題名 | Web防災袋:カスタマイズ可能な防災関連情報提供システム |
著者 | *吉野 孝 (和歌山大学/システム工学部), 田藤 千弘, 谷岡 遼太 (和歌山大学/大学院システム工学研究科) |
ページ | pp. 480 - 489 |
キーワード | 防災支援, Webサービス, 防災袋, 避難袋 |
アブストラクト | 災害の備えとして,非常時にすぐ持ち出しができるように必要最低限の物を入れた非常持ち出し袋がある.これは,平常時からできる防災行動である.中身は,必要最低限の物のほか,個人の事情や属性によってそれぞれ変わってくる.つまり,個人が災害時に必要とする優先順位に沿って,非常持ち出し袋の中身をより適切にすることが重要である.近年インターネット上にて提供される防災関連情報は多様化している.しかし,これらの情報源は分散しており,一覧性がないため,個人が必要な情報を探すには時間と手間がかかる.本研究では,カスタマイズ可能な防災関連情報集約システムの開発を行った.本システムは,Web 上で動作するアプリケーションであり,インターネット上にて提供される防災関連情報の非常持ち出し袋となることを目指している.本システムの有効性の評価として,本システムを利用した場合,Web 検索サービスとブックマーク機能を利用した場合との比較を行った.本研究の貢献は以下の3 点にまとめられる.(1)防災関連情報集約システムの利用は,防災関連情報を収集する際の利用者の負担を軽減できる可能性がある.(2)防災関連情報集約システムにおける利用者専用ページは,利用者に防災関連情報の収集を促す可能性がある.(3)防災関連情報集約システムの避難マップ作成機能は,自分なりの基準で考えた具体的な避難所および避難経路の決定を促す可能性がある. |
題名 | 応答用例対と穴あき用例を活用した多言語用例対訳作成手法の提案 |
著者 | *福島 拓 (大阪工業大学情報科学部), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部) |
ページ | pp. 490 - 495 |
キーワード | 多言語間コミュニケーション支援, 用例対訳, 応答用例対, 穴あき用例 |
アブストラクト | 現在,グローバル化による多言語間コミュニケーションの機会が増加している.しかし,多言語間での正確な情報共有は十分に行われていない.正確な多言語間対話支援が求められる場では,用例対訳が多く用いられている.また,用例対訳を質問と回答の対の形で保存した応答用例対を用いることで,より正確な多言語間対話支援が可能となる.しかし,応答用例対は多言語間対話支援システムの入力ログからの生成や,システムの管理者による登録が主なものとなっており,応答用例対の数の増加が課題となっていた.そこで本稿では,用例対訳の一つであり,用例の一部を穴あきにして入れ替え可能とした穴あき用例の概念を活用して,応答用例対および用例の作成を行う手法を提案する.本稿の貢献は,応答用例対と穴あき用例を活用した用例対訳作成手法を提案し,応答用例対の回答となる用例作成ができることを示した点である. |
題名 | デジタルサイネージと情報クリッピングユーザインタフェースを 備えたモバイル端末を連携した災害時向け情報提示システム |
著者 | *青木 良輔 (日本電信電話 NTTサービスエボリューション研究所), 宮田 章裕, 瀬古 俊一 (NTTレゾナント), 橋本 遼 (日本電信電話 NTTサービスエボリューション研究所), 石田 達郎 (NTTぷらら), 渡辺 昌洋, 井原 雅行 (日本電信電話 NTTサービスエボリューション研究所) |
ページ | pp. 496 - 503 |
キーワード | 災害, デジタルサイネージ, モバイル端末, 情報クリッピング |
アブストラクト | 2011年東日本大震災では,都心部の駅構内に設置されたデジタルサイネージには,放送波を通じて災害情報が提示された.通信障害が起きていたため,デジタルサイネージの前に帰宅困難者が集まり,長時間ひどい混雑が発生した.この混雑は二次災害を引き起こす可能性があった.本稿では,(1)デジタルサイネージが十分に閲覧できないユーザでもデジタルサイネージに蓄積されている情報にモバイル端末を用いて素早くアクセスでき,(2)モバイル端末に表示された情報の中から欲しい情報を混乱時の粗い操作であっても保存でき,(3)保存された情報を閲覧すると,わかりやすくその情報が提示される,デジタルサイネージとモバイル端末を連携した情報提示システムを提案する.東日本大震災の時に,実際に震災時に混雑が発生したデジタルサイネージの前で,提案システムの操作性及び受容性を検証する実証実験を行ったので報告する. |
題名 | 漫画表現を用いた防災知識の提示による防災意識向上手法の提案 |
著者 | *榎田 宗丈 (和歌山大学), 福島 拓 (大阪工業大学), 吉野 孝 (和歌山大学), 本塚 智貴 (人と防災未来センター), 江種 伸之 (和歌山大学) |
ページ | pp. 504 - 515 |
キーワード | 防災, コミック工学, マイクロブログ, Twitter |
アブストラクト | 東日本大震災後5年が経過し,人々の防災意識も低下していた.そのような中,4月14日に平成28年(2016年)熊本地震が発生し,熊本県,大分県および周辺の市町村に甚大な被害を与えている.熊本地震の影響で人々の防災への関心は,再び高まりを見せている.一般に,時間が経つごとに,人々の防災への意識は低下していくことが知られている.今後,首都直下地震や南海トラフ地震も危惧されており,人々の防災意識の継続,向上は必要不可欠である.そこで,漫画表現を用いて防災知識を提示する「防災4コマ漫画」をあかりマップbotから配信した.ツイートアクティビティとフォロワー数の分析,アンケート調査および防災知識テストから以下のことを明らかにした.(1) 漫画表現を用いて防災知識を提示することにより,文章だけの表現よりも長期の記憶保持を図り,ユーザの理解を促進することができる.(2) 漫画表現の持つ面白さや新奇性の効果から,ツイートのインプレッション数およびエンゲージメント数を高めることができる可能性がある.(3) 防災4コマ漫画の配信によって,共有しやすい防災情報が提示できるため,フォロワー数の増加が期待でき,より多くのユーザへあかりマップbotの防災情報を提供できる可能性がある. |