対話シナリオ編集手法
Author*三浦 旬夏, 梶岡 慎輔, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
Pagepp. 179 - 187
Keyword音声対話システム, ビジュアルプログラミング, 対話シナリオ編集システム, 料理レシピ
Abstract近年では,投稿者のアイディアが詰まったレシピが閲覧できるサービスの楽天レシピが普及している.また,本研究室では,音声インタラクションシステム構築ツールキットMMDAgentを用いた研究を行っている.MMDAgentは,FST形式の対話シナリオを編集することでユーザが対話の内容を自由に構成することができる.しかし,FST形式の対話シナリオの編集には知識が必要であり,一般ユーザが編集するには困難である.簡単にユーザ生成できる方法としてGoogle Blocklyを用いた編集システムが挙げられる.しかし,対話シナリオは対話の文脈に基づいたFST形式にのみ対応しており,料理に関する音声対話を作成することは困難であった.この問題を解決するために,本論文では,料理レシピ共有サービスのためのGoogle Blocklyの技術を利用した音声対話シナリオ編集手法を提案する.また,提案システムに基づいて実装したプロトタイプシステムを用いて,評価実験を行った.その結果,提案システムを使用することで,短い時間で簡単に,料理レシピの対話シナリオを作成や編集できることがわかった.さらに,提案システムは,Webブラウザと比べて,必ずしも有用であるという結果にはならなかった.そのため,字幕機能や自動スクロール機能などの改良が必要である.

1H-2 (時間: 14:10 - 14:30)
Title深層学習を用いた応答文に適したモーションとボイスの推定手法
Author*西 佑真, 梶岡 慎輔, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
Pagepp. 188 - 195
Keyword深層学習, 自然言語処理, 音声対話

1H-3 (時間: 14:30 - 14:50)
TitleStyleGAN2に基づくゲームキャラクタの表情差分付き顔画像自動生成システム
Author*陳 晴, 阿倍 博信 (東京電機大学)
Pagepp. 196 - 203
KeywordStyleGAN2, ゲームキャラクタ, 顔画像, 自動生成, コンテンツ制作
Abstract近年,様々な実写顔やアニメ顔画像自動生成サービスが出てきた.しかし,これで得た画像は,ユーザのSNSアイコンとしては十分使えるが,ゲーム開発の素材としては表情差分生成機能がないため,不十分だと考えられる.そこで,本論文では,GANの一方式であるStyleGAN2の画像生成とStyle Mixingを組み合わせることで表情差分付き顔画像生成を自動化する方式について提案する.さらに,提案方式に基づき表情差分生成処理において誤りが発生した場合でも発生した誤りを手動でパラメータの値を修正するUIを持ったシステムを開発し,システム評価を行った.その結果,5段階評価で最後まで表情差分付き顔画像生成を行うことと表情差分付き顔画像生成システムの使いやすさの平均値で4.125という結果が得られた.

1H-4 (時間: 14:50 - 15:10)
Title背景置換処理のオフローディングによるARシステムの実装評価
Author*坪木 良宏, 川上 朋也 (福井大学大学院工学研究科), 松本 哲, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 寺西 裕一 (国立研究開発法人情報通信研究機構/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 204 - 210
KeywordAR, VR, 映像処理
Abstract近年注目を集める仮想空間技術の一つに仮想現実(Virtual Reality, VR)技術があり,モバイル端末を用いた視覚的なアプリケーションとして,ユーザがあたかも仮想空間にいるかのように見せる仕組みが普及している. しかし,一般的なVRでは視界全体が仮想世界となるため現実世界の周囲の状況を把握できずユーザの物理的移動は制限されてしまう. そこで,ユーザの物理的移動が制限されることのない仮想世界体験を実現するため,我々は推定深度に基づくリアルタイム背景除去手法を提案している. 本研究では,処理能力の高くないクライアント端末を想定し,クライアント端末で得られた映像に対して,深度推定や背景置換の処理をサーバ側へオフローディングするシステムを検討する.オフローディングによって負荷を軽減することで,処理能力の低いクライアント端末であっても,背景が置換された空間映像をリアリタイムに体験できる.


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セッション 2A  統一セッション:機械学習アプリケーション
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 菅沼 拓夫 (東北大学)

2A-1 (時間: 15:50 - 16:30)
Title(招待講演) Beyond 5G/6Gに向けたネットワークの挑戦
Author田上 敦士 (KDDI総合研究所)
Pagepp. 211 - 214

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
2A-2 (時間: 16:30 - 16:50)
TitleK近傍法によるてんかん発作時脳波識別手法の提案
Author*北川 栞, 山崎 雄貴, 土井 千章, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 215 - 220
Keywordてんかん発作, 脳波データ, K近傍法, AI, ユビキタスヘルスケア
Abstractてんかんとは大脳の神経細胞の過剰な活動によって引き起こされる反服的な発作を生じる脳疾患である.抗てんかん薬を用いることにより,てんかんの発作を抑制できる.てんかんの確定診断及び投薬には患者の脳波を測定し医師が確認することが有効とされる.しかし,専門医や長時間の脳波測定を行える施設の不足による医療現場の負担や,適切な投薬を受け続けることの難しさが課題である.本稿では,医師のてんかん診断の補助を行うことを目的として,機械学習手法を用いて脳波データからてんかん発作時の脳波を識別するモデルを構築する.また,家庭で使用できる簡易的な脳波計を用いた識別を可能とするために識別に必要な脳波計のチャンネル数を削減する方法とその下限を検討する.識別モデルを用いることで脳波データからてんかん発作をF1 score:0.995で識別できることを確認した.また15チャンネルという簡易的な脳波計で有り得るチャンネル数でも性能を大きく損なうことなく発作の識別が可能であることを確認した.

2A-3 (時間: 16:50 - 17:10)
Title圃場画像による植物病害自動検出に向けた鉢花領域の分割
Author*藤井 駿 (公立はこだて未来大学), 中村 嘉隆 (京都橘大学), 稲村 浩, 石田 繁巳 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 221 - 226
Keywordスマート農業, 画像処理, 植物病害
Abstract農業生産量において植物病害の影響は大きく,植物病害は発見次第速やかに対処し除去等の処置を行う必要がある.従来手法では病害検出精度を高める試みはなされているものの,病害検出のために大量の画像データ収集および監視機器の設置・管理,病害画像抽出作業等のコストが大きい.そこで,本研究では圃場全体の画像のみを利用し,個々の作物にあたる画像を画像処理を用いて分割して切り取る手法を提案し,切り取った画像に対して病害識別を行うことで病害検出の精度向上を試みる.評価実験の結果,作物の画像はCNNによる作物部分の分割と比較して約7ポイント高い71.8%のF値で1株の鉢花をトリミングできていることを確認した.病害検出に関しては,物体検出アルゴリズムYOLOV5を圃場全体の画像に対して適用した場合と比較して約23ポイント高い23.8%のF値で病害であることを識別できることを確認した.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
2A-4 (時間: 17:10 - 17:30)
Title店舗のテキスト情報を用いた類似店舗への訪問有無を考慮する訪問予測手法
Author*壺内 陸友, 原 隆浩, 天方 大地, 前川 卓也 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻), 米川 慧, 黒川 茂莉 (KDDI 総合研究所)
Pagepp. 227 - 234
Keyword訪問予測, POI推薦, 自然言語処理, BERT, Attention
Abstract近年,位置情報サービスの普及に伴い,ユーザの訪問を予測する研究が盛んに行われている.訪問予測は,ユーザの店舗に関する情報収集や企業の集客施策に貢献する.一般的にユーザと店舗間の訪問履歴は非常にスパースである.このような環境下において,既存手法の多くは予測モデルの学習を通して店舗の分散表現を獲得するため,特に学習データの少ない店舗について十分な表現を獲得できない.本研究では,このような課題に対応するため,店舗のテキスト情報から店舗の分散表現を獲得するアプローチを提案する.また,既存手法では,関連度を算出する入力店舗がユーザの訪問履歴から情報を抽出する階層に関与しないため,ユーザの分散表現は全ての店舗について一意である.このようなユーザ表現には,入力店舗に影響の小さい情報も含まれるため,必要な情報のみに注目をすることができない.本研究では,Attention機構を用いて入力店舗ごとに,ユーザが過去に類似店舗に訪問しているか否かに注目した情報抽出を行い,店舗ごとに特化したユーザ分散表現を作成した.


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セッション 2B  音響センシング
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 清田 陽司 (株式会社LIFULL)

2B-1 (時間: 15:50 - 16:10)
TitleMOSS:スマートフォンの音波を用いた距離計測
Author*窪田 諒我 (青山学院大学大学院), 箕輪 颯太, 紅林 勇陽, 田谷 昭仁, 戸辺 義人 (青山学院大学)
Pagepp. 235 - 239
Keyword距離推定, モバイルアプリケーション
AbstractMOSSを搭載するスマートフォンは,一定周期で音波を発信し,その返信音波を受信することで近隣の他スマートフォンの存在を認識する.しかし,常に発信し続けるのではなく,Bluetooth ビーコン等を利用する外部のシステムにより,一定範囲にあるときにのみ動作する.発信する音波の周波数と音量により,音波の到達距離が異なるため,複数種類の音波を発信することで,受信スマートフォンとの距離を推定する.

2B-2 (時間: 16:10 - 16:30)
Titleヒアラブルデバイスの外部音取り込み機能による音像定位能力変化の調査
Author*渡邉 拓貴 (北海道大学/JSTさきがけ), 寺田 努 (神戸大学)
Pagepp. 240 - 246
Keywordヒアラブルデバイス, 外部音取り込み, 音像定位能力
Abstract近年の技術発展に伴い,イヤホン型のウェアラブルデバイス(ヒアラブルデバイス)が急速に普及しつつある.ノイズキャンセリング機能を備えた多くのヒアラブルデバイスでは,外部からの音を取り込み,そのままユーザに提示される機能が提供されている.この機能により,従来のイヤホンでの問題点であるイヤホン着用中に外部と遮断される問題が解消できる.一方で,外部音取り込み機能でユーザに提示される音は,ヒアラブルデバイスのマイクで取得され,ヒアラブルデバイスのスピーカから提示されることになる.マイク/スピーカにはそれぞれ周波数特性があり,ユーザが取得する音はユーザ本来の聴覚で得られる特性とは異なる可能性がある.人は音源方向の特定には頭部伝達関数を用いているため,ヒアラブルデバイスの外部音取り込み機能によるユーザの頭部伝達関数の変化に伴い,音像定位能力に悪影響を与える可能性が考えられる.そこで本研究では,ヒアラブルデバイスの外部音取り込み機能を用いた際のユーザの音像定位能力の変化を調査した.4人の被験者に対して,3つのヒアラブルデバイスを用いて,ユーザの周囲を30度ごとに区切った12箇所の音源を特定する音像定位実験を行った.結果として,音像定位の正解率はデバイス無しで平均93.3%であったところ,デバイスありで平均70.6%となり,音像定位能力の低下が確認できた.さらに,外部音取り込み機能の有無による周波数特性の変化の特徴から,音像定位能力を劣化させないための外部音取り込み方法について議論した.

2B-3 (時間: 16:30 - 16:50)
Title板状ゲルへのアクティブ音響センシングによる押下位置・圧力・せん断力同時認識手法の提案
Author佐々木 啓人 (神戸大学), *渡邉 拓貴 (北海道大学/JSTさきがけ), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 247 - 257
Keyword入力インタフェース, アクティブ音響センシング, 押下位置, 圧力, せん断力
Abstract現在,接触感知型のインタフェースはスマートフォンのタッチパネルなど私たちの生活に必要不可欠なものとなっており,重要な技術である.タッチパネルの多くは接触位置の検出のみを行うものが多く,接触位置に加えて圧力やせん断力を感知する機能の追加は多様なタッチインタラクションを可能にする.近年,変形する素材を識別し,新たな入力手法とするために柔らかい素材を用いたインタフェースが注目されている.しかし,それらは素材の変形する特性に対し,1つのセンサが識別できる入力パターンの数が多くないため,より少ない検出機構で複数の操作が検出できれば有用である.そこで本研究では,対象物に音響信号を伝播し,その応答を解析することで対象物の状態を認識するアクティブ音響センシングを利用した押下位置・圧力・せん断力の同時認識手法を提案する.具体的には,感圧タッチパネルのようなインタフェースをどこにでも設置できる環境を目指し,超音波スイープ信号を発信するコンタクトスピーカと超音波を受信するコンタクトマイクを2枚の板状ゲルに挟むことで取り付けた.ユーザがゲル上で行う操作に伴うゲルの形状変化により,超音波の伝播特性は変化する.この変化を利用して,ゲル表面への押し込み動作の押下位置・圧力・せん断力を同時に認識する.本論文では,ゲルに超音波を送受信するプロトタイプを実装し,提案手法の有効性を評価するために板状ゲルの押下位置,圧力,せん断力を同時に認識する実験を行った.押下位置は4箇所,圧力は3段階,せん断力は4方向3段階の合計73種類の動作を,同一被験者では60.7%の精度で識別できた.この結果を押下位置,圧力,せん断力のそれぞれでまとめたところ,押下位置の精度は99.3%,圧力の精度は83.7%,せん断力の強さの精度は73.4%,せん断力の方向の精度は79.5%であった.

2B-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Titleアクティブ音響センシングによるポイ捨てごみの種別認識手法の提案
Author*立花 巧樹, 松田 裕貴 (奈良先端科学技術大学院大学), 磯部 海斗 (立命館大学), 真弓 大輝, 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学), 村尾 和哉 (立命館大学)
Pagepp. 258 - 264
KeywordIoT, アクティブ音響センシング, 参加型センシング, ゴミ種別認識, スマートシティ
Abstractゴミのポイ捨ては野生動物の殺傷に繋がるなど深刻な環境問題に発展している.ポイ捨てを防止する策を講じるために必要な,ポイ捨てゴミの実態やゴミ拾い活動の実績は情報として整理されていないのが実態である.したがって本研究では,ゴミの種別・位置情報を網羅的に収集するシステムの実現を目的としている.本研究の目的を達成するために,これまでに腕に装着しているスマートウォッチの音響センサを用いたポイ捨てゴミの認識手法や,ゴミ拾い用のトングに搭載した小型カメラを用いたポイ捨てゴミの認識手法を提案してきた.しかし,これらの研究では,ゴミの種別推定における範囲の制限,認識精度の精度不足,プライバシーの問題などが存在した.上記問題を解決するために本稿では,ゴミ拾い用トングにアクティブ音響センシングを組み合わせた,ゴミ種別認識システム Tongaraas を提案する.評価実験にて,缶・タバコ・紙類・プラスチック袋・ペットボトル・何も掴んでいない状態の6種類のデータセットを構築し,ゴミ種別認識モデルを構築した結果,F値0.622が得られ,アクティブ音響センシングを用いたゴミ種別認識の実現可能性が示唆された.また,ゴミの形状や大きさによって,トングとゴミの接触の仕方や音響特性が大きく変化することが,認識性能に影響を与える可能性を明らかにした.

2B-5 (時間: 17:10 - 17:30)
Title音解析による唐揚げの揚がり具合判定手法
Author*陳 維, 塚田 紘也, 横窪 安奈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学)
Pagepp. 265 - 270
Keyword調理音, 揚げ物, 機械学習, MFCC, バンドパスフィルタ
Abstract自宅で料理する機会はコロナ禍に増加していたことから,火加減の調節や調理の提示など現代社会の料理に対する支援の必要性が増えることが分かった.従来研究として画像,加速度センサ,温度センサなどを利用して料理行動を理解することや調理中の音を解析して調理状態を判断する研究があるが,火加減の調節や調理手順提示に関する多くの料理支援研究はセンサを調理器具につけているため,料理中に水がかけられる,設置が不自由など問題がある.本研究はスマートフォンの内蔵マイクから音響信号を取得し,特に中身が熟しているかが分かりづらい唐揚げの調理音を選定し,唐揚げの上がり具合を判断する料理支援を目的とする.揚げ具合を揚げはじめ・変化 1・変化 2・変化 3・揚げ上がり 5 つのラベルと定義する.音響信号の特徴量として MFCC を抽出し,TPOT による機械学習分類した結果全体の F1-score が97.14%,揚げ上がりの F1-score が 85.71%まで達し,音響的揚げ物の揚げ具合推定の有効性を示した.


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セッション 2D  ユーザブルセキュリティ
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 白石 善明 (神戸大学)

優秀論文賞 / Paper Awards
2D-1 (時間: 15:50 - 16:10)
Title辞書攻撃における国や地域のパスワード特性分析
Author*倉﨑 翔大, 金岡 晃 (東邦大学)
Pagepp. 271 - 277
Keyword辞書攻撃, パスワード, 推測攻撃, パスワード特性, 国別
Abstractパスワード推測への耐性をパスワードの強度として計算しフィードバックする手法が提案されるなど,パスワードが推測試行にどれだけの耐性を持っているかはパスワード研究における重要な興味の1つとなっている. 推測耐性を計測することは複数の視点で研究が行われているが,それらの研究は欧米ユーザのパスワードデータセットをもとに議論されていることが多い.一方で国や地域の違いによりパスワードの特性が異なることが複数の研究から明らかになっているが,それらのデータセットの差による推測耐性の広範囲な分析は十分に行われてこなかった. そこで本研究では大規模なパスワードデータセットを用い,国や地域のパスワード特性を推測耐性の視点から分析をした. その結果,国や地域ごとの推測耐性の差や,辞書に用いるデータセットが与える推測評価の差の存在が明らかになった.

2D-2 (時間: 16:10 - 16:30)
Titleスワイプ操作を用いた画像選択型個人認証SwipeDirectionの提案とそのユーザ評価について
Author*金田 侑都 (宇都宮大学大学院地域創生科学研究科), 長谷川 まどか (宇都宮大学工学部)
Pagepp. 278 - 283
Keywordスマートフォン, 画像選択型個人認証, 覗き見攻撃, スワイプ
Abstractスマートフォンは個人情報を多く保持しており,不正利用のリスクが高い.また,公共の場で使用されることが多いことから,覗き見により認証時に入力した情報が盗み取られる危険性が高い.先行の研究によってスマートフォン向けの覗き見攻撃耐性を有する画像選択型認証が複数提案されているが,秘密情報として画像以外にも記憶しなければならない情報が多数あり,画像の記憶における優位性を損ねていると考えられる.本稿ではスマートフォンが標準的に搭載しているタッチパネルの基本操作であるスワイプとタップを用いて,覗き見攻撃耐性とユーザビリティを両立する画像選択型個人認証手法SwipeDirectionを提案する.秘密情報は画像のみとし,画像優位性効果を活かしてユーザの記憶負荷低減を図った.本稿ではSwipeDirectionのユーザビリティと覗き見攻撃耐性を評価するためのユーザ実験を実施し,先行研究であるSecret Flickと比較して検証を行った.

2D-3 (時間: 16:30 - 16:50)
TitleスマートフォンユーザにおけるOSとアプリの更新に関する実態調査
Author*佐野 絢音, 澤谷 雪子, 磯原 隆将 (KDDI総合研究所)
Pagepp. 284 - 292
Keywordセキュリティ対策促進, 更新, 実態調査
Abstract近年増加傾向のサイバー攻撃から防ぐため,ユーザ自身でセキュリティ対策を継続的に実施することが必要不可欠である.しかし,セキュリティ対策を継続して実施しているユーザは半数以下であり,ユーザにセキュリティ対策の実施を促進させることが重要である.これまで著者らはパソコンのWindows Updateを対象とする行動変容アプローチを提案し,有効性を検証してきた.パソコンユーザとスマートフォンユーザで,ユーザの行動の共通性や相違性があることを考慮し,今後はパソコンユーザに対して有効性が示された手法に基づき,スマートフォンユーザに最適な手法の確立を目指す.そこで,そのような手法の検討に向けて,対策の促進要因と阻害要因を理解するため,スマートフォンのOSとアプリの更新に対するユーザの意識や更新状況に関する実態調査を実施した.Androidユーザ2000名を対象にウェブアンケート調査を実施し,OSや7種類(SNS・通話,金融,会員サービス,ゲーム,利用状況確認,健康,動画配信)のアプリにおけるユーザの意識(更新している理由,更新しない理由,更新意向が高まる施策)を分析した.分析した結果,OSと7種類のアプリで更新手順の理解状況に応じて,ユーザの意識がそれぞれ異なることを確認した.

2D-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Titleスマートフォン位置情報ログ分析によるライフスタイル比較
Author*冨田 清次, 重田 信夫, 小林 良輔 (東京大学大学院情報理工学系研究科), 佐治 信之 (コードノミー/インフォコーパス), 山口 利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 293 - 300
Keywordライフスタイル認証・解析, 行動認証, 実証実験, 個人認証
Abstract本稿では,MITHRA (Multi-factor Identification / auTHentication ReseArch) プロジェクトのライフスタイル認証実証実験において,実証実験に協力頂いた数千人規模の被験者のスマートフォンから得られる位置情報ログデータを集計し,行動状況・ライフスタイルを分析した結果を報告する.行動の可視化であるライフスタイルテクスチャのクラスタリングによる行動パターン分類を実施,さらに2017年と2021年に実施した実証実験データをもとに,実施時期の違いよる個人の行動状況・ライフスタイルを集計比較した.比較においては,在宅率や行動圏を定め,これを評価指標として比較した.評価指標に関する分析結果の変化から,二度の実証実験の実施時期での社会状況の違い,特に日常生活へのCOVID-19感染拡大の影響を窺い知ることができた.

2D-5 (時間: 17:10 - 17:30)
Titleライフスタイル認証・解析 実証実験2021レポート
Author*重田 信夫, 冨田 清次, 小林 良輔 (東京大学大学院情報理工学系研究科), 佐治 信之 (コードノミー/インフォコーパス), 山口 利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 301 - 309
Keywordライフスタイル認証・解析, 行動認証, 実証実験, 個人認証
Abstract“ライフスタイル認証・解析”は個人の行動パターンに基づく情報で認証する技術であり,さまざまな行動支援や,個人向けサービス提供などの実現を目指している.2017年の1~4月には,5万人規模の実証実験を実施して以来,複数回の実証実験を重ね,認証精度の向上や社会実装に向けての準備を進めてきた.2021年2月~3月に行った実証実験2021においては,スマートフォンでの行動データ収集・通知用アプリケーションであるMITHRA3と他の一般サービスアプリケーション(ウォーキング健康アプリケーション)との認証結果の連携を行った.全国で2,880人の実効被験者を集め,行動データの収集とアプリケーション間連携動作の確認をすることができた.また,得られた行動データの特性を分析し,地域特性の違い等について考察を加えた. 本論文では実証実験2021の概要と得られた行動データの特徴を確認し報告した.これらのデータのライフスタイル認証・解析としての本格的な研究での活用は引き続き進めつつ,今後の社会実装に向けた進展に活用する.


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セッション 2E  セキュリティ・ネットワークアーキテクチャ
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 坂下 秀 (アクタスソフトウェア)

2E-1 (時間: 15:50 - 16:10)
Titleスマートビルのためのオントロジを用いたアクセス制御フレームワークの提案
Author*瀧崎 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科), 木戸 善之 (大阪大学大学院情報科学研究科/大阪大学サイバーメディアセンター/岡山理科大学情報理工学部), 増田 欣之, 都島 良久 (ダイキン工業株式会社), 山本 松樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 下條 真司 (大阪大学大学院情報科学研究科/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 310 - 317
Keywordスマートビル, WoT, アクセス制御, オントロジ, 自動化
AbstractIoTやAIの活用により快適性・利便性の向上を図るビル(スマートビル)の開発が進んでいる.不特定多数の人が出入りするビルでは,セキュリティ上ビル内のIoTシステムに対するアクセス管理が重要である.現状ビル内のアクセス制御システムはそれぞれのビルで独自に開発されるが,IoT機器の膨大な数や 設置場所の変更の多さから,システム開発の負担が大きくなる.そこで本研究ではスマートビルを対象としたアクセス制御を備えたIoTシステムを自動で構築する機能を持つ,アクセス制御フレームワークを提案する.提案フレームワークではWeb オントロジとしてBrickを,アクセス制御モデルとしてRBACを採用する.Brickにより作成したビルモデルから,IoTシステムとRBACシステムの一部を自動で構築するためのプログラムを開発した.評価では,提案フレームワークを大阪大学箕面キャンパスに実際に適用しその有効性を検証した.提案フレームワークによりシステムを自動で構築できることを確認し,ビルごとの実装を極力抑えることができることを確認した.

2E-2 (時間: 16:10 - 16:30)
TitleIDS・SDN連携型FWシステムにおける良性フロー監視除外によるIDS負荷軽減
Author*高井 淳光 (東京農工大学工学部情報工学科), 中川 令, 山井 成良 (東京農工大学)
Pagepp. 318 - 326
Keywordファイアウォール, SDN, IDS
AbstractSoftware Defined Networking (SDN) とIntrusion Prevention System (IDS) を組み合わせて実現する柔軟で安価なファイアウォールシステムとしてIDS・SDN 連携型ファイアウォールシステムが提案されている. IDS・SDN 連携型ファイアウォールシステムではパケットを遮断するために攻撃検知を行うIDSホストと経路制御を行うSDN 制御ホスト間のネットワーク通信が必要となる. この影響で悪意があると判断されたパケットが到着してから実際に遮断を行うまでに遅延が生じてしまう. 本研究ではIDS・SDN連携型ファイアウォールシステムの遅延時間は小さく抑えることを目的とする. 本稿では良性と判断されたホストからのパケットをIDS ホストの監視対象から除外することによりIDS ホストの負荷を低減することで, 悪意のあるパケットの検知を高速化して遮断時間を短縮する手法を提案し, その検証実験と考察を行った. 結果として単一IDS 構成時では提案手法を用いることで遮断時間の短縮を確認でき, 複数IDS 構成時には確認できなかった. これはIDS ホストを複数台で構成したために, パケットが分散されIDS ホストへの負荷が十分にかからなかったことが原因だと考えられる.

2E-3 (時間: 16:30 - 16:50)
Titleゼロトラスト認証認可連携における異なるデータソース間のコンテキストの紐づけ
Author*平井 雅人, 小谷 大祐, 岡部 寿男 (京都大学)
Pagepp. 327 - 334
Keywordアクセス制御・認証, ID連携, ゼロトラスト, コンテキスト
Abstractコンテキストと呼ばれるユーザーやデバイスの性質や状況を示す情報を用いて認可を行うゼロトラストアーキテクチャ(ZTA)というアクセス制御モデルが注目されているが、ZTAを利用して認証認可連携を行う手法として、ゼロトラスト認証認可連携(ZTF)が提案されている。ZTFはコンテキストを様々な収集元(データソース)を経由して集めることでこれを行う。しかし、ZTFでは拡張実装が容易でないデータソースからのコンテキストの収集手法は明確でなかった。そこで、本研究ではZTFにおけるコンテキストの汎用的な収集手法として、コンテキストをエンドユーザーから直接収集するエンティティ(CtxC)とコンテキストを組織に提供するエンティティ(CAP)に分けて考え、CAPがCtxCのコンテキストの識別子をCAPの識別子で対応づける方法について提案する。CtxCでの拡張実装が容易な場合ではCAPとの間で仮名IDを共有して行い、そうでなくCtxCとCAPの管理者が同一の場合は管理者が対応表を作っておく。また、証明書を利用して認証することで管理者が不正な紐付けを行わないことを信頼することなく対応づける手法についても提案する。そして、RADIUSやIntuneをCtxCとして紐付けの実装についても行い、対応を紐付けられることを確認した。

2E-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Title属性プロバイダーのゲートウェイサービスへの展開と運用評価
Author*西村 健, 清水 さや子 (国立情報学研究所), 古村 隆明 (京都大学), 坂根 栄作, 合田 憲人 (国立情報学研究所)
Pagepp. 335 - 342
Keyword認証フェデレーション, SAML, Shibboleth, 認証, 認可
Abstractアイデンティティフェデレーションは多くの国で構築されており,日本では,2010 年より「学認」と呼ばれる 学術認証フェデレーションが構築された.著者らは,学認で利用できるサービスの多様化に伴い,属性プロバイダー として,任意の「学認 ID の集合」であるグループを作成し,そのグループ情報をサービスでの認可に利用可能とする 「GakuNin mAP」を開発し,運用を行っていた.学認では,利用できるサービスは所属機関ごとに異なり,GakuNin mAP で作成したグループごとにも利用できるサービスが異なる.サービスによっては,同じサービス内でも所属する グループごとにアクセス先の URL も異なることがある.このような背景もと,近年,GakuNin mAP で作成するグル ープの増加や,学認で利用できるサービスの増加に伴い,ユーザーは自身が利用できるサービスやサービス利用時の アクセス先の管理が負担となっていた.これらの解決のため,学認に参加する全機関のユーザー向けに,ユーザーご とに利用できるサービスとアクセス先が一覧で把握できる,学認クラウドゲートウェイサービスの開発を行った.本 稿では,開発した学認クラウドゲートウェイサービスの詳細について述べ,実際に運用してきた 5 年間の実績と評価 についても述べる.


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セッション 2F  教育のDX支援
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 中村 亮太 (武蔵野大学)

2F-1 (時間: 15:50 - 16:10)
Title講義における学生の質問行動を促進するチャットボットの開発
Author*鈴木 舜也 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 343 - 349
Keyword質問行動支援, チャットボット, オンライン講義, ソーシャルメディア, 多人数講義
Abstract講義における学生の質問行動は,質問者自身だけでなく,周囲の他の学生の理解度の向上に役立ち,また教員が今後の授業を改良していく上で有益なフィードバックとなりえる. しかし,多くの学生にとって質問行動は心理的な抵抗感が生じるものである. そこで本研究では,学生の質問行動を促進することを目的としたチャットボットシステムを開発した. また2021年度後期に実施された情報系一般教養科目において,オンデマンド形式のオンライン授業においてシステムを導入し,その効果について検証を行った. 実験の結果,従来の質問受付用のフォーラムと比べて,学生にとってシステムを用いた質問がより手軽であり,質問意欲が向上したことがわかった. また他の学生が行った質疑応答を確認することは,さらなる質問行動を促す可能性があることがわかった.

2F-2 (時間: 16:10 - 16:30)
Titleソフトウェア開発演習を対象としたTA-Botを用いた進捗監視システムのシミュレーション評価
Author*小野 光一 (創価大学大学院), 清原 良三 (神奈川工科大学), 寺島 美昭 (創価大学)
Pagepp. 350 - 355
Keyword進捗監視, ソフトウェア開発, シミュレーション, TA-Bot
Abstract本研究では,多人数が参加するソフトウェア開発において学生の進捗監視及びアドバイスを行うTA(Teaching Assistant)-Botを用いた進捗監視システムのシミュレーションによる評価について検討する.進捗監視システムには,学生の進捗を計測する深刻度とその値に基づいてデータベースから学生ごとにアドバイスを取り出すアドバイス選択がある.このシステムを評価するためには実際に人を対象にして繰り返し実験を行わなければならない.しかし,実験の規模が大きくなってしまうことや学生のプログラミングスキルが異なることから,実施自体が難しく,こちらの意図する状況を再現できない.そこで,シミュレーションによって学生に開発状況を意図的に作る出すことによって進捗監視システムの評価を行う.本稿では,学生の開発状況を作り出すために必要なパラメータを設定し,シミュレーションの一例から学生ごとに異なる開発状況を再現することができた.

2F-3 (時間: 16:30 - 16:50)
Title反転授業におけるグループワークの学習状況の把握支援システム
Author*川上 達也, 山口 琢 (公立はこだて未来大学大学院), 角 康之, 大場 みち子 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 356 - 363
Keyword反転授業, グループワーク, 支援システム, 学習状況
Abstract本研究の目的は,中規模クラスの反転授業において,教員が学習者に対して評価・指導をする際の支援である. 近年,多くの教育現場で反転授業に注目が集まっており,様々な実践報告がされている. 学習者の人数が多い講義で反転授業を実施した場合,教員は,各学習者の学習プロセスを網羅的に把握することが難しい.そのため教員は,成果物などの結果のみに基づいた評価・指導になることが多い. しかし,反転授業に参加している学習者にとっての効果的な評価や指導は,成果物のみではなく,成果物に至るまでの学習プロセスと成果物に基づいてされることが望ましい.そこで,本研究では,授業内外の学習状況を可視化し,教員が学習者の学習状況を把握することを支援するシステムの開発に取り組む.本稿では,その第一歩として,学習者の操作ログを効率的に取得するツールを開発し,取得した操作ログを可視化することで学習状況を把握できるかについて検証する.

2F-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Title対話ロボットを用いた面接練習でのフィードバックによる心理的影響の検討
Author*竹内 将人, 小松 眞子 (高知工科大学), 卯木 輝彦 (関西外国語大学), 敷田 幹文 (高知工科大学)
Pagepp. 364 - 368
Keyword面接練習支援, 対話ロボット, 存在感, フィードバック
AbstractCOVID-19の影響から就職面接の練習を家で一人ですることが増えている.一人での練習は,見られている,話を聞かれているといったことによる緊張感や練習へのやる気の欠如が課題となっている.そこで本論文では,就職面接の練習を想定し,対話ロボットが質問の読み上げ,フィードバックを行う面接練習支援方式を提案した.人との面接練習と比較することで,本方式が練習者へ与える心理的影響を検討した.その結果,対話ロボットが質問を読み上げ,フィードバックを行うことで,対話ロボットに``評価してくれる相手''としての存在感を,練習者にロボットと対話しているという感覚と緊張感を与えることが分かった.これより一人での練習の効率化が期待できる.

2F-5 (時間: 17:10 - 17:30)
Title意見伝達を仲介する対話型エージェントに対する利用意欲の調査
Author*丸山 葉 (日本大学文理学部), 大西 俊輝 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 大串 旭 (日本大学文理学部), 呉 健朗 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 大澤 正彦, 宮田 章裕 (日本大学文理学部)
Pagepp. 369 - 373
Keyword対話型エージェント, 意見伝達, 仲介者
Abstract昨今,対話型エージェントは我々の生活に浸透してきており,将来的には人とエージェントが混在したコミュニケーションが日常的なものになると考えられる. この複数の人・エージェント間のコミュニケーションでは,エージェントが他者の意見を伝達する「仲介」を行うこともあるだろう. しかし,人がエージェントに意見伝達を仲介してほしいと感じるか否かは現時点では明らかにされていない. 具体的には,意見の発信者・受信者の関係性と,意見の内容によって,意見の発信者が抱く仲介者の利用意欲がどのように変化するか明らかでない. そこで本稿では,これを明らかにするための調査・分析結果ついて報告する. 調査では,100人に対して,意見の発信者・受信者の関係と意見の内容ごとに,伝えたい意見を他者に仲介してもらいたいかに関するアンケートを実施した. その結果,自身とカジュアルな関係の相手にポジティブな意見を伝えるシーンで, 意見伝達を仲介するエージェントに対する利用意欲が高まることが示唆された.


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セッション 2G  行動認識2
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 堀川 三好 (岩手県立大学)

2G-1 (時間: 15:50 - 16:10)
Title日常的なマウス操作による個人識別と操作の経時変化による影響の調査
Author*須田 恭平 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 石田 繁巳, 稲村 浩 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部), 中村 嘉隆 (京都橘大学 工学部)
Pagepp. 374 - 380
Keyword家電操作, ユーザ識別, マウス操作, 教師あり学習
Abstract近年,家電の多機能化が進められており,ユーザの嗜好にあわせてコーヒーの濃さの変更やパンの焼き加減の調整などを行える.このような家電はコストや置き場所の問題から1つを共用する形で利用されることが多い.そのため,使用する度に前回使用した人の設定から自分の設定に変更する必要がある.筆者らは,日常的な動作をセンシングすることで人物を識別し,適切な設定を自動的に行う仕組みの実現を目指している.本稿では,家電操作の一例としてスリープ復帰時のマウス操作による個人識別手法を提案する.本手法ではマウス操作によるカーソルの移動軌跡データを取得し,操作時間やカーソル移動速度などの計8個の特徴量を抽出して教師あり学習により個人を識別する.24人の被験者データを用いて個人識別の正解率を評価した結果,平均正解率は93.5%であった.7人の被験者から10日間に分けて収集したデータを用いて正解率を評価したところ,操作の経時変化が正解率に影響を与えることを確認し,高い正解率を維持するためには評価データの直近2~5日分のデータを用いて再学習し続ける必要性が示唆された.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
最優秀論文賞 / Best Paper Awards
2G-2 (時間: 16:10 - 16:30)
Title行動認識におけるSoftmax関数の温度パラメータに関する一考察
Author*長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科)
Pagepp. 381 - 388
Keyword温度パラメータ, softmax関数, 行動認識, 深層学習
Abstract行動認識モデルは深層学習を用いて実装されることが多くなってきているが,深層学習はモデル構造や最適化手法などハイパーパラメータが膨大であり,適切に使いこなすには熟練の技能が必要となる.本研究では,膨大なハイパーパラメータの中でも未解明な点が多いsoftmax関数の温度パラメータTと特徴マップの次元数Mに焦点を当てる.特に行動認識ではモデルサイズを調整することは少なくなく,TとMの関係の解明は重要である.深層学習モデルを出力の分散の観点から理論的に考察した結果,出力層のパラメータはMの制約を受けて最適化されており,最適なTの設定はこの制約を緩和できる可能性があると考えた.そこで本研究では,TとMの関係を理論的に考察した上で,様々な行動認識データセットやモデル構造において実験的に検証した.実験の結果,T=1の従来の設定ではモデルの最良のパフォーマンスを発揮しきれていないこと,Mの増加に伴い最適なTも増加すること,最適なTにおいてはsoftmax関数の入力の分布が安定していることなどを明らかにした.

