題名 | 替え玉による測定を防止する血圧測定システムの設計と実装 |
著者 | *高橋 元, 鈴木 晴佳, 藤村 香央里, 中村 亨, 早川 和宏 (NTTセキュアプラットフォーム研究所) |
ページ | pp. 177 - 180 |
キーワード | セキュリティ, IoT, 真正性, ヘルスデータ |
アブストラクト | IoT時代を迎え,個人が自ら健康データを測定し,健康管理を行うサービスが普及している.また,保険契約者が健康データを測定し,保険会社など第三者が測定したデータを活用して保険契約者へ利益を還元するサービスが始まっている.第三者のデータ活用においては,データを測定した個人自身による替え玉やねつ造のリスクがある.個人の健康データを第三者が活用するためには,替え玉により測定されたものでないことを保証することが重要である.本研究では,血圧測定時に,指静脈認証デバイスと血圧計とから同時に脈波を取得し,取得した2つの脈波の特徴を照合することで,被認証ユーザとカフを巻いて血圧を測定した人が同一人物であることを確認する.本稿では,既存血圧計に比べユーザビリティを損なわず,本人を確認できる血圧測定システムの設計・実装について示す.また,安価な装置構成でのハードウェアに対する攻撃への対策の実現に着目し,新たな脈波センサを実装せず,1つのセンサのデータから血圧値と脈波を取得するワンソースマルチユースによる血圧測定装置の設計・実装を行った.実装と評価では,実装した血圧測定システムにより脈波の同一人物性の確認を行うために必要な測定毎に異なる脈波の揺らぎが取得できることを確認し,他人受入率/本人拒否率について示す. |
題名 | 活動量計Jawboneを用いた行動認証手法の評価 |
著者 | *鈴木 宏哉, 山口 利恵 (東京大学) |
ページ | pp. 181 - 188 |
キーワード | 個人認証, 行動認証, 活動量, Jawbone |
アブストラクト | 近年,オンラインサービスの増加に加えてモバイルデバイスの普及に伴い,個人認証を利用する機会が増加し,オンライン認証技術の重要性が高まっている. 安全性だけでなく利便性への要求も増しており,リスクベース認証などで人間の行動的特徴を用いた行動認証に注目が集まっている. 利用者自身による明示的な操作を必要としない行動認証手法として,我々は活動量計を用いた活動量認証を提案している. 活動量とは人間の行動に伴う消費エネルギーを数値化したものであり,活動量認証は活動量計を身に付けるだけで認証が可能な利便性の高い手法である. 我々は先行研究で,提案する認証モデルに対して活動量計のFuelBandを用いた評価実験を行ったが,提案モデルの一般性については検討していなかった. そこで本稿では,活動量計のJawboneを用い,提案手法が活動量計の種類や活動量の単位に寄らず適用可能かを評価し,活動量計の違いについて考察した. 評価実験では被験者14名から各30日分の活動量データを収集し,本人拒否率(FRR) 10.00%,他人受入率(FAR) 12.31%の結果を得,提案手法が活動量計に寄らず利用可能な手法である事を示した. |
題名 | マンガアプリの閲覧作品と閲覧時間を利用した個人認証手法 |
著者 | *小林 良輔, 山口 利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科) |
ページ | pp. 189 - 194 |
キーワード | ライフスタイル認証, 行動認証, スマートフォン, 多要素認証, 漫画 |
アブストラクト | 近年,人間の生活行動を記録したライフログを利用する認証手法が着目されている. ライフログを利用した認証手法はユーザーが意識して情報入力する必要がないため,ユーザビリティの良い手法だと考えられている. 一方でこの手法は生体認証などと比較して一般的に認証精度が低く,その欠点を補うために多要素認証といった技術も着目されている. ライフログを利用した多要素認証を実現するために,認証要素として利用できるライフログを探すことが近年の課題となっており,本論文ではその解決のためにマンガアプリ閲覧情報に着目した. 実際にマンガアプリ閲覧データを利用し,49261人の被験者から683人を対象とし,認証実験を行った. 結果としては大きく有用と言えるものではなかったが,手法を改善することで今後に期待することができる結果となった. |
題名 | 移動実態に即した履歴情報のグループ化手法 |
著者 | *疋田 敏朗, 山口 利恵 (東京大学 大学院 情報理工学系研究科) |
ページ | pp. 195 - 202 |
キーワード | 匿名化, 移動履歴, 機械学習, 符号化 |
アブストラクト | GPSを始めとする測位デバイスが携帯機器の機能の一部として搭載されるようになり,さらに携帯網の発展により携帯機器が測位した位置情報をセンター上のサーバに送信し,蓄積することが現実的になっている.さらにスマートフォンとそのアプリケーションの普及によって,一般のユーザから大量に位置情報を収集・蓄積することができるようになっており,蓄積した位置情報を活用することで従来は困難であった新たなサービスが次々と生まれるようになっている. しかしながら,位置情報を活用した従来の地理空間情報処理の方法は位置座標を用いた二次元のグリッド符号化を利用していたため,目的の街区が分割されてしまったり,ふたつの異なる街区を融合してしまうこと.鉄道の乗車履歴の場合は各駅ごとに履歴を整理するため単独となる履歴が多数発生し,破棄しなければならない履歴が多数発生するなどの課題があった. 本論文では従来の位置座標を用いた二次元のグリッド符号化ではなく,移動実態を解析し,ヒューリスティックにより鉄道路線ごとに符号化する方法,そして統計的な手法と機械学習を用いて自動的にエリアを区切る方法の2つの方法を提案した. さらに提案した縮約方式のうちヒューリスティックな方法に関して,東京大学空間情報科学研究センターの「人の流れプロジェクト」の「2008年東京圏人の流れデータセット(空間配分版)」のデータを利用して実験を行い,提案手法を採用することで一意な履歴数を4.9\%から0.05\%に大幅に減らせることを確認した. |