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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 8B  災害対応
日時: 2015年7月10日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 竜ヶ森2
座長: 山井 成良 (東京農工大学)

8B-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名データベースレプリケーションを利用した遠隔バックアップミドルウェアの提案と評価
著者*細谷 柚子 (お茶の水女子大学), 三島 健 (NTTソフトウェアイノベーションセンタ), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
ページpp. 1640 - 1645
キーワード遠隔バックアップ, データベース, 分散処理
アブストラクト近年,災害対策として遠隔バックアップの必要性が問われている.ローカルのリソースだけでシステムを運用していると,大きな災害時にバックアップも失ってしまうからである.日本のような地震国では特に,遠方にバックアップを置いておくことがますます重要になっている.本研究は上記バックアップの対象として,企業でのサービス提供において大規模災害に対する耐障害性保証が特に求められるデータベース・バックアップにフォーカスする.既存研究のLAN環境を前提としたデータベース同期ミドルウェアのPangeaを拡張し,サービスのためのトランザクション処理に影響を及ぼさないリモートバックアップのためのミドルウェアPangea++を検討してきた.そのミドルウェアを検証した結果,クライアントからのトランザクション処理においては,スループット性能に殆ど影響を及ぼさない一方で,バックアップが処理すべきキューが溜まり輻輳してしまう課題が見つかっている.その課題を解消するために,Pangea++をベースとしたPangea**の検討を行った.

8B-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名通信の信頼性確保を考慮した位置情報に基づくネットワーク運用手法
著者*小川 康一 (埼玉大学情報メディア基盤センター), 吉浦 紀晃 (埼玉大学大学院理工学研究科)
ページpp. 1646 - 1652
キーワード災害対策, 位置情報, OpenFlow
アブストラクト本研究の目的は,災害時に位置情報に従って重要な通信を優先配送する通信基盤の実現である.被災地への安否確認や被災地からの救援要請など,災害直後の短時間に重要な通信を適切に配送する必要がある.筆者らは位置情報に基づくネットワーク運用手法を提案してきたが,悪用された場合などセキュリティ面での懸念があった.そこで,優先配送の対象となる端末の認証機能,端末の認証に基づくQoSチケットNoの発行,位置情報を時系列で取得して端末を検査する手法により課題を解決する.

8B-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名衛星回線を含むSDNによる病院のBCP実現
著者*辻井 高浩 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター), 大平 健司 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 垣内 正年, 油谷 曉, 猪俣 敦夫, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センター)
ページpp. 1653 - 1658
キーワード衛星通信, 事業継続, SDN, 地球局
アブストラクト2011年3月11日に発生した東日本大震災以降,事業継続を考慮したイ ンフラ・システム整備が各組織において急務となっている.特に災 害時には拠点病院間における情報共有は,効率的な患者搬送・機能 施設の確認等のために必要不可欠であり,衛星通信回線は対災害性 の高い通信路として期待されている.災害が起きてから衛星通信回 線を契約・設置すると,当該災害発生直後には使用できないので, 平常時からの契約・設置をすることは有効な手段である.しかしな がら常時利用を行う回線としてはコストが高く,デメリットも多 い.また,非常時だけ使用することを想定したシステムでは,いざ 必要となった際にシステム担当者がすぐにオペレーションできない システムとなっている可能性が懸念される. 本稿では,2箇所の病院と奈良先端科学技術大学院大学(下,NAIST) に地球局を設置,帯域保証も可能な衛星回線と地上優先網の両方を 利用したハイブリッド型のネットワークを構築し,災害発生時に, どのような通信が当該回線上で有効であるかを試し,衛星回線が高 遅延狭帯域の回線と言えど死蔵せず,いざ必要となったときに備え ることができるかを考察する.

8B-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名緊急地震速報に基づくハイブリッドクラウドにおけるバックアップシステムの検討
著者*原 瑠理子, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
ページpp. 1659 - 1663
キーワードハイブリッドクラウド, OpenFlow, OpenStack
アブストラクト災害時において,システムを安全に稼働させることは重要である. 東日本大震災では,通信の途絶や停電によるシステムダウンが,情報共有に大きな支障をきたした. このように,情報インフラとして重要な役割を果たしているビッグデータ処理基盤 は,緊急災害時にも停止することなく稼働することが期待される. 現在,ネットワークをソフトウェアによって柔軟に制御可能な 技術(SDN:Software-Defined Network)として注目されているOpenFlowを利用し, ネットワークのトラフィック量の変動に応じて,クラウド間やクラウド・クライア ント間を接続するネットワークの 構成や帯域を可変(プログラマブル)なものとする検討が進んでいる. しかしこれらの技術は,一般的に緩やかな負荷変動を念頭に検討されており, そのままでは短時間で激しく変化するバースト的な負荷変動に耐えることができな い. そこで本研究では,このようなバースト的な不可変動を,緊急地震速報を 始めとする外部情報から予測し, OpenFlowコントローラを用いて,どのようにネットワークトラフィックを制御すれば, 迅速かつ安全に重要なデータをバックアップ処理できるのか検討する.