2G-3 (時間: 16:30 - 16:50)
TitleHEMS電力データを用いた家庭内行動認識手法の実家庭における評価
Author*田中 福治, 水本 旭洋, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 389 - 399
KeywordHEMS, 行動認識
AbstractHEMS(Home Energy Management System)の普及に伴い,HEMSが集計した消費電力データを利用した新しいサービスへの期待が高まっており, その一つとして居住者の行動認識がある.我々の研究グループでは,HEMS住宅分電盤から得られる分岐回路別の30分毎の累計消費電力情報のみから家庭内行動推定を行う手法を提案してきた. 同手法では,まず分岐名称を解析することで各分岐が電力を集計している部屋と家電の特定を行い,どの行動に最も関連しているかを判別する. 家電毎に集計している分岐に関しては家電の稼働推定を行うことで,行動の認識を行い,部屋毎に集計している分岐に関しては,30分粒度でも認識可能な特徴量を設計して,ランダムフォレストを用いることで行動の認識を行う. また,転移学習を適用することによって家庭間の差異に適応している. 本研究では,同手法の実環境における有用性検証を行ったためその結果について報告する. 協力企業との連携のもと3家庭にセンサを導入する真値取得実験を行い,得られた真値をもとに提案手法を評価した. その結果,起床と就寝に関しては消費電力のみから推定することは難しいことがわかった. 一方で入浴,調理,洗濯,皿洗いの4行動に関しては平均F値0.76を達成し,実環境においても十分に認識が可能であることがわかった.また入浴に関しては転移学習によりF値が0.22向上することが確認できた.

2G-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Title料理中の料理動画再生制御に向けた料理工程推定手法の評価
Author*城谷 知葵, Billy Dawton (九州大学大学院システム情報科学研究院), 石田 繁巳 (公立はこだて未来大学システム情報科学部), 荒川 豊 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 400 - 405
Keyword環境音認識, 料理音, 音響センシング
Abstract新型コロナウイルスの流行による外出制限を受けて料理動画の需要が高まっているが,料理中に動画を視聴する際,動画再生端末を操作する必要がある. そこで本研究ではユーザの料理工程に合わせて料理動画をループ再生する手法を提案する. ユーザが行っている料理工程を動画内でループ再生することで動画再生端末を操作することなく料理動画を視聴することが可能となる. 本稿では,この実現に向けた第一歩として料理音から料理工程を認識する手法について述べる. ユーザの料理音を取得し,既存の料理音データセットで作成した機械学習モデルに入力することで料理工程を認識する. 実環境ではテレビの音やBGMが混ざる可能性があるためバックグラウンドノイズの影響について検討した結果も報告する. 一般家庭で録音した料理音データをkitchen20データセットで作成した分類モデルで初期的評価を行った結果,3種類の料理工程を正解率0.84で分類できることを確認した. また料理工程が頻繁に変わらないことを考慮して平滑化処理を行った結果も示す.


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セッション 2H  インタラクション
日時: 2022年7月13日(水) 15:50 - 17:30
座長: 山本 大介 (名古屋工業大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
2H-1 (時間: 15:50 - 16:10)
Title花火をモチーフにしたインタラクティブコンテンツを用いた論理的思考教育の検証
Author*伊藤 迅, 水野 慎士 (愛知工業大学)
Pagepp. 406 - 411
Keyword論理的思考, デジタル教材, インタラクション, CG, Web
Abstract2020年に小学校のプログラミング科目が必修化された.また,2025年1月の大学入学共通テストからプログラミングを含む情報科目が追加されることになった.そのため,プログラミングや論理的思考力の教材の需要が高まっている.その中でも,低年齢層に向けたものが少ないため,特に需要があると思われる.そこで,本研究では未就学児および小学校低学年を対象とした論理的思考力のための新しいデジタル教材の開発を行った.このデジタル教材はインタラクティブ性があり,直接的なプログラミングを行うことなく倫理的思考力を高めることを目指している.そして,手法の有効性を検証するため,開発したデジタル教材を用いた実証実験を行う.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
2H-2 (時間: 16:10 - 16:30)
Title1ドットLEDの発光パターンが感情に与える影響
Author*山本 剛生, 土田 修平, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 412 - 423
KeywordLED, 発光, 感情, 電飾
AbstractLED を用いた電飾は,多くの人を魅了する手段の一つとして日常生活で広く普及している.LED の 電飾は観客に対して喜びや感動といった感情を想起させ,電飾を構成している発光パターンの種類によっ て観客が抱く感情は異なる.そのため,観客に特定の感情を与えるLED の電飾を演出する場合,その電飾 を構成するLED の発光パターンを適切に設計することが重要である.しかし,発光パターンは制作者の 経験やセンスに基づいて作られており,制作者が意図した感情を観客に与えられていない可能性がある. LED の発光パターンがどのような感情に影響を与えるのかを調査し,LED の発光パターンとそれが与え る感情との関係が分かれば,制作者の電飾に対するコンセプトを観客に伝えることができる.そこで,本 研究ではLED の発光パターンが感情に与える影響を調査し,感情と発光パターンの関係を明らかにする ことを目的とする.まずは,単純なLED の発光パターンと感情の関係を明らかにするため,1 ドットの LED の発光パターンが人の感情に与える影響を調査する.4 つの要素を組み合わせて作成した基礎パター ンと映像をLED に出力した映像パターンがどのような感情に影響するのか調査した.実験結果より,赤 色は怒り,青色は悲しみに影響を与えるといった,色彩による感情への影響があることがわかった.また, 色や明るさが不規則に変化する複雑な発光パターンのほうが不思議に影響を与えやすいことがわかった. 回帰分析の結果,全パラメータの中でLED の発光パターンの1 周期の時間が複数の感情にとって重要な 要素であることがわかった.

2H-3 (時間: 16:30 - 16:50)
TitleAccessibility Design for People with Hearing Impairment in Virtual Reality Horror Escape Games
Author*Aulia Rizky (Tokyo University of Technology Graduate School), Akifumi Inoue (Tokyo University of Technology)
Pagepp. 424 - 431
KeywordAccessibility, VR, horror game, entertainment, interaction
AbstractWhen we talk about early horror video games, they often had no accessibility features for disabled players. It was not easy to obtain the adaptive controllers even if they had because they were not in wide use and were expensive. Many disabled players found ways to make horror games playable through their efforts. Although the rules and the guidelines are still in their infancy, such accessibility features have rapidly grown more common, particularly over the past three to five years, notably for deaf and hard-of-hearing people. Besides visual prompt to make the player with no disability feels frightened, audio cues also play a crucial role in most horror games. They are mainly used as a hint to inform the player from which direction the harmful event is coming, and they also give a slight suggestion on which way the player should choose at a fork in the road. However, players with hearing impairment cannot be aware of these audio cues. The game’s overall difficulty gets higher, while the game’s scariness gets lower compared to players with no disability. Dedicated games built for people with hearing impairment are somewhat unacceptable because such games make the disabled players unable to experience the fear and anxiety of the horror games. In this paper, we introduced a method to help deaf and hard-of-hearing players to be able to play horror games under the same rules as hearing players. The proposed method "Glitch Effect," generates a visual noise that distorts the screen when harmful events are near at hand. We introduced this effect as a metaphor of anxiety, for we often see it on a broken television. For example, when a zombie gets near the player character in game, the camera at the viewpoint of the character begins to repeat small glitch animation at regular intervals. The closer the zombie gets, the stronger and shorter the glitch and its intervals become. This paper describes the system design of the horror game and the result of the user experiments.

優秀論文賞 / Paper Awards
2H-4 (時間: 16:50 - 17:10)
Title異種環境での感情表出アバターを用いたリモート対話環境
Author*宇都木 契, 藤原 貴之, 栗原 恒弥 ((株)日立製作所)
Pagepp. 432 - 438
Keywordメタバース, 顔認識, 遠隔会議
Abstract遠隔営業や説明議論の支援を目的としたコミュニケーション支援システムの試作を行なった.提案システムは、(1)HMD,PC,スマートフォンなど異種機器を対象としてWebブラウザ上に対話・議論用の仮想空間を構築する (2) 顔部分を撮影するカメラからユーザの表情リアクションを取得し,空間上のアバター動作に反映する(3) 視聴コンテンツの共同再生機構と表情ログのロギングを合わせ会話の状況分析を行うためにリアクションKPIの変化を計測する機構の三点を特徴とする。本発表では、この試作で検討した会話に対して顔表情による操作に基づく非言語情報のフィードバックを行う機構の実現と、同システムに多様な接続機器で接続した場合のユーザビリティを担保するための画面構成デザインについての議論を紹介する。特に、異種機器の環境においてディスプレイの面積に基づく行動差異が発生することを前提として、共有ドキュメントの視聴行動を複数の参照モードに分けて管理、視聴共有と部分注目、逸脱参照といった状態を明示的に区別して管理する手法について論じる。

2H-5 (時間: 17:10 - 17:30)
Titleデジタルフロントエンジニアリング強化に向けたPoCを迅速化する基盤に関する研究
Author*中沢 隆紀 (日立製作所 研究開発グループ)
Pagepp. 439 - 444
KeywordGUI, UI/UX, デジタルソリューション, 部品化, ノウハウ蓄積
Abstractデジタルソリューション開発にはアプリケーションの利用者と開発者の協創が必要であり,迅速かつ認識の差異がない合意形成にはGUI開発のプロトタイピングが有効である。しかし, GUI開発には画面設計スキルを必要とするため,開発者が画面設計の知見やノウハウを持たないことが迅速な合意形成実現の妨げとなっている。そこで,画面設計スキルを持たない開発者によるGUI開発の支援手法確立を目標とした。本研究では,画面設計スキルを持つ開発者のGUI開発プロセスに基づき,過去案件の画面を再利用できるように部品化すると共に,再利用基盤で部品を管理する手法を提案した。本手法によって,画面設計スキルを持たない開発者がGUIを開発可能な見通しを得た。


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セッション 3A  統一セッション:モバイルコンピューティングと新社会システム
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

3A-1 (時間: 17:50 - 18:30)
Title(招待講演) 災害時の避難所情報共有システム「災救マップ」の活用
Author*稲場 圭信, 川端 亮, 王 文潔 (大阪大学 大学院人間科学研究科), 小島 誠一郎, 峯 英一郎 (一般社団法人地域情報共創センター)
Pagep. 445
Abstract全国には8万ほどの指定避難所ある.一方で、近年の災害時には,小学校や公民館といった公的な避難所に加えて,寺社等宗教施設が緊急避難所になる事態が頻発している.全国にある寺社等宗教施設20万,指定避難所,指定緊急避難場所等をあわせて約30万の施設情報をもつシステム「災救マップ(未来共生災害救援マップ)」の概要,その社会実装,および今後の課題を述べる.さらには、CREST研究領域「基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0 のための基盤ソフトウェアの創出[S5 基盤ソフト]」の「地域を支える知のデジタライゼーションと共有基盤」(研究代表者 山口弘純)の研究チームとして取り組んでいる「地域を支える知の共有基盤における災害時支援技術」について述べる.

3A-2 (時間: 18:30 - 18:50)
Title屋内におけるBLEビーコンを用いた移動ユーザの自己位置推定手法の検討
Author*梅澤 猛 (千葉大学)
Pagepp. 446 - 451
Keyword位置推定, 位置指紋, BLE, 機械学習
Abstract屋内位置推定においては,屋外で一般的なGPSの代替となる位置推定手法が求められる.位置指紋法による位置の推定は,機器設置コストが小さくて済むメリットがあるが,対象領域内での事前計測の作業コストが大きいという課題があった.そこで,本稿では,室内でBLEビーコンを用いて位置推定を行うときの,観測点密度と地点あたりの観測量の増減が推定結果に与える影響について調査する.また,設置するビーコンの数の増減が推定結果にあたえる 影響についても調査を行う.

3A-3 (時間: 18:50 - 19:10)
Titleクラウドセンシングのための時空間フェンシングのスマートフォンアプリへの実装
Author*須崎 翔太, 宮川 信人 (愛知工業大学大学院経営情報科学研究科), 梶 克彦 (愛知工業大学情報科学部)
Pagepp. 452 - 458
Keywordクラウドセンシング, 時空間フェンシング, プラットフォーム
Abstractクラウドセンシングが持つ専用システムの開発,運用コストという課題を解決するためにクラウドセンシングプラットフォームがある. そのうち,利用者のモチベーションを向上・維持させるためにインセンティブ要素を提供するクラウドセンシングプラットフォームはいくつかある. 我々はインセンティブ要素と併用可能なディスインセンティブ要素の軽減を目的としたクラウドセンシングプラットフォーム(ラヴラス)を構築する. 本研究ではラヴラスのスマートフォンアプリ(以下,スマホアプリ)を実装する. ラヴラスのスマホアプリにはセンシングプロジェクトダウンロード,センシング依頼通知,自動センシング,センサデータアップロードの機能が必要である. そのうちセンシング依頼通知,自動センシングは時空間フェンシングに基づき行う. ジオフェンシングには利用者が視覚的に認識しやすい緯度経度を利用したが,GPSは屋内やビルの多い場所では不安定になる. そこでジオフェンスにマージンを設け,確実に進入した,退出したを判定する. また,ラヴラスは実際のユースケースとして遊園地や工場など特定の施設を対象にする可能性がある. その場合ジオフェンスが任意の多角形になる場合がある. そこで利用者を中心に円を書き,その円周上8点にジオフェンシングを行う点を生成する. 生成した点の内1点以上ジオフェンスの内側にある場合,時空間に進入しそうと判定し,センシングに協力するかどうかの通知を発行する. 8点全てが内側の場合確実に進入したと判定し,自動センシングを行う. 8点全てが外側の場合確実に退出したと判定し,センシングを終了する. これによりジオフェンスが任意の多角形の場合でも適切にジオフェンシングできる. 本稿ではこれらの機能を実装し,動作検証を行った. 結果,ジオフェンスが任意の多角形の場合でも適切に動作した.


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セッション 3B  道路・交通/ヘルスケア
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 島田 敬士 (九州大学)

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
3B-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Title振動発電素子が搭載された靴から得られる発電量に基づく路面種別推定手法
Author*國武 勇希, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 459 - 466
Keyword振動発電素子, 靴, 路面種別推定, 携帯端末, 機械学習
Abstract移動経路における坂道や階段の有無といった路面情報は,身体障害者にとって重要な情報であり,これらが記されたバリアフリーマップは近年普及しつつある.このような路面情報の収集には労力がかかるため,先行研究ではセンサを搭載した靴を用いた自動収集が試みられている.しかし,これらのシステムは普及しておらず,その大きな理由の一つにバッテリをこまめに充電しなければならないことが挙げられる.そこで本研究では,振動発電モジュールが搭載された靴を用いて,着地時の衝撃で発電して得られた発電情報に基づき路面種別を推定し,推定結果を収集するシステムを提案する.提案システムの路面種別推定精度を評価した結果,自分自身のデータを学習データに用いて機械学習モデルを構築した場合にはバリアフリーマップ作成に必要な7種類の路面を約64%の精度で推定できた.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
3B-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Title大規模運転警報システムデータを用いた高齢者ドライバーの特徴分析
Author*吉原 直輝, 小坂部 恭輔, 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 467 - 473
Keyword高齢者, 警報, 分類モデル, 運転, 特徴分析
Abstract近年,高齢者ドライバーの事故増加が著しくその防止が強く望まれている.ドライバイングシミュレータや運転試験によるスコアを用いて高齢者ドライバーの運転特徴の分析を行なった研究があるが,試験時など特定の状況下における運転データに基づくものであり,実際の運転特徴とは異なる可能性がある.本研究では実際に日常で用いられる業務車両に取り付けた衝突警報システムデータを用いて,日々の運転データを取得した.そして,計測したデータを用いて高齢者と非高齢者を識別する識別モデルを作成した.結果,適合率0.86,再現率0.84で高齢者と非高齢者を識別できることが判った.また,この時重要度の高かった特徴量およびその非高齢者に対する差として,車間距離警報の発生回数が増加する,車間距離警報発生時の車速が増加する,低速時衝突警報発生時の車速が増加するなどの傾向があることが分かった.高齢者ドライバーにはより広い車間距離の維持や早めのブレーキなどを意識してもらい,余裕をもって周囲の危険に注視するよう注意喚起することが重要であると考えられる.

3B-3 (時間: 18:30 - 18:50)
Title介護記録自動生成のための入居者間の個人差の分析
Author*金子 晴, 井上 創造 (九州工業大学)
Pagepp. 474 - 478
Keyword介護記録, 個人差
Abstract本稿では介護記録の推定精度を向上させることを目的に, 介護記録データの被介護者間の差に着目しデータ分析を行う. そのためにまず, クラスタリング手法を用いサンプル(特徴量と目的変数)のクラスタリングを行う. その後, 被介護者とクラスターの関係性についての可視化を行う. 最後にクラスタごとの推定精度について評価を行い, 被介護者間の差がどのように推定精度に影響しているか評価する. 結果として, クラスタリングによって作られたクラスタごとに, 介護記録データの予測精度の傾向が異なり, 予測が難しい被介護者のグループやサンプルのグループがあることが分かった.

3B-4 (時間: 18:50 - 19:10)
Title介護記録を用いた排泄時間予測に向けた排尿データの傾向分析
Author*内村 真寿, 金子 晴, 井上 創造 (九州工業大学/井上創造研究室)
Pagepp. 479 - 484
Keyword介護記録, 機械学習, データ分析, 排泄, 被介護者
Abstract本稿では, 失禁を防ぐための排泄時間の予測モデルを作成する前段階として, 実際に介護施設で得られた 3 名の対象者の介護記録を用いて 3 つの傾向分析を行った. 1 つ目の分析は個人間の排尿時間間隔パターンを検証するために各時間帯の相関係数をヒートマップ化した. 2 つ目の分析は排尿前後にみられる習慣の有無を検証するために排尿の前後 1 時間の記録を比較した. 3 つ目に水分摂取量と排尿回数の関係を調べるために, 各日にちごとに比較を行った. その結果, 対象者間の個人差や, 排尿間隔のパターンが確認できた


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セッション 3C  ウェアラブルデバイス
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 大北 剛 (九州工業大学)

3C-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Titleペルチェ素子を用いた上腕冷却による手首計測体温制御デバイスの提案
Author*秋山 幸輝 (立命館大学), 村尾 和哉 (立命館大学/JSTさきがけ)
Pagepp. 485 - 490
Keyword体温改変, ペルチェ素子, ウェアラブル
Abstract2020年1月に,中華人民共和国湖北省武漢市で発生し,同年に日本での感染者が確認された新型コロナウイルスの日本全国での累計感染者が200万人に迫っており,ウイルスは現在も変異を繰り返しており,未だに収束は遠い. 感染対策は必須であり,人が集中する飲食店,デパート,テーマパークなどの商業施設においては,重要である.商業施設では,感染対策として,施設利用者の入場時,手の消毒,体温計測が行われている.商業施設における体温計測では,一般的に非接触型を用いて行われている.しかしながら,非接触型の体温計は,人体に何らかの制御を行うことが可能であった場合に,発熱のある入場者の発見が困難であり,入場時の手首での体温計測による検温が感染対策をなさないと考えられる. 本研究では,商業施設における入場時の検温においての手首で計測される場合の脆弱性に示すために,手首で計測される体温を制御する手法を提案した. 提案手法は,上腕を冷却することで,血流を冷やし,手首で体温を計測する体温計が検知する赤外線の強さ(エネルギー量)を弱くすることによって,体温を低下させるデバイスの設計,実装を行った.実装したデバイスの冷却装置には,ペルチェ素子を用いた. ペルチェ素子は,小型で軽量.使用時に,騒音や振動もなく,電流の方向を変えるだけで,冷却だけではなく加熱も可能である.また,電流の量に比例した冷却・加熱の両機能を利用すれば,常温付近での制御も可能である. 評価実験では,実装デバイスを用いて,上腕冷却を行い,体温の推移を計測する実験,冷却強度,冷却時間を変更した実験の3種の実験を行い,合計10名の被験者で,9名の被験者の体温を低下させることに成功し,上腕での血流冷却によって,手首で体温を計測する体温計が検知する赤外線の強さ(エネルギー量)を弱くすることが可能であると分かった.冷却された体温は冷却強度,冷却時間と関係なく冷却終了後は維持されづらいこともわかった.

3C-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Title臍装着型圧電センサデバイスを用いた座位姿勢認識手法の提案
Author*山下 雄太郎, 村尾 和哉 (立命館大学)
Pagepp. 491 - 495
Keyword圧力センサ, ウェアラブル, へそ, 行動認識, 座位姿勢
Abstract姿勢認識を行うためにウェアラブルデバイスに関する研究が行われている.本研究では 4 個の圧力 センサを搭載した臍装着型デバイスを装着することで,座位姿勢を識別する手法を提案する.提案手法は 姿勢変化にともなって臍回りの肉の形状が変化し,臍内部の圧力が変化することを利用して座位状態での 上半身の姿勢を認識する.実験では被験者 4 名に対して,基本姿勢,三段階の傾きの猫背,左右の前傾捻 りの計 6 姿勢のデータを採取し,平均 F 値 0.48,精度の悪い 2 姿勢を除いた 4 姿勢では平均 F 値 0.72 と いう結果を得た.また,提案デバイスで最も精度が高い被験者は提案手法で F 値 0.88 が得られた一方で, 加速度センサを 1 個装着した比較手法では F 値 0.59 となり,提案手法の有効性が示された.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
3C-3 (時間: 18:30 - 18:50)
Title外耳道の気圧変化を利用したカナル型イヤホン用タッチ入力インタフェースの設計と実装
Author*村尾 和哉 (立命館大学), 渡邉 拓貴 (北海道大学)
Pagepp. 496 - 500
Keywordウェアラブル, イヤラブル, 入力インタフェース, 気圧
Abstract本研究ではカナル型イヤホンに気圧センサを搭載して外耳道の気圧を計測するデバイスを実装し,イヤホンを指で押して離す操作に伴う外耳道の気圧変化のパターンから3種類の操作方法を区別して認識する手法を提案する.操作方法は,「素早く押して素早く離す」,「素早く押すが素早く離さない(ゆっくり離すか,押したままにしておく)」,「(押した状態から)素早く離す」の3種類である.

3C-4 (時間: 18:50 - 19:10)
TitleYarnkey:導電糸による2次元パターンのタッチセンシングを利用した太股上ウェアラブル入力デバイス
Author*柴田 謙 (William Lyon Mackenzie Collegiate Institute), 鳴海 紘也 (東京大学大学院工学系研究科)
Pagepp. 501 - 506
Keyword入力デバイス, ウェアラブル, タッチセンシング
Abstract近年、時計やメガネ、衣服などを利用したウェアラブルな文字入力デバイスが普及しつつあるが、それらの多くは「いつでも・どこでも」というユビキタスな利用を考えた場合に、姿勢や外見などに関するいくつかの制約を抱えている。本論文では、それらの問題点を解決するため、ウェアラブル入力デバイスYarnkeyを提案する。Yarnkeyはズボンの太股部分に縫い付けられた導電糸により6点のタッチセンシングを行い、英語アルファベットに対応した2次元パターンを認識する。Yarnkeyの利点として、片手の指1本で、着座でも起立状態でも使用でき、目立たず小型軽量で、短時間での学習が可能だという点が挙げられる。 本論文ではまずYarnkeyの実装について述べ、その後、上記の利点を検証するために実施したユーザスタディについて詳述する。


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セッション 3D  サイバーセキュリティと心理学
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 金岡 晃 (東邦大学)

3D-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Title信頼の概念を考慮したAIによる提案の受容予測
Author*中原 英里 (日本電信電話株式会社 コンピュータ&データサイエンス研究所), 石井 方邦 (日本電信電話株式会社 コンピュータ&データサイエンス研究所/慶應義塾大学大学院 理工学研究科), 倉沢 央 (日本電信電話株式会社 コンピュータ&データサイエンス研究所), 大槻 知明 (慶應義塾大学 理工学部 情報工学科)
Pagepp. 507 - 513
Keyword信頼, Explainable AI, 機械学習, 解釈性
Abstract様々な産業分野においてArtificial Intelligence(AI)技術を利用し業務改善を試みた事例が増加している.しかし,AIが導出した業務改善提案を人が必ずしも受容するとは限らず,AI活用の課題となっている.本研究では,職場においてAI利用者がAIの提案を受容するのに,どのような要素が影響しているのかを明らかにすべく,信頼の概念やAIに対する考え方,eXplainable AI(XAI)手法を模した図を用いてAIの提案の説明する場面について聴取する質問紙を作成した.そして,この質問紙を使用し,オンラインにてアンケート調査した.統計分析の結果,同じXAI手法を模した図を用いた場合,AIによる提案と人による提案の受容しやすさの間に違いは無いことがわかった.また,XGBoostを用いてAIの提案の受容を予測する二値分類モデルを作成した.特徴量重要度を確認することで,AI利用者の人への信頼しやすさがAIの提案の受容に影響することがわかった.さらに,AIへのポジティブな認識を問う3つの質問を入力としたモデルで,AIの提案を受容するか否かをROC-AUC = 0.73の精度で予測できた.この結果から,AIにポジティブな認識を持つAI利用者はAIによる提案を受容しやすいことがわかった.これらの検討により,簡易にAIの提案の受容しやすさを予測可能になった.

3D-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Titleコンテナの脆弱性に関するセキュリティ演習環境の構築
Author*西村 拓也 (神戸大学大学院工学研究科), 白石 善明 (神戸大学大学院工学研究科/国際電気通信基礎技術研究所), 小津 喬 (国際電気通信基礎技術研究所), 橋本 真幸 (KDDI総合研究所), 毛利 公美 (近畿大学情報学部), 葛野 弘樹, 森井 昌克 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 514 - 521
Keyword脆弱性, サイバー演習, ハイパーバイザ, コンテナ
Abstractコンテナ型仮想化技術は普及期に入っており,今後さらにコンテナの利用が進むことが予想される.コンテナを導入し安全に運用するためにはコンテナに関するセキュリティの知識を持つ人材の育成が重要となる.コンテナ型仮想化による演習環境でコンテナの脆弱性に関する演習を行う場合,演習システム自体が攻撃対象となるため,支障なく演習システムを運用することが課題である.本論文ではコンテナに関する演習をするためのコンテナとハイパーバイザを併用する演習環境を提案している.また,コンテナのセキュリティを網羅的に学習するための演習シナリオ作成の考え方について示し,演習例を示している.

3D-3 (時間: 18:30 - 18:50)
Title脆弱性自動評価システムの継続運用のための再学習手法
Author*Soohyun Jung (神戸大学大学院工学研究科), 白石 善明 (神戸大学大学院工学研究科/国際電気通信基礎技術研究所), 小津 喬 (国際電気通信基礎技術研究所), 橋本 真幸 (KDDI総合研究所), 毛利 公美 (近畿大学情報学部), 葛野 弘樹, 森井 昌克 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 522 - 528
Keyword脆弱性, 深刻度, 機械学習, コンセプトドリフト
Abstractソフトウェアの脆弱性が個人や会社などに深刻な損失をもたらす危険がある.脆弱性自動評価の研究でこれまで考慮されていなかったコンセプトドリフトに着目し,脆弱性自動評価の機械学習モデルの性能劣化を低減する再学習手法を提案している.コンセプトドリフトとは,データの統計的な特性が時間や外部要因によって変わることを言う.提案手法は,再学習のタイミングをコンセプトドリフト検知に合わせることで,再学習を行わなかった場合に比べ全体的に高い予測精度となることを確認している.

3D-4 (時間: 18:50 - 19:10)
Titleグラフ埋め込みによるEthereumの不正取引アカウント検知
Author*松井 勇太 (神戸大学大学院工学研究科), 白石 善明 (神戸大学大学院工学研究科/国際電気通信基礎技術研究所), 小津 喬 (国際電気通信基礎技術研究所), 橋本 真幸 (KDDI総合研究所), 毛利 公美 (近畿大学情報学部), 葛野 弘樹, 森井 昌克 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 529 - 538
Keyword暗号資産, Node2vec, 2クラス分類
Abstract暗号資産の需要が高まる中で不正取引が増加しており,対策のための早期検知が重要である.本論文では暗号資産の一つのEthereumにおいて,ノードに注目する従来の研究に対して,本研究では取引所でのトランザクションを判定することを目的としている.取引所アカウントと送金または受金をしたアカウントの取引内容を取得し,取引所アカウントを中心としたグラフを作成する.そのグラフをグラフ埋め込みで特徴量ベクトルを作成し,分類器で学習し,正常・不正の2クラスに分類する.2016年から2021年のデータを用いて,2種類の教師なし分類器と9種類の教師あり分類器の計11種類について精度を比較している.


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セッション 3E  ネットワーク・モバイル
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 竹房 あつ子 (国立情報学研究所)

3E-1 (時間: 17:50 - 18:10)
TitleTCP フローのパッシブ計測によるネットワークの状態推定
Author*村山 健太, 岡部 寿男 (京都大学)
Pagepp. 539 - 549
KeywordTCP, パッシブ計測, 機械学習, RTT, Lomb-Scargle
Abstract情報化が急激に発展する現代において、ネットワーク障害を迅速に解決することは非常に重要な意味を持つ。ネットワーク障害は身近に発生し、企業や大学、家庭が管理するネットワークにおいて、ユーザが通信品質の低下を検知した時その原因となるのは管理内ネットワークと外側のネットワークである。管理内ネットワークであれば、直接通信機器の状態を確認することでその原因を推測することができる。一方で外側のネットワークの場合、同様の手法を扱うことができず、管理者にとって原因の特定は困難である。そこで通信機器の状態を観測するのではなく、End-to-Endの通信の状態を観測することでネットワークの状態を推定する研究が行われている。さらにコストを抑えるために中間ノードにおいてパッシブ計測を行うことでネットワークの状態を推定する研究が進められている。本論文では家庭や企業のネットワークを対象とし、上流ネットワークとの接続点でありトラフィック集約点となる通信機器において複数のTCPフローを監視することで上流ネットワークの状態を推定する手法を提案する。単純なモデルにおいて、単一のフローに着目し、ネットワークの状態の分類が可能であることを確認した。またそのためのデータセット作成方法の提案、周波数成分を用いた特徴抽出が有用である可能性を示した。

3E-2 (時間: 18:10 - 18:30)
TitleSNSネットワークの特徴を利用したモバイルクラウドセンシングにおけるワーカ選択法の検討
Author*松下 尚樹, 溝口 貴大, 重野 寛 (慶應義塾大学)
Pagepp. 550 - 556
Keywordモバイルアプリケーション, モバイルクラウドセンシング, ソーシャルネットワーク, クラスタリング
Abstractモバイル・クラウド・センシング(MCS)において,タスク参加者(ワーカ)の採用は重要な研究課題である.ソーシャルネットワークの友人関係を利用し,大規模なワーカを収集ことが注目されている.関連研究SWRMではソーシャルネットワーク上の一部のユーザをシードとして選択し,タスクの実行と宣伝を依頼する.しかし実行するタスクが友人同士で類似している場合,タスクの達成率(カバレッジ)の最大化は難しい.本項ではカバレッジを効率よく向上させるシードを選択するために,ネットワークをクラスタリングし,それぞれのクラスタから友人数が最大となるユーザをシードとして選択するシード選択法を提案する.実際のSNSの友人関係を抽出したネットワークを使用したシミュレーションにより,関連研究の手法よりもタスクのカバレッジが向上することを確認した.


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セッション 3F  感情の共有支援
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 塩澤 秀和 (玉川大学)

3F-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Titleアンチシズルワード:個々人に最適化した飲食情報提供のための飲食物に対する負の感情表現の分析
Author*下津 拓未 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 平林(宮部) 真衣 (東京大学大学院医学系研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 557 - 562
Keyword否定的感情, 飲食物, SNS, シズルワード, アンチシズルワード
Abstract近年では,口コミやグルメサイトは消費者の飲食体験に関する情報提供サービスの一環として広く利用されている.しかし,これらのサービスによる情報提供は,万人に対して必ずしも有益な情報になるとは断定できず,また飲食に関する否定表現 (アンチシズルワード) に着目した分析は今までにされてこなかった.本研究では,飲食物に関するテキストにおけるアンチシズルワードに着目することで,消費者の嗜好を考慮した情報提供のための否定的感情表現を取得できると仮定し,ツイートデータと口コミデータを対象として分析を行った. アンチシズルワードの傾向を調査した結果,飲食における否定表現であるアンチシズルワードが肯定的な意見としても使用されていたことが判明した.また,評価が低い飲食物に関するレビューデータを分析した結果,否定的感情が含まれている可能性が高い口コミデータにおいては,「情報系」のアンチシズルワードが十分抽出できたが,「味覚系」「食感系」のアンチシズルワードはあまり抽出されなかった.抽出した結果から,「情報系」においては口コミデータを,「味覚系」「食感系」においてはツイートデータを使用することで適切なアンチシズルワードの抽出が可能であると考えられる.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
3F-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Title感謝日記における反すう支援手法の提案
Author*村田 直己 (大阪工業大学), 蔵永 瞳 (滋賀大学), 福島 拓 (大阪工業大学)
Pagepp. 563 - 569
Keyword感謝日記, 反すう, 幸福感
Abstract感謝日記は,日々の生活中で感謝したことを日記形式で記述するものである.感謝日記の記述により,幸福感が高まることが示唆されている.また,感謝の出来事を反すうすることによっても幸福感が高まることが示唆されている.そこで,本研究では感謝日記の記述システムにおいて,日記の内容についての反すうを支援する手法の提案,構築を行った.本稿の貢献は次の2 点である.(1) 反すう支援機能により,日記の記述のみの場合よりも,より幸福感が増加する可能性を示した.(2) 反すう支援機能により,日記中に記載した出来事について,思い浮かべやすいと評価された.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
3F-3 (時間: 18:30 - 18:50)
Title対話型エージェントのユーモア表現に適した韻律的特徴の調査
Author*得田 舜介 (日本大学文理学部), 呉 健朗, 大西 俊輝 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 大串 旭, 宮田 章裕 (日本大学文理学部)
Pagepp. 570 - 575
Keyword対話型エージェント, ユーモア, 韻律的特徴
Abstract我々は,ユーザの発言中の単語を,その単語から発音が近く,意味が遠く,認知度が高い単語に聞き間違えるボケをするエージェントを提案してきた.しかし,先行研究ではユーモア発言の言語的特徴にのみ焦点をあてており,非言語的特徴については扱ってこなかった.そこで,本稿ではエージェントによるユーモア発言の非言語的特徴に焦点をあて,特にユーモア表現に適した韻律的特徴に注目する.対話型エージェントの音声の速さ・高さを変化させる対照実験を行うことで,どのような韻律的特徴をもつ音声がユーモア表現に適しているかを明らかにする.対照実験の結果,通常より高い音声が対話型エージェントのユーモア表現に適している可能性があることが分かった.

