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| 2026年6月24日(水) |
| Room4 | Room3 | Room2 | Room5 | Room6 | Room7 | Room8 | Room9 | Room11 |
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13:00 - 13:30 |
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13:30 - 13:50 |
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13:50 - 15:30 |
13:50 - 15:30 |
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15:30 - 15:50 |
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15:50 - 17:10 |
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17:10 - 17:30 |
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17:30 - 18:50 |
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17:30 - 18:50 |
17:30 - 18:50 |
17:30 - 18:50 |
17:30 - 18:50 |
17:30 - 18:50 |
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18:50 - 19:20 |
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19:20 - 21:00 |
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| 2026年6月25日(木) |
| Room4 | Room3 | Room2 | Room5 | Room6 | Room7 | Room8 | Room9 | Room11 |
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8:45 - 9:00 |
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9:00 - 10:20 |
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10:20 - 10:40 |
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10:40 - 12:00 |
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10:40 - 12:00 |
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12:00 - 13:00 |
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13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
13:00 - 14:20 |
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14:20 - 14:40 |
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特別招待講演 14:40 - 15:40 |
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15:40 - 15:50 |
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30周年記念 特別セッション 15:50 - 16:30 |
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16:30 - 16:40 |
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デモセッション 16:40 - 18:10 |
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18:10 - 18:30 |
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18:30 - 20:00 |
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20:00 - 20:30 |
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ナイトテクニカルセッション 20:30 - 22:30 |
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| 2026年6月26日(金) |
| Room4 | Room3 | Room2 | Room5 | Room6 | Room7 | Room8 | Room9 | Room11 |
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8:45 - 9:00 |
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9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:20 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
9:00 - 10:20 |
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10:20 - 10:40 |
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10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
10:40 - 12:00 |
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12:00 - 14:00 |
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14:00 - 14:30 |
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| 2026年6月24日(水) |
| Title | (招待講演) AIとIoTがもたらす大規模化と可用性の課題について |
| Author | 稲村 浩 (公立はこだて未来大学) |
| Page | p. 1 |
| Abstract | 先日、負荷の増大や運用計画になかった異質なトラフィックの増大による Github のサービスレベルの低下が観測された。AI エージェントの普及や多数の IoT デバイスの導入に伴うインフラの大規模化は、従来の設計想定を超える新たな可用性の課題を招いている。GitHub の事例では、自律型 AI によるトラフィックが当初計画を超え、密結合な構造が連鎖的障害を引き起こしてサービスレベルを低下させたが、これに対し「可用性最優先(Availability First)」への転換とシステムの疎結合化による設計の見直しが行われていると報じられた。対策としてアークテクチャ設計に立ち戻って過負荷な要素をデカップリングすることが挙げられている。本講演では筆者がこれまでに研究してきた、意図しないカップリングによる通信網の過負荷の話題を紹介する。無害なアプリ同士が予期せず連動する「同期干渉」といった、大規模システムでのみ実現する特有のリスクを検討してきた。今後、大規模化が想定される IoT システムの設計などに参考になれば幸いである。 |
| Title | 大規模なメール配信データを用いた性格特性とメールタイトルの分析 |
| Author | *山下 毅, 山本 寛子, 檜山 聡 (株式会社NTTドコモ クロステック開発部) |
| Page | pp. 2 - 10 |
| Keyword | Big5, マーケティング, クリエイティブ, 大規模メール配信データ, 回帰分析 |
| Abstract | 性格特性モデルBig5は意思決定の有用な指標であり, ユーザ性格に応じたメッセージの最適化は既存のアプローチを超える高度なコミュニケーションを実現する. しかし, 数千万人規模の実サービス環境で, 特定の文言が性格特性に対し実際の行動に寄与するかを定量分析した事例は極めて稀である. そこで本研究は, 許諾を得られた約1,355万人に対し, 株式会社NTTドコモが6ヶ月間配信した230種類(延べ約4,490万件)の大規模なメール開封データを活用し, 過去の履歴等の交絡因子を統制した上で, 特定の文言(単語やナッジ)がどの性格特性に効果を持つかを定量分析した初の実証研究である. 結果として, 誠実性や調和性が高い, または神経症的傾向が低いユーザは, 頻出単語の“ご案内”, パワーワードの“無料”や“顕著性に関する単語”, ナッジの“金銭以外の利得”に反応しやすい一方, 誠実性が低いユーザは“節約”や“金銭的利得”に, 調和性が低い, または神経症的傾向が高いユーザは“節約”や“新奇性に関する単語”に強く反応することが明らかになった. 本知見は大規模データに基づく心理的ターゲティングの有効性を示し, デジタルマーケティングの高度化に貢献する. |
| Title | LLMを用いた感情推定: 〜動画解析による動的ペルソナ選定と過去事例の統合〜 |
| Author | *関根 ありさ, 春山 知生, 北出 卓也 (株式会社NTTドコモ) |
| Page | pp. 11 - 17 |
| Keyword | 視聴者の感情評価値推定, Mixture-of-Personas, LLM |
| Abstract | 動画視聴後の視聴者感情の推定は,コンテンツ推薦や制作支援において重要だが,公開前の作品にはデータが存在しないコールドスタート問題がある.本研究では,大規模言語モデル(LLM)を用い,視聴者の多様な属性と過去の感情分布の傾向を考慮した感情分布推定手法を提案する.本手法は,動画内容を深く理解する「文脈解析フェーズ」,ユーザデータから構築した7名のペルソナリストに基づきターゲットを特定する「動的ペルソナ選定フェーズ」,および類似動画の「過去事例データ」を統合して個の視点で推論する「感情推定フェーズ」で構成される実際の視聴データを用いた評価の結果,提案手法はKLダイバージェンス12.87,Top-3一致率0.75を達成し,ベースラインや過去事例を用いない手法の精度を大幅に上回った.さらに,ペルソナ選定の的中率は0.75を示し,LLMが動画の文脈から妥当な視聴者層を高い精度で特定できる可能性が示唆された. |
| Title | ダーツにおける疑似成功映像の成功率が自己効力感に与える影響の調査 |
| Author | *伊藤 数真, 須藤 航 (日本大学文理学部), 村田 倫一, 大串 旭 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 石井 亮 (NTT株式会社), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 18 - 23 |
| Keyword | 自己効力感, ビデオセルフモデリング, ダーツ, AR |
| Abstract | 自己効力感を高めるアプローチとして,自身が理想的な行動をする姿を視聴して学習するビデオセルフモデリングという手法が存在する.この手法は,事前に自身が理想とする行動を実施している映像を用意する必要があり,未熟な初心者が自身の成功映像を事前に用意することは困難である.これを解決するためにデジタルツインで疑似的な成功映像を生成する試みが行われてきた.ダーツを題材とした先行研究においては,動作計測のためのセンサ装着が自然な投擲を妨げる点や,現実の技量とかけ離れた常に完璧な成功を見せることが,ユーザに心理的なプレッシャーを与え得るという課題が残されていた.本研究では,深度カメラを用いた非装着の動作計測により,自然な投擲動作を阻害しないシステムを構築した上で,映像内のアバタが示す成功率の違いがユーザに及ぼす影響を調査した.実験の結果,最初からブルへの的中のみを見せるアバタは,現実のスキルとの乖離や既存の感覚との不一致から,自己効力感の向上を妨げる可能性があることが示された.一方で,最初は失敗するが試行錯誤を経て徐々に上達する過程を描写したアバタは,的の中心付近への命中を含む自己効力感の向上に寄与する可能性が示唆された. |
| Title | シェイクアウト動作によるパッシブハプティクスが利用者の心理変容および行動意図に与える影響の検証 |
| Author | *吉野 孝, 山中 永遠 (和歌山大学) |
| Page | pp. 24 - 31 |
| Keyword | 拡張現実, パッシブハプティクス, ヘッドマウントディスプレイ(HMD), 防災教育, 行動変容 |
| Abstract | 近年発生した地震における負傷のうち,約30%〜50%が家具類の転倒や移動,落下によるものであった.そのため,家具類の転倒防止対策が必要であるが,地震対策を行わない住民が一定数存在しており,地震や地震対策器具の効果を十分に認識していない人がいることが分かっている.そこで本研究では,利用者の身近な空間と重ね合わせることのできるAR技術とパッシブハプティクスを用い,居住空間での被災体験を通じて家具転倒防止対策を促進するシステムを提案する.本システムは,HMDのパススルー機能を用いて現実空間に家具転倒のCGを重ねて表示することで,日常空間で使用可能である.システムの特徴として,地震対策の有無による被害状況を比較提示する機能に加え,地震発生時に推奨されるシェイクアウト(姿勢を低く,頭を守り,動かない)動作を体験に組み込んだ. 利用者が机の下に潜り込み,現実の机を把持することで,視覚情報と触覚を整合させ,実在感と当事者意識の向上を図っている.これらによって家具転倒防止対策への動機づけを行うことが本研究の目的である.本研究では,シェイクアウト動作を伴うパッシブハプティクスが,利用者の実在感の質,当事者意識,および行動変容に与える影響について検証した.本実験により,(1)自らの身体を使って身を守る動作を行うことで物理的な手応えが生まれ,実在感の質が向上すること,(2)避難行動という身体的関与によって,利用者の心理的役割が観察者から当事者へと変容し,没入感と危機感が高まること,が示唆された. |
| Title | 筋力トレー二ングにおける代償動作を低減させるための誇張フィードバック手法の初期検討 |
| Author | *岡田 和希 (日本大学文理学部), 池田 知樹, 雨宮 壮 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 青木 良輔 (日本大学文理学部/日本電信電話株式会社 NTT人間情報研究所), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 32 - 37 |
| Keyword | 筋力トレーニング, 代償動作, 誇張フィードバック, アバター, 筋電位 |
| Abstract | 健康志向の高まりにより筋力トレーニングが広く普及しているが,初心者は無自覚に代償動作を引き起こしやすく,怪我リスクの増大やトレーニング効果の低下が課題となっている.本研究では,鏡像アバタを用いて代償動作を視覚的に誇張提示し,フォームの自己修正を促すフィードバック手法を提案する.具体的には,筋電センサにより代償動作を検知した際,アバタの肩を垂直上方に移動させることで,動作エラーを誇張して表示する.本稿では,提案手法の設計方針とプロトタイプ実装を示し,比較評価実験の計画を述べる. |
| Title | 手動車椅子の動作再現を目的とした電動車椅子の自動制御手法の検討 |
| Author | *藤本 悠作 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 谷中 希実 (日本大学文理学部), 池田 悠星 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 落合 慶広 (情報経営イノベーション専門職大学), 呉 健朗, 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 38 - 46 |
| Keyword | 手動車椅子, 電動車椅子, 追体験, 自動化, 介助 |
| Abstract | 一部の車椅子介助者は,自身の車椅子操作が乗り心地に与える影響を容易に理解できない可能性がある.そこで我々は,介助者が手動車椅子を押した際の手動車椅子の揺れと似た揺れを,介助者自身が体感できるシミュレータを提案した.本シミュレータの構築にあたり,手動車椅子の進行方向における速度変化を電動車椅子で自動的に再現する必要がある.これを実現するためのアプローチとして,電動車椅子の厳密な数学的モデルを用いたモデルベース制御が挙げられる.しかし,車椅子開発元がそのモデルに関する情報を公開しているとは限らない.そこで本研究では,制御対象のモデル化を必要としないモデルフリーの強化学習に着目した.実機の電動車椅子を用いた学習の前段階として,行動空間の設計が異なる2つの手法を用いて仮想環境内で比較検証を行った結果,目標とする速度変化の再現と,電動車椅子への機械的負荷の抑制の間にトレードオフが生じることを確認し,実機適用に向けて解決すべき課題とシステム設計の指針を得た. |
| Title | 動的床面投影ナビゲーションに向けた靴底パターンに基づく一時的個人識別手法の検討 |
| Author | *柴谷 椋, 吉野 孝 (和歌山大学) |
| Page | pp. 47 - 54 |
| Keyword | 靴底パターン, 一時的個人識別, プライバシー, 経路案内, 動的投影 |
| Abstract | 従来の屋内ナビゲーションでは,不特定多数に対する一律な案内表示や,スマートフォンなどの個人端末を用いた案内が主流であった.しかし,前者では利用者ごとに異なる案内が困難であり,後者では端末の携帯や操作が必要となる.そこで本研究では,インフラ側に設置されたシステムのみを用いて,利用者に追加操作を要求せずに個人ごとの案内を実現することを目的とする.具体的には,歩行中に靴底が地面へ接地することを利用し,床面下に設置したカメラにより取得した靴底画像から一時的な個人識別を行う.本稿では,システムを構成する靴底撮影装置による個人識別に焦点を当て,SIFT,HOG,LBPおよびHSV色ヒストグラムを用いて靴底特徴を抽出し,識別性能を評価した.実験では,8足の靴を対象として識別精度の評価を行った.結果,LBPと色ヒストグラムの組み合わせにおいて,EER=23.1%の識別性能を示した.本研究が対象とするナビゲーション用途に向けてはさらなる精度向上が必要であるものの,靴底特徴を用いた個人識別の傾向が確認された.また,暗色系の靴や類似した模様を持つ靴同士では誤識別が多く発生し,照明条件や色情報への依存が識別精度に影響を与えることが明らかとなった. |
| Title | TTMとMechanism of Actionに基づく行動変容要因分析と介入設計への応用に向けた初期検討 |
| Author | *松木 萌, 山口 達也, 片桐 沙紀, 石原 正樹 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 55 - 65 |
| Keyword | 行動変容, 心理的行動要因, 行動変容ステージ |
| Abstract | 行動変容を支援するアプリケーション設計においては, ユーザの状態に応じた介入を設計することが重要である. ユーザの行動変容ステージを表現する Transtheoretical Model(TTM)は, 行動ステージごとの介入設計を検討する上で有用である一方, 各ステージにおける行動メカニズムを十分に説明できないという課題がある. 本研究では,TTM によるステージ分類と Mechanism of Action(MoA)に基づく 行動メカニズム分析を組み合わせ, ステージ間における行動メカニズムの差異を定量的に明らかにする. そうすることで,ステージごとの行動メカニズムの特徴を分析し, 介入設計に向けた示唆を得ることを目的とする. その初期検討としてモータースポーツイベントを題材に, 参加行動の要因分析と介入設計の仮説立案を行った. 現地およびオンラインでの質問紙調査により計225件の回答を収集し, TTM に基づいて準備期以下(潜在層),実行期(実行層),維持期(継続層)の3 群に分類した. MoA に関する全26項目について5段階尺度のスコアを取得し, 各群間で Mann–Whitney の U 検定および Jensen–Shannon 距離(JSD)を用いた比較を行った. その結果,MoA の構成項目のうち Knowledge や Skills は, いずれのステージ間比較においても有意差および分布差が大きく, ステージ進行を支援する介入設計において 共通して考慮すべき要因である可能性が示唆された. また,これら2つの要因について,潜在層と実行層の比較では, 実行層の方がスコアの平均が低い傾向も確認された. この結果は,知識や技能を一方向に高める介入のみが有効であるとは限らず, 自身の理解不足や未経験な側面に気づかせるような支援が, 実行層に見られる行動準備状態に近づく可能性を示唆している. さらに,Goals や Feedback Processes,Emotion などの要因では ユーザ間のばらつきが大きい傾向が見られ, Self-image や Values といった内的要因では, 継続層において相対的に高いスコアを示す傾向が確認された. 以上の結果から,介入設計において ステージに応じて着目すべき要因の違いが示され, 提供アプローチを検討する上での一つの観点が得られた. |
| Title | 神経症傾向に基づく適応的脅威フィードバック提示方式の探索的検討 |
| Author | *紺野 剛史, 粟井 修司, 吉岡 隆宏 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 66 - 72 |
| Keyword | ユーザブルセキュリティ, パーソナリティ特性, 適応型フィードバック, リスクコミュニケーション, 詐欺対策 |
| Abstract | 近年,特殊詐欺やフィッシング詐欺など,脅威情報を含む注意喚起システムにおいて,利用者特性に応じた適応的フィードバックの重要性が高まっている.一方で,従来研究では,学習履歴や行動履歴などの動的状態に基づく提示制御が中心であり,安定的個人特性を設計パラメータとして活用する枠組みは限定的である. 本研究では,Big Five性格特性の一つである神経症傾向に着目し,EPPM(Extended Parallel Process Model)を理論基盤として,Threat(脅威情報強度)およびEfficacy(対処効力情報強度)の提示バランスに基づく適応的脅威フィードバック提示方式を検討する.特殊詐欺対策を題材として,不安受容および自己効力感支援を重視した安心付与型フィードバックと,危険構造および具体的判断基準を明示した構造化危険提示型フィードバックを設計した.参加者はBig Five簡易尺度(TIPI-J)へ回答後,2種類のフィードバックを体験し,受容性,自己関連認知,行動意図などを評価した.探索的分析の結果,神経症傾向が高い参加者では,Threat重視型フィードバックに対して危機意識および行動意図評価が高まる傾向が観察された.一方で,「判断ミス」といった表現に対して「責められ感」を示す反応もみられ,脅威情報のみを強調した提示設計の限界も示唆された.また,自由記述分析では,Threatに関する反応とEfficacyに関する反応が異なる形で観察され,自己効力感支援や安心感がフィードバック受容性に影響する可能性が示された.これらの結果は,神経症傾向に応じてThreatとEfficacyの提示バランスを調整する適応的脅威フィードバック設計の可能性を示唆する. |
| Title | 香り印象の言語表現に基づく嗅覚的感性情報伝達のモデル化 |
| Author | 福田 まりあ (千葉工業大学大学院), *藤村 りな (千葉工業大学), 田邉 里奈 (千葉工業大学大学院), 庄原 誠 (株式会社インフォモーフ), 森 信一郎 (千葉工業大学大学院) |
| Page | pp. 73 - 80 |
| Keyword | 香り表現, 香水, 比喩表現, 嗅覚, イメージ |
| Abstract | 仮想空間の没入感を高めるうえで,感情や記憶と結びつきやすい「香り」は重要な要素である.しかし,オンライン環境では,香りを物理的に再現するためのコストや装置面の課題から十分な提示が困難である.本研究では,香りそのものを再現するのではなく,香りの印象や特徴を分かりやすく伝える方法を検討した.まず,7系統の代表精油からなる基本セットを作成した.市販のブレンドオイルに含まれる精油を香りの系統ごとに分類することで,簡易的に香りを再現する手法を提案した.さらに,感覚用語・感性用語・特性用語などの言語情報を組み合わせ,受け手が香りをイメージしやすくする仕組みを検討した.本実験では,再現した香りと説明文を用いることで,本物の香りを平均63.5%の類似度で想起できることを確認した.分析の結果,香りの伝達には,共通のイメージを作る「基盤層(感覚用語)」,印象を整える「調整層(程度表現)」,具体的なイメージを補う「補完層(特性・感性用語)」からなる三層構造モデルが有効であった.これらを適切に組み合わせることが,情報の欠落を補い正確な想起を促す上で重要であることを明らかにしたので報告する. |
| Title | 人の組み合わせに基づいた気づきの生成に関する研究 |
| Author | *齊藤 陽香, 北野 良, 下村 眞史 (千葉工業大学), 松田 樹希 (ニュートン・コンサルティング株式会社), 森 信一郎 (千葉工業大学教授) |
| Page | pp. 81 - 88 |
| Keyword | UXデザイン, 多変量解析, 気づき, DX |
| Abstract | 本研究は、VUCA時代において不可欠なイノベーションの源泉となる「気づき」を、会議の場で人工的に創出する手法を提案している。従来のチーム編成ではスキルや専門性のマッチングが重視されてきたが、本研究では個人の内面的な「考え方(思考特性)」に着目している点が特徴である。 具体的な手法として、UXデザインの「SEPIA法」や「上位下位関係分析」を用いて、ヒアリング内容から個人の思考の癖を示す「行動変数」を抽出する。この行動変数を基にしたアンケート結果を特徴ベクトル化し、参加者間のコサイン類似度を算出することで、思考の近さや隔たりを客観的に評価する。 共同作業実験を通じた検証の結果、メンバー間の考え方のコサイン類似度が低い(思考多様性が高い)チームほど、気づきの指標である感嘆詞(「あっ」「なるほど」等)の発話回数が有意に増加する(2倍以上の差)という強い負の相関が確認された。 本研究は、客観的データに基づくチーム編成によって、イノベーションを生み出すための「気づき」が生まれやすい環境を意図的に構築できることを実証しており、組織におけるDX推進や合意形成の質向上に寄与するものである。 |
| Title | 派生関係にある投稿間の閲覧者感情反応差分を用いた偽情報判定に関する検討 |
| Author | *花田 雄一, 佐藤 広章, 井上 昴輝, 中山 貴祥 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 89 - 97 |
| Keyword | 偽情報, 感情推論, 大規模言語モデル, 真偽判定 |
| Abstract | 近年,SNSの普及により情報流通が加速する一方,生成AIの発展によって,動画の切り取り・文脈改変・ディープフェイク等を用いた偽情報が容易に作成・拡散され,社会的混乱や分断を招くリスクが顕在化している.特にSNSでは元投稿に対する引用リツイート等を契機に関連投稿が連鎖的に生成され,会話や言説が再構成されながら広がることで情報が変質しやすい.しかし,現在の偽情報対策ではテキスト分類,外部知識照合,マルチモーダル解析など投稿単体の内容を主に扱う手法が多く,拡散の途中で起きる誇張や論点のずれといった変化を分析対象として想定していない.本研究では,派生関係にある投稿ペアに対する閲覧者の感情反応には真偽に応じた特徴的な差分が現れ,当該差分を特徴量として用いることで元投稿Aの真偽判定に寄与するのではないかと仮説を立てた.本仮説を検証するため,投稿Aおよび投稿Bそれぞれに対して閲覧者の感情反応を推定し,各投稿を8分類の感情スコアベクトルとして表現した上で,投稿ペア間の感情差分ΔEを特徴量として構成し,真偽判定モデルへ付与するアーキテクチャを提案する.評価実験では,PolitiFact上の公開ファクトチェック記事から収集した200件を元投稿Aとして用い,語調増幅(Amplify)・論点組み換え(Reframe)・中立要約(Neutral)を設計指針に疑似派生投稿Bを生成して投稿ペアを構成した.A単独/A+B/A+B+ΔE/A+ΔEを同一枠組みで比較した結果,差分特徴ΔEの付与により,確信を伴って判断したサンプルの割合(Coverage)が平均11.5%(最大13%)向上した.さらに,確信判定に限定すると,偽例に対して正しく否定できた割合は95.6%に達しており,判断可能性の拡張が誤判定の増加を伴わないことが確認された.一方,真例については確信判定の割合が依然として低く,精度の安定的向上は今後の課題として残った. |
| Title | 劣悪な通信環境下において動作継続性を維持する遠隔ロボット通信方式 |
| Author | *角ケ谷 将太, 相川 雄也, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科 河口研究室) |
| Page | pp. 98 - 108 |
| Keyword | 遠隔操作, パケットロス, 通信方式 |
| Abstract | 近年,ロボットの遠隔操作の需要は拡大を続け,医療における遠隔作業支援や災害対応など,多様な分野で活用されつつある.さらに,建設現場や土木作業など,人の立ち入りが困難または危険な環境においても,遠隔操作技術の活用が期待されている.遠隔操作にはさまざまな操作形態があるが,本研究では,操作者が移動経路を入力し,ロボットがその経路に沿って移動する操作形態に着目する.このような経路入力型の操作は直感的な指示が可能である一方,経路情報が逐次的に生成・送信される構造を持つため,パケット損失により経路の一部が欠落すると追従に必要な情報が不足しやすく,通信品質の影響を受けやすいという課題を有する.特に,劣悪な通信環境においてはパケット損失により制御情報が欠落し,ロボットの追従が停止したり,本来の経路から逸脱する問題が生じる.パケット損失に対する要因分析や手法に関する先行研究は存在するものの,パケット損失時においても操作の継続性を維持する手法は十分に確立されていない.そこで本研究では,劣悪な通信環境下における遠隔操作の継続性を確保するため,経路情報に新たなwaypointを逐次追加しながら送信する通信方式を提案し,既存手法との比較評価を行った.評価実験の結果,提案手法はバースト的パケット損失区間における空間的連続性および時間的継続性,さらに追従品質においてベースライン手法を上回る結果を示した.また,劣悪な通信環境下においても入力経路に沿った確実な追従が行われ,遠隔操作の継続性維持が確認された. |
| Title | 非干渉チャネル対を用いた並列ブロードキャストによる大規模衛星編隊制御情報配信の高速化 |
| Author | *竹田 圭汰, 佐々木 航, 松井 智一, 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学), 森岡 澄夫 (インターステラテクノロジズ株式会社/大阪大学), 稲川 貴大 (インターステラテクノロジズ株式会社) |
| Page | pp. 109 - 118 |
| Keyword | 衛星フォーメーションフライト, 1万機規模, Wi-Fiブロードキャスト, OFDMA, 低遅延配信 |
| Abstract | 数千~数万機規模の超小型衛星を密集編隊飛行させ,大型アンテナとして協調動作させる研究が進められている.対象アーキテクチャでは,85機のアンカー衛星が六角格子状に配置され,10,000機以上の子衛星を俯瞰観測する階層構造を構成する.本構成では,1万機規模の子衛星へ制御情報を10ー20 Hz以上で確実に配信する必要がある.Wi-Fiブロードキャストは有望であるが,2.4 GHz帯の3チャネル並列送信は隣接チャネル干渉により困難であり,OFDMAはμs単位の時間同期を要する. そこで本研究では,Wi-Fi 6の非干渉チャネル対である1chと11chのみを用いた2並列ブロードキャスト方式を提案する.アンカーと子衛星を2集合に分割し,各集合のアンカーは同一チャネルで対応する子衛星集合へ順次送信する.分割時はすべての子衛星のLoSを確保し,シーケンス番号の受信確認により送信ノードを交代することで時間同期を不要とする.MATLABシミュレーションにより,10,216機の子衛星に対し100 %カバレッジを42.27 Hzで達成した. |
| Title | 3Dガウシアン表現に基づく動的都市環境の通信品質予測手法の検討 |
| Author | *恩田 源太 (大阪大学大学院情報科学研究科), 樋口 雄大 (トヨタ自動車株式会社), 高梨 昌樹 (株式会社豊田中央研究所), 田中 福治 (理化学研究所計算科学研究センター/大阪大学大学院情報科学研究科), 天野 辰哉, Hamada Rizk, 内山 彰, 廣森 聡仁, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科/理化学研究所計算科学研究センター) |
| Page | pp. 119 - 126 |
| Keyword | 通信品質予想, 動的都市環境, 3D Gaussian Splatting, 無線伝搬モデリング |
| Abstract | 協調型自動運転や路車協調システムでは,通信品質の低下が認識情報の共有や制御判断に影響するため,周辺環境の変化を考慮した高速な通信品質予測が重要である.統計的伝搬モデルに基づく予測は高速であるが局所的な遮蔽変化を表現しにくく,レイトレーシングは高精度だが計算負荷が大きい.また,学習ベースの手法は高速推論が期待される一方で,建物や地面などに由来する固定的な伝搬傾向と,車両位置に応じて変化する遮蔽・反射の影響を軽量なモデルで同時に表現することが課題となっている.そこで本研究では,固定的な環境要因を再利用しつつ,車両配置に応じた通信場の変化を反映する通信品質予測手法を検討する.近年,三次元輝度場を位置と広がりを持つガウシアンの集合として表現し,観測条件に応じた見え方を高速に生成する3D Gaussian Splatting が注目されている.この考え方を無線伝搬に応用し,空間中に広がる無線伝搬場をガウシアンの重ね合わせとして表現,ニューラルネットワークを併用し,シーンに依存する特徴と送信機条件に基づいて受信信号を推定する.提案手法では,既存の3D ガウシアン表現に基づく無線伝搬推定手法であるWRF-GS アーキテクチャを拡張し,送信機位置に加えて周辺車両位置を条件入力として与えることで,車両配置に応じた空間スペクトル画像の変化を推定する.Sionna RT を用いて車両遮蔽を含む都市シナリオのデータセットを構築し,提案モデルを学習,推論速度および予測精度を評価した.その結果,動的遮蔽を高精度に表現するには,単純な座標入力を超えた表現設計が必要であることが分かった.一方で,未調整のWRF-GS では学習が成立しなかった条件において学習を可能とし,SSIM 指標で0.832,受信電力予測でRMSE 18.5 dB,かつ推論時間5.42 ms を達成し,本実験環境においてリアルタイム実行可能な速度で動作することを確認した. |
| Title | Wi-Fi CSIを用いた屋内ドローンのプロペラ回転数推定の飛行時性能評価 |
| Author | *高尾 悠太 (大阪大学), Erdélyi Viktor (京都橘大学/理化学研究所), 尾原 和也, 村上 友規 (NTT アクセスサービスシステム研究所), 岸野 泰恵 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所), Anh-Van Ho (北陸先端科学技術大学院大学), 内山 彰 (大阪大学/理化学研究所) |
| Page | pp. 127 - 135 |
| Keyword | Wi-Fi CSI, 屋内ドローン, プロペラ回転数推定, Wi-Fiセンシング |
| Abstract | 屋内ドローンの安定飛行や状態監視において,プロペラ回転数は推力生成に直接関係する重要な状態量である.しかし,小型ドローンにエンコーダなどの追加センサを搭載することは,重量,コスト,機体構成の複雑化につながるため,非接触かつ低コストな回転数推定手法が求められる.このため本研究では,Wi-FiChannel State Information(CSI)を用いた屋内ドローンのプロペラ回転数推定手法を提案する.提案手法では,プロペラの回転に伴って生じる CSI 振幅の周期的な時間変動を短時間フーリエ変換により周波数領域で解析し,プロペラ回転数に対応するスペクトルピークを検出する.一方で,実環境では機体の揺れや姿勢変化,複数プロペラからの反射成分の重畳により,CSI スペクトルには不要な変動成分が含まれ,単純なピーク検出では推定精度が低下する.そこで本研究では,受信 CSI から推定したノイズ床に基づく自己補正と,プロペラ回転に対応するピークが明瞭に現れるサブキャリアを選択する動的サブキャリア選択を組み合わせた推定手法を導入する.送受信距離 2 m,4 m,8 m,および送信アンテナ角度 0◦ から 90◦まで 15◦ 刻みの条件で評価を行った結果,提案手法は全サブキャリア平均を用いるベースラインと比較して,平均 MAE を 2721 rpm から 1101 rpm へ低減し,約 59.5%の誤差削減を達成した.特に 2 m 条件では多くの送信アンテナ角度で MAE が 600 rpm 以下となり,近距離条件における有効性を確認した.また,8 m 条件においても一部の送信アンテナ角度では MAE を 900 rpm 程度以下に抑えられた一方,75◦ および 90◦ では誤差が増大した.これらの結果から,Wi-Fi CSI を用いた非接触なプロペラ回転数推定の有効性とともに,遠距離条件ではアンテナ角度や配置が推定精度に大きく影響することが示された. |
| Title | 生成AIと姿勢推定を用いた運動学習支援システムの開発と評価 |
| Author | *岡本 優大 (京都橘大学大学院情報学研究科), 工藤 寛樹 (京都橘大学工学部 ロボティクス学科), 東野 輝夫 (京都橘大学工学部情報工学科) |
| Page | pp. 136 - 146 |
| Keyword | 姿勢推定, 運動学習支援, 生成AI, フィードバック生成 |
| Abstract | 本研究では,自宅等での運動におけるフォームの自己確認の難しさと継続意欲の低下を課題とし,姿勢推定と生成AIを用いた運動継続支援アプリケーションを設計・実装した.本アプリは,Webカメラ映像から身体ランドマークを推定し,画面上の目標領域への到達を判定するエリアタッチモードと,見本映像と利用者映像を比較してフォームを評価するフォームチェックモードを備える.フォームチェックでは,動画をそのまま生成AIへ入力するのではなく,時系列骨格フレーム,タイムスタンプ,種目別の評価観点,可視性条件,JSON出力形式を構造化して与えることで,見本動作との差をスコアと自然言語フィードバックとして提示する.また,骨格のみ画像を用いることで背景や服装などの不要情報を除去し,予備測定では背景あり骨格画像と比べて入力データ量を約75%削減し,同一動画に対するスコアのばらつきも小さくなる傾向を確認した.さらに,運動結果を畑ゲームや将来的なキャラクタ成長要素と連動させることで,運動を義務ではなくゲーム内目標達成の手段として位置付け,継続的な運動習慣の形成を支援する. |
| Title | 大規模言語モデルを用いた介護接遇対話の生成 |
| Author | *大塚 宥大, Nima Shoumi Milyun (九州工業大学大学院), 赤嶺 洋, 田口 淳, 酒井 亮介 (三篠会社会福祉法人), 井上 創造 (九州工業大学大学院) |
| Page | pp. 147 - 156 |
| Keyword | 介護コミュニケーション, 大規模言語モデル, 共感, 敬意, ユビキタスヘルスケア |
| Abstract | 本研究では、ケアにおける対話の質を評価することを目的として、実際の対話例の特性を反映し、各評価軸ごとに品質管理が可能な合成対話データセットを構築する手法を提案する。介護施設における入居者とスタッフ間の対話の質は、ケアの質や入居者の心理的安全性に影響を与える重要な要素となっている。敬意、共感、具体的なケア行動、信頼関係の構築といった側面は、ケアにおける対話を評価する上で不可欠である。しかし、プライバシーや倫理上の制約により、ケア現場からの大規模な実世界対話データの収集・公開は困難であり、ラベル付き評価データの構築にも多大なコストがかかる。我々は、「尊重」「共感」「自律」「ケア」「信頼」の5つの評価指標を定義した。さらに、実世界の対話例に見られる短い発話、間投詞、反復、話題転換、方言表現、具体的なケア行動を分析し、それらを段階的に生成ルールに組み込んだ。その結果、単純な少例学習による生成では、ゼロショット学習とほぼ同一の評価分布が得られ、実際の会話の特徴を十分に反映できていないことが示された。本研究は、ケア関連の会話的相互作用の評価モデル構築および介護スタッフ研修の支援に向けた基礎的な調査となるものである。 |
| Title | 住民属性と認知的対立理論を用いた生成AIインタビューによる潜在的な地域情報の収集 |
| Author | *佐々 葵, 寺島 青, 田村 直樹 (名古屋大学大学院工学研究科), 庄子 和之 (名古屋大学未来社会創造機構), 浦野 健太, 米澤 拓郎 (名古屋大学大学院工学研究科), 吉川 正 (トヨタテクニカルディベロップメント), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科/名古屋大学未来社会創造機構) |
| Page | pp. 157 - 165 |
| Keyword | 生成AI, 地域情報収集, 潜在的地域情報, 認知的対立, 住民属性 |
| Abstract | 住民が持つ場所の隠れた魅力や場所固有の印象などの地域情報は,観光や地域政策をはじめとする地域振興の多岐にわたる場面で有用であり,その系統的な蓄積は重要な課題である.しかし,主体的な発 信を前提とする既存の手法(VGIやSNS分析等)は,住民が発信しない地域情報を構造的に捕捉できず,かつ収集した情報を蓄積・再利用する仕組みを備えていない.そのため,収集規模を拡大しても質の向上に限界がある.これらの課題に対処するため,本研究では,住民背景に基づく動的質問生成と認知的対立理論(Cognitive Conflict Theory)に基づく深掘りを組み合わせ,地域情報を能動的に引き出すLLMインタビューシステムを提案する.本システムは,住民の持つ地域情報を収集し,参照・再利用可能な形で蓄積し,後続の対話において,より深い地域情報の引き出しに利用するよう設計されている.愛知県新城市の住民38名を対象とした実験では,本システムは74件の地域情報を収集した.参加者の自己申告では,94%が収集内容を自身ではオンラインに発信した経験がないと回答した.これは,少なくとも当該参加者自身がオンラインで発信していない地域情報を,本システムが対話を通じて引き出しうることを示唆しており,提案手法の実現可能性を初期的に支持する. |
| Title | LLMを用いた漫才台本の改善補助と評価に関する研究 |
| Author | 高山 海人, *比留間 瑞穂, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 166 - 175 |
| Keyword | LLM, お笑い, 台本 |
| Abstract | 近年,大規模言語モデル(LLM)による漫才台本生成の研究が盛んであるが,ゼロからの生成では文脈や「間」が不自然になりやすく,実演ベースの定量的な検証も不足している.本研究では,既存の「ボツ台本」をLLMで改善する創作支援手法と,観客の表情・音声・心拍変動を統合した「笑いスコア」による客観的評価手法を提案する.漫才師による実演評価実験の結果,LLMによる改善後の台本は,改善前と比較して観客の笑いスコアを有意に向上させることが確認された.一方で,演者自身の主観評価は有意に低下しており,観客の反応と演者の体験の間に大きな乖離が生じることが明らかになった.これは,LLMがもたらす新奇性が観客には予測を裏切る「意外性」として作用する一方,演者には自身の意図との不一致による「演じにくさ」として認識されるためと考えられる.本研究の結果は,笑いの工学的評価の有効性を示すとともに,創作支援AIにおける作り手と受け手双方の視点を考慮することの重要性を提示している. |
| Title | AFAD: 計算・モデル二重異種性に対応する適応的連合アーキテクチャ分散学習 |
| Author | *島野 凌, 須山 敬之 (大阪工業大学 大学院 情報科学研究科) |
| Page | pp. 176 - 186 |
| Keyword | 連合学習, AI, 分散処理, 医用画像 |
| Abstract | 連合学習(Federated Learning; FL)は,各クライアントが保持するデータを外部に公開することなく,分散的にモデルを学習させる手法である。しかし,実環境においては,クライアント間で計算能力が異なる「計算異種性」と,CNNやTransformerなどモデル構造が異なる「アーキテクチャ異種性」が同時に存在する。このような二重の異種性が存在する場合,モデルの整合性を維持しつつ効率的に学習を行うことが困難であるという課題がある。本稿では,これらの課題を同時に解決するフレームワークAFAD(Adaptive Federated Architecture Distribution)を提案する。AFADは,32次元の共有Bottleneck層を接点として導入し,すべてのクライアントモデルが同一次元の潜在表現を共有する構成となっている。これにより,異なるモデル幅や異なるアーキテクチャを持つクライアントが,同一のFL環境に柔軟に参加することが可能となる。OrganAMNISTを用いた評価の結果,ViTを含む多様なアーキテクチャと計算能力を持つクライアント群においても,サーバ精度82.93%を達成した。これにより,計算およびアーキテクチャの両面における異種性を同時に考慮した困難な条件下においても,精度の低下を抑制しつつ連合学習を実現できることを示した。 |
| Title | マルチ振動センサによる対照学習を用いた歩行位置推定手法の提案 |
| Author | *井上 奈波 (大阪公立大学工業高等専門学校/奈良先端科学技術大学院大学), 菊池 尊勝, 柴田 洸希, 吉田 誠, 松井 智一, 諏訪 博彦, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
| Page | pp. 187 - 195 |
| Keyword | 位置推定, 宅内行動認識, 対照学習, ピエゾセンサ, 歩行認識 |
| Abstract | 近年,宅内行動認識の需要が高まっている.行動認識における重要なコンテキストの一つにユーザーの室内位置がある.位置推定精度はシステム全体の性能を左右する重要な要素である.従来,振動センサを用いた位置推定では,TDOA法を用いる研究が多いが,実環境での位置推定精度低下が課題となる.これは,家具や壁,床材の影響により振動伝搬特性が変化するためである.この課題に対し,深層学習を用いた位置推定手法も検討されている.深層学習を用いた手法では,大量の位置ラベル付き歩行データが必要なため,アノテーションコストが課題となる.そこで本研究では,マルチ振動センサ及び対照学習を用いた歩行位置推定手法を提案する.提案手法では,4 チャンネルの振動信号に対して 1 歩分割を行い,教師あり対照学習により最適化されたエンコーダを用いて特徴抽出を行う.さらに,位置ラベル付与が容易な足踏みデータを用いることで,歩行データのアノテーションコスト削減を提案する.実験の結果,最小平均推定誤差 0.546m を達成した.本研究では,振動センサにおける位置推定手法とアノテーションコストの削減の可能性を示した. |
| Title | 手首装着型センシングモダリティを用いた食事記録システムに関する研究 |
| Author | *佐藤 ゆきの, Huisha Yang, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 196 - 205 |
| Keyword | ウェアラブル, 食事記録, 画像認識 |
| Abstract | 本研究では,健康意識の向上を支援するウェアラブル食事自動記録システムの開発を目的とし,システム完全自動化の核となる食事画像自動抽出モデルをCNNおよびViTを用いて構築した.ウェアラブル視点画像に対する両モデルの識別特性を解明するため,t-SNEによる特徴空間の可視化に加え,Grad-CAMを用いた判断根拠領域およびヒートマップ分布特性に関する分析を行った.分析の結果,いずれのモデルも半制御環境下においてF1スコア0.96以上という高い精度を達成した.両モデルの比較分析により,CNNは局所的な食事そのものの特徴を捉える能力に優れ,ViTの約2.8倍の処理速度を持つ一方,極端なズーム画像やスマートフォン等の映り込みに弱いことが判明した.対してViTは,画像全体のコンテキストを捉えることで複雑な画角変化に強い反面,背景ノイズを判断根拠に巻き込みやすい傾向が示された.さらに,今後の展望として本システムを用いた食事の三次元復元を目指し,Structure from Motionやデジタル視を用いた手法について検討した. |
| Title | 磁気センシングによる磁界誘導型小型イヤホンの使用検出手法 |
| Author | *井上 夏来, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 206 - 215 |
| Keyword | 磁気センシング, ウェアラブルデバイス, スパイイヤホン |
| Abstract | ウェアラブルデバイスやモバイル端末の秘匿性を悪用した不正行為が増加しており,磁界誘導型小型イヤホン(スパイイヤホン)を用いたカンニングや詐欺行為が国際的な問題となっている.本研究では,スパイイヤホン使用時に誘導コイルに流した電流の変化で生じる磁界変化の特徴に着目し,磁気センサを用いてスパイイヤホンの使用を検出する手法を提案する.評価実験として,被験者20名による800試行のデータを用いて評価を行い,音声再生中のスパイイヤホンを80%以上の精度で検出可能であることを示した.さらに,磁気ネックレスやヘッドホンなどの磁気を帯びた他デバイスと同時に使用された場合でも,高い検出性能を維持できることを確認した.これにより,試験監督や入室検査といった実環境への応用可能性が示された. |
| Title | アクティブ音響センシングを用いた同一鍵山シリンダ鍵の材質および加工状態の真正性判定手法の提案 |
| Author | *福岡 稔己, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 216 - 225 |
| Keyword | アクティブ音響センシング, シリンダ鍵, 真正性 |
| Abstract | センシング技術や3Dモデリング技術の発達により,鍵の挿入時に生じる音響応答や鍵画像から鍵の形状を推定する技術が提案され,容易に合鍵を作製できるようになった.しかし,扉の多くに使用されているシリンダ錠の認証機構は鍵の刻み形状やディンプルとシリンダ錠の形状の一致に依存しており,鍵が不正に複製された時に解錠されるリスクが依然として存在する.本研究では,シリンダ錠の側面にマイクとスピーカを取り付け,アクティブ音響センシング技術を適用して,挿入鍵が事前登録された材質や加工状態の鍵であるかを判定して解錠を行う手法を提案する.評価実験では,美和ロック社製U9シリンダに対応する純正鍵1本,純正鍵を原鍵として市中の鍵店で複製した真鍮製複製鍵4本,および3Dプリンタで作成したポリ乳酸製鍵2本の計7本を用意した.真鍮製複製鍵4本のうち,登録鍵として用いる3本にはそれぞれ固有の位置に穴を開口し,未登録の拒否対象鍵として用いる1本は無開口で用いた.加えて,鍵を用いない攻撃手法としてピッキングを用いた.実験の結果,正解率82.5%,解錠可否判定精度85.8%を達成し,ポリ乳酸製複製鍵に対する未登録の拒否対象鍵およびピッキングを正しく拒否できることを確認した. |
| Title | オノマトペを通じた質感情報伝達に向けた触覚データの言語的接地の評価 |
| Author | *津村 拓鋭, 佐久間 亮太, �盒� 和希, 村上 弘晃, 亀�� 允啓, 川原 圭博 (東京大学) |
| Page | pp. 226 - 233 |
| Keyword | 触覚センシング, AI, オノマトペ, HRI |
| Abstract | 言語からロボット制御を実現するVision-Language-Action (VLA) モデルはインタラクティブなロボット制御が可能である一方、視覚情報のみからセンシングを行っているため、オクルージョンによる誤動作や物品の破壊といった視覚から感知し得ない状況に対して脆弱であった。 これを解決するアプローチとして触覚情報をVLAモデルへ導入したTactile VLAモデルが注目されている。 一方で、VLAモデルの入力である言語情報と触覚情報の結び付けは硬軟、粗さなどの基本的な情報にとどまっており、適切な表現での結び付けは実現していない。 そこで、本研究では人間が触覚表現に使用するオノマトペを用いることで、VLAモデルにおける触覚情報の言語表現を拡張することを試みる。 そのために本稿ではまずオノマトペと触覚情報が結び付けられた学習データセット構築手法を提案する。 この手法では触覚情報である、空間的な接触情報を画像として保存したおよび6軸力覚センサの時系列データと、ユーザがラベル付をしたオノマトペ情報が対応づけられて保存される。 本稿ではこの手法によって構築されたデータセットの妥当性を確認するため力覚データとオノマトペの対応関係を分析した。 結果として、接触した際の応力の時系列平均である弾性パラメータと時間経過による粘性パラメータに注目するとオノマトペと対応関係があることが示唆された。 これに加えて、本稿では既存モデルの学習によってオノマトペと触覚情報が対応するような学習が可能かどうか検証した。 |
| Title | 没入型ライブ配信環境における3次元再構成を用いたデジタルツイン空間構築のための3Dモデル配置手法の提案 |
| Author | *黒宮 壮平, 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科) |
| Page | pp. 234 - 241 |
| Keyword | 3次元再構成, ライブ配信, デジタルツイン, XR, 3Dモデル |
| Abstract | 本研究では,没入型ライブ配信システムにおける先行研究の課題であった放送者空間の再現精度向上を目的として,3次元再構成を用いたデジタルツイン空間作成手法を提案する.提案手法では,放送者空間の画像から3次元再構成を用いて点群を生成し,その点群をセマンティックセグメンテーションによって家具ごとに分類する.さらに,クラスタリングで同一点群内の家具を分離し,Image-to-3Dで作成した3Dモデルとの位置合わせを行うことで,放送者の現実空間を再現する.提案手法を評価するためにScanNet++を用いた評価実験を行った.評価実験の結果,椅子を対象とした位置合わせにおいて,10件中7件で3Dモデルの位置と角度が正しく配置されることを確認した.位置合わせに成功した組のOverallスコアの平均は約89.7mmであり,異なる生成手法で作成した点群と3Dモデルの位置合わせが可能であることを示唆している.一方で,3次元再構成による点群生成の精度やICPの局所的最適解への収束など,いくつかの課題が残されており,精度面でのさらなる改善が求められる. |
| Title | XRを用いた仮想空間から現実空間へのインタラクションに関する提案 |
| Author | *澤尻 月護, 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科) |
| Page | pp. 242 - 251 |
| Keyword | XR, デジタルツイン, インタラクション |
| Abstract | 本研究は,仮想空間上の操作を現実空間へ反映する視聴者インタラクション反映型XRシステムを提案する.従来の受動的なライブ配信に対し,仮想空間での視聴者操作を逆運動学に基づき現実のロボットへリアルタイムに伝送・反映することで,双方向的な体験を実現した.評価実験の結果,物理オブジェクトを介した双方向の干渉が,視聴者と放送者双方の参加意識や一体感を向上させることが示された.これは,没入感と正の相関を持つ共存感の創出に寄与しており,知覚的非対称性などの課題はあるものの,物理的距離を超えた新たな共存空間の可能性を実証した.本システムは,次世代のライブ配信におけるコミュニケーションを根本から変容させる有用性を有している. |
| Title | MRデバイスのカメラと単眼深度推定を用いた没入型360度ライブ放送に向けた3Dトラッキング手法の検討 |
| Author | *村上 健弥, 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科) |
| Page | pp. 252 - 258 |
| Keyword | 単眼深度推定, 3Dトラッキング |
| Abstract | 没入型 360 度ライブ放送の実現には,空間内の人物の3次元位置を正確に取得する必要がある.従来,深度取得には LiDAR 等の専用センサが用いられてきたが,近年は汎用カメラ1台で情報を得る「単眼深度推定」が簡易な手法として注目されている.しかし,対人コミュニケーションを主とする放送環境での精度検証は不十分である.本研究では,没入型360 度ライブ放送環境下で単眼深度推定の深度誤差を定量評価し,没入型360 度ライブ放送に適した3Dトラッキング手法を検討する. |
