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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 7D  ネットワーク制御
日時: 2016年7月8日(金) 8:30 - 10:10
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

7D-1 (時間: 8:30 - 8:50)
題名OpenFlowを用いたTCPトラフィック動的経路分散ネットワークの提案
著者*吉村 悠, 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
ページpp. 1403 - 1409
キーワードOpenFlow, SDN, 負荷分散
アブストラクトインターネット上のトラフィック量は年々増加しており,中でもインターネットビデオのTCPトラフィックはその大きな要因となっている. また既存のルーティングプロトコルは最適経路上のリンクやノードにトラフィックが集中する欠点があり輻輳の要因となる.そこでTCPトラフィックを最適経路だけでなく複数の経路に分散させることが輻輳の抑制に有効であるが,適切な経路分散を行うにはネットワークの帯域状態から動的に経路設定をする必要があり,既存のIP通信網では複雑な実装となり困難である.そこで本研究ではOpenFlowを用いてネットワークのトラフィック状態に合わせて動的な経路分散を行う.OpenFlowは近年,注目を集めているSDN(Software-Defined Networking)と呼ばれるネットワークをソフトウェアで制御する仕組みの代表的な技術である.OpenFlowによってネットワーク状態を監視し,新たに発生したTCPフローに対し経路を動的に設定する.また短時間にトラフィックが急増するバーストトラフィック発生時にも適切に経路分散を行えるよう設計を行う.結果として提案手法を既存手法とを比較し提案手法はスループットが向上,再送率が低下し輻輳の抑制に効果があることを示した.

7D-2 (時間: 8:50 - 9:10)
題名災害時の無線通信路確立のためのエージェント技術に基づくロボット運用方式の提案
著者*林 幸汰, 打矢 隆弘, 内匠 逸 (名古屋工業大学 大学院工学研究科), 木下 哲男 (東北大学 電気通信研究所)
ページpp. 1410 - 1417
キーワード災害時システム, エージェント技術, ロボット応用, 分散システム, クラウドロボティクス
アブストラクト近年,災害に強い通信インフラとして無線LAN(Local Area Network)が注目されている.災害発生時,電話回線が急激な需要増加に伴う輻輳により利用できない場合にも,無線LANはインターネットにアクセスできるため,災害時に有効な通信手段とされる.災害時の無線LAN利用における問題点として,被災によるアクセスポイントの故障から発生するデッドスポットが挙げられる.デッドスポット内は外部との連絡が取れないため非常に危険である.このようなデッドスポットに対する解決策として,無線中継機により,隣接するアクセスポイントから新たな無線通信路を確立し,デッドスポットをカバーする方法が考えられる.本研究では,エージェント技術に基づきロボットを運用することで,災害時に人の手を介することなく迅速に無線通信路を確立するシステムを提案する.

7D-3 (時間: 9:10 - 9:30)
題名大規模災害時におけるSNSによる集合知に基づいたネットワークのQoE制御
著者*丸 千尋 (お茶の水女子大学), 榎 美紀 (日本IBM), 中尾 彰宏, 山本 周 (東京大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
ページpp. 1418 - 1426
キーワードTwitter, 集合知, 通信障害, ネットワーク制御, DPN
アブストラクト東日本大震災に見られるように,被害状況の把握に必要な通信回線の混雑および故障に関する情報が膨大になると,ネットワーク全体の状況を迅速に把握することが困難となる.また,震災時には,電話やメールが使えないユーザが多い中,SNSは利用可能な場合が多い.震災のような緊急時では,ユーザがネットワークの状況に強い関心を寄せ,その情報をSNSを通して積極的に発信すると考えられる.そのため,我々はSNSによる集合知が,従来のネットワーク監視の相互補完的な情報取得手段として最適であると考える.本研究では,最も広く使われているSNSの一つである,Twitterによる集合知を利用したネットワーク障害検知を迅速かつ高精度に行うシステムの提案を行う.また,提案システムから取得したネットワーク負荷に関する情報を基に,実際にネットワーク制御を自動的/自律的に行うことを示す.

7D-4 (時間: 9:30 - 9:50)
題名大規模災害時におけるSNS情報に基づいたアプリケーションQoS制御ライブラリの実装
著者*柳田 晴香 (お茶の水女子大学大学院), 中尾 彰宏, 山本 周 (東京大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
ページpp. 1427 - 1433
キーワードSDN, OpenFlow, DPN, FLARE, SNS
アブストラクト東日本大震災時,電話やインターネットが使えない事態が生じたことから,大規模災害時には,従来のネットワーク機器監視による制御だけではなく新たな情報を利用した制御が期待されている.我々は,多くの人間の目や口コミによるネットワーク障害に対する集合知が災害の状況把握に有益であるという仮説に基づいて,SNS 情報に基づいたネットワーク制御システムを提案している.従来の機器監視制御には,制御プレーンをプログラム可能とするSDN(Software Defined Networking) による柔軟な集中制御が期待されている.しかし,現在のSDNでは,依然として,ヘッダー情報に基づく経路制御など従来と同様な制御の効率化に限定される.そこで我々は,データプレーン処理とそのAPI(Southbound Interface)をプログラム可能とするSDNを拡張するDPN (Deeply Programmable Network)の概念に基づいて,SNSの情報が含まれるパケットペイロードのデータを監視することで経路制御をする手法を提案する.例えば,Twitter からリアルタイムにネットワーク障害を高い確度で検知し,ネットワーク全体の状況を迅速に把握することが可能になる.また,プログラム可能なデータプレーン処理を利用して,新たな情報源も動的に利用可能である.本論文では,FLAREを用いて,OpenFlowの制御処理やアプリケーションの種類に基づいたトラフィックの分類を実装し,アプリケーション毎のQoS 制御を評価する.