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平成21年度 電気・情報関連学会中国支部第60回連合大会

部門: セッション 0901  3. 電気・電子材料-(1)
日時: 2009年10月17日(土) 9:00 - 10:31
部屋: 講義棟 414室 (→地図)
座長: 浅田 裕法 (山口大学)

3-1 (時間: 9:00 - 9:13)
題名高温超電導バルク体を用いた3次元超電導アクチュエータの特性向上のための検討
著者*上荷 洋平, 奥川 恵介, 井上 大嗣, 金 錫範, 村瀬 暁 (岡山大学工学部電気電子工学科超電導応用工学研究室)
Pagep. 297
Keyword超電導, バルク, アクチュエータ, 解析
Abstract超電導バルク体の臨界電流密度や機械的強度の向上により,磁気ベアリング,フライホイール,搬送装置,モータなどへの応用が期待されている.我々は,空間的に隔てた環境における遠隔操作が可能な超電導アクチュエータ(Fig.1)の開発を行ってきた[1],[2].開発する超電導アクチュエータは,移動子である超電導バルク体と固定子である平面配列された電磁石群で構成されている.固定子から3次元的な磁場分布を発生させ,特定の磁場分布が捕捉されている移動子に,鉛直方向・水平方向への移動及び回転を可能としている.実際の超電導アクチュエータを実現させるためには,経済性の問題から,より低い電流で着磁・駆動を行うことが求められる.そこで,本研究では,低電流域における発生磁場向上を図るために,固定子である電磁石の下部に磁路形成用の鉄板を設けた.そして、鉄板の厚みをパラメータにした数値解析を行うことで発生磁場の向上について検討したのでその結果を報告する.

3-2 (時間: 9:13 - 9:26)
題名低圧マグネトロンスパッタリング法によるTi薄膜の作製
著者*伊藤 亮佑, 増田 行博, 松本 真一, 森重 史也, 川畑 敬志 (広島工業大学)
Pagep. 298
Keywordスパッタリング, Ti薄膜, 低圧スパッタ
Abstract低圧力下でのスパッタでは、緻密な膜が形成されることが知られており、緻密な膜は電気的特性、磁気特性、耐腐食性にも優れていることから、本件究ではターゲットの背面磁石の磁場制御を行うことで、低圧力下でのTi薄膜の作製を可能とし、また低圧力下で作製したTi薄膜の結晶構造および、表面構造について調べた。AFM画像から、これらの画像から圧力の低下に伴なって表面形状が緻密化されていることがわかった。表面の自乗平均粗さのスパッタ圧力依存性では、圧力の低下に伴い、表面粗さが小さくなり6.67×10⁻²Paで1nmの粗さが得られることがわかった。

3-3 (時間: 9:26 - 9:39)
題名低周波磁場を用いた漏洩磁束探傷試験
著者*吉岡 光輝, 川崎 喜彦, 紀和 利彦, 塚田 啓二 (岡山大学自然科学研究科)
Pagep. 299
Keyword低周波磁場, 漏洩磁束探傷検査法, 磁気抵抗(MR)センサ, 内部腐食
Abstract本研究では低周波磁場を用いた新たな漏洩磁束探傷検査法を開発した.開発した測定装置は印加コイル,磁気抵抗(MR)センサ,発信器,電流源,ロックインアンプ,PCから構成した.パイプの内部腐食を想定し,鉄板に直径と深さの異なる欠陥をあけた測定試料を作成した.測定試料に低周波交流磁場を与え,測定試料から漏洩した磁束を試料の裏面からMRセンサで測定した.測定結果より,欠陥の存在する位置で磁場強度の変化が見られた.また,磁場強度の変化におけるピーク半値幅と穴径,磁場強度の変化におけるピーク値と欠陥深さにも関係性が見られた.開発した漏洩磁束測定装置により,従来は困難であった鉄板裏面の欠陥の位置と深さ,欠陥径が検出可能となった.