優秀論文賞 / Paper Awards
3F-4 (時間: 18:50 - 19:10)
Titleマルチモーダル情報に基づく褒める行為の判定の基礎検討
Author*田原 陽平 (日本大学文理学部), 大西 俊輝, 大串 旭 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 石井 亮, 深山 篤, 中村 高雄 (日本電信電話株式会社 NTT 人間情報研究所), 宮田 章裕 (日本大学文理学部)
Pagepp. 576 - 581
Keyword機械学習, 褒める, コミュニケーション, マルチモーダルモーダルインタラクション
Abstract褒める行為は重要なコミュニケーションのひとつであり,グループや組織において重要な役割を果 たすと考えられている.しかし,褒め方の上手さを向上させるためには,どのような振舞いに着目すれば よいかわからないという問題がある.これまで我々は,上手く褒めるためにはどのような振舞いが重要で あるのか明らかにする取り組みを行ってきた.先行研究では,褒めていることを前提として振舞いの分析 を行っており,褒めるときと褒めていないときの振舞いの違いや褒める行為特有の振舞いを明らかにする ことはできていない.そこで本研究では,褒めるときと褒めていないときの振舞いの違いや褒める行為特 有の振舞いを明らかにする取り組みを行う.本稿では,取り組みの初期検討として,人間の振舞いと褒め る行為の判定値が含まれている対話コーパスを用いて,褒める行為を検出することができるか明らかにす る.これにより,褒めるときと褒めていないときの振舞いの違いや褒める行為特有の振舞いを定量的に判 断できるようになると考えられる.取り組みの結果,視覚,音声,言語に関する特徴量を用いることで褒 める行為の検出ができることが明らかになった.さらに,音声に関する情報が褒める行為を検出する上で 重要な特徴量であることがわかった.


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セッション 3G  環境・行動情報取得
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: ロペズ ギヨーム (青山学院大学)

3G-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Title親子双方のエンゲージメントを考慮したスマホ依存改善支援アプリ
Author*前田 天童, 長谷川 達人, 今別府 万大, 濱崎 大輔, 水野 真 (福井大学知識社会基礎工学専攻情報工学コース), 横光 健吾 (川崎医療福祉大学医療福祉学部)
Pagepp. 582 - 589
Keywordスマートフォン, スマホ依存, SAS-SV-J
Abstractスマートフォン (スマホ) の普及率の増加と共に,スマホの使用がやめられないスマホ依存が社会問題となっている.本研究では,子が自発的にスマホ依存に取り組む環境の構築として,スマホの使用を点数化して自動で評価するアプリ (スマートユーズ) を開発し,実環境で評価実験を行った.スマートユーズは親子でインストールして初期登録を行うだけで,自動でログの収集とスコア算出を行う.そのため,子の使用履歴を親が直接閲覧することを防ぎ,既存のスマホ依存改善アプリと比べプライバシーに配慮しながらスマホ利用に対する指導を行える利点がある.スマートユーズの特色としてスコアに応じたお小遣いボーナスを親に提案する仕組みがある.子はボーナスをモチベーションにスマホ利用の改善に努め,親はボーナスを理由に子にスマートユーズを勧めることができ,親子のエンゲージメントを良好に保ったままの運用が可能である.また,スコアは親子でお互いに確認可能であり,親には子のスコアを確認するとともに,自身のスマホ利用も見直してもらうことを期待している.実験はスマホを 1 日に 1 時間以上使用する親子を対象にランダム化比較試験 (RCT) を行う.スマートユーズを利用した組 (介入群) と利用していない組 (統制群) とに分け,スマホの使用ログ収集とスマホ依存スケール (SAS-SV-J) の調査を行う.実験の結果,介入群ではスマホ使用時間に改善の傾向が見られ,子は約 50 分使用時間が減少した.SAS-SV-Jスコアには全体として悪化の傾向があったが,介入群の子のみ現状維持にとどまった.

3G-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Title高齢者の介護予防行動を決定する要因に関する研究
Author*早川 昭二, 前田 一穂, 宮本 晶規, 田口 哲典, 上村 拓也, 烏谷 彰, 渡辺 一郎 (富士通/富士通研究所), 神田 真司 (富士通/富士通研究所(現東京大学))
Pagepp. 590 - 594
Keyword構造方程式, ロジスティック回帰, 行動要因, 介護予防行動, アンケート
Abstract高齢者宅に訪問し、健康推進事業への参加や介護予防行動へと高齢者を促す保健師や社会福祉士を支援する技術により、住民の健康寿命延伸へ寄与することを目指している。その実現のため、まず高齢者が介護予防に対する行動状態を決定する要因(行動要因)を仮定した。そして、要因の定量化のため、高齢者の負担を考慮し、高齢者宅への訪問業務において集められる健康面・生活面の状況を聞き取るアンケート項目の中から、要因への関連が想定されるアンケート項目と関連づけた。そして、定量化した行動要因がどの程度高齢者の行動状態に影響を与えているかを分析することで、仮定した行動要因の妥当性を検証した。ある自治体で実施された訪問業務において収集された実際のアンケート結果を用いた実験の結果、「自己効力感」「モチベーション」「身体的能力」が高齢者の行動状態を決める要因になっていることを確認した。

3G-3 (時間: 18:30 - 18:50)
TitleWeb を介した「心不全患者のこころと眠りの支援プログラム」 のための睡眠データ収集システムの構築
Author*田久保 美千代 (慶應義塾大学 看護医療学部), 佐藤 雅明 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 福田 紀子 (慶應義塾大学 看護医療学部), 久保 美紀 (昭和大学 保健医療学部), 野末 聖香 (慶應義塾大学 看護医療学部)
Pagepp. 595 - 599
Keyword睡眠, 遠隔看護, 生体センサ, ユビキタスヘルスケア, Internet of Things
Abstract心不全患者にとって,睡眠や精神状態のセルフコントロールは重要であり,外来通院中の患者に対する遠隔看護の有用性も示されているが,遠隔による睡眠とこころの健康に対する支援方法は具体化されていない.睡眠改善には,睡眠日誌を記載して睡眠状態を評価することが有用とされているが,日誌記載の負担と正確性の点で課題がある.生体センサを用いた睡眠データの収集という手法もあるが,睡眠を測定する生体センサは装着時のストレスやデータ蓄積機能の有無が課題であった.そこで本研究では,「心不全患者のこころと眠りの支援プログラム」の開発に向け,ベッドマットレス型の睡眠センサを用いた睡眠データ取得手法を検討し,睡眠データ収集システムの構築を試みた.また,健康な成人5名を対象に睡眠データの収集・集約を試行し実施可能性を確認すると共に,睡眠データの可視化をおこなった.睡眠センサの安全性に問題は認められず設置が簡便で,対象者にとっては少ない負担で睡眠データから睡眠日誌を作成できた.この結果から,睡眠の支援に必要な睡眠データを収集し可視化するシステムの有用性を考察した.

3G-4 (時間: 18:50 - 19:10)
TitleA Study on 3D Gaze Recognition from the Environment Side by Multiple Optical Sensors
Author*Bin Chen, 中村 優吾, 荒川 豊 (九州大学)
Pagepp. 600 - 605
KeywordGaze Recognition, Multi-information Fusion, Salient Object Detection
AbstractThere is a high demand for information on what people are looking for when shopping and making decisions. Although wearable eye tracking devices can provide good gaze estimation results, it is not practical to ask customers to wear a wearable type in the store. Therefore, we proposed a general, accurate pipeline for tracking the gaze of people in the 3D space by integrating several different optical sensors on the environment side. The accuracy of the system is comparable to wearable devices so that we successfully distinguished test points that are only 30cm apart on the shelf. The pipeline also can be used to restore the purchase process and applied to a variety of tasks by updating those separated parts.


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セッション 3H  移動体・位置情報システム
日時: 2022年7月13日(水) 17:50 - 19:10
座長: 清原 良三 (神奈川工科大学)

優秀論文賞 / Paper Awards
3H-1 (時間: 17:50 - 18:10)
Titleデータ駆動型人流シミュレーションのモデル汎化手法の検討
Author*北野 佑, 半田 岳志 ((株)日立製作所 研究開発グループ)
Pagepp. 606 - 613
Keyword人流シミュレーション, モデル汎化, 経路探索, 深層学習, 動線データ
Abstract公共施設や商業施設,工場・倉庫における人や物の動きに関するデータ(動線データ) の分析・利活用が近年注目されている.施設運用の効率化につながる施策検討において,施策効果を事前に定量評価するには,人流シミュレーションが有用だが,モデル学習に用いる動線データのレイアウトとシミュレーション時のレイアウトが大きく異なる際に従来手法の精度が低いという問題があった.この問題に対処するため,本研究では人流シミュレーションのモデル汎化手法を提案する.経路探索による学習データ拡張と,距離特徴量の1 次元CNN による深層学習モデルにもとづく人流シミュレーション手法を提案し,某空港を対象としたシミュレーション精度評価を行ったところ,人密度ヒートマップに関して平均絶対誤差が10%改善することを確認した.本手法によって得られたシミュレーションデータを統計分析することで,施策効果を定量評価することができる.

3H-2 (時間: 18:10 - 18:30)
Title行列を考慮したデータ駆動型人流シミュレーション
Author*半田 岳志, 北野 佑 ((株)日立製作所 研究開発グループ)
Pagepp. 614 - 621
Keyword人流シミュレーション, 動線データ, グリッド特徴量, 機械学習, 畳み込みニューラルネットワーク
Abstract公共施設や商業施設,工場・倉庫における人や物の動きに関するデータ(動線データ) の分析・利活用が近年注目されている.本研究では,上記のような施設の効率運用に向けた施策検討において施設内の行列に関する事前評価を可能とする行列を考慮したデータ駆動型人流シミュレーション手法を提案する.再帰的滞留判定に基づく行列認識により,動線データから移動状態と行列状態のデータを判別し,それぞれの状態に応じて次ステップの歩行速度を予測する手法を提案する.また,行列が形成されることが多い蛇腹状通路のシミュレーション精度向上に向け,従来手法では未活用であったオクルージョン領域の情報を捉えた新たな特徴量としてグリッド特徴量を算出し,Convolutional Neural Networkベースで生成した予測モデルを用いて人流シミュレーションを行う手法を提案する.空港の保安検査場を模擬した動線データを用いた実験を通し,蛇腹状通路を迷わず歩行した人の割合が92.6%(従来比+66.7%)と蛇腹状通路のシミュレーション精度の大幅な向上を実現した.また,人毎のサービス待ち時間については,誤差率4.4%の精度でシミュレーション可能であり,行列に関する施策効果の定量評価について実用に資する精度が得られることを確認した.

3H-3 (時間: 18:30 - 18:50)
TitleA Modeling of Road-Side Unit (RSU) Deployment for Efficient WiFi Offloading in Urban Areas
Author*Nada Mohammed Nour, Tomoya Kitani (Graduate school of Integrated Science and Technology, Shizuoka University)
Pagepp. 622 - 626
KeywordRoad-Side Unit (RSU) Deployment, Wi-Fi offloading, vehicular networks, V2X, V2I
AbstractWi-Fi offloading has been proposed to mitigate the data explosion resulting from increased vehicular application and services—Wi-Fi offloading means using Wi-Fi to offload the data initially targeted for cellular networks. In the C-V2X vehicle network, Wi-Fi can be delivered using the Road-Side Units (RSU) as Access Point (AP). The main concern is how many RSU -Wi-Fi APs- are needed to deliver the services for the more significant number of users without exceeding the communication delay demand and ensuring the users' satisfaction. Therefore, this paper wants to investigate the minimum required number of RSU for efficient Wi-Fi offloading in urban areas using the Minimum weighted vertex cover Algorithm. First, we find the graph representation of the target city map, then apply an MWVC algorithm solver to find the RSU Deployment. We will use both network and traffic simulators.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
3H-4 (時間: 18:50 - 19:10)
Title角度情報を用いたBLE測位の高精度化に関する検討
Author*山見 悠人, 湯 素華 (電気通信大学 情報・ネットワーク工学専攻)
Pagepp. 627 - 633
KeywordBLE測位, 電波到来角度
Abstract近年,様々なモノやセンサーは,省電力で扱えるBluetooth Low Energy(BLE)を利用して位置を推定することが一般的になってきている.高精度測位を行うために角度情報の併用が考えられるが,Bluetooth5.1に標準化された信号の方位計測機能を利用した測位については,まだ細かく検討されていない.角度情報を利用するためには,BLEの送受信機に複数のアンテナを搭載し,アンテナ間の位相差を求めなければならない.しかし,コストを抑えるために,BLE受信機には複数のアンテナに対して受信モジュールが1つしかなく,複数のアンテナからの信号を同時に受信できない.この問題を解決するために,無変調のConstant Tone Extension (CTE)を通常の信号パケットの後続に追加することで,アンテナを切り替えてそれぞれの位相を取得可能にした.本論文では,BLE機器において角度情報を取得する際に必要不可欠な信号の位相差とCTEに関して,位相差は線形回帰を用いることで角度の算出又は誤差の校正を検討し,CTEの長さ,スロット時間,書き込み時間,アンテナ数などの様々なパラメータを変更することで精度の比較を行う.また,MUSIC法を用いた角度推定についても検討する.実験によって,最適なパラメータ選択において,角度測定誤差を5.7°まで,平均水平測位誤差を25cm程度に抑えることを確認できた.



2022年7月14日(木)

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セッション 4A  統一セッション:新たなユーザインタフェースへの挑戦
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 義久 智樹 (大阪大学)

4A-1 (時間: 9:00 - 9:40)
Title(招待講演) 対話的クリエイティブAI
Author五十嵐 健夫 (東京大学)
Pagep. 634

4A-2 (時間: 9:40 - 10:00)
Title災害ボランティア支援のためのアプリケーションの設計と実装
Author*関口 穂波 (お茶の水女子大学), 高井 峰生 (大阪大学/UCLA), 大和田 泰伯 (情報通信研究機構), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 635 - 640
Keyword災害支援, ボランティア, アプリケーション
Abstract近年, 日本各地で地震や台風, 大雨による洪水によって多くの事前災害が発生している. このような自然災害によって被災した地域では, 復旧・復興のために多くがボランティアの助けを必要としている. 1995年の阪神・淡路大震災以降多くの希望者が被災地へボランティア活動のために訪れている. しかし多くのボランティアが訪れることによって逆に混乱が生じたため, 災害ボランティアのネットワークを整え, 災害ボランティアの受付, 指示を行う災害ボランティアセンターの設置が行われた. 災害ボランティアセンターでは被災者からのニーズの受け取り, 各地から訪れるボランティアの受付を行い, ボランティアとニーズとのマッチングをおこなっている. 現状の災害ボランティアセンターではこれらの作業はほぼ手作業で行われており, 多くの人手と時間がかかっている. そのため, 本研究では災害ボランティアセンターで扱っている情報を電子化することで, これまで紙ベースの手作業で時間のかかっていたマッチング作業を短縮でき, それが被災地へのより多くの支援につながると考え, アプリケーションの設計, 実装を行なった.

4A-3 (時間: 10:00 - 10:20)
Title360度インターネット生放送におけるMRを用いた視聴者POV提示手法の提案
Author*齊藤 義仰, 平野 雄哉 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 641 - 647
Keyword360度インターネット生放送, Mixed Reality
Abstract本研究では,MR(Mixed Reality)を用いて視聴者のPOVを可視化し,直感的にPOVを把握可能にする手法を提案する.提案手法では,視聴者が視聴している方向にマーカを表示させることで,コミュニケーションエラーを減らす.また,MRデバイスを用いて,視聴者のPOVを示すマーカを現実空間上に重畳表示することにより,応答までにかかる時間を短くする効果が期待できる.実装したプロトタイプシステムを用いて評価実験を行った.その結果,MRによるPOVマーカの提示により,応答時間の減少が確認され,対象物の素早い発見が可能になり,放送者の負担を軽減できることがわかった.

4A-4 (時間: 10:20 - 10:40)
Titleパン発酵モニタシステムの開発
Author*佐藤 証 (電気通信大学/情報理工学研究科)
Pagepp. 648 - 654
Keyword発酵, センサ, IoT, 電子回路
Abstractフランスパンの代表である気泡が多数開いた本格的なバゲットを家庭で焼くことを目的に,各種センサを導入した醗酵モニタシステムを開発した.モニタ装置に実装したWi-Fi機能を有したマイコンは,パン生地の発酵中に発生するアルコールと二酸化炭素の濃度や,レーザー距離センサで測定した生地のふくらみ等のデータをRaspberry Piサーバに送信し,ユーザはそれらをスマートフォン等でモニタすることができる.温度や時間,材料の配合比の変化の醗酵への影響を調べると共に,焼き上がりの違いを比較した.距離センサのデータから生地のふくらみがピークを迎える最適な醗酵時間が把握でき,またアルコールと二酸化炭素濃度からイーストの活動が弱まるとされる低温時でも時間が経過すると,常温を越える活発な醗酵が行われていることも明らかとなった.


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セッション 4B  応用システム
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 是津 耕司 (情報通信研究機構)

4B-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title通信トラヒック分析による複数のIoTデバイスにおける機能推定手法の評価
Author*服部 祐一 (九州工業大学大学院生命体工学研究科), 荒川 豊 (九州大学大学院システム情報科学研究院), 井上 創造 (九州工業大学大学院生命体工学研究科)
Pagepp. 655 - 661
KeywordIoT, 通信解析, スマートホーム
Abstract近年,一般家庭にもIoTデバイスが普及し,リモコンや照明,ドアロック,コンセントなど様々な機能を持つIoTデバイスが販売され,様々な場面で活用されている.現在のIoTデバイスは動作がブラックボックスであり,IoTデバイスがユーザの意図しない通信を行っていた場合に気づく術がない.そこで,我々は IoTデバイスがどのような通信を行っているかを検知し,それをもとに適切な通信のみ許可することができるアクセス制御の機能とIoTデバイスがどのような通信を行っているか可視化することでユーザがIoTデバイスの動作状況を理解することを可能にする機能を持つシステム(IoT 活動量計)の実現を目指している.その実現のため,本研究では,IoT デバイスの通信トラヒックを分析し,どの機能が使われているかを推定する手法を提案し,4種別のIoTデバイス各2機種ずつの計8機種の8種類の機能の通信トラヒックを収集し,分類を行った.その結果,デバイスの機種と実行した機能の組み合わせの16通りで分類した場合,88の%精度で機能を推定できることを確認した.また,実行した機能のみの8通りで分類した場合,69%の精度で機能を推定できることを確認した.

4B-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title屋内空間でのロボット配送システムにおける効率的な運用方法
Author*瀧上 昂希, 福島 悠人, 浅井 悠佑, 浦野 健太 (名古屋大学大学院工学研究科), 青木 俊介 (国立情報学研究所), 米澤 拓郎 (名古屋大学大学院工学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科、名古屋大学未来社会創造機構)
Pagepp. 662 - 670
Keyword配送システム, シミュレーション, ロボット・エレベータ連携, マルチロボットシステム
Abstract自律移動ロボットの進歩に伴い,屋外・屋内環境でのロボット利用が拡大している.特に現在の電子商取引の増加を考慮に入れると,物流倉庫のような屋内空間での自律移動ロボットによる配送システム構築は重要な課題として存在する.屋外空間と比較したときの屋内空間の特徴としては,限定的な空間,階層的な建物構造,エレベータのような建物機構の存在が挙げられる.これらの特徴により,物流倉庫で効率的な配送システムを構築するには,空間の活用の仕方や,フロア状況を考慮したロボットへの配送タスク割り振り,エレベータを利用した荷物やロボットの階層移動のタイミングなど,複雑な相互作用を及ぼし合う複数の要素を考慮する必要がある.これら要素の変化によって配送効率が受ける影響は建物条件ごとに異なることが予測されるが,実空間の複数の建物でそれらを検証することは手間とコストがかかり困難である.そこで本研究では,建物の動的な生成と,その建物での移動ロボットとエレベータを利用した配送タスクを行うマルチエージェントシミュレータを開発し,配送システム運用におけるいくつかの条件を変更したときに,配送効率やロボット・エレベータの稼働状況がどの程度変化するのかを定量的に評価した.

4B-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Titleボルト締結力遠隔可視化アプリケーションの開発と評価
Author*菅原 光, Michail Sidorov, 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 671 - 677
Keywordモニタリング, センシング, アプリケーション
Abstract構造物の状態管理のために,センサと通信機器を組み合わせたセンサノードを用いた構造物ヘルスモニタリングの取り組みがおこなわれている.モニタリングの対象によっては大量のセンサノードを扱う必要が生じる.しかし,既存のシステムではそのような状況について十分に考慮されていない場合が多い.そこで本研究では,ボルトに設置したセンサノードを管理・可視化するアプリケーションとして「TenSpect」を開発した.TenSpectではセンサノードを設置した位置単位で表示するリスト機能,測定データを可視化するグラフ機能,構造物上での設置位置を示す3Dモデル機能を実装した.TenSpectについて,8人のユーザーにアンケートベースでタスクを実行してもらい,リスト機能や3Dモデル機能の有効性を評価した.結果として,多数のセンサノードが存在する状況において,個人差はあるものの設置位置をもとにした管理が有効に機能することが示唆された.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
4B-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Titleテンプレート画像とコンテキスト情報を用いた観光地の現況画像の自動生成法の提案
Author*河中 昌樹 (奈良先端科学技術大学院大学), 中村 優吾 (九州大学), 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所)
Pagepp. 678 - 685
Keyword画像生成, スタイル変換, 観光
Abstractスマートフォンを用いて観光地の情報を提供する観光支援システムが多く提案されているが,これらのシステムの多くは,観光地の最新の状況(現況)を提供できていない.リアルタイムに観光地の情報を取得するために,観光している人に観光地の現在の写真を共有してもらう方法があるが,提供者のプライバシー情報が漏洩するリスクが伴う.そこで我々は,ユーザが撮影した写真を直接共有するのではく,オブジェクト認識モデルを写真に適用して取得可能な観光地のコンテキスト情報(天気や混雑,動植物などのオブジェクト等)のみを共有するというアプローチを検討している.本研究では,観光地の最新のコンテキスト情報が共有されるという前提のもと,観光地のテンプレート画像とコンテキスト情報から観光地の現況画像を自動生成する手法を提案する.提案手法は,テンプレート画像にセマンティックセグメンテーションを適用し,各セグメントごとにコンテキスト情報を考慮して画像変換を行うことで,観光地の現況画像の自動生成を行う.評価実験より,提案手法により生成された画像は観光地の現況をユーザに適切に伝えることが可能であることが示された.

4B-5 (時間: 10:20 - 10:40)
Title大学生活におけるリスクマネジメントマインドセット教育の設計と評価
Author*前川 碧井 (情報経営イノベーション専門職大学), 山内 正人 (情報経営イノベーション専門職大学/慶應義塾大学)
Pagepp. 686 - 692
Keywordリスクマネジメント, マインドセット教育, 大学生活
Abstract2019年4月、従来の総合大学と専門職を育てる大学を合わせた大学である専門職大学・専門職短期大学が創設された。卒業要件単位の約3分の1以上は実習・実技でなければいけないため、学生は1年次から実習・実技の講義を受けるなど高校生までと違い、自分で状況判断をする機会が増える。そのため、早いうちからリスクマネジメントをできるようにする教材があるが、事前にマインドセットを目的とした設計がされていないことが分かった。 そこで、リスクマネジメントができるようになるための設計をした。受講者が個々のリスクに対する対応策を学ぶ前のマインドセットが目的である。また、自分事で考えられるように身近に起こりやすいリスクを網羅的に学ぶが、受講者全員がリスクマネジメントのプロセスを体験することが重要である。 情報経営イノベーション専門職大学の新入生を対象に、今回はリスクマネジメントに着目した教材である「お手伝い株式会社」を用いて、大学生活におけるリスクマネジメントマインドセットのワークショップを実施した。ワークショップの前後でアンケートを実施し、受講者の意識がどのように変化したか調査した結果、特に自分でリスク回避行動ができていないと感じている受講者に対して、リスクマネジメントの意識向上を確認した。


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セッション 4C  コミュニケーション・会議支援
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 中澤 仁 (慶應義塾大学)

4C-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Titleオンライン複数人会話における参加者の理解度の推定
Author*酒造 正樹, 高木 章裕 (東京電機大学), 湯浅 将英 (湘南工科大学), 酒井 元気 (日本大学)
Pagepp. 693 - 696
Keywordオンラインミーティング, 理解度推定, 感情推定, グループディスカッション
Abstractオンライン上の複数人会話において,映像表示領域の制約から参加者の反応として,他者がどの程度の理解を得ているのか,またどのように感じているのかなどを把握することが対面の場合に比べて困難である. 本論文では相手の画像情報から得られる非言語情報をもとに理解度の推定方法について検討を行った. OpenFaceを用いて頭部の運動情報,視線,表情の特徴量を抽出し,random forestモデルによる推定結果を交差検証法(leave-one-session-out法)により確認した.

4C-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Titleオンラインミーティング参加者の感情推定における機械学習モデルと客観的評価との比較
Author*鳥羽 望海 (奈良先端科学技術大学院大学), 藤本 まなと (大阪公立大学), 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所), 酒井 元気 (日本大学), 酒造 正樹 (東京電機大学), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 697 - 704
Keywordオンラインミーティング, 感情推定, グループディスカッション
Abstract労働者の心理状態を表すWork Engagementを知ることで,上司や産業医は労働者の好不調を事前に把握することができ,結果的に健全な組織運営を実現することができる.一方,昨今のCOVID-19の影響で,労働者がテレワークが取り入れられるようになり,上司や産業医にとってテレワーク中の労働者の心理状態は把握しにくい.我々は費用と労力,感染リスクを減らせるメリットがあるオンラインミーティングサービスに着目し,オンラインミーティングで得られる動画や音声などのマルチモーダルデータを用いて労働者の感情を推定する手法を検討する.オンラインミーティングサービスを用いてグループディスカッションを参加者にしてもらい,そこから映像,心拍など様々なデータをセンシングして参加者の状態を推定する.グループディスカッション中の参加者の発言録から得られた感情極性,顔のランドマーク座標,心拍,他者に対する感情アノテーションの4種類の指標から,他者への感情アノテーションを推定するためにLight GBM (Gradient Boosting Machine),SVR (Support Vector Regression),我々自身による客観的評価を行った結果,MAEに関して機械学習モデルであるLight GBM,SVRのほうが客観的評価よりも6つのセッションのうち5つのセッションで良い結果を出力することがわかった.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
4C-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title発話を先読みしマイクミュート制御をするマルチモーダル発話検知技術
Author*山田 仰, 瀧上 順也, 仲 信彦, 吉村 健, 太田 賢 (NTTドコモ)
Pagepp. 705 - 709
Keywordマルチモーダル, ミュート制御, オンラインコミュニケーション, 発話検知, 音声制御
Abstract本研究では,音声通話における自動マイクミュート制御のために,従来技術を用いた場合の2つの課題である,話頭切れと周囲雑音の誤検知を防止するため,口唇の変動に基づき発話開始を先読みしてマイクを有効化し,口唇の変動と音声信号に基づき非発話中と推定されたときにマイクを無効化するミュート制御手法を提案する. また本研究では,共話を行っているオンラインコミュニケーションの収録動画を用いて提案技術の評価を行い,収録動画の全発話の内の99.1%の発話を話頭切れを含む発話区間の欠損無く検出でき,共話のユースケースでも十分に実用性があることを示す.

4C-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Titleオンラインミーティングにおける参加者の視線解析による画面配置推定手法
Author*大沢 健太, 土田 修平, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 710 - 718
Keyword電子会議, 行動認識, 学習支援
Abstract新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,これまで対面形式で実施されてきた学校・学会等でのプレゼンテーションがオンライン形式に移行している.オンラインプレゼンテーションには感染リスクの低下,移動時間の削減といったさまざまなメリットがあるが,発表者が視聴者の行動を読み取ることが難しいという問題がある.この問題の解決案として,視聴者の視線を測定することにより,視聴者の集中度を推定する研究が近年数多く行われている.しかし,これらの研究の多くは視聴者側が視線計測のためのツールを用意しなければならず手間がかかる.そこで本研究では,オンラインプレゼンテーションにおける発表者側の環境から取得可能である視聴者の視線情報を用いて,視聴者のさまざまな行動を推定することを目指す.本稿ではその第一歩として,視聴者側のPC上の画面内配置を推定するシステムを提案する.システム設計のため,視聴者の視線情報から視聴者のPCのディスプレイ上の視点座標を推定し,その推定結果から視聴者側のディスプレイ上のウィンドウ配置を推定する実験を行った.実験結果から,視聴者のPC上の画面配置の推定精度が低く,視聴者の視線情報から視聴者のPCのディスプレイ上の視点座標を推定する際の推定精度に改善の余地があることがわかった.


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セッション 4D  暗号
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 須賀 祐治 (IIJ)

4D-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title完全準同型暗号を用いた秘匿データマイニングにおける低レイテンシ SSD の検討
Author*廣江 彩乃 (お茶の水女子大学), 圓戸 辰郎 (キオクシア株式会社), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 719 - 725
Keyword完全準同型暗号, SSD, セキュリティ
Abstract本研究では,高性能 SSD を活用することで完全準同型暗号アプリケーション実行時における演算時間の課題に対する取り組みについて論じる. 完全準同型暗号を用いると暗号文同士の演算が可能となるため,個人情報を含むビッグデータの演算をクラウドに委託して実行する際のデータ漏洩リスクを低減できる. しかし実行には膨大なメインメモリを必要とし,処理時間がかかる. そのためストレージの観点からこの課題に取り組むことが一つの有効な手段であると考えられる. 本研究ではストレージ IO が比較的多い秘 匿データマイニングアプリケーションについて低レイテンシSSD を用いた性能評価を行う. 今回行う実験では,完全準同型暗号アプリケーションを実行する際に使用する帯域幅と swap 領域に用いる記憶装置の関係に注目する.

4D-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title完全準同型暗号を用いたゲノム秘匿情報検索におけるHElibライブラリの性能評価
Author*辻 有紗 (お茶の水女子大学), 圓戸 辰郎 (キオクシア), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 726 - 734
Keyword完全準同型暗号, bootstrap, HElib
Abstract近年クラウド上でのビックデータ解析に向けて完全準同型暗号(以下:FHE) を用いた秘密計算技術の実用化に向けた研究が盛んに行われている.FHE の課題として,暗号化やbootstrap 処理などにより時間空間計算量が膨れ上がることが挙げられる.空間計算量については,従来,DRAM を多く使用するためクラウドが活用されるが, 1台のリソースを分け合うことにより使用効率は低い値に止まる. そこで,本研究では,ゲノム秘匿情報検索アプリケーションを対象として,HElib ライブラリ使用時の性能を評価する.HElib ライブラリの実装がゲノム秘匿検索の処理内容に適しているか,メモリ使用量やCPU 使用率,SSDなどの異なるハードウェアによる効率化の可能性などの点から調査を行った.初めに,(並列性やボトルネックとなる処理など) ゲノム秘匿検索の特徴を評価する.続いて,HElib ライブラリがアプリケーション内部行っている処理内容と,その時間空間計算量への影響を評価する.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
最優秀論文賞 / Best Paper Awards
4D-3 (時間: 9:40 - 10:00)
TitleTopswopsの物理的ゼロ知識証明プロトコル
Author*駒野 雄一 (東芝), 水木 敬明 (東北大学)
Pagepp. 735 - 742
KeywordTopswops, ゼロ知識証明
Abstract1からNまでの数字がそれぞれ書かれたN枚のカードがランダムな順番で並べられているとする。このカード列の先頭のカードの数字に着目し、その数字の枚数分のカードを先頭から取り出し、その部分列の並びを反転させ、元の列に戻す。この操作を先頭のカードの数字が1になるまで繰り返す遊びをTopswopsと言う。N枚のカード列を入力としてTopswopsが終了するまでの最長手数をf(N)で表すとき、f(N)を計算する問題、あるいは、手数がkとなるN枚の初期列を求める問題に関しては、一般的な解法は知られていない。 本稿では、Topswopsの手数がkとなるN枚の初期列を知るユーザ(証明者)が、その知識を漏らすことなく初期列を知っている事実を別のユーザ(検証者)に示す物理的ゼロ知識証明プロトコルを提案する。

4D-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title秘密計算上での高速畳み込み及び音声フィルタへの応用
Author*須藤 弘貴 (NTT社会情報研究所), 吉田 光樹 (東京大学 情報理工学系研究科)
Pagepp. 743 - 747
Keyword秘密計算, 畳み込み, 音声処理
Abstract近年,データ分析に対する需要が高まる一方で,プライバシーや機密情報漏洩のリスクも強く意識されるようになってきている. このような背景から,秘密計算による機械学習技術が盛んに研究されている. 多くの研究では機械学習アルゴリズムの秘密計算上での実現に着目しているが, 実際のデータ分析では分析のためにデータを加工する,前処理と呼ばれる工程が必要となる. そのため,実用化に向けては秘密計算上で前処理を実現することも重要になる. 本研究では,秘密計算上での高速畳み込み及び,音声フィルタへの応用を提案する. 音声では画像に比べフィルタサイズが大きいケースが典型的であるため,特に高速化が重要となる. (画像: フィルタサイズ数十~数百程度; 音声: フィルタサイズ数万) しかし,これまで,高速畳み込みアルゴリズムは秘密計算上では実現されていなかった. また,一般的な高速畳み込みアルゴリズムは実数演算が必要などの理由から,秘密計算上での効率的な実現が難しい. そこで,提案手法ではNMNTと呼ばれる手法を用いて秘密計算上での高速畳み込み演算を効率的に実現する. 本稿では定義式をそのまま計算する愚直法と提案手法との性能比較も報告する, 提案手法は愚直法に比べ30倍以上の高速化を達成したことを確認した.


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セッション 4E  感情変容
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 中村 優吾 (九州大学)

4E-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title能動的な行為を受動的な行為に見せかけることによる受容性の変化を用いた周囲の人の不快感の軽減手法
Author*田中 智也, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 748 - 756
Keyword行動変容
Abstract私たちが日常生活でとる行為は多様であり,それぞれ社会的受容性は異なる.多様な行為の中でも貧乏ゆすりや力強いタイピングといった無意識な不快行為は,他人への直接的な害は小さいが,一部の不快と感じる人の意見が強くなる傾向があり,禁止・矯正されることが多い.そこで本論文では,無意識な不快行為を,その行為者が「自発的にしている能動的な行為」ではなく,「物や環境によって強いられている受動的な行為」に見せかけることで周囲が納得するような情報の提示を行うことで周囲の人の不快感を軽減する手法を提案する.無意識な不快行為の一例として貧乏ゆすりに注目し,貧乏ゆすりを受動的な行為に見せかける方法として足に電気刺激装置をつけて機械にやらされていると見せかける手法を提案し,評価実験を行った.実験の結果,機械にやらされていると見せかける貧乏ゆすりは受容性が高くなり,不快感を軽減できる可能性が示唆された.

4E-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title不快感なく集中力を下げることで作業の終了を促す手法の提案
Author*矢部 圭太, 土田 修平, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 757 - 765
Keyword行動変容
Abstract集中して作業を行うことには,作業を効率的に進めることができるといった利点がある. しかし,極度に集中状態が続く,または過度に作業に集中してしまうと,予定していた時刻を過ぎても作業を延長してしまう,疲労が溜まっていることに気が付かない,といった問題が生じる. 過度の集中状態を解消する手法として,周囲の人間が声をかけるなど,作業を直接的に妨害する手段が考えられる. しかし,作業を直接妨害してしまうと,作業を行っていた人が不快感を覚え,余計に作業を終了しなくなる可能性があり,有効な解決策とはいえない. そこで,本研究では作業者が不快感を覚えることなく,自らの意思で作業を終了させることを目指し,HMD (Head Mounted Display)を活用した集中力を低下させる手法を提案する. 提案手法では,HoloLens 2を用いて作業者の視界内に作業とは関係のないオブジェクトを配置することで,作業者の注意をそらし集中力を低下させる. 評価実験では,オブジェクトの表示パターンを複数個用意し,表示するオブジェクトの種類や動きによって,集中力・不快感が変化するかを調査した. 作業者の作業に対する集中力の変化は,pNN50とアンケート調査による主観評価を指標として評価した. 評価実験の結果,オブジェクトが静止している場合よりも移動する場合のほうが集中力の低下につながることがわかった.また,オブジェクトが静止している場合においては,食べ物の表示が立方体の表示に比べて,集中力を低下させることを確認した.不快感については,表示パターンごとによる違いはみられなかった.


