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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム

セッション 1H  歩行者推定
日時: 2016年7月6日(水) 13:50 - 15:30
座長: 梶 克彦 (愛知工業大学)

1H-1 (時間: 13:50 - 14:10)
題名屋内歩行空間ネットワークの生成支援機構
著者坂本 大輔 (立命館大学大学院 情報理工学研究科), *西山 大河, 村尾 和哉 (立命館大学 情報理工学部), 望月 祐洋 (立命館大学 総合科学技術研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
ページpp. 228 - 233
キーワード屋内測位, 歩行空間ネットワーク, ナビゲーション
アブストラクト屋内でのナビゲーションを行う際には,現在地から目的地までの経路情報を算出するために屋内歩行空間ネットワークが必要となる.屋内歩行空間ネットワークは,ユーザが歩行可能な経路をノード・リンクで表現したものである.しかし,屋内歩行空間ネットワークは一部の建物でしか作成されていない上,作成されていても自由にナビゲーションサービスに利用できない場合がある.また,複雑な構造を持つ屋内空間である場合,データの作成や更新に大きな手間がかかる.そこで,屋内歩行空間ネットワークの自動生成を行うことで,屋内歩行空間ネットワークの生成支援を行えるようにする.歩行者デッドレコニングを利用して屋内測位を行うことでユーザの移動軌跡を推定し,移動軌跡から屋内歩行空間ネットワークの自動生成を行う.加えて,気圧センサを利用することで滞在階層を推定し,エレべータと階段階層移動を推定することで,複数の階層情報を含めた屋内歩行空間ネットワークを生成する.この提案手法に対して自動生成の評価を行った結果,部分的に自動生成を行うことができ,少しの修正で屋内歩行空間ネットワークを作成できるようになった.

1H-2 (時間: 14:10 - 14:30)
題名間欠的人流センシングにおける回遊状況推定
著者*高柳 健司 (立命館大学大学院情報理工学研究科), 村尾 和哉 (立命館大学情報理工学部), 望月 祐洋 (立命館大学総合科学技術研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
ページpp. 234 - 241
キーワード人流測位, 回遊状況, Wi-Fiパケット
アブストラクト近年,都市計画や交通計画,災害時の避難・救出活動,マーケティングでの利用を目的として,人の分布や流動状況をリアルタイムに把握する技術が求められている.本研究では,スマートフォンなどの端末から発信されるWi-Fiパケットを用いて人の分布や流動状況をオフライン解析で把握する.回遊状況として,(i)任意時刻に人流センサ付近で観測された端末総数,(ii)任意時刻に人流センサ付近に存在した端末がN分前にいた地点,(iii)端末が解析領域内に出現した地点から消失した地点までの経路のうち利用者が多い経路,を算出し,施設関係者に提供することを目的とする.これらの回遊状況を知るために,端末ごとに人流センサ付近に滞在していた時間を考慮して,端末が発信するWi-Fiパケットを観測した人流センサの時系列情報を作成する.本研究の評価として,作成した時系列情報の正確さを検証するために,Wi-Fiパケットを頻発的に発信する端末と任意の送信間隔で発信する端末を用いて,停留を含まない移動と停留を含んだ移動の2パターンで適合率と再現率,F値を算出した.2パターンともに適合率は90%以上を超えており,人流センサを通過した順序は正しい結果となった.加えて,通路上に配置されている人 流センサの1日のデータを見ると,通勤時間帯での人数の尤もらしさを確認することができた.また,ある時刻に人流センサで観測された端末のN分前の地点を発見することができた.さらに,利用者が多い経路のうちどの人流センサを経由した経路が多いかを発見することができた.