| Title | ARによるアイレベルとパース線の可視化が遠近法理解に与える効果の検証 |
| Author | *藤田 さくら (公立はこだて未来大学), 渡邉 拓貴 (神戸大学), 竹川 佳成 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 259 - 269 |
| Keyword | AR, 学習支援, イラスト, 画像処理, ウェアラブルデバイス |
| Abstract | デジタルツールやSNSの普及に伴いイラスト初学者が増加しているが,背景描画に不可欠な遠近法の理解が困難であるという課題がある.そこで本研究では,AR技術を用いて,パース線やアイレベルを現実空間に重ねて,リアルタイム表示し,遠近法の理解を促進する手法を提案する.本システムはUnity,Meta Quest 3,OpenCV for Unityを用いて開発を行った.このシステムを用いることで,使用者は歩く・周囲を見渡すといった身体的動作を伴いながら,パース線やアイレベルを直感的に観察できる.また,有用性の検証のため,ARによる動的学習を行う提案手法群と,静止画による静的学習を行う比較手法群の間で予備実験を実施した.評価には写真からアイレベルを推定するタスクを「直感」と「論理」の二段階で導入し,空間知覚への影響を定量的に測定する.あわせてアンケートによる定性評価も行い,提案手法の有効性として直感的なアイレベル推定を支援する効果が示唆された.今後はシステムの改善と共に,実験協力者数を増やした詳細な検証を行う予定である. |
| Title | Match2Space サッカーの戦術構造を可視化する3D分析空間の構築 |
| Author | *木内 健太, 中村 亮太 (武蔵野大学データサイエンス学部) |
| Page | pp. 270 - 274 |
| Keyword | コンテンツクリエーション |
| Abstract | サッカーの戦術分析では,ホワイトボードや2D戦術ボードによる平面的な表現が主流だが,選手間の距離感やスペースの立体的な広がりを十分に伝えることが難しい.著者らはWebブラウザ上で動作する3D可視化システムText2Fieldを提案し[1],自由視点(Free View)・選手視点(Player View)・RTTボードの3視点により空間認知の向上を示した.一方,Text2Fieldでは提示情報が選手・ボール位置の再現にとどまり,パスの戦術的価値の表示や複数人による共同分析環境が欠如していた.本研究Match2Spaceはこの課題に直接応えるため,(1)xT(Expected Threat)に基づくパスの戦術的価値をリアルタイムで3D空間に可視化する「xT連動パスイベント表示」,(2)複数ユーザが同じ3D空間を共有してリアルタイムに戦術を議論できる「マルチプレイ機能」を新規に実装する.スケールは1unit = 1mに統一し,ボールのz座標を用いてロングパスやクロスの軌跡を立体的に表現した.本稿では,これらの設計と実装,およびシステム動作確認の結果を報告する. |
| Title | 属性の異なるICTユーザにおいても自律的リスク回避行動を支援することが可能な共通基盤型情報セキュリティ教育フレームワーク |
| Author | *花田 経子 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科附属メディアデザイン研究所), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 275 - 284 |
| Keyword | セキュリティ教育, 一般ユーザ, サイバーポリスゲーム, CyPG-AEF, 共通基盤型教育フレームワーク |
| Abstract | 本稿ではICTユーザが情報セキュリティリスクに対して適切な行動を実施するための課題を明確にした上で、そのための解決策を検討する。具体的には、ICTユーザが自らの力で自律的にリスク回避行動ができるような情報セキュリティ教育の実施をゴールと定める。そして、そのゴールに向かうために、情報システムに対する立ち位置や保 有知識の異なる属性を持つICTユーザが同じ仕組みで必要な情報セキュリティ教育を実施できるようにすることで、教育者側の教育コスト・負担を低減できる共通基盤型教育フレームワークを提案し、具体的な展開状況を検討する。 |
| Title | 多段階攻撃シナリオに基づくサイバー演習環境と実行コードの自動生成 |
| Author | *城 明日香 (神戸大学), 毛利 公美 (近畿大学), 瀧田 愼, 葛野 弘樹, 白石 善明 (神戸大学) |
| Page | pp. 285 - 293 |
| Keyword | 大規模言語モデル, OpenStack, 脆弱性再現, MITRE ATT&CK, Cyber Range |
| Abstract | サイバー攻撃の増加に伴いセキュリティ人材の育成が急務である.現実のインシデントの多くは多段階攻撃であるが,多段階攻撃シナリオに対応した演習の設計・構築を人手で行うには専門知識と労力を要する. 本研究の目的は,多段階攻撃シナリオを実現するための演習環境とシナリオ遂行用の実行コードの自動生成である.そこで,Large Language Model(LLM) を用いた 3 ステップのパイプラインを提案する. パイプラインは,多段階攻撃シナリオを中心として,演習環境の構成情報・脆弱性・実行手順・コマンドを構造化して記述したプロファイル群を入力とする. STEP1でOpenStack向けHeat Orchestration Template(HOT)を生成し,STEP2でHOTと整合した実行コードを生成する. STEP3では実行エラーを分析し,HOTまたは実行コードの修正指示を出力する. 評価では,Zerologon(CVE-2020-1472)による権限奪取を起点とする5フェーズの多段階攻撃シナリオを対象に,提案パイプラインによる生成を10回試行した. その結果,9回でシナリオの最終目標を達成する演習環境および実行コードの生成に成功し,提案パイプラインによる本シナリオの自動生成が可能であると確認した. |
| Title | IoT関連語彙の普及度調査のための出題方式の検討 |
| Author | *新井 美音 (NICT/大阪大学), 藤田 彬, 高嶋 香織, 衛藤 将史 (NICT) |
| Page | pp. 294 - 303 |
| Keyword | IoT機器, 語彙, ユーザ調査 |
| Abstract | 本稿では一般ユーザのIoTに関する語彙知識(IoT語彙)の測定を目的として, IoT語彙知識の測定に適切な出題方式を検討しユーザ調査により評価を行った. Yes/No型, 簡易版VKS, 多肢選択式の三通りの手法を用いて43個のIoT語彙について30名のユーザに調査を行った結果, 最も過大評価および過小評価が少なく実際のユーザのIoT語彙理解を測定した手法は簡易版VKSであった. さらにベイジアン一般化線形混合モデルによるモデル推定により, 特定のユーザ属性において語彙知識の過大評価および過小評価が発生しやすい傾向にあるかどうかを調べた。結果として簡易版VKSは他の手法よりもユーザの属性、とくにIoT機器に対する行動や態度による理解の過大評価および過小評価への影響が少ない一方、男性よりも女性のほうが理解の過小評価が多いことが分かった. また, 調査参加者のIoT語彙理解の傾向も明らかにした. |
| Title | 暗号APIの安全な利用に関する問題点と推奨事項の体系的分類 |
| Author | *�盒� 碧斗, 宮下 優也, 金岡 晃 (東邦大学), 小寺 健太, 藤田 真浩 (三菱電機) |
| Page | pp. 304 - 312 |
| Keyword | 暗号, 暗号API, ユーザビリティ |
| Abstract | 概要:暗号技術はソフトウェア開発者が暗号APIを介して利用するのが一般的であり、適切な実装のた めには開発者向けのユーザブルセキュリティへの配慮が不可欠である。しかし実際には、AESやRSAと いった広く普及した暗号技術においても、ECBモードの使用や固定値の初期化ベクトルの利用など、安全 性を損なう実装が広く観察されている。本研究では、暗号APIの設計および実装に関する既存研究を体系 的に調査し、開発者向けユーザブルセキュリティの観点から推奨事項・提案・問題点を整理・分類するこ とを目的とする。Schm¨userらの研究を当該分野における現時点での到達点と位置付け、同論文で引用され ている文献群のうち32件を分析対象として選定した。各論文から該当する記述を抽出してラベル付けを 行い、2名による帰納的コーディングおよびテーマティック分析を適用した。コーダ間一致率はKrip pendorff’salphaが0.8を超えるまで基準の調整を繰り返し、信頼性を確保した。分析の結果、 14 個のコードを抽出し、「APIとシステムの設計」「開発プロセスや品質管理」「組織、人間、外部要因」 「ツールや自動化支援」「ドキュメンテーションと学習支援」の5つに分類した。これらの結果は、暗号 API の安全な利用を実現するためにはAPI設計と実装の改善に加え、開発者の判断を支援する多層的な仕 組みの整備が重要であることを示しており、今後の暗号API設計および利用支援の方向性を示唆する。 |
| Title | RAGにおける文書登録のための有用性推定に基づく秘匿支援手法の検討 |
| Author | *大山 達哉, 山岡 裕司 (富士通) |
| Page | pp. 313 - 321 |
| Keyword | LLM, RAG, 秘匿処理, RAG追加文書の有用性, ナレッジマネジメント |
| Abstract | RAG(Retrieval-Augmented Generation)のデータベースが他部門や外部関係者と共有される状況において現場ノウハウ文書を登録する際,文書中の顧客情報や機器構成情報などの秘匿すべきフレーズに対して秘匿処理(黒塗りや置き換え)が必要となる.秘匿処理には秘匿性と有用性のトレードオフが存在し,多くのフレーズを秘匿するほど情報漏えいリスクは低減する一方で,RAGの回答生成におけるその登録文書の有用性は低下する.そのため,秘匿作業者は「秘匿性を維持しつつ,有用性を高める秘匿文書」を試行錯誤しながら探索することになる.しかし,秘匿文書の候補は無数にあるため,すべての候補について有用性を実測することは現実的ではなく,秘匿作業の探索を支援する指針は存在しなかった.そこで本稿では,秘匿作業の探索を支援するために,単一文書内における異なるフレーズを秘匿処理した文書の有用性推定問題を新たに設定した.提案手法では,文書中の各フレーズを黒塗するか否かの組合せによって生成される秘匿文書群を探索対象として構成する探索モデルを設定する.その上で,同一文書内の実測済みの秘匿文書を用いてスコアの範囲と各フレーズの影響量を算出することで,未実測の秘匿文書の有用性スコアを推定する手法を提案する.これにより,追加のRAG実行なしで,さらに線形オーダーで有用性推定を実現し,高速に有用性スコアを提示することによる秘匿作業の支援が可能となる.RAGのオープンベンチマークを用いて推定有用性スコアの精度を評価した結果,推定値と実測値の誤差の平均が約3.4%となり,小さい誤差であると考える. |
| Title | 言明単位のユーザーフィードバック蓄積によるRAGの知識更新手法 |
| Author | *溝内 里奈, 山岡 裕司 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 322 - 328 |
| Keyword | RAG, LLM, 誤情報除去, ナレッジメンテナンス, 集合知 |
| Abstract | 企業内文書検索においてRetrieval‑Augmented-Generation(RAG)が広く利用されている.しかし,検索対象となる知識ベースに誤情報が混在すると回答に誤誘導が生じうるため,知識ベースの整理技術が必要であるが,従来のフィードバック方式では,指摘が反映されるまでに時間を要するため利用者の即時利得が小さいこと,投票対象が生成結果の一部に限られ整理範囲が狭いことにより,誤情報の収集・整理が十分に進まないという課題がある.本研究では,この問題を解決するために,検索段階で言明単位のユーザーフィードバックを収集し,知識ベースを整理する枠組みを提案する.具体的には,検索結果から言明を抽出・正規化し,同一主体・同一関係に対して値が対立する言明群をグルーピングしてユーザーに提示し,投票に基づいて誤り言明に対応する検索結果を除外した上で回答生成に用いる.また,本手法では,投票結果を利用者の検索結果に即時反映することで投票インセンティブを高めるとともに,対立言明集合単位で投票対象を提示することで,従来の生成結果単位のフィードバックよりも広範な知識整理を可能にする.評価では,対立言明が共存する状況を想定した検討により,本手法が言明単位の整理を可能にすることを確認した. |
| Title | LLM生成事例による検索拡張型ICL用外部事例データベースの拡張 |
| Author | *大黒 諒, 北川 雄一, 中野 和香子 (日立製作所) |
| Page | pp. 329 - 338 |
| Keyword | Large Language Model, Data Augmentation, Retrieval-ICL |
| Abstract | 本研究では,LLMを用いた多クラス意図分類において,利用可能な正解付き事例が少ない場合に,検索拡張型文脈内学習(Retrieval-augmented In-Context Learning; Retrieval-ICL)用外部事例データベース(DB)へ追加するLLM生成事例の生成方針を比較検討する.具体的には,典型的事例を生成する単純生成,同一ラベル内の表現の多様性を重視する多様性指向生成,近接ラベルとの判断境界を重視する境界指向生成を設計し,BANKING77を用いて軽量LLMの分類性能を評価した.実験では,初期事例のみの条件がMacro-F1 0.735であったのに対し,単純生成のみで0.793,単純生成と境界指向生成を併用した条件では0.813まで改善した.結果から,利用可能な正解付き事例が少ない条件のRetrieval-ICLでは,高性能LLMにより生成した事例を外部事例DBに追加することが有効であること,および典型的事例を補う生成と近接ラベル間の識別性を補う生成を組み合わせて外部事例DBを構築する方針が有望であることが示唆された. |
| Title | 人とAIの責務分離に基づく開発プロセスの提案 ― BSDD: Boundary Spec Driven Development ― |
| Author | *松井 高宏 (合同会社DMM.com / プラットフォーム開発本部) |
| Page | pp. 339 - 348 |
| Keyword | AI駆動開発, 仕様駆動開発, 責務分離, 境界仕様, 開発プロセス |
| Abstract | 2025 年以降,生成 AI はソフトウェア開発の要件定義,設計,実装を支援しつつある.この流れで,仕様を先に定義して AI にコードを生成させる仕様駆動開発(SDD)が広まりつつある.一方で,SDD の実運用では,人の仕様責務が曖昧だと,AI の出力安定化のため,設計判断,テスト観点,実装方針まで記述・確認の対象となり,仕様が案件規模に対して過大になりやすい.本稿は,この課題に対し,人と AI の責務分離モデル BSDD(Boundary Spec Driven Development)を提案する.BSDD では,人と AI の責務境界に基づいて開発プロセスを再設計する.具体的には,「サービス間合意を要するか」を判断軸として,合意事項を人が境界仕様として定め,それ以外を AI エージェントへ委譲する.筆者が実運用した SDD 相当テンプレートに基づく従来運用との比較では,20 案件において人が記述・確認する仕様量は中央値で 84.5% 削減された.また,P2 相当の実案件 8 件では,仕様策定工数は約 75%,実装完了までの所要時間は約 25% の短縮傾向が観測され,重大な品質劣化は確認されなかった.本研究の新規性は,AI を開発支援ツールとしてではなく,開発プロセス上の責務主体として位置づけ,境界仕様を基点に,人と AI の責務境界を再設計した点にある. |
| Title | (招待講演) 社会課題解決に向けたAIの活用と課題 |
| Author | 岡本 昌之 (トヨタ自動車) |
| Page | p. 349 |
| Abstract | AI は,人と協調しながら人の可能性を広げ,社会的価値の創出を通じて企業の競争力を支える重要な技術である.自動車業界においても,「100 年に一度の大変革期」といわれる中,知能化・AI はその中核技術の一つである.本講演では,クルマへの応用にとどまらず,モビリティ分野全体における AI 活用の現状と今後の展望について紹介する.さらに,AI の社会実装における課題や,AI を適正に利活用するために必要となる AI ガバナンスの取り組みについても紹介する. |
| Title | 間食行動を対象とした半構造化対話による行動変容ステージ推定システムの構築 |
| Author | *古田 智寛 (九州大学 システム情報科学府), 荒川 豊 (九州大学 大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 350 - 361 |
| Keyword | 半構造化対話, 行動変容ステージ, TTM, スロット抽出, 間食行動支援 |
| Abstract | 本研究では,間食行動を対象として,利用者との対話内容から行動変容ステージを推定する半構造化対話システムを提案する. 行動変容支援においては,利用者の現在の心理的・行動的状態を把握し,その状態に応じた支援を行うことが重要である. 行動変容の段階を捉えるモデルとしてTranstheoretical Model(TTM)が用いられているが,TTMに基づく行動変容ステージの把握はアンケートによって行われることが多く,自然な会話の流れの中で利用者の状態を把握することは容易ではない. 本研究では,行動変容ステージを推定するために必要な情報を整理し, あらかじめ設定した質問項目と確認質問からなる半構造化対話を通じて取得し, 取得した情報に基づきルールベースで行動変容ステージを推定する. 評価実験では,8名の参加者を対象に,事前アンケートへの回答後,提案システムとの対話を実施した. その結果,8名すべてについて,行動変容ステージの推定に必要な情報が対話中に発話として得られ,推定不能となった事例は確認されなかった. また,大規模言語モデルによる情報抽出結果を人手ラベルと比較した結果, 本実験条件下ではgpt-4.1-miniが安定した抽出結果を示した. 行動変容ステージの推定については,事前アンケートに基づく行動変容ステージを基準ラベルとし, 対話ログから推定した行動変容ステージと比較した結果,一致率は62.5%であった. 事後アンケートでは,質問内容の分かりやすさが評価された一方で,対話の自然さに課題が確認された. これらの結果から,本実験条件下では,半構造化対話によって行動変容ステージの推定に必要な情報を利用者発話から取得できることが予備的に確認された. ただし,参加者数が少なく,不一致事例も確認されたため,今後は参加者数を増やし,行動変容ステージの境界に関わる確認質問の設計や対話の自然さについてさらに検討する必要がある. |
| Title | 友達・秘書・アナリスト:パーソナルな協調LLMエージェントにおける好みと信頼の理解 |
| Author | *大澤 真優乃, 樋口 明, 和田 絵美, 濱岡 志, 本橋 洋介 (日本電気株式会社) |
| Page | pp. 362 - 367 |
| Keyword | 人間-AI協働, LLMエージェント, 好み, 信頼, パーソナライゼーション |
| Abstract | 人間とLLMエージェントの協働が普及する中,全てのユーザーに対してAIが画一的に振る舞うことは必ずしも最適とは限らない.本研究は,人間とLLMエージェントの円滑な協調関係構築を目指し,様々なユーザー特性やタスク条件に応じてLLMエージェントの「協働スタンス」を適応させることの重要性を検証する.具体的には,3種類の協働スタンスタイプ(友達AI・秘書AI・アナリストAI)を持つLLMエージェントを実装し,ユーザー特性やタスク条件が,各協働スタンスタイプへの好み度と信頼度に与える影響を実験的に調査した.その結果,(1)高年齢層は秘書AIを,若年層は友達AIを好む傾向があること,(2)総合信頼スコアが低いユーザーは全てのタスクで秘書AIやアナリストAIを,高いユーザーはレコメンドタスクで友達AIを好む傾向があること,そして(3)好みと信頼は必ずしも一致しない独立した評価軸であることが実証された.これらの知見に基づき,本研究はユーザー特性とタスク条件から最適な協働スタンスを選択するための設計指針を提案する.本研究の成果は,ユーザーとの対話の中で動的に信頼を構築し,変化する要求に応える次世代協調エージェントの設計に重要な指針を与えるものである. |
| Title | LocationBind:地理空間座標を媒介とした異種都市モダリティデータの共通潜在表現学習 |
| Author | *田村 直樹, 寺島 青, 庄子 和之, 浦野 健太, 米澤 拓郎, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 368 - 384 |
| Keyword | 地理情報分析, 表現学習, マルチモーダルデータ処理, 人流データ分析, スマートシティ |
| Abstract | 都市ではPOI,衛星画像,人の移動履歴など多様なモダリティのデータが地理座標に紐づいて蓄積されている.都市コンピューティング分野では,これらのマルチモーダルデータを活用し,各場所の多面的な性質やモダリティ間の潜在的な対応関係を捉え,定量的な分析を可能にする枠組みが求められている.しかし,既存のアプローチは主に単一モダリティに依存しているか,あるいは画像--テキストなどの明示的なクロスモーダルペアを要するが,空間解像度の違いやデータの欠損・偏りにより,都市環境ではこうしたペアが大量に入手できない場合が多い.本論文では,地理座標を普遍的な媒介表現として活用し,異なる都市モダリティを共通の潜在空間上の表現として統合的にモデル化するLocationBindを提案する.地理座標と単一モダリティの整合に留まる既存のユニモーダル整合手法,およびモダリティ間の明示的なペアを必要とする従来のマルチモーダル手法のいずれとも異なり,LocationBindは地理座標-モダリティ(POIテキスト,衛星画像など)のペアのみを活用した学習によって,複数モダリティの共通潜在空間への整合を実現する.大阪と名古屋の2都市を対象とした実験では,都市の各場所の土地指標(土地利用・人口密度など)の予測や欠損モダリティの補完,クロスモーダル検索といったタスクにおいて,LocationBindが一貫してベースラインを上回り,都市の多様なモダリティを統合的にモデル化できることを示した.さらに,モダリティ横断的なパターン抽出,特定地点のマルチモーダルな特徴検索,マルチスケールな場所検索といった多様な応用分析例を示し,都市の多面的な理解を支援する汎用的な分析基盤として機能する可能性を示した. |
| Title | 避難誘導支援に向けた選択的再シミュレーションによるリアルタイム屋内人流予測 |
| Author | *矢野 敦大 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 天野 辰哉, 山口 弘純 (大阪大学 大学院情報科学研究科/理化学研究所 計算科学センター) |
| Page | pp. 385 - 393 |
| Keyword | 人流予測, デジタルツイン, LiDAR |
| Abstract | 大規模施設や公共空間における避難・群衆誘導では,現在の人流状態を観測するだけでなく,数秒から数十秒先の状態を予測し,混雑が発生する前に誘導方策を講じることが求められる.このため,センサによる観測と並行してエージェントベースシミュレーションを実行し,将来の人流を先読み予測する人流デジタルツインの枠組みが注目されている.しかし,観測と観測の間にもシミュレーションは実時間より高速に進行するため,障害物の出現や通路の閉塞といった突発的な環境変化に追従できず,予測結果と実世界の状態は時間とともに乖離する.観測のたびに全エージェントを再シミュレーションすれば乖離は抑えられるが,対象人数が多い場合には計算時間が観測周期を超え,リアルタイム性が損なわれる.本研究では,予測位置と観測位置の乖離が大きいエージェントを優先的に選択し,選択されたエージェントのみを再シミュレーションする選択的再シミュレーション手法を提案する.再シミュレーション対象エージェント数とシミュレーションの時間ステップ幅をシミュレーション粒度として捉え,同化処理の実行時間が観測周期を超えないという制約のもとで粒度を選択することで,リアルタイム性を担保しつつ予測精度の改善を図る.大学講義棟の1フロアを想定した屋内環境において,Social Force Modelに基づく歩行者シミュレータを用いた評価の結果,観測データを反映しない場合に約10mに達する平均位置誤差を,提案手法は3m前後まで低減できること,および,避難者数1000人の大規模条件では全エージェント再シミュレーションが観測周期(1秒)内に処理を完了できない場合があるのに対し,提案手法は時間制約を満たしながら予測精度を改善できることを確認した. |
| Title | 土地利用マップを用いた転移学習による河川水位予測 |
| Author | *本田 彩佳 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 田内 裕人, 江種 伸之 (和歌山大学システム工学部), 三和 正人 (和歌山大学産学連携イノベーションセンター), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部) |
| Page | pp. 394 - 399 |
| Keyword | 河川水位予測, 深層学習, 転移学習 |
| Abstract | 近年,集中豪雨や線状降水帯に伴う大雨の頻発により,河川の急激な増水や氾濫による被害が深刻化している.このような被害を軽減するためには,高精度な河川水位予測が重要であるが,観測所数や洪水事例数が限られる二級河川では,学習データ不足により高精度な予測モデルの構築が難しい.そこで本研究では,一級河川で学習した知識を和歌山県内の二級河川へ段階的に適応させる二段階事前学習に基づく河川水位予測手法を提案する.第1段階では,既存研究と同様に,予測対象を除くすべての一級河川観測所データを用いて事前学習を行う.第2段階では,土地利用構成比が予測対象と類似する和歌山県内の二級河川観測所 3 地点を用いて再度事前学習を行い,最終的に予測対象地点へ適用する.また,入力データとしてレーダ雨量,流水距離,観測水位に加え,JAXA の高解像度土地利用・土地被覆図から生成した土地利用マップを導入し,流域の保水性や流出特性を表す空間情報をモデルへ付与する.有田川田殿地点を対象とした評価を通じて,二段階事前学習および土地利用情報導入の有効性を検証する. |
| Title | 量子コンピュータを用いた災害廃棄物処理の経路最適化におけるビット数削減手法 |
| Author | *長坂 啓吾 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部) |
| Page | pp. 400 - 408 |
| Keyword | 量子コンピュータ, 廃棄物処理, 数理最適化, 自然災害, ビッ ト数削減 |
| Abstract | 日本は水害や地震といった自然災害が頻発する災害大国であり,その後の復旧・復興過程には多くの課題を抱えている.その中でも,災害により発生する膨大な量の廃棄物処理は地域復興を遅らせる大きな一因である.インフラを復旧し早急に生活基盤を整えるためには,災害廃棄物処理を効率化する計画が必要不可欠である.本研究ではこの課題に対し,数理最適化による災害廃棄物処理の効率化の可能性を追求する.具体的には複数の廃棄物処理施設間の巡回経路をバイナリ線形計画法(BLP)で定式化する.量子アニーリングコンピュータによって解を求めることにより輸送計画を最適化し,迅速な復興計画の作成に貢献することを目的とする.一方で,量子コンピュータによる最適化では,問題が大規模化すると出力される解の精度が下がり,ビット数がハードウェアの許容量を超えると求解できないことから,実用的な問題を解けないという課題がある.そこで先の事項に加えて本研究では,同等の解を維持しつつ使用量子ビット数を削減する手法を提案し,実用的な問題に対する求解可能性を示す. |
| Title | LLMにより抽出可能な特性の階層的分類表現に基づく事例検索手法 |
| Author | *長谷川 悠貴, 山岡 裕司 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 409 - 418 |
| Keyword | Case-Based Reasoning, LLM, 事例検索, 階層的分類, 説明可能AI |
| Abstract | 大規模組織では,過去のシステム開発プロジェクトに関する設計書や監査資料などに,多様な事例情報が蓄積されている.これらを活用し,対象システムの特徴に応じたセキュリティ対策等の実施内容の候補を検索・提示することは,業務効率化や品質向上の観点から重要である.従来はテキストエンベディングに基づく類似検索が広く用いられてきたが,類似性の根拠となる特性や,候補となる実施内容のバリエーションを把握しにくいという課題がある. 本研究では,プロジェクト特性と実施内容を分離し,特性に基づく階層的分類表現を用いた事例検索手法を提案する.提案手法では,実施内容を目的変数とする決定木を構築し,対象プロジェクトの特性に基づいて類似事例を検索する.さらに,決定木上の到達ノードおよび周辺ノードに含まれる実施内容を順位付きで提示することで,候補の根拠やバリエーションを確認可能にする. 公開データセットであるCAR Evaluationを用いた評価では,nDCG@kにより検索性能を確認した.その結果,LLM等によってプロジェクト特性を適切に抽出できる場合には,本手法が説明性の高い検索結果を提示しつつ,テキストエンベディングに基づく検索手法よりも高い検索性能を得られる可能性を示した. |
| Title | 大規模言語モデルを用いた学会プログラムを作成する手法の研究 |
| Author | *相良 佳陽, 西 幸吾, 下村 眞史, 益子 紋寧, 森 信一郎 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 419 - 426 |
| Keyword | 大規模言語モデル, プログラム編成, クラスタリング, ハルシネーション |
| Abstract | 学会のプログラム編成は運営ボランティアの多大な労力に依存しており,自動化が急務である.本研究では大規模言語モデル(LLM)を用いたプログラム自動編成の可能性と限界を二段階の実験で定量的に検証した.まず,LLMによる直接的な一括推論においては,入力論文数が130件を超えた付近で情報の欠落やハルシネーションが急増する「処理限界」が存在することを突き止めた.次に,この処理限界を回避するため,先行研究であるAMIAでの事例 を参考にEmbeddingとクラスタリングを組み合わせた分類実験を行った.さらに,国内学会特有の「研究室(指導者)文化」等の暗黙知の反映や言語混在ノイズの低減を目指し,AMIA手法に対して「著者情報の追加」「構造化テキストの一括処理」「記述言語の統一」の3つの仮説を立案し,これらを段階的に適用した発展手法を構築・検証した.実証実験の結果,提案手法はベースラインを上回るARI(0.195)を記録し,特定項目の追加や表現統一による一定の改善傾向を確認した.同時に,実用レベルの自動編成には,論文データのみのベクトル化では捉えきれない編成慣習等の暗黙知の統合が不可欠であるという「壁」の正体を明らかにした. |
| Title | 大規模言語モデルを用いた学会プログラムのセッション構成自動化手法の検討 |
| Author | *西 幸吾, 相良 佳陽, 下村 眞史, 森 信一郎 (千葉工業大学 先進工学部知能 メディア工学科 知的情報工学研究室) |
| Page | pp. 427 - 434 |
| Keyword | LLM, 自動化 |
| Abstract | 学会プログラムのセッション構成は、論文の意味的類似性に基づくグループ化を担当者が手作業で行う必要が あり、専門的な知識と多大な工数を要する作業である。本研究では、大規模言語モデル(LLM)を用いてこの作業を 自動化する手法として、split-and-combine アプローチを提案する。提案手法では、論文集合を複数のグループに分割 し、その 2 グループ組み合わせをそれぞれ独立に LLM へ入力してセッション構成を生成したうえで、得られた複数 の分類結果を多数決で統合する。複数試行の多数決によってランダム性を打ち消すと同時に、入力規模を分割によっ て抑制することで、ハルシネーションやコンテキスト制約といった LLM の大規模入力時の問題に対処しつつ、安定 した分類結果を得ることを目指す。実際の DICOMO 2025 の 199 件の論文を用いた評価実験では、提案手法は Purity 0.437 を達成し、貪欲法によるベースライン(0.402)を上回り、全件カバーかつ制約違反ゼロも達成した。一方、実 際のセッション編成にはテキスト情報のみからは把握できない運営上の制約も含まれており、運営上の制約への対応 には人間の判断が依然として求められることも確認された。 |
| Title | 大規模言語モデルを用いた対人聞き取り調査を模擬する手法の研究 |
| Author | *下村 眞史, 益子 紋寧 (千葉工業大学), 庄原 誠 (インフォモーフ), 森 信一郎 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 435 - 443 |
| Keyword | AI, 大規模言語モデル, UXデザイン, プロンプトエンジニアリング |
| Abstract | 優れた顧客体験(UX)の創出には,ユーザーの利用文脈・利用状況を理解することが不可欠である.一般的に用いられるインタビュー法は多くの時間と手間を要し,迅速な意思決定を求められる現場においてUX調査の障壁となっている.そこで本研究では,大規模言語モデル(LLM)を活用し,対人調査と同等の内容を維持しつつ工程を効率化する手法を提案する.具体的にはUXデザイン領域のSEPIA法に基づきLLMに343名の仮想ユーザー設定を割り当て,聞き取り調査をシミュレートした.得られたユーザーの行動(事象)とその理由に対し上位下位関係分析を適用し,最上位ニーズ(Beニーズ)を導出するプロセスを構築した.実ユーザーへの調査結果と比較検証した結果,提案手法は事象の網羅性とニーズの類似度において高い有効性が示された. |
| Title | 人間とAIの健全な共生へ向けて |
| Author | *藤田 茂 (千葉工業大学情報変革科学部), 白鳥 則郎 (東北大学名誉教授) |
| Page | pp. 444 - 447 |
| Keyword | 人工知能, 協調作業, 意図認識, 認知科学, 持続可能な社会 |
| Abstract | 生成AIに代表されるAIにより社会変化が進んでいる。コンピュータの発明、インターネットの普及、検索エンジンの一般化、SNSの広がりを経て、AIの利用によって、人間社会そのものが変化しつつある。AIは、これまでの技術に比べてより人間の感覚に近い(しかし異なる)情報をAIから提供することになり、現状のままのAIでは個人と社会に与える影響が大きすぎるため、EUで見られるような規制法の制定に繋がっている。しかし法規制では急速に発展しつつあるAIを抑制することはできず、技術的な基盤が必要である。 我々は、これまでに情報システムをAIによって制御し人の要求に応えるための技術、人とAIの共生について議論してきた(1,2,3)。本稿では、AIと歩むテクノロジーの未来をThe Second Renaissanceとして提唱し、その応用例を述べる。 |
| Title | 演奏者の表現意図と音響特性とのマッピングとその暗黙知習得を支援する外化体験 |
| Author | *石川 サラ, 砂原 秀樹, 加藤 朗 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 448 - 457 |
| Keyword | 表現熟達支援, 比喩, マルチモーダル協応, 身体知, 類推的問題解決 |
| Abstract | 演奏表現は, 表現意図を音響特性へとマッピングすることで生み出されており, 比喩的・身体的イメージを手がかりとして行われている. しかし, このプロセスは暗黙知や身体知であるため, 名人でない演奏者にとってその理解や再現は容易でない. 本研究では, このマッピングや再現に困難を抱える演奏者を支援するため, (a)「表現意図, 比喩やジェスチャ, 音響パタン」を例示する「辞書」の参照, (b)そのマッピングのための暗黙知を外化する体験を提案した. 指導内容および各演奏者が意図する表現について, マッピングを理解し, マッピングを再現するための暗黙知(コツ)を, 各演奏者に合った手法で記録する能力の支援を目的とする. プロ管楽器演奏者への事前インタビューからは, 演奏表現に対して抱く空間的イメージが確認され, また演奏とは楽譜への記号化プロセスで失われた情報を補完する復号化的行為であることが示唆された. 次に, 吹奏楽の指導現場から,「辞書」の事例を収集してリスト化し, 「Noble(高貴な)」という表現意図の事例については, 微細な印象の違いに影響を与えている波形の差異を試験的に確認した. また, (b)の外化体験を類推的問題解決の観点から補助するシステムの初期概念設計としてのモックアップを作成した. 今後は, 事例の収集を継続して「辞書」の恣意性を改善したのちに, 演奏者に(a)の「辞書」の参照, (b)の外化体験を行わせ, その効果を検証する. |
| Title | 「はじめまして」から始まる関係継続のための記録設計と再接触判断を支援する記録・想起 |
| Author | *日下 怜奈 (慶應義塾大学大学院/メディアデザイン学科), 加藤 朗, 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 458 - 463 |
| Keyword | コミュニケーション, AI |
| Abstract | 本研究は、初対面後に人間関係が継続されにくい課題に対し、「再接触するかどうかを判断するための情報が保持・想起されないこと」に着目した研究である。会話内容、印象、感情、時間・場所などを記録し、後から想起可能な形で再提示するシステム「ひとコレ(仮称)」を提案する。紙プロトタイプを用いたユーザー調査の結果、感情や印象を含む記録が、過去の出会いの再解釈や再接触判断を支援する役割を持つことが確認された。一方で、記録行為には負担が存在し、短時間で継続可能な入力設計の必要性が明らかとなった。今後は、実装プロトタイプを用いた長期的検証を通じて、関係継続への影響を評価する。 |
| Title | 非言語応答による理解度のリアルタイム把握を活用した学習支援システムの評価 |
| Author | *廣本 亜矢子 (ワイドブック/京都橘大学 工学部 情報工学科), 東野 輝夫 (京都橘大学 工学部 情報工学科) |
| Page | pp. 464 - 472 |
| Keyword | 遠隔教育, 非言語応答, 行動認識, 学習支援システム, 適応支援 |
| Abstract | オンデマンド型の動画学習は広く利用されているが,学習者の理解状態を学習中に適切に把握することは依然として課題である.本研究では,学習中の確認場面における瞬間的な非言語応答(頷き・首かしげ)を用いて学習者の状態を把握し,その結果に応じて補助教材を提示する適応的学習支援システム「online-study」を構築した.学習中の練習問題後に確認メッセージを提示し,MediaPipeを用いたリアルタイム頭部動作検出により,学習者の「自信」に関する非言語応答を取得し,理解に対する確信が低い場合にのみ補助教材を提示する.大学生20名を対象とした比較実験の結果,特に,理解に対する確信が不十分であると考えられる学習者において,補助教材提示を伴う適応支援を受けた群が受けなかった群に比べ有意に高い正答率を示すことが確認された.本研究では,非言語応答をインタフェースとして活用した学習支援の有効性と受容性について報告する. |
| Title | ヒアラブルデバイス内蔵マイクを用いた口呼吸音による入力手法の提案 |
| Author | *古賀 耀 (公立はこだて未来大学), 渡邉 拓貴 (神戸大学), 竹川 佳成 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 473 - 481 |
| Keyword | ジェスチャ認識, ウェアラブルデバイス, 音響センシング, 呼吸, 機械学習 |
| Abstract | ヒアラブルデバイスの操作は主に手によるタッチ操作や音声認識によって行われるが,手が使えない状況や公共空間における社会的受容性の観点から課題がある.本研究では,ヒアラブルデバイスに内蔵されたマイクを用いて口呼吸音を取得し,ハンズフリー入力手法として活用する手法を提案する.本手法は追加センサを必要とせず,既存のヒアラブルデバイスのみで実現可能なハンズフリー入力手法である. 「呼吸の方向」「タンギングの有無」「噛み合わせの有無」「口すぼめの有無」の4要素を組み合わせることで14種類の口呼吸操作を定義し,SVMによる機械学習モデルを用いて口呼吸音分類を行った.5名の実験参加者を対象に認識精度の測定とユーザビリティアンケートを実施した結果,14操作全体での平均F1-scoreは0.922であった.認識精度とユーザビリティの両観点から6種類の操作を選定し,選定後の8状態での平均F1-scoreは0.988を達成した.また,ノイズ環境における評価では,周囲騒音およびデバイス再生音が認識精度を大幅に低下させることが明らかになった. |
| Title | アクティブ音響センシングを用いた無音発話認識リングの提案 |
| Author | *浅古 尚登 (公立はこだて未来大学), 渡邉 拓貴 (神戸大学), 竹川 佳成 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 482 - 491 |
| Keyword | アクティブ音響センシング, 音響解析, サイレントスピーチインターフェース |
| Abstract | 近年,音声によるデバイス操作が普及している一方で,公共空間などでは情報漏洩の懸念や発声が困難な場面も多く,静音で情報入力を行う Silent Speech Interface(SSI)の研究が注目されている.本研究では,指輪型デバイスにアクティブ音響センシング機能を搭載し,口元に手を添えるという情報秘匿の際の日常的な仕草を利用した無音発話認識インタフェースを提案する.FMCW超音波信号を用いてエコープロファイルを生成し,CNNと双方向GRUを組み合わせたモデルで6種類の無音発話コマンドを分類した結果,参加者内評価で0.911,参加者間評価で0.665の認識精度を達成した.また,33名を対象とした社会的受容性の評価では,広く普及している腕時計型デバイスと同程度の受容性を示し,実用的なSSIとしての有効性が示された. |
| Title | AM変調超音波と可聴音を用いたイヤラブルデバイスにおける提示音の切替手法 |
| Author | *小沼 燦太, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科), 渡邉 拓貴 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 492 - 499 |
| Keyword | イヤラブルデバイス, AM変調超音波, 提示音切替え |
| Abstract | 一つの空間に複数の人がいる状況における音声提示では,情報を「聞きたい人」と「聞きたくない人」が混在することが想定される.一例として学習場面で,例文や解答,解説などの音声を複数人が教室のスピー カで聞いているとき,学習者の間で「今は音で確認したい」「今は音を聞かずに自分で考えたい」といった 要望が混在する状況がある.本研究では,可聴音スピーカによる音声提示と,イヤラブルデバイスに AM 変調超音波を照射してデバイス内で可聴音として復調させる音声提示を併用して,学習者が必要なときだ け音声を聞くことができる音声提示手法を提案する.提案手法では,問題文や穴埋め問題の空欄の前後の 文など「全員が共通に聞いてよい内容」は可聴音で提示し,回答・解説や穴埋め問題の空欄に入る語など 「人によって聞きたい/聞きたくないが分かれる内容」は AM 変調超音波で提示する.学習者はイヤラブ ルデバイスの装着状態と非装着状態を切り替えることで,音声を選ぶことができる.被験者 10 名を対象と した評価実験より,同一文を 2 回繰り返して提示するうち 1 回目は非装着,2 回目は装着して聴取する条 件で,装着時のみ聞こえる空欄部分の正答率は 96.7%であり,必要時のみ装着する条件においても高い正 答率が得られた. |
| Title | アクティブ音響センシングを用いたウェアラブルデバイス装着位置推定手法 |
| Author | *後藤 優太, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 500 - 509 |
| Keyword | アクティブ音響センシング, ウェアラブルデバイス, 装着部位推定, 超音波 |
| Abstract | ウェアラブルデバイスの形状には,腕時計型や指輪型,眼鏡型のような装着する部位に特化した形状のほかに,インスタントタトゥー型やパッチ型のような任意の身体部位に装着可能な形状のデバイスも存在する.任意の身体部位に装着可能な形状のデバイスにおいては,装着部位に応じてデータの処理方法やユーザインタフェースを適切に設定するために,装着部位の情報を与える必要がある.本研究では,装着部位ごとの体組織構造の違いに着目し,ウェアラブルデバイスに搭載される圧電素子を用いたアクティブ音響センシングによる装着位置を推定する手法を提案する.評価実験では20代男性10名が被験者として参加し,額,左手首,腹部,左脛の4部位を対象に推定を行い,提案手法の評価を行った.5日間にわたり取得したデータを用いてLeave-One-Day-Out交差検証を行い,結果として部位全体での平均F値は最大となった被験者において0.84であった. |
| Title | 頭部・身体動作に着目した購買行動の分析 |
| Author | 野田 大雄, *清水 陵雅, 西尾 信彦 (立命館大学) |
| Page | pp. 510 - 520 |
| Keyword | 購買行動分析, 探索行動, 行動認識, ウェアラブルデバイス, イヤラブルデバイス |
| Abstract | 消費者の購買行動を理解するうえで,購買に至るまでの探索過程の把握は重要である.Eコマースでは閲覧履歴等から追跡可能だが,実店舗では直接観測が難しい.従来のカメラ・RFID・視線追跡には,プライバシー,コスト,装着負担といった課題が残る.本研究では,市販ウェアラブルおよびモバイル端末のIMUデータのみを用い,実店舗における消費者の探索行動を観測可能な行動構造として抽出することを目的とする.AirPodsとiPhoneから得た頭部・身体動作の組合せから4種類の基本動作ラベルを定義し,Run-Length Encodingで動作イベント化したうえで,継続時間および遷移構造の観点から時系列分析を行った.その結果,特定対象への注意が時間的に集約される構造と,店舗内を回遊し広範に探索する構造という,2つの対照的な行動構造が一貫して観測された.導出した探索状態の妥当性は,商品接触行動,視線挙動,タスク条件の3指標との整合性により評価し,いずれとも一貫した関係が確認された.本手法は,実店舗における購買前の探索行動を,低コストかつプライバシーに配慮した形で記述・分析する基盤となることが期待される. |
| Title | 過剰なハラスメント概念の可視化を目的としたハラスメント概念生成ウェアラブルシステム |
| Author | *林 駿汰, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 521 - 529 |
| Keyword | 生成AI, 認識変容, ハラスメント |
| Abstract | 近年,パワーハラスメントやセクシャルハラスメントに加え,カスタマーハラスメントなど, 新たなハラスメントが次々と登場している. 新たなハラスメントは,社会的背景や価値観の変化に伴って拡張されてきたものであり, 従来は問題として捉えられなかった行為が,新たにハラスメントとして認識され発生してきた. その結果, ハラスメントの対象範囲は拡大し,ハラスメントの判断基準が曖昧になり, 職場における指導やコミュニケーションの萎縮といった問題が指摘されている. 一方で,すべての新たなハラスメントを否定するべきではなく,社会的に重要な問題も含まれている. そのため,ハラスメントを無闇に拡張することを避けつつ, どのように受け止めるかを慎重に検討する必要がある. 本研究では,過度なハラスメント定義に触れた場合にハラスメントに対する感受性が変化するかを明らかにすることを 目的とする. そこで,生成AIを用いて周囲の状況に基づき新たにハラスメントを逐次的に定義し提示するシステムを提案した. システムによって定義された出力事例を被験者に閲覧させ, 事例閲覧前後でのアンケート調査を通して,既存ハラスメントおよびハラスメント乱立問題に対する感受性の変化を評価した. 実験の結果,出力事例の閲覧によって,既存ハラスメントに対する感受性に有意な変化は確認されなかった.また,ハラスメント乱立問題に対する意識についても有意な変化は認められなかったが,質問項目間の平均値の違いや効果量から,過剰なハラスメント定義に対する問題意識を喚起する可能性が示唆された. |
| Title | 動画像から抽出した位置関係による烏骨鶏家族における関係性分析に向けた社会行動検出 |
| Author | *岩本 純, �睫� 耀希 (東京農工大学 大学院 先進学際科学府 先進学際科学専攻), 瀬口 瑛子, 新村 毅 (東京農工大学 農学部 生物生産学科), 藤波 香織 (東京農工大学 大学院 先進学際科学府 先進学際科学専攻/東京農工大学 工学研究院 先端情報科学部門) |
| Page | pp. 530 - 542 |
| Keyword | 社会行動検出, 動物行動, 位置情報, 動画像解析 |
| Abstract | 動物の社会行動の定量化は,集団形成や養育形態などといった家族関係の理解に重要であるが,多個体の長時間観察は人的コストが高く,成長に伴う外見変化や個体差によって自動化が困難である.そこで本研究では,ヒトに近しい養育形態を有することが示唆されている烏骨鶏の家族を対象とし,動画像から抽出した位置関係に基づく社会行動(接近,離反,追従)検出手法を提案する.また,多様な家族への適用を見据え,未知のペアに対する汎化性能の実現も目指す.位置情報の抽出では Segment Anything Model 2(SAM2)による疑似マスク精緻化を伴う段階的自己学習を導入し,初日分のアノテーションのみで成長過程を含む長期間のトラッキングを実現した.さらに,深層学習モデルと隠れマルコフモデルを組み合わせた区間検出手法によって,社会行動の検出を実現した.一方,1ペア抜き交差検証とクラス条件付き Maximum Mean Discrepancy(MMD)によって,特に母鶏が関わるペアで他のペア間より大きなドメインシフトが存在し,個体の重心間距離がその主要因であることが示唆された. |
| Title | VO2測定値に基づくIMUベース農作業METs推定モデルの精度評価 |
| Author | *森本 一輝, 大村 廉 (豊橋技術科学大学) |
| Page | pp. 543 - 552 |
| Keyword | METs, ウェアラブルデバイス |
| Abstract | 農作業における運動強度(METs)の推定は,作業負荷の把握や熱中症・過労の予防,安全管理の観点から重要である.本研究では,日常動作を基準としたウェアラブルセンサを用いた回帰モデルの農作業における運動強度(METs)推定の精度検証を目的とし,日常および農作業データを用いて 3 種類の回帰モデルを構築・比較した. 従来の METs 表に基づく推定に対し,本研究では呼気ガス測定による実測 VO2 から算出した MET を真値として用いた.その結果, METs 表基準モデル (MAE=1.481)に対し,実測 VO2 基準モデル(MAE=0.709) の方が高い精度を示した. 一方で,一部動作では精度向上が見られない課題も確認された.これにより,ウェアラブルによる METs 推定の留意点とモデル設計の方向性を示した. |
| Title | YouTube における高刺激・低充足動画の探索的定義とサムネイルへの選択的グレースケール介入手法の検討 |
| Author | *松田 圭祐 (九州大学院 システム情報科学府), 荒川 豊 (九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報知能工学部門), 中村 優吾 (立命館大学 情報理工学部), 鳥海 不二夫 (東京大学 工学系研究科 システム創成学専攻), 鈴木 貴久 (津田塾大学 総合政策学部), 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科) |
| Page | pp. 553 - 561 |
| Keyword | デジタルウェルビーイング, ブレイン・ロット, 視覚的摩擦, YouTube Regret, ACDPs (Attention Capture Damaging Patterns) |
| Abstract | 動画プラットフォームの推薦面では,視聴前に強く注意を引く一方で,視聴後には時間浪費感や低い充足感を伴う動画が選択されやすい場合がある.本研究では,このような高刺激・低充足な動画群を便宜上「junky 動画」と呼び,YouTube 推薦面における介入対象として探索的に定義する.具体的には,junky 候補動画100本と normal 動画100本を対象に,タイトル,概要欄,サムネイルから特徴量を抽出し,5名による9項目の人手評価とルールベース自動推定値を比較した.その結果,人手評価では「タイトル誘引性」「時間泥棒」「健康的価値の低さ」において群差が大きく,これらが junky 動画定義の中核軸となる可能性が示唆された.さらに,本研究では得られた暫定定義に基づき,junky 動画と判定された動画カードに限定してサムネイルへグレースケール化を適用する Chrome 拡張機能を設計した.本手法は,動画視聴を禁止するのではなく,推薦段階における視覚的誘引性を選択的に低減することで,より自覚的な動画選択を支援する視覚的摩擦介入を目指す. |
| Title | MRを活用した空間映像演出システムの提案 |
| Author | *佐藤 涼, 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科) |
| Page | pp. 562 - 570 |
| Keyword | Mixed Reality, 空間演出 |
| Abstract | 近年,舞台や音楽イベントにおいて映像や照明などを使った視覚演出が多く行われている.しかし,音楽に同期した視覚演出の実現は,機材が高価であることや専門的な知識や技術,演出者個人の経験やセンスが求められるため困難である.本研究では,MR空間上で視覚演出を行う際の課題を抽出することを目的とし,MR空間上で演出を行うことで視覚演出の簡易化を図るシステムを実装し,提案システムを用いて評価実験を行った. 評価実験の結果,MR デバイスを用いた演出操作,及びMRデバイスを装着した状態で実空間上の操作を行うことは,いずれも演出者の大きな負担にはならないことが示唆された.一方で,MR空間上で動的な目標物を追従する操作は作業負荷が大きく,操作方法の簡易化や位置補正機能の導入が求められた.また,演出の種類や自動演出の多様化を希望する意見が演出者と視聴者の双方から得られた.演出の簡易化だけでなく,演出者と視聴者の間で,演出同期の安定性の向上が今後の課題として得られた. |
| Title | 風の痕跡:風土の非言語的な美を知覚体験へ翻訳するインスタレーションの設計研究 |
| Author | *戸簾 隼人 (滋賀大学), 唐神 一樹 (アーティスト), 竹本 智志 (東京大学), 上田 隼也 (インパクトラボ) |
| Page | pp. 571 - 577 |
| Keyword | メディアアート, データ物理化, 文化翻訳, キネティック |
| Abstract | 本研究は,和蝋燭の炎に現れる時間変動を反射面を備えたキネティックモジュール群の運動へ変換するメディアアート作品《Abstraction: 風》を対象とし,滋賀の風土に内在する非言語的な美を知覚体験として提示する設計を扱う.本作品は風そのものを計測する装置ではなく,燃焼,芯の状態,周囲の空気流,設置環境,撮影条件によって揺らぐ炎を,不可視な気配が一時的に形をとる媒介として扱う.実装では,蝋燭の炎映像を20×20格子へ分割し,OpenCVのHSV表現に基づく経験的なしきい値判定と8近傍拡張により局所活動マップを生成した.活動セルの制御情報は複数のESP32ノードへ配信され,各ノードはコマンドに応じてステッピングモータの速度を更新する.本稿では,自然現象を忠実に再現するのではなく,知覚に寄与する差異を粗視化し,群運動,曲面反射,参照映像を含む展示空間の経験へ展開する設計過程を,物理的差異,データ表現,知覚経験の三層からなる記述枠組みとして整理した.また,展示時の設置状況と2名を対象とした予備的なヒアリングをもとに,説明順序,鑑賞距離,位相管理に関する設計上の課題を整理した. |
| Title | 画像処理を用いたイラスト制作時の消し忘れ検出ツール |
| Author | *中野 爽一朗, 阿倍 博信 (東京電機大学) |
| Page | pp. 578 - 583 |
| Keyword | デジタルイラスト, 消し忘れ, 画像処理 |
| Abstract | デジタルイラスト制作における検品作業の効率化を目的に,画像処理を用いたイラストチェックツール「Smart Paint Checker」を開発した. 塗り漏れ検知には背景色走査,消し忘れ検知にはAKAZE特徴量と周辺ピクセル解析を組み合わせた手法を提案し,Streamlitによる柔軟なパラメータ調整を実現した. 評価実験の結果,既存ツール(Clip Studio PaintやLive2D Cleaning)と同水準の精度を維持しながら実行時間を大幅に短縮し,意図的な描画の保護における有効性を示した. 今後は,複雑なテクスチャ等での誤検知抑制に向け,機械学習の導入等による更なる精度向上を目指す. |