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セッション 4F  スマートコミュニティ
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 湯 素華 (電気通信大学)

4F-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title同一便と同一バス停における乗客数の変動特性を考慮したLSTMによる路線バス乗客数予測
Author*山村 竜也 (奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科), 新井 イスマイル, 遠藤 新, 垣内 正年, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター)
Pagepp. 766 - 773
KeywordITS, LSTM, 高度道路交通システム, 公共交通, 深層学習
Abstract代表的な公共交通機関の1つとして,路線バスがある.利用者がバスに感じる不満として,車内が混雑していることが挙げられる.また,COVID-19の防止策として,混雑環境を避けることが利用者に求められている.このような背景からバスの車内混雑状況を予測し,利用者に提供する必要がある.先行研究では,Random Forestを用いて次のバス停出発時の車内混雑度の予測が行われた.しかしながら,特徴量とモデルが十分ではないため十分な精度が出ない結果となっている.そこで本研究では,特徴量を先行研究で使用されていたものだけではなく,N便前までのバス停出発時の車内人数も用い,モデルをRandom ForestからLong Short-Term Memoryに変更して車内人数を予測した.先行研究であるArabghaliziらの手法をRandom Forestの回帰によって,バス停出発時の車内人数を予測する手法に変更したものと提案手法を,Root Mean Square Errorを評価指標として比較した.結果,既存手法よりも提案手法の方が精度が最大で29%向上した.

4F-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title勾配ブースティング決定木を用いた高速道路における突発事象発生時の旅行時間推定
Author*広田 和也 (慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 修士課程1年), 佐藤 雅明 (慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 特任准教授), 中村 修 (慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
Pagepp. 774 - 783
Keyword交通情報, 決定木, 機械学習, 予測, 高速道路
Abstract高速道路では日常的に渋滞が発生し,時間のロス,ドライバーの疲労,そして事故リスクの上昇等を招いている.一方で,現在ドライバーに対して提供されている道路交通情報は,ほとんどが現在か過去の所要時間情報や規制情報である.このためドライバーが最適な経路を決定するには,単に複数経路の所要時間を比較するだけでなく,規制内容や交通量等を参考にして自分が通過する際の影響を各自で推測し判断する必要がある. 本研究では既存の問題を解決する手法として,首都高速の各路線について日時の情報と突発事象を含めた規制情報をもとに,所要時間を推定するシステムを構築した.今回,機械学習を用いた分散型勾配ブースティングフレームワークのLightGBM を用いて,時刻情報と規制情報を学習し,決定木を生成することでその時点での所要時間が推定可能であることを確認した.また,推定に規制情報を活用した場合には活用しなかった場合に比べて推定の精度が向上することを示し,規制情報と所要時間の変動に因果関係があることを確認した. この検証結果によって,将来的に規制情報や規制の計画が公開された際に,その時間帯に所要時間がどのように変化するかを推定する研究の実現可能性を示した.

4F-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title機械学習を用いた首都高速道路における事象規制情報の評価
Author*西田 亘, 佐藤 雅明 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科), 中村 修 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 784 - 791
KeywordITS, 道路交通情報, 高速道路, 機械学習
Abstractインターネットやモバイルコンピューティングの普及に伴う道路交通情報提供手法の多様化によって, 人の手を介さず, 機械的に情報を加工し, 運転者への提供までを行う媒体が利用され始めている.こうした媒体において, 事象規制情報はその影響度などを考慮せず, 一律に表示・提供されている.そのため, 特に運転者が情報を得ようとする大規模規制時に, 情報の可読性が低下するという課題がある.そこで、本研究では、各個の規制情報について区間積和法による延べ損失時間を算出し, これを道路交通への影響の度合いを示す相対尺度として、過去の実績値に対して交通規制が出された時点での影響に関する回帰モデルを作成した。これを用いることで、現時点で存在する各事象規制情報について、それぞれの影響度を道路間で端的に評価し、比較する手法を提案した。


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セッション 4G  映像配信システム
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 坂本 真仁 (金沢工業大学)

4G-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title仮想環境を用いた8K映像ストリームサーバの実現
Author*瀬林 克啓, 岩崎 昂大, 池田 哲也, 丸山 充 (神奈川工科大学), 君山 博之 (大同大学), 青木 弘太 (ミハル通信株式会社), 栗本 崇, 漆谷 重雄 (国立情報学研究所)
Pagepp. 792 - 800
Keyword8K超高精細映像伝送, 仮想化技術, NFV, SINET5, KVM
Abstractネットワークの広帯域化に伴い,8K (7680×4320画素)映像は,細部まで精密に映像化できることから,医療・教育・放送分野での期待は高い.そこで我々は,クラウド上の空きリソースで安価に構成した8K映像サーバ仮想マシン(VM)を複数連携動作させ,トータルでビデオ伝送レート24Gbpsの8K非圧縮映像の伝送・蓄積を可能とする8K映像ストリームサーバの実現を目指している. 我々は,SINET5のNFV環境において,物理サーバ1台あたり2台動作させた8K映像サーバVMを8台連携させた8K映像ストリームサーバで,トータルでビデオ伝送レート24Gbpsの8K非圧縮映像伝送の安定動作を実現した.また,SINET5の3拠点のNFVに計10台の8K映像サーバVMと仮想IPマルチキャストルータを配置し,帯域浪費の抑制するともに,10台の8K映像サーバVMの中から任意の8台を選択して構成した8K映像ストリームサーバで8K映像を安定送信するとともに,その8台を切り替える8K映像ストリームサーバの高度化実験にも成功した. 本稿では, SINET5のNFV環境において安定動作する8K映像サーバVMの構成(CPU数及びメモリ量)とカーネルパラメータの導出方法と 8K映像ストリームサーバの高度化について説明する.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
4G-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title視線情報を用いた低トラヒック360度映像伝送に関する一検討
Author*岡本 翼, 石岡 卓将 (大阪大学大学院情報科学研究科), 椎名 亮太, 福井 達也, 小野 央也, 藤原 稔久, 谷口 友宏 (NTT アクセスサービスシステム研究所), 藤橋 卓也, 猿渡 俊介, 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 801 - 808
KeywordVR, エッジサーバ, マルチキャスト, JPEG-XS, タイル
Abstract複数のユーザが同一の仮想現実 (Virtual Reality: VR) 空間に接続して臨場感あふれる体験を相互に共有できるコンテンツの広がりとともに,VR 映像,すなわち 360 度映像のネットワーク伝送に対する需要が高まっている. 一方,従来の360度映像伝送においては1) 映像符号化に起因する遅延量増大,2) 高解像度に起因するトラヒック増大, 3) ユーザ視聴領域の時間変化に起因する品質低下が課題となる. これらの3課題に対処するために,本稿では各ユーザの視線情報を用いた低トラヒック360度映像伝送手法を新たに提案する. 具体的には,360度映像のタイル分割と低遅延符号化技術JPEG-XSを組み合わせた遅延削減,複数ユーザの視線情報に基づいた映像符号化制御および伝送制御によるトラヒック削減,エッジサーバ導入と映像再圧縮(トランスコード)によるユーザ視聴領域の追随を通して,複数ユーザに対する低遅延・低トラヒック・高品質 360 度映像伝送を実現する. 360度映像および対応する複数ユーザの視線情報を用いた性能評価から,提案手法は同程度の映像トラヒック下において従来手法に対してより高品質の360度映像を各ユーザに伝送できることを示した.

4G-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Titleクラウドゲーミングにおけるトラヒック削減に関する一検討
Author*岡出 紳太朗, 石岡 卓将, 藤橋 卓也, 猿渡 俊介, 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 809 - 814
Keywordクラウドゲーミング, トラヒック, 注目領域, ブロードキャスト伝送
Abstractクラウドゲーミングでは,従来のゲーム機が担っていた各種ゲーム処理,映像生成をクラウドサーバが担い,生成したゲーム映像をネットワーク伝送するため,ユーザ端末は高度なゲーム処理を必要ない.一方で,生成したゲーム映像を各ユーザにネットワークを介して伝送する際,ゲーム映像の解像度やユーザ数に応じてトラヒックが増大する.ネットワークを介する映像伝送では映像符号化技術 H.264/Advanced Video Coding (AVC) などが用いられるが,映像全体を一様に符号化した場合,限られた帯域下における映像品質は低下する.本稿では,注目領域・非注目領域における適応符号化および共通・非共通領域における伝送方法の制御を提案し,ゲーム映像伝送のトラヒック削減を達成する.具体的には,ゲーム映像の内ユーザの注目領域に多くのビットを,他の領域は限られたビットを割り当てて符号化する.また,ゲーム映像内にユーザ間で共通領域と非共通領域が含まれ,共通領域をユーザに対してブロードキャスト伝送することで冗長な伝送を抑制する.提案手法を実際のゲームを用いて評価した結果,ゲーム映像全体を一様に符号化して伝送する手法に対して,提案手法はトラヒックを15%削減できることがわかった.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
4G-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title同世界放送システムのための遺伝的アプローチによる映像収集木構築手法の検討
Author*牧田 航輝, 川上 朋也 (福井大学大学院工学研究科), 松本 哲, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 寺西 裕一 (情報通信研究機構/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 815 - 821
Keyword分散処理, 遺伝的アルゴリズム, 映像合成, ライブ放送
Abstract筆者らはこれまで,同世界放送と呼ぶ,複数の配信者による撮影対象全てがまるで同じ空間に存在するかのようなライブ放送システムを検討してきた.同世界放送では,リアルタイムに映像の収集と合成を行う必要がある.特定のサーバで全ての処理を行うとスケーラビリティに限界があるため,映像を合成しつつ収集する手法に焦点を当てる.収集木と呼ぶ,映像の収集順と合成位置を示す木構造を最適化する収集木決定問題を定義し,遺伝的アルゴリズムを用いた解法を提案する.シミュレーションの結果,合成する映像数によって最適な手法が異なるという結果が得られた.


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セッション 4H  位置情報システム
日時: 2022年7月14日(木) 9:00 - 10:40
座長: 吉廣 卓哉 (和歌山大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
4H-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title清掃工場における気圧差・LPWA RSSIを用いたエリア推定
Author*松永 拓也 (奈良先端科学技術大学院大学), 新 佑太郎 (日立造船), 新井 イスマイル (奈良先端科学技術大学院大学), 川端 馨 (日立造船), 垣内 正年, 遠藤 新, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 822 - 833
Keyword位置情報システム
Abstract清掃工場では人員削減が進んでおり,作業員の不慮の事故の際に迅速に対応するため,管理者が作業員の位置把握をする必要があり,屋内測位システムに対する需要がある.一般的な居住スペースでは無線インフラからの信号を利用した測位が広く用いられるが,清掃工場では直接適用することが難しい.我々は先行研究において磁気フィンガープリントを用いた測位精度について検証した.結果として,測位精度が課題であり,測位対象面積のさらなる縮小によって,測位精度向上が見込まれている.本研究では,測位対象面積を縮小するため,清掃工場内をより細分化されたエリアとして定義し,エリア推定の可能性について検証を行った.清掃工場では炉室とそれ以外の部屋で部屋の構造が異なるため,気圧特性や電波伝搬特性に特徴が生じ,同一階層を部屋によって細分化可能であると考えた.本研究では,気圧差と4台のLow Power Wide Area Network(LPWA)基地局からのReceived signal strength indication(RSSI)を用いて建物全体をどの程度の広さのエリアへ分割できるかを検証した結果,平均面積2035㎡のエリアへ分割できた.また,実験により,同一の高さであっても炉室とそれ以外の部屋で気圧の平均値が異なることを確認した.

4H-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title小口径下水管検査のための浮流型観測機の音波による位置モニタリングシステムのプロトタイプ実装
Author*丸山 健斗, 近本 祐介, 堤 悠喜 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 石原 進 (静岡大学学術院工学領域)
Pagepp. 834 - 841
Keyword下水管検査, センサネットワーク, 音響測位
Abstract日本に敷設された下水管は老朽化が進んでおり,早急な検査が必要である.そこで,筆者らは検査の低コスト化,省労力を目的に浮流型観測機を用いた下水管検査システムを提案している.本システムでは,カメラを搭載したカプセル型の観測機を下水管内に投入することで検査が行われる.しかし,下水管内では,地上と比較して電波通信の見通しが悪く,無線LANを用いた通信が可能な範囲が限られてしまう.本稿では,このような制約から電波の信号強度等を用いた位置推定手法が適用できない下水管環境において,電波と比較して長距離に伝播する音波を用いて浮流型観測機の浮流位置を推定し,検査員に通知するシステムについて述べる.また,同システムのプロトタイプを完装し,小口径下水管内で行った動作実験についても報告する.

4H-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title物流倉庫におけるソーラー式BLEビーコンとPDRを用いたハイブリッド測位
Author*加納 一馬, 吉田 拓人, 林田 望海, 片山 晋, 松山 仁, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学 大学院工学研究科)
Pagepp. 842 - 851
Keyword屋内測位, BLE, PDR, PV, 物流倉庫
Abstract物流倉庫では,電子商取引の需要の拡大に伴い業務量が増加し,労働力不足が問題となっている.作業員の位置情報を活用することで,生産性の向上が期待できる.本研究では,ソーラー式Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコンとPedestrian Dead Reckoning(PDR)を用いた統合的な測位手法を提案する.ソーラー式BLEビーコンは電源が不要であるため導入が容易でメンテナンスフリーである.しかし,それらのアドバタイズ間隔は照度に依存し不安定である.加えて,倉庫には棚や商品などの遮蔽物が多く存在し,それらは信号の減衰や干渉,パケットロスを引き起こす.そこで,頑健性と精度を向上させるためパーティクルフィルタ,マップマッチング,深層学習による歩行速度推定を適用する.倉庫に114個のビーコンを導入してデータを収集した.測位手法の精度を評価したところ,提案手法はベースライン手法と比較して高精度であることを確認した.

4H-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title3次元点群を用いた高密度群衆の人数推定手法
Author*右京 莉規, 天野 辰哉, 廣森 聡仁, 山口 弘純 (大阪大学)
Pagepp. 852 - 858
Keyword3次元点群, 人数推定, 高密度群衆, 2D CNN
Abstract公共施設や商業施設など様々な人々が行きかう空間における人流計測の需要が高まっている.我々の研究グループではこれまでに,複数のLiDARによりが捉える大規模三次元点群データを用いて公共空間における歩行者のトラッキング(軌跡導出)を行う手法を提案してきた.同手法ではオクルージョンやノイズによる点群の欠損および複数人物の接近による点群の結合といった観測点群の不完全性による人物セグメンテーションの失敗を考慮し,カルマンフィルタとそれら状況の推定を組み合わせることで,堅牢なトラッキングを実現し,実環境に置いてその有用性検証を行っている.常に複数の人物セグメントが結合し検出されるような非常に混雑した状況下でも歩行者トラッキングを継続するため,本研究では検出した歩行者セグメントを上面,前面,側面の3方向から捉え,それぞれ2DCNNで歩行者検出を行いそれらの結果を合成することで,セグメントに含まれる人数を正確に検出し,結合が多発する状況下でも検出漏れを減少させトラッキングの継続を可能にする.我々の研究室に設置したLiDAR4台から得られる3次元点群を約2時間収集したデータを用いてCNNを構築し,同条件下で取得したデータに対し提案手法の評価を行った.その結果,人数推定の精度が99.8%であり,セグメント内の人数を正確に計測できることが確かめられた.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
4H-5 (時間: 10:20 - 10:40)
Title3次元点群を用いた時空補間的アプローチに基づく人物軌跡構成法の提案
Author*大野 真和, 右京 莉規, 天野 辰哉, Hamada Rizk, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 859 - 871
Keyword三次元点群, Person Re-ID, スマートビルディング, スマートキャンパス
Abstract近年,公共施設や大型商業施設など様々な人々が行きかう空間における歩行者の人流解析の重要性が高まっている.我々はこれまで3次元測域センサ(LiDAR)を用いた歩行者のトラッキングシステム「ひとなび」を開発してきた.ひとなびは固定設置した複数LiDARからの3次元点群からの人物検出およびトラッキングを行うことで,LiDARの可視範囲内での歩行者移動軌跡のリアルタイム出力を可能にする.しかし,センサコストや建造物の構造上の制約により,欠損なく関心領域全てをカバーするようなLiDARの設置は困難であることが多い.そこで本研究では,点群から得られた歩行者軌跡に対する人物再識別手法を提案する.提案手法では,(1)点群から得られる人物の特徴の類似性,と(2)建物レイアウトや過去の移動軌跡パターンにも基づく移動軌跡の整合性の2つの観点から,全軌跡ペアに対してそれが同一人物によるものである確率を求め,離れた計測領域からの軌跡のマッチングを実現する.人物特徴の類似性計算方法として,FisherVectorを用いた点群からの特徴抽出とそれに基づく距離学習を提案する.大阪大学箕面キャンパスにおいて5日間にわたって取得したLiDARデータによる,延べ人数15,101人の軌跡データを用いて提案手法の評価を行った.その結果,2つの軌跡が同一人物によるものであるかどうかの二値分類において,F値0.80という高い精度が得られた.


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セッション 5A  統一セッション:セキュリティ
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 金岡晃 (東邦大学)

5A-1 (時間: 11:00 - 11:40)
Title(招待講演) 行動モデル構築に向けた実験データ収集の施策とその効果
Author小林 良輔 (三菱電機インフォメーションシステムズ)
Pagep. 872

5A-2 (時間: 11:40 - 12:00)
TitlePPAP廃止に関する動向と対象群別に望ましい対策案の提案
Author*佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 873 - 878
Keywordセキュリティ, 電子メール, 暗号ファイル, ZIP, リスク評価
Abstract概要: メールに添付されるファイルを暗号化するにあたっては,Password付きZIP暗号化ファイルをメールを用いて送ったのち,暗号化に用いたパスワードを別途メールで送る通常PPAPと呼ばれる方式が用いられてきた.この方式は,①誤送信対策効果があるとか,②盗聴防止効果があるといわれてきたが,現実にはそのような効果は少なく,手間がかかり,さらに,PPAPを用いているとEmotetなどのマルウェアがその検出を回避する手段に悪用されるという問題もあった.このため,PPAPを廃止しようという動きが,政府や企業で出てきているが採用すべき対策案についてはいろいろな意見が出て合意が取れたものとはなっていない.そこで,メールをベースとするもの3方式,Boxなどのクラウドストレイジを用いるもの2方式をリストアップし,それらに関して,安全性,マルウェア不正耐性,使い勝手の面から評価を行った.その結果,メールベースのものとしてはS/MIME(Secure / Multipurpose Internet Mail Extensions)を用いるものが望ましく,クラウドストレイジを用いるものとしては,アクセス制御機能を持つものが望ましいことを示した.また,それらの残された問題点を示すとともに,コミュニケーションパターンごとの望ましい方式を提示した.あわせて,S/MINEについては,広く使われるために必要な使い勝手の向上策を提案した.


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セッション 5B  感情・興味・疲労
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 伊藤 禎宣 (国立研究開発法人情報通信研究機構)

5B-1 (時間: 11:00 - 11:20)
TitleEEGを用いた感情・認知の精神課題における機械学習モデルの構築方法の比較
Author*金井 健太郎, 鈴木 圭, 菅谷 みどり (芝浦工業大学)
Pagepp. 879 - 887
Keyword感情推定, 認知機能推定, 認知症, 機械学習
Abstract近年,人の感情の推定や,認知機能といった精神状態を客観的に推測する手法が重要となってきている.その中でも,EEGを用いた機械学習の精神状態推定においては,正解ラベルとして目的変数を変更し,EEGの出力結果を用いた感情や認知機能などの多様な精神状態に関するモデルを構築が可能であると考えられる.しかし,精神課題ごとに目的変数が異なった場合,どのようなEEGの出力データが説明変数として最適か十分な議論はなされていない.例えば,データセット作成の際の正規化において,個人の特徴を活かしたモデル構築を行った方が良いのか,データ全体の特徴を残してモデル構築を行った方が良いのか明らかになっていない.そこで,本研究においては, 精神課題ごとの最適なモデルの構築手法の検討を目的とし,EEGの出力データにおける説明変数のデータセットの作成方法の中でも正規化に着目し,目的変数の異なる2つの精神課題である「感情推定」,「認知機能推定」についてそれぞれデータセットを5種類作成し,モデルの精度比較を行った.その結果,感情推定のモデルでは,個人ごとに正規化をした場合のモデルの精度が高くなり,一方,認知機能推定では,全体の正規化もしくは,正規化なしの場合に,僅かであるが,モデルの精度が高い結果となった.

5B-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Title脈拍変動を用いた暑熱快適快適性予測
Authorホサイン タヘラ, 川崎 勇佑, *本多 一騎, 横窪 安奈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学)
Pagepp. 888 - 892
Keyword環境快適性, ウェアラブルセンサ, スマートウォッチ, PMV
Abstract熱的快適性とは,日常生活における人間の幸福や安全性,生産性に極めて重要な熱環境に満足している状態のことである.室内環境における熱的快適性は,様々な状況下,様々な活動を行うことで変動する.このような快適性の指標を理解可能なシステムは,人間の健康補助に役立つ.この論文では,自律神経系の活動データを収集するための様々なセンサを搭載した腕時計型のデバイスを想定する.本研究では,脈拍変動(PRV)に基づく生理学的に調節された熱的快適性について,熱中症のリスクなどを予測できるかどうか,予備的な評価を行うものである.そこで,高温の熱環境に着目し,読書,転写,ラジオ体操という異なる作業条件下で温度と湿度を変化させデータを収集し,複数の機械学習を用いて人間の環境熱的快適性を予測することに重点を置いた.その結果,5種類の機械学習モデルで平均95%以上の精度を示した.

5B-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title疲労時五感: 疲労時の五感能力減少度合いの基礎調査と五感拡張装置開発にむけて
Author*大西 鮎美, 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 893 - 898
Keyword疲労, 五感拡張, センシング, AI
Abstract眼鏡や補聴器といった五感を拡張する装具は,人々の生活の質向上に不可欠なものである.近年は,高度な五感拡張デバイスが開発されており,例として補聴器の環境に応じた音量調整機能などがあげられる.しかし,人間の五感は環境要因のみでなく疲労で日常的に変化する可能性があり,五感拡張装置が疲労を考慮しなければ,正確に現状の五感を予測できず深刻な問題を引き起こすと考えられる.具体的には,常に少しずれた制御だと人間にとっては五感を常に調整し続ける状態が起こり,かえって不快に感じてしまうことや異変に気づけないなど危ない場面が起こりうる.よって,疲れているといったユーザの状態を五感拡張装置の補正項に入れることが求められる.五感において,負担状態で一過性の低下が引き起こされて生体負担状態,つまり疲労による能力の低下がどの程度起こるかは筆者らが知る限り定式化されておらず,五感拡張装置に適用可能な形で知見がまとまっていない.そこで本研究では,疲労によって五感能力が変化した状態を疲労時五感とよび,身体や精神の疲労が五感に与える影響を調査してモデル化し,疲労時五感を推定することで,疲労を考慮した五感拡張装置を開発する.本論文では,この疲労時五感の取り組みと現在行っている五感の基礎調査について紹介する.


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セッション 5C  行動認識
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 新井 イスマイル (奈良先端科学技術大学院大学)

5C-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Titleハミルトニアンニューラルネットワークの人間行動認識への応用
Author*豊坂 祐樹, 大北 剛 (九州工業大学大学院情報工学研究院知能情報工学研究系)
Pagepp. 899 - 905
Keywordハミルトニアンニューラルネットワーク, 行動認識, 相互作用
Abstract近年, カメラ等の画像から人の行動の認識や人の動きの予測等を行う技術の需要が高まっている. そこで, 我々は画像から精度の高い行動認識と人の動きの行動予測を目指すが, より自然な人の動きの予測を行おうとしたとき, 物理法則を考慮する必要がある. 対象の動きを推定する物理系シミュレーションは微分方程式モデルをはじめとした様々なモデルが存在するが, 最近では深層学習の分野でも物理現象を取り入れたモデルが増えており, その一つとしてハミルトニアンのルールを組み込んだニューラルネットワークにより物理法則に従ったモデルを構築したハミルトニアンニューラルネットワークなどが挙げられる. 本研究では, ハミルトニアンニューラルネットワークを応用することで, 人の行動の極端な挙動や物理的にありえない行動(予測された腕が極端に伸びる等)をすることを制限して精度の良い詳細な行動認識や行動予測を行う手法を考案した. つまり,機械学習の本質であるデータからの学習を取り入れたまま, nonIID現象である物理のシミュレーションを可能とした.

5C-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Titleセンサベースの行動認識における CNN のカーネルサイズに関する一考察
Author*清水 椋右 (福井大学大学院工学研究科), 近藤 和真 (NECソリューションイノベータ株式会社), 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科)
Pagepp. 906 - 911
Keyword行動認識, 深層学習, モデルアーキテクチャ, カーネルサイズ, ウェアラブルデバイス
Abstractスマートフォンやウェアラブルデバイスの普及に伴い,深層学習を用いたセンサベースの行動認識が盛んに おこなわれるようになった.しかし,現在は畳み込み層が 3 層程度のシンプルな CNN がよく用いられており,行動 認識に特化した深層学習モデルの構造は明らかではない.ウェアラブルデバイスを用いて行動認識を行う場合,計算 コストの削減は大きな課題である.モダンな深層学習モデルは一般に計算コストが高く,改変を行わず行動認識に適 用するには不適当である.行動認識において深層学習モデルの軽量化についての議論は進んでいない.本研究では VGG 構造を対象として,畳み込み層のカーネルサイズに着目し,行動認識精度やモデルのパラメータ数に現れる影 響を調査する.現在デファクトスタンダードである,小さいカーネルの多数積層構造を,これと同等の範囲の受容野 を持つより大きいカーネルの単層の畳み込み層に変更することで,パラメータ数を削減しつつ,行動認識精度が向上 する可能性があることが判明した.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
5C-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title人間行動認識におけるセグメント情報を用いた自己教師あり学習
Author*近藤 圭, 武仲 絋輝, 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科)
Pagepp. 912 - 917
Keyword行動認識, 自己教師あり学習, 深層学習, 加速度センサ
Abstract深層学習を用いたセンサによる行動認識では,頑健な深層学習モデルを作成するために大量のアノテーションされた時系列データが必要となる.ウェアラブルデバイスの普及により大規模なデータセットの収集は可能となったが,それらのデータのアノテーションは依然として課題となっている.この問題に対して,画像認識分野では自己教師あり学習を用いた手法が多く提案されている.しかし,行動認識分野おいては活発に研究が行われていない.そこで本研究ではセンサによる行動認識において,画像認識分野で提案されている自己教師あり学習手法の実装,検証を行う.また,センサデータのセグメントの情報を使った新たな自己教師あり学習手法を提案する.既存の自己教師あり学習と比較した結果,ラベルありデータによる Fine Tuning において,提案手法の有効性が確認された.

5C-4 (時間: 12:00 - 12:20)
TitleA study on estimating the accurate head IMU motion from Video
Author*MinYen Lu, ChenHao Chen (九州大学), 石田 繁巳 (公立はこだて未来大学), 中村 優吾, 荒川 豊 (九州大学)
Pagepp. 918 - 923
KeywordHuman activity recognition, inertial measurement units, Online Meeting
AbstractInertial measurement unit (IMU) data have been utilized in human activity recognition (HAR). In recent studies, deep learning recognition for IMU data has caught researchers' attention for the capability of automatic feature extraction and accurate prediction. On the other hand, the challenge of data collection and labeling discourages researchers to step into it. IMUTube provides a solution by building up a pipeline to estimate virtual IMU data from YouTube videos for body motion. For head motion data, several methods, such as OpenFace 2.0 provide the function of predicting facial landmarks and calculating head facing angle from video. However, to our knowledge, there is no study focusing on estimating IMU data from human head motion. In our previous work DisCaaS, we created the M3B dataset which contains IMU and 360-degree video data from the meeting. We exploit head motion data extraction models to predict participants' nodding and speaking gestures. In order to further improve the performance of nodding recognition, in this paper, we are interested in understanding the quality of estimated gyro data calculated from these existing head motion models. We investigate the difference between the motion data estimated from video and those measured by a 9-axis sensor not only in the time domain but also in the frequency domain. Finally, we discuss the future direction of the result.

5C-5 (時間: 12:20 - 12:40)
Title保育士行動認識におけるデータ補間技術を用いたウェアラブルセンサ数削減
Author*大見 士, 藤原 健之 (豊橋技術科学大学), 石橋 尚子 (椙山女学園大学), 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
Pagepp. 924 - 931
Keyword行動認識, ウェアラブルセンサ, センサ数の削減, センサデータ補間
Abstract保育分野では,保育士の行動に基づく作業分析が,保育業務の質の向上に有望である.また,行動履歴を取得する方法として,ウェアラブルセンサを用いた行動認識技術が有効である.高精度で行動認識を行うには多くのセンサを装着することが有効であるが,保育士が多くのセンサを装着することは困難である.それに対し有効な手段として,センサデータに補間技術を適用することで認識精度の低下を抑制することが考えられる.そこで本研究では,センサデータに補間技術を適用し,保育士の行動を認識するために最適なセンサ数と装着位置を検討する.実験では,保育士に6つのセンサを装着してもらい,業務中の加速度・角速度データを取得した.そして,センサ数,装着部位ごとに人工的にデータを欠損させ,欠損したデータを用いた場合と,DAEを用いて欠損した部分を補間したデータを用いた場合のそれぞれで認識精度の比較を行った.その結果,3つのセンサを使用した場合でも,補間技術によって6つのセンサを使用した場合とほぼ同等の認識精度が得られることが分かった.また,ウェアラブルセンサを装着する位置としては,左右どちらかの手首,足首,そして背中が適切であることが分かった.


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セッション 5D  コンシューマシステム1
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 廣井 慧 (京都大学)

5D-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Title合理的選好投票による死票の少ない集団意思決定手法の提案
Author*大内 琳 (慶應義塾大学 総合政策学部), 佐藤 雅明 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科/東海大学 観光学部), 中村 修 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 932 - 946
Keyword集団意思決定, IRV, Webアプリケーション, クラウドコンピューティング
Abstract集団が意思決定する際,最も身近な手法は多数決である.多数決は最も票を得た候補が当選するのみで,当選しなかった候補への票や当選した候補への余剰票は死票になる.死票の多い集団意思決定は,その集団の意思を正しく表現できないという問題がある.しかし,日常で用いられる集団意思決定手法は多数決を用いたものがほとんどである.本研究では集団意思決定における死票の回避に着目し,日常的な集団意思決定における選好投票の利用を提案する.選好投票には,死票が少ない代表的な手法としてオーストラリア下院選挙などで使われている優先順位付投票制(IRV)があるが,IRVは死票が少なくなる代わりに投票行動や集計が煩雑という問題がある.そこで,どのような投票・集計ルールで優先順位付投票を行うとより手軽に意思決定が可能になるかの検討を行い,シミュレーションによって投票者数,候補数ごとの合理的選好投票(RPV)を導出した.その結果,RPVでは多数決よりも死票が少なく,より多くの人から支持されるような意思決定を手軽に実現できることが分かった.

5D-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Titleオンライン試験における不正抑止手法
Author*渡辺 拓哉 (神奈川工科大学大学院), 下山 滉平, 清原 良三 (神奈川工科大学)
Pagepp. 947 - 954
Keywordオンライン試験, 不正抑止, 不正防止
Abstract新型コロナウイルスの感染拡大により,中等教育,高等教育においてはオンライン授業に切り替わるものが多かった.特に,大学における授業ではオンライン授業が中心になっていることが多い.対面でテストを行えない場合,監督者の監視外でテストを行うため,受験者の不正行為が容易になった.不正行為を行うと,学生に対して,正確な評価ができなくなると共に,平等に評価が難しくなる.そのため,レポートを中心にする授業も多くなり,学生の過負荷も問題になっている.これらの問題を解決するために,不正行為を抑止することを目的とした,アプリケーションの監視と録音を行う専用アプリケーションを提案する.提案アプリケーションが受験者の認証から行動確認まで行うことにより,不正行為を抑止する, 本報告では実際の授業での学生の行動の特徴を分析し,不正をする可能性の高い層を発見するとともに,本アプリを実装して使わせることで,その抑止となっていることを確認したので報告する.

5D-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title特徴量間の関係を解釈する重要度を用いたレコメンドの特徴抽出方法の提案
Author*樫原 渉, 撫中 達司 (東海大学大学院 情報通信学研究科), 板垣 弦矢, 齊藤 志保, 森 郁海 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 955 - 961
Keyword重要度, 特徴量間の関係, 説明性, 特徴抽出, レコメンド
Abstract生命の安全にかかわる制御系システムや,顧客開拓のための機器やサービスのレコメンドシステムなどに対して,機械学習を用いることがある.これらのシステムでは,判断根拠を明示的に示す必要があるため,機械学習の予測結果(出力値)に対する論理的な説明が求められる.本研究の目的は,機械学習における入力である特徴量と,出力値の間にある関係性を数値化し,予測結果に対する妥当性を利用者に定量的に示すことである.特徴量と出力値の関係性を数値化する従来方式のSHapley Additive exPlanations(SHAP)は,協力ゲーム理論の「シャープレイ値」を応用して,特徴量と出力値の関係性を特徴量ごとに貢献度として算出する.しかながら,SHAPは,3つ以上の特徴量が出力値に影響するような関係を数値化できない.一方,提案手法は,特徴量どうしの依存関係や,入力する特徴量の組合せを変えたときの予測精度の変化量を基に,新しい指標である「重要度」を算出する.これにより,3つ以上の特徴量が関係する場合も,数値化が可能となる.簡易的な検証の結果,3つ以上の特徴量が関係する場合においても,一部の特徴量の組合せを除き,正しく数値化できることを確認した.

5D-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title視線を考慮したニュース記事に対する興味の度合い推定手法の検討
Author*小川 拓也, 遠藤 慶一, 黒田 久泰, 小林 真也 (愛媛大学大学院 理工学研究科)
Pagepp. 962 - 967
Keyword情報配信システム, 視線検出, リコメンデーション
Abstractインターネット上には膨大な量のニュース情報が存在している.これによりユーザは多くの情報を入手できるというメリットが生まれる.しかし,ユーザは配信されている全てのニュースに興味を持っているわけではない.よって,ユーザがインターネット上のニュースを読むとき,興味のある情報を選別する必要がある.情報過多の問題を解決することを目的として,スマートフォン向けニュースアプリであるNEARを開発した.しかし,アプリがユーザの興味の傾向を学習するために,多くのニュースをユーザに選別してもらう必要があり,ユーザの負担になっていた.そこで,ユーザによる記事選別の負担を軽減した上で,興味の学習ができる手法として,ユーザの視線情報に着目した手法を提案する.視線に着目することで,記事単位でなく,単語単位での興味の度合いの類推が可能になると考えられ,学習に必要な記事選別の回数が減ることが期待できる.

5D-5 (時間: 12:20 - 12:40)
TitleMulti-scale Attentionを用いた物体検出アルゴリズムのFPGA実装
Author*古田 雅則, 坂 耕一郎 ((株)東芝 研究開発センター IoTエッジラボラトリー), 小林 大祐, 柴田 智行 ((株)東芝 研究開発センター メディアAIラボラトリー)
Pagepp. 968 - 975
Keyword物体検出, FPGA, Multi-scale Attention, 監視カメラ
Abstract防犯やインフラの状態監視に向けたクラウド型監視カメラシステムでは,利用エリアの拡大や膨大な画像データの削減を目的として,エッジ側であるカメラ内への物体検出アルゴリズムの組込みニーズが上昇している.本稿では,CNNを用いた物体検出アルゴリズムに着目し,FPGAを用いたエッジAIアクセラレータの設計方法を提案する.Self-Attention技術を用いた少ない演算量の物体検出アルゴリズムと,高速なスループットを省電力で実現するFPGA回路設計技術を開発.エッジAIアクセラレータのプロトタイプ試作を行い,79.3%の物体検出精度,824GOPsの演算量,77.7msecの物体検出演算処理スループットの性能を実機による評価で確認した.


