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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 4A  統一セッション: 次世代コンテンツシステム
日時: 2015年7月9日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 竜ヶ森1
座長: 寺島 美昭 (創価大学)

4A-1 (時間: 8:30 - 9:10)
題名(招待講演) HMD研究最前線〜現実の再定義による次世代一人称コンテンツ
著者*清川 清 (大阪大学)
ページp. 700
キーワード一人称コンテンツ, 拡張現実, HMD, リアリティリマッピング
アブストラクトユーザの位置や向きに応じた映像コンテンツを現実世界に重ねて一人称視点で体験できる,拡張現実(AR)技術が普及しつつある.本講演では,ARで提供される「一人称コンテンツ」を高度化するために,「現実を再定義」する手法を2つの観点から議論する.第1の観点は,頭部搭載型ディスプレイ(HMD)の高度化による現実の再定義である.現在のHMDは性能が貧弱で,位置合わせ精度,視野角,画質的整合性,遮蔽や調節などの奥行き手掛かり,ダイナミックレンジ,遅延などのファクターを大幅に改善する必要がある.そうしてはじめて視覚情報の自在な変調が可能となり,タスクに応じて現実世界を視覚的に再定義することが可能となる.第2の観点は,筆者がリアリティリマッピングと呼ぶ概念による現実世界の再定義である.現実世界のリアルタイムの三次元情報を素材とし,それを必要に応じて再配置(リマップ; remap)することで,タスクに応じて現実世界自体の機能やレイアウトを新しく再定義することができる.本講演ではこれらの手法に関する様々な最新の研究事例を,筆者らの取り組みを交えて紹介する.

4A-2 (時間: 9:10 - 9:30)
題名立体的な描画システムによるスケッチ行為と効果
著者*友広 歩李, 角 康之 (公立はこだて未来大学)
ページpp. 701 - 708
キーワード立体スケッチ, 空間構造の理解, デザイン支援, スケッチインタラクション
アブストラクトスケッチは観察により得た情報の記録,共有,そしてアイディアの発想のために様々な場面で行われている,表現手法である.しかし,刻一刻と変化する状況を記録するためには素早く簡素に描き止めたり,対象の立体的な構造を2次元の平面で表現する必要があり,絵を描きなれていない人には困難を伴うことがある. 本研究ではタブレットPCとデプス(depth)カメラを用い,空間構造の理解やデザインを促すスケッチインタフェースを提案する.システムの狙いは,2次元の手書きスケッチでは表現しにくいものの立体構造に対する気付きを得やすくすることにある.手描きのスケッチに三次元構造を組み合わせ,奥行きのついたスケッチの世界を歩き回ることや,空間内に付箋を貼るようにメモやアイディアを描き加えることを可能とした.本論文ではスケッチインタフェースの概要と実現方法を述べるとともに,システムを用いて描かれたスケッチとスケッチの制作過程を紹介する.

4A-3 (時間: 9:30 - 9:50)
題名頭部ジェスチャによる入力インタフェースの開発と音声ナビゲーションへの適用
著者*石村 昇平 (名古屋大学大学院工学研究科), 梶 克彦 (愛知工業大学情報科学部), 廣井 慧, 河口 信夫 (名古屋大学未来社会創造機構)
ページpp. 709 - 714
キーワードウェアラブル, インタフェース, ナビゲーション
アブストラクト携帯端末に普及している画面を用いた入出力は,ユーザの意識や視覚を画面に集中させてしまうため,歩行時の操作は事故につながることもあり危険である.近年需要が高まっている歩行者ナビゲーションでは,画面に地図や位置を表示する従来手法に代わり,画面の閲覧を必要としない音声によるナビゲーションが考えられている.本研究では,音声ベースの歩行者ナビゲーションへの適用を主とした,画面を用いない携帯端末への入力方式として頭部ジェスチャ入力インタフェースを提案する.音声を聴くためのヘッドセットにセンサ,マイコン,BLE 通信モジュールを統合したインタフェースを身につけることで, 頷き,首振り,首傾げといった頭部ジェスチャを検出し,端末上のアプリケーションへの入力とする.検出アルゴリズムでは角速度を使用し,被験者 4人のジェスチャ波形を合成した参照波形との DP マッチングに基づきジェスチャを検出する.その際,ジェスチャ以外の回転成分を軽減するバンドパスフィルタ処理により,ナビゲーションを受ける際に取りうる行動のうちの大部分である直立静止,直進歩行,人混みを避けるような緩やかな S字歩行時においても頭部ジェスチャが精度よく検出できることを確認した.その他,右左折時や階段昇降時にもある程度の頭部ジェスチャ検出が行えること,頭部ジェスチャに類似した動作での検証では,誤検出率が低いことを確認した.

4A-4 (時間: 9:50 - 10:10)
題名GINGERALE : ジェスチャ認識を用いたスマートグラスのための認証方式
著者*石川 寛朗 (東京大学大学院 学際情報学府 学際情報学専攻), 鈴木 宏哉, 山口 利恵 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センター)
ページpp. 715 - 720
キーワードスマートグラス, 認証, ジェスチャ, セキュリティ
アブストラクト現在,スマートグラスの普及が始まり,個人・業務双方で活用が期待されている.スマートグラスは様々な機密情報を保持することが想定されるが,現状ではこれに適した個人認証方式が存在しない.スマートグラスは,既存のデバイスとは搭載ハードウェアや使用法に違いが存在するため,既存の個人認証方式をそのまま適用することができない.この問題に対し,本研究ではスマートグラス搭載のカメラのみを用いた個人認証方式を提案し,特別なデバイス,直接の本体操作なしに認証が行え,エントロピーの観点から十分な安全性を持つことを示した.