| Title | テーマパークにおける遺伝的アルゴリズムを用いた移動式アトラクション配置手法の検討 |
| Author | *関島 弘騎, 川上 朋也, 川本 義海 (福井大学) |
| Page | pp. 584 - 591 |
| Keyword | マルチエージェントシミュレーション, 混雑緩和, テーマパーク問題, 移動式アトラクション, 最適配置 |
| Abstract | 本研究では,テーマパークにおける来園者集中によって発生する混雑の緩和を目的として, 運営側施策として移動式アトラクションを導入し, その配置および運営スケジュールを動的に最適化する手法を提案した. 来園者行動をマルチエージェントシミュレーションによりモデル化し, 混雑度を評価値とする配置最適化問題として定式化した上で, 遺伝的アルゴリズムを用いて効率的な解探索を行った. 複数の配置ケースを比較評価した結果, 固定配置手法と比較して最大待ち時間の抑制および来園者流動の分散が確認され, 混雑の局所的集中が緩和されることが明らかとなった. さらに,GA により得られた解は全探索による最適解と比較して性能低下が約1割程度にとどまり, 計算コストを大幅に削減しつつ実用上十分な性能を有することを確認した. 以上より,移動式アトラクションの動的配置は, テーマパーク運営における有効な混雑緩和施策となり得ることが示された. |
| Title | 交通流データを用いたV2V通信性能の評価手法の検討 |
| Author | *池田 至宝, 笠松 大佑, 寺島 美昭 (創価大学) |
| Page | pp. 592 - 600 |
| Keyword | V2V, ITS |
| Abstract | 自動運転や高度運転支援システムの普及に向け,インフラに依存しない車車間通信 (V2V: Vehicle-to-vehicle) の重要性が高まっている.しかし,V2V通信の性能は周辺の車両環境に大きく依存するため,交差点などの複雑な環境における通信品質の評価が実運用上の課題となっている.本研究では,実際の交通状況における車両密度と通信性能の関連性を明らかにするため,立川市の対象交差点における精緻な交通状況を再現し,評価する手法を提案する.本手法では,実環境における動的な交通量の観測データや,ポアソン分布を用いた車両間隔モデルおよび交通流推計モデルを統合することで,混雑時および非混雑時における動的な車両密度をシミュレーション上で再現した.構築した環境下でV2V通信性能を評価した結果,交通量の波に伴う密度の変化により,混雑時と非混雑時では最大11%の通信品質の差が生じることを確認した.このことからV2V通信評価においては,時間変動を考慮した交通流モデルが重要であることが示された. |
| Title | 合成人口と行動統計に基づく地域公共交通シミュレーション向け移動需要生成 |
| Author | *青木 啓晃, 湯本 麻子, 陳 彬, 西口 侑希, Julius Michaelis, 大西 隆史 (富士通株式会社 セキュリティサイエンス研究所), 角 和明 (富士通株式会社), 金政 泰彦, 瀬川 英吾 (富士通株式会社 セキュリティサイエンス研究所) |
| Page | pp. 601 - 609 |
| Keyword | 都市交通シミュレーション, 地域公共交通, マルチエージェントシミュレーション, スマートシティ, 合成人口 |
| Abstract | 人口減少に伴い、全国の自治体で地域公共交通の維持が困難になりつつある。 国土交通省では、「交通空白」の解消などの課題解決に向け、地域交通におけるデジタル活用の標準化を進める地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」の取組を推進している。 こうした状況の中、各自治体には、地域の実情に応じた施策を選択し、交通計画として具体化することが求められている。 その検討手段として、施策効果を事前に比較可能な交通シミュレーションの活用が期待されている。 シミュレーションを行うには、入力となる移動需要データを安定的に用意できることが必要である。 一般に、移動需要データには、調査データや商用データ等が用いられることが多いが、自治体間で入力データの条件が揃いにくい。 このため、公開統計および公開データに基づいて移動需要データを生成する手法が求められる。 我々は、国土交通省の地域交通DX推進プロジェクトCOMmmmONSにおける一事業として、地域公共交通シミュレーションの技術開発に取り組んだ。 本稿では、合成人口と行動統計に基づき、自治体全域の移動需要データを生成する手法を提案する。 提案手法では、合成人口により個人単位の居住地を与え、行動統計に基づいて外出有無、移動目的、目的地、移動開始時刻を付与することで、全国の自治体で利用可能な移動需要生成の実現を目指す。 評価では、群馬県前橋市を対象としたケーススタディとして、入力データとの整合性を検証するとともに、入力として用いていない住民アンケートとの比較により行動特性の再現性を評価した。 その結果、住民アンケートとの比較において、移動開始時刻の時間帯分布のコサイン類似度は0.92--0.95、目的地分布のコサイン類似度は0.85--0.87と、類似した分布傾向を示すことを確認した。 また、生成した移動需要データを後段の地域公共交通シミュレーションへ入力することで、交通施策評価の入力データとして利用できることを確認した。 |
| Title | 地域公共交通の再編に向けたマルチモーダル交通シミュレーション |
| Author | *西口 侑希, Julius Michaelis, 大西 隆史, 青木 啓晃, 山口 真沙, 三富 達矢, 牧原 史弥, 瀬川 英吾, 金政 泰彦 (富士通株式会社 セキュリティサイエンス研究所) |
| Page | pp. 610 - 618 |
| Keyword | 都市交通シミュレーション, 地域公共交通, マルチエージェントシミュレーション, スマートシティ |
| Abstract | 労働力人口の減少により、中小都市や地方では地域公共交通を担う運転手不足が深刻化し、従来の公共交通網を維持することが困難になりつつある。また、人口構造に合わない公共交通の維持は効率低下やコスト増を招き、「交通空白」の発生につながっている。このため国土交通省では、「交通空白」解消の取組において、地域公共交通の利便性・生産性向上に資する地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」を推進している。本稿では、COMmmmONSの一事業として開発した、マルチモーダルな地域公共交通シミュレーションシステムを紹介する。本シミュレーションシステムは、現実の公共交通に仮想的な交通施策をWhat-Ifシナリオとして組み込んだマルチエージェントシミュレーション(MAS)空間を構築し、その中で人々の移動行動をシミュレーションすることで、バス路線再編やデマンド交通の導入などの施策の効果や影響を事前に評価する。さらに、複数の交通モードに対応するシミュレータや乗り換え案内クラウドサービスをMASを介して連動させることで、マルチモーダルな施策評価を可能にする。 |
| Title | Web サーバのアクセスログ監視体験ゲーム「LogiScope」の開発と評価 |
| Author | *柳田 雪乃 (青山学院大学社会情報学部), 石井 幹大 (青山学院大学理工学部), 伊藤 一成 (青山学院大学社会情報学部) |
| Page | pp. 619 - 623 |
| Keyword | セキュリティ教育, 情報��, アクセスログ |
| Abstract | 本研究では,Webサーバのアクセスログ監視を体験的に学習できるゲーム型教材「LogiScope」の開発と評価を行った.近年,情報セキュリティの重要性が高まる中,アクセスログ監視の理解は重要であるが,従来の学習方法は初学者にとって難易度が高いという課題がある.そこで本研究では,ゲーミフィケーションを活用し,ユーザがセキュリティハッカーとして不正アクセスを検出する形式の学習環境を構築した.本システムはチュートリアルモードとテストモードを備え,視覚的なUIと詳細な解説機能により直感的かつ段階的な理解を支援する.大学生58名を対象とした授業内実験では,事前・事後テストの比較により,全ての攻撃手法において正答率が大幅に向上し,学習効果が確認された.また,「分からない」と回答する割合も大きく減少し,知識の定着が示唆された.さらに操作ログの分析から,誤答時には回答時間が長くなる傾向が見られ,試行錯誤を伴う学習過程の特徴が明らかになった.以上より,本手法はアクセスログ監視に関する理解促進に有効であることが示された. |
| Title | WSLを用いて初学者が自分で構築できる不正アクセス解析のための安全で簡易な教育用攻撃・被攻撃環境の実装 |
| Author | *山�� 創, 岡部 寿男 (京都大学) |
| Page | pp. 624 - 631 |
| Keyword | セキュリティ教育, WSL, Docker, IaC |
| Abstract | サイバー攻撃の脅威が高まるにつれ,情報セキュリティ人材の重要性は増大し続けている.従来の侵入検知システム(IDS)演習では隔離性確保のためVDIやVMが利用されてきたが,構築・運用にかかる人的・金銭的コストが課題であった.そこで本研究では指導側の負担軽減と学習者の利便性向上を目的とし,WSL2およびDockerコンテナを活用した軽量かつ簡易な演習環境を構築した.本環境は攻撃・被攻撃・監視の各機能をそれぞれコンテナ化しBYOD端末上に展開する.これにより安全な隔離状態を維持しつつ,低いリソース消費での演習実施を可能にする.評価の結果,従来のVM環境と比較して本環境はメモリ使用量を大幅に削減でき,一般的な学生用PCでも円滑に動作できることを確認した.また,本手法は拡張性が非常に高く,初学者にサイバーセキュリティに関する広範な体験学習を可能とする基盤として高い教育的有用性を有する. |
| Title | 世界情勢モデルに基づくサイバー攻撃の影響力シミュレーション手法 |
| Author | *脇本 京, 島 成佳 (長崎県立大学) |
| Page | pp. 632 - 641 |
| Keyword | 地政学的リスク, サイバー攻撃, 国家安全保障, シミュレーション |
| Abstract | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃は,国家間のパワーバランスに応じて標的や目的を設定する.重要インフラ事業を行う組織の CISO は業務リスク管理に関する意思決定を行う.意思決定は限られた時間と情報のもとで,未来の国家間のパワーバランスと未来に発生する可能性のある複数パターンのサイバー攻撃のリスクを優先順位づけした上で行わなければならない.本論文では,CISO のリスク管理を支援するインテリジェンスに焦点を当て,未来の国家間のパワーバランスとサイバー攻撃についてシミュレーションすることで,リスクの優先順位を考慮可能なインテリジェンスを生成することを考える.このようなシミュレーションやリスクの優先順位づけは,考案する 世界情勢モデル を用いて行うことにし,世界情勢モデルのモデリングまでを行う. |
| Title | CPE起点の多層オントロジーグラフ構築と攻撃非関与ノード削除による脆弱性対策優先順位付け支援 |
| Author | *赤岩 七海, 矢部 海人, 瀧田 愼, 葛野 弘樹, 白石 善明 (神戸大学) |
| Page | pp. 642 - 650 |
| Keyword | 脅威ハンティング, 脆弱性対策, オントロジー, MITRE ATT&CK, NVD |
| Abstract | 組織の情報システムは複数の製品で構成されており,攻撃者は各製品の脆弱性を連鎖的に悪用して侵入範囲を拡大する.CVSS スコアによる深刻度評価や KEV カタログによる悪用実績管理は,個々の脆弱性を独立して扱うものであり,製品間の攻撃経路の連鎖構造を考慮した絞り込みには対応していない.本論文では,組織の保有製品(CPE)を起点として,NVD,および MITRE ATT&CK の標準知識ベースを多層オントロジーとして統合し,製品間の脆弱性関連性をグラフとして構築・可視化するとともに,攻撃経路に関与しないノードを自動削除し,対策優先順位付けを支援するシステムを提案している.CVSS スコアのみに基づく深刻度フィルタリング(平均 21.8%削減)と比較して提案手法は全体ノードを平均 35.1%削減でき,かつ深刻度フィルタリングでは本来保持すべき製品間の接続経路が 108 件中 9 件で失われるのに対し,構造的に重要な CVE を保持したまま非関与ノードを除去できることを確認した. |
| Title | (招待講演) 生成AIはどれほどネットワーク運用に役立つのか? ShowNetにおける検証とその先 |
| Author | *中村 遼 (東京大学) |
| Page | p. 651 |
| Abstract | 近年の大規模言語モデル (LLM) の急速な発展により、ソフトウェア開発をはじめ様々な領域で AIの活用が進んでいる。ネットワーク運用においても、Config 生成から Intent-Based Networking など、生成 AI の応用への期待は大きい。しかし LLM は本質的に確率的なものであり、現実の運用現場でどの程度有用であるかは、実環境での評価なしには判断することができない。そこで我々は、Interop Tokyo 2025の ShowNet において、設計資料への RAG、機器 CLI の操作、チケットシステムへのアクセスを備えたLLM チャットボットを構築し、100 名を超えるネットワークエンジニアが ShowNet の構築・運用作業において利用する実験を行った。本講演では、その検証から得られた「生成 AI がネットワーク運用にどれほど役立つのか」についての定量的な知見を共有するとともに、2025 年以降のモデルの目覚ましい進展を踏まえ、生成 AI とネットワーク運用が今後向かう先について議論する。 |
| Title | 取得困難な要因を補完した因果モデルに基づくシナリオ予測手法の高精度化 |
| Author | *武部 浩明, 宮崎 信浩, 小林 久也, 馬場 幸三, 宮本 晶規, 馬場 孝之 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 652 - 659 |
| Keyword | サプライチェーン, シナリオ予測, ベイジアンネットワーク, 取得困難データ, LLM |
| Abstract | 近年のサプライチェーンにおけるシナリオ予測では,外生的要因の影響が需給や物流を通じて段階的に伝播するため,因果関係を明示的に扱うベイジアンネットワーク(BN)が有効である.一方で,因果的に重要でありながら定量データが取得困難な要因をモデルに組み込めないという課題がある.本研究では,対象要因と因果構造上の役割が類似する取得可能データを代用データとして特定し,因果モデルに組み込む手法を提案する.特に,人間が定義した評価基準に基づく推論を大規模言語モデル(LLM)に実行させることで,代用データ選定の客観性および説明可能性を担保する点に特徴がある.コンテナ運賃予測への適用により,従来モデルでは再現困難であった再急騰挙動を再現するとともに,平均二乗誤差および平均絶対誤差の低減を確認し,予測精度の向上を実証した.本手法は,取得困難要因を含む因果モデル構築に対する一般的枠組みを提供する. |
| Title | 基幹システムにおけるチェック処理への生成AI 適用 |
| Author | *和久井 拓, 北脇 淳, 小崎 信明, 林 真一 (株式会社日立製作所) |
| Page | pp. 660 - 667 |
| Keyword | 生成AI, AIエージェント, 基幹システム, システム開発 |
| Abstract | 組織業務に使用される基幹システムの開発では,システムの処理誤りが業務停止や重大事故に直結し得るため,確率的推論に依存する生成AI技術の活用には慎重な検討が必要である.とりわけ,入力値の妥当性確認や業務ルールとの整合確認を行うチェック処理は,単一条件の見落としでも不具合につながるため,高い確実性が求められる.本研究では,チェック処理におけるチェック条件を「前提条件→要求条件」の含意構造の条件式として整理してJSON形式で表現する方式を提案し,条件付き必須,特定値一致,空値判定,正規表現による形式判定などを,同一の枠組みで表現できるようにした.また,条件JSONと対象データを入力として判定処理を行うツールを実装し,これをAIエージェントから呼び出す構成とすることで,LLMが苦手とする複雑なチェック条件の判定処理をツール側に担わせ,条件JSONの生成や更新といった柔軟性が求められる作業に生成AIを活用する. |
| Title | オンライン会議におけるろう・難聴者と聴者の議論参加を支援するLLMを用いたワンクッション介入システム |
| Author | *大久保 俊希 (慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科), 山辺 真幸, Nina Ždanovič, 関 大吉 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科), 田中 沙紀子 (富士通), 武田 秀太郎 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 668 - 675 |
| Keyword | オンライン会議, ろう・難聴者, LLM, コミュニケーション支援 |
| Abstract | オンライン会議では,自動字幕によりろう・難聴者(DHH)の情報アクセスは改善されつつあるが,特に音声を使用せずチャット機能で発言するDHH にとって,字幕遅延や誤変換により理解が滞った際,自ら質問文を作成し,会議へ介入することには物理的・心理的負担が伴う.本研究では,利用者が選択した修復意図と直前の字幕文脈に基づき,LLM が会議相手に向けた修復メッセージ候補を生成し,システム名義で投稿可能な介入インタフェースを提案する.聴者14 名を対象とした疑似DHH 環境での比較実験の結果,提案システム条件では手動チャット入力条件と比べ,会議でメッセージする際の即時性および心理的負担の少なさが有意に高く評価された.一方で,生成候補の読解や選択に伴う新たな認知負荷も確認された. |
| Title | 会議中の沈黙における解釈齟齬を低減する動機共有手法: 解釈一致度に基づく評価と考察 |
| Author | *柳井 晃希, 黒河内 睦人, 吉村 洋佑 (明治大学), 磯 和之 (東京情報デザイン専門職大学), 井原 雅行 (理化学研究所), 小林 稔 (明治大学) |
| Page | pp. 676 - 683 |
| Keyword | 沈黙, 会議, 会話分析, グループウェア |
| Abstract | 会議中の沈黙は多義的であり,外面的な観察のみからその真意を正確に把握することは困難である.本研究では,参加者間の解釈の齟齬を防ぎ相互理解を促すことを目的とし,沈黙している参加者が自身の意図をリアルタイムに入力し,周囲と共有する手法を提案する.本稿では,既報の主観的評価に加え,沈黙した本人の実際の意図と,周囲の参加者が推測した意図が客観的にどの程度一致したかを定量的に評価した.評価実験では,4人1組のグループによる対面での合意形成タスクを実施し,本手法の有無による比較を行った. 実験の結果,外見からは判別しにくい「進行補助の沈黙」に対する周囲の推測精度が提案条件において有意に向上するとともに,他者の内面推測を不得手とする層の精度を底上げする効果が確認された.一方で,社会的望ましさに伴う建前の入力と,システムが提示するラベルへの過信が合わさることで,実際とは異なる意図を強く確信してしまう「確信を伴う誤認」の発生リスクも示された.本稿ではこれらの結果に基づき,情報の可視化がもたらす安心感と,議論プロセスへの満足度低下というトレードオフの背景を考察し,今後のコミュニケーション支援手法に向けた知見を述べる. |
| Title | 暗い空間内での視線遮断がブレインストーミングに与える影響の調査 |
| Author | *勝山 岳大, 吉村 洋佑 (明治大学大学院先端数理科学研究科), 五十嵐 世蓮, 小林 稔 (明治大学総合数理学部) |
| Page | pp. 684 - 690 |
| Keyword | 感情認識, 視線遮断, 発言躊躇 |
| Abstract | 本報告では,暗い空間内での視線遮断がブレインストーミングに与える影響を調査するため,視認可能条件とアイマスクを用いた完全遮断条件を比較する実験を実施した.その結果,完全遮断条件では視線や表情認識が低下し,発言躊躇や沈黙時間が増加する傾向が確認された.一方で,一部の参加者に対してはアイデア創出を促進する可能性も示唆された.しかし,創造性やアイデア数,独自性について有意な差は確認されなかった.以上より,視線遮断はコミュニケーションに負の影響を与える一方で,「見られていない感覚」が創造的思考に肯定的に働く可能性があることが示された. |
| Title | オンラインビデオ会議でなぜ人はビデオ映像を見つめるのか ―非言語情報の不足による会議中の視線の変化― |
| Author | *黒河内 睦人, 柳井 晃希 (明治大学大学院先端数理科学研究科), 磯 和之 (東京情報デザイン専門職大学), 井原 雅行 (理化学研究所生命医科学研究センターデータサイエンスデザイン特別チーム), 小林 稔 (明治大学総合数理学部) |
| Page | pp. 691 - 696 |
| Keyword | ビデオ会議, 視線, 非言語情報 |
| Abstract | これまで,オンラインビデオ会議中の負荷の要因として非言語情報の過剰処理が報告されてきた.それに対して,本研究では非言語情報の不足による負荷の発生に着目した.オンラインビデオ会議において参加者はビデオ映像に視線を向けやすく,本研究ではこの行動について,非言語情報を取得していることに加えビデオ映像を「視線の置き場」といて活用しているとした.関連研究から,画面の情報が少なく「どこを見れば良いかわからない」というように視線を向ける対象を探している状態は負荷を生じさせ,会議の理解やコミュニケーションに悪影響を与える.本研究では,この視線の不安定性が参加者に負荷を生じさせ,ビデオ映像は参加者の視線を安定させる対象になっているという考察のもと,三つの仮説を立てた.その検証を目的として,従来のビデオオン・ビデオオフの状態に加えて新たに「相手の画面ではビデオをオフにし,自分の画面でのみセルフビューを残す」状態を提案し,それら三つのビデオ状態を可能にしたオンラインビデオ会議システムを実装した.本研究では,非言語情報の不足による視線の不安定性が参加者に負荷を与える要因となる可能性や,自分にしか見えていないセルフビューへの視線が会議に対する参加意識に影響を与える可能性について議論を行った. |
| Title | サプライチェーン・リスクマネージメントのための人間が関与する因果抽出 |
| Author | *前田 一穂, 遠藤 進, 栗林 宗一郎, 大塚 浩 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 697 - 704 |
| Keyword | 因果抽出, サプライチェーン, リスクマネージメント, Human-in-the-Loop, LLM |
| Abstract | サプライチェーン・リスクマネジメント(SCRM)では,リスク要因が多段階に波及するため因果グラフによる分析が有用である一方,望ましい因果グラフは分析者の視点や目的により非一意となる.また,因果グラフの具体化には専門知識を要し,意思決定者の視点と専門知識が同一人物に備わらない場合,複数人調整が負担となる.本研究では,専門知識を大規模言語モデル(LLM)で代替しつつ,視点を持つ分析者がHuman-in-the-Loopで因果グラフを逐次修正できる枠組みを提案する.提案手法は,LLMによる初期因果グラフ生成,分析者による修正箇所指定,修正箇所を反映した因果グラフ再生成を反復する.評価では,実務者が作成した正解因果グラフに対する近さを用い,興味情報の付与および反復的修正により生成因果グラフの適合度が向上することを確認した. |
| Title | クラフトビール新商品開発における Agentic AIと職人の協働フレームワークの提案と探索的評価 |
| Author | *新井 裕介, 田中 智規, 浅見 隆太, 志村 典孝, 本橋 洋介 (日本電気株式会社) |
| Page | pp. 705 - 710 |
| Keyword | H人間–AI協働, Agentic AI, 生成AI, 大規模言語モデル(LLM)) |
| Abstract | 商品開発の現場では,情報収集と創造的活動が相互に絡み合って進む一方,人手不足や高度な暗黙知への依存が,効率性と再現性の確保を困難にしている.本研究では,生成AIおよびAgentic AI(LLMに基づく自律エージェント)を活用した,クラフトビールの新商品開発における人間中心の協働フレームワークを提案し,設計・実装・現場導入を通じてその有効性を探索的に検討する.提案フレームワークでは,定型的な調査・分析業務をAIに割り当てることで,ビール職人がレシピ発想や試作といった創造的意思決定に注力できるようにする.作業ログ,従来プロセス(職人見積もり)とのベースライン比較,および半構造化インタビューに基づき,約40%の開発工数の削減効果の示唆に加え,発想支援や視野拡張といった創造性支援効果の可能性が示された.さらに,小規模な消費者調査(n=26)により,開発された商品が概ね意図したコンセプトに適合し,好意的に受け止められる傾向が確認された.本研究は,実務的な商品開発の現場において,人間中心の生成AI活用を設計・実装するための具体的アプローチを提供する. |
| Title | デジタルフットプリントデータによる組織分析手法の実企業データを用いた妥当性評価 |
| Author | *林田 宗樹 (九州大学 大学院システム情報科学府), 荒川 美保, 船越 将一 (株式会社Fusic), 荒川 豊 (九州大学 大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 711 - 722 |
| Keyword | ユーザ行動理解, 組織分析, デジタルフットプリントデータ |
| Abstract | 近年,Slackなどのビジネスチャット上に蓄積されるデジタルフットプリントデータを用いた組織分析が注目されている. 一方で,チャット本文を直接解析することは,プライバシや機密情報の観点から実用上の制約が大きい. 本研究では,先行研究で提案した,Slackメッセージを19クラスの発話アクティビティへ抽象化し,その比率からユーザタイプを推定するLLMベースの組織分析フレームワークの妥当性を,実企業のSlackデータを主たる対象として検証した. 本研究の貢献は3点である. 第一に,企業内において,第三者評価によるチーム志向/個人志向の二値ラベルを,19クラスアクティビティ比率を入力とするL2正則化ロジスティック回帰により,Leave-One-Out交差検証一致率0.882,AUC 0.861で予測できることを示した. 第二に,主成分分析および指向軸との直交残差分析により,「礼節・感謝型 vs 課題提起・情報交換型」というデータ駆動の軸を抽出し,指向軸と組み合わせた4象限分類が業務的に解釈可能なユーザタイプを与えることを示した. 第三に,研究室Slackデータを用いた組織間再現性検証により,データ駆動の礼節↔課題軸が組織を超えて部分的に再現する一方,指向軸の予測モデルは組織ごとのキャリブレーションが必要であることを明らかにした. これらの結果は,本手法を3軸を一様に推定する枠組みとしてではなく,組織内で指向軸を高精度に推定しつつ,組織横断的な構造軸との併置で運用する分析手法として位置づけることが妥当であることを示している. |
| Title | SNS反応ログの異種グラフ表現に基づくユーザの反応先投稿予測 |
| Author | *苅山 湊 (東京大学/株式会社HumanityBrain) |
| Page | pp. 723 - 731 |
| Keyword | SNS分析, グラフニューラルネットワーク, 推薦システム, 情報拡散, 反応予測 |
| Abstract | SNS上の返信・引用などの反応行動や投稿本文中のメンション関係は,情報拡散や議論形成の過程を理解する上で重要な手がかりである.しかし,ユーザが将来どの投稿に反応するかは,投稿内容だけでなく,投稿者との過去の関係,反応履歴,活動時間帯,社会的注目度など複数の文脈に依存する.本研究では,観測可能なSNS反応ログを用いて,ユーザの反応先投稿予測を候補集合内ランキング問題として定式化する.具体的には,ユーザと投稿をノード,投稿作成・投稿親子関係・反応・メンションをエッジとする異種グラフを構築し,異種グラフニューラルネットワークによりユーザ・投稿・投稿者の表現を学習する.さらに,ユーザ表現,候補投稿表現,投稿者表現およびペア特徴量を統合して候補投稿をスコアリングする.本手法は,新規投稿や反応履歴の少ないユーザに対しても,グラフ上の周辺構造を利用できる点に特徴がある.実データを用いた時系列分割評価の結果,提案モデルは同一トピック候補集合でMRR 0.570,Hit@10 0.899を示した.また,人気投稿が競合するコールドスタート条件では,新規ユーザに対してMRR 0.572を示し,User--Post MatchingのMRR 0.087を大きく上回った.これらの結果は,候補集合の難易度設計,人気度に基づく単純な順位付けの限界,ユーザ・投稿者間の文脈,および異種グラフ表現の重要性を示している. |
| Title | 符号化映像品質に基づく解像度選択処理の適応的制御に関する研究 |
| Author | *中嶋 淳一 (NTT人間情報研究所), 黒住 隆行 (NTTイノベーティブデバイス), 佐野 卓 (NTT人間情報研究所) |
| Page | pp. 732 - 738 |
| Keyword | 適応的解像度制御, 超解像, PSNR, ランダムフォレスト, 車載映像 |
| Abstract | 移動体通信で車載カメラ映像を伝送する際に,適応的な解像度制御を行い映像品質を向上させる.低ビットレート下で,低解像度映像を受信側で超解像処理を行なった場合と,高解像度のまま符号化・伝送した場合で,より良い画質を選択する手法を提案する.本研究では,エンコーダ側で取得できる符号化画質であるフレームPSNRの統計量と時系列変化,および解像度を特徴量として入力し,次GOPの最適解像度を予測する.さらに,確率校正,theta最適化により予測精度を改善した.実験により予測モデルの実用性を示した. |
| Title | 異種マルウェア混入によるIoTマルウェア画像分類への標的型攻撃の検討 |
| Author | *川田 隼大 (公立はこだて未来大学大学院), 稲村 浩, 石田 繁巳 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 739 - 746 |
| Keyword | IoTマルウェア, マルウェア画像分類, 標的型攻撃 |
| Abstract | IoTマルウェアの急増に伴い,IoTマルウェア画像分類手法を解析対象となるIoTマルウェアのトリアージに使用し,効率的に解析することは攻撃の動向把握において有効なアプローチである.しかしながら,攻撃者が分類結果を恣意的に操作可能になった場合,誤ったトリアージの判断による攻撃の動向把握に遅れが生じる可能性がある.そこで本研究では,IoTマルウェア画像分類に対する標的型攻撃の実現可能性の検証を目的とし,異種マルウェア混入手法を提案した.従来手法と提案手法のASRを比較した結果,提案手法によってASRの向上が見られ,提案手法による標的型攻撃の有効性を示した.さらに,提案手法の成功可否と検体サイズ比率の関係を分析した結果,提案手法の安定した成功には,検体サイズ比率が0.75を超える大量の混入が必要であることを示した. |
| Title | 組織間の協調による学習分析のための動的協調手法の設計 |
| Author | *横尾 晟希 (東北大学大学院情報科学研究科), �盒� 晶子 (仙台高等専門学校), 菅沼 拓夫 (東北大学サイバーサイエンスセンター/東北大学大学院情報科学研究科) |
| Page | pp. 747 - 754 |
| Keyword | マルチエージェント, 学習分析, 連合学習 |
| Abstract | 教育機関においてオンライン教育が普及し,学習のログデータ(学習データ)が自動的に蓄積されつつある.これに伴い,得られた学習データを分析し教育・学習の改善につなげる学習分析(LA)が注目されている.しかし,初等中等教育におけるLAは,大学等の支援を受けた点在的なものに留まっており,現状の教育機関の環境では目的や量が異なる多様なデータを統合・分析する基盤を構築することは困難である.本研究では,組織の規模によらずにLAを利活用した教育・学習改善の実現を目指し,マルチエージェントを用いて組織間が協調する学習分析手法を提案する.本発表では,組織が協調して処理基盤を構築する手法の設計について述べる. |
| Title | LAのための学習データ流通における欠損値補完を考慮した自動交渉手法の設計 |
| Author | *鹿内 春陽, �盒� 晶子 (仙台高等専門学校) |
| Page | pp. 755 - 762 |
| Keyword | マルチエージェント, 学習分析, 自動交渉 |
| Abstract | 学習分析(Learning Analytics:LA)では,学習者の学びの過程で得られるデータを収集・分析し,その結果を学習者や組織に還元することで,成績不振の学生の早期特定などの支援を実現できる.しかし,学習データの提供では,プライバシ保護に関する観点から分析に必要なすべてのデータ項目について合意を得ることは困難であり,複雑な調整が発生する.そこで,学習者・分析者を代理するエージェントを用いた自動交渉手法が注目されているが,この手法を用いた場合でも欠損の発生は避けられない.また,補完が困難なデータ項目が欠損すると,統計的な補完手法を適用しても分析精度が大きく低下する恐れがある.そこで本稿では,欠損値補完を前提とし,補完が困難なデータ項目を優先的に取得する,欠損値補完に基づく学習データ流通手法を提案する.提案手法では,各データ項目に対して補完難易度スコアを定義し,それに基づいて第三者エージェントが交渉に介入する.先行研究の手法との比較実験の結果,提案手法はデータ提供量の増加と欠損率の低下を通して,補完精度および分析精度を改善できることを確認した. |
| Title | SAMee: 映画体験拡張スマートアクセサリー |
| Author | 竹下 怜花, *萩原 歓太, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 763 - 769 |
| Keyword | 機械学習, スマートウォッチ, 脈拍変動 |
| Abstract | 動画鑑賞環境の普及に伴い,4DXのような多様な鑑賞体験が登場しているが,これらは全鑑賞者に対して一律の刺激を提供するものであり,個人の感情変化には依存しないという課題がある.本研究では,個人の生理的な状態に即した振動刺激をリアルタイムに提示することで映画体験を拡張するシステム「SAMee」を提案する.本システムは,視聴者の負担を軽減すべくスマートウォッチのみで脈拍変動を取得する.取得した脈拍間隔から算出した自律神経指標LF/HFを用い,ランダムフォレストによって気持ちの昂りをリアルタイムで分類する.判定結果はFirebaseを介してマイコンへ送信され,昂り検知時にバンド型デバイスの振動モータを駆動させ,鑑賞者へフィードバックを行う.成人男女21名を対象としたホラー映画による評価実験の結果,ランダムなタイミングでの振動刺激と比較して,SAMee使用時は気持ちの昂りの持続時間で有意な増加が認められた.また,SD法による因子分析からも「知的な」「愉快な」といった好ましい印象が抽出され,生体情報に連動する振動フィードバックが,映画鑑賞時の感情を効果的に増幅・持続させることが実証された. |
| Title | カメラ及びIMUセンサ搭載ヒアラブルデバイスを用いた装着者の三次元姿勢推定 |
| Author | *暮坪 秀哉, 雨坂 宇宙 (大阪大学), Fengzhou Liang, Tian Min, 杉浦 裕太 (慶應義塾大学), 岩井 大輔 (大阪大学) |
| Page | pp. 770 - 778 |
| Keyword | ヒアラブルデバイス, 姿勢推定, マルチモーダルセンシング, コンピュータグラフィクス環境, 深層学習 |
| Abstract | 近年,ヒアラブルデバイスは社会受容性の高さと装着負荷の低さから,日常的な三次元人体姿勢推定のプラットフォームとして期待されている.既存研究では内蔵IMUのみを用いた推定が行われているが,頭部からの観測に限定されるため,他部位の姿勢推定に課題が残る.そこで本研究では,ヒアラブルデバイス単体での高精度な全身三次元姿勢推定の実現を目指し,IMUの慣性情報と搭載カメラの視覚情報を統合するマルチモーダル姿勢推定手法を提案する.本手法は深層学習を用いた推定を行うが,耳の視点から撮影された画像を含む姿勢推定の学習用データセットは存在しないため,Unreal Engineを用いて耳元からのカメラ視点と慣性情報を模擬した合成データセットを構築した.作成した合成データセットを用いた実験の結果,平均関節位置誤差はIMUのみ(181.2 mm),カメラのみ(139.5 mm)に対し,提案手法では98.3 mmとなり,視覚・慣性情報の統合による精度の向上が確認された.今後は実機デバイスでの検証や,髪の毛等による遮蔽への頑健性向上に取り組む. |
| Title | 加速度センサを用いた歩容の膝関節への負荷評価における装着位置の影響 |
| Author | *羽持 涼花, Zeyu Liu, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 779 - 786 |
| Keyword | 歩行解析, 加速度, AIST歩行データベース, 機械学習 |
| Abstract | 日本では高齢化の進展に伴い,健康寿命の延伸に向けて日常的な歩行が推奨されている.本研究は,日常生活における歩容の客観評価を通じた将来の健康的な歩行への意識向上を目的とする.そのため,膝屈曲角度(KFA)および垂直地面反力(vGRF)からなる複数のラベル設定に基づく歩行の識別性能と,加速度センサの装着部位による識別性能について網羅的に検証した.AIST歩行データベース2019のデータより,5か所の部位(腰部,耳部,大腿部,膝,足部)について,時系列領域および周波数領域からなる Conventional features と,複数の領域からなる Multidomain-features を抽出した.これらを用いて複数の機械学習モデルから歩行状態を識別し,部位や条件における判別性能を比較した.解析の結果,Multi-domain features がより高精度な歩行識別性能を示し,特にvGRF条件において全部位で ROC-AUC 0.9 付近の極めて高い推定精度を達成した.また,身体属性を特徴量に加えなくとも,加速度波形そのものに歩行の質的特性が十分に内包されていることや特徴量を最小限まで削減しても精度が大きく損なわれないことを明らかにした.部位別比較では,重心に近い腰部や大腿部が高精度を示したものの,日常生活への取り入れやすさから耳部が継続的なモニタリングを想定した場合の実用的な候補の一つと考えられる.KFA条件においては,加速度のみの推定に限界がみられたため,今後は角速度も特徴量として利用し関節の回転を考慮することで,より多角的な負荷推定を目指す必要がある. |
| Title | 圧力センサグローブを用いた動作中把持データに基づくモノの把持方法評価システム |
| Author | *松下 航大, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 787 - 796 |
| Keyword | ウェアラブルシステム, グローブ型デバイス, 把持方法選択支援 |
| Abstract | 人はモノを把持する際,感覚で把持方法を選択することが多い.しかし,感覚に頼って選択された把持方法は必ずしも最適な方法であるとは限らない.さらに,把持は動作と同時に行われることが多く,動作に適した把持方法が変化する可能性がある.そのため,動作を伴う状況において把持方法を客観的に評価し,ユーザに提示する手法が求められる.従来の把持方法の評価手法には,力学モデルに基づく解析的手法や,センサデータに基づくデータ駆動型手法が存在する.しかし,力学モデルに基づく手法は複雑な形状のモノへの適用が難しい.また,データ駆動型の手法おいても,把持姿勢を維持した静的な状況での評価が中心であり,動作を伴う状況下での評価は十分に行われていない.そこで本研究では,動作を伴う状況下で取得した把持データを用いて,把持方法の評価と順位付けを行い,その結果をユーザにフィードバックするシステムを提案する.提案システムを用いた実験の結果,人は安定性や効率性が最も高い把持方法を感覚のみで選択することが難しいこと,およびシステムによる評価結果の提示によって把持方法を変更する行動がみられることを確認した.これらの結果から,提案システムが動作に適した把持方法の選択を支援するうえで有用であると示唆された. |
| Title | 写真付き英語リスニング問題における視線解析を用いた音声理解度の推定手法 |
| Author | *竹中 陸, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 797 - 805 |
| Keyword | アイトラッキング, 音声理解度推定, 教育支援, 機械学習 |
| Abstract | 英語学習において,リスニング能力は学習者の英語力を測る重要な指標の一つであり,その評価にはリスニングテストが広く用いられている.しかし,既存のテスト形式では,学習者が音声をどのように理解したかという過程を客観的に把握することが難しく,誤答時にどの箇所でつまずいたのかを特定しにくいという課題がある.特に写真付き形式の問題では,音声理解と写真から得られる視覚情報の処理を同時に行う必要があり,学習者が音声を十分に理解できていない箇所やその要因を把握することは困難である.そこで本研究では,アイトラッキングを用いて取得した視線データから音声理解度を推定し,学習者に適切な復習方針を提示する手法を提案する.本論文ではその初期段階として,リスニング問題解答中の視線特徴量を用いて,音声中の重要語句単位で「理解」「知識不足(語句を知らない状態)」「聴解不全(語句は知っているが音声として聞き取れない状態)」の3つの理解状態を推定する機械学習モデルを構築した.また,被験者内評価と被験者間評価の2種類の評価を行い,推定精度を検証した.その結果,3値分類の正解率は被験者内評価で0.52,被験者間評価で0.55となり,特に聴解不全ラベルの分類に課題が見られた.一方で,「理解」とそれ以外を判別する2値分類では,被験者内評価で0.64,被験者間評価で0.67の正解率を示した.さらに,再現率は被験者内評価で不理解・理解ともに0.64,被験者間評価では不理解0.63,理解0.71となった.これにより,視線データを用いて学習者の重要語句単位のつまずきを検出し,復習対象を絞り込むための基盤技術として有用である可能性が示された. |
| Title | 保持状態に依存しない階層移動認識 |
| Author | *山本 将史, 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部 環境情報研究室) |
| Page | pp. 806 - 812 |
| Keyword | 移動認識 |
| Abstract | 近年,スマートフォンを用いた屋内位置推定や行動認識の需要が高まっているが,既存の位置情報基盤の多くは二次元位置情報を前提としており,階層構造を有する屋内環境においては十分な情報を提供できていない.これに対し気圧センサは,低消費電力で動作し,高度情報の取得や階層移動の検知に有効な手法として注目されている.一方で,気圧センサは,端末の保持状態や移動に伴う気圧変動ノイズにより,認識精度が低下するという課題がある.本研究では,気圧センサのみを用いた高精度な移動認識手法を提案する.提案手法では,気圧データの時系列から,保持状態の違いによる影響を考慮した統計的特徴量を抽出し,Random Forest を用いて「静止」「水平歩行」「階段上り」「階段下り」の4 状態を分類する.さらに,移動平均によるスムージング処理を導入することで,移動時および保持状態に起因するノイズを低減し,真値との誤差を0.1 hPa以内に抑制した.評価実験の結果,提案手法は既存の気圧センサ単独手法と比較して,Macro AverageのF値において0.14 の精度向上を達成した.また,加速度センサを併用する先行研究と比較しても,移動を伴うクラスにおいて同等以上の精度を確認した.以上より,本手法は多様な保持状態が混在する実環境においても省電力性を維持しつつ頑健な階層移動認識を実現した |
| Title | スマートホームにおける Zero-Shot 行動認識に向けた環境情報表現と推論手法の比較評価 |
| Author | *新明 勇翔, 菊池 尊勝, 庭本 眞太郎, Minhyoung An, Yuexiao Liu, 竹田 圭太, 松井 智一, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
| Page | pp. 813 - 830 |
| Keyword | スマートホーム, 行動認識, ゼロショット学習, 大規模言語モデル, マルチモーダルAI |
| Abstract | スマートホーム行動認識では,家庭ごとにセンサ配置,間取り,行動ラベル体系が異なるため,学習済みモデルの家庭間転用は性能低下を招きやすい. この課題に対し,基盤モデルは家庭固有のラベル付きデータを用いずに,センサ系列・住環境情報・行動ラベルの意味を推論時に統合する Zero-shot 行動認識の可能性を持つ.本研究では,追加学習なしで,環境情報表現と推論手法の組合せが性能に与える影響を複数家庭で比較した.MLLM による生成型推論は Embedding に基づく類似度推論を平均 Macro-F1 で +0.12 上回り,レイアウト画像を与えた条件で高い性能を示した.一方,誤分類は同じ場所で起きる細かな行動や,センサ系列だけでは一意に定まりにくいラベルに集中した.本結果は,Zero-shot 認識を初期導入時の出発点とし,家庭内データに基づくラベル境界や行動表現の学習へ拡張する必要性を示す. |
| Title | 潜在的興味の顕在化のための図書館散策時に浴びた単語抽出の試み |
| Author | *長谷 侑亮, 角 康之 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 831 - 843 |
| Keyword | 語抽出, 一人称映像, 書誌情報, 言語空間 |
| Abstract | 人は日常的に多様な言葉に接触しながら,興味や関心を形成している.本研究では,図書館散策中に利用者が視覚的に接触した語を,一人称映像から抽出する手法を検討する.一人称映像にOCR処理を適用することで,書籍の背表紙などに含まれる文字列を抽出できるが,歩行中の映像にはブレや傾き,遮蔽が含まれるため,OCR結果には誤認識や断片的な文字列が多く含まれる.そこで本研究では,図書館内で視界に入る文字列の多くが書籍タイトルに由来するという環境的制約に着目し,OCR文字列を書誌情報データベースと照合することで,書籍タイトル候補を取得し,語抽出を補完する手法を検討した.大学生3名による約10分間の図書館散策データを対象に評価した結果,重み上位150件のOCR由来クエリのうち,71件で検索結果上位5件以内に妥当な書籍候補が含まれていた.また,視線点近傍のOCR文字列に限定することで,検索クエリ数は減少し,検索ヒット率は向上した.一方で,ヒット率の向上が必ずしも妥当な書籍候補の取得率向上を意味するわけではなく,視線近傍OCRで得られる文字列の質には課題が残ることも確認された.以上より,OCR文字列と書誌情報データベースの照合は,図書館散策中に接触した書籍由来語を抽出するための手がかりとして利用できる可能性が示された. |
| Title | バレーボールフェイント動作のスパイク動作予測に基づく評価方式 |
| Author | *森 咲斗, 義久 智樹 (滋賀大学) |
| Page | pp. 844 - 849 |
| Keyword | 映像分析, 姿勢推定, 行動認識 |
| Abstract | バレーボールにおいて,スパイク動作(ジャンプして強くボールを叩く動作)と誤認させるフェイント動作は,得点するうえで重要な動作である.スパイク動作と誤認しやすい上質なフェイント動作であるほど得点につながりやすい.これまでのフェイント動作評価方式のほとんどは,あらかじめ取得された上質なフェイント動作の関節点と評価対象の関節点の動作の類似度を算出していた.しかし,フェイント動作により誤認させるスパイク動作はフェイント動作に依存するため,上質なフェイント動作をあらかじめ取得できない問題があった.そこで,本研究では,フェイント動作の始めの部分から,誤認させるその後のスパイク動作を予測し,フェイント動作の残りの部分が予測したスパイク動作と類似しているほど上質と評価する方式を提案する.本研究では,動作を撮影した映像からMediaPipe Poseを用いて腕の関節点を抽出し,関節点から得られる特徴量のフレーム間差分をLSTM (Long Short-Term Memory) により予測した.評価の結果,上質なフェイント動作ではDTW距離が小さく,そうでない動作では大きくなる傾向が確認され,提案方式によりフェイント動作の質をより正確に評価できることを確認した. |
| Title | ルーブリックに基づくタスク指向合成対話の機能的品質評価フレームワーク |
| Author | *粟井 修司, 吉岡 隆宏 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 850 - 857 |
| Keyword | 品質評価, ルーブリック, 対話, LLM, 多様性 |
| Abstract | 大規模言語モデルを用いた合成対話データは学習データ拡張に有効である一方,実データが持つ重要な質的パターンを十分に再現しているとは限らない.従来のPerplexityやBLEUなどの表層指標,および埋め込み空間に基づく多様性は,下流タスクに有効な機能的品質を十分にはとらえられない可能性がある.そこで本研究では,ルーブリックに基づく機能的品質評価を基盤とし,実データとの整合性を表す品質に基づく候補選別と,多様性を考慮した学習データ集合の選定を統合した枠組みを提案する.具体的には,機能的品質指標に基づいて高品質な候補対話を選別し,その後,埋め込み空間またはルーブリック空間における多様性を考慮して最終的な学習データ集合を選定する.顧客満足度分類タスクによる評価の結果,合成対話データの選定では,機能的品質に基づく候補選別に加えて,多様性を考慮した選定が有効であることを確認した.また,有効な多様性の定義空間は評価条件や分類器により異なり,合成データのみを対象とした条件ではルーブリック空間に基づく選定が有効であり,実データと合成データを統合した候補集合を対象とした条件では,実データ候補が少ない場合に統合選定が有効であった.今後の課題として,候補の選別と選定の役割分担を適応的に調整する方法の検討があげられる. |
| Title | VR教室における学習者の納得度推定のための非言語行動分析システムの設計と予備的検討 |
| Author | *藤井 優羽, 中村 亮太 (武蔵野大学データサイエンス学部) |
| Page | pp. 858 - 865 |
| Keyword | マルチモーダル, 教育支援 |
| Abstract | 本研究は,VR教室を含むオンライン1対1チュータリング場面における学習者の納得度を ,非言語行動・音声プロソディ・発話内容から自動推定するための枠組みを提示する. 納得感を多面的な内面状態として捉える先行研究の知見に倣い,言語・対話・音声・表 情・頭部動作・視線・姿勢に関わる21指標を体系的に抽出した上で,納得度を「理解・ 同意・受容・コミット」の4観点に整理し,観測指標と4観点の関連度マトリクスを構築 した.これらを時系列に取得する自動計測システムを,視覚・音声・言語特徴抽出の3 系統からなるパイプラインとして実装し,共通時刻軸上で統合JSONとして保存する形式 を設計した.本実装に先立ち,講師・学習者・観察者の3者によるWebベース観察ルーム を構築し,MediaPipeベース簡易抽出器による予備観測を実施した結果,表情カテゴリ 分布や頷き率がセッション間で大きく変動し,提案指標がセッション差異を捉え得るこ とが示唆された.さらに,観点別納得度をシグモイド関数による線形重み付き和で表現 し,その重み付き和として統合納得度を求める二段階の定式化を提案するとともに,重 み学習および妥当性検証の実験計画を示した. |
| Title | バスケットボール1on1 における体格姿勢の最適域推定 ―反実仮想シミュレーションを用いた因果的アプローチ― |
| Author | *五十嵐 彩花, 中村 亮太 (武蔵野大学) |
| Page | pp. 866 - 873 |
| Keyword | 反実仮想, 因果推論, バスケットボール |
| Abstract | バスケットボール1on1 において,ディフェンスの「抜かれにくい体幹姿勢の最適域」を推定することを目的とする.最適域の推定には構えと結果の因果関係を捉える必要があるが,33 試技という小標本で はデータから直接学習することが難しく,さらに単眼カメラ撮影では選手同士のオクルージョンにより構えと結果を媒介する物理過程を観測できない.そこで本研究は,観測できない中間過程を倒立振子と摩擦則に基づく物理モデルで補い,同じオフェンスに対してディフェンスの構えだけを差し替えた仮想試技を数万件規模で生成することで,構えと結果の因果関係を検証する反実仮想アプローチを提案する.得られた最適域は,スタンス幅と重心高さの比から定まる無次元安定指数σ が閾値を超えるという1 つの不等式で記述できた.物理仮定を1 つずつ外して効きを調べる分析により,σ ≥ 0.30 で床から水平方向の最大力に到達する性質が姿勢効果を生む主要因であることを示し,先行研究で報告された安定側群の成功率分布とも一致することを確認した. |
| Title | 車両DTNによる避難支援 —運転者の渋滞脱出行動に対する情報共有と認知バイアスの影響— |
| Author | *樫 勇岳 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院) |
| Page | pp. 874 - 885 |
| Keyword | DTN, V2V, 認知バイアス |
| Abstract | 災害時には多くの避難者が車両を利用するため,避難経路上で渋滞が発生し,避難の遅延や被害の拡大を招く恐れがある.渋滞の緩和には,津波接近,避難経路の混雑,避難地の満杯といった避難支援情報を運転者に共有することが有効な手段となり得る.しかしながら,車両DTNにより避難支援情報が運転者に到達したとしても,その情報が直ちに適切な行動変更につながるとは限らない.運転者は,取得した情報の種類,周辺交通状況,および認知バイアスの影響を受けながら,避難経路の変更,逆走行為および車両乗り捨てを決意し得る. これらの行動は,避難時間の短縮に寄与する可能性がある一方,交通流を悪化させる可能性もある.既存研究では,情報取得後の運転者が認知バイアスの影響下で複数の行動を選択する過程は十分に扱われていない.そこで本論文では,車両DTNにより津波接近情報,避難経路の混雑情報,避難地の満杯情報を共有する状況を想定し,認知バイアスと情報の種類を考慮した運転者の行動決意モデルを構築した. さらに,このモデルを用いた避難シミュレーションにより,情報共有が運転者の行動決意,交通状況,および避難支援システムの有効性に与える影響を評価した.シミュレーションの結果,車両DTNを介して避難支援情報を共有した場合でも,運転者が周囲の行動に同調しやすい条件では,避難完了時刻が遅延することが明らかになった. |
| Title | 車両DTNに基づく歩行者の相乗り避難支援のための分散乗車機会決定戦略の検討 |
| Author | *和久田 純平, 樫 勇岳 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院) |
| Page | pp. 886 - 893 |
| Keyword | DTN, 避難, 相乗り |
| Abstract | 津波からの避難では徒歩避難が原則とされているが,迅速な避難が求められる状況では自動車による避難が行われることが多い.%家財などの理由 しかしながら,多くの避難者が車両を利用すると,避難経路上に渋滞が発生し,避難時間が増大する危険性がある. この課題に対し,運転者が避難中に発見した徒歩避難者を自車に乗車させる相乗りは,避難の円滑化へ寄与することが期待される. その一方,歩行者を乗車させるための停車は後続車両の減速・停止を招く. 特に車列の先頭付近の車両の停車に伴う減速は後方に連鎖し,新たな渋滞を招く. 本論文では,この課題を解決するための相乗りの実施戦略として,中継抑制型戦略とDTN中継型戦略の2つを提案する.これらの戦略では,車両間通信によって車両の位置情報や空席情報を共有するとともに,乗り捨て等により発生する路上の放置車両を情報の蓄積・中継ノードとして利用する. %放置車両が蓄積した情報を周辺車両へ伝達することで, ただし,各戦略において放置車両が蓄積・中継する情報の種類は異なり,それぞれの戦略に応じた情報を周辺車両へ伝達することで,各車両は相乗りの実施可否をより適切に判断できる. これにより,車列先頭付近での停車を回避しつつ,後方車両による相乗りを促進し,徒歩避難者の迅速な避難を図る.シミュレーションにより1本道および合流点を持つ道路において,車両間通信を用いた戦略である中継抑制型と車両DTNを用いた戦略であるDTN中継型戦略の避難完了時刻を評価した. その結果,両戦略ともに歩行者の避難完了時刻を短縮しつつ,車両の避難完了時刻の悪化を抑制する効果が確認された. しかし,中継抑制型は合流点を持つ道路において車両の避難完了時刻が悪化するなど,その効果は道路構成に依存し限定的であった. 一方,DTN中継型は道路構成に関わらず,歩行者・車両ともに避難完了時刻を安定して短縮できることが確認された. |
| Title | 集合知型スマートフォン地震観測に向けたアプリケーションとサーバの実装 |