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セッション 5E  健康の行動変容
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 米澤 拓郎 (名古屋大学)

5E-1 (時間: 11:00 - 11:20)
TitleCoreMoni:体幹トレーニングにおける効果的な姿勢促進システム
Author神野 亜美, *佐藤 圭翼, 横窪 安奈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学)
Pagepp. 976 - 980
Keywordフィットネス, 行動認識, ウェアラブルコンピューティング, スポーツ
Abstract現在,新型コロナウイルスの流行により,自宅で体を動かす時間が増えている.簡単に始められるトレーニングの一つに体幹トレーニングがある. これまで、機械学習手法による種目認識の高精度化や,カメラ画像を用いた姿勢支援は研究されてきたが,視覚的フィードバックの更新速度が遅いなど,実際のトレーニング支援には至っていない. 本研究では,指導者の有無に関わらずトレーニング環境を構築し,コロナ禍における健康増進のサポートをすることを目的として,加速度センサを用いた体幹トレーニング支援システム「CoreMoni」を提案し,その有効性を示す.男女10名を被験者とし,CoreMoni有無に分け,フロントプランクとサイドプランクの2種目を行った. 実験終了後,SUSとフィードバックに関する内容のアンケートに回答してもらい, CoreMoniのユーザビリティ評価を行った. t検定の結果,両種目において有意差が見られ,アンケート結果からもCoreMoniは優れたユーザビリティであることが示された. 今後の展望として,トレーニング種目,フィードバック音源等を追加することで,より範囲の広い効果的支援を目指していく.

最優秀プレゼンテーション賞 / Best Presentation Awards
最優秀論文賞 / Best Paper Awards
5E-2 (時間: 11:20 - 11:40)
TitleAromug: 糖分摂取量低減を補助するスマートマグカップの設計と基礎評価
Author*真弓 大輝 (奈良先端科学技術大学院大学), 中村 優吾 (九州大学/国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ), 三崎 慎也 (奈良先端科学技術大学院大学), 松田 裕貴 (奈良先端科学技術大学院大学/国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 981 - 988
Keywordナッジ, 行動変容, IoT, 嗅覚デバイス, 糖分削減
Abstract普段何気なく飲んでいる飲料には多くの糖分が含まれている.砂糖入り飲料は私たちの生活の中で主な糖分摂取源となっており,過剰な糖分摂取は血糖値上昇や糖尿病リスクを上昇させることが知られている.そのため,糖分摂取量を低減する必要がある.これまで糖分摂取量を削減する方向に後押しする方法がいくつか提案されているが,短期的なアプローチに留まっており,習慣的に糖分が控えめな飲料の選択を促す有効的な解決策は見つかっていない.本研究では,飲むという行為に香りを付与することで,ユーザの知覚する甘さを増幅する「Aromug」を提案する.実際の糖分摂取量を低減しつつ,コンテキストアウェアな香り情報を提供することで,知覚される甘さを増幅し,日常的に飲料から摂取する糖分量を低減するシステムの実現を目指す.本稿では,アイスコーヒーと各種フレーバーの組み合わせの官能評価を行い,香りによって知覚する甘さ増幅の有効性を評価した.実験の結果,無糖コーヒーとチョコレートの香りの組み合わせは,香りなしの場合に比べ有意差が確認された.また味の甘さに関して,年齢やコーヒーを飲む頻度で嗜好に差が見られ,コンテキスト・アウェアな香り情報提示のための知見を得た.

5E-3 (時間: 11:40 - 12:00)
TitleHoloLens2と物体検出を用いた焼肉インタラクション
Author*田中 基貴, 清水 椋右, 近藤 圭, 前田 天童, 奥野 健太, 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科)
Pagepp. 989 - 995
KeywordXR, YOLO, 行動変容, 深層学習, アプリケーション
AbstractXR技術の発展に伴い,現実空間と仮想空間をインタラクティブに繋げるようなアプリケーションの開発が可能になった.さらに近年ではIT技術による健康管理の需要が増大していると共に,自宅における楽しみとして食事の需要が高まっている.本研究では焼肉に対して新たなエンターテイメントを創出するとともに,肉の焼き時間を分かりやすくすることを目的として,一人焼肉で利用するHoloLens2と物体検出技術を利用したアプリケーションを開発した.このアプリケーションは実際の肉を自動検出し,焼き時間の目安となるホログラムタイマーの演出を表示するものである.7人の被験者を対象に4種類の環境で1人焼肉を行う実験を実施した結果,提案手法が肉の種類ごとに異なる時間で焼くことを促す効果があるとともに,焼肉時に時間を測ることに新たな楽しさをもたらすことを確認した.

5E-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title他者への気づきを強化するソーシャルダイニング
Author*益田 岳 (東京女子医科大学), 酒造 正樹 (東京電機大学)
Pagepp. 996 - 998
Keyword社会的孤立, ソーシャルダイニング, 他者への気付き, 行動変容, 調理の失敗
Abstract社会的孤立予防と改善のため、インターネット等を通じた仮想時空間と関連技術をもちいて、他者への気づきを強化する調理して食べるソーシャルダイニングを提案する。なぜ食べるだけではだめなのか。調理中は強く意識を働かせないと他者の状態に気づかないことや調理の緊張と食事の解放という感情的振れ幅の役割にもふれ、オンラインで複数の参加者が同時に調理して食べるソーシャルダイニングを説明する。本発表では、その準備段階として調理でさまざまな失敗をする人の映像記録を用意し、被検者に評価を依頼した結果を報告する。


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セッション 5F  ITS・データ収集・分析
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
5F-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Titleクラスタリングに基づくキャッシュ配置を用いた車車間通信の効率化に関する検討
Author*徳永 大貴, 湯 素華 (電気通信大学 情報・ネットワーク工学専攻)
Pagepp. 999 - 1005
Keyword車車間通信, 自動運転
Abstract車車間通信は,自動運転技術で使用される技術の一つである.各車両が道路状況などのコンテンツを別々に要求する際,車両数の増加により通信量が急増する恐れがある.Content Centric Network (CCN)技術を車車間通信に応用することで,コンテンツを受信した車両がそれをキャッシュとして保存すれば,同じコンテンツに対する他車両の要求に素早く返答することができ,通信の効率化につながる.しかしながら,既存方式では近隣車両が持つコンテンツを利用できなかったり,近隣の複数の車両が同じコンテンツを重複してキャッシュして保存する場合がある.本検討方式では,車車間通信のさらなる効率化のために,クラスタを用いて各車両のキャッシュを一元管理する.これにより,近隣車両のコンテンツを利用しながら,キャッシュの重複を防ぐ.

5F-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Title都市環境における歩車間通信の基礎的な評価
Author*村川 太一, 國部 匡志, 重野 寛 (慶應義塾大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1006 - 1011
Keyword歩車間通信, 協調認識
Abstract車両の安全な走行を実現するためにV2X(Vehicle-to-Everything)通信を用いた歩車間通信が検討されている. 歩車間通信では歩行者がPSM(Personal Safety Message)やVAM(Vulnerable road user Awareness Message)等のメッセージを送信することで車両が歩行者の存在を認識することが期待されている. 一方でこれらの歩車間通信に使用されるメッセージに加えて,V2X通信では車両の走行情報を共有するCAM(Cooperative Awareness Message)や車載センサで取得した情報を共有するCPM(Collective Perception Message)の送信が想定されており,多数のメッセージを送信することによって輻輳が発生する. そこで本稿では既存の輻輳制御手法や歩車間通信におけるクラスタリングによる情報削減技術に着目し,輻輳発生時における歩行者の認識間隔や認識率に関する基礎的な評価を行う. シミュレーションの評価環境として都市部の大規模なスクランブル交差点を選定し,認識可能な歩行者の可視化,及びチャネル利用率,パケット到達率,認識間隔,認識率,を評価した.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
5F-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title自転車用ナビゲーションアプリのための走行環境データ収集・分析機構の実装
Author*村重 圭亮 (大阪大学大学院情報科学研究科), 木戸 善之 (大阪大学大学院情報科学研究科/大阪大学サイバーメディアセンター/岡山理科大学情報理工学部), 下條 真司 (大阪大学大学院情報科学研究科/大阪大学サイバーメディアセンター), 矢野 英人, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 河合 由起子 (大阪大学サイバーメディアセンター/京都産業大学大学院 先端情報学研究科), 山口 琉太 (京都産業大学大学院 先端情報学研究科)
Pagepp. 1012 - 1020
Keyword加速度センサ, 照度センサ, スマートフォン, 路面状況, データマッピング
Abstract自転車用ナビゲーションアプリの多くは,目的地までの最短距離のルートを推薦している. 自転車による荷物配送時は,距離や走行時間だけではなく日照や,路面状況に車体振動があたえる荷物への影響や肉体への負担を減らすことも考慮する必要がある. しかし,多くの自転車用ナビゲーションアプリは,距離や走行時間を指標としてルートを推薦しており,ルート上の日照状況や路面状況などの道路の走行環境は考慮していない. そこで,本研究は自転車から収集した走行環境データに基づいて道路の走行環境も考慮したルート推薦を行う自転車用ナビゲーションアプリの作成を目標とし,走行環境を考慮したルートを推薦するための走行環境データを収集・分析する機構の実装を行う. 走行環境としては,日照状況と道路上の凹凸に着目し,スマートフォンのセンサから加速度,照度,位置情報データを収集する. 収集したデータはクラウド上のサーバへ送信され,日照状況と道路上の凹凸を解析する. 日照状況の判別処理では,照度の時系列データを正規化した後,閾値処理により判別を行う.道路上の凹凸の判別処理では,鉛直方向の加速度が急増している箇所を閾値処理で求めることで判別を行う. それぞれの判別結果を位置情報と併せて蓄積することで,将来的にナビゲーションアプリへの活用が期待できる. 評価では,日向と日陰が判別および,路面の凹凸の判別を評価し,スマートフォンから収集したセンサデータを用いて走行環境を推定できることを確認した.

5F-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title自転車走行中の表情に基づく地点に対する潜在的快適性分析システムの検討
Author*山口 琉太 (京都産業大学大学院先端情報学研究科), 栗 達 (京都産業大学情報理工学部), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), Panote Siriaraya (京都工芸繊維大学), 下條 真司 (大阪大学サイバーメディアセンター), 河合 由起子 (京都産業大学情報理工学部/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 1021 - 1027
Keyword二輪車, 経路推薦, 潜在的快適性, 表情分析, MaaS
Abstract近年,健康的,経済的な交通手段として二輪車の利用が世界的で促進されている.また,COVID-19の流行による自転車通勤の増加に伴いMaaSにおけるラストマイルの移動手段となる二輪車が注目されている.本研究では,二輪車で走行中の表情と走行後の記憶から走行環境に対する潜在的な快適性を抽出し,得られたデータを用いて快適な経路推薦システムを実現する.二輪車走行中は歩行時と違い文字入力等のスマホ操作ができない.そこで,走行中の表情に着目し,二輪車に搭載したスマホから運転者の表情と風景を取得し感情分析することで,ユーザの走行環境に対する潜在的な快適性を抽出し,地点に対してオートアノテーションする.これにより,ナビゲーションや地点の特徴をマッピングする等の利用につなげる.さらに,感情分析結果から明示的・潜在的快適性の高い場所の画像に対して快適さのフィードバックを実施することで,記憶による評価から潜在的快適性を学習する.本稿では,表情と記憶による地点に対する潜在的な快適性分析システムを構築し,関西在住の17人の走行により実験実証する.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
5F-5 (時間: 12:20 - 12:40)
Title視界状況推定に向けたドライバの眼球運動の有効性の調査
Author*大﨑 敬太, 若園 裕太 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 石田 繁巳, 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
Pagepp. 1028 - 1033
Keyword視界状況推定, 眼球運動, 経路推薦
Abstract視界不良は,交通事故の発生リスクを高める.視界不良による交通事故を防ぐためには,道路の視界状況を推定し,ドライバに提供することで,安全な経路選択を促すことが重要である.視界状況を推定する手法として,気象情報やカメラを用いた研究がある.しかし,これらの手法では道路ごとの推定や時間帯(昼・夜)に左右されない推定が難しい.これに対し,本研究ではドライバの眼球運動から視界状況を推定する手法を提案する.視線移動,注視,サッケードなどの眼球運動特徴量を用いて教師あり学習により視界状況を推定する.本稿では,ドライバの眼球運動が視界状況の推定に有効であるかの初期的検討として4種類の視界状況の推定に取り組んだ.直線道路走行時の眼球運動データから視界状況を推定した結果,F-measure 0.783で4種類の視界状況を推定できることを確認した.


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セッション 5G  遠隔会議支援と非言語情報
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 由井薗 隆也 (北陸先端科学技術大学院大学)

5G-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Title遠隔会議中のひそひそ話を実現する並行対話システムの提案
Author*鳥山 英峻, 山田 楓也 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 石田 繁巳, 白石 陽 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 1034 - 1040
Keyword遠隔会議, 顔特徴, 音声加工
Abstract近年,遠隔会議の需要が急激に増加している.遠隔会議は対面での会議と異なり,複数の並行した対話を行うことが難しい.そのため,発話への心理的負担が高く,会議参加者が自ら発話を抑制してしまう.そこで先行研究として,同時に複数の対話が可能な遠隔会議システムを提案し,その構成要素である2つのサブシステム(相手選択サブシステム,聞き取りサブシステム)を評価した.その結果,会議参加者の想定人数が増えると顔の角度の選択を直感的に感じる人は少なくなること,並行した発話の音声からの発話者の推定は難しいことを確認した.これらの問題点に対し,本稿では,顔の角度での発話相手選択を直感的に感じる最適数に固定して発話対象者を自由に交替できるUIを実装し,システム使用者に対して発話欲求を持つ並行対話者を強調表示する改善案を実装した.改善前との比較実験の結果として,改善サブシステムは相手選択の正確性が向上し,多くの被験者が改良後を使用したいという回答が得られた.発話相手選択の俊敏性に関しては,改善前の方が良いと答える被験者が多い結果となったが,改善後のサブシステムは先行研究より確認した問題を解決することができると考えられる.

5G-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Title参加者の同期的なジェスチャーを支援するビデオ会議システム
Author*小山 環 (玉川大学大学院工学研究科電子情報工学専攻), 塩澤 秀和 (玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科)
Pagepp. 1041 - 1049
Keywordビデオ会議, テレビ会議, ジェスチャー認識, 同期的なジェスチャー
Abstractオンラインのビデオ通話では,対面による話し合いに比べて非言語コミュニケーションが大幅に減少する.これによって,特に日頃対面による面識が少ない相手同士の場合,コミュニケーションの質の低下やそれによるストレスの増加といった問題が起きることが指摘されている.この問題に対して,我々は,オンラインビデオ会議においてシステムの支援によって非言語コミュニケーションの増加を促すことが良い効果をもたらすのではないかと考え,複数の参加者が動作のタイミングを合わせるような同期的なジェスチャーを視覚的に支援するシステムを開発した.具体的なジェスチャーとしてハイタッチとキャッチボールを実装し,ユーザのアンケートによって評価した.本システムは,アイスブレイクやカジュアルな会議などで用いると特に有効であると考えられる.

5G-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Titleオンライン会議での非言語情報による頷き動作を用いた話者支援システムの構築
Author*小野寺 葵, 佐藤 雅明 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科), 中村 修 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 1050 - 1060
Keywordオンライン会議システム, 自然言語解析, 非言語コミュニケーション
Abstract新型コロナウイルス感染症対策としての観点より,個人宅からのオンライン会議やオンライン授業への参加が急速に増加している.こうした状況の中,一人の話者が多数へと情報を伝達する1対多モデルでのコミュニケーションにおいて,発話者の不安や緊張,孤独感は対面型で行っていたときとは比べ物にならず無視できない.その原因として「場の空気が感じ取れない」ことが挙げられる. 本研究では,参加者のカメラ映像に依らず,参加者に対して視覚情報を提示することで,オンラインでの円滑な対話を実現する仕組みを提案,構築した.人型のバーチャルエージェントを利用し非言語動作の一種である「うなずく」動作によって音声の疎通をわかりやすく肯定のシンボルとして伝達するシステムの設計と実装を行った.結果,本提案に基づく擬人化エージェントによってオンラインプレゼンテーション中の非言語コミュニケーションの不足,また音声が届いているか分からない状態を解決し,発話者の不安や緊張,孤独感を軽減することが分かった.

5G-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title遠隔会議における会議参加者の発話衝突への意識とストレス量の関連
Author*木村 仁, 阿部 花南, 築舘 多藍 (明治大学大学院), 小林 稔 (明治大学)
Pagepp. 1061 - 1069
Keyword発話衝突, 精神的ストレス, 遠隔会議, 意識, 発話
AbstractCOVID-19の流行により,Web会議システムの利用率が増加した.Web会議システムを用いた遠隔会議には,通勤,出張などにかかる時間・費用の削減,環境負荷対策などの利点があるが,映像や音声に遅延が生じるなどの制限があるため,複数会議参加者が同時に話し出す発話衝突がさかんに起こる.これまで,遠隔会議で発話衝突が起こりやすいとされる要因や発話衝突確率の許容範囲について研究されてきたが,発話衝突がさかんに起こることで,会議参加者が精神的ストレスを感じる要因について調査する研究は少ない.本報告では,発話衝突に意識が向くようになることが精神的ストレスを顕著に感じさせる要因の一つであるという仮説をもとに実験による検証を行った結果,実施した実験の範囲で仮説を支持する結果が示された.


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セッション 5H  無線・移動体・IoT
日時: 2022年7月14日(木) 11:00 - 12:40
座長: 植田 和憲 (高知工科大学)

5H-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Title信頼性を向上させる非同期方式Backscatter MACプロトコルの一検討
Author*小泉 亮介, 小西 陽平, 木崎 一廣, 藤橋 卓也, 猿渡 俊介, 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1070 - 1076
KeywordInternet of Things, Backscatter, センサネットワーク, MAC, 擬似同期方式
Abstract近年,Wi-Fiなどの無線通信の省電力化手法としてbackscatter通信が注目を集めている.Backscatter技術を用いることでデータ送信時の消費電力を既存の無線送信機の1000分の1まで削減できる.しかしながら,backscatter通信はMedium Access Control (MAC)に関わる2つの課題を抱えている.第1に,backscatter tagがデータ送信を試みた際に外部機器から搬送波が供給されているとは限らない.加えて,複数のbackscatter tagが同時に通信すると互いの送信パケットが衝突する.本稿では,非同期方式のbackscatter MACプロトコルを提案する.提案するMACプロトコルは,搬送波と各backscatter tagの送信間隔の工夫と疑似同期方式から構成される.搬送波の供給間隔とbackscatter tagの動作間隔を工夫することでデータ送信が成立する確率を向上させる.加えて,各backscatter tagの動作間隔を工夫することでパケットの衝突確率を低減する.擬似同期方式では,搬送波の供給と各backscatter tagのデータ送信に対しスケジューリングを行わない一方,受信機がパケットを受信もしくは検知した場合に搬送波送信機に時刻情報などをフィードバックする.シミュレーション評価では,想定環境において提案手法が通信成功率を最大で約1.43倍向上させることを確認した.

5H-2 (時間: 11:20 - 11:40)
TitleCSMA/CAにおける受信電波強度に基づいた制御フレーム検知手法への動的しきい値の導入
Author*八田 海 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1077 - 1084
KeywordCSMA/CA, RTS/CTS, 隠れ端末問題, 晒し端末問題, RSSI
AbstractCSMA/CAは,無線通信の代表的な媒体アクセス制御方式として知られており,現在でも,最も普及した通信規格の一つであるIEEE802.11に採用されるなど,世界で広く使われている. CSMA/CAには古くから,隠れ端末問題や晒し端末問題と呼ばれる,通信性能を大きく低下させる問題が存在する. しかしながら,これらに対する根本的な解決策は,未だに提案されていない. この問題に対して梅澤らは,あるノードに近隣ノードの送信信号が届いており,通常であればビジー状態になる場合であっても,受信電波強度を監視することによって,復調することなく制御フレームの検知を高精度に行う制御フレーム多重化手法を提案した. これにより,CSMA/CAにおいて晒し端末問題の影響を大幅に低減した. しかし,先行研究では,周辺ノードの信号を検知したときに,ビジー状態へ遷移せずに送信するかどうかを決定するしきい値に静的な値を用いる点で,通信性能を改善できる余地がある. 本研究では,先行研究を拡張し,各ノードが送信するかどうかを決定する条件に動的なしきい値を設け,ノイズのRSSI値と返信される制御フレームのRSSI予測値の両方を用いて,送信するかどうかを判断することにより,柔軟な通信動作を実現し,先行研究より通信性能を改善する.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
5H-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title低出力ミリ波レーダで広範囲から読み取り可能なコーナーリフレクタ型チップレスRFID
Author*飯塚 達哉 (日本電信電話/NTT宇宙環境エネルギー研究所), 笹谷 拓也 (東京大学/工学系研究科電気系工学専攻), 小阪 尚子, 久田 正樹 (日本電信電話/NTT宇宙環境エネルギー研究所), 鳴海 紘也, 川原 圭博 (東京大学/工学系研究科電気系工学専攻)
Pagepp. 1085 - 1091
Keywordミリ波レーダ, チップレスRFID, ドローン, 環境
Abstract本稿では,空中のドローンから視界不良下でも識別できる標識の実現に向けて,低出力なミリ波FMCWレーダを用いてスラントレンジから広範囲に読み取るためのコーナーリフレクタ型のチップレスRFIDの信号処理手法およびタグ設計技術について述べる. ミリ波レーダをドローンに搭載し,屋外にてタグの読み取り実験を行い,タグから14m離れた空中に位置するドローンから8ビットのタグを読み取れることを確認した.

5H-4 (時間: 12:00 - 12:20)
TitleWi-Fi センシングのための正弦波フレームを用いたBackscatter タグ検出法の検討
Author*宮尾 和樹, Viktor Erdélyi, 内山 彰, 猿渡 俊介 (大阪大学大学院情報科学研究科), 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科/京都橘大学工学部情報工学科)
Pagepp. 1092 - 1100
KeywordWi-Fiセンシング, Backscatter, ソフトウェア無線
Abstractこれまでに様々なセンサを利用した状況認識の手法が多数提案されているが,電池交換などの維持管理コストが高いという課題がある.これに対し,我々は Backscatter センシングシステムによる状況認識の実現を目指している.本システムでは,Backscatter タグと呼ばれる小型で超低消費電力なタグを人や物に装着し,基地局 SD-WiFi から発信される正弦波に対するタグの反射波を観測することで,人の動きや物の状況を認識する.これを実現するため,本研究では SD-WiFi の正弦波フレームを用いた Backscatter タグ検出法の検討を行った.微弱なタグの反射波を検出するため,高速フーリエ変換により周波数領域で信号強度を分離し,一定期間の受信信号を重畳する.これによって,タグからの反射波が存在している場合に,隣接周波数に対し,一定以上の受信信号強度が得られる.さらに,タグのシフト周波数が既知であることを利用し,タグ検出の対象とする周波数を限定することで,誤検出を抑制する.実機実験の結果,タグ検出に利用する信号の受信期間が長いほどタグの検出率が向上し,タグと送受信機の距離が 5m 以内の場合に,91.7%の検出率を達成できることが分かった.

5H-5 (時間: 12:20 - 12:40)
Title複数ドローンを用いた下水管検査システムのための映像データとドローン制御情報のマルチホップ伝送プロトコルの設計
Author*堤 悠喜, 近本 祐介 (静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻), 石原 進 (静岡大学学術院工学領域)
Pagepp. 1101 - 1107
Keywordマルチホップ, Intermittent Periodic Transmit, ドローン, 下水管, センサネットワーク
Abstract日本の深刻な下水管の老朽化に対応するため,筆者らは複数台の無線制御のUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を用いた検査について検討している.この手法では,下水管内に複数のUAVで鎖状のマルチホップネットワークを構築し,先頭のカメラ搭載UAVが撮影した映像データを無線LAN通信で中継UAV・制御ノード経由で地上の操作端末までマルチホップ伝送する.地上からのUAV制御とリアルタイムな撮影映像の確認を実現するためには,制御情報伝送の信頼性を確保し,遅延を十分に小さくしつつ,映像データ伝送のスループットを最低限確保するマルチホップ通信手法が必要である.本稿では単一チャネルでのマルチホップ無線ネットワークにおいて,隠れ端末問題による衝突を回避しつつ高効率なパケット転送を実現するBi-IPT(Bidirectional Intermittent Periodic Transmit)転送方式を改良し,アプリケーション層で制御情報とストリーミングデータ転送を同居させる方法を提案する.


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セッション 6A  統一セッション:クラウド
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 三宅 悠介 (GMOペパボ株式会社)

6A-1 (時間: 14:40 - 15:20)
Title(招待講演) AI時代に向けたクラウドにおける信頼性エンジニアリングの未来構想
Author*坪内 佑樹 (さくらインターネット/京都大学), 鶴田 博文 (さくらインターネット)
Pagep. 1108

6A-2 (時間: 15:20 - 15:40)
TitleKubernetes制御プレーンにおけるリソースの連鎖的変更の監視
Author*江平 智之, 小谷 大祐 (京都大学), 城倉 弘樹, 市原 裕史 (LINE), 岡部 寿男 (京都大学)
Pagepp. 1109 - 1116
KeywordKubernetes, オーケストレータ, システム運用技術, 分散システム性能計測
Abstractデプロイの自動化などの様々な機能を持ち、多数のコンテナの管理・連携を容易にするシステムとしてKubernetesがある。Kubernetesの様々な機能はオブジェクトとその集合であるリソースを設定することで管理されるが、多くのオブジェクトは他のオブジェクトの状態に依存して状態が変化するため、あるオブジェクトに変更が起こると連鎖的に他のオブジェクトへ変更が伝播していく。これらの変更に要する時間はシステムの可用性に直結しているため、依存関係にあるリソース間で変更伝播に要する時間を数値化して制御プレーン内部の動作を明らかにする仕組みが必要である。しかし、これらのリソースの間には直接的な関係はなく、この計測は容易ではない。本論文では、オブジェクトの変更がすべて制御プレーン内のサーバから通知されることを利用してオブジェクトの変更をログに出力し、与えたリソース間の依存関係の情報を利用してそのログからリソース間・オブジェクト間の連鎖的変更に要する時間の解析を行うシステムを提案する。実装したシステムを用いていくつかのシナリオにおいて依存関係にあるリソース間の連鎖的な変更に要する時間を計測できることを確認し、加えて連鎖的変更におけるボトルネックの特定に役立つことも確認した。また、実装したシステムのオーバーヘッドを測定してCPU・メモリ使用率がともに小さく、導入によって制御プレーンに与える影響が十分小さいことを示した。

6A-3 (時間: 15:40 - 16:00)
Titleコンテナ環境における名前空間の設計と分散型名前解決機構の提案
Author*片岡 拓海 (北陸先端科学技術大学院大学), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報社会基盤研究センター)
Pagepp. 1117 - 1123
Keywordサービスディスカバリ, コンテナ型仮想化, 名前解決
Abstractクラウドコンピューティングや分散システム環境において、コンテナ型仮想化技術の利用が増加している。多くのコンテナ型仮想化技術ではコンテナ環境内部に専用のネットワークを構築し、その名前空間は既存の名前空間と互換性がない。一方、コンテナ内部で稼働するサービスへのグローバルアクセスの要求は多い。そのため、コンテナ外部からコンテナ内部で稼働するサービスを把握するために透過的な名前解決が求められている。本研究ではコンテナ環境内部で稼働するサービスに対して外部から柔軟にアクセスできるようになるためのサービスディスカバリシステムを提供することを目的とする。本稿では、まず、コンテナ環境におけるネットワーク技術やサービスディスカバリ機構に関連する技術について調査した。次に、本研究で最適な設計手法の検討を行い、DDNS を用いたサービスディスカバリシステムの設計と実装を行った。そして、SOCKS プロキシを用いた実証実験の結果、透過的なサービス名解決が可能になることを確認した。今後の検討項目として DNS リゾルバ API の拡張実装や大規模なサービス展開時の挙動を調査する必要があることが明らかになった。


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セッション 6B  AR・3Dモデル
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 大村 廉 (豊橋技術科学大学)

6B-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Title動きからの構造: 2D画像からの3Dテクスチャの再構築
Author*大野 友暉, 大北 剛 (九州工業大学)
Pagepp. 1124 - 1128
Keyworddeep learning, activity recognition, shape recognition, AI, graphics
Abstract本論文では、近年、深層学習の進歩により可能になりつつある, 複数の2Dの写 真から3Dの人間を再構築する技術について, サーベイを行う.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
6B-2 (時間: 15:00 - 15:20)
Title移動体を用いた室内における二酸化炭素濃度のAR可視化システムの提案
Author*大塚 真帆, Monica Perusquía-Hernández, 磯山 直也, 内山 英昭, 清川 清 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1129 - 1134
Keyword二酸化炭素濃度, センサ, Augmented Reality, 可視化, 移動ロボット
AbstractCOVID-19感染対策の1つとして換気の徹底が必要とされている. 室内の適切な換気状態の基準として,二酸化炭素濃度が 1000 [ppm] 以下であることが提唱されている.実際に,CO2 濃度の変化をディス プレイに表示するシステムの利用が飲食店を中心に増えている.しかし,CO2 濃度は直感的に理解しにくく,適切な換気行動を促すには,より直感的なフィードバックが必要だと考える.本稿では,CO2濃度を可視化することで適切な換気行動を促すことを目的とし,移動体を用いた室内のCO2濃度のAR可視化システムを提案する.実際にAR 表示可能なHMDとしてMicrosoft HoloLens 2,自律移動ロボットとして iRobot Roomba 600 Series,CO2 ガスセンサモジュールとして M5Stack Gray と TVOC/ eCO2 ガス センサユニットを用いてシステムを試作したところ,ガスセンサモジュールを取り付けた自律移動ロボッ トを室内で巡回させることで自動的にCO2濃度分布を取得し,HMDを用いてこれを可視化することができた.本稿では,試作システムの実装の詳細と今後の展望について述べる.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
6B-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Titleプライバシに配慮した協働環境向けAR物探し支援システム
Author*押見 洋土, Monica Perusquía-Hernández, 磯山 直也, 内山 英昭, 清川 清 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1135 - 1140
KeywordAR, プライバシ, 移動物体認識, 物探し, ナビゲーション
Abstract物探しは多くの人が共通して経験する,コストのかかる行為である.複数人が共有する物品についての物探しは個人によって管理される物品より難しく,探す人はより少ない情報で探索を行わなくてはならない. 物探しの支援について様々な手法が提案されているが,それらの従来手法の課題として,システムへの物品の事前登録の時間的・経済的コストや複数ユーザ利用におけるプライバシが挙げられる.システムがユーザによるアイテムの移動を認識して画像やアイテムの移動情報を自動で登録する場合,他のユーザに共有される情報は,他のユーザが意図せず登録したプライベートな情報を含む可能性がある. そこで本研究では事前登録を用いずに,アイテムの移動の開始・終了を自動認識することで,アイテムの位置情報を追跡する手法を提案する.提案手法ではユーザの探索の際に移動の始点と終点を繋ぐ直線をARで表示することでユーザを誘導し,従来研究のプライバシの問題を解決する. 本稿では試作システムの実装と動作について説明し,現状の制約や動作の安定性などの課題を確認したうえで今後の展望について述べる.


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セッション 6C  生体情報
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 角 康之 (公立はこだて未来大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
6C-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Titleスマートフォンを用いた画像認識による口腔・嚥下機能の定量的評価手法
Author*耿 世嫻, 平井 雄太, 下島 銀士 (東京大学), 柳田 陵介, 山田 大志 (東京医科歯科大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野), 小野寺 宏 (東京大学), 戸原 玄 (東京医科歯科大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野), 矢谷 浩司 (東京大学)
Pagepp. 1141 - 1148
Keywordオーラルフレイル, 口腔機能, 嚥下機能, 画像認識, モバイルアプリケーション
Abstract医師による嚥下障害の診断には,患者に定期的な通院が必要な点や診断結果が医師の経験に大きく左右される点が課題として存在する.そこで我々は,患者が在宅で簡単に嚥下障害の有無を評価できるようにするため,スマートフォンで撮影した動画から口腔・嚥下機能を評価する手法を提案する.提案手法の実現に向けて我々は,口腔・嚥下機能を分析するために必要なタスク群を決定し,147名の実験参加者から得られたそれらのタスクの動画の分析を行った. その結果,87.1%の精度,0.612のF値の識別性能を得た.

6C-2 (時間: 15:00 - 15:20)
Title脈波センサを用いた把持物体の温度推定手法の提案
Author*堀田 潤弥, 村尾 和哉 (立命館大学)
Pagepp. 1149 - 1155
Keyword脈波センサ, 脈波, 温度推定, ウェアラブルデバイス
Abstractウェアラブルデバイスを用いて生体情報を計測することで,脈波などのさまざまな情報を取得でき,高齢者支援や医療支援のような多様なニーズに応用されている.脈波の計測に関して,皮膚温度の変化によって末梢血管が拡張および収縮することで,血流量が変化することが考えられる.また,血流量の変化は脈波の振幅の変化と同じであるため,把持している物体の温度によって変化した皮膚温度と脈波の振幅に相関関係があると推測できる. 本研究では,スマートウォッチや活動量計に搭載されている脈波センサを用いて,把持している物体の温度を推測する手法を提案する.提案手法によって,脈波から把持している物体の温度を推測できるため,先天的に痛覚がない人,認知症を患っていることにより大脳の機能低下が原因などで痛覚がない高齢者に対して,低温やけどや,高温のものを無意識に長時間持ってしまうような温度に関する感覚障害を防ぐことができる.提案手法に対する評価実験を行った結果,78%の正解率となった.

6C-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Title額のシワ画像による個人識別を用いた非接触計測体温計登録システムの設計と実装
Author*猪熊 洸希, 村尾 和哉 (立命館大学)
Pagepp. 1156 - 1162
Keyword個人認識, 体温計測, 額のシワ画像
Abstract近年,新型コロナウイルスの流行に伴って,公共施設を利用する際や日々の体調確認を行うために, 体温を計測する機会が大幅に増加した.その中でも非接触な点からタブレット型やガン・ハンディ型のデ バイスを用いた検温システムの導入が進んでいる.一方で,タブレット型は設置スペースの確保が必要に なり,被検温者自らタブレットの前に移動しなければならないという点から,集団病室で患者の体温を測 る際など,検温システム設置のスペース確保が難しい場合はガン・ハンディ型の検温システムが好ましい. 体温を測り,個人と結びつけるガン・ハンディ型の検温システムは筆者の知る限り,存在しない.本研究 では前頭筋を縮めることによって額に意図したタイミングでシワを表出させ,ガン・ハンディ型の検温デ バイスの上に取り付けた一般的なカメラモジュールからシワの画像を取得し,機械学習を適用することで, 個人識別を行い,検温デバイスから得られた体温と個人を結びつける手法を提案する.提案手法では額に表 出させて取得したシワ画像を 161×477 のサイズに揃え,カラー画像のまま,グレースケール化処理,ガン マ補正解除とグレースケール化処理の 3 パターンの前処理を行う.その後,各前処理で得られた画像に対 して,畳み込みニューラルネットワークを用いて分類器を学習する.実験 1 では 20 代 ∼40 代の被験者 12 人に対して,600 枚のシワ画像を取得し,5 分割交差検証を用いて,シワ画像を用いた個人識別の有効性を 評価した.その結果,平均 F 値 0.94 の精度で個人を識別できることを確認した.実験 2 では 20 代の被験 者 5 人に対して非接触体温計で検温すると同時にカメラモジュールから 150 枚のシワ画像を取得し,3 パ ターンの画像の前処理を行い,畳み込みニューラルネットワークを用いて 5 分割交差検証を行った.その 結果,被験者関わらず識別精度がどのパターンの前処理でも平均 F 値 0.93 を超える識別精度を得られた.

