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平成21年度 電気・情報関連学会中国支部第60回連合大会

部門: セッション 1201  18. 信号処理
日時: 2009年10月17日(土) 9:00 - 10:31
部屋: 講義棟 434室 (→地図)
座長: 中西 功 (鳥取大学)

18-1 (時間: 9:00 - 9:13)
題名単電子トンネリングデバイスを用いた帯域通過ディジタルフィルタ
著者*安野 孝志, 藤坂 尚登, 神尾 武司, 安 昌俊, 生岩 量久 (広島市立大学大学院 情報科学研究科 システム工学専攻)
Pagepp. 393 - 394
Keyword単電子トンネリング, ディジタルフィルタ, 帯域通過フィルタ, 分布定数フィルタ
Abstract単電子トンネリングデバイスを用いた帯域通過ディジタルフィルタを提案する.実現容易性を考慮すると,回路セル間の配線は極力ローカルにすべきであり,また,デバイスの過渡誤りに対して耐性を与える必要もある.本フィルタは分布定数型フィルタの空間離散化モデルであるため配線のほとんどがローカルであり,信号形態を2値量子化デルタシグマ変調信号とすることにより,誤り耐性も得ている.さらに回路の簡易さは犠牲になるが,アナログ分布定数型フィルタの設計資源を利用できる構成であることも本フィルタの長所である.フィルタ機能の確認,信号品質,誤り耐性をシミュレーションにより評価したので報告する.

18-2 (時間: 9:13 - 9:26)
題名チャネルランキングを用いた信号検波によるゼロフォーシングの性能強化
著者*吉村 武士, 安 昌俊, 神尾 武司, 藤坂 尚登, 生岩 量久 (広島市立大学)
Pagepp. 395 - 396
KeywordOFDM, MIMO, ZF, MLD
AbstractMultiple-Input Multiple-Output (MIMO) システムにおいて 複数の送信アンテナから送信された信号を識別するためには,信号検波がとても重要である. その検波方法としてMaximum likelihood detection (MLD), Minimum mean square error (MMSE)やZero forcing (ZE)[1]などが提案されており、特に MLDは最適な性能を示す.しかし,その計算量が送信アンテナの数やコンスタレーションポイントに依存して指数関数的に増加してしまうという問題点がある. そこで,計算量が少なく,準最適な性能を示すZFに着目した. ZFでは,チャネル応答行列を基にして検波するために,チャネル推定[2]が重要になってくる. もし,チャネル応答にノイズが多く含まれた場合には,その性能が劣化してしまう. この問題を解決するために,チャネルランキングを用いた新しい種類のZF検波を提案する.

18-3 (時間: 9:26 - 9:39)
題名イジングスピングラスを用いた低信頼性ナノスケール論理回路の誤り訂正
著者*岡田 康宏, 藤坂 尚登, 神尾 武司, 安 昌俊, 生岩 量久 (広島市立大学)
Pagepp. 397 - 398
Keywordイジングモデル, スピングラス, ナノエレクトロニクス, エラー訂正, 単電子トンネリング
Abstract半導体量子効果デバイスなどのナノエレクトロニクスデバイスは,電磁干渉波や宇宙線,周囲環境の変化などに非常に脆弱である.従ってこのデバイスから構成された回路は,高い確率で瞬時的なエラーを発生させる.さらにナノエレクトロニクス回路は,デバイス欠損を高い確率で含み,部分的ではあるが,恒久的エラーに苛まれる.瞬時的エラーと恒久的エラーの対策として,ハードウェア複製による空間冗長化や同じ動作を反復させる時間冗長化,冗長的データ符号化などがある. またナノスケール回路では,長い配線がデバイスの量子的動作に悪影響を及ぼす.従ってエラーが発生しないよう,エラー訂正回路のアーキテクチャをローカルな配線形態にすべきである.Ising spin glass(ISG)の統計力学的ふるまいを利用したエラー訂正は,すでに通信や画像処理の分野で展開されている.ISGでは,隣接するスピン同士が相互に作用する.従ってISGを用いて,ローカルな配線形態を持つエラー訂正回路を構成することができる. 本研究では,ISGを単電子トンネリング(SET:Single-electron tunneling)デバイスで構成された古典的な組み合わせ回路で発生するエラー訂正に適用した.