| Author | *飯高 智広, 屋代 智之 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 894 - 903 |
| Keyword | 集合知, スマートフォン, 地震観測, 加速度, システム実装 |
| Abstract | 近年,スマートフォンの加速度センサを用いた地震観測が注目されているが,既存システムの多くは充電中または静止状態の端末を対象としており,日常的に携行されている端末のデータは歩行や姿勢変化に起因する環境ノイズが強く影響することから,十分に活用されていない.筆者らはこれまで,日常的に携行される複数のスマートフォンからクラウドセンシングにより加速度データを収集し,これらを統合することで,端末ごとに異なる環境ノイズを低減しながら震度推定に利用する手法を検討してきた.本稿では,この集合知型スマートフォン地震観測を実現するため,Androidアプリケーションおよびサーバ基盤を実装した.本システムでは,端末トリガ型ではなく,サーバが回収対象の時間窓を指定し,端末が該当時間帯の観測データをバンドルとして送信するサーバトリガ型のデータ回収方式を採用した.Androidアプリケーションは加速度データを継続取得してリングバッファに保持し,サーバからの指示に応じて前処理後データを含むバンドルを生成・送信する.実機3台を用いた検証により,端末登録,データ回収要求の配信,観測データの送受信,メタデータのデータベース登録,および統合データセット生成を含む一連の処理が実行可能であることを確認した. |
| Title | 警察講話と体験型教材を組み合わせた情報モラル教育の実践と評価 ― ARCSモデルによる中学生の学習動機分析 ― |
| Author | *和山 正人, 藤本 恵莉華 (一関工業高等専門学校 未来創造工学科 情報・ソフトウェア系), 島 成佳 (長崎県立大学 情報システム学部 情報セキュリティ学科) |
| Page | pp. 904 - 911 |
| Keyword | 情報モラル教育, サイバーセキュリティ教育, 体験型教材, 学習動機 |
| Abstract | 本研究では,岩手県警察本部サイバー犯罪対策課と連携したサイバー防犯ボランティア活動として,警察講話と体験型教材を組み合わせた情報モラル講話を設計・実践した.本講話では,中学生にサイバー犯罪を自分自身にも起こり得る問題として認識させることを目的として,辞書攻撃およびフィッシングを題材とした体験型教材を導入した.また,講話の教育効果を把握するため,ARCSモデルに基づく事後アンケート分析を行った.分析の結果,特にRelevance(関連性)およびSatisfaction(満足感)において学年間で有意差が認められ,体験型教材を取り入れた講話設計が学習動機の向上に寄与する可能性が示された.さらに,本研究では,警察と連携した情報モラル講話における教育効果の可視化手法についても検討した. |
| Title | サイバーセキュリティ学習の基礎としての情報教育内容の整理とコアカリキュラムの構築 |
| Author | *小村 良太郎 (石川工業高等専門学校), 廣瀬 幸 (九州工業大学), 歸山 智治 (木更津工業高等専門学校), 長谷川 長一 (株式会社ラック), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学) |
| Page | pp. 912 - 915 |
| Keyword | サイバーセキュリティ, 教育, カリキュラム |
| Abstract | 近年,サイバーセキュリティの重要性が社会のあらゆる分野で高まる中,これを担う人材の育成は高等教育機関における重要な課題となっている.サイバーセキュリティ分野では高度な専門知識・技能が求められるが,その修得にはコンピュータサイエンスや情報通信を中心とした基盤的な情報系スキルが不可欠である.一方で,大学・高等専門学校間で基盤的情報系教育の内容や到達水準に差異が存在し,教育成果の把握や保証が困難であるという課題がある. 本研究では,実務で求められるサイバーセキュリティ人材像を踏まえ,NICE Framework,NCO サイバーセキュリティ人材フレームワーク,SecBoK2025 等の既存フレームワークと,高等教育機関で実施されている情報系教育内容との対応関係を整理した. その上で,サイバーセキュリティ学習の前提として学生が修得すべき基盤的情報系スキルセットを整理・定義し,サイバーセキュリティ教育を実践する際の教育内容確認のための枠組みを提案する. さらに,提案したスキルセットに基づくプレテストの実施状況を踏まえ,高等教育機関における教育成果の可視化と, 認証制度への展開可能性について検討する.本研究の成果は,高等教育と産業界を接続し,今後のサイバーセキュリティ人材育成の質保証に寄与することが期待される. |
| Title | 習熟過程を考慮したセキュリティ人材育成モデルにおけるセキュリティ指導者支援 |
| Author | *千葉 寛之 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科/日立製作所), 加藤 朗, 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 916 - 922 |
| Keyword | セキュリティ人材育成, 人材育成, サイバー人材 |
| Abstract | セキュリティ人材育成について,演習やハンズオン形式による体験型もしくは実践型の様々な教育が行われている.応用力のあるセキュリティ人材を育成する上においては,参照する知識体系が項目リストであり深い理解が困難であること,多岐に渡るセキュリティ関連業務で有効なスキルの習得があいまいであるという課題がある.そこで,知識獲得型と能動的学修型を組合せ,様々な専門分野における習熟プロセスをセキュリティ人材育成モデル(心技体/守破離モデル)として定義し,上述の課題を解決する,本質理解と実問題理解の2点について,セキュリティ人材育成の推進者であるセキュリティ指導者の支援について検討した.育成するセキュリティ人材が深い理解を習得することにより質が向上し,さらに指導者の育成によりセキュリティ人材育成の量を拡大することを可能とする. |
| Title | ひとり情シス向け脆弱性対応支援システム |
| Author | *村上 拓斗, 砂原 秀樹, 加藤 朗 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 923 - 931 |
| Keyword | 脆弱性対応, ひとり情シス, 脆弱性情報収集, 対応判断支援, IT資産管理台帳 |
| Abstract | 中小組織では,情報システム担当者が一人または少人数で他業務と兼任しながらIT運用を担う場合がある.このようなひとり情シス体制では,公開された脆弱性情報が自組織のIT資産に該当するかを判断する作業が負担となる.該当判断には,製品名・バージョンの照合だけでなく,有効モジュールや設定値など,資産台帳に含まれにくい実資産情報との照合が必要となる場合がある.しかし,アドバイザリの該当条件は自然言語で記述される場合があり,資産台帳とそのまま照合できる形では提供されていない.本研究では,この分断を整理するため,アドバイザリ条件を構造化したアドバイザリ条件データ,実資産情報を読み取り専用で取得する共通確認パッケージ,および補完済み資産情報との照合からなる支援手法を提案する.Apache HTTP Server 2.4を事例として14件の脆弱性を調査し,68個の該当条件を整理した.評価では,現状方式で53件あった担当者確認項目数が,提案方式では10件に整理された.本手法は最終的な判断を自動確定するものではないが,担当者が追加確認すべき項目を絞り込み,確認負担を軽減できる可能性を確認した. |
| 2026年6月25日(木) |
| Title | (パネルディスカッション) AI 時代におけるセキュリティ研究の現在地と展望 |
| Author | 島岡 政基 (セコム), 櫻井 幸一 (九州大学), 菊池 浩明 (明治大学), 岡部 寿男 (京都大学) |
| Page | p. 932 |
| Abstract | AI の急速な進化により,セキュリティ・プライバシー・トラスト等を巡る研究環境は激変しました. この変革期において,セキュリティ分野の研究はどのような方向へ舵を取っていくべきか. 本セッションでは,長年にわたり本領域を牽引してこられたエキスパートをお招きし,それぞれの研究の現在地と, これから取り組むべき研究の方向性について議論を深めたいと思います. |
| Title | クロスサイロ連合学習における動的なフリーライダー攻撃とその検知手法について |
| Author | *中村 元紀 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 933 - 947 |
| Keyword | 分散学習, 連合学習, クロスサイロ連合学習, フリーライダー, 異常検知 |
| Abstract | 近年,複数のクライアントが教師データを開示せずに,モデルのパラメータを集約してグローバルモデルを共同で構築する連合学習が注目されている.一方で,特にクロスサイロ連合学習では他社との競合関係や学習の長期化などにより,学習をせずに偽のパラメータを提出してグローバルモデルを不正に受信するフリーライダーが懸念されている.このようなフリーライダーを検知する手法として,パラメータの重み進化頻度(WEF)行列を用いる手法が提案されているが,学習の序盤では正直に参加しつつ途中でフリーライダーとなる「動的フリーライダー」の検知が困難である.この傾向は特に,クライアントが既に受信したグローバルモデルを模倣する攻撃下で顕著である.そこで提案手法は,グローバルモデルを模倣する攻撃時のWEF行列をサーバ側でシミュレートし,提出されたWEF行列との類似度を測ることで本攻撃を捉え,動的フリーライダーを検知可能にする.本手法の評価実験では,3つのデータセットを用いて5つの攻撃手法を試行し,結果として,120条件中112条件で最良ベースラインと同等以上のF1値を達成した.本稿では提案手法の技術的な説明を与えるともに,提案手法に対する適応的攻撃を提案し基礎的な実験結果を報告する.また,実務的な観点からクロスサイロ連合学習におけるフリーライダーの要因・影響を整理し,製造業を想定した提案手法のユースケースについて解説する. |
| Title | LLM の特化学習による偽情報判定タスクの精度向上について |
| Author | *清水 俊也, 樋口 裕二, 渡邊 大貴, 小林 健一 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 948 - 952 |
| Keyword | 偽情報, SNS, LLM |
| Abstract | 近年, ディープフェイクをはじめとし, いわゆる AI を用いた巧妙な偽情報が SNS 等を通じて拡散 されており, 実社会に大きな影響を及ぼしている. 拡散される偽情報の真偽を見極め, 拡散の影響を防ぐに おいては, 人手による検出は限界があり, 近年ではそのような偽情報の判定, いわゆるファクトチェックの 分野において LLM を利用する試みが見られる. ファクトチェックを行う過程においては, 真偽判定を行う べき対象の選定, 真偽判定に必要な情報の収集, 収集した情報をもとに総合的に判断するなど様々なタスク が発生する. LLM をこういったタスクに対して活用する際には, 汎用的な言語モデルよりも, 特定のタス クに特化して学習したモデルの方が高いパフォーマンスを得られると考えられる. そこで, 本論文では, 主 に SNS で拡散される日本語のテキスト情報のファクトチェックの精度を向上させるため, 日本語や報道領 域データでの継続事前学習と, ファクトチェックの過程で発生する 3 つの主要タスクに対して教師ありの ファインチューニングを行うことで各タスクに特化したモデルを作成し, 性能の評価を行った. 結果とし て, 継続事前学習とファインチューニングのそれぞれが各タスクに対するモデルのパフォーマンスを向上 させ, 特に長文の読み込みを含む複雑なタスクに対してより効果を発揮することが確認できた. |
| Title | 双方向間欠無線マルチホップ映像・コマンド転送を用いた下水管検査用複数UVシステム ~実験用埋設管での実験と性能評価~ |
| Author | *河村 洋希 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), Pham V. Thanh, 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院) |
| Page | pp. 953 - 963 |
| Keyword | 下水管検査, 無線LAN, 間欠送信, マルチホップ無線ネットワーク, ロボット |
| Abstract | 老朽化が進む下水管の検査省力化に向け,我々はカメラを搭載した無線制御 UV(Unmanned Vehicle)によるリアルタイム検査の開発を進めている.小口径下水管内の移動環境は,無線 LAN の通信可能距離が数メートル程度に制限されるという制約に加え,ノードの動的な移動に伴う高頻度かつ不規則なリンク変動が発生するという課題を伴う.そのため,複数の UV を用いたマルチホップネットワークを構築し,検査範囲を拡大しつつ,いかにして通信の安定性を担保するかが課題となる.本研究の目的は,この課題に対し,トポロジの変化を局所化する UV の位置制御手法と,干渉回避のためのパケットスケジューリングプロトコル(MUCViS)を統合し,動的環境下での安定したマルチホップ通信を確立することである.筆者らはこれまでに,これら二つの手法を Raspberry Pi 上に統合したシステムを実装し,屋内テストベッド環境における基本的な動作検証を行ってきた.しかし,実環境における過酷な電波伝搬特性や動的なトポロジ変化が UV の位置制御や通信性能といったシステム全体に与える影響については明らかにされていなかった.本論文では,実装した複数 UV システムを実下水管環境に適用し,通信性能を評価した.安定した映像伝送を維持できるノード間最大距離をもとに統合システム性能を評価した結果,映像データの生成レート 1 Mbps において,約 1 Mbps のスループット維持と,3 ホップ時の映像データのパケットロス率2.32 % を達成した.制御コマンドは,全てのホップ数においてパケットロス率 0.1 % 以下(3 ホップ時は0.0%)を達成し,位置制御とパケットスケジューリングを統合する設計が有効であることを示した. |
| Title | V2XデータフュージョンにおけるVoIとCBRによる送信制御手法の提案 |
| Author | *矢吹 朋也 (慶應義塾大学大学院理工学研究科人間・社会システム情報科学専攻), 原 まなみ, 宮田 佑樹 (慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部) |
| Page | pp. 964 - 970 |
| Keyword | V2X, CP, Data Fusion |
| Abstract | 近年の自動運転技術の発展により,高度な交通システムの実現が試みられている.従来の自動運転技術は自律的な自動運転を行なっているが,車両のみのセンシングでは死角が生じ,安全性に課題がある.そのため自動車や路側機などを通信で繋げるV2X(Vehicle to Everything)通信により,情報を共有し,通信で受け取った情報と受信者が持つセンシング情報をフュージョンし,整合性をとることでセンシング範囲を擬似的に拡張することができる.しかし,V2X通信によって生じる通信負荷により,他の通信のリソースの圧迫や,情報の冗長性の過剰な増大といった問題がある.本稿では,V2X通信でやり取りするCPM(Collective Perception Message)の送信可否を,車両のモビリティ特性に基づくVoI(Value of Information)とCBR(Channel Busy Ratio)の閾値により決定する手法を提案する.提案手法の評価として,交通シミュレータと通信シミュレータで実施し,CPM送信数を71.6%削減し,AoI(Age of Information)を14.29%,車両の位置推定誤差を約6%改善することが確認できた. |
| Title | 協調交通制御における動的 CAV ペア形成手法 |
| Author | *畑田 悠斗 (慶應義塾大学大学院理工学研究科人間・社会システム情報科学専攻), 国本 大輝, 山下 裕太郎 (慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部) |
| Page | pp. 971 - 977 |
| Keyword | CAV, V2V, CCTC |
| Abstract | 近年,自動運転技術の研究は急速に進展しており,Connected and Automated Vehicle(CAV)に 関する研究が活発に行われている.高速道路の合流部をはじめとする車線変更が頻発する区間では,車列 構成が変化しやすく,交通流の乱れや渋滞の発生要因となることが知られている.本稿では,車列構成が 変化する高速道路交通を対象として,交通状況に応じて CAV の協調関係を動的に構成する制御手法を提 案する. 2 台の CAV が交通状態に基づいて,ペアの構成や協調の有無を動的に切り替えながら協調制御を 行う.提案手法の有効性を検証するため,SUMO を用いた数値シミュレーションを実施した.その結果, 提案手法は中程度の CAV 普及率において速度変動を抑制し,交通流を安定化できることを確認した.ま た,交通状態を考慮して CAV ペアを動的に選択・更新することで,単純な順次ペア形成に比べて平均速 度を高く維持できることが示され,交通流の効率向上に有効であることが明らかとなった. |
| Title | 時空間ボクセル予約による複数ドローンの集中型協調制御手法のシミュレーションによる評価 |
| Author | *藤原 直己, Onur Alparslan, 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科情報工学専攻) |
| Page | pp. 978 - 985 |
| Keyword | ドローン, 経路計画, 協調制御 |
| Abstract | 近年,物流,農業,インフラの保守点検などの分野においてドローンの活用が進められており,構造物が多数存在する空域で複数のドローンを同時に運用することが想定されている.このような環境では,他機や障害物との接近を避けながら,飛行効率を維持する経路計画が必要となる.本研究では,3次元空間をボクセルに分割し,時間情報と組み合わせて管理する時空間ボクセル予約に基づく,複数ドローンの集中型協調制御手法を提案する.提案手法では,飛行開始前に各機体の経路を計画し,通過する時空間ボクセルを排他的に確保することで,複数機の時空間的な競合を防止する.シミュレーション評価では,障害物配置環境および障害物非配置環境において,APF法およびDynamic A*法と比較した.その結果,提案手法は全ての条件で安全到達率100%を示し,Dynamic A*法と同程度の平均旅行時間を維持できることを確認した. |
| Title | ch-free行動認識モデルにおける勾配干渉の考察 |
| Author | *大橋 海斗, 坂井 俊介, 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 986 - 993 |
| Keyword | 行動認識, チャネルフリー, 勾配干渉, 基盤モデル |
| Abstract | 行動認識では,データセットごとにセンサ種別,装着位置,チャネル数が異なるため,入力形式を固定した従来モデルでは異種データを横断的に扱うことが難しい.この課題に対し,入力をチャネルまたはチャネル群ごとに処理するchannel-free(ch-free)行動認識モデルが検討されている.一方,ch-freeモデルでは異なる意味を持つ入力単位の損失が共有Encoderおよび分類器を同時に更新するため,勾配干渉が学習を妨げる可能性がある.本研究では,3チャネル入力単位,またはそれらをデータの種類ごとにまとめた入力単位群をマルチタスク学習におけるタスクとみなし,勾配干渉を分析する.さらに,PCGrad,CAGrad,GradNormを適用し,干渉緩和が認識性能の改善につながるかを検証する.UCI-HARを用いた実験では,加速度と角速度のモダリティ間干渉を対象とする設定でPCGradがbaselineを上回り,勾配操作手法がch-free行動認識モデルに有効に機能しうることを示した.一方,5つのデータセットを対象とした分析では精度低下も見られ,勾配統計と精度改善との明確な対応関係は確認できなかった. |
| Title | テニスのフォアハンドストロークにおけるフットワーク習得支援システムの提案 |
| Author | *高杉 拓海 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部) |
| Page | pp. 994 - 1002 |
| Keyword | 映像解析, 視覚的フィードバック, フットワーク支援, テニス, 行動分析 |
| Abstract | テニスのストローク練習において,安定した打点位置を維持するためには,ボールに応じた適切なフットワーク動作が重要である.しかし,個人練習では指導者からの助言を得ることが難しく,自身のフットワーク動作を客観的に振り返ることは容易ではない.また,既存研究ではスイング動作やフォーム分析を対象とした支援が中心であり,打点位置とフットワーク動作の関係に着目した振り返り支援は十分に行われていない.そこで本研究では,フットワーク特性と打点偏差の関係に基づき,プレイヤーの振り返り支援を行うシステムを提案する.提案システムでは,後方および側方から撮影した映像を入力とし,姿勢推定および座標変換を用いてプレイヤー動作を抽出する.その後,フットワーク特性および打点位置を算出し,打点偏差との関係分析を行うことで,打点のばらつきに影響するフットワーク特性を特定する.さらに,分析結果に基づくフィードバック文の生成およびフットプリント可視化を用いることで,プレイヤーの振り返り支援を行う.評価実験では,球出しによるフォアハンドストローク練習を対象として,主観評価および客観評価を実施した.主観評価では,フィードバックの理解しやすさや有用性について高い評価が得られ,フットワークに対する意識変化や,フットワークの改善を実感した旨の回答が確認された.一方,客観評価では,打点位置のばらつきに被験者間で差が見られた. |
| Title | 状態遷移ネットワークと大規模言語モデルを用いた生活行動の系列パターン検出手法 |
| Author | *福田 航 (九州大学大学院システム情報科学府), 荒川 豊 (九州大学大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 1003 - 1012 |
| Keyword | スマートホーム, 大規模言語モデル, 行動認識, 系列パターンマイニング |
| Abstract | 近年,IoTデバイスの普及に伴い,スマートホームにおいてセンサログから居住者の日常生活動作の系列パターンを把握する技術への期待が高まっている.しかし,出現頻度や遷移確率に基づく従来の手法では,ノイズや無意味な往復行動まで検出してしまい,さらに推論プロセスがブラックボックス化して居住者への説明可能性が欠如するという課題が存在する.本研究では,センサログを統計的事実として構造化した上で,大規模言語モデル(LLM)のコンテキスト推論能力を組み合わせた,解釈可能で透明性の高い系列パターン検出手法を提案する.具体的には,センサログから家全体のマクロな状態遷移ネットワークを時間帯別に構築し,「ループ遷移の除外」などの厳格な制約を与えてLLMに推論を行わせるアーキテクチャを設計した.CASAS Arubaデータセットを用いた評価により,本手法が状態遷移ネットワークの事実に忠実な推論を行いハルシネーションを抑制しつつ,従来手法で検出される無意味な往復行動や断片的な経路を自律的に棄却・統合できることを実証した.また,検出された行動の意図や解釈の根拠を,元のデータに基づいて自然言語で明確に提示できることを確認した.この成果は,スマートホームのデータ分析におけるルールの冗長化や不透明性といった現在の技術的限界を克服し,統計的事実とLLMの統合が,次世代の解釈可能な自動制御推薦の実現にいかに貢献するかを示すものである. |
| Title | 行動認識のための住宅間データ転移に向けた言語を用いた空間意味情報推定手法の提案 |
| Author | *Minhyoung An, 菊池 尊勝, 庭本 眞太郎, 新明 勇翔, 竹田 圭汰, Yuexiao Liu, 松井 智一, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
| Page | pp. 1013 - 1018 |
| Keyword | スマートホーム, 空間意味推定, 転移学習 |
| Abstract | 環境センサを用いたスマートホームの行動認識では,住宅ごとに間取り・センサ配置・センサIDが異なるため,ある住宅で学習したモデルを別の住宅へ適用すると性能が低下する.本研究では,住宅間で直接対応しにくいセンサIDの代わりに,空間情報を表す固定IDと,各IDに紐づく空間の説明文を中間表現として用いる手法を提案する.学習元住宅の最初の7日間から候補空間を構成し,各イベント系列窓を匿名エイリアスと役割記述からなるテキストへ変換したうえで,TF-IDFとロジスティック回帰により空間情報IDを予測する.転移先住宅では,行動ラベルや間取り図,センサの設置位置,部屋名などの住宅固有情報を用いずに同じ形式で予測を行い,対応する自然言語記述に変換する.CASASの住宅データセットを用いた転移実験では,MilanからArubaへの転移時に精度0.714が得られた.一方,Cairoを学習元とした条件では正解が候補空間に含まれる割合が0.235--0.312にとどまり,Cairoを転移先とした条件では少数の空間情報IDへの予測の集中が観察された.これらの結果から,転移性能は分類器そのものよりも,学習元の7日間で観測された空間情報の範囲と転移先住宅のイベント分布に強く依存することが分かった. |
| Title | 多言語同時翻訳環境におけるコミュニケーション円滑化のための相手状態推定手法 |
| Author | *寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科), 太田 基喜 (神戸大学工学部), 大西 鮎美, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1019 - 1028 |
| Keyword | 多言語コミュニケーション, 翻訳システム, 行動認識, 視線情報 |
| Abstract | 近年,機械翻訳技術の進歩により,同時翻訳サービスを介した多言語コミュニケーションが普及している.しかし,同時翻訳を介した会話では,翻訳文の読解や理解確認に伴う沈黙が生じ,話し手がその理由を把握できないため,会話の円滑さが損なわれる場合がある.本研究では,予備実験により,聞き手の沈黙時の状態が「文章を読んでいる」「返事を考えている」「翻訳文を理解できていない」のいずれであるかを話し手が判断できないことが,適切な応答や補足説明を妨げる要因であることを確認した.そこで,聞き手の視線情報に基づいて沈黙時の状態を推定し,その結果を話し手に提示する同時翻訳システムを提案する.提案システムでは,アイトラッカで取得した視線情報から機械学習により聞き手状態を推定する.評価実験の結果,被験者内交差検証で平均F1-Score 0.60,被験者間交差検証で平均F1-Score 0.55を示し,視線情報により沈黙時の聞き手状態を一定程度推定できる可能性が示された. |
| Title | 対面時の顔とオンラインの加工顔の印象差低減のためのARを用いた段階的加工解除システム |
| Author | *山路 比奈子, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1029 - 1037 |
| Keyword | 印象差低減, 対面コミュニケーション, オンラインコミュニケーション, 顔写真加工, 段階的加工解除 |
| Abstract | SNS (Social Networking Service)やマッチングアプリの普及により,オンラインを介して他者と出会う機会が増加している.オンラインでの出会いは,プロフィール写真やテキストといった限定的な情報に基づいて相手への印象が形成されるため理想化されやすい.中でも顔写真は加工が施されていることが多く,オンラインで形成された印象と,初対面時に受ける実際の印象とが一致しないことがある.このような印象差は,初対面時に違和感や失望感といった否定的な感情を引き起こす可能性がある.先行研究はオンラインでの印象形成に着目したものがあるが,対面時に生じる印象差やそれに伴う否定的な感情の低減効果は十分に検討されていない.そこで本研究では,2者間の初対面時に着目し,オンラインの加工顔から実際の顔へと段階的に移行させるシステムを提案する.提案システムは,対面相手の顔映像とオンラインで用いられていた加工顔写真をリアルタイムで合成し,時間の経過に伴って加工を段階的に解除することで,対面時の印象差を緩和する.提案システムでは,対面相手の顔映像をリアルタイムで取得し,合成顔を生成する.対面相手の合成顔映像をユーザが装着するARグラス(AR: Augmented Reality)で提示し,加工を段階的に解除する.これにより,ユーザはオンラインで形成された顔印象を維持したまま相手と対面でき,時間経過に伴って実際の顔へと違和感なく移行できる.評価実験の結果,加工映像を表示する条件は表示しない条件と比べて,オンラインと初対面時の顔印象の一致度や印象差による否定的な感情が有意に低減した.また,会話中における加工の変化は過度に意識されることなく表示できていた.これらの結果から,提案システムが対面時の印象差や印象差に伴う否定的な感情を低減したことが確認できた. |
| Title | ユーザ主導のAR位置合わせに基づくバリア多視点撮影誘導システムの設計 |
| Author | *水留 悟 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 松林 暸 (日本大学文理学部), 池田 悠星 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 呉 健朗 (ソフトバンク株式会社), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 1038 - 1043 |
| Keyword | AR, バリアフリーマップ, 行動変容 |
| Abstract | 階段や坂などのバリアは,車椅子利用者やベビーカー利用者といった移動弱者の移動を妨げる要因となる.これらの情報を共有する手段としてバリアフリーマップが存在し,近年ではクラウドソーシングを用いてバリア画像を収集する試みが行われている.しかし,収集される画像の多くは正面や俯瞰など特定視点に偏りやすく,バリアの大きさや周辺状況を十分に把握できないという課題がある.そこで我々は,ユーザの位置や撮影タイミングに応じて向きが変化する3D キャラクタをバリア上に重畳表示し,多視点撮影を促進する位置情報ベースのAR システムを提案してきた.ところが,プロトタイプシステムを用いた予備実験では,位置情報のみに依存したAR 表示では,実環境において3D キャラクタとバリアの位置関係を適切に保つことが困難であり,我々が意図した効果が十分に得られないことが判明した.本稿では,この問題を解決するため,ユーザ自身がバリアと3D キャラクタの位置合わせを行うHuman-in-the-loop型のAR 配置設計を提案する.具体的には,ユーザが撮影画面上のバリアをタップすることで,その位置に3D キャラクタを重畳表示する.これにより,ユーザ自身が適切な位置に3D キャラクタを配置できるため,位置ずれの影響を低減しながら多視点撮影を支援できると考えられる. |
| Title | 2人協力ゲームにおける自責・他責の思考割合を制御するためのプレイパラメータ提示手法 |
| Author | *齊藤 巧, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1044 - 1053 |
| Keyword | 情報提示, 協力ゲーム, 帰属制御 |
| Abstract | 社会的な場面では他者と協力して物事に取り組む機会が多く,結果の原因を自分に求める自責思考と他者に求める他責思考のどちらに寄せて考えるかという思考傾向(以降,帰属傾向とする)が,そのパフォーマンスに影響する.帰属傾向は状況に応じて調整することが望ましく,原因分析が重要な場面では自責を,失敗を引きずらないことが重要な場面では他責を強めるのが良い.帰属傾向を変化させる既存研究は多く存在しており,既存の手法は,例えばタスクの失敗に対して「この結果は努力不足によるもので,方略や工夫によって改善可能である」とユーザに提示を行うような,直接的フィードバックを用いるものがほとんどである.このような手法は受け手の帰属傾向を変化させるのに効果的な一方で,受け手の解釈やフィードバック手法のミスが原因で受け手に意図せず不快感を与える恐れがある.そこで本研究では,「2人協力型ゲームにおけるプレイヤのうちどちらに結果の原因帰属を行うか」という帰属傾向について,2人協力ゲーム内に出現する行動データを記録し,そのうちの特定のパラメータだけをプレイヤに提示することで帰属傾向を制御する間接的フィードバック手法を提案する.提案手法の帰属傾向への影響を調査するため,ゲームで敗北した場面を想定し,提案手法によるフィードバック提示前後の帰属傾向の変化を,アンケート調査により評価した.その結果,記録した情報をすべて提示したときに比べて,自分の貢献度が高く見える情報を提示すると他責傾向が強まり,相手の貢献度が高く見える情報を提示すると自責傾向が強まることが確認された. |
| Title | 遠隔リアルタイム音楽・映像パフォーマンスのための協働環境のデザイン |
| Author | *有馬 俊, 大川 恵子 (慶應義塾大学サイバー文明研究センター) |
| Page | pp. 1054 - 1063 |
| Keyword | 遠隔協働, ネットワークを介した音楽パフォーマンス, DJ, VJ, リサーチ・スルー・デザイン |
| Abstract | 本論文では,遠隔間のDJによる音楽パフォーマンスとVJによる映像パフォーマンスのリアルタイムな協働を実現するための作業環境のデザインについて論じる.本研究では,北海道札幌市のDJと東京都大田区のVJをインターネット及びVPNで接続し, 1.低遅延だが低品質な「速報版」と,高遅延だが高品質な「安定版」の二系統のオーディオデータを送受信. 2.ビジュアルデータそのものは送受信せず,双方のコンピュータに同じレンダリング環境を用意し,制御信号のみを共有. 3.可聴域外のパルス音を用いたオーディオとビジュアルの同期.といった要素を実装した協働環境デザインにより,一般的な商用インターネット回線においてもスムーズなリアルタイム協働の実現を目指した.プロトタイプの制作と予備実験による検証を行った結果,本デザインによるリアルタイム遠隔協働パフォーマンスの実現の可能性が示された. |
| Title | 音声対話システムにおけるSLMを用いたLLM応答遅延の低減手法 |
| Author | *柴田 凌吾, 梶岡 慎輔, 山本 大介 (名古屋工業大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1064 - 1073 |
| Keyword | 音声対話, LLM, 言語モデル |
| Abstract | 近年,高度な応答が可能な大規模言語モデル(LLM)を用いた音声対話システムにおいては,推論に時間を要し沈黙が生じやすいという課題がある.本研究では,対話の即時性と応答品質の両立を目的として,小規模言語モデル(SLM)とLLMを連携させた音声対話システムを提案する.提案手法は,ユーザの発話直後にSLMが「つなぎの言葉」を即座に生成・発話し,その間にLLMが「本回答」を生成することで,ユーザに待機時間を感じさせない仕組みである.連携手法として「直列構成」および「並列構成」の2種類を実装し比較検証を行った結果,最初の応答開始時間がLLM単体の平均6.14秒から並列5.31秒,直列5.55秒へとそれぞれ短縮された.また,つなぎ言葉から本回答へ移行する際の沈黙を0.1秒未満に抑える割合も並列90.6%,直列81.3%に達し,応答開始後に沈黙が生じにくいことが確認された.さらに主観評価においても,直列構成が「表現の繰り返しの気にならなさ」で全条件中最高の評価を得るなど,即時性だけでなく応答内容の自然さや一貫性も高く評価された.以上の結果より,SLMとLLMの連携手法が音声対話システムにおける対話体験の向上に有効であることが実証された. |
| Title | 耳装着型デバイス利用者の聴取状態提示手法の提案 |
| Author | *�盒� 奏多 (公立はこだて未来大学), 渡邉 拓貴 (神戸大学), 三浦 寛也 (理化学研究所 革新知能統合研究センター), 竹川 佳成 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 1074 - 1082 |
| Keyword | ウェアラブルコンピューティング, ウェアラブルデバイス, ヒューマンコンピュータインタラクション, 自己開示, Augmented Human |
| Abstract | 近年,イヤホンや補聴器などの耳装着型デバイスの常時利用が普及している.しかし,外見からは装着者の聴取状態を判別することは難しく,呼びかけに気づかない場合でも意図的に無視されたと感じられる誤解が生じやすく,コミュニケーションの円滑な遂行を妨げる可能性がある.そこで本研究では,耳装着型デバイス利用者の聴取状態を周囲に対して視覚的に提示し,聞こえていない状態の直感的理解を促進する手法を提案する.小型ディスプレイを用いた表示プロトタイプを作成し,実験参加者による評価を通じて,聴取状態を伝える視覚表現の構成要素を分析した.その結果,困り顔など状態の困難さを示す表情と,×マークや汗マークなど否定的・困難な状態を示す記号を組み合わせることが,第三者による意味理解の明確さに寄与する可能性が示された.その結果,耳の図像と×マークを組み合わせることで,聴取困難な状態を第三者に明確に伝えやすい可能性が示された.また,困り顔や汗マークなどの表情・記号は,困難状態を示す補助的要素として機能する可能性が示された.本研究は,聴取状態提示における視覚表現と意味理解の関係を整理し,耳装着型デバイスを用いた外部情報提示インタフェース設計への示唆を得ることを目的とする. |
| Title | LSTMを用いた楽曲構成変化のタイミング予測手法の提案 |
| Author | *三上 拓寛 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部) |
| Page | pp. 1083 - 1090 |
| Keyword | 音響特徴量, 楽曲構成, 回帰モデル, 時系列予測, 歌唱スピード |
| Abstract | 中小規模の音楽ライブにおける照明演出は手動操作のため,スタッフの負担軽減やミスの防止が課題となっている.演出の自動化を実現するためには,ライブ中の歌唱スピードの変動を考慮し,Aメロやサビといった楽曲構成が変化するタイミングをリアルタイムに予測する必要がある. 本研究では,LSTM (Long Short-Term Memory) を活用した楽曲構成変化のタイミング予測手法を提案する.提案手法は「学習フェーズ」と「推論フェーズ」で構成される.学習フェーズでは,基準楽曲データに対してデータ拡張を行い,音響特徴と歌唱時間をLSTMで学習させることで,時系列的な文脈を考慮した楽曲進行モデルを構築する.推論フェーズでは,リアルタイムの歌唱から基準楽曲上での歌唱位置を特定し,基準楽曲とリアルタイム歌唱の時間差から歌唱スピードの差を表す「伸縮率」を算出する.この伸縮率を原曲の次の楽曲構成までの時間に掛け合わせることで,歌唱スピードの異なるリアルタイム歌唱での次の楽曲構成タイミングを予測する. 本稿では,複数の歌唱データを用いた精度評価実験を行った.実験では,RMSE (Root Mean Squared Error) や MAE (Mean Absolute Error) による精度評価およびDTW (Dynamic Time Warping) を用いた従来手法との比較を行い,その有効性を調査した.その結果,全体平均誤差は大きくなり予測精度は低くなったものの,楽曲構成変化タイミング付近では予測値の平均誤差が 0.57 秒まで収束し,高い予測精度を確認した. |
| Title | FPGAを用いたリアルタイムエッジ処理のための分散実行基盤の提案 |
| Author | *大塚 武蔵, 須山 敬之 (大阪工業大学 大学院 情報科学研究科 情報科学専攻) |
| Page | pp. 1091 - 1102 |
| Keyword | 分散処理, リアルタイム, エッジコンピューティング, FPGA |
| Abstract | 近年,IoTデバイスの普及に伴い,センサやカメラの近傍で処理を行うリアルタイムエッジ処理の重要性が高まっている.一方で,エッジデバイスは消費電力や実装面積,コストの制約を受けるため,単一ノードに処理を集約することが困難な場合がある.このため,複数のFPGAノードが協調して処理を分担する分散構成が有効である.しかし,分散構成ではノード間通信に伴う待ち時間や競合により遅延が変動しやすく,リアルタイム性の保証に必要な最悪応答時間の見積もりが困難となる.また,異種FPGAを組み合わせることで,性能,消費電力,コスト,入手性に応じた構成が可能となる一方,クロック周波数やI/O規格,通信方式の差異により,ノード間のタイミング整合が難しくなる. 本研究では,リアルタイムエッジ処理に向けて,固定長フレームとスロット駆動制御に基づく分散FPGA実行基盤を提案する.提案基盤では,システム全体を一定周期で駆動し,周期内を複数のスロットに分割することで,受信対象ポートおよび送信タイミングを設計段階で固定する.また,ノード間のデータ授受を固定長フレームとして統一し,FIFOを介して通信層と演算層を分離することで,異種FPGA間のデバイス差やリンク差を吸収しつつ,通信タイミングと演算層へのデータ授受を同一の時間軸上で扱える構成とする. 提案基盤を検証するため,異種FPGAからなる3段の分散推論システムを実装し,MNIST推論を対象として固定長フレーム転送およびスロット表に基づくポート選択制御を確認した.実装結果より,複数入力ポートからのフレームをスロット表に従って処理し,後段の推論処理へ接続できることを示した.また,資源使用量評価により,通信・制御部の論理規模は比較的小さく,フレーム整列や一時保持に用いるFIFOがメモリ資源消費の主因となることを確認した.さらに,UART通信を含む往復遅延の基礎評価により,本実験条件において通信および処理系の遅延ばらつきが小さいことを確認した. |
| Title | リプレイ攻撃耐性を有するアクティブ音響センシングによる物体識別手法の提案 |
| Author | *�眄� 頌真, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 1103 - 1114 |
| Keyword | アクティブ音響センシング, リプレイ攻撃, 攻撃防御 |
| Abstract | アクティブ音響センシングを用いた手法ではデバイス側から音を送信し,対象物からの音響応答を解析することで,物体識別や個人認証を高精度で実現する研究が報告されている.一方で,音を用いた認証・識別システムにおいて音声信号の録音・再生によるリプレイ攻撃と呼ばれる攻撃の成立が報告されている.本研究ではアクティブ音響センシングに基づく木材と石の物体分類を想定して,音声信号の録音・再生によるリプレイ攻撃が成立するかを検証した. また,送信する音声信号に透かしを付与することでリプレイ攻撃からの防御手法を提案した.提案手法では,認証試行ごとに異なる8bitのチャレンジを生成し,これを透かし信号として識別用Sweep信号に重ね合わせる.受信信号から透かし帯域の応答を解析し,順位復号によりチャレンジを復元することで,入力信号が現在の認証試行に対応したものであるかを判定する.評価実験では,正規入力において木材および石のいずれでも高い平均ビット一致率が得られ,異なるチャレンジを期待値として用いた場合には入力信号を拒否できることを確認した. |
| Title | 視線情報を用いた無意識的継続的個人認証手法と認知負荷の精度影響調査 |
| Author | *三和 菜月 (東京農工大学 大学院 先進学際科学府 先進学際科学専攻), 藤波 香織 (東京農工大学 大学院 工学研究院 先端情報科学部門) |
| Page | pp. 1115 - 1128 |
| Keyword | 継続認証, 視線, 認知負荷, オンライン学習, セキュリティ |
| Abstract | 近年,不正アクセスの増加やサイバー脅威の高度化に伴い,安全性と利便性を両立した認証システムの需要が高まっている.中でも,視線情報を用いた継続認証はなりすましが困難であることから,有望な認証手法として注目されている.一方で,視線行動はユーザの状態の変化に影響を受けることが知られているが,認知負荷の違いが継続認証の認証性能へ与える影響については十分に明らかにされていない.そこで本研究では,視線情報を用いた継続認証を対象として,認知負荷の違いが認証性能へ与える影響を評価することを目的とする.公開視線データセットを用い,低認知負荷条件,高認知負荷条件,認知負荷混合条件の3条件において認証性能を比較した.さらに,ウィンドウ設計,投票方法,特徴量構成,および学習時と認証時の認知負荷条件を変更し,各条件が認証性能へ与える影響を評価した.評価実験の結果,認知負荷条件の違いによって認証性能が変化することを確認した.特に,異なる認知負荷条件を含むデータを用いて初期認証モデルを構築することで,認知負荷変動下において認証性能が安定する傾向が示された.以上より,視線情報を用いた継続認証においては,認知負荷の変動を考慮した認証設計が重要であることが示唆された. |
| Title | Vision-Language Modelを用いた主観的プライバシーの代理評価に関する基礎検討 |
| Author | *平岡 滉司 (九州大学大学院 システム情報科学府), 中村 優吾 (立命館大学 情報理工学部), 峯 恒憲, 荒川 豊 (九州大学大学院 システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 1129 - 1140 |
| Keyword | LLM-as-a-Judge, Vision-Language Model, Subjective Privacy |
| Abstract | カメラを用いた画像センシングにおけるプライバシー判断は,個人差・文化差・文脈に依存する主観的判断であり,大規模な人間アノテーションによる評価には高いコストを要する.Vision-Language Model (VLM) をアノテータの代替として用いる可能性が検討されてきたが,主観的プライバシー判断のような文脈依存・個人依存の評価軸においてVLMがどの程度の代理能力を持つかは検証されていない.本研究では,主観的プライバシー評価データセットDIPA2を対象に,3つの公開ローカルVLMと4種類のプロンプト条件 (Baseline, CoT, Persona, Persona+CoT) における個別アノテーションとの一致度を系統的に評価した.具体的には,Information Type, Informativeness, Sharing Scope の各評価項目について,多ラベル分類および順序尺度評価としての一致度を測定し,過剰共有・過小共有の方向性を含む誤りパターンを分析した.その結果,VLMは人間アノテーションよりも共有範囲を保守的に推定する偏りを示し,全12設定で過小共有率が過剰共有率を上回ることを確認した.さらに,この偏りは Chain-of-Thought や Persona プロンプトでは解消されず,プロンプト条件の効果は評価項目間で一貫しなかった.本結果は,VLMを主観的プライバシー評価の代理として用いる際にバイアス補正が必要であることを示唆する.また,主観性を伴う人間判断の代理タスクにおいて,VLM出力における限界を示した. |
| Title | 言語情報と音声特徴量を活用したACP会話の振り返り支援 |
| Author | *星 温樹, 角 康之 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 1141 - 1152 |
| Keyword | ACP, 対話分析, 音声特徴量, 非言語情報 |
| Abstract | ACP(Advance Care Planning)は,将来の医療やケアに関する価値観や希望を共有するための重要なプロセスであるが,日本においては実施率が低く,医療従事者の経験や教育機会の不足,および記録作業の負担といった課題が指摘されている.特に,会話内容を整理し記録する過程では,記述の質のばらつきや重要な情報の見落としが生じやすい.本研究では,ACP 会話の振り返りを支援することを目的として,発話内容(言語情報)と発話量や沈黙時間といった音声特徴量を活用した対話支援システムを構築する.提案システムは,会話音声の書き起こしに基づく構造化要約の生成と,対話形式による内容確認機能を提供することで,会話内容の整理および理解を支援する.さらに,各対話の要約および分析結果を患者ごとに紐づけて蓄積し,時系列に沿って参照可能とすることで,複数回の対話を通じた意思決定の変遷を把握できるようにする.また,発話量や沈黙などの会話構造指標およびピッチ変動といった音声特徴量を提示することで,会話の進行や感情表出に関わる側面を補助的に捉え,振り返りに新たな視点を提供する.仮想的な ACP ロールプレイング会話に本システムを適用した結果,要約により重要事項が整理され,会話全体を参照せずに内容把握が可能であることを確認した.また,対話機能により発話意図や背景の理解が促進されることを確認した.さらに,沈黙や発話の重複といった指標に基づき,会話の特徴的な局面に着目した振り返りが可能であることを示した.以上より,本研究は ACP 会話の振り返りを支援するシステムを提案し,単一の会話にとどまらず,複数回の対話を通じた継続的な振り返りを可能とする枠組みを示した.今後は,音声特徴量の拡張や専門家評価に基づく指標の妥当性検証を通じて,振り返り支援手法の高度化を目指す. |
| Title | 対話型多目的最適化における探索候補領域の提示によるUIの提案と評価 |
| Author | *箱田 有花, 伊東 利雄, 板倉 宏太, 植木 美和 (富士通株式会社), 小野 功 (東京科学大学) |
| Page | pp. 1153 - 1158 |
| Keyword | 多目的意思決定, 対話型多目的最適化, 意思決定支援, ユーザインタフェース, 探索候補領域 |
| Abstract | 間のトレードオフを把握しながら好みの施策を選択する必要があるが,高次元・多目的になるほど認知的負荷が増大する.こうした問題に対し,意思決定者がKPIごとの好みの値の範囲(選好範囲)を指定し,その条件に合致する施策を探索する手続きを繰り返して対話的に施策を絞り込む,対話型多目的最適化が用いられる.しかし,KPI間のトレードオフにより,条件を満たす施策が存在しない実現不可能な選好範囲が生じる.意思決定者がそうした範囲を指定すると,無駄な探索が生じて探索効率が低下する可能性がある.本稿では,事前計算や対話で求められた最適解から実現不可能な領域を排除し,残りの探索候補領域を意思決定者に提示するUIを提案する.20名のユーザ実験の結果,探索効率の改善は確認できなかった一方,3条件を試した後の条件間比較では「KPI間トレードオフを理解できたUI」として最多支持を得た.探索候補領域の提示は探索効率の改善には寄与しないものの,KPI間トレードオフ構造の理解を促進する可能性が示唆された. |
| Title | 電車移動に新たな価値をもたらすコンテンツマッチングに基づく経路推薦手法 |
| Author | *津島 風斗, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1159 - 1168 |
| Keyword | 経路推薦, コンテンツマッチング, 電車, 行動パターン, 待ち時間 |
| Abstract | 近年の電車移動では,乗客がスマートフォンのナビゲーションアプリケーションを参照し経路を決定するのが一般的であるが,多くのユーザが移動時間や待ち時間の短さを重視し経路を選択することで,ユーザの選択が特定の経路に集中し,混雑が誘発される場合がある. この経路選択の集中は,人々が移動時間や待ち時間を目的地到達のためのコストとみなし,それらに価値を見出していないことに起因している. しかし,移動時間や待ち時間にユーザが見たい動画を再生できる体験を提供できれば,移動時間や待ち時間を価値ある時間へと転換できる可能性がある. そこで本研究では,ナビゲーションアプリケーションが出力する経路の部分経路の所要時間とユーザが好む動画コンテンツの再生時間を対応づける「コンテンツマッチング」という概念を導入し,従来はコストとして捉えられていた移動時間や待ち時間を,コンテンツ消費のための価値ある時間として再解釈可能な経路推薦を実現する. 提案システムは,ユーザの嗜好に合った動画コンテンツと公共交通経路を対応づけ,既存の効率性指標とは異なる新たな経路選択基準を提供する. 評価実験では,3つの移動場面を想定し,被験者がコンテンツマッチング度順の経路とそれ以外の早さ順などのカテゴリの経路を比較して,どの経路を選択するかを調査した. 実験の結果,所要時間が増加する経路であっても,コンテンツマッチング度順で提示された経路がユーザの選択肢として受け入れられる可能性が示唆された. |
| Title | ライブアイドルにおけるファンサの可視化がファンとアイドルのつながり感に与える影響 |
| Author | *吉野 那菜, 砂原 秀樹, 加藤 朗 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) |
| Page | pp. 1169 - 1178 |
| Keyword | アイドル, ファン, ライブ, ファンサ, 可視化 |
| Abstract | ライブアイドルにおけるファンサービス(以下,ファンサ)は,視線や指差しなどの非言語的コミュニケーションを通じて行われ、ファンとアイドルの関係性を形成する重要な要素である。一方で,ファンサは「自分に向けられたものか」の判断が曖昧になりやすく、その認知は観客の主観に大きく依存している。 本研究では、ファンサに連動して光および振動を提示するデバイスを用い、可視化の違いがファンサ認知やつながり感に与える影響を調査した。ライブアイドルグループ「Bety」の実ライブ環境において、(1)通常のファンサ(2)光による共有型可視化(3)振動による本人限定型可視化の3条件で実験を実施した。 その結果、光による可視化は「自分に向けられた」という確信を高めると同時に、ライブ空間全体でファンサ体験を共有する特徴を示した。一方、振動による本人限定型可視化では、「自分だけに届いた」という特別感や、より強い個人的つながり感が確認された。 本研究は、ファンサの可視化技術そのものではなく、可視化条件の違いによって、ライブアイドルにおける関係性の感じ方がどのように変化するかを実証的に示した点に特徴がある。 |
| Title | スマートフォンとワイヤレスイヤホンを用いたマーチング動作の分析 |
| Author | *丹羽 慧, 梶 克彦 (愛知工業大学) |
| Page | pp. 1179 - 1185 |
| Keyword | 慣性センサ, 熟練度評価, ウェアラブルコンピューティング |
| Abstract | 本研究の最終目標は, マーチングの技能向上を支援するシステムの構築である. その実現に向け, 本論文では計測部位の検討と, 技能に直結する特徴量の抽出を行った. 現状の指導は目視による主観的評価に依存しており, 客観的指標に基づく自律的な練習環境の実現が課題となっている. そこで本研究では, スマートフォンとワイヤレスイヤホンを「身体センサ」および「音響インターフェース」として活用する手法を提案する. イヤホンは頭部の揺れを測るセンサであると同時に, リズム提示や評価結果のフィードバックを担う重要な役割を持つ. 本研究の第1段階として, 全身モーションキャプチャを用いた予備実験により, 熟練者のロールステップに伴う「腰部での衝撃吸収」と「頭部の安定性」を重要指標として特定した. 第2段階では, 提案する2点計測システムを用い, 経験者と未経験者の比較評価を実施した. 分析の結果, 未経験者はリズムへの同期は可能であるものの, 着地衝撃を体幹で十分に減衰できず, 頭部に大きな揺れを生じさせている実態を定量的に示した. 本手法により, 日常的なデバイスを用いた熟練度の客観的評価手法としての有効性を示し, 将来的なリアルタイム支援システム開発に向けた基盤を構築した. |
| Title | 3次元の骨格情報と位置情報を相補的に用いた調理行動の分類精度向上手法 |
| Author | *多田 隆人, 梶 克彦 (愛知工業大学情報科学部), 水野 公博 (三菱電機エンジニアリング株式会社), 内藤 彩乃, 中條 直也, 水野 忠則 (愛知工業大学情報科学部) |
| Page | pp. 1186 - 1192 |
| Keyword | 行動分類, モーションキャプチャ, 機械学習 |
| Abstract | 本研究は,調理行動の技能向上支援を目的とした,3次元の骨格情報と位置情報を相補的に用いた調理行動の分類精度向上手法を提案する. モーションキャプチャを用いて取得した骨格情報と位置情報を用いて,XGBoostにより行動分類し,レシピの手順書に基づき行動順を補正する. さらに,確信度の高い行動をランドマークとして位置情報を補正し,その位置情報を用いて行動を絞り込む. ちゃんぽんの調理行動を対象とした評価実験の結果,行動に基づく位置情報の補正は精度向上に大きく寄与したが,手順書や位置情報を用いた行動補正には課題が残った. 今後は両者を反復的に補正し合い,より安定的で高精度な分類を目指す. 誤った位置情報により本来とは異なる行動に補正されている場合がある. |
| Title | スマート家電を活用した環境介入型運動習慣支援サービスの提案とそのユーザー受容性:横断的アンケート調査 |
| Author | *常松 愛加, 大野 瑞紀, 永見 健一, 橋本 洋一, 金山 健一 (株式会社インテック), 太田 賢 (宮城大学) |
| Page | pp. 1193 - 1201 |