6C-4 (時間: 15:40 - 16:00)
Title一体感の創出に向けた他者の生体情報フィードバックによる集団の生体情報の分散減少手法
Author*藤田 直樹 (神戸大学大学院国際文化学研究科), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 1163 - 1170
Keywordバイオフィードバック, 心拍数
Abstract映像コンテンツ視聴時に他者と一体感を得ることは視聴体験を豊かにする.一体感は会話により内面状態を共有し一致することで得られるが、視聴中は会話が減少するため内面状態を共有し一致させる方法が必要である.生体情報は内面状態の指標として扱われるため,被験者は他者の生体情報から内面状態を推定でき,値が被験者と一致するとき一体感が創出される可能性がある.また,集団に他者情報を含めたバイオフィードバックを行うと互いにつられて一致する可能性がある.そこで本研究では,他者情報を含めたバイオフィードバックによる集団の生体情報の分散減少手法を提案する.また,集団のコンテンツ視聴において提案手法を用いた際の一体感の創出について調査する.本稿では生体情報に心拍数を用い,他者情報として集団の平均心拍数を提示する.映像コンテンツはホラーコンテンツを用いる.提案手法の有効性を評価するため,被験者本人の心拍数のみを提示する従来手法と集団の平均心拍数を含めて提示する提案手法の2つのフィードバックの実験を行い,一体感に関するアンケート調査を行った.提案手法では集団の心拍数の分散が減少し,特に実験中の心拍数が平均心拍数より高い被験者はつられやすい可能性があることを確認した.また,コンテンツ視聴時の集団の平均心拍数の提示が一体感の創出に有効である可能性があることがわかった.


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セッション 6D  マルチメディアシステム
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 美原 義行 (NTT)

6D-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Title音声対話情報発信型サーバと連携したウェアラブルデバイスの提案
Author*國部 渚, 安部 惠一 (神奈川工科大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 1171 - 1176
Keyword音声対話システム, ウェアラブルデバイス, ホームネットワーク, 音声対話エージェント
Abstract本論文では既存のウェアラブル型音声対話システムよりも利用者側に身に付ける機器の個数を削減でき,軽量化した室内向けウェアラブル型音声対話システムについて提案する。本提案の使用場所は室内のみに限るが,複数の部屋を有する室内において利用者が部屋を移り換わっても遜色なく好きな音声対話エージェントと自由に会話が行え,かつ必要なときに生活情報(お天気など)の取得や,音声によりリモートで家電操作できる技術について提案する.本提案システムの構成はスマートグラス,音声対話情報発信サーバ、無線通信型マイク及びヘッドフォンなどからなる。利用者に身に付ける機器はスマートグラス、無線通信型マイク及びイヤフォン、モバイルバッテリのみである。宅内のサーバから音声対話情報を発信し,利用者側のウェアラブルデバイスで受信するシステムとした.今回、我々が提案したシステムのプロトタイプ開発を行い,実証実験を行った。また,アンケート評価により本提案システムの有効性を評価したのでその詳細を述べる.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
6D-2 (時間: 15:00 - 15:20)
Title複数シナリオに対応したタスク指向型対話システムの開発と介護施設向け見守りロボットへの応用
Author*須崎 孝嗣, 河村 優周, 沼尾 雅之 (電気通信大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻)
Pagepp. 1177 - 1181
Keyword対話システム, タスク指向型, 音声対話, マルチモーダル, ヘルスケア
Abstractタスク指向型対話システムは旅行案内や検索などの課題の解決に有用である. 近年では, 対話システムに深層学習を適用してEnd-to-Endのシステムを開発する研究が盛んに行われている. しかし, 深層学習法では大量のコーパスが必要であり,ルールベースでは対話システム分野の専門家でないとシナリオの追加や編集を行うことが難しいという問題がある. 現在のタスク指向型対話システムの課題として,複数のシナリオへの遷移,各シナリオでの対話が柔軟に記述できること,さらに,シナリオ内でのRedo, Undo, Skipや,シナリオ間の移動や復帰などといった,メタ制御が必要である. さらに, 実際の対話では,話声のテキスト情報だけではなく,顔の表情や声のトーンなどのマルチモーダルな情報も利用して,自然な会話を成り立たせている. そこで本研究では, 複数のシナリオにおいて容易にシナリオの作成 ・ 変更ができ, マルチモーダル情報も,話声テキスト情報と同様に扱えるような対話システムの開発を行った. 対話制御は状態遷移マシンで行っており,遷移ルールはルールベースで行っており, シナリオは独自のルールを用いたXMLファイルによって定義した. さらに, シナリオにタイムアウトや繰り返しキャンセル等のメタなコマンドを用意することで柔軟に対話を進行できるようにした. また, このシステムを介護施設に設置することによって高齢者の見守りへ応用する.

6D-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Titleライフログに応じて発話を変えることでユーザに親密さを感じさせる対話システムの検討
Author*前薗 そよぎ, 原 直, 阿部 匡伸 (岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科)
Pagepp. 1182 - 1190
Keywordライフログ, 対話システム, 雑談対話システム
Abstract人とシステムの会話において,ユーザが対話を楽しむためには,システムに対してユーザが親密さを感じるほうが望ましいと考えられる.人とシステムの会話において,会話を重ねるたびにシステムがユーザに関する情報を用いて応答内容を変えると,ユーザはシステムに親密さを感じるのではないかと考える.なお,ユーザに関する情報はライフログから得られると想定する.本稿では,前段階としてユーザのライフログを利用する対話システムを作成し,システムの評価と今後の課題を検討した.主観評価実験の結果,ユーザのライフログから推定した単語の推定結果が正解の際には,ユーザの感情極性(ユーザがポジティブな話題ととらえるか否か)ごとに発話内容を変える必要があることが分かった.また,推定結果が不正解の際には,誤ったスロット種別を用いた応答など,推定誤りによって一貫性がないように感じられることが分かった.


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セッション 6E  IoT・ナビゲーション
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 郡浦 宏明 (日立製作所)

6E-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Titleスマート家電デバイスの通信プロトコル調査
Author*妹尾 尚一郎, 森實 拓真, 林田 蒼, 古谷 彰教, 中山 裕之 (徳島文理大学)
Pagepp. 1191 - 1194
Keywordinternet of things, network security, smart home
Abstract家庭向けIoT (Internet of Things)製品として,スマートリモコン,スマートプラグ,ネットワークカメラといった,スマートフォンのアプリやスマートスピーカーへの音声から制御可能なデバイスがあり,家電品の手軽な操作や留守宅の防犯に利用されている.これらのデバイスはインターネット上のクラウドと通信することでアプリからの遠隔制御を提供するため,インターネットからの脅威にされられており,攻撃を可能とする脆弱性も報告されている.そこでこれらのセキュリティ対策を調査すべく,デバイスとクラウド間の通信プロトコルをモニタし,暗号化や認証の状況を調査した.Amazonで販売されている比較的安価なスマートリモコン,スマートプラグ,ネットワークカメラ各10製品以上を調べた結果,TLS,MQTT,HTTP,UDPといったプロトコルが用いられていたが,暗号化されておらずログイン情報が読み取れた例や,TLSを用いていてもClient HelloのTLS fingerprintおよび乱数値が同一で共通の暗号ライブラリからカスタマイズ無しに実装されたと推定される例が見つかり,通信内容を一般的な手段でモニタするだけで,セキュリティ対策が不十分であろうデバイスを検出できることが分かった.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
6E-2 (時間: 15:00 - 15:20)
TitleIoTデバイスの通信セキュリティ向上のためのホームネットワーク仮想化フレームワークの提案
Author*塚崎 拓真 (同志社大学大学院 理工学研究科), 滕 睿 (同志社大学モビリティ研究センター), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院 理工学研究科)
Pagepp. 1195 - 1200
Keywordホームネットワーク, OpenFlow, Proxy, コンテナ
Abstract近年,IoT(Internet of Things)が注目を集めるようになり,今後あらゆるモノがネットワークに接続され,利用されることが予想される.しかし,IoTの発展により利便性が高まる一方で,セキュリティ上のリスクも高まっている.IoTデバイスはリソース制限により,適用できる機能が限られるという問題点があり,セキュリティ対策の適用は困難である.また,今後はホームネットワーク内で閉じたデバイス間の通信によって連携を行う形になることが想定され,各デバイスにおいてアクセス制御等の更なるセキュリティ対策を行う必要がある.そこで本研究では,各IoTデバイスに柔軟にセキュリティ対策を適用するために,コンテナを用いてIoTデバイス間通信を中継することで,各デバイスに対して,仮想的にセキュリティ対策を適用できるシステムを提案した.また,ホームネットワーク内の通信のトラフィック情報は既知であるため,提案システムではOpenFlowを用いて,ホームネットワーク内の通信を監視するフレームワークの構築も検討した.そして,IoTデバイス間で閉じた通信を行うシミュレーションの評価を行い,ホームネットワークにおいてセキュリティ要件を保つことを示した.

6E-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Title自動走行台車SLAMにおける位置測位方式
Author*澤野 雄哉, 渡辺 拓哉 (神奈川工科大学大学院), 寺島 美昭 (創価大学), 清原 良三 (神奈川工科大学)
Pagepp. 1201 - 1208
Keyword自動走行, 台車, 位置測位, 不審者
Abstract自律走行ロボットの技術は自動運転技術とともに発展しており,多くの場所で導入が進められている.特に,産業界では人件費削減,作業の質の均質化,質の向上などを目指している.一般的な家庭では,掃除ロボットや高齢者や子供のなどの見守りロボットとして活用されている.また,警備においても古くからロボットが導入されている.また,大学キャンパスでは,オープンキャンパスや学際などで,様々な空間を形成することが多い.あらかじめ配置図を作成していても,その通り現場の人が配置してくれるとは限らない.そこで,このような場所をロボットが巡回するには,SLAM技術を利用して自動走行と同時に地図を作成することで安全に動き回ることができる.しかしながら事前の知識の少ない場所においては,段差など進入することで機器の障害につながるような場合もある.また,警備という観点からは一定の位置精度で,見つけた不審人物などの位置を通報する必要がある.そこで,本論文では,想定するユースケースを明確にした上で,位置精度の要求条件を検討し,その上で,その精度を達成する手法を提案する.


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セッション 6F  プライバシー保護・ユーザブルセキュリティ
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 小林 良輔 (MDIS)

優秀論文賞 / Paper Awards
6F-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Titlekey-valueデータにおける局所差分プライバシーアルゴリズムPrivKVの改良
Author*堀込 光 (明治大学先端数理科学研究科), 菊池 浩明 (明治大学総合数理学部), Chia-Mu Yu (Department of Information Management and Finance, National Yang Ming Chiao Tung University)
Pagepp. 1209 - 1216
Keyword局所差分プライバシー, EMアルゴリズム, 差分プライバシ
Abstract局所差分プライバシは,単一次元の個人の持つプライバシー情報に局所的にノイズを付与することで,プライバシー情報が特定されることを防ぐ技術である.Randmized Response(RR)やHarmonyのよ うな従来の局所差分プライバシアルゴリズムでは,単一次元の情報しか扱うことができなかった.Ye らによって提案された局所差分プライバシアルゴリズムPrivKVでは,離散値と連続値の2次元のデータであるkey-valueデータについて,離散値と連続値の相関を維持したプライバシー情報の収集を可能にした.しかし,PrivKVでは,最尤推定法で集計がされており,精度が十分ではない.そこで,本稿では,PrivKVに対してExpectation Maximization(EM)アルゴリズムを適用する手法を提案し,数値実験により従来手法との精度を比較する.

6F-2 (時間: 15:00 - 15:20)
Title非負集計データのための部分和精度に優れた差分プライバシー適用手法二次元化の試み
Author*本郷 節之, 杉尾 信行 (北海道科学大学/工学部情報工学科), 寺田 雅之 (NTTドコモ)
Pagepp. 1217 - 1224
Keywordプライバシー保護, 差分プライバシー, ウェーブレット変換, 非負制約, 部分和精度
Abstract本研究では,元のデータベースに含まれる個々のデータの集合体(個票)から,何らかの条件を満たすデータの個数を数えた数値データの集合体であり,さらに,全体的に疎な分布をとるような集計データを対象とする.Dwork らが提案した差分プライバシー基準は,データベースへの問い合わせを行った際に,「ある特定のデータがデータベースに含まれているか否かを問い合わせ結果から判別することが困難である」ことを安全性の根拠とするプライバシー保護基準である.差分プライバシー基準を満たす代表的な手法にLaplace メカニズムがあるが,大規模集計データに適用する場合には,「非負制約の逸脱」「部分和精度の劣化」「疎データの密度急増」といった問題への対処が必要となる.我々は以前,これら3 点の課題を同時に解消・改善する手法として,「非負精緻化を伴うPrivelet 法」を提案した.しかしこの手法は一次元データ系列を対象としており,例えば地理空間上に配置されたデータへ適用する際には,二次元のデータを一次元に変換する前処理と,その逆の後処理を行う必要がある.そこで本研究では,本来一次元データを対象とするこの手法を二次元化する方法を検討している.本稿では,今回構築した実現方法を解説するとともに,一次元方式との比較を通じて,二次元方式の特性評価を試みる.

6F-3 (時間: 15:20 - 15:40)
TitleWebで公開されるPDFファイルのHidden dataの現状の調査 ―日本の警察を対象として―
Author*長谷川 太一 (東京電機大学 工学研究科 情報通信工学専攻), 齊藤 泰一 (東京電機大学 工学部 情報通信工学科), 佐々木 良一 (東京電機大学サイバーセキュリティ研究所)
Pagepp. 1225 - 1230
KeywordPDFファイル, メタデータ, Hidden data
Abstract日本では2012年に電子行政オープンデータ戦略が決定し,オープンデータが増加している.オープンデータの公開方法はWebページ,PDFファイル,Excelファイルなどがある.また広報など刊行物はPDFファイルで公開されている.PDFファイル,Excelファイルなどでは作成者の意図しない情報(Hidden data)が含まれている可能性があり,Hidden dataは標的型攻撃などに悪用される恐れがある.そのためHidden dataの確認,消去が必要である.Hidden dataを消去することをサニタイズと呼ぶ.本研究では,日本の警察がWebサイトで公開しているPDFファイルのHidden dataの調査を行い,海外の先行研究との比較を行う.


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セッション 6G  災害・社会問題のICT支援
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 宮田 章裕 (日本大学)

6G-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Title災害ツイートを対象にした場所参照表現の抽出
Author*六瀬 聡宏, 内田 理 (東海大学)
Pagepp. 1231 - 1235
Keyword災害, ソーシャルメディア, 自然言語処理, 機械学習, 場所参照表現
Abstract大規模災害時の被害を最小限に抑えるためには,迅速かつ的確な情報の収集と伝達が重要である.そのため,災害時にこれらの役割を担う政府や自治体でも,Twitterをはじめとする即時性の高いソーシャルメディア上で情報の収集や発信を行うなど,積極的に利活用する動きが見られる.一方で,大規模災害時にはソーシャルメディア上を流通する情報量が急激に上昇するため,重要度や有益性の高い情報を膨大なツイート群から,迅速に選別する必要がある.また,災害対応者が意思決定を行う上で,各ツイートの内容がどの場所を対象としたものであるかを特定する(場所を参照する表現を抽出する)ことも重要である. このような背景から,災害時に投稿されたツイートを対象としたジャンル分類や有益情報の抽出,場所・地点の特定などに機械学習の活用が試みられている.しかし,災害発生と同時に学習データを用意しモデルを構築することは困難であるから,過去の災害時ツイートデータを利用してモデルを構築することが検討されている.本研究では国内で発生した3つの豪雨災害に焦点を当て,他の災害時の投稿で学習したモデルを利用した場所参照表現抽出について検証する.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
6G-2 (時間: 15:00 - 15:20)
Titleマイクロブログにおける流言と訂正情報の流布に関する特徴分析
Author*草竹 大暉 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 平林(宮部) 真衣 (東京大学大学院医学系研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1236 - 1244
Keyword流言, 訂正情報, マイクロブログ, 流言拡散防止, リツイート
AbstractTwitterなどのマイクロブログサービスにおいては,正しい情報だけではなく,流言を含む情報も発信されることがある.流言には社会的混乱を引き起こすような内容のものがあり,流言が広まりにくい仕組みを作る必要がある.本研究では,流言への拡散防止において重要となる「訂正」に着目し,マイクロブログにおける流言と訂正情報の流布に関する特徴分析を行う.分析の結果,マイクロブログにおける流言と訂正情報の流布に関する特徴として以下の5点を明らかにした.(1)流言ツイート数に比例して訂正ツイート数が多くなっているわけではなく,流言ツイートが拡散しているにもかかわらず,訂正ツイートが拡散していない場合がある.(2)流言ツイートは特定の日だけに限らず分散し,突発的に発生しない傾向がある.(3)訂正ツイートは特定の日に集中し,突発的に発生する傾向がある.(4)流言ツイートおよび訂正ツイートは同一内容のツイート数の割合が高く,同じツイートが集中的にリツイートされることで,マイクロブログ上に流言の話題がのぼる傾向がある.(5)流言ツイートと訂正ツイートのどちらにおいても一度発生すると,完全な収束までに長期間を要する傾向がある.

6G-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Title進学と転校を考慮した小中学校区統廃合問題の定式化とその解法
Author*清水 仁 (日本電信電話株式会社), 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1245 - 1252
Keyword校区再編, 整数計画問題
Abstract現代の日本のように人口が減少する社会では,児童や生徒の減少に伴い小学校や中学校を統廃合する必要がある. 一方で,小学校の校区を中学校の校区で包含するスクールファミリーを実現することで,小中学校の連携を円滑にしたいという行政の要請もある. しかし,小中学校の統廃合や校区の変更をすると,通学距離が伸びる場合があるだけでなく,廃校になる学校から転校しなければならず在校生に負担がかかる. これに対して,統廃合にともなう転校を回避するために,新入生の校区のみを変更することも可能である. しかし新入生の校区のみを変更すると,学年によって通学先が異なる状態となり,両方の学年に兄弟児がいる家庭は通学先が複数となるため負担が増加する. 本稿では人口が変化する状況下で以上のような様々な負担を考慮して,スクールファミリー実現までの最適な校区再編計画を策定することを目的とする,新しい小中学校区統廃合問題を定式化する.

6G-4 (時間: 15:40 - 16:00)
Title制御焦点理論を目標設定に活用した避難訓練支援システムの開発
Author*福島 拓, 大西 響 (大阪工業大学), 蔵永 瞳 (滋賀大学)
Pagepp. 1253 - 1258
Keyword避難訓練, 制御焦点理論, 動機づけ
Abstract本稿では,システム利用者の志向性を考慮した動機づけを行う避難訓練支援システムについて述べる.我々が過去に行った避難訓練支援システムの実験では,システムを用いた避難訓練の実施状況が利用者ごとに異なっており,利用者に合わせたシステム利用についての動機づけの必要性が示唆されていた.そこで本研究では,自己制御の志向性に関わる理論である制御焦点理論を活用した目標設定機能を避難訓練支援システムに適用した.その際,特に望ましい結果の獲得に着目する志向性である促進焦点傾向者をターゲットにして機能を構築し,実験を実施した.本稿の貢献は以下である.(1)目標設定機能により,訓練回数の増加が可能であることを示した.(2)利得を意識させる目標設定により,促進焦点傾向者の防災意識向上の可能性を示した.


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セッション 6H  モバイルコンピューティングと新社会システム2
日時: 2022年7月14日(木) 14:40 - 16:00
座長: 東野 正幸 (鳥取大学)

6H-1 (時間: 14:40 - 15:00)
Title頷き誇張により会話中の「間」を合わせるオンライン会話支援システム
Author*窪田 太一, Monica Perusquía-Hernández, 磯山 直也, 内山 英昭, 清川 清 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1259 - 1265
Keywordビデオ会議, 会話支援, 頷き, 「間」, 引き込み現象
Abstract本研究では,非対面コミュニケーションにおいて話者の頷きを誇張し,引き込みのきっかけを与え るシステムの実現を目指す.本稿ではその第一歩として我々が提案するリアルタイム頷き誇張システムが コミュニケーションに与える影響を調査した.リアルタイム頷き誇張システムとは,オンライン会話シス テム同様に発話者固有の顔の特徴や表情変化をリアルタイムで反映しながら,頷きのピッチ角度を指定し た倍率に誇張できるシステムである.実験では,頷き誇張あり・なしの 2 条件を用意し,被験者 11 組に対 して対話実験を行った.評価は 14 項目のアンケート及び自由回答により実施した.その結果,全ての項 目において 2 条件間で有意差は認められなかった.なお,会話の教示に不備のあった 2 組を除き,9 組の データのみで検定した場合は Familiarity / 親近感に有意傾向 (p = 0.062) が見られた.今後,実験設定や 教示方法を見直すことで,提案システムの有効性が示される可能性がある.

6H-2 (時間: 15:00 - 15:20)
TitleCOVID-19による購買行動の時空間変化の分析
Author*山口 公平, 田村 直樹, 庄子 和之, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 1266 - 1272
Keywordエリアモデリング, 購入履歴, Word2Vec
Abstract近年の社会の情報化に伴い,様々なデータが得られるようになってきた.その中でもクレジットカードの取引履歴は,個人情報がわからないように加工された状態での提供が行われており,データを所持する企業による分析サービスの提供もみられる.しかし,そのような分析はグラフでの可視化や統計的な分析にとどまり,取引履歴に付随する店舗情報の活用はされていない.例えば,消費が行われた場所と消費動向の変化の関係などを分析することで,COVID-19の影響がどのように各地域に現れたか分かり,行政が地域ごとに適切な支援を行えるなどのメリットが考えられる.そこで,本研究では時空間に紐づいた購買情報から地域の特徴づけ(エリアモデリング)をする方法の検討を行う.また,エリアモデリングを通じて,2019年から2020年にかけての名古屋市における消費動向の変化を分析する.実験ではクレジットカードの取引履歴を用いて,名古屋市各地の消費動向とその変化を可視化し,取引回数の落ち込んだ地域は平均的な購入金額も減少するなどの消費動向の変化を捉えられた.また,消費動向の変化が似ている地域における滞在の変化と購買行動との関係についても議論した.

6H-3 (時間: 15:20 - 15:40)
Title抽選における高揚感の要因分析
Author*高尾 亮太, 中村 優吾, 福嶋 政期, 荒川 豊 (九州大学)
Pagepp. 1273 - 1278
Keyword高揚感, 抽選, 偶然, スロット, 制御幻想
Abstract本研究では,行動変容を誘発する要素技術として,ゲーム等で利用される``抽選''がもたらす高揚感に着目し,ゲーム内で使用される抽選器を構成するどの要素が人の高揚感に影響を与えるかについて調査した.我々は,スロットを止めるボタンを押すという行為や手回しで抽選器を操作する行為が自己決定感を生み出し,さらに制御幻想を生じさせているのではないかと仮説を立て,抽選器として,手回し式の抽選器,自動でリールが停止するスロット,手動でリールを停止するスロットの3つの種類の抽選器を作成した.そして,実際のゲーム上で不特定多数の挙動を見るオンライン実験(アンケート回答者428名)と,表情筋や心拍など生理現象を定量的に計測するオフライン実験(被験者1名)を行った.その結果,スロットを自分で止めるという操作が制御幻想を生み出し,自己決定感が高揚感の向上に関係している可能性が示唆された.また,リーチによるニアミスなど当たりに近いハズレの存在も,ユーザの高揚感や表情の変化に影響を与える重要な要因であることが明らかとなった.



2022年7月15日(金)

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セッション 7A  統一セッション:人々の「かかわり」を変えるICT
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 井上 智雄 (筑波大学)

7A-1 (時間: 9:00 - 9:40)
Title(招待講演) ハイパーデモクラシーを目指して:AIエージェントによる大規模合意形成支援プラットフォームの実現
Author伊藤 孝行 (京都大学)
Pagep. 1279

7A-2 (時間: 9:40 - 10:00)
Title動きのあるシルエットを用いた公共空間における緩やかなつながりを実現するシステムの開発
Author*田賀 康平 (和歌山大学システム工学部システム工学科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1280 - 1285
Keywordシルエット, 公共空間, 緩やかなつながり
Abstract情報技術の発展により,日常生活のコミュニケーション手法として,対面の会話に加えて,SNS を使うことも増加してきている.しかし,SNS などの交流では,孤独感や疎外感を抱く可能性が示唆されている.また,実際に他者や社会とのつながりが求められていたり,孤立する若者が増えていたりと,人とのつながりを感じにくい社会になっているといえる.孤立の解決策として,相談や交流ができる居場所づくりが取り組まれている.しかし,交流の場に行くことや面識のない人といきなり交流することに対して心理的抵抗がある.そこで我々は,同じ公共空間を利用する人同士を緩やかにつなげるシステムを開発した.本システムでは利用者のメッセージと動きのあるシルエットを公共空間に投影することで,通りかかる第三者同士の情報を提示し,緩やかなつながりの実現を目指す.本稿では,開発したシステムの概要と評価実験について述べる.

7A-3 (時間: 10:00 - 10:20)
TitleWISDOM-DX: An Automatic DX Evaluation System Using a QA System Based on Web Information
Author*Akitoshi Okumura, Kai Ishikawa, Dai Kusui, Noriyoshi Ichinose (Information-technology Promotion Agency, Japan), Kentaro Torisawa, Kiyonori Ohtake (National Institute of Information and Communications Technology)
Pagepp. 1286 - 1300
KeywordDigital Transformation,, DX Evaluation, Web Mining, Question Answering, Business Strategy Analysis
AbstractThe promotion of digital transformation (DX) is an urgent issue for Japanese society. To promote companies’ DX initiatives, various surveys on DX have been manually conducted by private research companies, industry associations, local governments, and government agencies. However, 95% of companies are either not working on DX at all or are only in the beginning stage of working on it. They have difficulty understanding the purpose and methods of DX that are appropriate for them. Although the surveys introduce the general DX trends and the DX initiatives of top-ranked companies, it is difficult for most of the companies to recognize their own positions and to find referable good practices from the surveys. Although it is necessary and effective for the companies to make objective evaluations for benchmarking such as scoring their DX initiatives and rankings among other companies, it is not easy for them to conduct the benchmark surveys themselves, which require designing the evaluation items, conducting the evaluation, and benchmarking for DX promotion, because the survey cost in time and expense is not small. Instead of this kind of manual survey, Web information could be helpful in conjunction with a sophisticated search technique because companies that are active in DX disseminate a lot of information on the Web through public relations, investor relations, and other promotional activities. However, it has not been clarified what kind of queries are effective for benchmarking DX initiatives. There is no reported method for obtaining the appropriate Web information of companies’ DX and evaluating the companies using the information. To make it possible for companies to make objective evaluations, this paper proposes WISDOM-DX, a system that leverages a question answering (QA) system based on Web information that automatically evaluates companies' DX initiatives. By modeling evaluation items in the form of 5W1H (when, who, where, what, why, how) questions, WISDOM-DX evaluates DX initiatives by scoring an answer set generated by the QA system. WISDOM-DX thus makes it possible to obtain consistent benchmark results in a timely, efficient manner. To examine the feasibility of using Web data, WISDOM-DX and a baseline method that used Google Custom Search were evaluated by ranking 464 companies that responded to the DX Stocks 2021 survey from which DX experts selected 48 companies for distinction as DX Stocks 2021 or Noteworthy DX Companies 2021. Regarding the top 48 companies ranked by WISDOM-DX, 27 of them were included among the 48 selected companies and 17 of them had received DX-related awards or certifications, indicating that 91.7% had a certain level of achievement for their DX initiatives. In contrast, 11 of the top 48 companies ranked by the baseline method were included among the 48 selected companies and 20 of them had received DX-related awards or certifications, indicating that 64.6% had a certain level of achievement for their DX initiatives. When WISDOM-DX and the baseline method were evaluated for searching for the 48 selected companies, the area under the precision-recall curve (AUPR) values obtained by WISDOM-DX and the baseline method were 0.541 and 0.181, respectively. In addition, the respective precision values were 56.3% and 22.9%. The survey of WISDOM-DX with the questionnaire to the evaluated companies showed that 60.7% offered positive responses and 32.1% neutral responses regarding the agreeability of their rankings, and that 46.4% offered positive responses and 39.3% neutral responses regarding the usefulness of the system. These results show that WISDOM-DX had more promising performance than the baseline method, and that it offers the prospect of automating large-scale analysis and evaluation of DX initiatives as a first step in using Web data for benchmarking companies. We will provide support functions to improve WISDOM-DX for practical use by companies and research organizations.

7A-4 (時間: 10:20 - 10:40)
TitleXRハイフレックス型グループワーク環境の提案
Author*中舘 澪男, 中村 亮太 (武蔵野大学データサイエンス学部)
Pagepp. 1301 - 1307
KeywordVR, MR, ハイフレックス型授業, グループワーク
Abstract大学の受講形態に多様性が求められ,グループワークの手法としてWeb会議システムやVRを用いた会議システムの開発が進められている.多様性に対して対面での参加とWeb会議システムを組み合わせたハイフレックス型グループワークがあるが,対面でのグループワークに比べて雑談が少なくなり,人間関係が希薄になっている.そこで本研究では,従来よりも雑談の時間や頻度を増加させるために,VRデバイスとMRデバイスを組み合わせたXRハイフレックス型グループワーク環境を提案する.本稿ではXRハイフレックス型グループワーク環境の一部であるVRデバイスを装着したオンライン参加者支援ツールとして空間共有・非言語コミュニケーション伝達手法を示す.提案手法を評価した結果,従来のハイフレックス型グループワーク環境よりも雑談時間が増加することが示唆された.


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セッション 7B  視覚情報とアイ・ウェア
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 榎堀 優 (名古屋大学)

7B-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title一人称視点映像からの指さし抽出による重要シーン推定
Author*久米田 羽月, 角 康之 (公立はこだて未来大学), 小池 英樹 (東京工業大学)
Pagepp. 1308 - 1317
Keyword興味推定, 非言語行動, ライフログ, 一人称視点映像
Abstract本研究の目的は,一人称視点映像からユーザの何気ない行動を手がかりにすることで,実世界の重要なシーンを発見・可視化することである. 実世界の重要シーンを切り出すことで,ユーザ自らが興味を持った部分を効率的に思い出すことに活用できる. 本研究では魚眼レンズを用いた一人称視点映像を利用することで,カメラ1台で記録が完結し,非言語行動を手がかりにして,ユーザの反応に基づいたシーンの推定を試みている. 本稿では目的の実現のため,非言語行動の1つである指さし行為に着目し,映像から指さし行為を発見する方法について検討した. 次に映像から指さし行動を抽出することで,重要なシーンをどの程度発見できるのかを確認した. その結果,頭部方向と指さし方向から指さし行為が行われたシーンをある程度抽出することができた. また予備実験の結果、指さし行為からいくつかの重要シーンを推定できる可能性が示唆された。

優秀論文賞 / Paper Awards
7B-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title視覚情報が音声情報提示の主観的音量に与える影響の調査
Author*渡邉 拓貴 (北海道大学/JSTさきがけ), 松田 裕貴 (奈良先端科学技術大学院大学/JSTさきがけ)
Pagepp. 1318 - 1322
Keyword主観的音量, 音声情報提示, 視覚情報, ヒアラブルデバイス
Abstract近年の技術発展に伴い,イヤホン型のウェアラブルデバイス(ヒアラブルデバイス)が急速に普及しつつある.ヒアラブルデバイスによって,ユーザはナビゲーションや音声アシスタントからの提案など,システムから常に情報を受け取ることが可能になる.一方で,人間が知覚する音の大きさ(主観的音量)は,ユーザの状況によって異なることが分かっており,システムからの音声情報を常に一定の音量で提示することは適切ではないといえる.そこで本研究では,主観的音量に影響を与え得る要素の中で,ユーザの視覚から得られる情報に着目し,ヒアラブルデバイスでの音声情報の利用を想定した環境で,視覚情報が音声情報提示の主観的音量に与える影響を調査した.視覚刺激として雑踏と公園の2種類,聴覚刺激として3種類の音量(small,normal,large)の音声アナウンスを用いて主観的音量の変化を調査した.結果として,同じ音圧で音声情報を提示しても,雑踏のような視覚刺激の多い映像よりも,公園のような視覚刺激の少ない映像の方が,被験者は音量を大きく感じる(主観的音量が大きい)傾向が確認できた.また,音量smallの場合には視覚刺激間で有意な差が確認された.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
7B-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title赤外線距離センサ付き眼鏡型デバイスを用いた発話内容認識手法
Author*五十嵐 雄也 (立命館大学), 双見 京介 (立命館大学/Digital Spirits Teck), 村尾 和哉 (立命館大学)
Pagepp. 1323 - 1328
Keywordサイレントスピーチインタラクション, 顔の動き計測, DTW
Abstractスマートグラスなどのアイウェアデバイスがスマートフォンのように今後一般に普及すると,新たなユーザーインターフェースの検討が必要になると考えられる. 例えば,スマートフォンなどで使われる既存のインターフェースではタッチパネルやボタンが多く用いられているが,メガネ型デバイスでは多くのセンサを搭載しているので,タッチパネルやボタンのためのスペースを確保することが難しい.そのため,デバイスを装着した状態でのハンズフリーでの入力が重要な点であるが,音声認識を用いると日常生活で使う際には周囲の音の影響で精度が低下する.また,公共の場での発声が周囲の人の迷惑となる場合やプライベートな情報の発生は憚れる.これらの課題に対処するため無声で発話するサイレントスピーチインタラクション(silent speech interaction, SSI)に関する研究が活発に行われている. 本研究では,赤外線距離センサを用いて,顔(頬とこめかみ)の動きをセンシングする眼鏡型デバイスを開発し,提案手法が,発話内容の認識を行えるかを検証する.本手法は発話の際に口に連動して動く顔の皮膚の動きをもとに発話内容の推定を行う.この皮膚の動きの認識は,眼鏡のフレームとヘッドセットに設置された赤外線距離センサから皮膚までの距離の変化をもとに行う. 本稿では,赤外線距離センサをメガネのフレームの下リム部分とヘッドセットの頬側面,顎側面に12個設置したプロトタイプデバイスを実装した.そして,有声発話,無声発話,口を大きく動かした無声発話の3種類の発話方法で21種類の発話コマンドを行い測定し,DTWによって類似度を求め,Knnによって発話内容の分類をし,発話内容の推定をできるのかを検証し,有声発話で62.7%,無声発話で60.8%,口を大きく動かした無声発話で69.5%の精度で推定できることを確認した.

7B-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title英文読解時の視線情報に基づく学習すべき英単語の抽出手法
Author*小田 征史朗, 土田 修平, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 1329 - 1337
Keywordアイトラッカ, 英文読解, 英単語, 学習
Abstract英語の習得には単語の学習が重要であり,単語の意味の理解から英文読解や英語でのコミュニケーションが可能になる.しかし,単語学習として一般的な市販の英単語帳を用いた学習方法では,さまざまな英単語が掲載されており,覚えていない英単語のみを集中的に覚えることができない.そのため,英文の読解中に自動で難しいと感じた英単語を抽出し,まとめて単語帳として表示できれば,英単語学習を効率化できると考えた.そこで,英文読解時の視線情報を利用することで,英文に表れる英単語をユーザにとって「知っている」,「見たことはあるが覚えていない」,「全く知らない」の3段階で分類し,「見たことはあるが覚えていない」英単語のみをまとめる英単語帳作成システムを提案する. 本研究では,英文から「見たことはあるが覚えていない」英単語のみを抽出する機械学習モデルの作成を行った.さらに,作成された英単語帳と難易度順で英単語が並べられた従来の英単語帳を比較してどちらが暗記に効果的であるかを評価した.機械学習モデル作成の結果,最も高い値で88%の推定精度が得られた.また,システムによって作成された英単語帳が従来の単語帳に比べて暗記に効果的である結果は得られなかったが,作成した英単語帳が英語スキルの低いユーザにとって有効である可能性が示唆された.


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セッション 7C  測位システムと位置情報
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 磯山 直也 (奈良先端科学技術大学院大学)

7C-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Titleユーザに適した情報提示のための移動経路の未知度合い判定手法
Author*竹川 稜祐, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1338 - 1347
Keywordナビゲーションシステム, 行動認識, ウェアラブルコンピューティング, ユビキタスコンピューティングシステム, 位置情報システム
Abstractスマートフォンやナビゲーション機器の普及にともない,街歩きをする人は経路案内や周辺情報の提示を見ながら移動することが一般的になっている.移動時のユーザの状況を決めるパラメタであるユーザの位置情報や周辺環境に関する知識といった情報を活用してユーザの状況を推定し,提示情報を切り替えるサービスは近年普及しつつある.筆者らは,街歩きの場合にはその人が未知と感じているかがわかれば,提示システムはよりユーザの状況を把握でき,ユーザの街歩きを充実させられるのではないかと考え,このようなその土地に対してどれだけ未知と感じているかを「心理的な未知度合い」と定義する.本研究ではこの心理的な未知度合いをスマートフォンや靴,眼鏡,ベルトに内蔵された加速度角速度センサ値から判定し,判定結果に応じて提示情報を変更するシステムを提案する.本論文では,まずユーザの心理的な未知度合いを4段階に分け,その変化によって求める情報がどのように変化するかを質問紙で調査し,提示情報を決定した.評価実験で提案手法による心理的な未知度合いの判定精度を確認した結果,足にセンサを装着し,ユーザ自身のデータを学習データとした場合の判定精度が0.84 と高かった.