3-4 (時間: 9:39 - 9:52)
題名奇数高調波誘導電圧を用いた高温超電導薄膜の非接触式臨界電流密度の評価
著者*平松 康平, 朱 鎮弘, 金 錫範 (岡山大学工学部)
Pagep. 300
Keyword高温超電導薄膜, 臨界電流密度の評価, 第3高調波誘導電圧法
Abstract第3高調波誘導電圧法はclaassenらによって提案され,その後の研究により精度の改善が行われてきた.この方法は,高温超電導薄膜に直接通電させることなく正弦波交流磁場を印加し,超電導状態が壊れる際に生じる第三高調波成分を検出することで非破壊・非接触で局所的な臨界電流密度Jcを測定することが可能となる.従来の測定方法では,第三高調波電圧成分V3を検出するためにはロックインアンプやノイズ除去用の電子回路等が必要となる.そこで,我々はDAQ(Data Acquisition)装置を用いることで,ロックインアンプ等の測定装置を使用せずにも,V3だけでなく他の奇数高調波成分も同時に検出できる装置を提案した.この発表では,新しい測定装置を用いて高温超電導薄膜の臨界電流密度の評価おける奇数高調波成分の効用について検討したので,その結果について報告する.

3-5 (時間: 9:52 - 10:05)
題名電流の測定データにおけるはずれ値除去の自動化
著者*讃井 和彦, 寺田 和夫, 辻 勝弘 (広島市立大学院情報科学研究科), 角村 貴昭, 西田 彰男 (半導体先端技術テクノロジーズ)
Pagep. 301
Keyword電流電圧特性, 異常値, 外れ値, MOSFET, しきい値電圧
Abstract大量のMOSFETを集積したDMA(Device Matrix Array)を測定して得られた電流電圧特性から異常なもの(外れ値)を自動で除去する方法を提案する。DMAの周辺回路に異常があると、電流特性がアドレス単位で大量に異常なものになることがある。異常なものが大量にあると、平均から標準偏差の3倍を超えるものを取り除く方法や、箱髭図による方法では、標準偏差が大きすぎて取り除くことができない。そのような場合でも異常値を発見できるように、電流値の差分に注目したアルゴリズムを提案する。従来は電流特性からしきい値電圧を抽出して、その累積度数分布から目視で異常値を取り除いてきた。その方法との違いも比較している。

3-6 (時間: 10:05 - 10:18)
題名多重量子井戸構造の光学遷移から求めた有効質量
著者*藤川 圭介, 八方 直久, 藤原 真, 田中 公一 (広島市立大学 大学院 情報科学研究科 創造科学専攻 情報物性工学研究室)
Pagep. 302
Keyword多重量子井戸構造
Abstract多重量子井戸構造のもつ様々な光学特性は、今後、量子情報通信技術の分野で応用が期待されている。しかし、InP基板上に接合されたInGaAs/InAlAs多重量子井戸構造は、現在、応用の為に必要な物性パラメータがはっきりしていない。本研究では、量子準位に依存する光吸収のエネルギーを温度、入射角度の観点から考察し、新たに軽い正孔の有効質量を求めた。この結果において、実験で得られた重い正孔や電子の有効質量などの物性パラメータは過去に求めた計算値と一致している。

3-7 (時間: 10:18 - 10:31)
題名誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタ法による紙基板上へのCu薄膜の作製
著者*大谷 和輝, 森重 史也, 笠井 聖史, 川畑 敬志 (広島工業大学), 岡本 圭司 (トーヨーエイテック)
Pagep. 303
Keywordスパッタリング, Cu薄膜, MMPC, 紙基板, パルス電圧
Abstract金属資源の枯渇が問題視されており、資源のリサイクルが求められていることから、紙などの可燃性基板上へ成膜することは、金属材料のリサイクルを容易にする可能性がある。そこで、Cu薄膜を基板側にバイポーラパルス電圧を印加した誘導結合プラズマ支援型多重磁極マグネトロンスパッタ法(MMPC-ICP)により紙基板上に作製した。チャージアップの抑制と同時に基板入射イオンエネルギーの制御を試みた結果、AFM像の観測から、基板に印加するパルス電圧VSによって、自乗平均粗さが著しく変化することがわかった。また、XRDの回折パターンはVSを加えることでCu(111)のX線強度の向上が見られた。