| Keyword | 行動変容, 環境介入, 習慣化, スマートホーム, ホームオートメーション |
| Abstract | 運動習慣の形成と維持は生活習慣病予防や健康寿命の延伸などに重要である. しかし,習慣化の過程で継続が困難となる者が存在するため効果的な支援方策の開発が求められている.我々は,スマート家電を活用した環境介入型運動習慣支援サービスを提案し,そのサービスに対するニーズ・期待・懸念を探索的に把握するために,運動習慣化を目指しているが過去に継続できなかった経験を有する者に対して横断的アンケート調査を実施した. 2026年3月にオンラインで643名(スマート家電所持者304名,非所持者339 名)から回答を得た.結果として全体の45.8%が本サービスに興味を示し,特にスマート家電所持の18-29 歳では 8割以上が関心を示した一方,非所持の60-69歳では2割程度であった.主要な懸念は「費用が高そう」「効果への疑問」「設定の難しさ」であり,経済面・実用性・操作性に関する不安が上位を占めた.本サービスは若年のスマート家電所持層で高いニーズを有する可能性が示唆されたが,効果・費用・操作性への課題への対応が実用化に向けて重要であると考えられる. |
| Title | 地域コミュニティの納得感を醸成する履歴反映型抽選システム「くじら」の提案 |
| Author | *大浦 空 (千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科), 川口 真奈 (千葉工業大学工学部電気電子工学科), 嶌田 紀之 (南房総市丸山公民館), 中川 泰宏 (千葉工業大学情報変革科学部高度応用情報科学科), 今野 将 (千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科) |
| Page | pp. 1202 - 1209 |
| Keyword | 社会的受容性, ICTによる地域課題解決, 自治体DX |
| Abstract | 地方自治体における公民館講座の予約業務は、回覧板や紙台帳、物理的な抽選棒、電話連絡といったアナログ運用に依存しがちであり、職員の事務・対応負荷の増大と、告知・申込経路の差に伴う参加機会の不平等が課題となる。本研究では、千葉県南房総市丸山公民館を実証フィールドとして、過去の落選履歴を反映した自動抽選(配慮枠20%)と、利用者が3枚のカードから当落を確認する自己選択型UIを統合したシステム「くじら」を設計・実装した。オンラインによる告知・申込から抽選・結果開示までを一連化し、運営の持続可能性と利用者の心理的納得感という社会的受容性の両立を目指す。2026年3月の実証実験(協力者6名)では、事務負荷の軽減、抽選手続きの透明化、納得感・主体感の向上が示唆された一方、履歴反映の公平性には慎重な評価も得られた。社会実装には、紙・窓口・代理入力との併用、高齢者支援、行動基準のガバナンス設計が不可欠である。本稿は、ICTによる地域課題解決と自治体DXの観点から、公平で納得感のある講座配分を実現する実践モデルを提示する。 |
| Title | GRoFA: ノイズゲート付きアダプタによる公平でロバストな顔画像埋め込みの学習 |
| Author | *末本 歩夢 (九州大学大学院システム情報科学府), 荒川 豊, 峯 恒憲 (九州大学大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 1210 - 1228 |
| Keyword | AI, マルチメディアシステム, プライバシー保護, クラウドコンピューティング |
| Abstract | 顔認識システムにおける属性間の精度格差は,画像にノイズが加わる条件で一段と拡大することが知られている.公平性の確保とノイズロバスト性の確保は従来別々に研究されてきたため,バイアス除 去手法はノイズ下で脆弱化し,ノイズロバスト化手法は属性間の格差を逆に拡大させてしまう.本研究は,凍結した視覚エンコーダにアダプタを追加し,入力ごとに推定したノイズスコアでアダプタの寄与をゲーティングすることで,両者を同時に改善する手法GRoFA(Gated Robust Fair Adapter)を提案する.Clean 入力ではアダプタが全面的に動作して公平性を担う一方,重度なノイズ下では凍結バックボーンが優勢となりノイズロバスト性を保つ.さらに,14 個の蒸留損失をタスクとの勾配整合度に応じて自動配分するルータRTDAR と,5 シードの埋め込み平均,WiSE-FT による事後較正を組み合わせる.FairFace とUTKFace の両データセットで,9 手法のベースラインに対し各々66 条件中62 条件で凍結ベースラインを上回り,FairFace で47/66,UTKFace で48/66 条件のfirst-place を獲得した(Wilcoxon 符号付順位検定p < 10−9,Cohen のd = 1.05(FF)/0.72(UTK)).さらにFairFace の人種精度ギャップを0.052 から0.042 へ19%,UTKFace の性別精度ギャップを0.101 から0.072 へ29%削減した. |
| Title | 大規模ネットワークにおける経路幅付き部分グラフ生成の高速化とスケーラビリティ評価 |
| Author | *榎本 真俊 (横浜商科大学), 知念 賢一 (東京都立産業技術高等専門学校), 三輪 信介, 宮地 利幸 (国立研究開発法人情報通信研究機構) |
| Page | pp. 1229 - 1234 |
| Keyword | インターネット, 分散計算, 経路制御, グラフ分割 |
| Abstract | 大規模ネットワークにおける経路制御や障害時の影響を検証する際,計算資源の制約からネットワーク全体の再現は容易ではない.そのため,重要ノード間の通信経路を保持した縮約が求められる.本研究では,障害や経路変更時に現れる代替経路も確保するため,最短経路だけでなく経路幅を考慮した部分グラフ生成を対象とする.しかし,経路幅を考慮する場合,ブロック組合せごとに最短経路を再計算する必要があるため,計算時間が組合せ数の増加に伴い大きくなるという課題がある.そこで本研究では,部分グラフ生成時間の支配項となるBellman-Ford 法による単一始点最短経路計算に着目し,cuGraph を用いてGPU へオフロードすることで高速化を図った.Barab´asi–Albert モデルにより生成したグラフを用いた 評価実験の結果,経路幅を考慮した場合において,n = 10000 で約1.9 倍,n = 100000 およびn = 150000において約3 倍の高速化を達成した.本手法により,アルゴリズムの探索構造を維持したまま,大規模ネットワークの部分グラフ生成における実用的なスケーラビリティを確保し,クラスターコンピュータ上 でのネットワーク再現に必要な事前計算時間を短縮できることを示した. |
| Title | Apache Iceberg におけるメタデータキャッシュ機構を用いたクエリ性能向上の評価と考察 |
| Author | *松本 尚樹, 水越 大貴, 大村 圭 (NTT株式会社ソフトウェアイノベーションセンタ) |
| Page | pp. 1235 - 1241 |
| Keyword | データレイク, レイクハウス, メタデータ, キャッシュ |
| Abstract | Apache Icebergでは,クエリ実行時にMetadata File,Manifest List,Manifest Fileなどのメタデータを参照するため,クラウドオブジェクトストレージ上ではリクエストレイテンシによりクエリプランニング時間が増加しやすい.本研究では,Alluxioを用いてIcebergのメタデータファイルのみをサーバーサイドでキャッシュする構成を実装し,TPC-DSワークロードによりその効果を評価した.評価の結果,本実験で対象とした全クエリにおいて,メタデータキャッシュによりクエリプランニング時間が短縮された.また,短縮効果はデータサイズよりもメタデータファイル数およびクエリ構造の影響を強く受けることが確認された.複雑なサブクエリを含むクエリでは,メタデータ取得後のプランニング処理が支配的となり,キャッシュによる短縮率に限界が生じることを示した. |
| Title | 音響式信号機を用いた音圧減衰モデルによる三辺測量の精度向上手法の提案 |
| Author | *大崎 有一朗, 勝間 亮 (大阪公立大学) |
| Page | pp. 1242 - 1252 |
| Keyword | 音響センシング, 三辺測量, 参加型センシング, 位置推定 |
| Abstract | 近年,スマートフォンに搭載されたマイクや位置情報センサを用いた音響センシングが注目されている.中でもイベント音の位置推定は環境認識において重要な課題である.音の測定位置から音源までの距離は音圧の距離減衰に基づいて推定可能であるが,スマートフォンの格納場所等の影響により音圧と距離の関係を表す音圧減衰モデルを適切に構築する必要がある.そこで本研究では,音響式信号機を利用して音圧減衰モデルの構築を歩行中に自動で行い,三辺測量によるイベント音の位置推定を高精度化する手法を提案する.音響式信号機は設置位置が固定され,周期的かつ安定した音を発するため,音圧減衰モデル構築の基準音源として利用しやすい特徴がある.大阪公立大学中百舌鳥キャンパス周辺の3箇所に設置された音響式信号機を用いてモデルを構築し,サックス音を未知のイベント音として三辺測量による音源位置推定を行った結果,全端末で同一の理論的音圧減衰モデルではRMSEが2.808m,提案手法により構築した端末別の音圧減衰モデルでは2.727mとなり,提案手法によって音源位置推定誤差を減らせることが確認できた. |
| Title | (招待講演) 西日本鉄道によるAIオンデマンドバスの取り組み |
| Author | *日�� 悟 (西日本鉄道株式会社 未来モビリティ戦略推進部) |
| Page | p. 1253 |
| Abstract | 九州・福岡エリアを中心にバス事業を営む西日本鉄道は三菱商事と合弁会社「ネクスト・モビリティ株式会社」を2019年に設立し、運転士不足や利用者減少といった地域公共交通の課題解消を目的にAIオンデマンドバス「のるーと」を開発した。予約制の乗り合い形式とし、利用者の要望に応じてAIがリアルタイムで配車・経路最適化を行うことで従来の定時定路線バスの弱点を解消。現在は全国各地に展開され、利用者増や利用データの蓄積を通じ、持続可能な地域交通モデルの一つとして進化を続けている。開発の経緯や具体的な導入事例、今後の展望について紹介する。 |
| Title | ダイナミックマップを利用した歩行者の移動予測モデルに基づく車両接近通知手法の検討 |
| Author | *富成 泰生, Onur Alparslan, 佐藤 健哉 (同志社大学大学院情報工学専攻) |
| Page | pp. 1254 - 1259 |
| Keyword | pedestrian behaviour, pedestrian crossing prediction |
| Abstract | 本研究では,歩行者への車両接近通知における通知過多を軽減し,横断可能性の高い歩行者を特定するため,歩行者の横断確率を用いた車両接近通知手法を検討した.提案手法では,GPS由来の歩行者位置系列とLiDAR由来の匿名歩行者軌跡をonline DTWにより対応付け,対応結果に基づいて特徴量生成に用いる歩行者位置を切り替える.さらに,ダイナミックマップに登録された目的地情報,車両情報,および道路地図情報を用いて特徴量を生成し,LSTMにより歩行者の横断確率を推定した.AV2 Motionを用いた評価では,目的地関連特徴量を用いることで,横断に該当するサンプルの識別性能向上に有効であることが示唆された.特に,目的地までの距離が横断確率推定に重要な特徴量であることが示された.また,AV2 Sensorを用いた評価では,LiDAR由来の歩行者位置を実際に利用できたサンプル集合において,online DTW switchにより横断/非横断の識別順位が改善する傾向が示された. また,本研究で用いた横断確率に基づく通知対象選択は車両側への情報提示にも有効であると考えられるため,今後は協調型自動運転における車両への通知・リスク共有への導入も検討する. |
| Title | タクシー運行データを用いた階層型運転行動ラベリング |
| Author | *畑 倫平 (九州大学大学院統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻), 峯 恒憲 (九州大学大学院システム情報科学研究院情報知能工学部門) |
| Page | pp. 1260 - 1269 |
| Keyword | 行動分類, アノテーション, VLM, LLM |
| Abstract | 交通事故総合分析センターの事業用自動車事故統計,国土交通省の交通事故統計資料,内閣府資料では,タクシーは他車種に比べて事故頻度が高く,とくに空車時に事故が集中しやすいことが報告されている.このような注意運転状況を識別するモデルを構築するには,まず実運行データに対して一貫した運転行動ラベルを付与する必要がある.しかし,前方動画と車両データを人手で継続的にラベル付けする作業は高コストであり,停止直前の減速や左折と左車線変更のような境界事例では判断も揺れやすい. 本稿では,タクシーの前方動画とプローブデータを用いた運転行動自動アノテーション手法を,11分類を最終ラベル,4分類を上位群とする階層型モデルとして定義する.提案手法では,第1層で車両データの時間窓特徴から直進系・左回転系・右回転系・その他の4分類スコアを算出し,第2層で粗分類結果に応じて利用情報を切り替えながら群内細分類を行う.100サンプルの人手ラベル付きデータで評価した結果,第1層の粗分類性能としてAccuracy 84.00%(84/100),Macro F1 72.03%,Balanced Accuracy 79.00%を達成した.一方,11分類条件では57.29%(55/96)が上限であり,細分類では群ごとに異なる情報選択が必要であることが示唆された.本稿では第1層の有効性検証を主眼とし,第2層の専用細分類器の定量評価は今後の課題とする. |
| Title | 権限昇格・横展開シナリオにおける自律攻撃エージェントの到達段階に基づく攻撃過程分析 |
| Author | *太田 優希, 野上 保之, 小寺 雄太 (岡山大学) |
| Page | pp. 1270 - 1282 |
| Keyword | 大規模言語モデル, 自律攻撃エージェント, 攻撃過程分析, 横展開, 権限昇格 |
| Abstract | 近年注目されているLLMを利用した自律攻撃エージェントはセキュリティテストの効率化に寄与する一方,攻撃者が悪用する可能性もある.また,攻撃者が検知回避やコスト削減を目的として被害環境内のローカルLLMを用いて攻撃を実行する可能性も考えられる.このような脅威への対策を検討するには,ローカルLLMを用いた自律攻撃エージェントの能力を適切に把握する必要がある.しかし,既存研究で主に行われる成功率による評価では能力を十分に捉えられない可能性がある. そこで本研究では,ローカルLLMを用いた自律攻撃エージェントを対象に,各試行が攻撃のどの段階まで到達したかをログから評価するとともに,複数試行で見られる失敗パターンとその要因を分析した. MITRE ATT&CKに基づく計23種類の権限昇格・横展開に関するシナリオを設計し,CAIを用いてqwen3:32bおよびgpt-oss:120bの2つのモデルで攻撃を実行した.その結果,到達段階の分析により,成功率では区別できない攻撃過程の差異や失敗要因を確認した.さらに,失敗パターンの一部は実行基盤の改良によって対処可能であることが示唆された. 以上より,自律攻撃エージェントの性能評価には,最終的な成功率に加えて到達段階に基づく分析が有効であることを示した |
| Title | MITRE ATT&CKのTactics情報を活用したCVE DescriptionからのTechniques推定 |
| Author | *三谷 日姫, 鳥山 陽平, 引地 謙治, 海野 由紀 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 1283 - 1292 |
| Keyword | MITRE ATT&CK, Technique推定, CVE |
| Abstract | CVEの報告件数の増加に伴い,脆弱性情報から攻撃手法を迅速に把握することの重要性が高まっている.特に,公開初期に利用可能なCVE Descriptionは短く簡潔であり,そこからMITRE ATT&CKの攻撃手法(Techniques)を推定することは容易ではない. 既存研究では,CVE DescriptionからTechniquesを推定する手法が提案されているが,その性能は実運用に十分とはいえない.一方,ATT&CKの上位概念であるTacticsは比較的高精度に推定可能であることが報告されており,その情報の活用が期待される. 本研究では,TacticsとTechniquesを同時に学習する補助ラベル学習を導入し,Tactics情報がTechniques推定に与える影響を検証した.また,既存研究の評価設定を再検証した結果,モデル選択にテストデータが使用される誤りを発見し,適切な評価条件のもとで比較を行った.実験の結果,補助ラベル学習によりWeighted F1が0.4396から0.4637へと改善し,Tactics情報がTechniques推定に寄与する可能性が示唆された.一方で本手法においては,CVE Descriptionの情報量の制約やTactics情報の活用だけでは解消できない困難が残存し,性能向上は限定的にとどまった. |
| Title | メッセージベクトル統計量を用いたAI Watermark検出における誤検出低減手法の検討 |
| Author | *青木 隆浩, 篠原 昌子, 松山 佳彦 (富士通株式会社社会トラストCPJ) |
| Page | pp. 1293 - 1298 |
| Keyword | 電子透かし, 誤検出低減, ベクトルノルム, ベクトル標準偏差, Watermark Anything Model |
| Abstract | 生成AIの普及に伴い,画像コンテンツの無断利用等が課題となっている.この対策として,画像に人の目には見えない電子透かし(Watermark)を埋め込む技術が注目されている.特にWatermark Anything Model(以下,WAM)は,複数の切り出し画像からでもWatermarkを検出できる特徴がある.一方で,Watermark未設定画像に対して誤って検出する課題(誤検出)が存在する.本研究では,WAMの深層学習モデル(Extractor)が出力する連続値メッセー ジベクトルに基づき,クラスタ単位の統計量から誤検出を識別する後処理方式を提案する.提案方式はWAMの学習・推論処理を改変せず,メッセージベクトルのみを用いて誤検出を低減できる.COCOデータセットの40,670画像を用いた評価の結果,検出漏れを増加させることなく,誤検出率を約3.1%から約0.6%へ低減できることを確認した. |
| Title | LLMにおける否定表現処理の脆弱性に着目したCAPTCHA認証の一考察 |
| Author | *谷口 蒼馬 (奈良先端科学技術大学院大学/先端科学技術研究科/先端科学技術専攻/情報科学領域/サイバーレジリエンス構成学研究室), 妙中 雄三, 門林 雄基 (奈良先端科学技術大学院大学/サイバーレジリエンス構成学研究室) |
| Page | pp. 1299 - 1304 |
| Keyword | ユーザブルセキュリティ, サイバーセキュリティ, CAPTCHA, ボット対策, 大規模言語モデル |
| Abstract | 大規模言語モデル(LLM)の急速な発展により,従来のCAPTCHAは高い精度で突破されつつある.本研究では,LLMが否定表現の処理を苦手とする脆弱性に着目した新しいテキストベースCAPTCHA方式を提案する.提案手法の有効性を検証するため,日本語の常識推論データセットを基に改変をした600問の真偽判定問題を作成し,標準型LLM 5モデルおよび推論特化型LLM 2モデルを対象に,最大出力トークン数を2000に設定した評価実験を行った.実験の結果,標準型LLMは二重否定の論理構造において正答率が低下することが確認された.一方,推論特化型LLMにおいては,正答に至るまでに標準型モデルの数十倍規模のトークン消費を要するだけでなく,過剰な推論によって指示を忘却し,出力フォーマットの逸脱を引き起こす傾向が見られた.本稿では,モデルの性質に応じて「論理的性能の低下」と「計算コストの非対称性」を強制する防御機構を活用し,攻撃者の経済的合理性を破綻させる新たなCAPTCHA認証の有効性を論じる. |
| Title | 階層構造に基づくカラー画像とオートエンコーダを用いた通信ログ異常検知 |
| Author | *野澤 帆希, 駒野 雄一 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 1305 - 1312 |
| Keyword | ネットワーク攻撃検知 |
| Abstract | 近年、情報化社会の進展とともに、サイバー攻撃はますます巧妙化している。これに対し、機械学習を活用した異常検知手法が提案されているが、AIモデルは内部処理が複雑でブラックボックス化しやすく、検知結果の根拠を管理者が理解しにくいことが課題である。 こうした課題に対し、藤井らはネットワーク通信をグレースケールのツリーマップ画像として可視化する画像化手法と、機械学習による異常検知手法とを組み合わせた異常検知手法を提案した。この手法により、通信の挙動を視覚的に把握できるようになったが、検知精度には課題が残っている。そこで本研究では、ツリーマップ画像のカラー化に加え、特徴量や一部の処理方法を変更することで、検知精度および視認性の向上を図る。評価実験の結果、多くの攻撃種で高い精度が示され、さらに攻撃特徴がツリーマップ上に視覚的に表現されることを確認する。 |
| Title | Fanotify による open システムコール制御と即時バックアップを用いたランサムウェア防御手法 |
| Author | *水田 陽己, 野上 保之, 小寺 雄太 (岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科) |
| Page | pp. 1313 - 1319 |
| Keyword | Fanotify, eBPF, ランサムウェア, システムコール |
| Abstract | ランサムウェアによる被害が深刻化する一方,既存の検知手法では検知からプロセス停止までの遅延中に書き込みが継続し,暗号化されたファイルの復元が困難となる場合がある.本研究では,Fanotifyを用いて保護対象ディレクトリへの書き込みopenシステムコールをカーネルレベルで同期保留し,バックアップ取得後に書き込みを許可するランサムウェア防御システムを提案する.悪性判定は非同期で実行し,悪性と判断された場合はプロセスを強制終了してバックアップから復元する.NapierOneデータセット(3295ファイル)を用い,逐次・並列・mmap並列の3種類の暗号化攻撃に対し,デーモン稼働・非稼働の2条件で各5試行ずつ評価した.非稼働時には全試行で3295ファイル全てが暗号化されたのに対し,稼働時の被害ファイル数は常にゼロであった.openシステムコールの平均レイテンシは最大0.243msであり,いずれのファイルサイズでも1ms未満に収まった.以上から,本手法がランサムウェア被害の抑制に有効であり,かつ人間知覚閾値を下回るオーバヘッドで動作することを確認した. |
| Title | FIDO2/パスキー認証の導入状況調査とWebAuthn設定の安全性評価 |
| Author | *田口 凱之 (明治大学大学院 先端数理科学研究科), 菊池 浩明 (明治大学 総合数理学部 菊池研究室) |
| Page | pp. 1320 - 1327 |
| Keyword | FIDO2, パスキー, ウェブセキュリティ, 認証 |
| Title | PoEを利用したIoT機器隔離システムのSNMP性能評価 |
| Author | *川村 千尋, 中川 泰宏 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 1328 - 1333 |
| Keyword | IoT, SNMP, マルウェア, PoE |
| Abstract | 近年,IoT機器へのマルウェア感染が増加している.これらの機器はハードウェアの制約などから,十分なセキュリティ対策が難しくなっている.しかし,IoT機器は特定の動作を繰り返すものが多く,マルウェア感染時は電気使用量や通信量に変化が生じやすい.そこで,電気使用量や通信量の変化をAIで学習し,マルウェア感染を検知する研究が進められている.一方で,実運用には検知後の隔離や復帰といった対応も重要である.そこで本研究では,IoT機器と接続するネットワーク機器上の遠隔管理機能であるSNMPと給電管理機能であるPoEを活用することで,マルウェア検知時に自動で給電制御を行うIoT機器隔離システムを提案する.具体的には,SNMPで電気使用量・通信量を取得し異常判定を行う.判定の結果異常を検知した場合にSNMPでPoE 給電を停止する.1回目の異常検知時はリセットに必要な時間経過後に給電を再開して機器の復帰を行い,2回目以降の異常検知時は再現性があるため給電を停止したまま機器を隔離する.本稿では,本システムの有用性を測るため,SNMPの送信頻度とCPU・メモリの使用率の変化の観点からシステムの実現性について考察した結果を報告する. |
| Title | 発話の均等化を促すエージェントシステムを用いた議論における身体動作の分析 |
| Author | *石垣 実丈 (電気通信大学 情報理工学域), 宮本 大智, 中澤 颯, 西村 龍之介 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻), 石井 裕 (岡山県立大学 情報工学部), 望月 俊男 (早稲田大学 人間科学学術院), 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻) |
| Page | pp. 1334 - 1339 |
| Keyword | 議論支援, 身体動作, エージェントシステム |
| Abstract | 本研究では,発話の均等化を促す議論支援システムを用いた議論において,議論参加者の発話と身体動作にどのような関係性があるのかを分析する.参加者の属性や役割による発話の偏りを解消するために,発話の均等化を促す議論支援システムを開発してきた.これは,主に定量的な発話率を指標として介入の判断を行っていた.しかしながら,介入のタイミングで発話意欲があるかという参加者の内面的な状態を考慮できていないという課題がある.これに対して,身体動作を指標して用いる可能性を検討する.議論支援システムを使用した議論と使用しなかった議論の映像を用いて,発話と身体動作量の関係性を比較した.その結果,議論支援システムの使用の有無に関わらず,発話と身体動作量には関係性がみられなかった.身体動作や表情をより正確に計測し,身体動作が表出しやすい議題を検討した上で,発話の無い時点での身体動作について詳細な分析を行う必要がある. |
| Title | 感情的文脈の復元による議論支援を目的とした音声リプレイ生成システム |
| Author | *宮本 大智, 川島 躍士, 西村 龍之介, 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 1340 - 1345 |
| Keyword | 協調学習, 対話分析, 議論支援, 音声リプレイ |
| Abstract | 教育やビジネスの現場において,継続的な議論は学習や意思決定に不可欠である. 議論の記録には主に議事録が用いられるが,従来のテキストベースの記録では,発話の調子や熱意といった非言語的な感情情報の共有が困難である. 議論中の感情は参加者の協調性や生産性に影響を与える重要な要素であり,議論再開時に前回の感情的文脈を想起させることは,議論の質を高める上で有効であると考えられる. そこで本研究では,前回の議論音声から感情的な特徴を持つ区間を抽出し,次回の議論開始直前に音声要約として提示することで,参加者間の感情共有の復元を支援し,議論序盤のコミュニケーションを活性化させる手法を提案する. 提案手法を実現するシステムを開発し,評価実験を3人1組の4グループにより実施した.システムの導入によって議論および参加者に与える影響を調査した. 実験の結果,システムは概ね肯定的に受け入れられ,議論の活性化やスムーズな導入に寄与する可能性が示唆された. 一方で,自身の声を聞くことに対する不快感や,断片的な音声提示による混乱などが課題として確認された. |
| Title | 話し手を盛り上げる聞き手の振る舞いに関する初期検討 |
| Author | *村田 倫一, 大串 旭 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 石井 亮 (NTT株式会社), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 1346 - 1354 |
| Keyword | コミュニケーション分析, 盛り上がり, 機械学習 |
| Abstract | 対人コミュニケーションにおいて,円滑で豊かな対話を実現するためには,話し手だけでなく聞き手の役割が重要である.聞き手が適切な反応を示すことで話し手は話しやすさを感じ,対話全体が活発になると考えられる.既存研究では相槌や視線などの反応に関する分析が行われているものの,聞き手の振る舞いが話し手の「盛り上がり」の変化に具体的にどう寄与するかは十分に解明されていない.そこで本研究では,聞き手の言語・非言語情報と話し手の盛り上がり度の関係性を明らかにすることを目的とする.具体的には,既存の二者対話コーパスを利用し,聞き手のマルチモーダル情報(視覚・韻律・言語)を入力として,直後の話し手の盛り上がり度の変化(増加・変化なし・減少)を予測する機械学習モデルを構築した.leave-one-session-out交差検証を用いた評価実験の結果,予測モデルのF値は0.398となり,ベースラインモデル(F値0.317)と比較して有意に高い予測性能を示した.また,特徴量の重要度分析の結果,上位項目の多くを視覚的および韻律的特徴量が占めた.これにより,対話の盛り上がりにおいては,聞き手の言語的な発話内容よりも,顔全体の表情の動きや声のトーンの変化といった非言語的な振る舞いが,話し手の盛り上がりを誘発する上で重要な要因であることが示唆された. |
| Title | トピックドリフトの可視化が会議の質に与える影響の調査 |
| Author | *須藤 航, 伊藤 数真 (日本大学文理学部), 村田 倫一, 大串 旭 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 石井 亮 (NTT株式会社NTT人間情報研究所), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 1355 - 1361 |
| Keyword | 可視化, 会議支援, トピックドリフト |
| Abstract | トピックドリフトとは,会議などの議論の場において,話題が意図せず議題から逸脱し,別のトピックへと移り変わる現象である.意思決定会議では,議論を通じて結論を導くことが求められるため,参加者が議題からの逸脱や話題の遷移を把握できない場合,議論の収束が妨げられる可能性がある.本研究では,意思決定会議を対象として,トピックの遷移をリアルタイムに可視化し,参加者に提示することが会議の質に与える影響を調査した.そのために,会議中の発話内容をもとにトピックをクラスタとして扱い,クラスタ間遷移を有向グラフとして可視化する実験用システムを実装した.また,トピック遷移を可視化して提示する実験条件と,可視化を提示しない統制条件を比較する参加者内計画の予備実験を実施した.実験の結果,会議の円滑さに関する主観評価には明確な差は見られなかった一方で,会議の活発さと意見のまとまりに関する主観評価は,実験条件において統制条件と同じ値,またはそれを上回る値となった.さらに,トピックの遷移回数は,統制条件よりも実験条件の方が少なかった.これらの結果から,トピック遷移の可視化は,参加者による議論状況の把握を支援し,会議の活性化や結論形成に良い影響を与える可能性が示唆された.一方で,音声認識結果の誤りに起因する不要なクラスタ生成も確認されたため,今後はシステムを改善したうえで,より大規模な実験により効果を検証する必要がある. |
| Title | 動的な関係文グラフ構築に基づくLLMによる要約不整合検出のトークン効率化 |
| Author | *井上 昴輝, 花田 雄一, 佐藤 広章, 中山 貴祥 (富士通) |
| Page | pp. 1362 - 1368 |
| Keyword | 事実整合性検出, 大規模言語モデル, トークン効率化, 自然言語推論, 要約 |
| Abstract | 近年,インターネット上の偽情報は社会的な問題となってきている.とくに,政治家等の発言の一部を切り抜いた情報やニュース記事の内容に忠実でない表題が要約として拡散し,本来の文脈から歪曲した解釈が流布する事例が見られる.オリジナルのドキュメントを精査して正しい文脈を確認するには時間と労力を要するため,実用的な手段としてLarge Language Model(LLM)サービスを用いて出典となるドキュメントとその要約文の整合性を検出することが有力である.しかし,LLMプロンプトへ長文を入力するため,膨大なトークンコストが発生する懸念がある.そこで本稿では,長文ドキュメントの各文と要約文をノード,それらの関係性をエッジとするグラフ構造を構築し,要約文と隣接する文を優先的に抽出することでドキュメントの生テキストをプルーニングし,入力トークンを削減するフレームワークを提案する.要約文を始点とし,動的にグラフを拡張する仕組みを特徴としており,グラフの構築途中でLLMへの問い合わせを実行し,その中間応答をフィードバックとして活用することでグラフの拡張を制御する.ニュース記事に対して生成されたヘッドラインの誤り検出を行うためのデータセットであるExHalderを用いた評価実験では,ドキュメント全文を与えた場合に対して,提案手法は約84%の基準比精度を維持しながら,トークンを約47%削減する効果を示した. |
| Title | 視覚情報を活用した高精度マルチエージェント議論のためのタスク割当・知識付与手法 |
| Author | *西條 涼平, 鈴木 克洋, 松尾 翔平, 中辻 真, 野本 済央 (NTT株式会社 人間情報研究所) |
| Page | pp. 1369 - 1377 |
| Keyword | AI, マルチメディアシステム, マルチエージェント, LLM, コンテンツクリエーション |
| Abstract | 近年,企画立案などの複雑なタスクをエージェントに解かせるために,タスクを複数のサブタスクに分割し,エージェント同士がそれらについて議論しながら解決を進める手法が提案されている.これらの手法では議論への視覚情報の活用は検討されているが,議論に参加するエージェントへのサブタスクの割り当てや,サブタスク遂行に必要な知識の付与に視覚情報を活用する点については,十分に検討されていない.そのため,議論中に与えられる情報に関する専門性が不足し,成果物の品質向上を妨げている可能性がある.本研究では,タスク割当や知識付与への視覚情報活用により,エージェントの専門性を向上させる手法を提案する.提案手法の有効性評価のため,視覚情報として人間が作成したプレゼンテーション資料の一部を与えてタスク割当と知識付与,エージェント間の議論を行わせプレゼンテーション資料を作成させる実験を行った.実験は,タスク割当と知識付与への視覚情報の活用の有無を変えた4 条件で実施し,成果物の品質評価として人間が作成した資料の再現度に関する比較を行った.その結果,タスク割当と知識付与の両方で視覚情報を用いることで,品質が向上する可能性が示唆された. |
| Title | Google Blockly と大規模言語モデルを用いた双方向型道案内シナリオの自動生成 |
| Author | *八木 崇太, 梶岡 慎輔, 山本 大介 (名古屋工業大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1378 - 1388 |
| Keyword | 大規模言語モデル, 道案内, 自動生成, 地図, ビジュアルプログラミング |
| Abstract | 近年,スマートフォンなどで利用可能な音声道案内システ ムが普及している.現在主流のターンバイターン方式は案内 が簡潔である一方,不慣れな土地では目印などの情報が不足 し,不安を感じるユーザも少なくない.これに対し,MMD Agent などを用いてユーザとの音声対話を登録し,双方向の 道案内を提供するシステムが研究されており,先行研究[1]で は,Google Blockly を用いて音声対話シナリオを編集するシ ステムを構築した.しかしこのシステムには,データベースに 道案内シナリオを登録する際の作業負担が大きいという課題 があった.そこで本研究では,WebAPIによる施設情報の取 得と生成AIによる対話生成を組み合わせることで,道案内 シナリオの自動生成を行う手法を提案する.これにより,道 案内シナリオをデータベースに登録する際の,作業量の軽減 を行った |
| Title | SNSへの即時投稿とプライバシ保護の両立のための時空間適応型モザイク制御手法 |
| Author | *中村 優介, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1389 - 1400 |
| Keyword | SNS, プライバシ保護, 即時投稿 |
| Abstract | 近年,写真投稿型SNSにおいて,写真撮影直後に投稿する即時投稿は若年層を中心に流行している.一方,閲覧者が写真から投稿者の現在地を特定し,ストーカー被害につながるリスクが指摘されている.場所特定防止にはモザイク付加が有効であるが,場所共有が困難となり投稿の魅力を損なう.そこで本研究では,即時投稿の魅力とプライバシ保護の両立を目的に,撮影位置からの移動距離と撮影時刻からの経過時間に応じてモザイク強度を動的に変化させる手法を提案する.予備実験では,関係者への場所共有と第三者による特定防止を両立可能なモザイク強度を調査した.さらに,追跡行動に関する質問紙調査より,追跡リスクが高い移動距離・経過時間を分析し,それらを反映したモザイク制御システムを構築した.場所特定防止精度の評価実験では,撮影場所への訪問を事前に告知した被験者では短時間で場所を共有できた一方,事前の告知がなかった被験者の約半数が一定時間経過後も特定不能であり,提案手法の有効性を確認した. |
| Title | 耳周辺脳波を用いたジェスチャ動作と日常動作の識別 |
| Author | *染川 侑太, 雨坂 宇宙, 岩井 大輔 (大阪大学) |
| Page | pp. 1401 - 1410 |
| Keyword | ヒアラブルデバイス, 非接触ジェスチャ, Brain Computer Interface, Ear-EEG, 意図推定 |
| Abstract | ヒアラブルデバイスは多機能化が進む一方で、小型筐体に起因する物理入力インターフェースの制約から、非接触ジェスチャ入力が注目されている。しかし、非接触ジェスチャ入力には、操作意図のない日常動作をコマンドとして誤認識する課題が存在する。本研究では、この誤認識問題を解決するため、耳周辺脳波(Ear-EEG)からユーザの操作意図を推定する手法を提案する。非接触ジェスチャ入力の一例として、イヤホンからの音漏れを利用したジェスチャ識別を採用し、脳波信号と統合するマルチモーダル識別モデルを構築した。 10名の参加者を対象とした実験の結果、脳波単体モデルにおいて、10名中8名でチャンスレートを有意に上回る精度で操作意図を識別でき、最大識別精度は64.2%に達した。さらに、SHAP値を用いたモデル解釈解析により、識別器がアーチファクトではなく、運動企図に伴う神経生理学的特徴である運動関連皮質電位(MRCPs)のピークを根拠に判断していることが示された。また、音漏れ信号と脳波信号を統合したモデルは、音漏れ単体モデルと比較して識別精度が2.35%有意に向上し、その差は p < 0.01 の有意水準で確認された。これらの結果は、Ear-EEGを用いた操作意図推定が、非接触ジェスチャ入力における誤認識問題に対して有効なアプローチであることを示している。 |
| Title | PPGセンサを移動させることで安定した計測を実現する手首装着型デバイスの開発 |
| Author | *藤井 敦寛, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 1411 - 1418 |
| Keyword | PPG, ウェアラブルデバイス, スマートウォッチ |
| Abstract | PPGセンサから計測されるデータの欠損を防ぐためには,適切なデータが計測できる位置にセンサを装着し続けることが求められる.しかしながら,計測値をモニタリングし続け,異常値が検出された時点でユーザがセンサの装着位置を調整することは煩雑である.本研究ではPPGセンサが異常なデータを計測した際に,適切な装着位置にセンサを移動させるデバイスを開発する.開発するデバイスはセンサの位置を自動で調整するため,ユーザによる作業を必要としない.そのため,歩行などのタスク中にセンサの装着にズレが発生したとしても適宜修正され,その後の安静時に高品質なデータの計測が可能となる想定である.プロトタイプデバイスを実装し,提案手法の有効性を検証する評価実験を行った.その結果,動作と停止を繰り返すようなタスクにおいては,デバイスを用いてPPGデータに異常が発生した時点でセンサを最適な装着位置に移動するという提案手法が有効であることが明らかになった. |
| Title | ウェアラブル生体情報による順化状態を考慮した暑熱快適性評価に関する研究 |
| Author | *櫻井 香乃佳, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 1419 - 1431 |
| Keyword | 熱中症, 暑熱順化, 生体情報, ウェラブル |
| Abstract | 地球温暖化に伴い、個人の生理状態に応じた熱中症リスク管理が求められている。現在普及している暑さ指数は環境指標であり、個人の「暑熱順化状態」という要因を反映できない。 先行研究ではウェアラブルセンサを用いた評価が試みられているが、生理指標の「絶対値」に依存する手法では個人差や日内の変動を排除しきれない課題がある。本研究では、環境遷移に伴う生体反応の「変化量」に着目し、順化状態を考慮した熱的快適性評価手法を提案する。 |
| Title | 心拍状態に基づいた音声テンポガイダンスによる縄跳び運動強度の安定性向上支援システム |
| Author | Zhuoyue Xi, *宗片 優光乃, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 1432 - 1440 |
| Keyword | スポーツ, 心拍, 縄跳び, スマートウォッチ |
| Abstract | 縄跳びは時間効率に優れた有酸素運動ですが,適切なテンポの維持が難しく,リズムの乱れによる疲労が生じやすいという課題があります.本研究は,心拍数と連動したメトロノームの音声テンポ支援により,運動リズムと運動負荷の安定化を目指すシステム「JumpTune」を提案しています.本システムは,腰に装着したセンサ(MetaMotionS)で跳躍を検出し,スマートウォッチで心拍数を取得します.運動中,心拍数が目標ゾーン(最大心拍数の55〜65%)に収まるよう音声テンポを120〜140BPMの間で自動調整し,跳躍リズムが乱れた際には音声で「FAST/SLOW」のフィードバックを行います.11名を対象とした評価実験の結果,跳躍検出精度は99.6%,中断検出精度は97%と非常に高精度でした.テンポ支援により跳躍リズムのばらつきが減少し,リズム安定化への寄与が確認されています.特に,心拍数が低い状態から目標値へ引き上げる際の即時的な誘導効果が確認されました.また,システムのユーザビリティ評価(SUSスコア)は平均90.28点と極めて優れていると評価されました.一方で,心拍数が高い状態からの低下には生理応答の遅延が影響しやすいことや,開始時の心拍状態の差が効果の個人差を生む主要因となる可能性が示され,今後はそれらに合わせた制御設計の最適化などが課題とされています. |
| Title | 遠隔プレゼンテーションにおける VR および AR を用いた同席感向上システムに関する研究 |
| Author | 高橋 周, *粂 汰燈, ロペズ ギヨーム (青山学院大学) |
| Page | pp. 1441 - 1450 |
| Keyword | 遠隔共存, 拡張現実, 仮想現実, 空間共有 |
| Abstract | 本研究では,遠隔プレゼンテーションにおける同席感の向上と身体的負担の抑制を目的とし,ARとVRを組み合わせた非対称型遠隔プレゼンテーションシステムを提案する.提案システムは,Host側の実空間の景観要素や家具配置をGuest側のVR環境へ反映するとともに,HMDのトラッキングデータと発話状態にリアルタイム連動するアバター表現を導入することで,コントローラ操作に依存しない直感的な空間共有を実現する.ビデオ会議システムとの比較評価実験の結果,提案システムは実用的な操作性を維持しつつ,「一緒にいる」「近い」といった同席感に関する主観評価を有意に改善することを確認した.一方で,デバイス装着に伴う身体的負荷や空間共有感の個人差などの課題も明らかとなり,今後の遠隔コミュニケーション基盤の実現に向けた知見を得た. |
| Title | 現実世界の物体と生成仮想物体への英単語重畳表示に基づくAR語彙学習システム |
| Author | *藤田 竜也, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1451 - 1458 |
| Keyword | AR, 物体検出, モバイルアプリケーション, 語彙学習 |
| Abstract | 英語は国際的な共通言語として広く用いられており,英単語の習得は,英語学習において重要な要素の1つである.英単語の学習方法としては,単語帳やアプリケーションを用いた学習が一般的である. これらの手法は時間や場所を選ばずに学習できる点で有用であるものの,学習内容が単調になりやすく,学習者の集中力が持続しにくいという課題が指摘されている. この問題を解決するため,近年では拡張現実感(AR: Augmented Reality)技術を用いて,現実世界の物体に対応する英単語ラベルを重畳表示し,日常生活の中で英単語を学習する手法がある. しかし,この手法では,学習対象となる英単語が日常生活に存在する物体に限定されるという課題がある.そのため,日常生活において出現頻度が低い単語や,特定の分野や状況でのみ用いられる単語については,十分な学習機会を得ることが困難である. そこで本研究では,学習者の英単語の語彙拡充を目的として,日常生活において出現していない物体の仮想ポスターを生成し,現実世界の物体と仮想ポスターの両方に対応する英単語ラベルを重畳表示する英単語学習支援システムを提案した. 提案システムでは,生成AIを用いて未出現物体をAR表示することで,現実世界では学習機会を得にくい語彙についても,日常生活の中で学習できる. 提案システムの有用性を検証するために,被験者を提案システム使用群と英単語帳使用群の2群に分け,学習前,学習直後,学習から3日後に英単語テストを行ったところ,両群ともに学習前と比較して学習直後および3日後の成績が有意に向上し,提案システム使用群は英単語帳使用群と同程度の学習効果および記憶定着を示した. |
| Title | 遠隔ロボットアームシステムにおけるVR映像に基づく把持作業支援 |
| Author | *坪内 陸斗, 筒井 秀斗, 出口 秀輝, 渡辺 圭貴, 志村 魁哉, 林田 望海 (名古屋大学大学院工学研究科), Felix Jimenez (名古屋大学未来社会創造機構), 浦野 健太, 米澤 拓郎 (名古屋大学大学院工学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科/名古屋大学未来社会創造機構) |
| Page | pp. 1459 - 1468 |
| Keyword | 遠隔, ロボットアーム, VR, 作業支援 |
| Abstract | 遠隔ロボット操作は,災害現場や汚染環境などの危険環境,および人手不足地域における作業支援手段として重要性が高まっている.こうした実環境での作業には対象物の選択や作業手順の判断,予測困難な例外処理が求められるため,人間の認知・判断を組み込んだ遠隔操作が不可欠である.遠隔操作では,操作者が作業環境を直感的に認識できる映像フィードバックが重要であり,VR(Virtual Reality)映像を用いた没入型インタフェースが注目されている.しかし,VR 映像では奥行き知覚に制約があり,把持操作における精密な位置合わせに操作負荷が生じやすい.この負荷を軽減するため,操作者が把持対象の選択に集中できるよう把持動作を半自動化する支援構造が求められる.本研究では,VR 遠隔ロボットアーム操作における把持タスクを対象に,操作者が必要に応じて手動操作と自動把持を明示的に切り替える「明示的切替型」の半自動支援構造を提案する.従来の共有制御や適応的共有自律がシステム主導で支援量を調整するのに対し,提案手法では自動モードへの移行・復帰を操作者が制御するため,操作者がロボットの動作根拠を常に把握でき,意図しない自律動作を防止できる.手先カメラ映像に対する物体セグメンテーションにより対象物の位置を推定し,アームの位置操作から対象物の選択へ移行するタイミングが異なる3 つの対象物選択手法(手先位置選択・最近傍選択・スティック選択)を実装した.平面的な対象物を扱った予備実験では,位置合わせを簡略化した最近傍選択が完遂時間・主観的評価ともに最良の成績を示し,手先位置選択の上位互換として機能する仮説が立てられた.しかし,三次元的に物体が近接・混在する環境を用いた本実験(12 名)においては結果が逆転し,手先位置選択が完遂時間および操作負荷の観点で最も安定した値を示す傾向が確認された.一方で,3 手法間に統計的有意差は認められず,配置密度に応じた手法の使い分けの可能性も示唆された. |
| Title | 環境情報とユーザ嗜好に基づくARを用いた知識拡張手法の検討 |
| Author | *松本 亘平, 出口 秀輝, 渡辺 圭貴, 志村 魁哉, 林田 望海, 浦野 健太, 米澤 拓郎 (名古屋大学大学院工学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科/名古屋大学 未来社会創造機構) |
| Page | pp. 1469 - 1476 |
| Keyword | 推薦システム, セレンディピティ, AR, 認知拡張 |
| Abstract | 推薦システムの発展により,個人の嗜好に合わせた情報へのアクセスは容易になった.一方,過度なパーソナライズはフィルターバブルを生み出し,ユーザを既存の興味に閉じ込める.さらに,ユーザが能動的に情報を探索しようとしても,その範囲は本人の事前知識によって制約され,全く未知の分野への到達は困難である.これに対し,日常の物理空間はユーザの興味とは無関係に多様な物体を含んでおり,予期せぬ知的発見の場として活用できる可能性がある.そこで本研究では,ARを活用して日常空間の物体を起点とし,ユーザの既存の嗜好と未知の領域を橋渡しする知識拡張システムを提案する.ユーザの興味プロファイルに基づいて物体が興味範囲の内外どちらに位置するかを判定したうえで,既知の対象から未知の領域へと視点を広げる「馴質異化」と,未知の対象を既知の知識へと結びつける「異質馴化」の2つのアプローチで解説を生成し,日常空間での予期せぬ知的発見を支援する.提案手法の有効性を検証するため,完全なAR実装に先立ち,20名の参加者を対象に日常への親しみやすさの異なる5種類の環境で被験者内実験を行った.その結果,見慣れない環境では異質馴化手法および比較手法がベースラインを有意に上回り,物理空間における情報提示が予期せぬ知的発見を促す効果が示唆された.しかし,馴質異化手法はいずれの指標においても有意差には至らなかったものの,一部の指標でベースラインを上回るスコアを示しており,プロファイル精度の向上と情報粒度の動的制御が,今後の重要な設計課題として明らかとなった. |
| Title | 生長モデルを用いたメロン生育過程評価と品質推定の検討 |
| Author | *ヒダヤット ダニスアディラ (静岡大学情報学部), 海老沢 源 (静岡大学大学院総合科学技術研究科情報学専攻), 小池 誠 (静岡大学情報学部), 小川 晋, 土岐 賢介, 田代 貴志 (株式会社大和コンピューター), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/静岡大学グリーン科学技術研究所) |
| Page | pp. 1477 - 1484 |
| Keyword | 時系列データ解析, スマート農業, 生育過程評価 |
| Abstract | 温室メロンは一樹一果で栽培される高級農芸品であり,生育段階によって異なる環境管理が求められることが知られている.これに対し,生産者は果実の状態を定性評価し,理想状態との乖離に応じて環境を制御して肥大・網目形成を促すという高度な管理を行う.そのため,技術の継承が困難になるという課題がある.本研究では,計測した温室メロンの時系列な生育データと,網目発生日を起点とした有効積算温度時間軸による生長モデルを用いて,生育状態の推定と,栽培途中データからの生育不良の検知を目的とする.先行研究で確立した分岐点数に基づく網目定量化の手法に加え,方向別の網目形成量を定量化することで,生産者が着目する生育イベントを機械的に算出する手法を考案した.また,有効積算温度を生育日数として分析することで,従来課題とされていた季節ごとの生長速度の違いを正規化できることを確認した.さらに,統合したデータセットを用いて,RFEによる特徴量選択の傾向から生育傾向の分析を行い,網目発生から一定の熱量の段階で収穫時品質の推定と生育不良個体の検知できる可能性を示した. |
| Title | 時系列情報を統合したKeypoint検出モデルによる植物萎れ追跡手法の提案 |
| Author | *甲部 寛正 (静岡大学情報学部), 大沼 理巧 (静岡大学大学院総合科学技術研究科情報学専攻), 小池 誠 (静岡大学情報学部), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/グリーン科学技術研究所) |
| Page | pp. 1485 - 1492 |
| Keyword | 萎れ追跡, 農業, トラッキング, 時系列データ |
| Abstract | 近年,作物栽培における品質向上や節水を実現するため,カメラ映像を用いた植物の萎れ定量化に基づく自動潅水制御が研究されている.先行研究では,KeyPoint検出を用いて,現場で動作可能である軽量な自動潅水システムが実証されていた.しかし,静止画ベースの検出手法であるため,逆光等の照明条件により葉と背景が同化し,検出の精度が低下するという課題があった.本研究では,この課題を解決するため,時系列情報を統合したKeyPoint検出モデルを提案する.提案手法は,現在のフレーム画像に加え,過去の推論結果から生成したヒートマップを入力として統合することで,動画処理のような膨大な計算を行うことなく時間的な文脈を考慮した安定した検出を実現する.実際のトマト栽培農場で収集したデータセットを用いた評価実験において,提案手法は既存手法と比較して約48%の誤差削減を達成し,動画入力手法に匹敵する追跡精度をエッジデバイス上で実現した.提案手法はRaspberry Pi 5とONNX Runtimeの組み合わせにより1フレームあたり約1.3秒での推論が可能であり,実運用環境において十分な処理速度を有することを確認した.一方,他種植物の葉に対する追跡はうまくいかなかったため,ドメイン汎化性能の向上が今後の課題として挙げられる. |
| Title | 深度画像に基づくImproved Follow the Gap Method(FGM-i)を用いた温室内自律走行UGVの提案 |
| Author | *鈴木 遥陽 (静岡大学情報学部), Al Zobaer (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 小池 誠 (静岡大学情報学部), 野村 祐一郎 (静岡大学学術院情報学領域), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/グリーン科学技術研究所) |
| Page | pp. 1493 - 1500 |
| Keyword | UGV, 深度画像, ROS, データ収集, 自律走行 |
| Abstract | 温室内での農作物生育モニタリングを目的とした自律走行UGVには,低コストかつ環境変動に対してロバストな走行制御が求められる.既存のマーカー追従方式は軽量に動作する一方,照明変動やオクルージョンによって認識が途絶しやすく,走行安定性を損なう.また,SLAM系手法は処理コストが高く,2D-LiDARベースのFollow the Gap系手法は作物列の立体的な構造を扱いにくい.本研究では,温室通路を「作物列に囲まれた自由空間の連続」と捉え,障害物回避アルゴリズムであるImproved Follow the Gap Method (FGM-i)を深度画像に適用することで,低コストかつロバストな走行制御手法を提案する.深度画像からROIを抽出して1次元深度プロファイルを生成し,重み付き効用関数により最適ギャップを選択して操舵指令に変換する.室内および温室環境での走行実験の結果,通常環境ではマーカー追従方式と同等の走行精度を示した.光障害・オクルージョン環境ではマーカー追従方式の完了率が大幅に低下する中,提案手法は全試行で走行を完了し,環境変動に対するロバスト性を確認した.また,Raspberry Pi 4B上で平均処理時間33.12msのリアルタイム動作も達成した. |
| Title | 通信品質に注目した農業IoT無線ネットワーク管理の検討 |
| Author | *塩崎 慶子 (創価大学), 清原 良三 (神奈川工科大学), 篠宮 紀彦, 寺島 美昭 (創価大学) |
| Page | pp. 1501 - 1509 |
| Keyword | 農業IoT, ネットワーク管理, 時系列データ, 通信品質, ブラックボックス解析 |
