(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 7G  行動認識
日時: 2016年7月8日(金) 8:30 - 10:10
座長: 廣井 慧 (名古屋大学)

7G-1 (時間: 8:30 - 8:50)
題名デイケアセンターにおける高齢者の行動履歴自動生成システムの開発
著者*藤本 まなと, 駒井 清顕, 荒川 豊, 諏訪 博彦, 柏本 幸俊, 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
ページpp. 1504 - 1509
キーワード行動認識, ビーコン, RSSI, デイケアセンター
アブストラクトデイケアセンターにおいて,高齢者の行動履歴を自動的に生成するシステムを実現するには,高齢者が存在するエリアを精度良く判定する必要がある.これまでの我々の研究においては,ビーコンから常に発信されるBLEアドバタイズメントパケットを環境側に設置した設置型ビーコンスキャナで観測することにより,高齢者に負担をかけることなくエリア判定, 行動認識できるシステムを開発し,また,高齢者の存在するエリアを約60%程度の精度で認識できることを確認している.しかし,これは単純にRSSI値の一番高い値を示しているビーコンスキャナが設置されているエリアを,高齢者の存在エリアとして判定しているため,判定精度はそれほど高くはない.本研究では,これまでの研究成果よりも判定精度をより向上させることを目的とし,既に我々の先行研究において取得しているRSSI値を,機械学習アルゴリズムの1つであるRandom Forestを用いて学習モデルを構築し,10分割交差検証法にて評価することで,どの程度,判定精度が向上するかを検証した.その結果,F値86.4%の精度で高齢者の存在するエリアを認識できた.また,先行研究のPrecision結果と本研究におけるPrecision結果を比較すると,約27%程度の精度向上を実現した.また,ビーコンスキャナの配置箇所などは環境変化に敏感な高齢者のためにカモフラージュ等が必要など,デイケアセンター特有の難しさが存在することがわかった.

7G-2 (時間: 8:50 - 9:10)
題名エナジハーベスト赤外線センサ・ドア開閉センサを活用したスマートホーム向け行動推定
著者*柏本 幸俊, 秦 恭史, 諏訪 博彦, 藤本 まなと, 荒川 豊 (奈良先端科学技術大学院大学), 繁住 健哉, 小宮 邦裕, 小西 健太 (ローム株式会社), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
ページpp. 1510 - 1515
キーワード行動推定, スマートハウス, 機械学習
アブストラクトユビキタス情報技術の発展によって,省エネ家電制御や高齢者見守りシステム,コンシェルジュ機能など生活を支援するサービスへの応用が期待されている. これらのサービスの実現には,多種多様な人間の生活行動を高精度,かつ低コストで認識することが重要である.本研究では屋内生活行動を高精度かつ低コストで認識することを目的とする. スマートホームにおける行動推定のアプローチは多数存在する. しかし,既存研究は導入コストが高く,ユーザへの装着負担が大きい. 本研究では,エナジハーベスト焦電型赤外線センサ・ドア開閉センサを活用したユーザの行動推定を実現する. このエナジハーベスト焦電型赤外線センサ・ドア開閉センサは太陽光パネルと大容量キャパシタを内蔵しており,日光下では太陽光パネルで発電した電力で焦電型赤外線センサ,ドア開閉センサと無線モジュールを駆動し,同時にキャパシタへ電力を蓄積する. 夜間等の太陽光パネルから電力供給が望めない状況下では,キャパシタに蓄積した電力によって稼働する. スマートホーム内に19個のエナジハーベスト焦電型赤外線センサ・ドア開閉センサを設置し,センサデータをサーバに蓄積・解析するシステムを構築した. 提案システムの有用性を評価するため,奈良先端科学技術大学院大学内に設置したスマートホーム設備(1LDK)で,計5名の被験者に2~3日ずつ生活してもらい,計14日間評価実験を行った, 実験の際に日常生活で考えられる8種類の行動に対してセンサデータを記録した. 評価実験の結果,平均F-value:62.8%でユーザの行動を推定した.

7G-3 (時間: 9:10 - 9:30)
題名位置情報を用いた実空間における人間関係分析手法の提案
著者*石塚 宏紀, 小林 直 (株式会社KDDI研究所/データマイニング応用グループ), 村松 茂樹, 小林 亜令 (株式会社KDDI研究所/クラウドプラットフォームグループ), 小野 智弘 (株式会社KDDI研究所/データマイニング応用グループ)
ページpp. 1516 - 1523
キーワード行動推定, 人間関係, 機械学習
アブストラクト近年,ソーシャルメディアの発展に伴って個々人の関係性に関する情報を活用した人間関係分析に関する研究が盛んに行われてきた.また,仮想世界上でのコミュニケーションのみならず,実空間における人間関係の研究においても位置情報等を用いたにおける関係性抽出手法が提案されている.分析された人間関係データは,広告配信等のマーケティング最適化や組織におけるコミュニケーションの活性化,関係性改善に向けた行動変容などへの活用が期待されている.本論では,位置情報を用いた実空間における人間関係分析技術において,移動中及び滞在中の同時移動行動を同時に加味したモデルを提案し,2者間の行動に対して,同時行動,行動共有シーン,行動共有パターンの3軸による特徴量を用いた学習を行った.提案手法の評価において,約1ヶ月半にわたる98名のスマートフォンによるGPS履歴と被験者間の人間関係に関する正解データを収集し,機械学習及びルールベースによる2種類の分類器を生成し,関係性有無を推定した.評価結果では,Accuracyで0.9程度得ることが分かった.尚,実験にて得られたデータについて,本研究の目的において被験者間の関係性の詳細分析や外部発表について明確な個別許諾を被験者からいただいた上で研究を行なっています.

7G-4 (時間: 9:30 - 9:50)
題名長期的な状態依存性を考慮した移動軌跡からの目的地予測
著者*遠藤 結城, 西田 京介, 戸田 浩之, 澤田 宏 (NTTサービスエボリューション研究所)
ページpp. 1524 - 1536
キーワード移動軌跡, 目的地予測, RNN
アブストラクト本稿では,ユーザの出発地から現在地までの移動軌跡をもとに目的地を予測するデータ駆動型の手法を提案する.移動軌跡は遷移の系列が長く多様なパターンを持つことが多いため,目的地は過去の長期的な状態に左右されやすい.しかし,単純に多次元のマルコフ過程を利用するのは,訓練データのスパースネスが問題となるため効果的ではない.そこで本研究では,これらの問題を緩和できるrecurrent neural network (RNN) によって,グリッド空間上における離散的な状態遷移をモデリングする.このRNNモデルを用いてタイムステップごとの遷移確率を計算し,確率的なサンプリングに基づいて各目的地候補への訪問確率を効率的に計算する.タクシーと個人の移動軌跡の実データを用いて提案手法を評価し,直近のタクシー移動の目的地予測コンペティション優勝手法を含むstate-of-the-art 手法よりも高精度に目的地を予測できることを示す.