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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション DS  デモセッション/企業展示
日時: 2016年7月7日(木) 17:00 - 18:40

DS-1
題名次世代サイバー演習環境に向けて
著者*太田 悟史, 安田 真悟, 湯村 翼, 高野 祐輝 (情報通信研究機構)
ページpp. 1776 - 1782
キーワードサイバー, セキュリティ, 演習環境
アブストラクトコンピュータやネットワークへのセキュリティ対策の重要性が高まるなかで, 高度化, 複雑化するサイバー 攻撃についてはサイバー演習によるセキュリティ人材育成が急務となっている. 今後, より多くの人材の輩 出が望まれているため, それに応じてより多くのサイバー演習の実施が必要となる. その一方で, サイバー 演習環境の学習効果をより向上させるためには, リアリティと演習の振り返りへの対応が必要である. しか し, 高いリアリティは構築コストが高く, さらに, 振り返りの機能の分だけ運用コストが増大する. そこで本 稿では, サイバー演習環境の構築効率の向上と演習環境のリアリティ, そして, 演習の振り返りを支援する サイバー演習統合管理システム “CABIN” を提案する. 本稿ではまず, 現状のサイバー演習との比較を経 て, 演習環境の構築とリアリティ, そして振り返りを実現する機能について検討する. 次に CABIN の機能 について概念実装と実装実験を行い, 課題の洗い出を行う. 最後に, 課題の整理とともに CABIN による新 しいサイバー演習環境について考察を行う.

DS-2
題名oneM2M 規格に基づいた車両情報収集サービスの試作
著者*笹原 将章, 大西 亮吉, 佐藤 一馬 ((株)トヨタIT開発センター)
ページpp. 1783 - 1787
キーワードIoT, M2M
アブストラクト車両に搭載された多様なセンサのセンシング情報がセンタサーバに集められ,故障診断や仕様改善,経路案内等に役立てられている.しかし,車両情報を収集するシステムが普及するに従い,通信網やセンタサーバの負荷が増大してしまう.さらに,外部のデバイスとの接続性やソフトウェアの安定性,メンテナンスの継続性,将来拡張に関しても課題が残る.そこで我々は,通信量削減が期待される出版購読モデルを用いた車両情報収集サービスを,標準化されたoneM2M規格に基づいて検討・試作した.今回の試作システムにおいて,車両情報収集の一連の動作(車両のサーバへの接続,サーバから車両へのデータの要求,要求に基づいた車両でのデータ処理,車両からサーバへの結果データの伝送)が3秒以内で完結することを確認した.

DS-3
題名オフィスワーカのための自然な ストレスモニタリングシステムの提案と設計
著者*前田 直樹, 平部 裕子, 荒川 豊, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
ページpp. 1788 - 1793
キーワードコンテキスト分析, 心拍, 視線
アブストラクト近年,事業所におけるオフィスワーカーの密度が上昇しているが,作業レイアウトや職場の照明や温度などが労働者の心理的なストレスの原因になることがある. また仕事に関する強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高くなってきており,自殺した労働者数も年々増加している. そのため職場で積極的に心の健康の保持増進を図ることが重要な課題となっている. 本稿では,オフィスワーカーが自らのストレスを予防,軽減するためのセルフケアを行いやすいように,ユーザーのストレスを計測し通知するストレスモニタリングシステムを提案する. 提案システムは,Intel RealSense,Tobii EyeX,温湿度センサを備えたマウスデバイスを用いることでオフィスワーカーのキーボード,マウスの操作状況に加え,心拍,視線,手汗などのバイタル情報を自然な状態でのセンシングと通知を実現する. ニュース記事をテキストファイルに転写する作業をセンシングした結果,同じ作業を行った場合のオフィスワーカ毎の心拍の変化を確認した.またオフィスワーカの心拍数とタイピング量は関係ないことを確認した.

DS-4
題名遠隔空間内の物に対する回転と設置が表現可能なビデオチャット
著者*濱上 宏樹 (和歌山大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
ページpp. 1794 - 1800
キーワードビデオチャット, 重畳表示型, 遠隔地間, 距離感, インタラクション
アブストラクト我々はこれまでに可動枠を用いた部分重畳表示型ビデオチャットシステム「ドアコムZ」を開発してきた.ドアコムZは,現実に存在する枠を介して遠隔地間を仮想的につなぎ,相手の空間と繋がっているような表示を行うビデオチャットシステムである.深度情報を用いることで,遠隔空間内における三次元的な移動と遠隔空間内の物に対する接触を表現した. 遠隔空間内における三次元的な移動の実現により,「遠隔空間内に隠れる」「遠隔空間内を指差 す」という表現が可能になった.また,遠隔空間内の物に対する接触の実現により,「遠隔空間内の物を掴む」「遠隔空間内の物を動かす」という表現が可能になった. しかし,「遠隔空間内の物を回転させる」「遠隔空間内に物を置く」という表現は実現できていない.そこで本研究では, 骨格情報と深度情報を用いた,遠隔空間内の物に対する接触後のインタラクションを提案する.

