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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 8G  センサネットワーク
日時: 2016年7月8日(金) 10:30 - 12:10
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

8G-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名低管理コストセンサネットワークにおける障害発生時の部分的な配送木再構築手法
著者*横谷 晟人 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部)
ページpp. 1723 - 1732
キーワード無線センサネットワーク, MACプロトコル, 経路制御プロトコル, 省電力, 管理コスト
アブストラクト無線センサネットワークを長期にわたり安定して実運用するには,バッテリによる駆動が要求されることが多いセンサノードの,省電力化による長寿命化と,電池交換等の管理に係るコストの低減が必要である.この目的を達成するためのセンサネットワーク構築手法として,小島らにより「低管理コストセンサネットワーク」が提案されている.しかし,低管理コストセンサネットワークでは,ノード故障等に起因するトポロジ変化が配送木のある一か所で発生した際に,配送木に属する全てのノードによって配送木が再構築されてしまう.大規模なネットワークになるほど電力消費の大きい配送木の再構築が行われる可能性が高くなることから,低管理コストセンサネットワークはスケーラビリティの問題がある.本研究では,低管理コストセンサネットワークにおいて,配送木の再構築に要する制御メッセージを,隣接ノードに送信するための代替経路をあらかじめ確保し,ノード故障等に起因するトポロジ変化発生時に,次ホップが変わるノード数を最小化して局所的に配送木を修復できるような,経路制御プロトコルおよび,MACプロトコルの拡張について提案する.

8G-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名大規模無線センサネットワークにおける中継ノードの省電力化のための非対称通信とWake-up Radioを併用したモバイルシンク通信方式の提案と評価
著者*岩田 将成, 湯 素華, 小花 貞夫 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
ページpp. 1733 - 1740
キーワード大規模無線センサーネットワーク, 省電力化, モバイルシンク, 非対称通信, Wake-up Radio
アブストラクト近年,無線センサネットワークの長期間運用を目的として,有限な電源で動作するセンサノードの省電力化に関する研究が盛んに行われている.大規模な無線センサネットワークでは主にマルチホップ通信が用いられるが,シンクノード付近の中継ノードにトラフィック負荷が集中し,電力消費が増大する問題がある.この問題を緩和する手法としてモバイルシンクが提案されているが,モバイルシンクには,ルーティング情報更新時に発生するノード間の通信オーバヘッドの問題と,不定期な送信要求の監視によるノード稼働時間増加の問題がある.本稿では,モバイルシンクの問題を,非対称通信とWake-up Radioを併用することで解決するモバイルシンク通信方式を提案した.提案方式ではノード間の通信オーバヘッドを非対称通信により削減する.また,ノードを一斉起動せずに,通信発生時にWaku-up Radioを用いてホップ毎にノードを起動させる制御により,ノード稼働時間の削減を図る.シミュレーション評価の結果,ホップ毎の起動タイミング制御は,一斉起動に比べて,全ノードの合計電力消費量を10分の1以下(ノード数600の場合)まで低減できることを確認した.また,提案方式の通信エラーに対する耐性評価を行い,ウェイクアップ制御メッセージの連送と再送スロットの追加によりシンクへのフレーム到達率を改善できることを示した.その際,ホップ毎に再送スロット数を制御することで,センサデータの収集時間と電力消費量の増加を抑えつつ,フレーム到達率の向上が可能であることを確認した.

8G-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名WiFi APを用いたセンサノード測位に向けたWiFi送信チャネル推定手法の設計
著者*石田 繁巳, 泉 幸作, 國廣 陽介 (九州大学大学院システム情報科学研究院), 田頭 茂明 (関西大学総合情報学部), 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
ページpp. 1741 - 1747
キーワードセンサ測位システム, 異種無線信号検出, WiFi送信チャネル推定
アブストラクト屋内ではGPSが利用できないため,屋内センサネットワークにおいて膨大な数のセンサノードの位置を取得することは大きな課題の1つとなっている.筆者らはWiFi APを測位基準ノードとして利用するセンサノード測位システムの実現を目指している.ZigBeeモジュールを具備したセンサノードではWiFiの信号を受信することはできないため,無線通信規格の違いを乗り越えてセンサノードでWiFi信号を検出し,RSSを測定する手法をこれまでに開発した. 本稿では,WiFi AP送信チャネル推定手法「WiChest」 を示す.センサノードで取得したWiFi信号のRSSはWiFiの送信チャネル,センサノードのZigBeeチャネルの両方の影響を受けるため,正確なRSSの測定に向けてはWiFiの送信チャネルに応じてセンサノードのチャネルを切り替えることが必須となる.このため,マルチチャネルAP検出,AP信号分離,送信チャネル推定という3つの手法を組み合わせることでWiFi APの送信チャネルをセンサノードで推定する.実証評価を通じてWiChestが精度0.90で送信チャネルを推定できることを確認した.