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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 4D  位置・行動認識
日時: 2016年7月7日(木) 8:20 - 10:00
座長: 白石 陽 (公立はこだて未来大学)

4D-1 (時間: 8:20 - 8:40)
題名基地局遷移パターンの学習に基づく通信履歴からの電車旅客推定法の提案
著者*山田 遊馬, 内山 彰, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院 情報科学研究科)
ページpp. 743 - 750
キーワード基地局通信履歴, 電車旅客推定, 電波伝搬
アブストラクト本研究では,携帯電話での通信時に基地局で記録される制御情報の履歴(通信履歴) を用いて,電車で移動するユーザの推定ならびにその移動経路推定を行う.接続した基地局ID から分かる大まかな位置情報のみを基にトリップを推定することは困難なため,駅,路線,道路の位置や接続関係といった地理情報を用いる.また,都市部における電波伝搬は複雑なためモデル化が困難であり,接続する基地局の選択基準は単純に距離で決められない.このような複雑な電波伝搬状況を考慮するため,本研究では電車旅客を対象に協力ユーザから得られるGPS トレースと通信履歴を利用して,基地局通信履歴とハンドオーバの特徴を基地局遷移パターンとして予め学習する.電車旅客の推定では,学習した遷移パターンとの照合を行うことで,尤もらしいトリップを推定する.受信信号強度に基づく基地局選択モデルによるシミュレーションを行った結果,平均通信間隔が40 秒のデータセットに対して,電車トリップの推定において再現率90.2%,精度78.5%,F 値83.9%を達成できた.

4D-2 (時間: 8:40 - 9:00)
題名移動型センサーを想定した家庭内行動検出手法
著者*中原 啓太, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
ページpp. 751 - 762
キーワード行動検出, kinect, 移動センサー
アブストラクト本研究では,お掃除ロボットや見守りロボットなど,現在および将来において一般家庭に普及が進 むロボットに Microsoft Kinect を付加し,高齢者の骨格認識に基づいて日常行動(ADL)を推定し,各行 動内における運動量蓄積を行うための手法を提案する.本手法では Kinect を用いた人追跡は実現できて いるとの前提で,ロボットが高齢者の周辺に移動し,側面など正面でない角度から得られる 3D 深度情報 から関節検出を行い,身体のパーツ(体幹(頭部,頸部,胸部,腹部,尾部)および体肢(上肢(上腕,前 腕)および下肢(大腿,下腿)を検出したうえで,現在どのような日常行動を行っているの認識ならびに その日常行動における 3 次元空間でのパーツの運動量を測定する.骨格認識には既存のソフトウェアを活 用するが,ロボットは必ずしも高齢者を正面から捉えられるわけではないため,提案手法では正面以外の 角度から測定した値に基づく行動認識アルゴリズムならびに運動量取得を検討している.実家庭における 実験の結果,歩行のような特徴のある行動の認識し関しては高い精度で認識することができた.また,日 常行動の認識とともに歩行速度や歩幅,手の速さや腕の回転角速度などの運動量取得にどの程度の誤差が 生じるかを確認した.

4D-3 (時間: 9:00 - 9:20)
題名青写真ベースの無線機器-位置マッチングにおける精度限界の分析
著者*土井 裕介, 米澤 祐紀, 坂本 岳文 (株式会社東芝 研究開発センター)
ページpp. 763 - 768
キーワード位置推定, 設備機器, 無線
アブストラクトビルや工場などにおいて,配線コスト削減,システムの柔軟性の向上などを 目的として,制御のためのネットワークを無線化したいというニーズがある. 照明など,多数の同一種類の機器を設置する場合には,どこに何が設置されたのか, 施工図とつきあわせて確認する作業に工数がかかる. 本研究では,施工図の情報と,無線機器間での受信信号強度とをつきあわせることで, どこに何が設置されたのかをアンカーノードを用いずに推定する方式 (BluMatch) を 提案し,受信信号強度のノイズの標準偏差に対する精度限界について分析する. あわせて,実測データを用い,BluMatchで採用した基準(不適合度)の妥当性について評価する.

4D-4 (時間: 9:20 - 9:40)
題名密なモバイルセンサネットワークにおける境界線の形状を考慮したサンプリングを用いた境界線検出手法
著者*松尾 和哉, 後藤 啓介 (大阪大学大学院情報科学研究科), 神崎 映光 (島根大学大学院総合理工学研究科), 原 隆浩 (大阪大学大学院情報科学研究科)
ページpp. 769 - 776
キーワード境界線検出, 密なモバイルセンサネットワーク
アブストラクト移動型センサ端末が密に存在するモバイルセンサネットワークにおいて,観測値が一定値以上となる性質をもつイベントの形状を,指定した時刻までに取得することをアプリケーションが要求する場合,イベントの地理的境界(境界線)付近に位置する端末を識別し,それらの端末が取得した観測値および位置情報を,指定した時刻までに収集して境界線の形状を推定することで,この要求を満足できる.上記は,筆者らがこれまでに提案している,境界線付近の端末を効率的に識別する手法を用いることによって実現できる.しかし,指定した時刻までの時間が非常に短い場合,この手法が識別した端末のデータを全て収集しようとすると,短期間に集中して多くの通信が発生し,パケット衝突の頻発によって多くのデータ収集に失敗してしまう.また,結果的に収集に失敗するデータのためのトラヒックが大量に発生し,無線通信帯域を無駄に消費してしまう.そこで本稿では,筆者らが提案している手法によって識別される端末を,境界線の形状に応じて地理的にサンプリングすることで,境界線の推定精度を維持しつつ,収集するデータ数を削減する手法を提案する.