DS-5
題名装着型センサのジェスチャ認識に基づく音楽ライブイベントの興奮感可視化システム
著者*平尾 航太, 斉藤 裕樹 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科)
ページpp. 1801 - 1803
キーワード装着型センサ, ジェスチャ認識, 音楽イベント, 興奮感
アブストラクト装着型センサデバイスは,ユーザへの負担が少なく常時意識することなく装着しユーザの行動を計測できる.本研究では,装着型センサデバイスを用いた特定目的の空間における行動認識技術として,音楽ライブ空間に注目し加速度センサを用いたジェスチャ認識により,観客の行動を認識しジェスチャと合成加速度振幅を組み合わせた指標を導入することで興奮感を定量化し,その心理状態に対応する色彩を演者側に提示することで,会場の興奮感を可視化するシステムを提案する.実際の音楽ライブ空間においてジェスチャ認識実験を行った結果,正解率は98.6744%であり,提案手法の有効性が確認された.

DS-6
題名玄関の履物に対する画像認識を用いた在室管理手法の提案
著者*高橋 洸人, 岩井 将行 (東京電機大学未来科学研究科)
ページpp. 1804 - 1809
キーワード在室管理, 人数推定手法, 画像解析
アブストラクト在室状況において「いつの時間帯に誰が在室していたか」「現在の在室者は誰か」などの現状確認はコミュニケーションで度々必要とされている. また,Energy Management System (EMS) においても在室人数から効率的なエネルギー供給が実現されている. 現在,在室管理には様々な手法が提案, 実用されている.本研究では,利用者のコストをかけずに在室している個人の特定する事を目標として.出入り口の履物の有無や状態によって在室者の推定や管理をするシステムを提案する.

DS-7
題名マトリクスRFIDアンテナとパッシブ方位タグを用いた 家具VR配置シミュレーションシステムに関するデモ
著者*岩井 将行 (東京電機大学未来科学部情報メディア学科), 柴原 直也 (東京電機大学大学院), 佐伯 典貢, 野口 正寿 (タカヤ株式会社)
ページpp. 1810 - 1813
キーワードRFID, パッシブタグ, 方位, デジタルコンパス, VR
アブストラクト近年,RFIDなどの無線通信による情報読み取り技術が発展していく中で電子マネーや社員証などの非接触型のデバイスが益々増えている.こうした技術で,リアルタイムでの情報読み取りが可能になっている.またその情報を仮想空間に送ることによって実空間と仮想空間の連携が容易に行えると考える.既存の実空間と仮想空間での連携を行うサービスとして多くのものは画像認識を用いて対象物の認識を行っている.画像認識を用いると機材が大きくなり搬入が困難になる場合がある.また,対象物が傷付くと上手く認識の動作が働かない可能性がある.そこで本研究では,格子状にアンテナを配置したマトリックスRFIDリーダと姿勢検出のできるRF帯センサ付き無電池タグを開発してタグの姿勢情報を元に実空間と仮想空間の連携システムを提案評価する. 本研究では,センサを内蔵した無電池式RFID(以下,パッシブセンサタグ)開発した.仮想空間と連携するために電子コンパス等のセンサを内蔵させ姿勢情報を取得可能にした.また,パッシブセンサタグの位置情報の取得と給電を行うためのアンテナをマトリックス(格子)状に配置した特殊アンテナの開発を行った.実空間のタグ姿勢をパッシブセンサタグで取得し,Unityで開発したアプリケーションへ情報を送ることによって仮想空間に別オブジェクトとして表示をして連携を行う.また,実用的なデモアプリケーションを作成して実用性を示す.