| Abstract | 近年では一定時間ごとに農作物の育成状態や環境データを収集する,アドホックネットワークを用いた農業 IoT の導入が期待されている.農業現場における無線通信では,農作物や移動物,気候などに起因する通信の不安定化によって,農家に必要な情報が届かなくなることが課題として挙げられる.既存の研究では,農業 IoT におけるデータ収集の頻度が比較的低いことに着目し,一定周期で取得した通信経路のトポロジー変化を用いた監視手法を提案してきた.しかし経路情報のみでは,実際のパケット転送能力や潜在的な通信障害,および不具合の原因箇所を把握するには至っておらず,監視として不十分である.そこで本稿では,端末間における通信量の時系列パターンの類似度に着目した,新たな通信品質指標を提案する. 本手法は,パケットの中を解析しないブラックボックス解析を前提とし,端末間の通信量変化の相関を評価することで,ネットワークの品質低下を定量化するものである.ネットワークシミュレーションによる,特定の端末間距離を離すことで,経路が破綻する直前を再現したトポロジーでの検証の結果,特定区間の端末間距離によって動的に変化する通信品質のボトルネック区間を示すことができ,ネットワークの内部状態による通信量の変質や,ネットワーク全体の構造的な変化を評価できることが明らかになった. |
| Title | 電子カルテデータにおけるインタラクティブな頻出パターン抽出手法の評価 |
| Author | *青柳 結衣, Hieu Hanh Le, 松尾 亮輔, 山�� 友義, 荒木 賢二 (お茶の水女子大学), 横田 治夫 (城西大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1510 - 1514 |
| Keyword | シーケンシャルパターンマイニング, インタラクティブシーケンシャルパターンマイニング |
| Abstract | データ活用が進む中,頻出パターンを抽出するシーケンシャルパターンマイニング (SPM) が注目されており,その中でも閾値を調整しながら解析を繰り返すインタラクティブな SPM が不可欠である.このような問題設定に対し,解析結果を知識ベース (KB) として保存することで,再計算を避け,実行時間の短縮を実現する代表的手法として KISP が提案されている.しかし,閾値が単調減少する場合には高速化が期待できる一方で,KB の容量が大きい場合や増減を繰り返す場合は,探索や管理に要するコストが増大し,実行時間がかかる.また,過去の解析で得られた頻出パターンが十分に考慮されていないため,本来生成されるべき候補シーケンスが生成されない場合がある.そこで,KISP の改善をした手法を提案する.本稿では提案手法の実装変更を行い、処理の最適化を行う.また,電子カルテに適用し,より実利用環境に即した評価を行う. |
| Title | スマート農業における異種データ連携基盤の性能評価 |
| Author | *芦田 多香子, Le Hieu Hanh, 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1515 - 1523 |
| Keyword | ブロックチェーン, 分散データベース |
| Abstract | 複数の組織やシステムに分散して存在する多種多様なデータを連携し,高信頼に管理する基盤の重要性が高まっている.特にスマート農業では,温度や湿度などの環境データ,作物の生育情報などが継続的に生成・追加されるため,データの改ざん検知や来歴追跡を可能とする検証可能性が重要である.既存研究では,データ間の関係を木構造として表現し,各ノードのハッシュ値をブロックチェーン上で管理することで,改ざん検知や改ざん箇所の特定を可能とする手法が提案されている.しかし,実応用で想定されるアンバランスな木構造において,データ追加時の処理時間がどのように変化するかは十分に明らかにされていない.そこで本研究では,Hyperledger Irohaを用いた分散共有基盤を構築し,一定木と非一定木を比較することで,木構造の違いがデータ追加処理性能に与える影響を評価した.実験の結果,非一定木ではハッシュ値再計算時間が増加し,全体実行時間の平均値および2.5秒を超える試行の割合が増加した.本結果より,継続的にデータが追加されるスマート農業向け分散共有基盤では,追加対象ノードからルートノードまでのパス長を考慮した木構造設計が重要であることを示した. |
| Title | 害獣駆除を目的としたロボットの連携制御プラットフォームの提案 |
| Author | *八幡 和佳 (岩手県立大学), 鈴木 彰真 (創価大学/岩手県立大学), 佐藤 永欣 (岩手県立大学) |
| Page | pp. 1524 - 1531 |
| Keyword | ロボット, 分散処理, エージェント |
| Abstract | 近年,シカやイノシシ,カラスなどによる農作物被害が深刻化している.しかし,従来の害獣対策は人手に依存しており,継続的な監視や対応が困難となっている.そこで本提案では,地上ロボットやドローンなど複数のロボットを連携制御する「害獣駆除ロボット連携制御プラットフォーム」を提案する.本システムでは,共通インタフェースを用いて異なる種類のロボットを統合管理し,センサ情報を共有することで効率的な監視を実現する.今回の提案では,地上用の装輪式ロボットとクローラー式ロボットに加えて上空監視用ドローンによる追跡を組み合わせることで,広範囲の農地に対する柔軟な害獣対応を可能とする.本研究では,ロボット間通信および協調制御機能を提案する. |
| Title | エンドツーエンド海洋デジタルツイン基盤によるブルーカーボン生態系の計測・定量化 |
| Author | *宮崎 滉己, 折田 健二 (富士通株式会社 セキュリティサイエンス研究所) |
| Page | pp. 1532 - 1538 |
| Keyword | デジタルツイン, ブルーカーボン, クラウド基盤 |
| Abstract | ブルーカーボンの定量化では,計測・解析・定量化が分断された工程として実施されており,広域海域に対する迅速な評価が困難であった.本研究では,観測データのアップロードからCO2吸収量の定量化までを一気通貫で実行可能なエンドツーエンド(E2E)海洋デジタルツイン基盤を提案する.本基盤では,処理単位・空間分解能・処理時間の粒度を全工程で統一し,クラウド上で計測から定量化・可視化までをE2Eで統合実行する.実海域での評価の結果,約30分/haでの定量化処理を実現し,申請したCO2吸収量の95%がブルーカーボンクレジットとして認定された. |
| Title | (招待講演) AIの普及がもたらす社会の変化と課題 |
| Author | *土井 裕介 (株式会社Preferred Computing Infrastructure/株式会社Preferred Networks) |
| Page | pp. 1539 - 1540 |
| Abstract | 2017年のTransformer登場以降、LLMは社会に劇的な変化をもたらし、AIの主戦場は「学習」から「推論」へと大きくシフトしている。推論需要の爆発は計算資源やインフラの供給逼迫を招いており、特定の巨大モデルへの過度な依存は、デジタル主権や企業・個人の「固有性」喪失のリスクを孕む。本講演では、AIの均質化を防ぐための「ホワイトボックスとブラックボックスの接合」や、ローカルAI環境の重要性を論じる。さらに、推論の物理的ボトルネックを打破する特化型プロセッサ(MN-Core Lシリーズ等)やPFCPの取り組みを紹介し、次世代の分散・協調型AIアーキテクチャに向けた学会への期待を述べる。 |
| Title | 小規模言語モデルにおける個人情報活用技術の検討 |
| Author | *川村 碧葵 (お茶の水女子大学), 丸 千尋 (中央大学/お茶の水女子大学), 中野 美由紀 (津田塾大学/情報・システム研究機構), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1541 - 1544 |
| Keyword | AI, モバイルコンピューティング, エッジコンピューティング, プライバシー保護 |
| Abstract | 近年,生成AI,特に大規模言語モデル(LLM)を用いた情報検索,要約,機械翻訳などの技術が大きく進展している。また,IT技術の進展により小型のセンサーデバイスが様々な場所で利用されており,スマートフォンのGPS記録からヘルスケアに関する体温,脈拍,あるいは,医療デバイスによる心電図情報の収集など,個人情報を含むデータ利用が急速に進んでいる。現在のLLMの利用ではクラウド上でサービスが提供されることが一般的であるが,上記のような個人情報を含むデータの扱いについては,漏洩リスクのある外部サーバへ送信せずに端末内で安全な処理をすることが求められている。つまり,エッジデバイスの性能が向上しつつある状況において,デバイス上のデータを用いた分野特化型の小型生成AIモデル(SLM:Small Language Model)が期待されている。一方,エッジデバイス上の計算リソースには限界があり,大規模言語モデルを動作させることは難しいため,用途に適応したSLMの開発が求められている。本稿では,デバイスで動作可能な小規模言語モデルの構築を目指し,まずは,分野特化のための手法として,言語モデルの中に特定分野の情報も学習するファインチューニングと,特定分野の情報をプロンプティング時にその一部をモデルに渡すことで出力精度を向上させるRAGについて、併用した場合の有効性について検討をする。本論文では,日本語のQAタスクであるJSQuADデータセットを追加学習に用い,これらのデータを事前に追加学習させた場合と学習しなかった場合で,RAGの精度向上に影響を与えるか,評価実験を行い,その結果を報告する。 |
| Title | AIエージェントを用いた観光ナラティブ抽出に基づく観光資源評価手法 |
| Author | *戸簾 隼人 (滋賀大学), 甲斐 尚人 (大阪大学), 義久 智樹 (滋賀大学) |
| Page | pp. 1545 - 1552 |
| Keyword | 大規模言語モデル, 旅行行動分析, 地域情報システム, ユーザモデリング |
| Abstract | 観光資源の価値は,来訪者数や評価点だけでなく,旅行者が資源をどのような文脈で理解し,前後の行動や共有へ接続するかにも左右される.本研究では,観光資源を来訪者の期待,経験,意味づけを媒介するナラティブの結節点として捉え,AIエージェントにより観光資源評価ベクトルを構成する手法を提案する.提案手法では,AIエージェントを仮想来訪者として用い,行動系列,訪問理由,期待体験を生成し,理由文と期待体験から抽出したナラティブ要素を,レビュー,評価値,説明文等に基づく観測ナラティブプロキシと照合する.また,移動制約診断により,語りとしての魅力と移動可行性を分離して評価する.距離・勾配・身体負荷の影響が大きい周遊観光を対象に,東京湾岸・都心部および富士五湖エリアで小規模実証を行った.その結果,構造化されたナラティブ評価,観測ナラティブとの整合性,地域評価ベクトル,移動制約リスクを併せて記述できることが示唆された. |
| Title | Confidential VM上の機密情報拡散追跡機能における追跡ログの由来確認と改ざん検知機構の設計 |
| Author | *乾 朱来 (岡山大学大学院環境生命自然科学研究科), 山内 利宏 (岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域) |
| Page | pp. 1553 - 1560 |
| Keyword | Confidential Virtual Machine, リモートアテステーション, 情報追跡, ログの由来確認, ログの改ざん検知 |
| Abstract | Confidential Computingは,処理中のデータ保護を実現する技術であり,この実現方式の1つとして,Confidential Virtual Machine(以降,CVM)がある.このCVM上で安全に機密情報を取り扱うためには,機密情報の利用状況を把握することが重要である.機密情報拡散追跡機能は,機密情報に対する処理を監視し,ログを出力する.しかし,本研究で想定するCVMの利用形態では,CVM外部から機密情報の利用状況を確認したい主体(以降,外部の主体)は,CVMを運用する主体が提示するログのみ確認可能であり,ログの差し替え,および改ざんを検知できない.このため,提示されたログが対象のCVMに由来し,改ざんされていないことを確認できないという課題がある.本稿では,この課題に対処する上で求められる要件と要望を整理し,これらを満たす機構の設計について述べる.提案する機構は,Virtual Machine Privilege Levelsを用いて,ゲストOSから隔離した領域に配置する.この領域において,ゲストOSから受け渡されたログ,およびログの由来確認と改ざん検知を可能にするための鍵を管理する.外部の主体は,CVMから提示されたログについて,提案機構による署名,およびログのハッシュ連鎖値を確認する.これにより,外部から当該ログが対象のCVMに由来すること,および改ざんされていないことを確認可能にする. |
| Title | PCB撮像画像を用いた深層学習による電磁波漏洩箇所推定手法の提案 |
| Author | *八木 韻 (長崎県立大学) |
| Page | pp. 1561 - 1568 |
| Keyword | ハードウェアセキュリティ, サイドチャネル攻撃, 深層学習, 漏洩電磁波, PCB |
| Abstract | 本稿では,プリント基板(PCB)の撮像画像から電磁波漏洩箇所を推定する深層学習手法を提案する.従来の近傍界スキャンの手法は,高精度な評価が可能である一方で,多数の測定点に対する走査を必要とし,計測時間ならびに導入コストの観点で課題があった.本研究では,PCBのRGB画像を入力とし,電磁波漏洩分布をヒートマップとして推定することで,物理的な走査を伴わない新たな評価手法を実現する.本手法の有効性を検証するため,実測ヒートマップの統計的傾向に基づいて生成した疑似データを用いてモデルの学習および評価を行った.実験の結果,未知のターゲット基板に対しても,漏洩の発生源を平均誤差29.26ピクセルで推定可能であり,大まかな位置を捉えられることを確認した.一方で,強度分布の詳細な再現には課題があり,疑似データと実測データの分布差が影響していると考えられる.以上より,本手法は電磁波漏洩箇所の粗い箇所推定や探索候補の絞り込みに有効であり,従来手法と比較して計測時間および導入コストの大幅な削減が期待できる. |
| Title | フレーム差分に基づく撮影耐性電子透かし |
| Author | *松濤 智明, 篠原 昌子, 松山 佳彦 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 1569 - 1573 |
| Keyword | 電子透かし, カメラ撮影, 画像処理 |
| Abstract | 本研究では,スクリーンやディスプレイに表示された映像をカメラで撮影する環境においても高精度に透かし情報を抽出可能な電子透かし手法を提案する.従来の電子透かし技術は,圧縮や切り抜きなどの電子的な加工に対しては高いロバスト性があるが,撮影距離や撮影角度,照明条件の変化など,撮影による画像変化に対しては十分な耐性を持たないという課題があった.そこで,透かしを埋め込んだ画像と透かしの符号を反転させて埋め込んだ画像を交互に表示して撮影し,撮影画像に対してフレーム間の加算および減算処理を行うことで,フレーム間で共通に現れる撮影による変化を相殺し,透かし成分を効果的に強調する新たな電子透かし手法を提案する.提案手法は既存の透かし技術に手を加えることなく適用可能な方法であり,評価実験の結果,提案手法は従来手法と比較して撮影環境下での透かし抽出精度を大幅に改善し,正面条件では最大8 mの距離においても透かし抽出が可能であり,撮影角度を含め,透かし抽出が可能な領域の拡大を実現した. |
| Title | 異常検知アルゴリズムを用いたウィンク動作による顔認証手法 |
| Author | *櫻田 空大 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部) |
| Page | pp. 1574 - 1581 |
| Keyword | 生体認証, 画像認識, 異常検知, 特徴量抽出, ウィンク動作 |
| Abstract | ディープフェイクの発展により,顔認証システムでは動画や写真を用いたなりすましの脅威が高まっている.特に,2D認証は平面的な顔の特徴を用いるため,動画や写真を用いたなりすましに脆弱である.本研究では,なりすましに強い2Dの顔認証手法を実現するため,ウィンク動作を用いた手法を提案する.ウィンク動作は日常的に行わないため,事前に撮影することが難しく,なりすましに強いと考えられる.提案手法では,2Dカメラを用いてウィンク動作を撮影する.次に,目の開き具合を基に,ウィンク動作が行われている区間を検出し,顔のランドマークを用いて特徴量を抽出する.最後に,抽出した特徴量を基に認証モデルを構築し,個人認証を行う.先行研究ではモデルの構築に2クラス分類アルゴリズムを用いたが,学習に他人データを必要とするため学習コストが高いという課題があった.本稿では,この課題を解決するために異常検知アルゴリズムを適用する.複数の異常検知アルゴリズムを評価した結果,F-measureが約0.9の認証精度を達成した.さらに,ステップワイズ法を用いた特徴量選択により認証精度が向上した.また,選択された特徴量を分析したところ,無意識の微細な動作が認証に有効なことが明らかになった. |
| Title | 在留外国人を想定したペルソナ条件付きLLMの妥当性に関する基礎検討 |
| Author | *塩田 実久 (お茶の水女子大学), 川井 智賢, 三田 智之, 畑山 海羽斗, 長田 繁幸 (株式会社 日本総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1582 - 1590 |
| Keyword | ペルソナ, LLM |
| Title | 投票済証明書発行システムの設計 |
| Author | *橋本 晃太朗 (慶應義塾大学 環境情報学部), 望月 理来, 阿部 涼介 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 曽我 悠真 (慶應義塾大学 環境情報学部), 鈴木 茂哉 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科) |
| Page | pp. 1591 - 1597 |
| Keyword | 投票済証明書, デジタル署名, デジタル証明書, Verifiable Credentials, 投票システム |
| Abstract | 現代のデジタル社会においてデータの完全性の保証は喫緊の課題である.特に現状の投票システムにおいて,投票者の行為を証明する「投票済証明書」は物理的な紙や単なる画像データとして扱われることが多く,データの完全性を第三者が暗号学的に検証できないという課題がある.本稿では,Verifiable Credentials(VC)を用いた投票済証明書発行システムを提案する.具体的には,事前にコンソーシアム運営者が参加者に対して発行した「参加チケットVC」を用いて有権者の確認を行い,投票完了後に投票した参加者に対して「投票済証明書VC」を発行する仕組みを構築する.本システムは,OpenIDに準拠したトランスポートプロトコル( OID4VCI / OID4VP )を採用することで,特定のベンダーや専用アプリに依存しない柔軟な運用を可能にする.実証実験の結果,データの完全性と発行元の正当性が第三者による暗号学的な検証が可能であることを確認し,既存手法との比較を通じてその有効性を評価する. |
| Title | 竹取引時の接触成立を第三者が検証可能なモデル |
| Author | *酒井 実, 望月 理来, 阿部 涼介, 鈴木 茂哉 (慶應義塾大学) |
| Page | pp. 1598 - 1603 |
| Keyword | 検証可能性(Verifiability), 対面取引(Physical interaction), 接触証明(Contact Proof) |
| Abstract | 竹害防止と竹資源活用を目的としたオンラインプラットフォームの構築を想定し,その中で生じる対面取引時のユーザー同士の接触を第三者が検証可能にする仕組みを提案する.石油製品の台頭に伴い増加した放置竹林により竹害が深刻化する一方で,竹は安価でクリーンな工業資源として再評価されている.しかし,竹林所有者と竹購入者の間で所有者情報が十分に共有されておらず,需要と供給が適切に繋がれていない.これに対し,購入の条件にあった竹林を探し,その所有者と取引する手段として竹害対策プラットフォームを想定する. 特に,対面取引成立の前提となる竹林所有者と竹購入者の接触に着目する.事前に合意された時間および場所における接触の状態を,事前にサービスが定義した条件に基づき判定し,第三者が検証可能にすることを目的とする.そのため,トークンの対面共有により接触を,位置情報と時刻情報の照合による合意事項との一致を確認し,検証に用いるデータに対してデジタル署名を付与する接触証明モデルを提案する.そして,想定する取引環境において生じうる複数の脅威シナリオに対して,提案手法が接触の状態を検証可能であることを示す. |
| Title | 投稿内容に着目したWeb情報信憑性判断のための投稿者の専門性推定方式 |
| Author | *宮本 亮 (富士通), 松倉 隆一 (慶應義塾大学), 坂本 拓也, 角田 忠信 (富士通), 阿部 涼介 (慶應義塾大学), 鎌倉 健 (富士通), 鈴木 茂哉, 中村 修 (慶應義塾大学) |
| Page | pp. 1604 - 1611 |
| Keyword | フェイクニュース対策, トラスト, 偽情報検知 |
| Abstract | SNSやレビューサイトの投稿内容の信憑性には大きなばらつきがあり,ユーザーが安心して活用するためには,投稿の信憑性を判断する必要がある.その判断材料の1つとして投稿者の専門性が挙げられる.しかし,匿名や仮名利用が一般的であるWeb上では投稿者のプロフィールから専門性を確認できるとは限らない.そこで,本研究では投稿本文から専門性の有無を推定する手法を提案する.提案手法では,『専門用語の出現数』,『専門用語同士を結び付ける関係性の表現』,『経験に基づいた具体的な表現』の3つを評価観点とし,これらの評価観点において,事前構築した辞書に基づく各観点の計数から定義される評価関数を用いて専門性の有無を推定する.レストランレビューサイトのデータを用いてインドカレーと四川料理のジャンルで提案手法を評価した結果,関係性の観点が専門性有無の推定に最も寄与することが明らかになり,インドカレーで81%,四川料理で86%の精度で専門性の有無を推定できた. |
| Title | 会話の「雰囲気」の可視化:社会的相互作用を支援するグラフィカル会話要約 |
| Author | *馬田 一郎, 石井 陽子, Lidwina Andarini, 高山 千尋, 石井 亮 (NTT株式会社 人間情報研究所) |
| Page | pp. 1612 - 1617 |
| Keyword | 可視化, 会話要約, 社会的相互作用 |
| Abstract | 本研究では,社交的な会話状況において使用するグラフィカル会話要約システムの開発と評価について報告する.本研究では,音声および顔表情の特徴から推定した会話の雰囲気を生成されるグラフィックに反映する自動グラフィックレコーディングシステムを設計した.本システムは,初対面の参加者同士による社交会話の状況において評価され,感情の共有や相互理解を支援することが期待されている.評価結果から,提案するグラフィックレコーディングシステムを使用した会話ペアは,従来の自動音声文字起こしシステムを使用した場合やシステムを使用しない場合と比較して,互いの感情についてより良い理解を示すことが明らかになった. |
| Title | 発話量の個人最適化が可能な対話システムの実現に向けた検討 |
| Author | *松尾 和哉, 大塚 淳史, 永徳 真一郎, 杉山 弘晃, 野本 済央 (NTT株式会社 人間情報研究所) |
| Page | pp. 1618 - 1625 |
| Keyword | LLM, 対話システム, パーソナライズ |
| Abstract | 人間同士の対話では,相互理解のコストを最小化するため,相手に応じて発話量や表現を調整することが知られており,最適な発話量は話者の組み合わせや個人によって異なると考えられる.しかし対話システムに関する既存の研究では,ユーザとの過去会話からどの情報を応答に反映・省略すべきかを一般論として扱っており,その個人差は十分に考慮されていない. そこで本研究では,対話における最適な発話量の個人差の有無を明らかにするため,176件の対話に対して50名のアノテータが不要と判断した情報を削除した新しいデータセットを構築し,分析を行った.その結果から,対話における最適な発話量に個人差が存在することが明らかになった.また,人間のように個人に合わせた最適な発話量で応答する対話システムの実現を目指し,上記データセットを用いて,対話においてシステムが発話量を個人最適化できるかを検証した.当該データセットにおける削除前の発話から削除後の発話を予測する実験を通して,この予測器を個人最適化できることを明らかにした. |
| Title | ユーザフィードバックと検索結果の推移に基づく質問タイミング推定手法の提案 |
| Author | *伊豆 梨沙, 松尾 和哉, 大塚 淳史, 永徳 真一郎, 野本 済央 (NTT 株式会社 人間情報研究所) |
| Page | pp. 1626 - 1631 |
| Keyword | 対話型検索, クエリ明確化, 質問タイミング推定 |
| Abstract | 対話型AIを用いた情報検索ではユーザ入力が短く曖昧な場合が多いため,クエリ明確化のための質問生成や質問タイミングの推定が課題である.特に質問タイミング推定は,ユーザの質問意図が不明確な場合のみ質問し,十分に明確になれば結果提示へ移行することで,ユーザの意図を満たす結果を提示するまでの必要ターン数を削減する重要な技術である.従来手法は単一ターンの情報のみに基づき質問タイミング推定しているため,ユーザの意図が漏れなく把握できているかを考慮していない.その結果,意図把握が不十分な段階での結果提示や,十分に把握した後の不要な質問が生じ,多ターンの対話を経てもユーザの求める情報を提示できない場合がある.本研究では,対話を通じて段階的に変化する検索結果から,意図把握の十分性を推定し,その結果に基づいて質問タイミングを制御する手法を提案する.提案手法は,対話中に蓄積したユーザ意図に一致する検索結果のみを抽出し,連続するターン間での検索結果の類似度が大きい場合には,ユーザから新たな意図が引き出せると判断し,意図明確化のための質問を行う.実験の結果,当該ターンのクエリの曖昧性に基づいて質問タイミングを推定する従来手法と比べて,より短いターン数でユーザが意図する結果を提示できることを示した. |
| Title | グロス単位動作辞書と動作補間を用いた低リソース手話モーション生成手法の検討 |
| Author | 石井 亮, *永徳 真一郎, 澤瀬 順一 (NTT株式会社) |
| Page | pp. 1632 - 1639 |
| Keyword | 手話モーション生成, 手話CG, Transformer, モーション補間, 低リソース学習 |
| Title | PocketTail:尻尾型身体表現によるスクリーンキャラクターの情動解釈変容 |
| Author | *谷澤 健太 (九州大学/日本学術振興会) |
| Page | pp. 1640 - 1649 |
| Keyword | 形状変化インタフェース, 動物的インタフェース, 情動インタフェース |
| Abstract | 本研究では,スマートフォン上の動物型キャラクターの情動表現を身体的に拡張する尻尾型インタフェース「PocketTail」を提案する.提案システムは,Web アプリケーション上のキャラクター表現と連動して尻尾型デバイスを動作させることで,スクリーン内外を横断したフィジタルな情動提示を実現する.評価実験では,スクリーン内の表現と物理的な尻尾動作を組み合わせた条件を提示し,感情認知およびキャラクター印象に関する評価を行った.その結果,物理的な尻尾動作はキャラクターの感情強度や覚醒度を増幅するだけでなく,感情解釈そのものを変化させることが確認された.特に,尻尾動作のパターンに応じて,喜び・怒り・悲しみ・驚きといった感情の受け取られ方が変化し,複数の感情が混在した漫画的・複合的な情動表現が生起する傾向が示された.さらに,尻尾を用いた身体的表現は,キャラクターに対する親近感や存在感を向上させる可能性が示された.加えて試行展示を通じて技術受容性を調査した結果,スマートフォンアクセサリとしての導入性およびインタラクティブコンテンツへの応用可能性が確認された.以上より,本研究は身体動作を用いたフィジタル表現が,バーチャルキャラクターの情動体験を拡張する有効なインタフェースとなる可能性を示す. |
| Title | ARグラスを用いた魚種分類システムの性能評価 |
| Author | *奥木 悠翔 (静岡大学情報学部), 長井 智哉 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科), 山本 泰生 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/グリーン科学技術研究所) |
| Page | pp. 1650 - 1657 |
| Keyword | 魚種分類, ARグラス, MarineInformatics, ウェアラブルデバイス |
| Abstract | 日本の漁港における魚種仕分け作業の経験依存を低減するため,ARグラスを装着した作業者の視野内に魚種識別結果を重畳表示するシステムを構築している.本稿では舞阪・御前崎の2漁港で収集した1,342件・27魚種を対象に,動画内時系列分割によりtrain/val/test集合を厳密に分離した多階層汎化性能評価フレームワークの構築(貢献1),画面端・重なりマスクによる注視領域絞り込み(貢献2),TFIモデルを起点とする漁港Fine-tuningによるドメイン適応(貢献3),簡易時系列処理(貢献4)の4点に取り組み,その効果を段階的に定量評価した.Fine-tuningによりtop-1を29.22%から89.71%へ,マダイrecallを48.08%から96.15%へ向上させた.セッション独立な評価設定下で真の画像判別寄与として平均+47.94 pp(95%信頼区間[+37.24, +62.39],bootstrap BCa, N=10,000)を確認した.追加検証としてomaezaki test 60件のうちmaisaka訓練に含まれる共通魚種に限定した評価で+17.98 ppの改善(top-5では88.89%)を確認し,omaezakiホールドアウトの低下要因の68%が魚種カバレッジ欠落によって説明されることを定量的に実証した. |
| Title | CEO Project:生成AIとデジタルファブリケーションを活用した中学生向け創業教育プログラムの開発 |
| Author | *山内 正人, 寺�� 優葵, 町澤 早紀 (iU), 小宮 一恭 (株式会社yorumiru) |
| Page | pp. 1658 - 1665 |
| Keyword | STEAM教育, 起業家教育, デジタルファブリケーション, 生成AI |
| Abstract | 近年、若年期からの起業家教育が注目されているが、従来の実践はビジネスプランの立案や模擬販売に留まり、学習者が「価値創造の全工程」を体験する機会は限定的であった。特に中等教育段階では技術的スキルの不足からアイデアの具体化が困難である。本研究では、Google GeminiのカスタムGem機能を用いた3Dモデル生成特化のカスタムAIと粘土造形を組み合わせたプロトタイピング手法を提案し、アイデア創出から対面販売までを一気通貫して体験できる起業家教育プログラム「CEO Project」を開発・実践した。墨田区内の中学2・3年生8名を対象に実施した結果、Sand Art ClockおよびジオプラというAとBという2つの製品が開発され、用意した製品の約3分の2を販売することができた。また受講後アンケートでは回答者の50%が「将来創業してみたい」と回答するなど、強い意識変容が確認された。 |
| Title | 声が植物になるーマルチモーダル感情推定に基づくメディアアート生成システム |
| Author | *滑川 裕里瑛, 中村 亮太 (武蔵野大学データサイエンス学部) |
| Page | pp. 1666 - 1670 |
| Keyword | メディアアート, マルチモーダル感情推定, フィロタキシス |
| Abstract | 本研究は,発話音声と言語情報から感情・文脈・非言語情報を抽出し,花の三次元形態へとリアルタイムに写像するメディアアート生成システムを提案する.大規模言語モデル(LLM)を用いたアート生成では,意味理解と表現生成が一体化したブラックボックス的なプロセスにより,作者の意図の反映や再現性に課題がある.本稿では,(1)LLM にパラメータの直接出力を委ねるベースライン手法,(2) 意味理解と表現生成を分離し,認知科学に基づく決定論的変換を導入した手法,(3) 音声強度とウェーバー・フェヒナーの法則に着想を得たマルチモーダル手法へと発展させた開発プロセスを詳述する.これらの比較実験の設計を通じて,生成系AI をインタラクティブアートへ応用する際の論理的妥当性と,鑑賞者の自然な身体的関与を実現する方法を明らかにする. |
| Title | スマートフォン使用時における瞬目測定に関する検証 |
| Author | *新村 温人, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 1671 - 1678 |
| Keyword | 瞬目検出, 健康支援, スマートフォン |
| Abstract | 近年,スマートフォンは日常生活の多様な場面で利用されており,その長時間利用に伴う眼精疲労やドライアイといった視覚健康上の問題が注目されている.特に,画面を注視する作業中には瞬目頻度が低下することが知られており,スマートフォン利用中の瞬目状態を把握することは,眼の健康支援に向けた基礎的な取り組みとして重要である.本研究では,スマートフォンのフロントカメラ映像から顔ランドマークを推定し,EyeAspect Ratio(EAR)に基づいて瞬目を検出するAndroidアプリケーションを開発した.また,スマートフォン利用時に想定される座位,臥位,歩行の3条件において,10名の被験者を対象に瞬目検出精度を評価した.その結果,F1-scoreは座位条件で0.771,臥位条件で0.733,歩行条件で0.567 となり,歩行時に検出精度が大きく低下することが確認された.さらに,保存されたEAR時系列データを用いて閾値位置を分析した結果,単一の固定αとしては実験時に用いたα=0.5が妥当である一方,被験者や利用状況に応じた閾値調整により検出精度が向上する可能性が示された. |
| Title | 協働ケアにおける相互期待の推定:マルチモーダルアプローチに基づくケーススタディ |
| Author | *小瀬良 祐真, Nazmun Nahid (九州工業大学), 宮武 拓諄, 田岡 祐樹, 中谷 桃子 (東京科学大学), 井上 創造 (九州工業大学) |
| Page | pp. 1679 - 1687 |
| Keyword | 相互期待感, LLM, 期待推測, 協働ケア |
| Abstract | 本論文では,協働ケアにおける介護者間の「相互期待感」を可視化し,定量評価するための定性的推論フレームワークを提案する.移乗介助等の協働作業では暗黙的な期待の共有が不可欠だが,介護者の役割や経験差に起因する認識の齟齬(期待ギャップ)が事故や非効率の要因となる.従来,この複雑な文脈を厳密に定量化することは困難であった.そこで本研究は,大規模言語モデル(LLM)の文脈推論能力を活用し,相互期待をモデル化する枠組みを構築した.具体的には,移乗介助動画に基づくマイクロアクションデータと,「役割・認知・感情・言語・行動」からなる5モダリティ階層フレームワークを統合した.熟練・新人介護士計10名を対象とした観察実験を基準に,Chain-of-ThoughtプロンプティングによるLLMの次動作推論能力を検証した.その結果,LLMは熟練者特有の「先読み型協調」を再現し,経験差や役割反転に起因する期待ギャップを検出(検出率100%)可能であることが示された.本手法は,将来的な期待認識型AI介護支援システムの基盤技術として有効性が示唆された. |
| Title | GPTを用いた対話型ラジオ体操評価・運動支援システムの提案 |
| Author | *井上 紗綺 (京都橘大学大学院情報工学科情報学専攻), 工藤 寛樹 (京都橘大学工学部ロボティクス学科), 東野 輝夫 (京都橘大学工学部情報工学科) |
| Page | pp. 1688 - 1695 |
| Keyword | 動作評価, 高齢者支援, 運動支援, 対話システム, ヘルスケア |
| Abstract | 高齢化の進行に伴い,高齢者の健康維持および継続的な運動習慣形成が重要視されている.一方で,高齢者が自宅で運動を行う場合,身体に負担をかけていないか不安であるといった問題が存在する.また,一人暮らし高齢者では,会話機会の減少や孤独感増加も課題となっている.そこで本研究では,対話型AIによる主観情報取得と,姿勢推定によるラジオ体操動作評価を統合した,高齢者向け運動支援システムを提案する.提案システムでは,Whisperおよび大規模言語モデルを用いた対話によって,体調や不安部位などの主観情報を取得する.また,MediaPipe Pose を用いてラジオ体操第1の動作を解析し,動作別スコアおよび部位別誤差を算出する.さらに,対話内容と動作評価結果を統合することで,利用者状態に応じたフィードバックおよび運動推薦を提示する.本研究では,高齢者を対象とした本格的評価に先立ち,10代から80代の一般成人を対象とした試用調査を実施した.その結果,対話による主観情報取得,および姿勢推定による動作評価を実行可能であることを確認した.また,可動域制限条件ではスコア低下傾向が確認され,本システムが身体状態変化を一定程度反映可能であることが示唆された. |
| Title | 自己教師あり事前学習と教師ありコントラスト正則化を用いた単一チャネル光電脈波による被験者非依存ストレス判定 |
| Author | *胡 文凱, 江口 佳那, 加納 学 (京都大学) |
| Page | pp. 1696 - 1701 |
| Keyword | ストレス, 光電式容積脈波, 深層学習 |
| Abstract | 認知,睡眠,免疫などに悪影響を及ぼすストレスを日常生活環境下でモニタリングするためには,ウェアラブルデバイスによる生体信号の計測が有効である.本研究では,特に取得が容易な単一チャネル光電脈波(PPG)に着目し,被験者非依存なストレス判定手法を開発する.具体的には,wearable stress and affect detection (WESAD)データセットに含まれるEmpatica E4由来の血液量脈波(BVP)信号を単一チャネルPPG信号とみなし,ストレスの二値分類を行う.提案手法は,前処理,マスク領域再構成による自己教師あり事前学習と,教師ありコントラスト正則化を併用した二値分類の三段階で構成される.事前学習では,PPGの時系列依存関係を学習するため,temporal convolutional network (TCN)を基盤としたU-Net型モデルを用いる.その後,事前学習済みエンコーダから得られる複数階層の特徴マップを多尺度注意特徴融合により統合し,注意機構に基づく平均・標準偏差プーリングと多層パーセプトロン分類ヘッドによりストレスの有無を二値分類する.15名を対象とした一被験者除外交差検証(LOSO)の結果,窓単位評価ではaccuracy=77.8%,macro-F1=73.7%,区間単位評価ではaccuracy=88.9%,macro-F1 84.8%を達成した. |
| Title | 拡張BysGNNへのアテンション機構導入による消費行動予測性能の向上 |
| Author | *高岡 俊輔, 大村 廉 (豊橋技術科学大学) |
| Page | pp. 1702 - 1708 |
| Keyword | GNN |
| Abstract | 地域の消費活動予測は,商業施策や都市計画における意思決定を支援する基盤技術である.本研究では,グリッド別のTOYOPay利用回数予測を対象とし,Ext.BysGNNのグラフ集約部にGraph Attention Network(GAT)を導入することで,グリッド間の重要度を学習的に扱う手法を提案する.また,カウント系列に適したPoissonリサンプリングによるデータ拡張を導入し,拡張倍率が予測性能に与える影響を評価する.実験の結果,拡張倍率1の条件ではGAT版Ext.BysGNNがGCN版Ext.BysGNNよりMAEを1.041から0.949へ,RMSEを2.553から2.455へ改善した.さらに,拡張倍率を変化させた比較から,適度な拡張は性能改善に寄与し得る一方,倍率によっては誤差が悪化し,手法ごとに有効な倍率が異なることを確認した.最良条件では,GAT版が拡張倍率15でMAE=0.826・RMSE=2.048,GCN版が拡張倍率10でMAE=0.939・RMSE=2.326となった. |
| Title | 覚醒度向上支援における複数感覚フィードバックの時間特性とローテーション提示の評価 |
| Author | *堀口 蓮, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 1709 - 1719 |
| Keyword | 覚醒度, 反応速度, フィードバック提示 |
| Abstract | 日常生活における単調作業中の覚醒度低下は,注意力や反応速度の低下を招き,ヒューマンエラーや重大な事故を引き起こす要因となる.そのため,日常生活中に自身の覚醒度が低下したことを認識し,適切な覚醒度向上行動を取ることは重要だと考えられる.しかし,作業者の主観で自身の覚醒度低下を把握することは困難であり,また客観的に覚醒度を評価できるPVT(Psychomotor Vigilance Test)は能動的な動作が要求されるため,日常生活中に頻繁に実施することは現実的ではない.そこで本研究では,ウェアラブルセンサを用いて日常生活における覚醒度を常時推定し,覚醒度低下時に適切な介入を行うことで覚醒度向上を支援するシステムの実現を目指す.本稿では,眼電位 (EOG) や心拍変動 (HRV) を用いた覚醒度推定は既存研究に基づいて実現可能であることを前提とし,覚醒度向上を目的としたフィードバック提示手法の時間特性に着目する.介入手法として,嗅覚刺激提示,ストレッチによる刺激,サッカードを誘発する視覚刺激提示などを対象とし,それぞれの効果を比較評価した.その結果,ストレッチや嗅覚刺激は提示直後の反応時間短縮効果が大きく,即効性に優れる一方,サッカードを誘発する視覚刺激は即時的な効果は比較的小さいものの,提示後の覚醒度維持に優れることを確認した.さらに,単一刺激を繰り返し提示した場合には,刺激への順応により効果が減衰する可能性があることから,複数の刺激を動的に切り替えるローテーション提示についても評価した.その結果,ローテーション提示では,単一刺激を繰り返し提示した場合に比べて反応時間短縮効果の減衰が小さく,複数回提示時における覚醒度維持に有効であることが示唆された.これらの知見に基づき,即効性,持続性,順応耐性という観点から,利用シーンや作業負荷に応じて動的にフィードバックを選択・切り替えるための設計指針について述べる. |
| Title | 多様な環境での UWB 測距誤差推定の影響分析 |
| Author | 西田 大基, *中井 健人, 西尾 信彦 (立命館大学) |
| Page | pp. 1720 - 1729 |
| Keyword | 位置情報システム, 無線・移動体, UWB, 屋内測位, センシング |
| Abstract | Ultra-Wideband(UWB)は高精度な屋内測位技術として期待される一方,実環境では障害物遮蔽や壁面反射によるマルチパスの影響により測距誤差が増大する.従来は通信状態をLOS/NLOSの2クラスに分類し,NLOSデータを除外する手法が主流であったが,LOS環境でも壁際や廊下では大きな誤差が生じる場合がある.そこで本研究では,測距誤差をGood(15 cm未満),Medium(15 cm以上30 cm未満),Bad(30 cm以上)の3クラスに分類し,その有効性と環境構造の違いに対するロバスト性を検証した.開放環境,壁際環境,アンカー側隅環境,タグ側隅環境,廊下環境の5種類において,3種類の障害物配置を変えた計15パターンのUWB測距実験を行い,CIR特徴量を用いてランダムフォレストによる分類モデルを構築した.評価の結果,Goodと判定されたデータのRMSEは0.0895 mとなり,従来のLOS判定に基づく選別(0.1334 m)と比較して約33%の精度向上を達成した.一方,未知環境では正解率が76〜87%に低下し,特に廊下環境で顕著な性能劣化が確認された. |
| Title | 音響および加速度データを用いた野球の一塁フォースプレイ判定支援システム |
| Author | *内田 天馬, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 1730 - 1738 |
| Keyword | 音響, 加速度, センサ, 野球, 審判 |
| Abstract | プロ野球では,判定精度と公平性の向上を目的に,マルチカメラやトラッキングシステムを用いた判定支援が導入されている.しかし,これらは高コストであり,アマチュア環境での導入は難しい.本研究では,一塁ベース側面に設置したスマートフォンのマイクと加速度センサを用い,一塁フォースプレイのアウト・セーフ判定を支援する安価で設置容易なシステムを提案する.提案手法では,音響データから捕球音を検出し,3軸加速度データからベース接触を検出し,両イベントの時刻差に基づいて判定を行う.評価実験では,捕球音検出の平均正解率は0.979,ベース接触検出の平均正解率は0.961であった.また,サード,ショート,セカンドの各守備条件で50試行ずつ計150試行を評価し,閾値を段階的に変化させた結果,厳しい設定では正解率が高く,緩い設定では判定可能数が増加する一方で正解率が低下した.中間付近の設定では108試行が判定可能で,正解率は0.889であった.今後は,捕球候補とベース接触候補を時刻的整合性に基づいて選択する手法を検討する. |
| Title | 注視対象の検出を用いた2対2のバスケットボールゲームにおける視線戦略の構造分析 |
| Author | *中川 健太, 角 康之 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 1739 - 1749 |
| Keyword | AI, 視線計測, チームスポーツ, ウェアラブルコンピューティング |
| Abstract | チームスポーツにおけるパフォーマンス評価は,不完全な情報環境と絶えず変化するゲーム状況のため,本質的に困難である.得点や成功率といった従来の結果指標では,ボールを保持していない選手の意思決定プロセスや状況認識を十分に捉えられない. 本研究では,視線追跡技術と物体検出技術を統合し,2対2のバスケットボールゲーム中の視線行動を定量的に分析する手法を検討した.一人称視点映像に物体検出を適用することで,視線の対象を人物,ボール,ゴールに分類し,累積注視時間と注視回数に基づいて視線配分を特徴づけた.さらに,複数選手の視線データを同期し,選手同士が互いを同時に注視している状態を相互注視として分析した. その結果,視線行動はボール保持者の役割や試合状況によって変化することが示され,固定された特性ではなく,状況依存的な戦略として機能する可能性が示唆された.さらに,初心者と経験者を比較したところ,注視対象の選択に違いが見られた.また,相互注視は主に攻撃時の連携場面で多く観察され,経験者の方が高い頻度を示した.これらの結果は,視線行動および相互注視が,不完全情報環境における認知プロセスや協調行動の指標となり得ることを示唆した. |
| Title | ウェアラブルデバイスによるバスケットボールのドリブル技術向上支援システム |
| Author | 宮澤 俊介, *須賀川 翔, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 1750 - 1757 |
| Keyword | basketball, wearable, real-time feedback, dribble |
| Abstract | バスケットボールにおいてドリブルは重要な基礎技能であるが,従来のカメラ等を用いる解析手法は環境制約が大きく,個人練習への導入が困難である.本研究では,携行性に優れたウェアラブルデバイスのみを用いて,ドリブル動作の認識および技術向上を支援するシステムを提案する.本システムでは,スマートウォッチの加速度データからリアルタイムにドリブルを検出し,メトロノームを用いたリズムトレーニング機能を提供する.評価実験の結果,97.6%の高度なドリブル検出精度を実現した.また,システム利用によりドリブルリズムのばらつきが最大22.3%減少し,リズムの安定化と動作強度の向上が確認された.さらに,視線解析によりボールを注視せずにドリブルする技能の習得促進が示唆され,本システムの有効性を確認した. |
| Title | 慣性計測装置を用いたサッカーにおけるシュートフォーム自動評価手法 |
| Author | 平井 龍彦, *森上 大翔, Guillaume Lopez (青山学院大学) |
| Page | pp. 1758 - 1764 |
| Keyword | soccer, wearable, IMU |
| Abstract | 近年の IT 技術の進化により,サッカーにおける技術活用が進んでいる.プロサッカーでは,カメラベースの戦術解析やウェアラブルセンサによるパフォーマンス分析が行われ,アマチュア向けにもフィジカルデータを取得できるシステムが登場している.しかし,これらは主にパフォーマンス指標の提示に留まり,キックフォームの改善といった技能向上を直接支援する機能は十分ではない.そこで本研究では,安価な小型慣性計測装置(IMU)を用い,選手自身が利用可能なシュートフォーム評価システムの開発を目的とする.IMU データから姿勢を推定し,シュート動作の認識および評価精度を検証するとともに,先行研究で用いられてきた機械学習手法による良否判定精度を比較する.これにより,姿勢推定と機械学習の有効性を明らかにし,より適切なフォーム評価手法の確立を目指す. |
| Title | 新入生を対象とした半自動化ユーザ支援システムの運用設計と受容性評価 |
| Author | *根本 貴弘, 石橋 みゆき, 藤田 欣也 (東京農工大学) |
| Page | pp. 1765 - 1777 |
| Keyword | ユーザサポート, ヘルプデスク, FAQ, 自動受付システム, 機械学習 |
| Abstract | 大学における情報システム支援では,新年度開始時にアカウント初期設定やネットワーク接続等に関する問い合わせが短期間に集中する一方,限られた人的リソースで多数のユーザ支援を行う必要がある.しかし,自動化されたシステムのみで安定した問い合わせ支援を実現することは容易ではなく,人による支援を含めた運用設計が重要となる. そこで本研究では,関連FAQを提示する自動受付メールシステムを基盤とした半自動型問い合わせ支援システムを提案する.本システムは,問い合わせメールに対して関連FAQを提示した自動受付メールを即時返信するとともに,FAQ参照状況や問題解決状況を記録し,必要に応じて人的支援へ移行可能とする特徴を持つ. 本研究では,本学における新入生向け情報システム支援を対象として,本システムを実運用環境へ導入し,FAQ提示結果,FAQ参照行動,問題解決状況,人的支援への移行状況,および受容性について評価した.その結果,適切なFAQが提示された場合であっても,FAQ参照行動や問題解決状況には多様なパターンが存在し,FAQ提示後のユーザ行動を含めた分析の重要性が確認された.さらに,本研究で採用した,人による支援を前提とした半自動型支援は,人的支援が必要な問い合わせを絞り込み,限られた人的リソースを優先度の高い問い合わせへ集中させるための支援基盤として有効である可能性が示唆された. |
| Title | 学認対応IdPのIDaaS運用において発生する課題の整理 ― IDaaS移行を見据えて ― |
| Author | *高橋 新, 星 佳芳 (国立保健医療科学院), 清水 さや子, 佐藤 周行 (国立情報学研究所), 田中 勝弥 (国立がん研究センター), 佐藤 康仁 (国立保健医療科学院) |
| Page | pp. 1778 - 1782 |
| Keyword | IDaaS, IdP, 学認, 運用課題, 認証基盤運用 |
| Abstract | 本研究は,学術認証フェデレーション(学認)に対応したIDaaS型認証基盤(IdP)の運用課題を整理し,将来的なIDaaS移行に向けた実務的示唆を得ることを目的とする.対象は,保健医療系の国立研究機関において運用されている認証基盤とし,文書資料分析を中心に,認証基盤運用に関与する関係者へのインタビュー調査を計画した.対象機関では,認証基盤運用が少人数の研究者および行政職により担われており,現行IDaaSの運用環境には,設定管理,サービス連携,証明書更新,障害対応,役割分担の不明確さ,運用の属人化,調達制約など複数の課題が確認された.これらの課題は,技術・運用・体制の各側面にまたがって相互に関連し,移行前・移行時・移行後の各段階において複合的な影響を及ぼす可能性が示唆された.また,本研究では,一般的なIDaaS運用課題として整理可能な事項と,対象機関固有の構成および提供条件に起因する個別課題を区別して整理した.本研究は,IDaaS移行実施後の評価ではなく,移行前段階における認証基盤運用の構造分析を通じて,持続可能な認証基盤運用および認証管理再設計に向けた知見を提示するものである. |
| Title | 学術フェデレーションにおけるPersistent IDを用いた ID継続利用方式の設計 |
| Author | *清水 さや子, 佐藤 周行, 鈴木 彦文 (国立情報学研究所), 中村 素典, 岡部 寿男 (京都大学) |
| Page | pp. 1783 - 1789 |
| Keyword | 学術フェデレーション, Persistent ID, 認証, 本人確認, ID Re-Binding |
| Abstract | 学術フェデレーションでは,利用者は所属機関が提供するIdentity Provider(IdP)を用いて認証を行い,Service Provider(SP)を利用する.しかし,学術フェデレーションでは認証用のIDが所属機関ごとに発行されるため,研究者や学生が所属機関の異動を行うとIDが変更され,異動前後の利用者同一性を継続して認識することが困難となる.その結果,研究データや学習履歴など,個人に紐づいて継続されるべき学術活動が分断される課題がある.この課題の先行として,著者らはこれまでに,マイナンバーカードを用いたオンライン本人確認システムを提案してきた.本研究では,そのシステムにより生成される識別子であるVerified Pairwise Persistent Identifier(VPPID)を用いて,異動前後のIDを関連付けるID Re-Binding Serviceを提案する.提案方式では,VPPIDをSPへ直接提供せず,ID Re-Binding Service内部で管理することで,SP側におけるVPPID管理を不要としつつ,利用者同一性の継続を実現する構成とする.本稿では,学認参加機関間における異動を主対象に,設計要件,システム概要を整理する.また,既存の学術フェデレーション方式との比較を通じて,本方式の設計上の特徴と今後の課題について述べる. |
| Title | カンファレンス運営支援システム AllConf で用いられているNoSQLデータベースの評価 |
| Author | *田岡 智志 (広島大学) |
| Page | pp. 1790 - 1795 |
| Keyword | NoSQL, データ保存, 並列処理 |
| Abstract | カンファレンス(学術会議)の運営では膨大な時間と労力が必要でWebシステムによる効率化が必須である.筆者らはカンファレンスのさまざまな運営形態に柔軟に対応可能なWebシステムAllConf を開発している.このシステムで用いられているデータ保存には,多くのWebシステムで利用されているリレーショナルデータベース管理システ ム (RDBMS) は使用せず,NoSQLデータベースである ディレクトリやファイルを駆使した独自な保存方法を採用している. 本稿では,AllConfで採用しているデータの保存方法に対して性能評価を 行い,その結果を報告する. |
| 2026年6月26日(金) |
| Title | (招待講演) 生成 AI 時代におけるゲームデザイン教育のためのゲームデザイン 〜Hand Heads の開発と実践 |
| Author | 中村 隆之 (東京工芸大学/北陸先端科学技術大学院大学) |
| Page | p. 1796 |
| Abstract | 生成 AI の進化によりビデオゲーム開発の技術的敷居が下がる中,将来的に人間に残される役割はゲームデザインであると考えられる.しかし,ゲームデザイン教育では自由に改変できるベースとなるビデオゲームが求められている.本講演では,じゃんけんと鬼ごっこを融合した独自ビデオゲーム「Hand Heads」の開発と,大学生・プロ・小中学生向けゲームデザイン研修および小規模 e スポーツへの応用について述べる. |
| Title | 進化計算を用いた結婚披露宴の段階的自動配席手法の提案 |
| Author | *志村 駿介, 吉野 孝 (和歌山大学), 松浦 孝博, �盧� 辰弥, 里岡 洸輔 (PIEM株式会社) |
| Page | pp. 1797 - 1803 |
| Keyword | 遺伝的アルゴリズム, 組み合わせ最適化, 自動配席 |
| Abstract | 結婚式における席次表の作成は,マナーに基づく制約(主賓の上座配置,両親の末席配置など)と,招待者間の関係性を考慮した複雑な組み合わせ最適化問題である.本稿では,段階的な固定配置と遺伝的アルゴリズム(GA)を組み合わせた席次表自動最適化手法を提案する.提案手法では,まず両親・家族・親族・主賓といった優先度の高いグループをルールに基づき固定配置し,次いで残りの招待者を GA によって探索・最適化する.評価関数にはルールベーススコアを採用し,グループ近接性,テーブル占有率,招待者 ID の隣接性,親子関係を総合的に評価した.実際の披露宴データ 200 件を用いて実験を行い,提案手法(GA)による席次表は,グループの近接性および招待者 ID の隣接性については実際に使われた席次表を上回る成果を示した.一方で,親子の同席が達成できないケースや孤立招待者が生じる課題も見られた. |