7C-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title滞在履歴データを用いたグループ内の重要な場所の発見
Author*大石 晃平, 角 康之 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1348 - 1354
Keyword滞在履歴, コミュニケーション, ビーコン
Abstract本研究は,グループメンバー全員の滞在履歴データから,グループメンバー間でのコミュニケーションの状況を把握し,グループ内コミュニケーションを促進することが目的である.コミュニケーションを促進させる方法として,学内での滞在履歴をトラッキングしているサービスである「LATTE」を利用し,グループメンバー人一人の滞在履歴データを収集する.収集したデータを,時間・人・スポットを考慮した形で可視化する.可視化することによって,グループ内のスポットごとの近さなどを計測できると考える.結果として,グループメンバーごとの作業場所をおおよそ抽出できたが,近くのビーコンを複数個認識するような問題があった.また,偶発的にコミュニケーションを促せるようなスポットを発見することができた.滞在履歴データからメンバー間のコミュニケーションの状況を確認するための,第一歩となった.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
7C-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title単一スピーカによる測距を可能にする多重反射波からの時刻同期手法
Author*村上 弘晃 (東京大学 大学院工学系研究科), 杉本 雅則 (北海道大学 大学院情報科学院), 川原 圭博 (東京大学 大学院工学系研究科)
Pagepp. 1355 - 1361
Keyword屋内位置認識, 音響センシング, 多重反射波, 単一スピーカ
Abstract本論文では,単一のスピーカから送信される音響信号の多重反射波を用いたモバイルデバイスとの新たな時刻同期手法について述べる.時刻同期手法では,計測を通して得られた床と天井を介する多重反射波に関する知見に基づき,直接波と1~3次の反射波が利用される.また,直接波と各反射波の到来時間差に着目した多重反射波の到来区間推定を提案し,同一の信号である直接波と多重反射波を特定する.評価実験を通して,90パーセンタイルでの同期誤差が416 μs以下となることを確認し,提案手法の有用性や限界を明らかにした.

7C-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title複数の LiDAR を用いた骨格認識補正手法
Author宗平 怜央, *中尾 俊介, 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部 環境情報研究室)
Pagepp. 1362 - 1366
Keyword歩幅推定
Abstract商業施設におけるナビゲーションアプリケーションや位置情報サービスの需要増加に伴い, 屋内測位の研究が盛んに行われており, PDR の精度を向上させるために機械学習が適用されている. その機械学習 に必要な正解データとして歩幅, 移動方向, 体の向きがあり, そのデータを収集する研究が行われてきた. しかし, 既存の手法では, 正確で精度の高い歩容データを取得することが難しく, また取得できたとしても高価なセンサーが必要であった. そこで本研究では, 安価な LiDAR を用いて機械学習の教師データに利用できる正確な歩幅を計測できる方法を提案する. 1 台の LiDAR では測位範囲に制限があり, 死角が発生するため複数の LiDAR を使用する必要がある. その際に各 LiDAR で収集した点群データからそれぞれ骨格を認識すると, 推定した骨格座標にずれが生じてしまう. この問題を解決するために, 我々は球体モデルを提案する. 球体モデルは骨格を球体にみたて, 球の中心を求めることで骨格認識のずれを補正する. 評価では 2 台の LiDAR を用いた精度検証において, 球体モデルを用いた場合と補正を行わない場合の骨格認識の誤差を比較した. 結果は 1 台の LiDAR のみを用いた場合, 平均誤差は約 7.1cm であるのに対し, 提案手法では 3.0cm となり, 誤差を約 57.8%低減することができた. 歩幅の推定精度の検証では 18 歩に対して推定した歩幅と, それらをカメラで撮影して記録した歩幅の差分の平均を算出した結果, 平均 3.3cm となった.

7C-5 (時間: 10:20 - 10:40)
Title長時間の動体管理に適した屋内測位手法
Author浅井 宏斗 (立命館大学 情報理工学部 環境情報研究室), *梅村 和希 (立命館大学 情報工学部 環境情報研究室), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部 環境情報研究室)
Pagepp. 1367 - 1377
Keyword屋内測位, PDR, ユビキタス
Abstract近年, 屋内における測位のニーズが多様化している. 従来は目的地へ向かうためのナビゲーションが主体であったが, 最近では施設の利用状況の把握, マーケティングといった調査や分析のための測位が求められるようになった. このように将来的に屋内測位を行う状況が多様化していくと考えられる. しかし, 既存の屋内測位手法は着席や食事などを想定しておらず, 測位誤差の発生に繋がる. また, 動態管理で測位対象となるオフィス等では通路幅および通路どうしの間隔が狭い狭隘空間であり, マップマッチングを用いたとしてもリンク間距離が狭いためリンクの誤選択が起きやすく, 測位誤差の影響がその他の空間と比較して大きくなる. 加えて, 近年注目されているPDRは高頻度に慣性センサのデータを取得する必要があり, 電力消費の観点から長時間の稼働には適していない. そこで本研究では, PDRと状態認識を並行して稼働させ, 状況に応じた補正や計算処理の最適化を施すことで, 狭隘空間に対応した長時間稼働が可能な動態管理向け屋内測位の実現を目指す. 2種類の認識機構を用いてユーザの状態を識別する. 1つ目は機械学習による状態識別機構, 2つ目は極値判別を用いた動作検出機構である. 状態識別機構では機械学習, 動作検出機構では極値判別を用いてユーザの状態を認識した後, 状態機械へ入力して現在の状態を確定する.その状態に応じてシステムの挙動を変化させる. 特に着席状態においては推定位置の更新を停止し, 各種センサのサンプリングレートを低下させ, 状態認識機構を軽量動作するものに切り替えことで測位誤差と電力消費を抑制する. 評価の結果, 通常のPDRと比較して平均測位誤差を51%, 電力消費を40%低減することができ, 提案手法は長時間の動態管理に適用が可能であることを示した.


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セッション 7D  サイバーセキュリティ
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 駒野 雄一 (東芝)

7D-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Titleドメイン内フィンガープリント攻撃に適した特徴量の実験的評価
Author*濱中 圭吾, 小泉 佑揮, 武政 淳二, 長谷川 亨 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1378 - 1385
KeywordWebsite Fingerprinting, 特徴量, 機械学習
Abstract盗聴したパケット列が持つ特徴から、被害者の参照中の Web ページを特定するウェブフィンガープ リント攻撃が注目されている。従来は、被害者が参照する Web サイトを特定するドメイン間フィンガープ リント攻撃が主流であったが、ある同一のドメイン中から被害者が参照している Web ページを特定するド メイン内フィンガープリント攻撃が可能であることが報告されている。本稿では、パケット列から抽出し た特徴量が持つ情報量を定量的に評価することで、ドメイン内フィンガープリント攻撃に有効な特徴量を 調査する。Amazon.co.jp を対象とした Web 通信のトレースデータを作成し、そのトレースを用いて特徴 量が有する情報量を定量化することで、ドメイン内フィンガープリント攻撃に有効な特徴量候補を選出し、 さらに、それらの特徴量が攻撃に有用である理由を分析する。

7D-2 (時間: 9:20 - 9:40)
TitleEthereum Smart Contract でのコンパイラによる脆弱性への影響調査
Author*加道 ちひろ, 矢内 直人, Jason Paul Cruz (大阪大学大学院情報科学研究科), 今村 光良 (野村アセットマネジメント), 岡村 真吾 (奈良工業高等専門学校)
Pagepp. 1386 - 1396
KeywordEthereum, スマートコントラクト, 脆弱性, 現状調査, ブロックチェーン
AbstractEthereum スマートコントラクトにおいて, 脆弱性は重要な問題である. 脆弱性の検知ツールの開発は様々されているが, 脆弱なコードを除外するコンパイラそのもの有効性については著者の知る限り未調査である. 本稿では, Ethereum スマートコントラクトにおいて脆弱性があるプログラムがどれだけ作成されているか, コンパイラのバージョンごとに調査する. 具体的には, まず 2022 年 4 月までに Ethereum ブロックチェーンに保存されているコントラクトのうち, ソースコードが公開されているコントラクト 626,171 件を収集した. それらのコントラクトに対して, 既存の脆弱性解析ツール SmartCheck を使用することで, 各コントラクトの脆弱性を解析した. 解析結果として, 重要度の高い脆弱性として知られる Unchecked Call,Locked Money, Using tx.origin の 3 つに注目したところ, コンパイラのバージョン更新に伴い, 脆弱性の発生率が減少傾向にあることを確認した. また, コンパイラ更新の弊害として, 更新直後に一時的に脆弱性の発生数が増加するが, 半年程で安定することを確認した. なお, Unchecked Call 脆弱性は減少傾向にあるもののまだ発生率が高く, 今後の対策が必要である.

7D-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Titleアカウントにアクセスするユーザ群の信頼性推定技術に関する検討
Author*大森 芳彦, 山下 高生 (NTT ネットワークサービスシステム研究所)
Pagepp. 1397 - 1406
Keywordユーザ認証, UEBA, アカウント不正アクセス, ユーザ群の信頼性, 統計的推定
Abstracteコマースなどのオンラインサービスの不正利用や、ネットワークやサーバへの攻撃による脅威に対処するために、アカウントにアクセスするユーザ群の信頼性を、それらの振る舞いにもとづいてスコア化する技術の検討が進められている。本稿では、ユーザ群の信頼性について、ネットワークの運用時に観測可能なユーザ群の振る舞いの情報のみを用いて、本人である割合として算出する技術を提案する。

7D-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title標的型攻撃の時系列データにおける1時間ごとの特徴と攻撃検知機械学習モデルの有用性検討
Author*阿部 衛, 金岡 晃 (東邦大学)
Pagepp. 1407 - 1411
Keyword標的型攻撃, 時系列データ, クラスタリング
Abstract標的型攻撃やAPT(Advanced Persistent Threat)に対する検知技術の研究は、機械学習の採用など様々なアプローチで行われている。それらの研究を評価する際に用いられるデータセットも多くの種類が存在する。本研究ではLos Alamos National Laboratoryのデータセットに注目し、そのデータ特性調査と機械学習モデルへの適用の有用性の検討を行った。 データ特性の調査では、基礎調査により日ごとや週ごとの特徴がデータ量の推移から判明したため、1時間ごとに分割した時系列データのデータごとの関係性をクラスタリングを行い評価した。そしてそれらのデータを機械学習に適用する際の有用性を議論した。


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セッション 7E  農業センシング
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 森 信一郎 (千葉工業大学)

シニアリサーチャ賞 / Senior Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
7E-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Titleスマート都市農業に向けた小型水耕栽培システムの開発
Author*佐藤 証 (電気通信大学/情報理工学研究科)
Pagepp. 1412 - 1418
Keyword水耕栽培, スマート農業, IoT, センサ, 電子回路
Abstract概要:これまでの都市農業は都市周辺の農地をどう守り活用していくかに焦点があてられているのに対し,都市に暮らす人々がビルの屋上やベランダ等の空きスペースを利用し,日常の暮らしの中で栽培と収穫を楽しむ新たな都市農業の実現を目指している.様々な果菜類の同時栽培を可能とする小型水耕栽培装置には,センサや無線通信等のIoT技術を導入しており,管理サーバを経由してスマートフォンなどで遠隔モニタと制御が行える.栽培実験とユーザ評価を通じて改良を繰り返しながら,製品化・事業化への準備を進めている.

7E-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Titleスマート都市養蜂に向けた省電力センサの開発
Author*佐藤 証 (電気通信大学/情報理工学研究科)
Pagepp. 1419 - 1427
Keyword養蜂, IoT, センサ, 電子回路
Abstractスマート都市養蜂システムの実用化に向け,遠隔管理が可能で無線通信機能を備えた省電力センサモジュールを開発した.待機中に制御用のプロセッサを低消費電力のDeep Sleepモードで待機させ,周辺回路への給電を遮断することで,3本の単4乾電池で5ヶ月の動作を実現した.同時接続数が10台のモバイルルータでも,通信を順次切り替えながら40台の接続を確認し,数千台の接続も可能であると試算している.養蜂場の巣箱に設置したセンサの重量変化から,春の採蜜や秋冬には給餌のタイミングを計ることができる.また,温度センサでは女王バチが半数の働きバチと共に巣を離れる分蜂の際の体温上昇が確認された.重量の急激な低下および別途設置していたスズメバチ検知カメラの映像と合わせて分蜂の発生を即座に確認し対処できたことなど,システムの実用性が示された.

最優秀プレゼンテーション賞 / Best Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
7E-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title栽培データの不均衡性・時系列性を考慮した植物生理状態の推定
Author*佐藤 弘毅 (静岡大学情報学部), 藤浪 一輝 (静岡大学大学院総合科学技術研究所), 大石 直記, 二俣 翔 (静岡県農林技術研究所), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域)
Pagepp. 1428 - 1435
Keyword農業, 機械学習, 不均衡性, リサンプリング, 時系列性
Abstract就農者の不足や,熟練農家の技術の消失といった課題に対して,スマート農業の実現に向けた取り組みが行なわれている.スマート農業の一環として栽培管理支援システムの開発が進められており,植物生理状態を把握する技術が期待されている.植物生理状態を表す指標として光合成速度や蒸発散速度が挙げられるが,これらを推定する既存手法は設置コストの高さや栽培管理の困難性など実用面での課題がある.そこで,本研究では低コストかつ非接触なセンサデータから機械学習で推定する手法を検討する.機械学習を用いる場合に,栽培データの不均衡性や時系列性に課題がある.不均衡性は推定精度の低下が危惧されるため,リサンプリング処理を適用しデータ分布を変化させることで推定精度の向上を図る.ただし,回帰問題に対する適用可能な既存のリサンプリング手法は多くない.そこで,藤浪らは各環境条件の情報を保持したまま不均衡性を解消するリサンプリング手法としてCREAMER(Clustering-based REsAmpling MEthod for Regression)を提案した.CREAMERは目的変数と説明変数の両方をクラスタリングし,各クラスタにリサンプリングを適用することでクラスタ間のデータ数が均等になるように変換される.本論文ではCREAMERに改良を施し,時系列性を考慮した学習手法を用いて,イチゴの光合成速度と蒸発散速度について既存手法とCREAMERを適用した際の推定精度の比較検証を行った.CREAMERは決定係数0.7程度の推定を可能とし,リサンプリングを行わない場合と比較すると,MAE 7.5%,RMSE 8.84%の削減に成功した.

7E-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Titleセンサネットワークにおける植物成長等の影響検知方式
Author*渡邊 翔生 (神奈川工科大学), 寺島 美昭 (創価大学), 清原 良三 (神奈川工科大学)
Pagepp. 1436 - 1441
Keyword農業, センサネット, 植物, 成長
AbstractIoT技術やセンサネットワーク技術の発達により,農業分野のIT化が進みつつある.多くの場合,フィールドの環境情報を取得するには,ZigBeeなどの無線センサネットワークを用いる.しかし,農地では様々な原因で通信が不安定になり,情報が適切に送受信されないことがある.センサネットワークの信頼性を確保するためには,常時異常を監視し,通信ができなくなった場合などのメンテナンスが必要である.そのために,通信途絶が推定される端末の正確な場所や何が原因で通信障害を起こっているかを判別できれば,農業従事者自身で簡単な処置をすることが可能となる.通信悪化の原因が様々考えられる中,本論文では,植物や電池消耗等の冗長な通信悪化についての影響に着目し,事前に障害を除去する手法を検討する.そのための基本的な影響を実際のフィールドで調査し,植物等の障害物による通信への影響を確認する. 提案手法では,付加情報量を少なくすることを目的として,通信端末のRSSI値を用いる. RSSI値の減衰状況から,ブラックボックス的に異常監視を実現する.また,具体例として,植物の影響を模した実験で得られたRSSI値から,どのような手順で故障前推定をするのかを示す.

最優秀プレゼンテーション賞 / Best Presentation Awards
7E-5 (時間: 10:20 - 10:40)
TitleKeypoint検出による植物生育記録の自動化に向けた検討
Author*平原 健太郎 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域)
Pagepp. 1442 - 1449
KeywordKeypoint検出, Detectron2, 節間距離, 長さ推定, 植物生育記録
Abstract定期的な生育調査により作物の生育状態を把握することは,栽培と育種の両面において重要である.定期的な生育調査では,植物のストレス状態や成長速度を定量化することで,植物の状態を正確に把握し,過去のデータと比較できる.過去データとの比較は,現在行うべき作物の栽培方法の判断に役立ち,より品質の高い作物の栽培に繋がる.しかし,生育調査は「葉・花のカウント」や「節間の伸長計測」など手作業で行うにはとても手間のかかる作業である.近年の農業従事者の高齢化,新規就農者の減少による労働力不足もあり,従事者は優先度の高い収穫・出荷に追われ,手間のかかる定期的な生育調査を満足に実施できているとは言えない.本研究では,様々な生育調査の中でも「長さ」を測る項目に着目し,Keypoint検出を用いて自動的に長さ推定を行う技術の確立を目指す.まずは,モデル植物として一般的なトマトの長期多段どり栽培のハウスを対象とし,ハウス内に吊り下げられたロボット撮影機材で栽培ベッド間を撮影した.植物ならではの特徴点・結びつきを定義し,動画からKeypoint検出によって茎や枝の節を検出することで,茎や枝の長さの自動推定する手法を検証した.さらに,検出した茎を動画内で追跡し,フレーム間で同一個体を結びつかせ個体識別をすることで,より精度の高い長さ推定を可能にした.


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セッション 7F  交通制御
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 石原 進 (静岡大学)

7F-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title迂回誘導による交通渋滞解消に際しての迂回量の調整手法
Author*北野 安里紗 (和歌山大学大学院 システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学 システム工学部)
Pagepp. 1450 - 1457
KeywordITS, 自動車, 交通渋滞, 迂回経路誘導, 交通制御
Abstract自動車の交通渋滞は渋滞道路を走行した運転者の時間の損失や交通事故,環境汚染などの問題を引き起こすため,解決すべき問題である.交通渋滞を解決する方法として車両の迂回誘導手法がある.渋滞解消のための迂回誘導手法では,渋滞の発生を検知し,渋滞道路を迂回する経路を運転者に提示する.これにより,渋滞道路に流入する車両数を減らし,渋滞を解消する.しかし,車両の迂回誘導手法で渋滞を解消させた場合,渋滞解消後に迂回誘導を止めると渋滞が解消した道路へ流入する車両数は増加する.その結果,車線規制や事故等の渋滞原因が取り除かれていない場合は再度渋滞する問題がある.本研究では,車両の迂回誘導により渋滞を解消させた後に,すぐに迂回誘導を止めるのではなく,少しずつ迂回誘導量を調整することで急激な変化を避けながら,再度渋滞しないように迂回誘導を停止する手法を提案する.交通シミュレータを用いて提案手法の性能評価を行った.評価の結果,提案手法を用いると渋滞時間と車両の平均走行時間が低減し,提案手法により渋滞解消時の道路交通が効率化したことを確認した.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
7F-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title交通映像からの車線交通量抽出とそれを用いた地域モビリティデータ生成
Author*林 和輝, 廣森 聡仁, 山口 弘純 (大阪大学情報科学研究科), 鈴木 理基, 北原 武 (KDDI総合研究所)
Pagepp. 1458 - 1467
Keyword合成モビリティ, スマートシティ, ミクロ交通シミュレータ, マクロ交通シミュレータ, OD交通量
Abstract我々の研究グループでは,地域における交通の在り方を検討するための車両モビリティデータの再現技術の研究開発を進めている.具体的には,ある「地域」において,なるべく低コストかつ現実に近い再現度で各車両の挙動をデータ化することで,地域における交通課題を可視化し,交通改善のための提言の基礎データやAIによる改善案の導出などに利用することを想定している.本研究では,我々がこれまでにデータ再現を目指してきた兵庫県豊岡市出石地区の交通状況について,観光客で特に混雑した休日と,それほど混雑していない平日の交通監視カメラ映像を用い,それらの映像解析(車両トラッキング)から車線交通量を抽出し,それら両日の車両移動経路とその総量を1時間単位で推定しシミュレータ上に再現したため,その報告を行う.特に交通監視カメラについては比較的低高度(目線程度から数m程度の高さ程度)に設置されたものを対象としており,車両の相互遮蔽がより大きな影響を与えることから,幹線道路などで用いられる高高度映像からの車両トラッキングとは異なる処理が必要となる.我々はこれに対し,画角補正や停車中の車両除去などを実現するトラッキング技術を技術を開発し,MAPEを19%程度の精度で車線交通量を検出するとともに,推定したデータから合成したモビリティでは,車線交通量のMAPEを22%程度に抑制している.

7F-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title複数の道路信号に対するオフセットとスプリットの系統制御:分散協調学習アプローチ
Author*田端 心吾, 長江 剛志 (東北大学工学研究科)
Pagepp. 1468 - 1478
Keyword交通信号制御, 交通流理論, 分散協調学習, Benders分解, 混合整数計画
Abstract本研究では,複数の一般的な信号交差点に対して,分散協調制御ルールを提案する.具体的には,まず,信号交差点での待ち行列の発生・進展・消滅を変分モデルを用いて記述する枠組の下で,信号制御問題を,大規模な混合整数計画問題として定式化する.次に,Benders分解原理を適用することで,この問題を,信号現示を与件として総遅れ時間を求めるサブ問題と,過去に実現した総遅れ時間を最小化する信号現示を求めるマスター問題とに分解する.本研究では,マスター問題の(本来ミニマックス型の)目的関数を,ログサム関数を用いて平滑化近似した上で,部分線形近似を行う.こうして得られた近似問題が,各信号を個別に制御するエージェント同士の分散協調制御と見なせることを示す.

7F-4 (時間: 10:00 - 10:20)
TitleEverything to Network(X2N):5G網を前提としたコネクテッドモビリティ環境下における複数のITSユースケースの性能評価
Author*佐藤 雅明, 西田 亘, 広田 和也 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科), 渡辺 諒, 石原 匠 (慶應義塾大学総合政策学部), 古本 裕一, 中村 修 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 1479 - 1488
KeywordITS, 5Gネットワーク, モバイルアプリケーション, コネクテッドモビリティ, MEC
Abstract高度道路交通システム(ITS)分野では、車単体での自律制御に加え、車と車(V2V)、車と路側機(V2I)、さらには車と広域ネットワーク(V2N)を活用した協調型ITSが注目されている。従来のV2Nには通信遅延等の課題から、制御を伴う協調型ITSの多くはV2V、V2Iを前提としたものが多い。一方、V2V/V2Iで用いられる通信方式は国毎に異なる仕様であり、実用性は普及率や路側機敷設状況に依存する。自動車にとって、V2Nのサービス範囲や、歩行者などの車以外のモビリティ、道路付帯物などとの接続性はメリットが大きく、5Gに代表される技術革新により問題の改善が見込まれる。本研究では、自動車主体(V2X)ではなく全ての機能がネットワークに接続されていること(Everything to Network)を前提としたコネクテッドモビリティ環境としてX2Nを提案する。また、そのコンセプト実証のため5G SA構成のテストフィールドを構築し、想定される5つのユースケースを同時に動かす実証実験を実施した。テストフィールドおよび各ユースケースの性能評価を通し、X2Nのコンセプト実証と課題、および展望を考察した。


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セッション 7G  セキュリティ・IoT
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 藤橋 卓也 (大阪大学)

7G-1 (時間: 9:00 - 9:20)
TitleMAC アドレスがランダム化された BLE 機器が移動する場合の同一機器推定手法
Author*秋山 周平 (近畿大学大学院総合理工学研究科), 谷口 義明 (近畿大学情報学部・情報学研究所)
Pagepp. 1489 - 1496
KeywordIOT, BLE, Bluetooth
Abstract近年、IoT 機器やスマートフォンの普及により、電力消費 の少ない Bluetooth Low Energy (BLE) で通信を行う機器が増加している。 スマートフォンや PC では端末利用者のプライバシー向上のため MAC アドレスがランダム化されることが多い。 しかし、研究開発等において観測パケットが同一の端末からのものであるかを同定する手法の需要がある。 本研究では、端末が移動する環境を想定した同一機器推定手法を提案する。 評価の結果、提案手法を用いることにより、端末台数が20台の場合に最大91%の精度で端末を同定できることを確認した。

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
7G-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title攻撃タイミングの誤差を許容する短時間通信向けLow-rate DoS攻撃の提案
Author*久末 瑠紅 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 稲村 浩, 石田 繁巳 (公立はこだて未来大学システム情報科学部), 中村 嘉隆 (京都橘大学工学部)
Pagepp. 1497 - 1504
KeywordLow-rate DoS, 短時間転送, gRPC, ネットワークセキュリティ
Abstract近年,マイクロサービスアーキテクチャの普及や通信速度の向上により,対話型トランザクションなどで発生する短時間転送が多く行われている.これに伴い,短時間転送に対する安全性の提供が要求されている.サイバー攻撃の1つとして,パルス形状の攻撃トラフィックを用いることで平均帯域利用率が低いLow-rate DoS(LDoS)攻撃が議論されている.LDoS 攻撃に関する既存研究では,FTP などを用いた大容量のデータ転送時に発生する長時間転送を攻撃対象としていた.LDoS 攻撃はパルス形状の攻撃トラフィックを用いるため,転送時間が短い場合には攻撃パルスが攻撃対象トラフィックと衝突する確率が低くなる事が想定される.本研究では,gRPC を用いた短時間で転送が終了する短時間通信を攻撃対象とし,LDoS 攻撃の1 つであるShrew 手法を用いた攻撃手法の実現性を示す.短時間転送に対するShrew 手法では,攻撃対象のトラフィックと攻撃トラフィックとの時間差,すなわち攻撃タイミングの誤差が与える影響が大きいことから,この誤差が存在する場合の攻撃効果を高める手法として初期パルス幅拡大Shrew手法を提案し,攻撃開始タイミングの誤差許容性能が向上可能であることを示した.

7G-3 (時間: 9:40 - 10:00)
TitleROS準拠ロボット及びエッジサーバを活用した環境情報収集・処理を行うIoTシステムの検討
Author*佐々木 怜名 (お茶の水女子大学), 竹房 あつ子 (国立情報学研究所), 中田 秀基 (産業技術総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1505 - 1511
KeywordIoT, ロボット, ROS, エッジサーバ
Abstract防犯サービスやペット・お年寄りの見守りサービスなどを行うスマートホームでは,IoT機器に装備されたセンサから収集したデータを活用して,利便性が高い快適で安全な生活を実現するサービスを提供している. このようなサービスの実現には,屋内外の様々な場所に適切にIoT機器を設置し,センサデータを収集する必要があり,個別の間取りなどを考慮したり,必要に応じてIoT機器を再配置しなければならないといった課題がある.また,個々の家庭のデータをクラウドに収集するIoTシステムを構築するには,転送データ量の削減,プライバシの保護,サイバー攻撃への対策も必要となる. 本研究では,車輪型移動ロボットを用いて室内環境情報を収集し,エッジサーバを介してクラウド上での解析処理を可能にする,スマートホームのためのIoTシステムを検討する.ROS(Robot Operating System)で実装された車輪型移動ロボットは遠隔操作が可能なIoT機器の1つであり,ロボットに搭載されたセンシング機能と駆動機能を用いて室内の多様な環境情報の収集が可能となる.本稿では,車輪型移動ロボット群,エッジサーバ,クラウドで構成されるスマートホームのためのIoTシステムを設計し,予備実験を行うとともに室内二酸化炭素濃度監視システムを試作した.

7G-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Title平日休日の行動パターンの違いに着目した認証手法
Author*大河 澪耶, 小林 良輔, 山口 利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 1512 - 1519
Keyword行動認証, スマートフォン, Wi-Fi
Abstract近年のスマートフォンの普及により,個人認証の重要性は増してきている.その個人認証の種類として,知識情報,所持情報,生体情報を用いた認証の3つの従来手法が存在する中で近年,スマートフォンやウェアラブルデバイスに蓄積されている人の行動情報を用いた行動認証や,複数の行動情報を利用するライフスタイル認証が注目を集めている.ユーザの行動パターンを利用した行動認証においては,テンプレートに複数のライフスタイルの情報が混ざりこんでしまい,認証精度が低下してしまう.そのため複数のテンプレートを準備することが求められる.生体情報を用いた認証や意識的な行動の情報を用いた認証の研究においては複数のテンプレートが用いられている.一方,ユーザの行動パターンを表す認証要素の一つであるWi-Fi情報を用いた認証の研究ではそのような研究は行われていない.本論文では,スマートフォンから収集されたWi-Fi情報から平日と休日の2つのテンプレートを作成し認証を行うことで,テンプレートに複数のライフスタイルが混ざってしまい認証精度が低下してしまう問題を解決する最初の一歩の手法を提案する.提案手法をMITHRAプロジェクトで実世界のユーザから収集した実際の行動データを用いて評価した.そして平日のデータを用いた認証のTARの平均値が0.926,休日のデータを用いた認証のTARの平均値が0.939という結果を得た.結果をユーザ個別に見ていくと精度が改善したケースもある一方,そうではないケースも存在した.


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セッション 7H  サービス支援
日時: 2022年7月15日(金) 9:00 - 10:40
座長: 鈴木 理基 (KDDI総合研究所)

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
7H-1 (時間: 9:00 - 9:20)
Title触覚情報の無線伝送高品質化に向けた一手法
Author*北村 翔吾, 藤橋 卓也, 猿渡 俊介, 渡辺 尚 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1520 - 1526
Keyword触覚情報, ハプティクス, アナログ伝送
Abstract振動触覚情報をネットワーク伝送するための基盤技術として振動触覚情報に対する符号化手法が提案されている.例えば,標準化手法であるHaptic Codecは人間の知覚閾値に基づいて振動触覚情報を量子化することで体感品質の低下を抑制しつつ,振動触覚情報のネットワーク伝送に要するトラヒックを削減する.しかしながら,Haptic Codecに挙げられる符号化手法を用いた場合,無線伝送路品質の悪化時におけるcliff効果や無線伝送路品質の改善時における復元品質の頭打ちを招く.本稿では従来の符号化手法における問題を解決する,振動触覚情報に対する新たな伝送手法を提案する.本手法では,振動触覚情報を時間領域から周波数領域に変換した後,量子化をせずに送信信号としてそのまま伝送する.また,伝送中に生じる雑音への耐性を高めるために,送信前の信号と送信後の信号の平均二乗誤差が最小になるように送信電力を割り当てる.IEEE1918.1.1が提供する振動触覚情報のデータセットを使用して,既存手法および提案手法の性能を数値解析ソフトウェアMATLABを用いて評価した.データの送信シンボル数が等しい場合,既存手法と比較して提案手法がより高い復元品質の振動触覚情報を受信できることを明らかにした.

7H-2 (時間: 9:20 - 9:40)
Title実空間の人や動物とのリアルな遠隔コミュニケーションのためのQoS-Aware点群ストリーミング手法
Author*石丸 大稀 (奈良先端科学技術大学院大学), 中村 優吾 (九州大学), 藤本 まなと (大阪公立大学/理化学研究所), 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学/理化学研究所)
Pagepp. 1527 - 1533
Keyword遠隔コミュニケーション, リアルタイム通信, LiDAR, 三次元点群, ヒューマンコンピュータインタラクション
Abstract新型コロナウイルスの影響で我々の生活環境は大きく変化した.テレワークを始めとした様々な場面でオンライン化が進められ,その波は今なお広がっている.一方で,リアル空間でのコミュニケーションとバーチャル空間を介したコミュニケーションのギャップが大きい場面はオンライン化が難しい場合がある.そこで我々はそのギャップが大きく,かつ社会的な需要がある「観光」という場面のオンライン化を検討した.オンラインでの観光に関する事例はいくつか存在し,既存のオンライン会議システムを活用したり,360度映像を提供する例が見られるが,より高い臨場感を提供可能と思われる3次元映像を使ったアプローチは多くない.そこで本研究では,観光分野のようにリアル空間における体験・感覚が重要視される場面において,遠隔ながらも空間内を自由に動き回り,現地の人や動物との触れ合いを可能にすることを目的とし,それらを固定のインフラを必要とせずに実現するシステムの構築を目指す.本論文では,そのシステムのうち,限られたリソースでユーザの体感品質を最大化する点群のストリーミング手法を検討・実装し,評価を行った.その結果,総合的な映像品質は,映像の滑らかさと点群の綿密さのバランスが重要であり,場面に応じたフレームレートを変化させるなどの工夫が必要であることなどが分かった.

7H-3 (時間: 9:40 - 10:00)
Title準同型暗号を用いた顔認証連携基盤における応答時間の評価
Author*中西 聖, 成末 義哲, 森川 博之 (東京大学)
Pagepp. 1534 - 1538
Keyword準同型暗号, 顔認証, 応答時間, IoT
Abstract近年,ゲートの通過や決済を目的として顔認証技術の活用が広がり始めている.筆者らは,顔認証技術の真のインフラ化を見据え,準同型暗号を用いた顔認証連携基盤の研究開発を推進している.顔認証連携基盤では,ユーザの 1 つの顔画像を複数の顔認証エンジンにクラウド上で連携することで,オフィスやマンション,アミューズメント施設など従来独立していた複数の顔認証システムを横断的に利用することが可能となる.本稿では,準同型暗号を用いた顔認証連携基盤において,準同型暗号の処理時間が応答時間に与える影響を実機を用いて定量的に評価する.本評価では,認証処理を複数の処理に分割し,それらの処理時間を個別に計測することで,準同型暗号データのユークリッド距離計算が応答時間の大部分を占めていることが明らかとなった.

7H-4 (時間: 10:00 - 10:20)
Titleユーザの位置情報プライバシを考慮した SNS データからの効率的なイベント情報問い合わせ手法
Author*石神 京佳 (お茶の水女子大学), 榎 美紀 (日本アイ・ビー・エム株式会社), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1539 - 1545
Keyword位置情報プライバシ, ソーシャルデータ分析, 情報抽出
Abstract近年,ソーシャルネットワーキングサービス(以下 SNS とする)の普及に伴い,SNS 上には多様な 情報が投稿されるようになった.その中でも我々は,HP のようなメディアが充実していない,イベント の情報が SNS 上に豊富に存在することに注目した.問合せユーザの情報などを分析することで,ユーザに 対し特定の情報を推薦するシステムは既に研究されている .しかし,ユーザにとって,位置情報など の個人情報をそのままサーバに送信して情報分析に使用されることはプライバシ上の懸念がある.そこで 我々は,ユーザの位置情報を地域メッシュ情報を利用したダミー位置に変換し,サーバへの問い合わせに 利用することで,ユーザの位置情報を曖昧化しプライバシを考慮した.地理的な制約条件を満たしながら, 大量の SNS データからイベント情報を効率的に検索する手法を検討した.

