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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 2B  NWセキュリティ(1)
日時: 2015年7月8日(水) 15:50 - 17:30
部屋: 竜ヶ森2
座長: 沼尾 雅之 (電気通信大学)

2B-1 (時間: 15:50 - 16:10)
題名階層化符号表現を利用した移動履歴の匿名化手法
著者*疋田 敏朗, 山口 利恵 (東京大学情報理工学系研究科)
ページpp. 279 - 286
キーワード匿名化, 移動履歴, プライバシ保護
アブストラクト大規模な都市開発においては既存施設への影響評価や必要な対策の立案のためにも正確な交通量の把握を行った上で対策を立てることが必要とされている.しかしながら,従来の交通量の把握方法は実地での調査か数年に一度実施されるパーソントリップ調査に頼る形になっている.近年のICT技術の発展に応じて,スマートフォンのアプリケーションやIoTデバイスの移動履歴を利用して交通統計データを生成することが考えられるが,個人が特定されないという個人情報保護法への対応が課題となっていた. 本論文では移動履歴から個人が特定されないために必要な項目を検討し,4項目が満たされれば良いことを説明した上で匿名化に必要な要件について説明した. その上で空間を階層的に符号化するGeoHashを用いて,移動履歴を一次元に符号化し,その上でGeoHashの階層構造を利用することで移動履歴のk-匿名化を実現する方法について提案を行った. さらに提案した匿名化方式が上記の必要な要件を満たしていることを,東京大学空間情報科学研究センターの「人の流れプロジェクト」の「2011年中京都市圏人の流れデータセット(空間配分版)」のデータを利用して匿名化することで示し,提案手法は一区分につきk以上の移動履歴をまとめており,k-匿名化が行えていること.さらに従来手法に比べてトリップ数,ユニークトリップ数ともに増加しており,より効率的な匿名変換ができていることを示した.

2B-2 (時間: 16:10 - 16:30)
題名プログラム断片の連続性に基づくセキュアプロセッシングの秘匿性能に関する調査
著者*中矢 匠 (愛媛大学工学部), 稲元 勉, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
ページpp. 287 - 294
キーワードGRIDコンピューティング, セキュアプロセッシング, 処理隠蔽, 先行処理, 共謀
アブストラクト本稿は,信頼できない主体により管理される悪人ノードを含みうるグリッドで あるエクスターナルGRIDを対象とし,グリッドに依頼する処理内容を隠蔽する ために筆者らが提案してるプログラム分割という手法の定量的評価を示すこと を目的とする。 評価にあたっては,悪人ノードがそれぞれ入手したデータをもちよることで不 正な解析や改竄を行う共謀が生じうるという現実的環境,および処理結果の信 頼性を高めるために著者らが提案している多重処理という手法とプログラム分 割を併用する状況を前提とする。 プログラム分割は,グリッドへ処理を依頼するプログラムを処理フローにそっ て複数のプログラム断片へと分割し,異なるノードが異なるプログラム断片を 順に処理することでプログラム全体を隠蔽する手法である。 悪人ノードの集団は,プログラム断片を入手することでもとのプログラムを推 測できるが,この推測は,それらのプログラム断片が処理フローの上で連続し ていなければ困難になると期待できる。 この発想のもと,本稿では,ある長さ以上のプログラム断片系列が悪人ノード 集団へ1回以上漏洩する確率を定式化し,これに基づく評価指標を示す。 評価では,悪人ノードの割合,プログラム分割数,多重処理に参加するノード 数というパラメータを変更することによる,評価指標の値の変化を示す。

2B-3 (時間: 16:30 - 16:50)
題名p-タイル法を用いたスマホセンサーによる個人認証手法
著者*小林 良輔, 山口 利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
ページpp. 295 - 302
キーワード個人認証, スマートフォン, Wi-Fi, Bluetooth
アブストラクト本論文では,スマートフォンのセンサーが取得したWi-Fi,Bluetoothの情報に着目し,これらの情報で個人認証を行う認証手法を提案する. 本論文で提案する認証手法は,ユーザーがあらかじめ意図して情報を入力しておく必要がなく,また認証時にも情報を入力する必要がないという点で,非常にユーザビリティに優れた手法である. また,特別な装置なども不要で,多くの人が所持しているスマートフォンを携帯しておくだけでよいという点でも本手法は優れている.

2B-4 (時間: 16:50 - 17:10)
題名Wi−Fiネットワーク運用システムを用いたドローン検知の可能性に関する評価
著者*岡本 薫, 樫原 茂 (奈良先端科学技術大学院大学), 山本 寛 (立命館大学), 山口 英 (奈良先端科学技術大学院大学)
ページpp. 303 - 309
キーワードドローン, 無線LAN, セキュリティ, 計測, テレメトリ情報
アブストラクト本論文では、文献[18]に提案したドローンの検知に関するマルチコプター用統合監視システムに関するコンセプトに基づき、ドローンが出す電波、特にWi-Fiについて着目し、Wi-Fiネットワーク運用システムを使用したドローンの検知手法について提案し、その可能性について評価した。実験より、空中のドローンは地上のWi-Fi電波発信源に比べ広範囲かつ多数のWi-Fiセンサが検出することが明らかとなったが、一方で都市部のようなビルが密集する狭隘な空間や検出する時間帯によってはその特性が大きく変化し、ドローンの検知が困難であるいくつかの問題も確認した。