| Title | Social Reasoning(社会的推論) 能力を活用した大規模言語モデルによるコミュニケーション行動理解 |
| Author | *Lidwina Andarini, 石井 陽子, 高山 千尋, 石井 亮 (NTT株式会社人間情報研究所) |
| Page | pp. 1804 - 1810 |
| Keyword | 社会的推論, 大規模言語モデル, コミュニケーション行動理解 |
| Abstract | 本研究では,大規模言語モデル(LLM)を用いて対面議論におけるコミュニケーション行動を理解 し,改善点を提示する手法を提案する.4 名による対面議論データを対象とし,アノテーターによって言語 的・視覚的・聴覚的な低次行動と,それに基づく高次行動を付与することで,階層的なアノテーションデー タを構築する.このデータは,人間がコミュニケーションを理解する際の社会的推論(Social Reasoning) の過程を表現するものである.構築したデータを用いて,in-context learning によりLLM にコミュニケー ションの改善点を生成させる.さらに,人間の記述との比較を通じて,LLM がどのように行動を解釈して いるかを分析する.本研究により,社会的文脈を踏まえたコミュニケーション行動理解の実現を目指す. |
| Title | 影の投影による行動誘発を用いた非侵襲的な作業・休憩切り替え支援システムの評価 |
| Author | *青山 侑暉, 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部) |
| Page | pp. 1811 - 1817 |
| Keyword | 行動誘発, 影の投影, 非侵襲, 時間管理 |
| Abstract | PC やタブレット端末を用いたデスクワークが日常化し,長時間同一姿勢で作業を続ける機会が増加している.作業効率を高めるためにポモドーロテクニック等の手法が知られているが,作業没頭時には自発的な休憩取得が困難であるという問題がある.そのため,タイマー通知や画面上のポップアップ表示などを用いて,外部から作業と休憩の切り替えを支援することがある.これらの通知は,視覚的・聴覚的な刺激を直接提示するため,利用者に心理的負担や煩わしさを与える可能性がある.そこで本研究では,視覚的な主張が控えめな「影」に着目し,システムが影を操作することで自然に作業・休憩の切り替えを誘発するシステムを開発した.本稿では,開発したシステムの概要と設計思想について述べるとともに,予備実験を通じて,提案システムが利用者の心理的負担を低減しつつ,緩やかな行動切り替えを誘発できることを示す. |
| Title | スマート環境における人-物体相互作用検出の動画行動認識への適用 |
| Author | *竹内 章一郎 (大阪大学), 水谷 伸, 岸野 泰恵 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所) |
| Page | pp. 1818 - 1830 |
| Keyword | 自己教師あり学習, Human Object Interaction, Representation Learning, 映像ベース行動認識 |
| Abstract | 人の日常生活の多くの行動は,生活用品や家具などの物体を使ったものであり,スマートホーム環境における行動認識を行う際には,人と物体の関係を考慮する必要がある.本研究では,人と物体の関係を相互作用として検出するHuman-Object Interaction (HOI) 検出を用いて,居住空間での行動認識に有用な画像内情報を抽出し,行動認識に適用することを提案する.HOI 検出とは,画像中の人,物体クラス,両者の相互作用クラスからなるトリプレットを検出する画像処理技術である.本研究では,HOI 検出モデルにおいて相互作用クラスの検出に寄与した画像内情報を相互作用活性化マップとして抽出すれば,マップを用いて行動に関与する身体部位や物体との接触状態といった相互作用の特徴を含んだ表現学習が行えるのではないかと考えた.本稿では,2種類の人の行動に関する動画データセットを対象に,相互作用活性化マップを表現学習に適用し,動画中の人の行動の分類タスクにより評価した.実験の結果,物体との相互作用を伴う行動カテゴリにおいては,分類精度の向上が確認できた.これにより,HOI 検出モデルの推論過程から得られる相互作用活性化マップが,物体を使った行動の認識に有用であることが示された. |
| Title | バイオインピーダンスセンサを用いたイヤラブルデバイスの操作手法の提案 |
| Author | *小寺 隆太, 村尾 和哉 (立命館大学大学院情報理工学研究科), Mengxi Liu, Paul Lukowicz (DFKI Kaiserslautern) |
| Page | pp. 1831 - 1841 |
| Keyword | イヤラブルデバイス, バイオインピーダンス, 操作手法認識 |
| Abstract | イヤラブルデバイスに搭載されている感圧センサやタッチセンサを用いた操作では,タップ回数や長押しなど入力の種類が限られるという課題がある.音声入力は環境音の影響や公共空間で周囲への配慮が必要な点,プライバシの問題がある.本研究では,バイオインピーダンスセンサを搭載したインナーイヤー型イヤホンを実装し,耳周辺の接触や組織の変形にともなうバイオインピーダンスの変化を利用したイヤラブルデバイスの操作手法を提案する.評価実験では,20代男性10名を対象として,5種類のジェスチャを左右それぞれで行う計10種類のジェスチャデータを収集した.結果から,一部で比較的高い識別性能が得られたものの,左右方向の取り違えや類似ジェスチャ間での誤識別が確認された.また,左右を統合した5種類のジェスチャについて識別対象数を変化させたところ,少数のジェスチャでは高い識別性能が得られた一方で,対象数の増加に伴いMacro F値が低下した.これらの結果から,提案手法は少数のジェスチャを対象としたイヤラブルデバイス操作に有効である可能性が示された. |
| Title | マルチモーダルLLMによるゼロショット日常生活行動認識に向けた軌跡画像生成と入力手法 |
| Author | *庭本 眞太郎, 新明 勇翔, 菊池 尊勝, Minhyoung An, 竹田 圭汰, Yuexiao Liu, 松井 智一, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
| Page | pp. 1842 - 1852 |
| Keyword | ゼロショット, マルチモーダルLLM, 移動軌跡 |
| Abstract | 環境設置型センサを用いた人間行動認識(Human Activity Recognition; HAR)は,スマートホームや見守り支援における重要な要素技術である. 近年,センサイベント列を自然言語表現へ変換し,事前学習済み言語モデルや大規模言語モデル(LLM)の表現能力を活用して,日常生活行動(Activities of Daily Living; ADL)を認識する研究が進んでいる. しかし,自然言語化されたセンサイベント列のみでは,センサの詳細位置,部屋間の隣接関係,移動方向といった空間的文脈を十分に表現しにくく,これらをマルチモーダルLLMへ視覚的に提示する効果は十分に明らかでない. 本研究では,マルチモーダルLLMを用いたゼロショットADL認識において,センサイベント列から推定・生成した軌跡画像を追加入力する手法を提案する. 提案手法では,センサイベント列と住宅レイアウト情報から対象ウィンドウ内の移動軌跡を動的計画法により推定し,4つの時間区間ごとの軌跡として住宅レイアウト上に描画する. 実験では,CASAS Arubaデータセットを用い,センサイベント列のみ,レイアウト画像追加,4コマ軌跡画像追加の3条件を比較した. その結果,Macro-F1はそれぞれ0.645,0.682,0.692となり,画像による空間情報の追加により性能が向上した. 特に,空間的遷移が重要なクラスにおいて,軌跡画像が有効に働く可能性が示された. |
| Title | 大規模言語モデルの適応的模倣を用いた空調制御向けモデルフリー強化学習の学習高速化 |
| Author | *三宅 斗希, 村上 弘晃, 谷口 景一朗 (東京大学), 小池 克弥 (ダイキン工業株式会社), 韓 燦教 (東京大学), 飯田 静空 (ダイキン工業株式会社), 川原 圭博 (東京大学) |
| Page | pp. 1853 - 1861 |
| Keyword | HVAC制御, スマートビル, 強化学習, 大規模言語モデル, 模倣学習 |
| Abstract | 室内空調制御は,居住者の快適性や知的生産性,健康に直結する生活空間の基盤技術である。特に,日本のように日内の外気温変動が大きい地域では,室温を快適範囲内に維持することは容易ではなく,快適性を重視しつつ過剰な空調動作を抑制する制御が求められる。モデルフリー強化学習(MFRL)は,明示的な物理モデルを必要とせず,環境との相互作用から制御方策を獲得できる有望な手法であるが,初期探索の非効率により,収束までに膨大な試行錯誤を要することが実用化の障壁となっている。本研究では,大規模言語モデル(LLM)の持つ汎用的な知識をMFRLの初期探索を導く教師として活用するフレームワーク「LLM-Guided SAC」を提案する。提案手法では,Soft Actor-Critic(SAC)にLLMの推奨行動への行動模倣を組み込み,Criticの評価値に基づいて模倣から自律的な強化学習へと適応的に移行する。これにより,LLMの知識を足場として無作為探索を抑制しつつ,MFRLによる環境固有の熱特性への適応を可能にする。シミュレーション実験では,気候条件の異なる複数シナリオおよびアブレーションスタディを通じて提案手法を多角的に評価し,従来のMFRLよりも高い学習効率と安定性を示すことを確認した。さらに,実際の居室環境における実証実験では,わずか15日間の学習で従来制御に対する快適範囲からの逸脱を約1/5に低減し,教師であるLLMを上回る制御性能を達成した。 |
| Title | LLMを用いてユーザに適したエアコン機能を提案するシステム |
| Author | *井上 景太, 韓 燦教 (東京大学), 藤本 道子, 都島 良久 (ダイキン工業株式会社), 苗村 健 (東京大学) |
| Page | pp. 1862 - 1869 |
| Keyword | エアコン, LLM, パーソナライズ, IoT, スマートホーム |
| Abstract | 家庭用エアコンは多様な便利機能を備えているが,ユーザが機能の存在や用途を知らないこと,取扱説明書を読む心理的・時間的負担が大きいことなどから,十分に活用されているとは言い難い.このような問題に対する対応手法の一つとして,LLMを用いてユーザの情報と機能の情報からユーザに適したエアコン機能を推薦するシステムが挙げられる.本研究の目的は,このようなシステムにおいて,専門的観点から妥当と判断されるエアコン機能推薦を実現することである.しかし,そのために LLM へ機能情報をどのように与えるべきかについては明らかになっていない.そこで本研究では,機能情報の付与条件として,取扱説明書の機能情報のみを与える条件,機能の利用シーンを自然言語で追加する条件,さらに利用シーンの優先度に関するスコアルールを追加する条件の3つの推論パターンを設計し,7種類のペルソナパターンに対する推薦結果と思考プロセスを生成して,専門家3名による整合性と妥当性の評価を行った.その結果,利用シーン情報を追加することで整合性と妥当性の評価が改善することが確認された.また,スコアルールの追加は明確なニーズへの対応に有効である反面,回答全体に対する柔軟な解釈を制限する可能性が示唆された.今後は評価者数を拡大し,利用シーン情報とスコアルールの付与が推薦結果や生活コンテキストの解釈に与える影響についてより詳細に検証する. |
| Title | Transformerを用いた住宅構成条件に基づく間取り構成生成モデルの構築 |
| Author | *倉持 啓人 (千葉工業大学), 水本 旭洋 (千葉工業大学/大阪大学/理化学研究所) |
| Page | pp. 1870 - 1877 |
| Keyword | スマートスペース, スマートホーム, デジタルツイン, Transformer, 間取り |
| Abstract | 高齢者見守り支援,スマートホーム,防災計画などを対象とした住環境シミュレーションでは,居住者の生活行動や移動経路を再現・分析するために,部屋の種別や接続関係を機械可読な形式で表現した間取り構成が必要である.しかし,多様な住宅条件でシミュレーションを行うために,間取り構成を手作業で作成することは現実的ではなく自動化が求められる.既存の間取り生成手法のうち,画像として間取り図を生成する手法では部屋間接続が明示されにくく,グラフ構造を前提とする手法では詳細な隣接関係を人手で設計する必要がある.本研究では,簡易な住宅構成条件から部屋種別および部屋間接続を生成することに着目し,T5(Text-to-Text Transfer Transformer) をファインチューニングした間取り構成生成モデルを提案する.学習データとして,海外の 3D 住宅データセット(Structured3D)に日本の不動産表示規約の面積基準を適用してリラベルとフィルタリングを行い,日本の不動産表示に準拠した独自データセットを構築した.構築したデータセットを用いた評価実験では,1R から 2LDK の小〜中規模間取りにおいて,Valid Rate と Connectivity Rate がいずれも 0.93 以上を達成し,簡易な住宅構成条件から妥当な間取り構成を生成可能であることを確認した. |
| Title | スマートビル空調の実態把握と性能向上 |
| Author | *中壼 成紀, 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部) |
| Page | pp. 1878 - 1885 |
| Keyword | 環境センシング, 熱環境, 計測死角, スマートビルディング, 自律移動ロボット |
| Abstract | 近年, スマートビルディングではセンサネットワークを用いた空調制御の高度化が進んでいるが, 大空間や吹き抜けを有する開放的なフロアにおいては, 従来の固定センサのみでは気流の死角や局所的な温度ムラを捉えきれないという課題がある. この計測死角により, 制御システムが認識する環境と施設利用者の実際の体感との間に乖離が生じ, 省エネルギー性と快適性の両立を妨げる要因となっている. そこで本研究の目的は, 自律移動ロボットを用いた高密度な環境計測により, 固定センサでは検知困難な熱的死角を可視化し, その領域の物理的特性および既存センサの有無に基づいて最適な環境改善策を導出することである. 単なる可視化や一律的なセンサ増設に留まらず, 場所ごとのメカニズムを解明することで, 制御介入と新規設置を使い分ける実運用性の高い提言を行う. 手法として, 冬季のオフィスビルにて移動ロボットによる連続計測を実施した. 取得した時系列データを空間グリッドに離散化した上で, 統計的な信頼性を担保するためのフィルタリングを行い, さらに各グリッドの平均温度と標準偏差を特徴量として算出した. 統計的閾値を用いた適応的スクリーニングにより熱的セグメントを抽出・分類した結果, 環境改善に向けた重要監視領域として, 冷気が滞留する低温・安定領域(Area A)と, 熱負荷が集中する高温・不安定領域(Area B)を特定した. 結論として, 既存センサ近傍でありながら環境が悪化しているArea Aには制御変更と設備追加を, 完全な計測死角となるArea Bには新規センサ設置を提言するなど, 領域の特性と設備状況に応じた最適解を導く本手法の有効性を示した. |
| Title | ルール配置に基づく多段 IPS の負荷分散手法と通信品質への影響評価 |
| Author | *安部 謙吾, 森茂 友悟, Erdenebayar Galerdene, 山井 成良, 中川 令 (東京農工大学) |
| Page | pp. 1886 - 1893 |
| Keyword | IPS, ファイアウォール, 負荷分散, ルール分割 |
| Abstract | ネットワーク機器への攻撃の検知・遮断を行うシグネチャ型の侵入防止システム(IPS)を用いた ファイアウォールシステムが注目されている.シグネチャ型の IPS では近年の多様化・巧妙化する攻撃に 対応するためにより多くのシグネチャの適用が必要になり,ルールセットの大規模化による IPS ホストの リソース不足が懸念されている.それに伴い先行研究では大規模なルールセットを分割して複数の IPS ホ ストに適用することで IPS ホストのリソース不足解消と高トラフィック時の通信性能の安定化を実現した. そこで,本研究ではルールの分割に着目し,分割したルールの配置による各 IPS ホストの負荷を分析し, 最適な配置による各 IPS ホストの負荷分散とトラフィックの安定性について検討する。 |
| Title | 研究室単位での自律的IPv6接続性確立に向けたAS共同運用モデルの提案と実証 |
| Author | *柏崎 礼生 (近畿大学/情報学部) |
| Page | pp. 1894 - 1901 |
| Keyword | IPv6, ボトムアップ, ゲリラ, 自律分散, 教育 |
| Abstract | IPv6の普及は家庭向けブロードバンド環境において着実に進展している一方,大学等の高等教育機関では,組織内部,とりわけ研究室単位までPublic IPv6到達性が提供される事例はなお限定的である.本稿では,この停滞の背景に,組織ネットワークの管理権限,セキュリティポリシー,投資対効果に基づく意思決定が複合した制度的デッドロックが存在することを指摘する.そのうえで,SINET L2VPN/VPLSを用いて複数研究室を接続し,独立した自律システムを共同運用することで,研究室単位の自律的なIPv6接続性を確立するモデルを提案する.さらに,IPv6-mostly環境とNAT64/DNS64を組み合わせることにより,IPv6を主たる通信基盤としつつ既存IPv4資源への到達性を維持する構成を検討する.本稿は,大学におけるIPv6導入を単なる技術課題ではなく,研究者・学生がネットワーク制御可能性を回復するための運用モデルとして位置づけ,その実現可能性と運用上の課題を議論する. |
| Title | 惑星間Webアクセスにおける非同期キャッシュ型Forward Proxyの実装 |
| Author | *渡邉 巽, 鈴木 翔太, 植原 啓介 (慶應義塾大学), 石原 知洋 (東京大学) |
| Page | pp. 1902 - 1910 |
| Keyword | 宇宙インターネット, DTN, Web |
| Abstract | 宇宙通信では,通信断絶や大きな伝搬遅延により,既存Webブラウザが前提とする同期的なHTTPリクエスト・レスポンス型通信をそのまま適用することが困難である. また,現代のWebページはHTML,CSS,JavaScript,画像など多数のサブリソースから構成されるため,天体間の長遅延環境ではリソース取得に伴う待ち時間が累積する. 本研究では,既存ブラウザおよびクライアント端末にDTN専用プロトコルへの対応を求めずに,長遅延・断続的なDTN環境でWebアクセスを扱うための非同期キャッシュ型Forward Proxyを実装する. 提案方式では,既存WebブラウザとのHTTP/HTTPSインタフェースを維持しつつ,ブラウザ側の同期的なHTTPレスポンス処理と,DTN区間における非同期なbundle配送処理を分離する. また,取得済みリソースをブラウザ近傍で再利用することで,同一リソースへの後続アクセスをDTN区間へ再投入せずに処理する. 性能評価の結果,未取得リソースのコンテンツ取得完了時間はDTN区間の往復伝搬遅延にほぼ比例し,本実験条件ではプロキシ処理およびBP送受信処理に伴う追加時間は限定的であった. また,取得完了後の同一リソースへの後続リクエストは,入口プロキシ上のキャッシュから数ms程度で処理され,DTN区間への重複Bundle投入を回避できることを示した. |
| Title | Singleton を持たないアクセス構造を持つカードプロトコル |
| Author | *須賀 祐治 (株式会社インターネットイニシアティブ) |
| Page | pp. 1911 - 1918 |
| Keyword | カードベース暗号, デッキ分割法, アクセス構造, 秘密計算, 物理的暗号 |
| Abstract | 2者間非コミットメント型カードプロトコルにおいて,各ユーザがk枚のカードを持ち,k通りの入力を行う方式を扱う.既存方式は,グラフをアクセス構造として取り扱うプロトコルで,与えられたグラフから1頂点を選択することを秘密の入力とし,入力を秘匿しつつ2頂点間の連結性や2頂点間の距離を出力する秘密計算を実現する方式であった.今回,異なるエンコーディングルールかつ異なるカード束が配布されるように既存方式を拡張することを試みる.同じ初期状態のカード束が与えられる場合には,全く同じ入力が行われることから「一致」したことが必ずプロトコル出力に現れるプロトコルが構成されていた.しかし今回その制約が外れたことで,新しいアクセス構造に基づくプロトコル出力が得られることが分かった.具体例としては巡回群における元の範囲判定プロトコルを構成することができる.その構成において,2色カードの入力を0/1ビット列と同一視することで,2入力のハミング距離に応じた出力と考えることができ,同型を定義することで小さい位数(少ないカード枚数)で分類を行う過程で,アクセス構造として興味深いプロトコル事例が存在したため報告を行う. |
| Title | 3Dシーングラフ完全性検証のシステムモデルと効率的署名方式 |
| Author | *金岡 晃 (東邦大学) |
| Page | pp. 1919 - 1935 |
| Keyword | 電子署名, 階層型3Dデータ, VR/ARセキュリティ |
| Abstract | 本研究では、3Dシーングラフに対する完全性検証方式を、VR/ARを含む空間コンピューティング環境における動的合成を考慮して体系化した。まず、3Dシーングラフを順序付きラベル付き根付き木として形式化し、動的追加や第三者署名付き部分木統合を含むシステムモデルを定義した。次に、部分木削除、不正挿入、兄弟ノード順序入れ替えなど、シーングラフ特有の攻撃を整理し、Merkle木と電子署名を組み合わせた効率的な完全性検証方式を提案した。さらに、UnityおよびMeta Quest 3上に実装を行い、静的シーンおよび動的合成環境下で性能評価を実施した。評価の結果、提案方式は大規模シーングラフに対しても実用的な検証性能を示し、特にEd25519を用いた場合に高い効率性を達成できることを確認した。 |
| Title | 寄付の透明性と受益者のプライバシーを両立する監査可能な秘匿送金方法 |
| Author | *平田 駿輔, 川原 圭博 (東京大学) |
| Page | pp. 1936 - 1943 |
| Keyword | ブロックチェーン, イーサリアム, 暗号, ゼロ知識証明, 寄付 |
| Abstract | 助成金や寄付,給付金配布における使途の透明性を担保する手段として,パブリックブロックチェーン上での暗号資産による寄付が注目されている.パブリックブロックチェーンではトランザクションが分散台帳に記録されるため,従来の現金寄付と比較して資金の流れが追跡可能となる.しかしながら,ブロックチェーンの完全な透明性は受益者のアドレスや消費行動を全世界に公開することとなり,プライバシー侵害のリスクを孕んでいる.特に,生活困窮者支援などの文脈では,支援を受けている事実自体がセンシティブな情報となりうる. 本論文は,受益者のプライバシーと寄付者による監査可能性の両立を目的とし,使途確約型トークンの秘匿送金方式および本送金方式の実用を見込んだValidium型の運用システムを提案する.秘匿送金方式については,ゼロ知識証明回路内に寄付者への閲覧鍵の委譲を制約として組み込むことで,第三者には取引内容を秘匿しつつ,寄付者のみが資金の使途を追跡できる環境を実現する.提案方式をゼロ知識証明記述言語Noirで実装し,証明生成時間が1.84秒と十分短く,実用的であることを確認した.運用システムについては,運用オペレータを設け,これがユーザの個別トランザクションを検証し,m件単位のバッチとしてスマートコントラクトに提出することでトランザクションあたりの実行手数料を約1/mに削減する.本手法により,受益者は第三者への情報漏洩を恐れることなく支援を受けられると同時に,寄付者はゼロ知識証明回路による復号特権によって寄付金の行方を監査できる.また,寄付金がもつホワイトリストの仕組みによって,寄付者は寄付金が合意した事業者でのみ消費されることを確信できる.さらに,運用オペレータのバッチ処理による実行手数料の削減により,実用的なコストでの運用が期待できる. |
| Title | クロスサイロ設定におけるランダム射影を用いた検証可能集約 |
| Author | *福岡 尊 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 1944 - 1950 |
| Keyword | ゼロ知識証明, 連合学習, 検証可能な機械学習, 対話型証明 |
| Abstract | 大規模言語モデルの産業応用が進むにつれ,企業・組織が保有するデータを用いたドメイン適応の重要性が高まっている. 連合チューニングは,生データを共有せずに複数組織が協調してモデルを最適化できる一方,中央サーバが単一障害点となり,最終的に運用するモデルである集約結果が改ざんされうる可能性を残している. この改ざん課題を解決するアプローチとして,検証可能集約が知られている. これは,配信された集約結果が所定の集約規則に従って計算されたことを,クライアントが検証可能とする仕組みを指し,既存手法がいくつか知られている. しかし既存方式,特にハッシュベースに依存する方式は,大規模言語モデルを前提とする連合チューニングで生じる数百万〜数千万次元の高次元更新に対して証明生成・検証の計算量が過大となり,実運用には不適であった. 本稿では,特にクロスサイロ設定で効果的な,高次元更新に対しても実用的な計算量で検証可能集約を実現する対話型プロトコルを提案する. 提案手法では,従来のハッシュベース手法や成分ごとの整合性検証といった手法を踏まえ,各クライアント更新がランダムに定まる部分空間に属することを公開可能な形で証明することで,集約写像が単射となる数理的構造を利用して改ざんを不可能とし,証明する線型方程式の本数を改善する. さらにクロスサイロ設定では,すべてのクライアントがフルラウンドで参加し,さらに十分な通信環境が与えられていると仮定されていることから,対話型プロトコルも十分現実的であろうと考えられる. そこで本手法をΣ-プロトコルとして設計したうえで,計算量解析を行い,高次元性が支配するSM(Single-Multiplication)モデルを導出し,クロスサイロ設定では提案法がボトルネックを緩和することを導く.さらに代表的パラメータに基づく概算により,1ラウンド当たりの全体処理が数十分オーダで収まる見通しを与える. |
| Title | エッジ環境への適用に向けたWebAssembly runtime上でのLLM推論の性能分析 |
| Author | *重松 蒼乃 (お茶の水女子大学), 山岡 茉莉, 青木 望美, 藤田 裕志, 平井 聡, 三輪 真弘 (富士通株式会社), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1951 - 1958 |
| Keyword | WebAssembly, LLM推論, 性能分析 |
| Abstract | 近年,大規模言語モデル(LLM)が多様な分野で活用されている.しかし,LLMの推論処理はクラウド上での実行が一般的であり,プライバシーリスクや通信遅延といった課題がある.解決策の一つとしてエッジコンピューティングがあるが,エッジ環境では計算資源に制約があり,デバイスのアーキテクチャも多様である.そこで本研究では,アーキテクチャ非依存かつ軽量な実行環境を提供するWebAssembly(WASM)に着目し,WASM上でのLLM推論の性能特性を調査した.具体的には,WASM環境としてLlamaEdge,非WASM環境としてllama-cliを用いることで,同一バックエンド(llama.cpp)にてCPU・GPU両環境における性能比較を行った.その結果,多くの条件においてWASMランタイムによる顕著なオーバーヘッドは観測されず,一部条件で観測された性能差についても,実行方式やシステム特性との関連が考えられた.以上より,WASMランタイムはLLM推論において実用上十分な性能を有しており,エッジ環境への適用可能性が示唆された. |
| Title | LLM推論における複数モデル実行時の性能評価 |
| Author | *高頭 まどか (お茶の水女子大学), 平井 聡, 木下 怜佳, 三輪 真弘 (富士通), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 1959 - 1968 |
| Keyword | LLM推論, GPU, 性能分析 |
| Abstract | 大規模言語モデル(LLM)の普及に伴い,LLMの学習や推論の高速化に不可欠なGPUの需要が急激に増加している.これにより,GPUの調達や運用にかかる費用が増大し,研究機関や企業の財政的負担が深刻化している.そのため,GPUリソースを最大限に活用することが重要な課題の一つとなっている.本研究では,単一GPU上で複数モデルを並行動作させる手法に着目し,その実効性を評価した.具体的には,GPUリソースの制限および分割方法として,vLLMのパラメータ設定によるメモリ制御とNVIDIA Multi-Instance GPU(MIG)によるハードウェアレベルの分割の2手法を比較検討した.実験の結果,同一モデルを2つ動作させる場合においては,MIGを用いる構成の方がスループットの合計値が最大で約1000 tokens/s高い値を示した.一方,異なる2種類のモデルを同時に実行した場合には,vLLMによる制御のみの構成でもMIGと同等の性能を発揮する場合があることが確認された.本成果は,実行するモデルの特性や組み合わせに応じて適切なリソース分割手法を選択することが,GPUの運用効率向上に寄与することを示唆している. |
| Title | LLM ステガノグラフィの流暢性向上に向けた基礎的検討 |
| Author | *井戸 智斗志, 石田 繁巳, 稲村 浩 (公立はこだて未来大学) |
| Page | pp. 1969 - 1976 |
| Keyword | ステガノグラフィ, LLM, 流暢性 |
| Abstract | 本稿では,大規模言語モデル(LLM)を用いたテキストステガノグラフィにおいて,生成文章の流暢性を高める手法を提案する. 既存手法では秘密文章の埋め込み時に低確率なトークンを選択せざるを得ず,文脈の不自然さや文末の唐突な途切れが生じるという課題があった.これに対し,提案手法では,トークンの確率順位を引き上げる写像を行った上で埋め込む手法に加え,文末までの生成制御およびカバー文章の未完結化を導入することで生成文章の流暢性を向上させる.評価実験では,Perplexity(PPL)を指標とした流暢性とLanguageToolによる文法評価を行い,従来手法と比較してPPLを1/2.8倍に,エラー率を1/3.3倍に低下できることを示した. さらに,規模や構造が異なる3つモデルを用いた検証により,提案手法が特定のモデルに依存していないことを確認した. |
| Title | 推薦システムにおける知識グラフを活用した推薦理由の生成 |
| Author | *木村 優介, 曽根 良行, 李 智, 原 隆浩 (大阪大学大学院情報科学研究科) |
| Page | pp. 1977 - 1985 |
| Keyword | 説明可能な推薦, 大規模言語モデル, グラフ検索拡張生成, 知識グラフ, グラフベース推薦 |
| Abstract | 推薦システムは,膨大なコンテンツの中からユーザにとって価値のあるアイテムの発見を支援する.推薦の背後にある理由をユーザに提示する説明可能な推薦は,推薦システムの説得力と信頼性を高めるものとして重要である.特に,ユーザが直感的に理解できるテキストでの説明は,ユーザの意思決定を支援することにつながる.近年,LLM の言語生成能力と協調情報を活用することでパーソナライズされた説明生成が可能になっている.一方で,既存の手法における LLM への入力情報はユーザとアイテムのインタラクション履歴にのみ依存しており,ユーザが推薦アイテムのどのような特徴を好むのかを明示的に捉えることができない.そこで本研究では,ユーザと推薦アイテムの特徴の関係性に注目し,推薦アイテムの特徴からユーザにとって重要な特徴を特定し,LLM の推論をガイドする説明生成フレームワークを提案する.提案手法では,アイテムプロファイルから特徴を抽出して知識グラフを構築し,ユーザ・アイテムインタラクショングラフと結合した協調知識グラフを用いて推薦モデルを学習する.これにより,ユーザと特徴の埋め込み表現を獲得し,ユーザの嗜好に合致する特徴を重要特徴として特定する.実世界データセットを用いた評価実験の結果,提案手法は既存手法の G-Refer に対して BERT score の再現率で 8.33 % の向上を達成し,ユーザの嗜好をより的確に反映した説明の生成が可能であることが示された. |
| Title | Wi-Fi FTM RTT法による人体遮蔽の影響をRSSIで補正する屋内測位法の提案 |
| Author | *三林 瑠威, 屋代 智之 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 1986 - 1991 |
| Keyword | 屋内測位, Wi-Fi, 位置推定 |
| Abstract | GNSSが利用困難な屋内環境における測位手法として,Wi-Fi AP(アクセスポイント)を用いた手法が注目されている. Wi-Fi FTM(Fine Timing Measurement)RTT(Round Trip Time)法は,APと端末間の信号の往復時間に基づいて距離を推定し,測位を行う手法である.しかし,屋内環境では,周囲の物体や人体によってマルチパスや人体遮蔽が発生し,測位精度が低下する可能性がある.そこで本研究では,測距時に得られるRSSI(Received Signal Strength Indicator)に着目し,測位計算における各APの重みをRSSIに基づいて動的に調整する手法を提案する. 対応APと非対応APを併用した実験を行い,RSSIに基づく重み付けの影響を評価した.その結果,すべての条件で平均測位誤差が低下し,本実験環境において提案手法が測位誤差の低減に有効に働く可能性を確認した. 一方で,条件や計測点によって改善幅に差が見られ,RSSIのみを用いた重み付けでは改善が一様に得られないことも確認された. |
| Title | 環境音を用いた都市公園の利用人数推定 |
| Author | *伊藤 康平, 日月 伸也 (オンキヨー), 寺岡 莉玖, 細川 蓮, 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学) |
| Page | pp. 1992 - 1999 |
| Keyword | AI, スマートスペース/スマートシティ, 人数推定, 音響イベント検出, 音響タグ付け |
| Abstract | 都市公園の利用状況把握は施設管理や都市計画に重要であるが,カメラを用いた人数推定にはプライバシーや設置コストの課題がある. 従来の環境音に基づく人数推定手法では,音響信号全体から得られる特徴表現を用いるものが多く,発話や歩行など人の活動に対応する音を明示的に扱った検討は十分でない. 本研究では,環境音から推定した音響イベントタグの検出状況と,事前学習済み音響モデル特徴量を組み合わせ,都市公園の利用人数を推定する. 4地点のマイクで収録した音から,各音響イベントタグの検出回数,5分区間の平均スコア,直前区間の情報を抽出し,各5分区間の利用人数を目的変数として回帰モデルに入力した. 大阪府豊能町の都市公園で連続2日間(2025年9月6日学習,9月7日評価)の予備的評価を行った.PCA次元数(8,16,32,64)を変えた比較では,音響イベント特徴量と音響モデル特徴量の併用条件が安定して良好であり,MAE 0.8507--0.8650,RMSE 1.6367--1.6460,R2 0.7175--0.7207であった. 本結果は連続2日間に基づく予備的評価であり一般的な汎化性能を示すものではないが,音響モデル特徴量を主たる情報源としつつ,音響イベント特徴量,特に歩行音関連特徴量が補完的な手がかりとなる可能性が示された. |
| Title | Low-RCS Target Detection in ISAC Using a 3D U-Net on Range-Azimuth-Doppler Tensors |
| Author | *Kosuke Yamakubo, Heetae Jin, Akira Uchiyama (The University of Osaka) |
| Page | pp. 2000 - 2007 |
| Keyword | Collision Avoidance, Integrated Sensing and Communications, Neural Network, U-Net, Range-Azimuth-Doppler Tensor |
| Abstract | In this study, we propose a framework for low-RCS target detection in a Time Division Multiplexing (TDM)-based Integrated Sensing and Communications (ISAC) system, targeting the coexistence scenario of cyclists and vehicles at intersections. The large RCS difference between vehicles and cyclists makes reliable detection of low-RCS targets difficult using conventional methods that rely on local statistics, such as CA-CFAR. We evaluate the proposed method using a WaveFarer-based simulation dataset that models the coexistence of a low-RCS cyclist-like target and a vehicle. The proposed detection model achieves an mAP of 0.7986 while the 3D CA-CFAR baseline achieves an AP of approximately 0.14 even after exhaustive parameter tuning within the predefined search space. This demonstrates the effectiveness of data-driven approaches for low-RCS target detection in resource-constrained ISAC systems. |
| Title | IEEE 802.15.4 Suspendable CSMA-CAの性能向上手法 |
| Author | *仁藤 瞬哉 (静岡大学), 小川 将克 (上智大学), �皸� 峰生 (大阪大学/カリフォルニア大学ロサンゼルス校), 石原 進 (静岡大学) |
| Page | pp. 2008 - 2018 |
| Keyword | IEEE 802.15.4, Suspendable CSMA-CA, メディアアクセス制御, 強化学習, 混在環境 |
| Abstract | 低消費電力無線通信規格のIEEE 802.15.4では、2024年改訂版にメディアアクセス制御の方式として従来のCSMA-CAに加えオプションとしてSuspendable CSMA-CAが導入された。従来のIEEE 802.15.4のCSMA-CAではバックオフ中にClear Channel Assessment (CCA) を実施しないが、SuspendableCSMA-CAはバックオフ中にも常にCCAを行い、チャネルがビジーとなればバックオフスロットの減算を一時停止させる。これにより従来のIEEE 802.15.4のCSMA-CAで課題であったバックオフ試行回数の上限到達による送信試行失敗を回避し、パケット到達率(Packet Delivery Rate: PDR) を向上させる。しかしながら、IEEE 802.15.4の標準仕様ではSuspendable CSMA-CAの動作や特徴を踏まえたパラメータの推奨値は規定されていない。特に異なるチャネルの物理伝送速度と、異なる要求を持つPAN (Personal Area Network) が近接した場面において、PANごとに適切なパラメータを設定することで、ネットワーク性能の向上が見込める。本論文では、Suspendable CSMA-CAのパラメータ (macMinBE、macMaxBE、macMaxCsmaBackoffs) がネットワーク性能に与える影響を分析するとともに、強化学習を用いた動的なパラメータ調整に取り組んだ。さらに、異種PANが近接する場面において両PANのパラメータの最適化を行い、ネットワーク性能の向上に取り組んだ。シミュレーションの結果、単一PANの環境においては要求する性能指標に応じて異なる近似最適パラメータが存在することを確認した。さらに、異種PANが近接する場面においては、近似最適パラメータと筆者らが提案したSuspendable CSMA-CA向けのCCA方式、Last-Strict CCAを組み合わせることで、標準のCCAモードよりもスループットの向上を確認した。 |
| Title | IEEE802.15.4の他のPANからの局所的な電波干渉検知手法の基礎評価 |
| Author | *有本 健悟 (静岡大学), 小川 将克 (上智大学), �皸� 峰生 (大阪大学/カリフォルニア大学ロサンゼルス校), 石原 進 (静岡大学) |
| Page | pp. 2019 - 2028 |
| Keyword | IEEE 802.15.4, SRM, 混在環境, 電波干渉, 通信品質推定 |
| Abstract | 省電力無線通信規格であるIEEE 802.15.4には,各Personal Area Network (PAN)を管理する代表ノード(PAN Coordinator)が存在する.PAN CoordinatorはPAN開始時にチャネルを選択し,周辺の無線システムの信号を確認することで干渉を回避できる.しかしながら,PAN Coordinatorが他のPANの信号を直接受信できない場合,他のPANからの電波干渉を検知しチャネルを切り替える仕組みは確立されていない.本論文は,Spectrum Resource Measurement (SRM)を通じて得られる受信信号強度(RSSI)と上り・下りリンクのパケット誤り率(PER)の差分(ΔPER)に基づき,PAN Coordinatorが他のPANの信号を直接受信できない状況下でもリンク品質低下の主要因が他のPANからの干渉であるかを判定する手法を提案する.シミュレーション評価の結果,50台のエンドデバイスが所属する高密度なPANにおいて,トラフィック負荷10%の条件下でF1スコア0.960という高い判定精度を達成した. |
| Title | 時系列逆位置指紋に基づく屋内位置推定と時間変動耐性の検討 |
| Author | *梅澤 猛 (千葉大学) |
| Page | pp. 2029 - 2036 |
| Keyword | 屋内位置推定, 逆位置指紋, 時系列データ, 時間変動耐性, Transformer |
| Abstract | 本研究では,BLE信号を用いた逆位置指紋法に基づく屋内位置推定において,RSSIの時間変動に対する頑健性向上を目的として,時系列RSSIを用いた深層学習モデルの比較評価を行う.逆位置指紋法では,発信端末から送信されるBLEアドバタイズ信号を複数の固定受信機で観測し,各受信機におけるRSSIを特徴量として位置を推定する.一方で,RSSIは反射,遮蔽,マルチパス,時間帯による電波環境の変化などの影響を受けやすく,単一時点の観測に基づく推定では精度が不安定となる場合がある. 本研究では,単一時点のRSSIを用いる多層パーセプトロン(Multilayer Perceptron: MLP)と,複数時点のRSSI系列を用いる1次元畳み込みニューラルネットワーク(one-dimensional convolutional neural network: 1D-CNN),長短期記憶ネットワーク(Long Short-Term Memory: LSTM),Transformerを比較する.実験は大学キャンパス内の実環境で実施し,BLE信号を発信するスマートフォンと天井に設置した16台のM5Stack受信機により,異なる日時の逆位置指紋データを収集した. 評価の結果,時系列情報を用いる1D-CNN,LSTM,TransformerはいずれもMLPを上回った.LSTMは平均誤差0.545 m,中央値誤差0.305 m,0.5 m以内の累積正答率64.20%で最良となり,高精度な近距離推定に有効であった.一方,Transformerは1.0 m以内の累積正答率85.89%で最も高く,1D-CNNは広い許容誤差範囲で安定した性能を示した.これらの結果から,BLE逆位置指紋を時系列データとして扱うことの有効性と,要求精度に応じたモデル選択の重要性を確認した. |
| Title | ヒューマノイドロボットによる環境センシングのSim-to-Realに向けた評価基盤の構築 |
| Author | *田中 元気 (三菱電機/大阪大学), 亀山 陽平 (三菱電機), 天野 辰哉, 山口 弘純 (大阪大学/理化学研究所) |
| Page | pp. 2037 - 2044 |
| Keyword | ヒューマノイド, シミュレーション, LiDAR, SLAM |
| Abstract | 近年、工場点検等へのヒューマノイドロボットの活用が期待されている。一方、ヒューマノイドでは、歩行振動、視点変化、遮蔽、分散センサ配置などにより、従来の固定リグ型ロボットとは異なるセンシング課題が生じる。本研究では、ヒューマノイド点検におけるセンシング課題を分析し、観測条件劣化、動的環境、センサキャリブレーション、マルチセンサ統合の4つの主要課題として整理した。また、これらを再現可能なシミュレーション評価基盤をNVIDIA Isaac Sim上に構築した。構築した環境では、歩行振動、動的物体、センサ位置ずれ、時刻オフセットなどをパラメータとして変更可能であり、ROS2を介して既存のセンシングアルゴリズムをそのまま評価できる。さらに、評価基盤の利用例としてLiDAR SLAMの評価を行い、条件変化に応じた推定性能の変化を確認した。また、一部条件について実機データとの比較を行い、シミュレーション上で実機に近い性能劣化傾向を再現可能であることを確認し、本環境がSim-to-Realに向けた評価基盤として有用であることを示した。 |
| Title | 個別最適化のための非言語情報を用いた自律介入型学習支援システム |
| Author | *宮里 颯真 (電気通信大学情報理工学域), 江木 啓訓, 椿本 弥生 (電気通信大学大学院情報理工学研究科) |
| Page | pp. 2045 - 2051 |
| Keyword | 個別最適化, 視線移動, Action Unit, 認知プロセス |
| Abstract | 本研究では,プログラミング学習における学習者の迷いやつまずきを解消するため,非言語情報に基づく自律介入型学習支援システムの構築を目的とした.学習中における学習者の理解状況などの内的構造を理解するのは困難であり,個別に最適化された支援や介入が課題となっている.本研究では,プログラミング経験のある大学生と大学院生の 10 名を対象に,R 言語を用いたプログラミング課題とアンケートを実施し,アンケートの分析と顔画像解析ツールである OpenFace による非言語情報の分析を行なった.これらの結果に特徴的な傾向がみられた 3 名の学習者の非言語情報を詳細に検討した結果,迷いやつまずきが生じた際には眉をひそめる動きが活発になることを示した.また課題の見直しやコードの記述後には瞬きが増えるといった傾向も確認された.今回の実験では,アンケートによる主観データと非言語情報による客観データに基づき分析したことで,眉をひそめる動きによってプログラミング学習時における学習者の迷いやつまずきを検知できる可能性が示唆された.この知見に基づき,今後は有効な非言語情報をリアルタイムで分析し,適切なタイミングで学習者に介入できる機能を実装する.そのために,時間による制限や閾値などの条件を検討する.これにより,個別最適化された学習支援の実現を目指す. |
| Title | 既有知識差がある協調学習における互恵関係形成のための対話分析 |
| Author | *鴨川 和史 (電気通信大学情報理工学域), 渡邉 翠, 川島 躍士, 西村 龍之介, 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学大学院情報理工学研究科情報学専攻) |
| Page | pp. 2052 - 2059 |
| Keyword | 協調学習, 対話分析, 既有知識 |
| Abstract | 本研究では,既有知識差が存在する協調学習における互恵的相互作用に着目し,発話ターン間の影響関係を分析した.協調学習の実験を実施し,発話率による量的分析を行った.それに加えて参照発話,自己修正発話,他者修正発話,統合発話の4種類の影響発話を対象とした質的分析を行った.さらに各発話の方向性に基づき互恵関係スコアを定義し,対話の双方向性を定量化した.分析の結果,既有知識差が存在する状況においても,参照発話には比較的高い双方向性がみられた.その一方で,修正発話には偏りがみられる場合が確認された.このことから,発話ターン間の影響関係を分析することが,協調学習における互恵的相互作用を捉えるためのアプローチの一つとなる可能性が示唆された. |
| Title | ジグソー活動における知識の説明を支援する対話分析手法 |
| Author | *渡邉 翠, 川島 躍士, 西村 龍之介, 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科情報学専攻) |
| Page | pp. 2060 - 2066 |
| Keyword | ジグソー学習法, 対話分析, 協調学習 |
| Abstract | 本研究では,ジグソー学習のホームグループにおいて,エキスパートグループで得た知識を他者に説明する際の困難さに着目し,学習者の発話状態に基づいた支援の在り方を検討する.ジグソー学習は各学習者が異なる知識を伝達し補完し合う構造を持つが,説明能力や関係性によって知識伝達が困難であるという課題がある.本研究では,理工系学生9 名を対象に発話収集デバイスを用いた実験を行い,発話率および無音率の観点から対話内容を分析した.実験の結果,9 名中8 名の学習者は高い議論満足度を示したが,ホームグループで発話率が低かった1 名の学習者は,議論への貢献感および均等感の評価が低いことが明らかとなった.また,エキスパートグループでの発話率が低い学習者は,ホーム活動においても知識伝達が停滞する傾向が見られ,エキスパートグループでの発話の少なさがホームグループでの説明の困難さにつながる可能性が示唆された.今回の実験では,参加者がジグソー学習法の特徴および目的を理解 していたことにより,自発的な知識共有が行われ活動成果が得られた側面があるが,実際には説明に困難を感じる学習者への介入の余地は大きい.この知見に基づいて,今後はエキスパートグループの発話データからホームグループでのつまずく可能性のある学習者をリアルタイムで予測し,個別的なフィードバックを通じて活動間の橋渡しを支援するシステムの構築を目指す. |
| Title | ペア活動における頭部間距離と発話内容の関係性の分析 |
| Author | *片岡 大地 (電気通信大学 情報理工学域), 内山 永翔, 清水 瞭平 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻), 野田 健夫 (東邦大学 理学部), 金子 真隆 (東邦大学 共通教育機構), 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻) |
| Page | pp. 2067 - 2072 |
| Keyword | 協調学習, 対話分析, 頭部間距離 |
| Abstract | 協調学習において,学習者の理解度や意欲といった内面状態をリアルタイムに把握することが難しいという課題がある.本研究では,学習者間の頭部間距離が学習状況を表出するという仮説に基づき,頭部間距離と発話内容の関係性を明らかにすることを目的とする.分析には,数学のペア活動を対象に,天井方向から取得した頭部間距離データと発話記録からなるデータセットを用いた.分析にあたっては,教材作成者が発話内容に基づき学習に実質的進展があった局面を特定し,頭部間距離の変動との対応付けを行った.分析の結果,頭部間距離の変動が少なく一定の距離を長時間保っている区間では議論が膠着して実質的進展が見られない傾向が確認された.これにより,頭部間距離の動態から学習の停滞を非装着かつリアルタイムに検知できる可能性が示唆された. |
| Title | (招待講演) AI 時代の屋内測位:計測から空間の物理理解へ |
| Author | 村上 弘晃 (東京大学) |
| Page | p. 2073 |
| Abstract | 屋内測位は、GPS が利用できない屋内環境において人やモノの位置を推定する基盤技術として、ユビキタスコンピューティング、IoT、ロボティクス分野を中心に発展してきた。従来は、電波、音、光などを用いた距離・角度・到達時間の計測に基づき、幾何モデルや物理モデルによって位置を推定する手法が一般的であり、高精度な測位を支えてきた。近年では、AI 技術の発展とともに、反射や遮蔽を含む複雑な信号パターンをデータから学習する測位技術も進展している。本講演では、屋内測位の発展を、モデルベース手法とデータ駆動型手法の両面から概観するとともに、物理法則とデータ駆動を接続する新たなアプローチの流れを、近年の研究動向を踏まえて紹介する。さらに、講演者が取り組んできた反射を手がかりとする音響・可視光・UWB 測位の事例を取り上げ、幾何モデルに基づく高精度な位置推定、深層学習による信号パターンの活用とその限界、物理制約や微分可能レイトレーシングを取り入れた測位の可能性について述べる。これらを通じて、屋内測位が距離・角度・到達時間といった量の計測にとどまらず、AI 技術を介して空間の物理を読み解き、その理解をより高度な位置推定へと結びつける技術へ発展しつつある現状と展望を概説する。 |
| Title | 生活支援ロボットの安全な作業遂行に向けた力触覚情報に基づく接触状態の認識 |
| Author | *�盒� 和希, 村上 弘晃, 佐久間 亮太, 亀�� 允啓, 川原 圭博 (東京大学) |
| Page | pp. 2074 - 2082 |
| Keyword | 触覚センシング, AI, ロボティクス |
| Abstract | Physical AIの発展に伴い,複雑な家庭内タスクを自律的に遂行する生活支援ロボットの実用化が期待されている. 現在,ロボットの環境認識や行動生成は視覚ベースのモデルが広く用いられているが,視覚のみでは対象物の重さや接触状態を十分に把握することは難しい.そのため,視覚情報を補完する手段として触覚情報の活用が進んでおり,特に環境との相互作用を高時間分解能で捉える力覚データの有用性が注目されている. しかし,動的な力触覚時系列データから物理的状態や現象に対する意味を直接抽出し,ロボットの行動決定に活用する手法は十分に確立されていない. 本研究では,6軸力覚センサから得られる時系列データを,対照学習を用いて自然言語の潜在空間へマッピングすることで,ロボットが力学的現象を意味論的に解釈可能にする手法を提案する. 未知物体を用いた特徴量評価の結果,提案モデルは滑りや接地,物体の重量といった物理状態を高い精度で識別できることが確認された.さらに,「接地の手応えに合わせた把持の解除」や「重量ベースの物体選別」といった実用的なユースケースにおいて,個別の閾値設計を必要とせず,視覚ベースラインを上回る成功率を達成した. 力学的応答を汎用的な意味空間で解釈する本アプローチは,ロボットが実世界の物理的リスクを判断する際の手がかりを与える.これにより,人間の生活空間に溶け込み,安全に作業を遂行する生活支援ロボットの実現に貢献することが期待される. |
| Title | 主観的空間解釈の理解に向けた場所アフォーダンスと行為意味の乖離の分析 |
| Author | *渡辺 圭貴, 志村 魁哉, 出口 秀輝, 浦野 健太, 米澤 拓郎 (名古屋大学大学院工学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科/名古屋大学未来社会創造機構) |
| Page | pp. 2083 - 2093 |
| Keyword | アフォーダンス, マルチモーダル表現学習, 空間解釈 |
| Abstract | ある空間で行われる行為が,その場の典型的な行為である場所アフォーダンスからどれだけ逸脱しているかの計算的な定量化は,行動認識・映像異常検知等の諸分野で共通の重要な課題である.本論文では,このような場所アフォーダンスからの逸脱を意味的逸脱と呼ぶ.例えば「キッチンで料理する」は典型的だが「キッチンで運動する」は典型から外れる,といった判断を画像から計算的に取り出す手法が求められる.本研究は,画像と言語等を共通の意味空間に埋め込むマルチモーダル埋め込みモデルを用いて,この問題に取り組む.意味的逸脱の検出には,背景画像から場所アフォーダンスを記述する能力と,観察画像中の場所アフォーダンスから逸脱した行為成分を抽出する能力の2つが必要となる.本研究は,意味的逸脱検出を直接達成するものではなく,その実現に必要となるこれら2つの基礎能力をマルチモーダル埋め込みモデル ImageBind を対象として評価したものである.まず ImageBind の場所アフォーダンス記述能力を体系的に評価し,モデルが場所と行為の典型/非典型をゼロショットで識別しうる点を確認した.次に,観察画像と背景画像の埋め込みベクトルの差分により,場所アフォーダンスから逸脱した行為成分を取り出す差分ベクトル指標を提案した.行為と背景の典型性を制御した合成画像を用いた行為単位の相対順位の比較により,非典型条件において差分演算が場所アフォーダンスから逸脱した行為成分を相対順位の上昇として取り出しうる点を示した. |