1H-3 (時間: 14:30 - 14:50)
題名屋内人流把握のための磁気系列指紋を用いた歩行速度推定手法
著者*松林 勝, 花田 智 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 白石 陽 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
ページpp. 242 - 252
キーワード人流計測, 屋内位置推定, 歩行速度推定, スマートフォン, 磁気センサ
アブストラクト本研究では,歩行者の移動の安全性や快適性の向上を目指し,屋内環境全体の通路の人流を把握することを目的とする.また,そのアプローチとして屋内位置情報と歩行速度を複数の歩行者から収集することで人流の計測を行う.歩行速度は群衆の流れがどの程度滞留しているのかを測る上で必要な尺度である.加えて,混雑環境では歩行速度が低下し,周辺の歩行者との歩行速度の違いが小さくなるという知見もあり,人流を把握する上で歩行速度は重要な情報である.そこで本稿では,屋内人流把握のための要素技術として,スマートフォンを用いた歩行速度推定手法を提案する.提案する歩行速度推定手法には,屋内位置推定によって得られる位置情報を利用する.さらに,その屋内位置推定には,通路を歩行した際に得られる磁気の連続した値(磁気データ系列)を利用する.磁気データ系列は通路ごとに固有な変化を示すため,本研究ではそれらの磁気データ系列を位置指紋(磁気系列指紋)として利用する.屋内位置推定時には,対象環境を一定時間歩行した際に計測した磁気データ系列を入力データとし,その入力データと類似した部分を磁気系列指紋から検出する.この類似部分の検出にはDTW(Dynamic Time Warping)に基づいた波形マッチングを利用する.また,検出された類似部分から歩行区間を推定し,歩行区間の長さと歩行時間から歩行速度を計算する.実験として混雑環境での推定精度評価を行った結果,歩行速度推定平均誤差は0.13m/s,屋内位置推定平均誤差は1.22mとなった.また,幅員の広い通路を対象とした実験も行い,今後の課題について考察した.

1H-4 (時間: 14:50 - 15:10)
題名ドライブレコーダー映像を用いた頭部検出に基づく人流推定法の提案
著者*原 佑輔, 小島 颯平, 内山 彰 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗 (滋賀大学経済学部), 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
ページpp. 253 - 261
キーワード車載カメラ, Haar-like特徴量, 機械学習, 人流推定
アブストラクト本研究では,近年普及が進んでいるドライブレコーダーの映像を用いた歩道レベルので人流推定法を提案する.歩道上での歩行者の移動方向は前方と後方の2種類に大別されるため,提案手法では,遮蔽されにくい歩行者の頭部前方,後方2種類の検出器を機械学習により構築する.しかし,車載カメラの設置位置は一般的に歩行者の顔程度の高さであるため,映像内で歩行者同士の重なりが起こりやすい.そこで時間的に連続する複数フレームにおいて断続的に検出される歩行者を追跡するためのアルゴリズムを考案し,遮蔽に対してロバストな頭部検出を実現する.提案手法の性能を評価するため,大阪市茶屋町周辺で撮影した64分間の映像を収集し,実験を行った.その結果,前方の歩行者検出のPrecisionは74.6%,Recallは66.6%となり,後方の歩行者検出のPrecisionは64.4%,Recallは73.0%となることが分かった.

1H-5 (時間: 15:10 - 15:30)
題名スマートフォン画像を用いたクラウドソーシングによる群衆人数推定システム
著者*小島 颯平, 内山 彰, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
ページpp. 262 - 272
キーワードクラウドソーシング, スマートフォン画像, 歩行者面積モデル
アブストラクト本研究では,交差点や歩道,公共広場のような都市空間におけるスマートフォンの画像を用いた群衆人数推定手法を提案する.提案手法では,比較的高所な建物や歩道橋からスマートフォンを用いて対象領域を撮影し,群衆人数推定を行う.推定結果をクラウドサーバに送信し,様々な局所領域における混雑度マップを構築する.群衆内において画像処理により人を個別に検出するのは人特徴量が明確に表れないため難しい.そこで本研究では経験的に得られた0.7秒という短い時間間隔で撮影された2枚の画像から背景差分法により動体領域を抽出する.動体領域面積,撮影高度,撮影角度を入力としてあらかじめ構築したモデルを用いて動体領域内に存在し得る最大人数と最小人数ならびに動体領域に存在する群衆人数の最尤値を推定する.100人以上の群衆を含む様々なシチュエーションにおいて大阪駅周辺で実験したところ,平均人数誤差が11.3人となった.