18-4 (時間: 9:39 - 9:52)
題名一般調和解析による音源分離のフレーム間接続に関する考察
著者*小川 慎 (鳥取大学大学院工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 知能情報工学コース 知識工学A), 清水 忠昭, 田中 美栄子 (鳥取大学 工学部 知能情報工学科)
Pagep. 399
Keyword一般調和解析, 音源分離
Abstract近年,複合音の中から目的の音を取得する音源分離において様々な周波数解析手法で研究がなされている.楽音の分離は安定したサステイン部では結果が良好である.しかし不安定な立ち上がり部分や音高の変化による音源の同定は難しく,フレーム間の分離信号の接続が問題となる.本研究では一般調和解析により解析した周波数を用いて楽音信号の分離を行い,分離信号のフレーム間での接続について提案する.

18-5 (時間: 9:52 - 10:05)
題名相関データのCDMAマルチユーザ復調
著者*八井 亮, 相田 敏明 (岡山大学大学院 自然科学研究科)
Pagep. 400
KeywordCDMA, ベイズ推定, サムプロダクト・アルゴリズム
Abstract無線通信に用いられる通信方式のひとつにCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)がある.携帯電話による通信等,信号間に相関の存在しない一般的な通信においては,ユーザ数が多ければ平均場近似を用いたマルチユーザ復調でも十分有効である.しかし,ユーザ数が多くても複数の信号間に相関が存在する場合,平均場近似では効果的ではないと予想される.そこで,本研究では拡散符号系列間の相関を取り除くためだけでなく,信号間の相関を考慮に入れるため事後確率分布の周辺化にサムプロダクト・アルゴリズムを用いた復調法を提案する.そして実際に隣接する信号間に相関を有する信号に対して実験を行い,その結果について報告する.

18-6 (時間: 10:05 - 10:18)
題名LDPCCの2値画像通信への利用
著者*渡邉 孝治, 相田 敏明 (岡山大学大学院 自然科学研究科)
Pagep. 401
KeywordLDPCC, 相関, サムプロダクト復号法, 2値画像
Abstractノイズのある通信路において通信を行う際に有効な手段として, 低密度パリティチェック符号(LDPCC)がある. LDPCCではランダムに構成された非常に疎な検査行列を使って符号が定義され, 高速かつ高性能なサムプロダクト復号法を適用可能である. 本研究のテーマはLDPCCによる2値画像の符号化, 復号である. 通常は, 通信の効率化のために, データを圧縮後, 符号化を行う. それに対し, 我々は, 圧縮せずに, 画素間の相関を考慮することにより通信の効率化を図る. この相関を考慮したLDPCCによる符号化, 復号をサムプロダクト復号法により実行し, 圧縮を行う従来法との性能比較について報告する.

18-7 (時間: 10:18 - 10:31)
題名超解像のための低−高解像度パッチのデータベースの改良
著者*増田 真也, 森川 良孝 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 402 - 403
Keyword超解像, データベース
Abstract近年,医療画像や防犯カメラの映像において,より解像度の高い画像が求められており,その一つとして超解像技術が注目されている.筆者らは,人が画像から実物を認識する関係を模倣することによって高解像画像を再構成する超解像を実装した.低解像画像と高解像画像を数画素のブロックに分割した低解像パッチと,高解像パッチを対にしたデータベースを用いる.データベースを生成する際,低解像画像を生成するために高解像画像を劣化させる必要があり,この低解像画像生成において用いるフィルタを変化させることで,得られた超解像画像の改善が見られたことを報告する.