題名 | ゲームの試行直前の聴覚刺激がスコアに与える影響について |
著者 | *双見 京介 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
ページ | pp. 134 - 140 |
キーワード | 学習, 刺激提示, プライミング効果, ゲームスコア, 条件づけ |
アブストラクト | ウェアラブル機器やモバイル機器といった情報提示機器の急速な普及に伴い,情報提示機器のどんな要因がユーザにどんな影響を与えているのかを理解することが,情報提示機器の設計において重要な課題になっている.この背景から過去に筆者らは,学習原理であるレスポンデント条件づけから着想を得て,情報提示システム使用時に特定の状況において同一の情報が繰り返し提示された場合に,無意識的な学習によって提示情報と提示状況が条件づくことに着目した研究を行い, 特定の体験と条件づけた聴覚刺激によるユーザの心身への影響をダーツゲームの結果から調査した.これに続いて本稿では,条件づけをしていない聴覚刺激による心身への影響を調査することで,条件づけの有無によって聴覚刺激の影響がどのように変化するのかを調査する. 評価実験では,実験で用いる聴覚刺激を成功体験(および失敗体験)と条件づける学習を行った被験者12名と,条件づける学習を行なっていない被験者14名を対象にし,ダーツゲーム用に実装した情報提示システムを用いて,ダーツの試行前に提示された聴覚刺激によるダーツ結果への影響を評価した.評価結果から,条件づける学習の有無によって聴覚刺激の影響力が変化することを確認し,システム利用時に特定の状況・体験において同一の情報が繰り返し提示され得るすべての情報提示システムの設計においては,その学習によって条件づいた情報による意図しない影響を考慮する必要があるとわかった. |
題名 | 人間の感覚を考慮した騒音マップ作成のための騒々しさ推定方式 |
著者 | *小林 将大, 原 直, 阿部 匡伸 (岡山大学 大学院自然科学研究科) |
ページ | pp. 141 - 148 |
キーワード | 騒音, 可視化 |
アブストラクト | 近年,騒音が原因となった問題が増加してきており,騒音を可視化した騒音マップというものが作られている.現在作られている騒音マップのほとんどが物理的な騒音の大きさをもとに作成されている. しかし,音の感じ方は様々な要因によりばらつきがあることが知られている.そのため,騒音データから有益な情報を示すためには,単なる物理量を可視化するのではなく,人間のもつ感覚を考慮した可視化が必要になる.本研究では,物理量である等価騒音レベルに追加情報を与えることで,収録者が主観的に感じている5段階の騒音度合い(騒音評価値)を推定する方式について研究している.本報告では,追加情報として収録者を表すID,収録場所,音源の種類を用いた騒音評価値の推定実験をおこなう.推定実験では,Support Vector Machine (SVM)を用いて騒音評価値を推定し,それぞれの騒音評価値に対する推定性能をF-measureにより評価した.実験の結果,騒音評価値1(とても静か)の推定には音源の種類が有効であった.また,複数の特徴量を組み合わせて推定に用いることで,それぞれの特徴量のみでは推定不可であったり推定精度が悪かった値について推定精度の向上が確認できた. |
題名 | 表情と生体情報を用いた感情の推測方法の検討 |
著者 | *池田 悠平, 岡田 佳子, 堀江 亮太, 菅谷 みどり (芝浦工業大学) |
ページ | pp. 149 - 161 |
キーワード | 感情推測, 生体情報, 脳波, 脈拍, ラッセルの円環モデル |
アブストラクト | 近年, 日本では単独世帯の増加や高齢化が進み, セラピーロボットの需要が高まっている. そのようなロボ ットとしてパロが挙げられるが, 人が行動を起こすことが前提でありパロの方から行動を起こすことはない. そこ で, 本研究では人の行動を前提とせず人の感情を推測できるロボットの実現を最終目的とし, 第一段階として, 記 号/感情モデルをもとにした新しい感情の推測手法の提案をする. 記号/感情モデルとは,客観的に読み取りやすい 「記号」と, 客観的に読み取りづらい「感情」とを分ける考え方である. 本研究では, 「記号」には表情を, 「感情」に は脳波と脈拍を用いて, どちらが真とする感情の値との誤差を低く推測できるか実験を行った. 結果, 脳波と脈拍 の方が誤差が小さいという結果になった. そこで, より正確さを向上させるため, 感情の起伏の度合いとタイミン グを測定, 主観評価と比較する実験を行い, より正確に感情を推測できた. そこで, 人数を増やして実験を行った ところ, 個人によって誤差の大きさが違った. そこで属性のアンケートを取り相関を調べたところ幾つかの属性と 誤差の大きさが相関を持つことが示唆された. |
題名 | ユーザの主観時間制御のためのウェアラブルデバイス向け情報提示手法 |
著者 | *清水 友順, 双見 京介 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
ページ | pp. 162 - 169 |
キーワード | 時間感覚, 主観時間, ウェアラブルコンピューティング, 情報提示, 心理物理学 |
アブストラクト | 楽しい時間は短く感じ,退屈な時間は長く感じるように,当事者にとって望ましい主観時間の経過と実際の時間の経過の違いは,精神的な人の満足度を損なわせる.一方で,知覚刺激によって主観時間が変わることが心理学で明らかにされている.例えば,動きの速い映像を見ていると経過時間を長く感じるといったように,刺激の量や回数を大きくすると主観時間が長くなる充実時程錯覚という現象が明らかにされている.そこで本研究では,充実時程錯覚を利用して,ウェアラブルデバイスから提示される知覚刺激の大きさを変化させることで主観時間を制御する手法を提案する.振動パルスの振動周期制御で主観時間を制御するシステム,および頭部装着型ディスプレイの画面上に表示したオブジェクトを動かす速度で主観時間を制御するシステムを実装し,主観時間が変化するかを評価した.実験結果から,知覚刺激強度を大きくするほど主観時間が長くなる傾向や短くなる傾向が確認でき,提案システムによって主観時間が制御できることを確認した. |
題名 | インターネット株式掲示板における話題と株式指標の関係 |
著者 | *柿木 研人, 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学), 小川 祐樹 (立命館大学), 梅原 英一 (東京都市大学), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学) |
ページ | pp. 170 - 176 |
キーワード | インターネット掲示板, 株式指標, トピックモデル |
アブストラクト | ファイナンスにおいて,株式リターンや,ボラティリティだけでなく,様々な株式指標を予測することは有用である.我々は,恐怖指数と呼ばれ,投資家の不安を表す株式指標であるVI指数に着目し,ソーシャルメディアを分析することによって得られる投資家の情報と密接に関連のある指標であるという仮説を立てる.従来手法以上にソーシャルメディアの情報から投資家の感じる恐慌リスクに関する投稿を高い精度で獲得する方法として,トピックモデルによる分類を提案する.我々は,VI指数と話題の関係を明らかにする実験としてYahoo! JAPANの株式掲示板から取得したメッセージをトピック分類し,VI指数と相関分析,及び重回帰分析を行った.結果として,トピックの投稿率の変動によるVI指数の予測可能性を示した. |