DS-8
題名個人差のない特徴量を用いた水分摂取量推定手法の検討
著者*山田 侑太朗 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 西村 雅史 (静岡大学学術院情報学領域), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/JSTさきがけ)
ページpp. 1814 - 1820
キーワード水分摂取量推定, 継続時間, MFCC, HMM, 嚥下音
アブストラクト超高齢社会を迎えた日本では,介護負担の増大が課題であり,介護負担を軽減するために高齢者の健康管理の自動記録に関するサービスやシステムの提案が行われてきた.しかし,高齢者の健康管理に必要な項目の一つである水分摂取量については現在自動化が行われておらず,介護者の負担となっていた.筆者らは,嚥下音を計測し,水分摂取量を推定する手法の研究を進めてきたが,一日分の合計水分摂取量推定では,被験者毎の推定誤差が大きく,不特定の被験者に対する水分摂取量推定に適した共通的な特徴量を抽出しきれていない課題があった. 本研究では,個人差の課題について行動分類で用いた判別器をHMM (Hidden Markov Model)に変更し嚥下行動の抽出精度を向上させるだけでなく,LLD (Low Level Descriptor)特徴量セットに含まれる特徴量の中でも,音の大きさや波形に比べ個人差が少なく嚥下量に相関性の高いと考えられるMFCC (Mel-Frequency Cepstrum Coefficients)や継続時間に着目して水分摂取量推定の高精度化を図る.実験では従来手法と比べ,提案手法で各被験者で1日分の目安から500mlの誤差にまで下げることができ,MFCCや継続時間は,音の大きさに比べ共通かつ適切な特徴量であったと確認できた.

DS-9
題名即時に身体交換可能な映像上の身体変換システムの提案
著者*今村 美聡, 吉野 孝 (和歌山大学)
ページpp. 1821 - 1826
キーワードインタラクション, モーションキャプチャ, 身体属性, 鏡像
アブストラクト社会的な立場の変化や見た目の変化により,心理的な変化が起こることが知られている.我々は,このような見た目の変化による心理的な変化を観察するため,まず身長や体形といった身体のスケールに着目し,他者の身体感覚を体験するシステム「イマミラー」を開発した.イマミラーを用いた評価実験の結果,他者の身体感覚を違和感として提示できることがわかった.しかしイマミラーは,人手で身体形状モデルの作成を行うため,事前に身体形状を取得した人の身体感覚しか体験できない問題がある.システムの展示場所に居合わせた人同士の身体を即時に交換することで,利用者は様々な人の身体感覚を体験できる.そこで本稿では,イマミラーにおいて利用者同士の身体を即時に交換する手法を提案する.

DS-10
題名異世界放送:映像効果と音声効果を伴う分散型インターネットライブ放送システム
著者*義久 智樹 (大阪大学), 川上 朋也 (奈良先端科学技術大学院大学), 石 芳正 (株式会社PIAX), 寺西 裕一 (情報通信研究機構)
ページpp. 1827 - 1832
キーワードビデオオンデマンド, インターネット放送
アブストラクトTwitCastingやUSTREAMといったインターネットライブ放送サービスが近年普及している.インターネットライブ放送では,配信している映像や音声に効果を付加することがある.本研究では,映像効果や音声効果を付加することで,配信者があたかも異なる世界にいるような映像と音声になるライブ放送を異世界放送と呼ぶ.短期間内に多くの視聴者が効果を付加したり,効果付加の処理負荷が大きかったりすると,付加処理に時間がかかるため,現状では,単に花火を重畳表示させるだけであったり簡単なエコーといった,処理負荷が小さい効果のみ付加することが多かった.付加処理を短時間で行うことで,より多くの効果を付加できたり,フレームレートの高いインターネットライブ放送を行えたりする.そこで本研究では,映像効果と音声効果を伴う分散型インターネットライブ放送システムを提案する.提案システムでは,配信者個人のパソコンやスマートフォンで映像と音声を取得し,それらのデータを映像効果や音声効果を付加する計算機に送信する.効果付加後のデータをインターネットライブ放送サービスが提供する放送サーバに送信してライブ放送を行う.