| Title | サイクリング中の景観画像と走行環境データを用いた爽快感推定モデルの提案 |
| Author | *入江 菜友緋, 戸簾 隼人, 義久 智樹 (滋賀大学) |
| Page | pp. 2094 - 2099 |
| Keyword | マルチモーダル, 画像解析, 感情推定, 経路推薦 |
| Abstract | 近年,健康志向の高まりやマイクロモビリティの普及により,サイクルツーリズムが注目を集めている.サイクリストにとっての経路選択は,単なる最短距離や最短時間の追求だけでなく,走行中に得られる「爽快感」や「心地よさ」といった感性的価値も重要視される.本研究では,サイクリング中の景観画像から得られる視覚的特徴と,走行ログや画像解析から得られる走行環境データを統合し,爽快感を3段階で推定する手法を提案する.提案手法は,LoRA を適用したDINOv2-base に基づくVisual Branchと,景観構成比や動体数,物理ログ(勾配・速度)など16次元のデータを扱うMetadata Branch をFiLM により融合し,補助タスク学習を導入する構成を特徴とする.評価実験の結果,正解率70.00%(±4.88%)を達成し,感性に基づく経路探索システムの基盤技術としての有効性を示した. |
| Title | 大規模言語モデルと空間情報検索を統合した観光経路生成手法 |
| Author | *都築 倫, 金 鎔煥, 山本 大介 (名古屋工業大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 2100 - 2109 |
| Keyword | 経路, 大規模言語モデル |
| Abstract | 近年,Google Maps や Yahoo!地図などの Web マップサービスの普及により,目的地までの経路探索や複数地点を巡る経路生成が容易になっている.一方で,これらのサービスでは,ユーザーの曖昧な 嗜好や条件を含む自然言語入力を十分に反映した柔軟な経路生成は困難である.また,大規模言語モデル(LLM)は自然言語理解に優れる一方で,距離計算や経路探索といった地理空間推論を正確に行うことが難しい.この課題に対して,地理空間情報を統合したRAGシステムが提案されているが,道路ネットワーク上での経路生成や複数経路候補の比較・評価については十分に検討されていない.そこで本研究では, ユーザーの自然言語要求に基づき観光経路を生成する地理空間統合型RAGシステムを提案する.提案手法では,施設レビュー文とユーザー入力文を用いて候補施設を意味的・空間的観点からスコアリングし, 上位施設集合から経路候補を生成する.さらに,施設スコアに加えて経路長を考慮した経路スコアを導入し,移動効率を考慮した経路評価を行う.また,複数の経路候補をLLMにより再ランキングすることで, ユーザー要求との整合性を考慮した経路選択を実現する.評価実験では,主観評価および経路長,施設スコア合計,実行時間に基づく定量評価を行った.その結果,提案手法は従来手法と比較して経路長の短縮とばらつきの抑制を実現し,ユーザビリティ向上に有効であることを確認した. |
| Title | 道路の連続性を考慮したViterbiアルゴリズムによるバス停留所位置推定手法 |
| Author | *今川 和人, 金 鎔煥, 山本 大介 (名古屋工業大学大学院工学研究科) |
| Page | pp. 2110 - 2121 |
| Keyword | 路線図, 道なり, 自動生成 |
| Abstract | 近年,国や地方自治体によるオープンデータの活用が進む中,本研究ではバス路線生成に必要となるバス停留所位置推定手法を提案する.従来の最近傍割当法では,交差点や高架道路付近などで誤った道路リンクへ対応付けられる課題があった.そこで本研究では,停留所を独立に扱うのではなく,路線全体を系列として捉え,Viterbiアルゴリズムによる大域的最適化を適用した.各停留所周辺の複数道路リンク上に候補点を生成し,停留所間の経路コストと停留所座標からの距離を統合的に評価することで,最適な候補点列を推定する.さらに,道路の連続性を表すストローク情報を導入することで,不自然な右左折を抑制し,バスの走行特性に適した推定を実現した.名古屋市バス全678路線を対象とした評価実験では,停留所位置推定精度が従来手法の79.2%から最大97.8%へ向上し,経路生成精度も59.0%から最大70.9%へ改善した.これにより,提案手法の有効性を確認した. |
| Title | 歩行位置と方向を考慮した歩行者向け床面映像提示手法における身体動作インタラクションへの拡張 |
| Author | *山田 真聖, 安井 真絃, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院) |
| Page | pp. 2122 - 2127 |
| Keyword | 床面映像, 歩行者追跡, 身体動作, インタラクション |
| Abstract | 著者らは,大規模な床面映像環境において,歩行しながら個別の床面映像を観察できるシステムの開発を行ってきた.しかし,従来手法では,二次元LiDARのみによりユーザの歩行位置を取得していたため,身体動作の把握が困難であり,インタラクション表現に制限があった.そこで,本論文では,二次元LiDARに加えてカメラを併用することで身体動作を取得し,歩行位置および身体動作に基づくインタラクション機能を備えた床面映像提示手法を提案する.提案システムでは,大規模な床面映像環境において,二次元LiDARにより複数ユーザの位置を検出・追跡するとともに,カメラ映像をYOLOによって解析することで身体動作を認識する.さらに,認識した動作に応じて,各ユーザに提示される個別映像に対してインタラクションを実現する. |
| Title | 過去の間取図を用いた逐次的・対話的レイアウト生成システムの提案 |
| Author | *土井 颯真 (和歌山大学大学院), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部), 本庄 麻衣子 (フジ住宅株式会社) |
| Page | pp. 2128 - 2135 |
| Keyword | 間取図, リアルタイム生成, 設計支援 |
| Abstract | 間取図を作成する際,住戸の形状や生活動線,など様々なことを考慮しなければならず,多くの労力を要し,時間がかかるという問題がある.そのため,設計士は過去の似ている間取図を参考にし,参照することで試行錯誤を行い,間取図作成を行う.しかし,過去の間取図はあくまで参照資料にとどまっており,設計中の特定の住戸外形や設計条件へ適用させるプロセスは設計士の技能に依存している.そこで本研究では,過去の間取図を設計プロセスへ直接的に組み込み,住戸外形や,部屋パーツの入力状況に応じてリアルタイムにレイアウト案を提示する逐次的・対話的な間取図生成システムを提案する.提案手法では,入力された外形と部屋パーツの位置情報から類似する過去の間取図を複数検索する.そして,検索結果の間取図から部屋の位置情報を抽出し,現在の外形内へマッピングすることで初期配置エリアを特定する.さらに,制約条件に基づくルールベースの修正と評価関数による調整を逐次実行することで,設計士の操作に即時追従したレイアウト案の提示を目指す.実際の住戸9 パターンで実験を行い,設計士から肯定的な評価を得ることができた. |
| Title | Visual SLAMに基づく空間情報処理のオフローディングによるマーカーレスARシステムの検討 |
| Author | *山口 旺太, 川上 朋也 (福井大学大学院工学研究科), 徳永 雄一 (金沢工業大学情報デザイン学部) |
| Page | pp. 2136 - 2143 |
| Keyword | AR, Visual SLAM, ORB-SLAM3, 環境適応, エッジコンピューティング |
| Abstract | スマートフォンを用いた AR アプリケーションにおいて,SLAM による自己位置推定の精度はユーザ体験の質を決定づける重要な要素である.しかし,単眼カメラを用いた SLAM は,暗所やテクスチャの乏しい環境において,特徴点の抽出が困難となり,トラッキング精度が著しく低下するという課題がある.そこで本研究では,計算負荷の高い SLAM 処理をエッジサーバへオフロードし,環境適応型の処理を行う AR システムを提案する.本システムでは,SLAM アルゴリズムとして ORB-SLAM3 を採用し,エッジサーバ側で入力映像の解析を行う.具体的には,環境の照度やテクスチャ量に応じて画像強調処理(CLAHE)の適用および特徴点抽出数をスマートフォンからの指示で動的に制御し,環境変動に対するロバスト性の向上を図る.評価実験として照明条件およびテクスチャ量の異なる3つの環境において定量的な精度検証を行った.その結果,標準的な環境では CLAHE を適用せずに十分な数の特徴点を抽出することが最適である一方,暗所や低テクスチャ環境においては,CLAHE を適用した上で特徴点数を抑制する設定が,ノイズの誤検出を防ぎ最も高い推定精度を実現することを明らかにした.さらに,実環境における検証では,iOS 標準の ARKit が位置ズレを生じさせたのに対し,提案手法は安定した自己位置推定を維持できることを確認した. |
| Title | 交差点の歩行者量を用いた道路上の通りやすさ推定 |
| Author | *重田 美和, 篠宮 紀彦, 寺島 美昭 (創価大学) |
| Page | pp. 2144 - 2149 |
| Keyword | 人流, 歩行環境把握, 通りやすさ, シミュレーション |
| Abstract | イベント会場周辺における歩行者の移動状況や歩行環境の把握は,混雑緩和や誘導計画などの安全性の確保のために重要である.歩行環境の評価指標の一つである「通りやすさ」は直感的で重要な指標である.通りやすさの定量的表現を目指す既存研究では,歩行者一人一人の位置情報や移動の軌跡など,詳細な個人情報を必要とするため,観測・計算のコストやプライバシーの問題が発生する可能性がある.本研究では,歩行者にとっての道路の通りやすさの定量的表現を実現する,交差点における歩行者量から道路の通りやすさを推定する手法を提案する.通りやすさは,「歩行者がその道路をどれだけ円滑に移動できるか」を表す指標として定義した.道路上の歩行者の移動の流れの揃い具合に,混雑による抵抗を考慮して算出する.提案手法に入力する道路上の双方向に動くそれぞれの歩行者量は,その道路の周辺の交差点の一定時間ごとの歩行者量から推測する.また,提案手法について人流シミュレーションから得た歩行者量を入力情報として用いて推定した通りやすさから検証を行なった.定量的に推定した通りやすさは歩行者の動きに伴い動的に変動するため,地図上に矢印や色で表示して歩行者自身やイベント主催者に提供することで,歩行者の状況を踏まえた移動や誘導の判断材料として有益である. |
| Title | 遠隔力覚提示における不快な力覚体験の原因分析と回避方法の検討 |
| Author | *橋詰 彩奈, 池田 美穂, 青柳 真紀子 (NTT社会情報研究所) |
| Page | pp. 2150 - 2158 |
| Keyword | 触覚, 刺激, 不快, 心理 |
| Abstract | 近年,遠隔地にいる操作者の入力を受信者側装置へ伝達し,受信者の身体へ外力として提示する遠隔力覚提示技術の研究開発が進められている.一方で,提示される力のタイミング,方向,介助量,停止可能性等が不適切である場合,受信者に不快な力覚体験を生じさせる可能性がある.しかし,遠隔力覚提示において受信者に生じ得る不快な力覚体験や,その発生原因は十分に整理されていない.そこで本研究では,受信者に生じ得る不快な力覚体験とその発生原因を明らかにし,遠隔力覚提示システム全体の開発者が考慮すべき設計指針を示すことを目的とする.本稿では,対面リハビリテーションの手順を基に,遠隔力覚提示において受信者が安心して力覚刺激を受けられる状態を導出し,その状態が満たされないまま力覚刺激が提示されることを,不快な力覚体験として抽出した.さらに,導出した不快な力覚体験について,送信者,送信者機器,サーバ,受信者機器,受信者の5アクターに基づいて原因分析を行った.その結果,確認・説明,装着確認,提示タイミング,介助量,訓練中の継続確認に関する7つの不快な力覚体験を導出した.また,不快な力覚体験は,送信者の確認・説明不足や判断誤りだけでなく,機器間での入力取得,変換,送信,受信,出力の不成立や遅延,過去に生成された指令の使用,および受信者の理解困難や申告困難によっても発生し得ることが示された. |
| Title | 人間の選択行動を学習した小規模言語モデルにおける認知バイアス下の意思決定特性の分析 |
| Author | *三丸 聖真 (九州大学/工学部), 中村 優吾 (立命館大学 情報理工学部), 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科), 鳥海 不二夫 (東京大学 大学院工学系研究科), 峯 恒憲, 荒川 豊 (九州大学 大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 2159 - 2172 |
| Keyword | 認知バイアス, LLM |
| Abstract | 現代の情報社会では,インターネットやSNSの普及により情報量が急増し,個人は日常的に多くの意思決定を迫られている.これらの判断には,社会的証明や権威といった認知バイアスが影響を及ぼすことが知られている. 本研究では,人間の意思決定行動を再現することを目的に開発されたCentaurの学習思想を継承しつつ軽量化されたMinitaur-8Bを対象とし,認知バイアスを含む情報提示が意思決定行動に与える影響を分析する.具体的には,(1)バイアス抽出能力の評価,(2)複数のローカルLLM間における意思決定傾向の比較,(3)実際のA/Bテストデータとの比較,(4)提示順序が意思決定に与える影響の検証を行った. 実験の結果,Minitaur-8Bは認知バイアスを明示的に高精度で抽出することは困難であり,バイアスの種類を誤分類する傾向が確認された.一方で,意思決定タスクにおいては,バイアスを含む文章に対して一定の選好を示した.しかし,実際のA/Bテストデータとの比較では,人間の選好分布の強さを十分に再現するには至らなかった.また,提示順序に関する検証では,内容が同一であっても提示位置によって選択結果が偏ることが確認され,LLMの意思決定が入力構造の影響を受けることが示された. |
| Title | 政党思想モデルに基づく政治発言者の所属政党の識別 |
| Author | *古川 雄太, 駒野 雄一 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 2173 - 2179 |
| Keyword | フェイク動画, TF-IDF, テキスト分類 |
| Abstract | 近年、政治家を対象としたフェイク動画や改変動画が、選挙や世論形成に影響を及ぼすことが懸念されている。我々はこれまで、政治家の発言に含まれる語彙、言い回し、構文を手掛かりとする言語的特徴モデルと、感情推移を手掛かりとする感情軌跡モデルを利用したフェイク動画の検出手法の基礎検討を進めてきた。一方で、政治家発言には話者固有の表現だけでなく、所属政党に由来する主張傾向が含まれる。本研究の目的は、政治家発言の内容に基づいて所属政党を識別する政党思想モデルの可能性を検証することである。評価の結果、構造化主張表現を用いたモデルにより、5 政党分類の識別可能性が確認された。また、政治家の発言から生成AIにより抽出した主題と主張を付与した条件では、構造化表現として安定した識別性能が得られた。この結果は、政党思想モデルが既存の言語的特徴モデルや感情軌跡モデルに対して、発言内容の観点から補助情報を与える可能性を示している。一方で、生成AIによる主張文の抽出と主題の付与の品質が結果に影響する点や、構造化品質の監査が不十分であることは今後の課題である。 |
| Title | SNSボットを悪用したユーザ心理を衝く欺瞞と対策 |
| Author | *岩村 勇輝, 駒野 雄一 (千葉工業大学) |
| Page | pp. 2180 - 2187 |
| Keyword | 欺瞞, 心理学, SNS, ボット |
| Abstract | SNS(Social Network Service)が生活不可欠なインフラとなる一方、人間の心理を衝いたソーシャルエンジニアリングによる被害が深刻化している。本研究では、SNSの利便性を高めるボット機能を悪用した心理的バイアスを衝く欺瞞のリスクに着目し、その脅威を分析して対策を検討した。まず、6種類のSNSを対象としてボット機能を比較調査し、それぞれに欺瞞の可能性があることを見出した。そして、カスタマイズ性が高く、コミュニティ内で信頼関係が築かれやすいSNSを研究対象の一例として選定し、欺瞞の想定シナリオを検討して2つの方法でその脅威を検証した。まず、そのSNSのユーザを対象としてアンケート調査を実施し、DM(ダイレクトメッセージ)や少人数グループといった閉鎖的な環境ほどユーザの警戒心が低下し、欺瞞が成立する傾向があることを統計的に確認した。次に、ボットを試作して機能評価を実施し、投稿ログの解析を伴うプロファイリングが、個人の関心に適合した巧妙な欺瞞になりうる危険性を提示した。さらに、これらの知見を踏まえ、システム面での技術的対策に加えて、情報の「内容」と「送信元」を切り離して判断するネットリテラシー教育の両面からなる防御策を提案した。 |
| Title | Priv-Migraine: LDP ナイーブベイズモデルによる片頭痛予測アプリ |
| Author | 菊池 浩明, *森本 晴哉, 金子 菜月希, 木村 朱里, 斉藤 裕樹 (明治大学総合数理学部) |
| Page | pp. 2188 - 2197 |
| Keyword | プライバシー, ヘルスケア, 機械学習 |
| Abstract | 片頭痛は日常生活に重大な影響を及ぼす神経疾患の一つであり, その発症メカニズムとしては気温や気圧といった気象条件の急激な変化が主要な要因となっているが, 個人差が大きく,片頭痛の発症を予測するグローバルなモデルを構築することが困難である. しかしながら,大規模に頭痛の発生頻度を調べるためにためには, 頭痛発症履歴や服薬記録といった要配慮個人情報として取り扱われるべき極めてセンシティブな情報である. そこで,本研究では, 局所差分プライバシー(Local Differential Privacy; LDP) 技術を適用し, ユーザが報告する頭痛レベルをランダマイズして,プライバシーを考慮しながら頭痛を予測する モデルを提案する. 予測モデルを構築するため,クラウドソーシングを利用して実験参加者を募り, 92名の10日間の頭痛履歴を収集した.本稿では,これらのデータをクラスタリングして, 頭痛の発生の複数のモデルがあることを明らかにする. 提案差分プライバシーを満たしたナイーブベイズによる予測モデルの精度を評価し, 実験参加者のプライバシー意識調査結果を報告する. |
| Title | Label Differential Privacy における予期せぬ漏洩の監査と評価 |
| Author | *関口 ひなた (お茶の水女子大学), 高木 駿, 長谷川 聡 (LINEヤフー), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 2198 - 2208 |
| Keyword | 差分プライバシ, 機械学習, ラベル差分プライバシ |
| Abstract | ラベル差分プライバシ(Label DP)は,ラベルにのみ匿名化処理を施し特徴量はそのまま公開することにより,高いユーティリティを実現する手法である.しかし,この手法は特徴量とラベルの相関に起因する予期せぬプライバシ漏洩のリスクを孕んでいる.先行研究においてこの脆弱性は理論的に指摘されてきたが,実際のメカニズムにおける漏洩量を定量的に測定する実用的な手法は存在しなかった.本論文では,このような予期せぬ漏洩を定量的に測定するための監査フレームワークを提案する.具体的には,特徴量とラベルの相関を考慮した厳密な定義であるLabel DP-CFを監査基準として採用し,標準的なLabel DPを適用した際の実際のプライバシ損失を評価する.予期せぬ漏洩をεスケールでの追加プライバシ損失として定量化することにより,標準Label DPが提供するプライバシ保証と実際のプライバシリスクの乖離を明らかにし,相関構造に基づく適切なパラメータ設計のガイドラインを提供する.合成データセットを用いた実験により,提案手法が理論的上界と整合する監査推定値をもたらすことを実証し,特徴量とラベルの強い相関がΔεの大幅な増加につながることを確認した. |
| Title | 暗号変換を用いたIoTデータのプライバシ保護基盤の実装と評価 |
| Author | *関 萌乃 (お茶の水女子大学), 山口 実靖 (工学院大学), 神山 剛 (長崎大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学) |
| Page | pp. 2209 - 2219 |
| Keyword | 暗号変換, 準同型暗号, 差分プライバシ, IoT, クラウドコンピューティング |
| Abstract | IoTデバイスから収集したビッグデータの利活用では,公開情報からの秘匿情報の推測を困難にするプライバシ保護と,通信・処理過程での情報漏洩を防ぐデータの機密性保持の両立が課題である.これらを解決する有力な構成として,準同型暗号上での局所差分プライバシ(LDP)の適用が考えられるが,オーバーヘッドの大きい準同型暗号はIoTデバイスには不向きである.そこで,クライアント側で軽量暗号を利用し,サーバ側で準同型暗号に変換する暗号変換手法を導入することで,クライアント負荷の軽減を図る.本稿では,CKKS方式の準同型暗号に対応するRtFフレームワークを取り入れたデータ収集・保護基盤を実装し,実行時間・通信量・計算資源・出力データを用いた平均値推定における誤差の4つの観点で評価を行った.その結果,準同型暗号のみを用いた場合と比べて,IoTデータの暗号化を伴うオンライン処理時間を約83%削減できることを確認した.一方で,共通鍵の共有に伴う通信量や,オフラインフェーズにおける計算負荷が増大するというトレードオフも明らかになった.しかしながら,データ発生時のリアルタイム負荷を大幅に軽減できる本手法は,IoTデータ収集のプラットフォームとして有効である可能性が示唆された. |
| Title | 第二種最尤推定に基づくベイジアンネットワーク型合成データ生成のプライバシ評価 |
| Author | *安藤 太一, 清 雄一 (電気通信大学), 齋藤 翔太 (群馬大学) |
| Page | pp. 2220 - 2227 |
| Keyword | 差分プライバシ, PrivBayes, 第二種最尤推定, プライバシ |
| Abstract | 近年,人工知能やデータサイエンスの発展に伴い,多様なデータの利活用が進んでいる.一方で,医療データや行動履歴などの公開においては個人情報漏えいのリスクがあり,プライバシ保護技術の重要性が高まっている. 理論的にプライバシ保護を保証する枠組みとして,差分プライバシが近年盛んに研究されている. PrivBayesという手法は,データセットの特徴を学習し,ノイズを加算したベイジアンネットワークからデータを生成する差分プライベートなデータ生成手法である.元のデータセットではなく同様の特徴を持つ合成データを活用することで,プライバシを保護しつつデータの利活用を可能にする. 三浦らはPrivBayesのパラメータ推定方法を最尤推定から最大事後確率推定に変更した手法を提案した. 本稿では三浦の手法において,パラメータの事前分布に仮定したディリクレ分布のハイパーパラメータの導出式を,第二種最尤推定を用いてデータの特徴を反映した式に変更した手法を提案する. これにより,データの出現頻度に基づいたハイパーパラメータを推定し,元データと統計的特徴が似た有用性のある合成データの生成を実現する. 実験では,パラメータがディリクレ分布に従うデータセットを作成して,提案手法と三浦の手法で生成したデータに対するプライバシの強度を比較した. その結果,提案手法ではハイパーパラメータが一定範囲に収まり,プライバシー強度が安定した値を取ることが確認された. |
| Title | XR環境におけるマルチモーダル情報を活用した多要素認証方式の設計 |
| Author | *岡�� 優太, 加藤 真吾 (東北大学大学院情報科学研究科), 阿部 亨, 菅沼 拓夫 (東北大学サイバーサイエンスセンター/東北大学大学院情報科学研究科) |
| Page | pp. 2228 - 2233 |
| Keyword | XR, マルチモーダル, 多要素認証, ユーザビリティ |
| Abstract | メタバース空間での交流やバーチャルイベントへの参加など,XRプラットフォームが社会的に浸透しつつある.XR環境にログインする際,既存の知識ベースによる認証は,第三者から観察が容易なHMD装着時にはセキュリティ強度が低く,セキュリティ強度を高めようとするとユーザの利便性が損なわれる.そのため,セキュリティとユーザの利便性がトレードオフの関係にあるという課題がある.本研究では,XR環境下において,ユーザが行う直感的で簡単なアクションの過程から取得可能な要素を用いて,マルチモーダル情報を活用した新たな認証手法を提案する.本方式は,単一の認証要素に依存せず,身体的・行動的特徴と知識ベース認証を組み合わせることで,ユーザの利便性と攻撃耐性を同時に向上させ, 身体的・認知的負荷を最小に抑えつつ,セキュアな多要素認証の実現を目指す. |
| Title | 触覚提示デバイスを用いたフライングディスク技術育成支援VRシステムの実装と評価 |
| Author | *三菅 康太, 加藤 真吾, 和泉 慶乃佑 (東北大学大学院情報科学研究科), 阿部 亨, 菅沼 拓夫 (東北大学サイバーサイエンスセンター/東北大学大学院情報科学研究科) |
| Page | pp. 2234 - 2241 |
| Keyword | VR, 触覚提示デバイス, フライングディスク |
| Abstract | 本研究では, フライングディスク競技におけるスローイング技能の育成を, VRと触覚提示デバイスを用いて支援するシステムを提案する. 従来のスローイング技能育成においては, 十分な練習時間が確保できず, 技能習得が困難であるという課題が存在した. これは, ディスクの飛行特性上, 安全確保のために広大な空間を必要とし, 結果として練習機会が制限されることに起因する. 本稿では, この課題を解決するため, VRと触覚提示デバイスを組み合わせることで, 限られた空間であっても仮想のディスクを用いて安全に反復練習が可能な環境を構築した. また, 提案システムの有効性を検証するため, 被験者を用いた評価実験を行った. 実験の結果, VR環境での練習においても, 現実空間と同等の練習効果が期待できる可能性が示唆された. |
| Title | 複合現実とPC用AR/VRを併用した顕微分光装置リモート操作体験システム |
| Author | *井原 章之, 元村 慎太郎 (国立研究開発法人 情報通信研究機構) |
| Page | pp. 2242 - 2248 |
| Keyword | 複合現実, PC用AR, リモート操作 |
| Abstract | 現実空間と仮想空間を融合し,ユーザーが物理環境とデジタル情報を同一空間内で相互作用的に扱うことを可能にする「複合現実(Mixed Reality: MR)」の技術を活用した,新たなリモート実験環境が注目を集めている.我々は近年,ヘッドセット装着者がMRを扱う様子をリアルタイムに映像出力する「PC用AR」の技術を独自に開発し,顕微分光装置リモート操作の要素技術として活用してきた.今回この技術を基盤として,様々な展示会において展示可能な「顕微分光装置リモート操作体験システム」を構築し,展示会出展の際に活用した.本稿では,システム構成や当日の様子などを説明し,MRやARを扱うリモート操作体験システムを展示会で活用することのメリットと課題について報告する. |
| Title | 死角環境における間接光を用いた車両出現位置推定 |
| Author | *善成 昌平, 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部) |
| Page | pp. 2249 - 2254 |
| Keyword | 間接光, 車両位置推定, 夜間環境認識, 死角環境, 時系列画像処理 |
| Abstract | 夜間のカーブや交差点では,車両本体が直接見える前に,ヘッドライトに起因する間接光が壁面や路面に現れることがある.この間接光は,見通し外から接近する車両を早期に把握する手がかりとなる可能性があるが,従来の夜間車両検出手法は,主に視野内の車両本体や光源を対象としており,車両がまだ視認できない段階での出現位置予測は十分に検討されていない.そこで本研究では,間接光がキーポイントとしてアノテーションされたPVDNデータセットを用い,間接光のみが観測される連続8フレームから,車両が初めて画角内に出現する位置をヒートマップとして推定する手法を提案する.提案手法では,RGB画像に間接光領域を明示的に付与し,ConvLSTMにより間接光の空間的位置と時間的変化を学習することで,画像のみを用いる手法と比較して予測性能を評価した.実験の結果,間接光情報を用いることで車両出現位置の予測誤差が低減し,特にWindow-level評価ではMAEを約33.8%改善したことから,夜間環境における間接光が見通し外車両の出現位置推定に有効な視覚的手がかりとなり得ることを示した. |
| Title | 車両ライトを用いた車車間可視光通信による車両追跡システムの提案 |
| Author | *古門 良介, 中村 航大, 伊藤 広樹, 佐武 凌馬, 隅田 莉香子, 二橋 遥 (トヨタ自動車株式会社 デジタル情報通信本部 InfoTech) |
| Page | pp. 2255 - 2262 |
| Keyword | 車両追跡, 可視光通信, V2V |
| Abstract | 車両盗難は深刻な社会問題である. 車両盗難対策として普及するGPS・Bluetoothベースの追跡システムは電波妨害装置で無効化される問題があり,電波通信に依存しない補完的な追跡手段が求められている. 本研究では,車両ライトの光変調による車車間可視光通信(VLC)を用いた車両追跡システムを提案する. 提案システムは, 盗難車両が識別子をVLC信号として送信し,周囲車両がこれを受信してクラウドサーバへ位置情報とともに通知することで,電波妨害下でも継続的な位置追跡を実現する. また, 時間ごとに切り替わる軽量な識別子によって, VLCの低スループット制約下においても安全性を確保しながら短時間で送受信可能である. 実交通シナリオを用いたシミュレーション実験により,市街地規模の交通流を再現した環境において提案システムの追跡性能を評価した. 低密度交通流下では車両間の遭遇機会の減少により追跡間隔が長大化する一方,高密度交通流下では数十秒程度の追跡間隔を維持できることを示し,一定以上の交通流が存在する環境における提案システムの実用可能性を明らかにした. |
| Title | 車載カメラを活用した高速道路走行判定システムの試作と評価 |
| Author | *亀井 亮磨 (慶應義塾大学環境情報学部), 牟田 憲太郎 (慶應義塾大学総合政策学部), 石原 匠 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 伊藤 裕貴, 仁村 真子 (首都高速道路(株) 保全・交通部), 吉川 真央, 土屋 克典 (首都高技術(株) 技術部), 植原 啓介 (慶應義塾大学環境情報学部), 中村 修 (慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート), 佐藤 雅明 (東海大学観光学部観光学科/慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科) |
| Page | pp. 2263 - 2271 |
| Keyword | 高速道路走行判定, 画像分類, ITS, ステートマシン, 軽量 |
| Abstract | 道路交通情報提供において,適切な情報選別には車両が実際に走行する道路を技術的に担保するProof of Travel(PoT)が重要であるが,都市部では高架・トンネル等の複雑な立体道路構造や高層建築物によるマルチパスの影響によりGNSSのみでの実現は困難である. また,路側インフラ方式は設置コストやスマートフォン対応に課題がある. そこで本研究では,スマートフォンや車載カメラの画像を用いたPoT システムを試作し,実走行データによる評価実験をおこなった. その際,高速道路では道路種別が瞬時に切り替わらないという物理制約に基づき,不連続な判定遷移を論理的に棄却するステートマシンを提案し,単一フレーム誤判定の影響を低減して出力を安定化した. その結果,ステートマシンを適用したベストケースにおいてはF1 スコア0.938 となり,本方式が汎用デバイス上で動作可能な信頼性の高いPoTに有用であり,粒度の高い交通情報提供への応用可能性を示した. |
| Title | MMF-RGB: A Sensor System Using Multimode Optical Fiber and Neural Networks with an MMF Loss Function |
| Author | *Seigo Ito, Hikaru Fukushima, Isamu Takai, Minoru Tanaka (TOYOTA CENTRAL R&D LABS., INC.) |
| Page | pp. 2272 - 2277 |
| Keyword | センシング, スマートモビリティ, モバイルアプリケーション |
| Abstract | 本論文では、マルチモード光ファイバを用いた映像伝送方式であるMMF-RGBを提案する。提案手法であるカメラシステムを用いることにより、レンズ先端からイメージングセンサーまでの距離を10mまで電源レスで延長することができる。本システムを用いることにより、ある物体の先端箇所や狭所などこれまでになかったカメラの利用ユースケースが期待できる。論文ではMMF-RGBの全体システムの紹介とくずし字文字データセットであるKMNISTを用いた基本実験結果について報告する。 |
| Title | MLLMを用いたセグメンテーションタスクにおけるドメイン知識のエッジ適用手法の提案 |
| Author | *北出 卓也 (株式会社NTTドコモ/慶應義塾大学), 水野 涼介, 佐藤 弘之 (株式会社NTTドコモ), 今井 倫太 (慶應義塾大学) |
| Page | pp. 2278 - 2285 |
| Keyword | MLLM, 画像認識, エッジAI, 農業ロボット |
| Abstract | 大規模言語モデル(MLLM)は高度な推論能力を有する一方で,産業ドメイン特有の知識不足や,推論速度の遅延がリアルタイムなロボット応用における課題となっている.本研究では,構造化プロンプトと自己省察を用いて抽出したドメイン知識を,エッジデバイス上の軽量AIモデルへと適用する手法を提案する.本手法は,MLLMにより見本画像ペアを生成する「ドメイン知識抽出フェーズ」と,それを用いてRandom Forestを学習・推論させる「エッジ推論フェーズ」で構成される.農業用ロボットを用いた実圃場画像による評価の結果,提案手法はmIoU 0.78を達成し,ベースラインであるMLLM単体の精度を上回った.また,Raspberry Pi 5上での推論時間は1枚あたり0.31〜0.84秒であり,リアルタイムな処理が可能であることを確認した.さらに,推論信頼度の監視により,未知のシーン変化を検知できる可能性が示唆された. |
| Title | 視覚基盤モデルに基づく拡散世界モデルの効率的な訓練手法の構築 |
| Author | *村川 大規, 坂井 俊介, 長谷川 達人 (福井大学大学院 工学研究科 長谷川研究室) |
| Page | pp. 2286 - 2300 |
| Keyword | 世界モデル, 拡散モデル, 視覚基盤モデル |
| Abstract | 世界モデルは,物理世界やゲーム,交通量など様々な環境の時間発展をモデル化し,エージェントと環境の相互作用を容易にする.近年,画像生成をはじめとする様々な生成問題において高い生成品質を示す拡散モデルを活用し,正確な観測生成や将来予測を実現する拡散世界モデルが注目されている.一方,従来の拡散世界モデルは物体やシーン構成の意味理解を促進する表現学習が欠けており,結果として学習時間の増加や生成品質の低下につながる.本研究では,視覚基盤モデルが獲得している視覚表現を,拡散世界モデルの学習に補助的に活用することで,これらの課題の解決を図る.具体的には,画像生成分野における視覚基盤モデルとの表現整合に着想を受け,ノイズを含まない観測フレームから得られる視覚基盤モデルの特徴と,ノイズを含む観測潜在を入力とした拡散基盤モデルの中間特徴を整合させる.これにより,生成過程で形成される視覚基盤モデルの内部表現を視覚的・意味的に誘導し,拡散世界モデルによる行動条件付き将来観測生成の学習を補助する. |
| Title | 低帯域環境における生成AIを用いた非対称ビデオコーデック手法の提案 |
| Author | *春山 知生, 北出 卓也 (株式会社NTTドコモ) |
| Page | pp. 2301 - 2306 |
| Keyword | 生成AI, ビデオコーデック, マルチメディア |
| Abstract | ビデオ会議は社会インフラとして定着したが,災害時などの極限低帯域環境においては,従来のピクセルベースのビデオコーデックでは通信品質の維持が困難である.特に,キーフレーム送信時に発生する突発的なデータ量の増加はバッファブロートを招き,映像の遅延や音声の切断といった致命的な問題を引き起こす. この課題に対し,映像の意味情報のみを伝送するAIベースの手法が近年提案されている.しかし,既存手法は依然としてピクセル伝送の仕組みに依存していたり,送受信の双方に高負荷な処理を強いる対称的な設計であったりするため,バッテリーや計算資源に制約のある現場端末での実用化は困難となっている. これらを解決するため,本稿では伝送データ量と送信側の計算負荷を最小化する非対称型の生成AIビデオコーデックを提案する.本手法は,送信側端末で軽量モデルを用いて表情や頭部の動きといった数kbit/s程度の微量な特徴情報のみを抽出して送信する.そして,計算資源の豊富な受信側において,事前共有画像と受信した特徴情報から強力な生成モデルを用いて映像を高品質に再構成する. 本稿ではこの非対称構成の簡易実装による比較実験を行い,低帯域環境下におけるバッファブロートの抑制効果を確認し,提案手法の有用性を示している. |
| Title | プログラミング演習の質疑における学生の指差し動作の分析 |
| Author | *内山 永翔, 椿本 弥生, 江木 啓訓 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻) |
| Page | pp. 2307 - 2313 |
| Keyword | プログラミング演習, ノンバーバルコミュニケーション, 学習支援 |
| Abstract | 大学の講義のような少人数の教授者が大人数の学習者の対応を行う場面では,教授者が個々の学習者の理解状況を把握することが難しいという課題がある.本研究では,Teaching Assitant(TA)との対話中に学生が示す身体動作から学生の理解状況を取得することを目的とする.プログラミング演習におけるTAとの対話中の学生のディスプレイへの指差し動作と発話を記録した.あわせて,学生の対話内容への主観的な理解度を取得し,身体動作との関係を分析した.結果として,指差しの有無や回数と主観的理解度との間に明確な関係は確認されなかった.一方で,指差しのタイミングや生じた文脈に着目すると,対話中の学生が注意を向ける対象の違いが反映されている可能性が示唆された. |
| Title | 三位一体支援モデルへのトランジション設計 「言葉で育てる AI」による非対称性調整と動的フィデリティ |
| Author | *佐藤 陽 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 2314 - 2320 |
| Keyword | 言葉で育てるAI, 三位一体支援モデル, 障害者就労支援, 自然実験, トランジション支援 |
| Abstract | 本稿は、松為信雄が職業リハビリテーションの文脈で提示した三位一体支援モデルを、AI援用時代の操作的定義と評価概念として再検討する。このモデルを実装・評価するためには、「三者が揃うこと」や「会議を実施すること」を超えた操作的定義が必要である。本稿は、三位一体支援モデルの本質を、本人・支援者・企業のあいだに存在する情報的・権力的・認知的・資源的・制度的非対称性を可視化し、その向きと荷重を継続的に調整するプロセスとして定義する。 この定義に基づけば、従来型の静的フィデリティ、すなわち手順遵守・書式充足・会議回数・役割配置を中心とする評価は、三位一体支援の核心を捉え損なう。静的フィデリティは、グッドハートの罠を生み、支援者を本人と職場の関係を開く媒介者ではなく、制度要件を守らせる番人へ変えてしまう危険がある。そこで本稿は、関係を作り直し続けるプロセス自体を評価する概念として、動的フィデリティまたはプロセス・フィデリティを提案する。 本稿の方法論的素材は、IR-VFE (Iterative Reflexive Virtual Field Experiment) である。この実験では、障害者就労支援の仮想フィールドを、8人格、12ヶ月の縦断構造、月次マルチアクターミーティング、週間活動記録、就労パスポート更新、日誌、別LLM検証、anti-stereotype revision によって反復的に構成した。その過程で、Month 7 クライシス、二者面談のダブルバインド、グレーゾーン当事者の制度入口落下、支援者バーンアウト、生成プリオールの循環性が可視化された。 本稿は、これらの知見を「言葉で育てるAI」という枠組みで再記述する。言葉で育てるAIとは、AIを事前にプログラムされた制御対象として扱うのではなく、人間・組織・制度が言語化した目的、価値、文脈、経験知、フィードバックを与え合い、ワールドモデルを共創し続けるシンポイエーシスな営みである。本稿では、シンポイエーシスを、自己完結的な自己産出ではなく、境界が開かれ、複数の主体が相互に作り合うシステムとして理解する。本稿は、AIが三位一体支援を代替するのではなく、非対称性、沈黙、語彙のズレ、関係の硬直を可視化し、動的フィデリティを振り返る媒介となる可能性を示す。 |
| Title | アナログ教材を対象としたジェスチャ駆動型リアルタイム学習支援システム |
| Author | *原田 佳祐 (九州大学 大学院システム情報科学府), 荒川 豊 (九州大学 大学院システム情報科学研究院) |
| Page | pp. 2321 - 2326 |
| Keyword | アナログ教材, ジェスチャーインタラクション, OCR, 学習支援システム |
| Abstract | 紙教材を用いた学習において,既存の生成AIを活用した学習支援システムの多くはスマートフォンやキーボードによる操作を前提としており,学習中のスマートフォン利用による集中の中断や,疑問箇所の入力に伴う操作工数の多さが課題となる.そこで本研究では,スマートフォンやキーボード操作を介さずに疑問解決を支援するジェスチャ駆動型リアルタイム学習支援システムを提案する.提案システムでは,机上カメラにより手指のジェスチャを認識し,紙教材上の疑問箇所を囲み操作で指定すると,指定領域および紙面全体の画像が生成AIへ自動入力され,周辺文脈を考慮した説明が逐次的に提示される.これにより,文章のみならず数式や図を含む箇所も直接指定できる.情報分野を専攻する大学院生7名を対象とした評価実験では,説明取得時間の平均は12.14秒であり,スマートフォン手法と比較して平均38.53秒短かった.また,NASA-TLX簡易版およびSUSにおいて提案手法はスマートフォン手法と同程度の操作負荷およびユーザビリティを示した.また,提案手法はスマートフォン手法より標準偏差が小さく,学習者の慣れによらず一定の操作性を提供できる可能性が示唆された.自由記述アンケートでは,スマートフォンを介さずに学習できる点や,数式を直接囲める点に対する肯定的な意見が得られた. |
| Title | 教員研修向けSTEAM教育プログラムの設計と内発的動機づけに基づくパイロット実験 ― うそ発見器の製作を題材として ― |
| Author | *今村 文香, 吉野 孝 (和歌山大学) |
| Page | pp. 2327 - 2333 |
| Keyword | STEAM教育, データサイエンス, IoT, micro:bit |
| Abstract | 近年の教育現場では,AIやIoTなどの先端技術を統合したSTEAM教育の重要性が増しているが,教員の専門知識不足や多忙さがその導入を妨げている.教員が新たな授業を円滑に導入するには,教材調達から指導案までを網羅したマニュアルの整備と,教員自身が「おもしろい」と実感できる体験型研修が重要である.本研究では,micro:bitを用いたうそ発見器(ポリグラフ)の製作を題材とするSTEAM教育プログラムを開発し,教員研修としての有効性を,大学生を対象とした予備的実験で検証した.プログラムは2日間構成で,Day 1で分圧回路の組立てとプログラミング,Day 2で生成AIと機械学習を体験する.システム工学部大学生5名,大学院生5名を対象に,Day 1の内容で対面研修を実施した結果,製作難易度・理解度(5段階)は中央値,最頻値ともに4以上であり,IMI日本語版による興味・楽しみは6.53/7.00と高く,自由記述では対面サポートの安心感を示す記述が複数得られた. |
| 2026年6月25日(木) |
| Title | (特別講演) AIと共存する情報社会の数理:オンラインユーザダイナミクスの基礎理論と予兆検知の社会応用 |
| Author | 会田 雅樹 (東京都立大学 システムデザイン学部 情報科学科) |
| Abstract | 近年、情報ネットワーク研究では、大規模データに対するAI解析を中核とするデータ駆動型アプローチが急速に発展しています。一方で、科学技術の健全な発展には、理論と実証の相互補完が不可欠です。本講演では、データ駆動型のAI解析と基礎理論を相互補完させるという意味で「AIと共存」と捉え、オンラインユーザダイナミクスの基礎理論と予兆検知の社会応用の展開例を示します。 まず、局所性と因果律に基づく振動モデルを紹介し、ネット炎上のようなユーザダイナミクスの過熱現象に先行して低周波の「うなり」が顕在化するという理論予測を述べます。次に、検索トレンド等の時系列データに対する周波数スペクトル解析によりこの予測を検証し、予兆検知指標として整理します。さらに、企業関連ニュースの早期検知と株式投資シミュレーションを例に、FinTechをはじめ流行予測・防犯・情報セキュリティへの展開可能性と、説明可能な意思決定支援の展望を議論します。 |
| Title | (記念講演) DICOMOの30年を振り返る |
| Author | 水野 忠則 (愛知工業大学) |
| Title | (記念講演) ナイトテクニカルセッションへの思い |
| Author | 砂原 秀樹 (慶応義塾大学) |
| Title | (記念講演) DICOMOのこれから |
| Author | 東野 輝夫 (京都橘大学/大阪大学) |
| Title | (記念講演) みんなの未来のためにDICOMOはどうあるべきか |
| Title | 自己客体視を促す物理モニタエージェントの正確な制御に向けたハードウェアの改良 |
| Author | *池田 悠星 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 松林 暸, 呉 健朗 (日本大学文理学部), 市川 裕介 (埼玉大学教育機構), 江木 啓訓 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 2334 - 2339 |
| Keyword | 学習支援, 集中力, モニタ, 自己客体視 |
| Abstract | eラーニングなどの個別学習環境では,学習者が長時間集中力を維持することが困難であり,学習効果の低下が問題となっている.この問題に対し,システムが学習者の集中力低下を検出して介入を行う支援手法が多く検討されてきた.しかし既存の手法は,介入意図を明確にするほど心理的リアクタンスを招きやすく,介入意図を隠すほど自発的な行動是正が促されにくいという,両者がトレードオフとなる問題を抱えている.そこで我々は,自己客体視理論に基づき,作業媒体であるモニタ自体を物理的なエージェントとし,学習者の非集中状態をうたた寝動作として外在化する学習支援手法を提案してきた.本稿では,物理モニタエージェントの正確な制御を実現するために,新たに作成したマウントパーツを用いてモニタアームの回転軸にサーボモータを直接取り付ける実装について述べる. この新たな構造を採用することにより,サーボモータの回転角とモニタの傾斜角を一致させることが可能となり,プログラムの指示に沿ったモニタの制御を可能とした. |
| Title | インクルーシブeスポーツに向けた筋電入力機構の透明性がプレイヤ体験に与える影響 |
| Author | *雨宮 壮, 池田 知樹 (日本大学大学院総合基礎科学研究科), 岡田 和希 (日本大学文理学部), 青木 良輔 (日本大学文理学部/日本電信電話株式会社 NTT人間情報研究所), 宮田 章裕 (日本大学文理学部) |
| Page | pp. 2340 - 2348 |
| Keyword | インクルーシブeスポーツ, 筋電位, 生体信号入力, ゲームインタフェース, 公平感 |
| Abstract | 本研究では,インクルーシブeスポーツに向けて,筋電信号を入力状態を判定する方式の違いがプレイヤ体験に与える影響を調査した. 具体的には,筋活動が所定の閾値を超えたかどうかで入力を判定する閾値方式と,事前に学習した分類モデルにより入力状態を推定するAI方式を実装し,上肢障害のある参加者3名と上肢障害のない参加者3名を対象に比較実験を行った.主観評価アンケートおよび半構造化インタビューの結果,閾値方式はAI方式に比べて,信頼性,予測可能性,意図どおりの操作感,運動主体感で高く評価される傾向が見られた. その背景には,閾値方式では入力が発生する基準を理解しやすく,操作結果を予測しやすいことが関係していた.一方,AI方式では,意図しない挙動や期待した入力が発生しない場合に,原因を把握しにくいことが信頼性や運動主体感の低下に関係していた.また,操作負担は筋電入力への経験差や意図どおりに操作できたかに影響され,公平感は判定過程への納得感や公平性を判断する立場の分かりやすさに影響されていた.これらの結果より,筋電入力方式の設計では,入力判定の安定性だけでなく,判定過程の理解しやすさ,操作結果の予測可能性,および公平感の判断しやすさを考慮する必要があることが示された. |
| Title | 複合現実とPC用AR/VRを併用可能なマルチユーザー型onlineプラットフォームの試作 |
| Author | *元村 慎太郎, 井原 章之 (国立研究開発法人 情報通信研究機構) |
| Page | pp. 2349 - 2354 |
| Keyword | 複合現実, PC用AR, XR, マルチユーザー |
| Abstract | 複合現実を用いた遠隔協調では,現地状況の把握に有効なARと,共有空間における対話に適したVRとが分離して扱われやすいという課題がある.本稿では,この課題に対し,MRヘッドセットとPC用AR/VRを併用可能なマルチユーザー型onlineプラットフォームを提案する.提案システムでは,MR空間,AR,VRの間で仮想物体および空間状態を共有し,さらにVR空間内にAR映像を配置することで,現地状況の把握と遠隔コミュニケーションとを一体的に扱える構成を実現した.体験会を通じてその体験内容を提示し,有用性と課題を検討した. |
| Title | ペーパーヨーヨーの個別認識手法を用いた 2人対戦型陣取りインタラクティブゲームの実装 |
| Author | 嶋野 達己, *鈴木 浩 (神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科) |
| Page | pp. 2355 - 2356 |
| Keyword | インタラクティブウォール, Lidar, ペーパーヨーヨー |
| Abstract | 本研究では,ペーパーヨーヨー(PY)の個別認識手法を用いた2人対戦型陣取りインタラクティブゲームを実装した.通常のPYとアタッチメント付きPYを用い,測域センサで取得した座標群の分散値の違いから入力主体を識別することで,複数人が同一壁面に同時入力する状況でも,各入力を混在させずに扱うことを可能にした.ゲームでは,ノード取得と奪取に応じて領域が動的に変化し,個別認識の結果がそのまま対戦状況として可視化される.これにより,本手法が多人数参加型壁面インタラクションに有効であることを示した.今後は,誤認識の低減と多人数化への展開を検討する. |
| Title | ロールプレイにおける LLM の感情表出制御手法 ―カスタマーハラスメント体験 AI ツールの構築― |
| Author | *設樂 一碩, 岩崎 翔, 粟井 修司, 吉岡 隆宏, 紺野 剛史 (富士通株式会社) |
| Page | pp. 2357 - 2361 |
| Keyword | 大規模言語モデル, ロールプレイ, 感情表出制御, 教育支援, Human-Agent Interaction |
| Abstract | Large Language Models(LLMs)は、対人業務のロールプレイ訓練を低コストで反復可能にする技術として期待されている。こうしたロールプレイを訓練として成立させるためには、顧客の感情が対話の進行に応じて段階的に変化することと、学習者の発話内容に応じて対話が一貫した条件で分岐することが求められる。これに対し、単一プロンプトを用いてLLMに感情制御と分岐判定を同時に担わせる構成では、確率的な応答生成の特性により、教育設計から逸脱した分岐や、設計された感情段階と一致しない応答が生じる場合がある。本研究では、カスタマーハラスメント対応訓練を目的に、行動分類・対話管理・応答生成を分離する三段階パイプラインを設計し、これに基づくロールプレイによりカスハラ対応を体験的に学習できる『カスタマーハラスメント体験AIツール』を実装した。提案手法では、各ノードに感情状態・発話意図・提案への反応規則の3つ組を割り当てたフローチャートで対話を制御することにより、体験者である従業員の発話の適切さに基づいて仮想顧客の発話の感情表出や主張内容が分岐する。2種の日本語接客対話シナリオを用いた評価により、単一プロンプト方式と比較して、分岐の再現性および感情表出の一貫性がいずれも向上することを確認した。本研究では、LLMロールプレイにおいて教育担当者の意図に沿った感情表出と分岐の制御を実現するための設計指針を示し、その有効性を定量的に検証した。 |
| Title | 身体動作インタラクションに対応した歩行者向け床面映像システムのためのコンテンツの提案 |
| Author | *安井 真絃, 山田 真聖, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院) |
| Page | pp. 2362 - 2366 |
| Keyword | 床面映像, 歩行者追跡, 身体動作, インタラクション |
| Abstract | 本研究では,身体動作インタラクションに対応した歩行者向け床面映像システムのためのコンテンツの提案を行った.このコンテンツでは,歩行者に個別の床面映像が提示され,身体動作に応じたインタラクティブな映像操作が可能である.二次元LiDARによる歩行者追跡と歩行パターンに応じた床面映像投影位置の算出,カメラによる歩行者追跡と身体動作推定,カルマンフィルタとハンガリアンアルゴリズムによる二次元LiDARとカメラデータの統合,などの手法を組み合わせることでシステムを実現した.また,このシステムのためのコンテンツを実装して実験を行った結果,各ユーザの身体動作に基づくインタラクティブな床面映像の操作が可能であることや,災害時における避難誘導への応用が期待できることを確認した. |
| Title | 振動と映像を組み合わせた牽引力錯覚に関する検討 |
| Author | *伊澤 捷, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院) |
| Page | pp. 2367 - 2371 |
| Keyword | 牽引力錯覚, マルチモーダル, 力覚, 小型振動デバイス, VR |
| Abstract | VRにおける既存の力覚提示デバイスは大型で実用性に欠ける。本研究は、小型振動子で擬似的な力覚を生む牽引力錯覚に視覚刺激を統合したマルチモーダルシステムを提案する。錯覚単体では力が微細で誤認が生じやすい課題に対し、方向と強さを統合したベクトル指標を用いて有効性を検証した。実験の結果、引力知覚の有意な増強に加え、強い刺激時に生じる逆方向への錯覚が視覚により劇的に補正されることが判明した。本手法が知覚ベクトルを正常化し、小型デバイスでの正確な力覚提示に寄与することを示した。 |
| Title | ユーザの手の動きに追従する動的な影の制御手法に関する研究 |
| Author | *武谷 信次郎, 水野 慎士 (愛知工業大学大学院) |
| Page | pp. 2372 - 2376 |
| Keyword | 影, インタラクション, 3DCG |
| Abstract | 本研究では,実世界の影を直接操作することで空間ライティングを直感的に制御するインタラクション手法を提案する.提案手法では,ユーザが床面やテーブル面に生成された物体の影に触れて移動させると,対応する光源が動的に移動し,影が手の動きに追従して変化する.本手法では,LEDパネルを動的光源として利用し,影生成シミュレーションと二次元LiDARによる手位置計測を組み合わせることで,実影の直接操作を実現する.さらに,3Dカメラを用いたリアルタイム3Dスキャンによって物体形状を逐次取得し,任意形状物体への対応を可能にした.加えて,複数光源によって生成される複数の影に対しても,各影を個別または同時に操作可能な拡張を行った.実装したシステムを用いた実験により,提案手法が多様な物体形状および複数光源環境において有効に機能することを確認した. |