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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 7E  災害時ネットワーク
日時: 2015年7月10日(金) 8:30 - 10:10
部屋: 北上
座長: 木谷 友哉 (静岡大学)

7E-1 (時間: 8:30 - 8:50)
題名Never Die Networksのための輻輳制御法の提案とその性能評価
著者*内海 哲史 (福島大学), Salahuddin Muhammad Salim Zabir (Orange Labs Tokyo), 白鳥 則郎 (早稲田大学)
ページpp. 1509 - 1513
キーワード輻輳制御, 性能評価, 解析モデル
アブストラクト2011年3月11日に東日本大震災が発生し,大きな被害をもたらした.大津波も発生し,死者・行方不明者が多数の大惨事となった.Never Die Networksの目的のひとつは,大災害時に不通となった超多人数(100万人以上)の利用者の「接続満足度」を最大化することである.本稿では,このようなNever Die Networksのネットワークアーキテクチャを提案し,特に,Never Die Networksにおける輻輳制御法について提案し,その数学的解析モデルを構成して,性能評価を行う.具体的には,ロスベースではなく,ロス及び遅延に基づく(ロス・遅延ベース)輻輳制御法Wireless Friendly Congestion Control (WFCC)を導入することで,従来のTCP輻輳制御法と比べ,大幅な性能改善が得られることを示す.また,バンドル機能を利用し,ノード間の再送を行うことで,さらに性能を改善できることを示す.解析モデルを用いた性能評価の結果,WFCCにノード間再送機能を付加することで,パケットロス率2%の環境下で,最大で46%スループットが改善することが分かった.

7E-2 (時間: 8:50 - 9:10)
題名大規模災害時に対応可能なネットワーク制御のためのTwitter情報の解析システムの構築
著者*丸 千尋 (お茶の水女子大学), 榎 美紀 (お茶の水女子大学/日本IBM), 中尾 彰宏, 山本 周 (東京大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
ページpp. 1514 - 1519
キーワードTwitter, ネットワーク障害検知, ネットワーク制御
アブストラクト東日本大震災では,被害情報の把握に必要な通信回線の混雑および故障に関する情報が膨大になっていたため,ネットワーク全体の状況を迅速に把握することが困難であった.また,震災時には,電話やメールが使えないユーザが多い中,Twitterは利用可能な地域が多かった.震災のような緊急時では,ユーザがネットワークの状況に強い関心を寄せ,その情報を積極的に発信すると考えられる.そのため,Twitterによる集合知は,従来のネットワーク監視の相互補完的な情報取得手段として最適であると言うことができる.そこで本研究では,Twitterによる集合知を利用したネットワーク障害検知を迅速かつ高精度に行うシステムの提案を行う.このシステムを用いることで,ネットワーク制御に役立つ,より詳細な情報の抽出が可能になる.

7E-3 (時間: 9:10 - 9:30)
題名災害リスクを考慮したスマートルーティングの設計と実装
著者*江戸 麻人 (東北大学 大学院情報科学研究科), 和泉 諭 (東北大学 サイバーサイエンスセンター), 阿部 亨, 菅沼 拓夫 (東北大学 大学院情報科学研究科/東北大学 サイバーサイエンスセンター)
ページpp. 1520 - 1524
キーワード対災害, SDN, ルーティング, ファイル転送, OpenFlow
アブストラクト地方自治体や医療機関では,サーバを用いた情報の管理が一般化しているが,大規模な災害が発生した場合には,安全な近隣サーバへ重要情報をバックアップすることが必要である.しかし,災害直後はネットワークが不安定となり,近隣サーバとの高速かつ確実な通信を確立することは困難である.本稿ではこの課題に対して,災害のリスクをモデル化し,災害リスクとネットワークの状況を考慮して経路制御を行うリスクアウェアスマートルーティングを提案する.さらに,提案を実装したプロトタイプシステムを用いて有効性を確認するシミュレーション実験を行った.その結果,本手法を用いることで災害時であっても高速かつ確実な通信が確立可能であることが確認された.

7E-4 (時間: 9:30 - 9:50)
題名車載中継器のためのOpenFlowを用いた災害時の動的な回線選択機構
著者*多幡 早紀, 上田 紘平 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 福井 良太郎, 嶋津 恵子 (慶應義塾大学先導研究センター), 重野 寛 (慶應義塾大学大学院理工学研究科)
ページpp. 1525 - 1532
キーワード災害情報通信, OpenFlow
アブストラクト災害時には救助活動の早期開始が重要である.そこで現在,要救助者に関する情報の収集,蓄積を通して救助活動を支援する,救命情報共有システムが検討されている.このシステムでは,公共車両に搭載される中継器を用いて情報収集を行う.中継器は,周囲の端末からの情報をgatewayスイッチを経由してサーバへ送信する.中継器とgatewayスイッチ間には,複数の通信回線が存在するが,それらから通信に使用する回線を適切に選択する方法は定められていない.また,全回線が切断した場合,情報の損失が発生するという問題がある.そこで本稿では,OpenFlowにより複数の回線から通信に使用する回線を動的に選択する機構を提案する.提案機構では,中継器を制御する車載コントローラと,中継器が受信する情報を保持する待機サーバを導入する.この環境において,回線の接続状況を監視し,接続状況および優先度の変化に応じた回線選択を行う.また全回線切断時には,車載コントローラにより,中継器が受信する情報を待機サーバに保持させることで,情報の損失を防ぐ.本稿では提案機構の実装を行い,サーバにおける情報収集率の向上という点から,提案機構の有用性を示す.