7H-5 (時間: 10:20 - 10:40)
Title迷路の作り方は構造に影響を与えるのか〜特徴量を用いた傾向分析〜
Author*松永 俊輔, 今村 隆輝 (熊本高等専門学校専攻科 生産システム専攻), 小島 俊輔 (熊本高等専門学校 リベラルアーツ系), 木原 久美子 (熊本高等専門学校 拠点化プロジェクト系/生物化学システム工学科)
Pagepp. 1546 - 1554
Keyword迷路, 迷路生成アルゴリズム, 特徴量, 構造, Web
Abstract迷路は多方面で利用されているが,どのようなアルゴリズムで迷路を作ればユーザーが求める特徴を持つ迷路を取得しやすいのかといった情報がほとんど知られていない.本研究では,代表的な6種類の迷路生成アルゴリズムで、23段階のサイズの迷路群を用意し,迷路群に対する1〜3次的な特徴量の分布が迷路サイズの増大に伴いどのように変化するのかを解析した.また、特徴量の傾向から主成分分析を用いて迷路生成アルゴリズム間の相互関係を求めた.AldousBroderとGrowingTreeは性質が似ており,曲がり角が多くなりやすい迷路を作る特徴があった.これとは逆にSidewinderは,曲がり角が少なく,R領域に構造を作り,分岐が深くなりやすい特徴の迷路を作る特徴があった.PrimsとKruskalは,迷路全体における曲がり角は少なくなるものの,正道の上の曲がり角は他のアルゴリズムよりもやや多く,L領域にも経路構造もつ迷路を作る特徴があった.Divisionは,これらのアルゴリズムの中間的な性質を有していた.代表的な迷路生成アルゴリズムによって生成された迷路の特徴と、アルゴリズム間の類似性を明らかにできた。


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セッション 8A  統一セッション:空間移動
日時: 2022年7月15日(金) 11:00 - 12:40
座長: 徳永 雄一 (金沢工業大学)

8A-1 (時間: 11:00 - 11:40)
Title(招待講演) 叶えるために、飛ぶ。-スマートドローンの未来-
Author博野 雅文 (KDDIスマートドローン株式会社)
Pagep. 1555
KeywordITS, Drone, Logistics, Transportation, Service Platform

8A-2 (時間: 11:40 - 12:00)
TitleACOによる多目的要求に対応した旅行計画最適化手法
Author*佐伯 越志, 鮑 思雅 (早稲田大学), 高山 敏典 (ゼンリンデータコム), 戸川 望 (早稲田大学)
Pagepp. 1556 - 1569
KeywordACO, 旅行計画, MOOP
Abstract観光産業の振興と情報科学技術の発展によって,旅行計画サービスの開発が進んでいる.旅行計画サービスが対象とする旅行計画では,満足度や費用など複数の目的関数を同時に最適化することで,ユーザが満足する経路を生成する必要がある.とりわけ,過去に多くのユーザが同様な旅程を計画している,あるいは部分的に同様な旅程を計画していることから,いかに過去のユーザの旅行経路を再利用するかが旅行計画の大きな鍵となる.本稿では,旅行計画に対するユーザの要求を満足するため,多目的オリエンテーリング問題をベースに過去のユーザの旅行経路を陽に利用した旅行計画最適化手法を提案する.提案手法は,蟻コロニー最適化を利用することで,過去のユーザの旅行経路を陽に反映した旅行計画を可能とする.その上で,蟻コロニー最適化において蟻の行動を多様な目的関数に対応して変化させることで,多目的オリエンテーリング問題を解法する.評価実験により,既存手法に対し,過去の旅行者の旅行経路に近く,よりユーザの要求を満足する旅行経路を生成した.

8A-3 (時間: 12:00 - 12:20)
Title観光スポット間の類似度に基づく飽きにくい観光ルート生成手法の提案
Author*武信 雄平 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 奥野 拓 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
Pagepp. 1570 - 1573
Keyword観光, 推薦, 経路生成
Abstract観光プランを作成する際,観光に必要な情報は様々なWebサイト上に分散しているため,観光客が負担を感じることも多い.そのため,観光ルート作りを支援する研究が多く行われている.従来の支援手法では,ユーザの嗜好から観光スポットがユーザに与える満足度を算出し,最も満足度が高い組合せとなるような観光ルートを生成している.しかし,観光ルート内に類似した観光スポットが増えすぎてしまうことがある.類似した観光スポットが増えすぎた場合,観光内容に偏りが生じ,観光途中に飽きが生じてしまう場合がある.そこで,観光ルート内に含まれる観光スポット間の類似度に着目することにより,多様性のある飽きにくい観光ルートの生成を目指す.本研究では,観光スポット間の類似度として,観光スポットの概要文と詳細文の類似度をBERTの事前学習済みモデルを用いて算出し,それぞれの算出結果について考察した.概要文を用いた場合,ある程度適切な類似度を算出できたが,類似性が高い観光スポットとの類似度がより高くなるように改善する必要があることが分かった.詳細文を用いた場合,概要文よりも細かな観光スポットの特徴や魅力から類似性を判断できる可能性があるが,類似性が高くない観光スポット間の類似度が高くなる場合があることが分かった.


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セッション 8B  福祉・医療支援
日時: 2022年7月15日(金) 11:00 - 12:40
座長: 大西 鮎美 (神戸大学)

8B-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Title足裏凹凸刺激デバイスを用いた点字ブロックメタファによる歩行誘導の性能評価
Author*塚本 晶久 (名古屋大学大学院情報学研究科), 吉田 直人 (工学院大学情報学部), 米澤 朋子 (関西大学大学院総合情報学研究科), 間瀬 健二 (名古屋大学数理・データ科学教育研究センター), 榎掘 優 (名古屋大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 1574 - 1582
Keyword点字ブロック, 足部刺激提示, 歩行誘導, 視覚障碍者支援, 感覚再現
Abstract視覚障碍者の歩行を補助する設備として視覚障碍者誘導用ブロック(点状ブロック)がある.しかし設置場所が限られており,点状ブロックのみを利用した外出は難しい.そこで本研究は,足裏に凹凸刺激を提示するデバイスで,点字ブロックをメタファとした刺激を提示し,点字ブロックの無い場所などで視覚障碍者の歩行誘導の実現を目指した.作成したデバイスは縦棒・横棒・点群の三種類の刺激を提示できる.それぞれの刺激に対応した点字ブロックの利用方法を歩行誘導信号とした.更に,前進における左右方向ずれを修正するため,点字ブロック上からの逸脱をメタファに用いた直進補正方法と独自の信号による直進補正方法の2 種類用意した.本デバイスと信号を評価するため,視覚障碍者25 名を対象に実験を行った.結果,点字ブロックと本デバイスの刺激の結びつきが示唆され,高い歩行誘導性能が示された.そして,2 種類の直進補正方法ではそれぞれの適する状況が明らかとなった.

8B-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Titleポスターデザイン評価における短時間閲覧時の指導者着目点再現の検討
Author*深澤 菜月 (名古屋大学大学院情報学研究科), 間瀬 健二 (名古屋大学 数理・データ科学教育研究センター), 榎堀 優 (名古屋大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 1583 - 1589
Keywordポスターデザイン評価, 技能習得支援, 指導者着目箇所再現, 指導者観点説明再現
Abstract絵画や伝統工芸,ものづくりなどの様々な分野において,熟練者は初心者及び中級者とは異なる視覚行動の特徴がある.このような熟練者の着目点を機械学習で再現できれば,初学者の支援や作品レベルの自動判別など,様々な応用が可能となる.本研究では,研究発表ポスターのデザインを対象にこれを研究した. ポスター画像及び評価時の大学教員の視線データから作成した良点・改善点ヒートマップで,顕著性マップ生成ネットワークを用いて学習した.これにより,ポスター画像に対する良点・改善点ヒートマップの生成を試みた.10分割交差検証をし,顕著性マップ生成の評価指標値を算出した結果,改善点よりも良点の再現の方が良い結果となった.機械学習によって指導者着目点を再現することで,新規ポスター画像に対して良い箇所と改善すべき箇所を抽出できるポスターデザインの技能習得支援システム作成の見通しを得た.

8B-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title介護事業所における高齢者とスタッフの気分データの収集と分析
Author*Xinyi Min, 金子 晴, 井上 創造 (九州工業大学)
Pagepp. 1590 - 1596
Keyword気分データ, データ分析, 介護施設
Abstract本研究では,12介護福祉事業所から,高齢者とスタッフの気分データを約2ヶ月にわたって収集し,その傾向を分析した. 集めたデータに対して,日内変動,長期変動,施設の種類間の違いといった仮説を立て,可視化による観察を行ったところ,気分については長期より日内の変動が顕著であること,介護サービスにより日内の気分は良くなる傾向にあることが観察された一方,記録するスタッフによるバイアスの可能性が示唆された. またテキストの分類により,気分の変化の要因は,生理的要因,気候,生活,事業所の活動といった分類が可能であることが明らかとなった.

8B-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title公開データを利用した脳波による機械学習を応用したうつ病判別モデルの提案
Author*鈴木 圭, 菅谷 みどり (芝浦工業大学)
Pagepp. 1597 - 1604
Keywordうつ病, ヘルスケア, AI, 機械学習, 脳波
Abstract近年,うつ病などの精神疾患の患者数が増加している.しかし,その診断方法は患者や臨床医の主観に依存するといった課題があり,この課題を解決するためには,客観的評価が可能な仕組みが求められる.そこで本研究では,この仕組みとして,機械学習を応用した客観的評価が可能な脳波データによるうつ病判別モデルを構築した.モデルは,パワースペクトルや左右非対称性,機能的結合度,非線形指標といった複数の脳波指標の内,特徴量選択手法により学習に有望と推定された指標を学習した.そして,うつ病患者と健康な人との2値分類を行うようにモデルは学習した.脳波データは公開されているデータが用いられた.また,複数の前処理が施されたうえで,複数種類の脳波指標が算出され,その脳波指標をモデルは学習した.モデルにはLightGBMを用いた.モデルの精度評価には,交差検証として,同一人物のデータが訓練データとテストデータに含まれないようにStratified group k-fold cross-validationが実施された.また,うつ病の見逃しや誤検知などを統合的に評価できる精度指標Macro F1が利用された.その結果,精度0.94程度でモデルが健康な人とうつ病患者とを判別できた.また,電極Pzから計測された脳波データの周波数帯low gammaにおける非線形指標Normalized Length Densityが精度0.83と高く,有望なバイオマーカーであることが示唆された.

8B-5 (時間: 12:20 - 12:40)
Title脳血腫マーカーの画像パッチのマルチラベル学習
Author*加藤 舜斗, 河津 水紀, 中島 崇晴 (九州工業大学), 有村 公一 (九州大学), 飯原 弘二 (国立循環器病研究センター), 大北 剛 (九州工業大学)
Pagepp. 1605 - 1609
Keyworddeep learning, hematoma, multi instance, machine learning, brain
Abstract本論文では, 画像認識をローカルな形でパッチで行い、画像をパッチのバグとして見る. これは マルチインスタンス学習を直接やる場合の負荷が大きいために, これを半教師あり学習的な形で 負荷の減少を目指す目的をもつ. 本論文では, 時間の関係から、前者のみを扱う.


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セッション 8C  スポーツ
日時: 2022年7月15日(金) 11:00 - 12:40
座長: 松田 裕貴 (奈良先端科学技術大学院大学)

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
8C-1 (時間: 11:00 - 11:20)
Titleピエゾ素子を用いた筋力トレーニング支援システムのための基礎検討
Author*雨坂 宇宙 (筑波大学システム情報工学研究群), 渡邉 拓貴 (北海道大学情報科学研究院/科学技術振興機構さきがけ), 杉本 雅則 (北海道大学情報科学研究院), 志築 文太郎 (筑波大学システム情報系)
Pagepp. 1610 - 1617
Keyword音響センシング, 超音波, トレーニング認識, ジェスチャ認識
Abstract筋力トレーニング(以降,筋トレ)は一人でできる運動であり,多くの嗜好者がいる.筋トレ時にユーザを支援する機能としてこれまでトレーニングの自動記録,ジェスチャ認識による周辺機器の操作,フィードバックによる適切なトレーニングの支援などが実現されているが,これらの機能を同一の素子で実現する手法として,我々はピエゾ素子を用いた筋トレ支援システムを提案する.ピエゾ素子を用いることで音響センシングとユーザへの音声・振動提示を同時に実現できる.音響センシングは,物体や身体にマイクとスピーカを配置し,音波を測定信号として伝播させ,その応答を解析することにより状態を推定するアクティブ音響センシングと,何らかのアクションで発生する音を解析することにより,そのアクションを推定するパッシブ音響センシングに分かれる.提案システムでは,前者を用いて人体の筋肉の動きを認識し,トレーニング記録を行う.一方,後者を用いて衣服をつまむ・なぞる等の動作時に生じる衣擦れ音を認識し,これをタッチジェスチャとして利用する.また,信号を可聴域や低周波に設定することにより音声・振動としてユーザへの情報提示も可能となる.本論文では上記のうち,詳しく調査が行われていなかった,アクティブ音響センシングによるトレーニング記録に着目し,基礎調査として前腕部に装着したピエゾ素子を用いてダンベル運動時の種目認識,回数推定,負荷重量推定を行った.実験の結果,10種のダンベル運動において種目認識と試行回数推定の精度がそれぞれ61.1%,92.5%であり,負荷重量推定の誤差が±0.75kgであることを確認した.

8C-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Title複数のIMUセンサーを用いたパンチ検出と分類手法の提案
Author*花田 祥典, 横窪 安奈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学)
Pagepp. 1618 - 1624
Keywordスポーツアプリケーション, ボクシング, IMU, 機械学習, 信号処理
AbstractPhysical exercise is essential for living a healthy life since it has substantial physical and mental health benefits. For this purpose, wearable equipment and sensing devices have exploded in popularity in recent years for monitoring physical activity, whether for well-being, sports monitoring, or medical rehabilitation. In this regard, this paper focuses on introducing sensor-based punch detection and classification methods toward the boxing supporting system which is popular not only as a competitive sport but also as a fitness standard. The proposed method is evaluated on 10 participants where we achieved 98.8% detection accuracy, 98.9% classification accuracy with SVM in-person-dependent (PD) cases, and 91.1% classification accuracy with SVM in person-independent (PI) cases. In addition, we conducted a preliminary experiment for classifying 6 different types of punches performed from both hands for two different sensor positions (right wrist and upper back). The result suggested that using an IMU on the upper back is more suited for classifying both hand punches than an IMU on the right wrist.

8C-3 (時間: 11:40 - 12:00)
TitleFootbSense : 慣性計測装置を用いた自然環境下におけるサッカー動作の識別
Author*青柳 光璃, 横窪 安奈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学)
Pagepp. 1625 - 1629
Keywordスポーツ, 行動認識, ウェアラブルコンピューティング
Abstractスポーツにおいて動作の分析を理解することは,怪我のリスクを回避,トレーニングメニューの最適化,戦略的な意思決定のサポート,パフォーマンス評価などの重要な情報をコーチ,マネージャー,選手自身に提供できる.しかし,既存のシステムは,とても高価であり,プロ選手やエリートの一部しか利用できない.また,コーチやマネージャーを支援する機能が付いていないことが課題である.そこで本研究では,安価な小型の慣性計測装置を用いてコーチやマネージャーを支援するシステムの開発を目的とし,自然環境下においてのサッカー動作の識別を目標とする.我々はサッカー動作をリアルタイムで識別するために自動セグメンテーション手法の提案と機械学習を用いてサッカー動作の分類モデルの比較を行った. セグメンテーションによる結果は全ての動作が90%以上でセグメントが可能であることを示せた.また,分類モデルの比較ではSupport Vector Machine で75%の精度を達成した.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
8C-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Titleサッカーのドリブルにおけるフェイント動作の巧さの画像解析を用いた評価手法
Author*松見 涼輔, 土田 修平, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 1630 - 1639
Keywordサッカー, フェイント, 欺瞞, 機械学習, OpenPose
Abstractサッカーのドリブルにおける重要な技術の一つにフェイントがある.フェイント技術の習得には,個人による動作確認の練習が必要であるが,フェイント動作の巧さを評価する際,自身の主観的な感覚に頼るという問題点がある. 本研究では,プレーヤがフェイント動作を行う映像をOpenPose を用いて解析し,プレーヤの骨格情報からフェイント動作の巧さを点数化するシステムを提案する.フェイント動作を点数化することでユーザのフェイント動作の巧さを定量的に評価でき,パフォーマンス向上につながると考える.フェイント動作の巧さの評価基準を,被験者にフェイント動作の映像を見ながらプレーヤが左右どちらに移動するかをキーボード入力で予測してもらい,騙された被験者が多いフェイント動作を巧いフェイントと定義した.提案システムの構築では三つの学習モデルを用いて,100 個のフェイント動作のデータの内,20 個をテストデータ,80 個を学習データとし各学習モデルを5 分割交差検証で評価した. 予測精度の検証を行った結果,最も低いMAE の値は1.62 であり,Permutation Importance の結果より体の下半身の特徴点が重要であるとわかった.次に,予測精度の向上のためにプレーヤごとに学習モデルを作成し,特徴量を体の下半身の特徴点のみにした場合で,それぞれのプレーヤにおける推定精度の調査と評価を行った.その結果,最も低いMAE の値が1.41 となり,精度の向上を確認した.

8C-5 (時間: 12:20 - 12:40)
Title運動主体感に対する運動情報と心拍変動の関連性の検討
Author*伊勢崎 隆司 (NTT人間情報研究所), 大山 慎太郎 (名古屋大学予防早期医療創成センター), 梅沢 昂平 (NTT人間情報研究所), Siqi Li (名古屋大学大学院情報学研究科), 青木 良輔, 小池 幸生 (NTT人間情報研究所), 下田 真吾 (名古屋大学予防早期医療創成センター), 平田 仁 (医学部個別化医療技術開発講座), 小田 昌宏, 森 健策 (名古屋大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 1640 - 1645
Keyword運動主体感, 運動パフォーマンス, 自律神経
Abstractある運動を引き起こしている, あるいは生み出しているのは, 他の誰でもない自分であるという感覚が運動主体感である. このような運動主体感は一般的にはアンケートによる定性評価と, 外部情報に基づいて運動状態と生理的状態の変化を捉えることで運動主体感を定量的に評価するアプローチがある. 生理的状態の計測については大掛かりな装置を用いたアプローチが主流であり, 実世界への適用が困難であるという課題がある. また, 運動状態と生理的状態が運動主体感に関連して変化することはわかってきているが, 時系列的な変化の関連性については検討が少ないと考える. 本研究では運動主体感に関連して変化する生理的状態を捉える情報として心拍情報に着目し, 運動主体感に対する運動情報と心拍情報の時系列的変化特性も含めて関連性を評価することを目的とする. 運動主体感に関する4つのアンケートへのスコアに対して運動特徴量と心拍特徴量を用いて重回帰分析を行った. その結果, 主体性や課題遂行性に関するアンケートに対して運動特徴量と心拍特徴量が有意に寄与している結果が得られた. また, 運動主体感と運動特徴量・心拍特徴量の時系列的変化特性を考慮した重回帰分析においては, 運動を阻害されるような感覚に対して, 事前に心拍特徴量に変化が生じた後に運動情報に変化が生じている可能性が示唆された.


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セッション 8E  コンシューマシステム2
日時: 2022年7月15日(金) 11:00 - 12:40
座長: 中井 一文 (鳥羽商船高等専門学校)

8E-1 (時間: 11:00 - 11:20)
TitleOpenAPI Specificationを用いたWebAPIテストの自動化
Author*佐古田 健志, 佐藤 弓子, 前川 智則 (株式会社東芝研究開発センター)
Pagepp. 1646 - 1650
KeywordOpenAPI, WebAPI, テスト, 自動化
Abstract近年はインターネットを介して異なるシステムにおけるプログラムを連携させることができるWebAPIが年々増加している。しかし、WebAPI公開は自社のデータやサービスを公開することであるため、セキュリティの担保やサーバへの負荷といった点で課題があり、WebAPIを公開する前に実施するテスト工程がソフトウェア開発において重要な工程となっている。本稿ではWeb APIの記述方式の一つであるOpenAPI Specificationから網羅的なWeb APIのテストを自動化に作成するテスト自動化ツールを提案する。

8E-2 (時間: 11:20 - 11:40)
Title複数Wi-Fi機器のCSIを用いた行動推定手法の評価
Author*寺本 京祐 (静岡大学情報学部), 斎藤 隆仁 (NTTドコモ), 池田 大造 (日本電信電話株式会社), 太田 賢 (NTTドコモ), 西村 雅史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (愛知工業大学情報科学部), 峰野 博史 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 1651 - 1658
KeywordCSI, AI, 行動認識, Wi-Fi
Abstract近年のスマートホーム化やIoTなどの発展によって,日常行動のセンシングが注目されている.行動推定手法として人が映らないことによるプライバシー保護やコスト削減が図れるWi-Fi CSIベースの手法が研究されている.先行研究においては,屋内における簡単な人の動きをCSIで推定可能であることが報告されている.しかし,先行研究では一度に推定可能な行動数は限られており,収集可能な行動範囲についても非常に狭いという課題がある.そこで,本研究では2台のCSI受信機から日常生活で想定される行動を推定することを目標とする.提案手法では,2台のCSI受信機を用いてCSIを収集し,ノイズ除去を実施する.また,推定精度を上げるため,ノイズ除去による信号の歪みが抑えられるスペクトログラムによる画像化を行う.使用する学習モデルは画像認識分野で使用されているCNNと近年画像認識分野で注目されているViTを用いて性能比較を行った.結果,人の有無を推定する基礎実験において,CNNモデルの交差検証の精度が92%となった.

8E-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Title2次元骨格情報を用いたバスケットボールのフリースローラインからのシュートフォーム解析による経験者と未経験者の比較評価
Author*石垣 翔汰, 安部 惠一 (神奈川工科大学創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科)
Pagepp. 1659 - 1663
Keyword2次元骨格情報, シュートフォーム解析, 姿勢解析, データ分析, スポーツ
Abstract本論文ではフリースローラインからバスケットボールのシュートの取得映像をもとに2次元骨格情報に変換し,シュートフォームの解析を行った.今回はバスケットボールの経験者と未経験者のシュートフォームを比較解析した.また,解析結果から最適なシュートフォームや未経験者が効率よく練習するための手法について調査したので、その詳細を報告する.

8E-4 (時間: 12:00 - 12:20)
Title空間情報処理のオフローディングによるリアルタイムAR積雪可視化システムの検討
Author*小林 靖明, 川上 朋也 (福井大学大学院工学研究科), 松本 哲, 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 寺西 裕一 (国立研究開発法人情報通信研究機構/大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 1664 - 1669
KeywordAR, 積雪, LiDAR
Abstract降雪が多い地域における住民や訪問者の行動支援を目指し,現在地の将来の積雪状況を視覚的に把握可能とするリアルタイムAR積雪可視化システムを提案する.提案システムは,3D LiDARを用いてセンシングした現実世界の空間情報に積雪状況を反映した積雪空間情報を生成し,カメラで撮影された映像に重畳表示する.本稿では,処理性能が小さいモバイルデバイスに対応可能とするため,処理量が大きい積雪空間情報の処理をモバイルデバイスからエッジサーバへオフローディングするシステム構成による提案システムの実現法について述べる.

8E-5 (時間: 12:20 - 12:40)
TitleAndroid 端末における無線および有線 LANを考慮した通信制御の一検討
Author*松野 瑛南 (お茶の水女子大学), 山口 実靖 (工学院大学), 神山 剛 (長崎大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1670 - 1678
KeywordAndroid, 無線LAN, 有線通信, 通信制御
Abstract近年,無線LAN通信の高速化の技術が進歩している.しかし,スマートフォン市場の拡大に伴い,無線端末の使用台数の増加に加え,ライブ配信の視聴などデータの通信量が増加している為に,使用可能な帯域を広げても輻輳は発生してしまう.また,無線LAN通信の高速化に伴い,有線側で古い機器を使用している環境では,無線側だけでなく有線部分がボトルネックになる事例がある.そこで本研究では,様々な原因で発生する輻輳を回避するために,先行研究の輻輳制御ミドルウェアを基に改良することを目標としている. 輻輳制御ミドルウェアの構築を実現するために,現在使用している回線の混雑状況や通信状況を知る必要があり,本稿では,通信性能の異なる複数Android端末の同時通信時のTCPパラメータに着目したトラフィック解析を行う.解析結果から,評価指標のFairness Indexは通信性能の差による公平性を考慮していないことが確認できたため,改良版Fairness Indexを提案,評価した.


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セッション 8H  分散処理
日時: 2022年7月15日(金) 11:00 - 12:40
座長: 福元 徳広 (東京大学)

8H-1 (時間: 11:00 - 11:20)
TitleICN上の適応映像配信における複数ルータ間での分散制御による輻輳回避
Author*中野 智也, 中川 令, 山井 成良 (東京農工大学)
Pagepp. 1679 - 1686
Keyword情報指向ネットワーク, 輻輳回避, トラフィックシェーピング, 適応映像配信
AbstractInformation Centric Networking(ICN)上の適応映像配信において,輻輳回避はAdaptive Bitrate(ABR)アルゴリズムによって行われる.問題点として,セグメントの取得中に輻輳が発生した場合,次のセグメントの取得が始まるまで輻輳回避に遅延が生じる点が挙げられる.本研究では輻輳回避の遅延を回避するため,ルータの分散制御によりトラヒックシェーピングを行うことで輻輳回避を行う手法を提案する.Network Interface Card(NIC)内の送信キューの占有率が一定の閾値を超えている場合,映像データを含むパケットに対し固定時間長の送信間隔を付与することで輻輳回避を行う.提案手法に基づきネットワークシミュレータns-3を用い実験を行った.評価ではQuality of Experience(QoE)を用い,メトリックであるBitrate,Bitrateの変動量及び映像停止時間について考察を行った.実験の結果,閾値が十分に小さく送信間隔が10マイクロ秒のとき,QoEを下げることなく映像停止時間を削減することができた.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
8H-2 (時間: 11:20 - 11:40)
TitleKubernetesによるイベント駆動型分散アプリケーションの水平スケーリング評価
Author*郡浦 宏明, 宮田 辰彦 ((株)日立製作所)
Pagepp. 1687 - 1695
KeywordKubernetes, オーケストレーション, 分散処理, 水平スケーリング, マネージドコンテナ
AbstractKuberenetes, Amazon ECSなどのコンテナオーケストレーションサービスが普及するなか,コンテナアプリケーションの処理負荷増減を捉えてポッドを起動・停止することで,適切な負荷分散によるレイテンシ抑制と,クラウドコスト低減を実現する水平スケーリング機能が注目されている.この水平スケーリング機能を,複数・多段イベントを順に分散処理するようなコンテナアプリケーションを対象に適用した場合,ポッドのCPU使用率やMEM使用率などのリソースメトリクスでは負荷状況を正しく捉えられず,適切にスケールアウト/インできない課題があった.そこで,本稿ではイベント駆動型分散アプリケーションの水平スケーリングについてシステム構成を検討し,モデリングおよびシミュレーション評価を行った.評価結果より,イベント滞留量を考慮したメトリクスを水平スケーリングに使用することで,レイテンシ抑制とクラウドコスト低減を実現するスケールイン/アウトが可能な見通しを得た.

8H-3 (時間: 11:40 - 12:00)
Titleサーバシステムの性能データ収集および転送における効率化手法の考察
Author*飯山 知香 (お茶の水女子大学), 平井 聡, 山岡 茉莉, 福本 尚人 (富士通), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1696 - 1701
Keyword時系列データ, 性能データ収集, データ転送, データ圧縮, CPU負荷
Abstract近年、多数台サーバの共有利用や分散処理利用に関する需要が増えてきている。 リアルタイムでその性能データを分析するためには、データの収集や転送によるオーバヘッドを抑え、効率的に扱う手法が必要である。 そこで本研究では、データ収集用サーバにおけるCPUのプロファイルデータの収集、データ解析用サーバにおける時系列データベースへの格納、時系列データベースのAPIを利用したデータの転送においてリソース利用量やオーバヘッドを計測した。 データの転送にかかる時間、時系列データベースにおけるデータ圧縮率、データ転送プログラムや時系列データベースのCPU負荷率などの計測結果から、有用な効率化手法を検討した。



2022年7月14日(木)

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セッション DS  デモセッション
日時: 2022年7月14日(木) 18:00 - 19:30

野口賞(優秀デモンストレーション賞) / Noguchi Awards
DS-1
Titleはなれてたって,ぼくらはいっしょ! 車椅子のXRコミュニケーションシステム
Author*林田 望海, 下里 浩昇, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科情報・通信工学専攻)
Pagepp. 1702 - 1706
KeywordVirtual Reality, Mixed Reality, 車椅子, コミュニケーション
Abstractコロナ禍以降,オンライン会議やメタバースなど物理的な距離があっても気軽にコミュニケーションができる機会が増えている.その一方で,失われつつあるコミュニケーションも存在する.車椅子は基本的に介助者の同行が必要な乗り物であったが,介助者とのコミュニケーションが生まれる場でもあった.車椅子の電動・自動化が活用されるようになり,車椅子の操作を一人でも行えるようになったために,介助者と車椅子の利用者とのコミュニケーションの機会が減っている.本稿では,この失われつつある車椅子のコミュニケーションの機会をXR(eXtended Reality)を用いて再現するシステムを説明する.開発したプロトタイプと本システムの応用例及び実用化に向けて解決すべき課題を提案する.

DS-2
Title都市空間データを用いたバーチャル銀座の開発と5G SAでのMEC環境によるクラウドゲーミングの活用
Author*山添 隆文, 湯口 昌宏 (NTTドコモ), 池田 大造 (日本電信電話), 太田 賢 (NTTドコモ)
Pagepp. 1707 - 1712
KeywordMEC, デジタルツイン, 5G, クラウドゲーミング, ゲーミフィケーション
Abstract本稿では,都市空間データとゲームエンジンUnreal Engine 4を用いてバーチャル空間上に銀座の街を再現した「バーチャル銀座」システムの開発と実証実験について述べる.本システムはユーザによる地域の魅力発見を助けるため,3Dアバターを操作して銀座の歴史や文化スポットを巡りながらデジタルアイテムを探し収集する「宝探し体験」と,ユーザ同士で会話しながら街全体を駆け巡る「競争ゲーム体験」を提供する.銀座の街の再現においては,建物モデルのような静的データと街のにぎわいのような動的データをどう組み込み表現するか,広大な銀座の街の3D空間表現を多様なユーザ利用端末の制約を受けることなく実現するかという2つの技術課題に対し,前者についてはモバイル空間統計による人流データによる街の様相の表現,後者についてはクラウドレンダリングを活用した多様なデバイスへの対応による解決を行なった.実証実験として,「宝探し体験」と「競争ゲーム体験」の有効性を評価すると共に,5G回線直結のMEC環境(ドコモ・オープンイノベーションクラウド)上で,5G SA通信を介した本システムの動作を確認した.

野口賞(奨励賞) / Noguchi Awards (Encouragement Award)
DS-3
TitleMMAPとミストを使った空中お絵描きシステムの開発
Author*杉本 佳亮, 水野 慎士 (愛知工業大学)
Pagepp. 1713 - 1718
Keyword空中ディスプレイ, ミスト, CG, インタラクション
Abstract本稿では,空中にミストでできたような映像をインタラクティブに生成する手法を提案する.提案手法では,ミストスクリーンとマイクロミラーアレイプレートを組み合わせることで,ミスト風映像を空中に表示することを実現する.生成された空中映像は,ミスト自体が持つ立体感によって立体的に感じることができる特徴を持つ.

DS-4
Titleソーシャルディスタンスを考慮した体験型ゲームの開発
Author*篁 知樹, 水野 慎士 (愛知工業大学)
Pagepp. 1719 - 1723
Keywordソーシャルディスタンス, 体感型ゲーム, ユーザ追跡, インタラクション
Abstract現在流行している新型コロナ感染症によりソーシャルディスタンスが必要とされるようになり,体験型ゲームは大きな影響を受けた.そこで,ソーシャルディスタンスを保つことができるエリアサイズで各プレイヤーをモーションキャプチャすることで,常にプレイヤー間の距離を測定しソーシャルディスタンスの監視を行い,一定の距離を保てなくなった場合に警告を行う体験型ゲームの開発を行った.また,PC側でゲームをコントロールすることで常時ソーシャルディスタンスを保てるようなシステムを実装することで,ソーシャルディスタンスを確保する.

DS-5
Title(企業展示) 量子暗号通信ネットワーク技術
Author*米良 恵介, 谷澤 佳道 (東芝 研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所)
Pagep. 1724
Keyword量子暗号, 量子鍵配送, QKD
Abstract近年,量子コンピュータの研究開発が加速しており,2030年ごろには現在の暗号通信で広く利用されている公開鍵暗号(RSA等)データが短時間で破られる可能性が指摘されている.また,現在通信されている暗号化データが今すぐ解読される恐れがなくとも,暗号化データを傍受して時間をかけて解読する攻撃により,将来的に破られる危険性がある. そこで,量子コンピュータでも破られない次世代のセキュリティ技術として注目を集めているのが量子暗号通信である.量子暗号通信は,量子力学の原理に基づく暗号通信技術で,理論的に安全性が証明されている暗号通信技術として知られている. 東芝は,1991年に設立されたケンブリッジ研究所を初めとして,量子暗号通信の研究開発に20年以上に渡って取り組んでおり,高速化・長距離化・安定化に数々の世界初をもたらしてきた.また,医療・金融・産業分野で様々なPoCに取り組み,量子技術の実用化・社会実装を推進している. 本展示では,東芝の量子暗号通信技術や実運用に向けた取り組みの概要を紹介する.

野口賞(奨励賞) / Noguchi Awards (Encouragement Award)
DS-6
Title疑似量子計算シミュレーテッド分岐アルゴリズムによるリアルタイム組合せ最適化システム
Author*濱川 洋平, 日高 亮, 山崎 雅也, 辰村 光介 (東芝)
Pagepp. 1725 - 1732
Keywordイジングマシン, 組合せ最適化, シミュレーテッド分岐, 疑似量子計算
Abstract組合せ最適化は,社会や産業の様々な場面で頻繁に現れる重要課題である.多くの組合せ最適化問題は,変数が増えると取り得る組合せが膨大となり,解くのが困難となる.イジングマシンは,このような組合せ最適化の近似解を高速に解くことができる専用計算機であり,シミュレーテッド分岐は,一種のイジングマシンを実現する量子インスパイアドなアルゴリズムである.高い計算並列度を有するシミュレーテッド分岐をFPGA (Field Programmable Gate Array)に実装したアクセラレータは,特に低レイテンシなイジングマシンを具現化できることが特長である.本稿では,高度な組合せ最適化を利用するリアルタイムシステムに向けたFPGA実装イジングマシンの応用について述べる.また,汎用イジングマシンを用いたリファレンスデザインを開発し,様々な分野の研究者が誰でも再現可能な形でリアルタイム組合せ最適化システムの実現可能性を示した.

野口賞(優秀デモンストレーション賞) / Noguchi Awards
DS-D:1
Title発話を先読みしマイクミュート制御をするマルチモーダル発話検知技術
Author*山田 仰, 瀧上 順也, 仲 信彦, 吉村 健, 太田 賢 (NTTドコモ)
Keywordマルチモーダル, ミュート制御, オンラインコミュニケーション, 発話検知, 音声制御
Abstract本研究では,音声通話における自動マイクミュート制御のために,従来技術を用いた場合の2つの課題である,話頭切れと周囲雑音の誤検知を防止するため,口唇の変動に基づき発話開始を先読みしてマイクを有効化し,口唇の変動と音声信号に基づき非発話中と推定されたときにマイクを無効化するミュート制御手法を提案する. また本研究では,共話を行っているオンラインコミュニケーションの収録動画を用いて提案技術の評価を行い,収録動画の全発話の内の99.1%の発話を話頭切れを含む発話区間の欠損無く検出でき,共話のユースケースでも十分に実用性があることを示す.
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野口賞(奨励賞) / Noguchi Awards (Encouragement Award)
DS-D:2
Titleすれ違い時に移動ロボットが提示する横向き矢印の認知
Author*桑宮 陽 (明治大学), 築舘 多藍, 阿部 花南, 武井 秀憲 (明治大学大学院), 小林 稔 (明治大学)
Keyword矢印, 移動ロボット, すれ違い, 進行方向提示, 誘導
Abstract人が移動ロボットとすれ違いを行う際,見た目からでは回避方向の予測が難しいため衝突の危険がある.我々は,すれ違い時の衝突回避のためのコミュニケーション手法として,移動ロボットが進む方向を進行方向に垂直な面に提示される横向き矢印を用いて示すという手法を検討している.この手法が抱える問題として,矢印はロボットの進む方向を示しているという解釈と,すれ違う歩行者を誘導しているという解釈に分かれてしまうという問題がある.本稿では,本手法の実現が可能な矢印の提示方法の解明のため,矢印の提示タイミング・提示位置という観点から,ロボットとのすれ違いの主観映像を用いた実験によって,すれ違い時に移動ロボットが提示する横向き矢印の認知を調査した.実験の結果,すれ違いの直前に提示された矢印は「すれ違う歩行者を誘導している」という解釈をされる傾向にあった.
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セッション SP  特別招待講演
日時: 2022年7月14日(木) 16:20 - 17:20
座長: 大須賀 昭彦 (電気通信大学)

SP-1 (時間: 16:20 - 17:20)
Title(特別講演) 脳AI融合の最前線とICTへの期待
Author紺野 大地 (東京大学医学部附属病院老年病科)
Pagepp. 1733 - 1734