DS-11
題名Kinect v2を用いた対戦相手の癖を覚えるあっち向いてホイアプリケーション
著者*赤木 詠滋, 松永 和也, 竹渕 瑛一 (神奈川工科大学大学院), 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
ページpp. 1833 - 1839
キーワードKinect v2, あっち向いてホイ, アプリケーション
アブストラクト本論文では,Kinect v2を用いたあっち向いてホイアプリケーションについて述べる.本論文の目的は,従来のアプリケーションにおける,ボタン操作による非直感的な操作性問題,及び対戦感の希薄化問題,以上二点の問題の解消である.操作性問題とは,アプリケーションがボタン操作を要求することにより,プレイヤーが実際のあっち向いてホイとは異なる操作及び動作を要求される為,プレイヤーによっては操作がし辛くなり,ユーザビリティが失われる問題である.操作性問題は,ボタン操作ではなくKinect v2を用いて操作することにより解消を試みた.また,対戦感の希薄化問題とは,コンピュータがプレイヤーの過去の行動に関わらずランダムで行動を決定する為,プレイヤーからコンピュータに対する作用が反映されず,インタラクティブ性が失われる問題である.対戦感の希薄化問題は,プレイヤーからコンピュータに対する作用を反映するためにプレイヤーの過去の行動からプレイヤーの癖を記憶し,その後の行動を変化させるアルゴリズムを開発,解消を試みた.評価実験として,5段階によるアンケート調査,及びアルゴリズムの動作確認を行った.5段階のアンケート調査による評価実験の結果,試作システムで操作性問題,及び対戦感の希薄化問題は解消可能であること,及びアルゴリズムの正常な動作を確認した.しかし, Kinect v2の認識精度不足が特に指ボーンを取得する際に確認された.また,アルゴリズムの思考パターンが偏りすぎる問題も確認された.今後の課題として,Kinect v2のボーン取得時の誤認識軽減方法の開発,アルゴリズムの思考パターンの複雑化をする必要があると考えられる.

DS-12
題名ベース音を用いた高速な和音認識手法の提案
著者*竹渕 瑛一 (神奈川工科大学大学院), 梶並 知記 (岡山理科大学総合情報学部情報科学科), 徳弘 一路, 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
ページpp. 1840 - 1847
キーワード音楽情報処理, 和音認識, エレキギター, Chroma-Vector法, MIDI
アブストラクト本論文では,ベース音を用いることで,Chroma-Vector法で得られる音階情報を音程情報に変換することで,和音認識のパターンマッチを簡略化するための手法を提案する.本研究では,和音と倍音の調波構造に着目することで,音程情報をビットフラグと見立て,演奏情報と和音とのパターンマッチングを行った.評価実験では,著者の一人が試作システムとエレキギターを用いてコードを繰り返し弾弦することで実施した.評価実験の結果,完全一致ではF値が19.1%,部分一致ではF値が30.8%となったが,実験中の目視によってどのコードが弾弦されたのか理解できる結果となった.従って,提案手法と機械学習の組み合わせで認識率を向上させることが可能と考えられる.今後の課題として,演奏者がうまく弾けない状況やエレキギターの調波構造を考慮することである.先行研究のように音響信号から和音を認識するアプローチから,押弦位置を認識するアプローチで課題を解決できると考えられる.

DS-13
題名2人用テーブルトップ型運動視差立体視CGシステムとインタラクション手法の提案
著者*水野 慎士 (愛知工業大学 情報科学部)
ページpp. 1848 - 1853
キーワード立体視CG, 運動視差, インタラクション, 協調作業
アブストラクト本稿では2人が同時使用可能なテーブルトップ型運動視差立体視CGシステムと,そのシステムでのインタラクションの実現手法を提案する.著者らが開発した従来のテーブルトップ型運動視差立体視CGシステムは,1人のユーザを検出してそのユーザに特化した映像を表示する必要があるため,2人で同時に使用することはできなかった.そこで,従来の手法と実装ハードウェアを拡張することで,2人のユーザが1つのテーブル上で同時に三次元CG物体を観察したり操作することができる運動視差立体視CGシステムを提案する.

DS-14
題名影内部映像に対するインタラクションの提案
著者*岩崎 妃呂子, 水野 慎士 (愛知工業大学情報科学部)
ページpp. 1854 - 1858
キーワードインタラクション, CG, 影, インタフェース
アブストラクト本研究では実物の影内部に投影された映像とユーザの影とを用いたインタラクションを実現するシ ステムを提案する.このシステムでは,実物影を生成している物体そのものを傾けるなどの動作を行うこ とで,映像も動作に対応して動いたり,ユーザが自身の影で映像に手を入れ,映像内の物を持って取り出 すといった,まるでテレビの中に自分の手を入れている様な体験をすることができる.また,影内部以外 でスクリーンに投影されたのものは仮想影としてモノクロで投影することで,影の内部は色が付いている が,それ以外は影という不思議な空間を創り出している.本システムでは Kinect を用いて取得したデータ を基にシミューレーションを行うことで,仮想影や影内部映像を制御し,様々なインタラクションを実現 している.