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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 6B  ウェアラブル
日時: 2016年7月7日(木) 14:10 - 15:30
座長: 大内 一成 (東芝)

6B-1 (時間: 14:10 - 14:30)
題名手首装着型センサを用いた打鍵動作特徴による個人認証手法
著者*伊藤 駿吾 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部), 今野 慎介 (函館工業高等専門学校)
ページpp. 1165 - 1171
キーワードウェアラブルセンサ, 打鍵動作, 行動特徴, 個人認証
アブストラクト近年,Wi-Fiの普及により大学や図書館などのパブリックスペースでPCを使用できるようになった.このような場所でPCを利用する際,ユーザが席を離れた場合に他人にPCを不正に使用される恐れがある.そのために多くのPCにはログイン認証機能が搭載されている.一般的なPCのログイン認証にはパスワードを用いた認証方式が利用されている.しかし,この認証方式はパスワードの漏洩により不正にログインされる恐れがあり,ログイン認証時の安全性を向上させることが重要となる.そこで,本研究ではログイン認証時の安全性を向上させるためにキーボードの打鍵動作特徴による個人認証手法を提案することを目的とする.提案手法では,まず,打鍵動作を取得するために両手首に3軸加速度センサ,3軸角速度センサを装着し,各軸のセンサデータを取得する.次に個人認証に利用する特徴量の抽出方法として同一ユーザによる複数回の打鍵動作から各軸のセンサデータを取得し,波形マッチングを行うことで複数のDTW距離を求める.求めた複数のDTW距離からSVM(Support Vector Machine)により識別関数を求めることで認証判定を行う.認証精度の評価実験として,5名の被験者を対象に4種類の単語を入力した時の打鍵動作を取得し,各被験者を本人とした時の本人拒否率(FRR),他人受入率(FAR)を求めた.また,認証精度の評価指標として,しきい値を変動させ,本人拒否率と他人受入率が等しくなる時の誤り率である等誤り率(EER)を求めた.実験の結果,被験者によって大きくEERが異なる結果が得られた.最後に,実験結果と今後の課題について考察した.

6B-2 (時間: 14:30 - 14:50)
題名ウェアラブルメガネを用いた視線方向の推定に関する一考察
著者*薄井 智貴 (名古屋大学大学院), 坂 匠 (名古屋大学大学院 工学研究科), 山本 俊行 (名古屋大学 未来材料・システム研究所)
ページpp. 1172 - 1174
キーワードウェアラブル, センサ, モデル推定
アブストラクトセンサ技術の高性能・高精度化に伴い,ウェアラブルデバイスが脚光を浴びている.本研究では,昨年末に販売が開始された眼電位センサを搭載したウェアラブルメガネ「JINS MEME」の運転行動把握における利活用を検討しており,本稿においては,まず,本製品の特徴および取得データによる視線方向推定の可能性について検討した結果について述べる.被験者1名による簡易計測実験の結果,取得できる水平・垂直方向のEOG値を利用することで,誤分類率8%程度で,視線方向を把握することができることが示唆された.

6B-3 (時間: 14:50 - 15:10)
題名装着型センサを用いた読み聞かせ時の動作認識と興味推定にむけて
著者*大西 鮎美 (神戸大学大学院工学研究科), 斎藤 馨 (東京大学大学院新領域創成科学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ)
ページpp. 1175 - 1182
キーワード加速度センサ, 動作認識, 読み聞かせ, 子供
アブストラクト学習活動の分析には,質問紙や映像,音声などが用いられる.学習中の参加者の様子を詳細に得たい場合,カメラ等によって得られた映像から身体的な様子や表情,ジェスチャなどのデータを得るが,個人の詳細な動きをとるためにカメラ設置台数を増やすことで,参加者に圧迫感を与える可能性がある.また,質問紙調査の場合,全体の中の参加者の特性を分析できる一方で,質問紙に答えられない年齢層に対応できない.回答を得ることが難しいため,評価ができないといった現状がある.そこで,小型かつ可搬な加速度センサを用いることで,できるだけ参加者を圧迫せず幼児や小学校低学年児童の動作やジェスチャから活動の様子を評価し,さらに,それらの動作から参加者の提示情報に対する興味度合いを推定することを目的とする. 本論文では,絵本の読み聞かせイベントの参加者を対象に,参加者の頭部加速度および角速度値を取得し,参加者の動作と興味度合いの推定を試みた.興味度合いについては,2名の評定者が,参加者の読み聞かせ内容に対する興味度合いを連続的に5段階で評価した.評価結果から,動作に関してはF値で静止状態0.66,座りなおし0.26,ごそごそ0.47,手遊び0.93の精度で認識できた.また,読み聞かせイベントの中で最も興味度合いが高いと評定されたのは手遊び区間であり,動作認識率はF値で0.93と高かった.

6B-4 (時間: 15:10 - 15:30)
題名同種複数センサ近接配置による衣類型センサの位置ずれ対策の検討
著者*並川 真也, 榎堀 優, 間瀬 健二 (名古屋大学 大学院情報科学研究科)
ページpp. 1183 - 1189
キーワードウェアラブルセンサ
アブストラクトウェアラブルセンサで生体情報を取得する手法では,衣類へセンサを組み込む試みが行われている.しかしながら,衣類型センサの問題の1つとして,服がずれることでセンサの位置が変わり,誤差が増大する位置ずれがある.そこで,計測部位にセンサを複数本近接配置し,それらの中から最適なセンサを採用することで,衣類型センサの位置ずれ問題に対応できる手法を提案する.本稿では,伸縮により抵抗値が変化する紐状の組紐センサを同種複数近接配置した衣類型センサを使い肘関節角度の計測における位置ずれ対策を試みた. 複数の近接配置されたセンサの中から,推奨計測位置に最も近いセンサを選択的に利用することで推定誤差を低減させる手法である.多くの推奨計測位置がSN比向上を狙う上で,最もセンサ値の変動する箇所であることから,センサ出力値の変動が最も大きなものを最適センサとして選択する方法で行った.結果,2つのセンサ配置し,どちらかのセンサを固定的に利用した場合の誤差は33.18±13.83度,43.40±27.37度であり,提案手法を用いた場合の誤差は29.31±11.61度だった.提案手法による誤差が最も少なく,位置ずれ誤差に対して提案手法が有効である可能性が示唆された.