(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム

セッション 5C  コンシューマデバイスと材料
日時: 2018年7月5日(木) 10:30 - 12:10
部屋: 明石の間
座長: 寺島 美昭 (創価大学)

5C-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名ユーザ行動に応じた情報を提供するAIoT型スマートスピーカの提案
著者*佐々木 一郎 (千葉工業大学 情報科学研究科 情報科学専攻), 藤田 茂 (千葉工業大学 情報科学部 情報工学科)
ページpp. 933 - 935
キーワードAIoT, スマートスピーカ, RaspberryPi, IoT
アブストラクトセンサ,家電をはじめとした多種多様なモノを,インターネットを介し通信を行うことで,端末間での情報交換や制御を行うIoT(Internet of Things)に基づくサービスが注目されている.環境センシング,遠隔監視,遠隔制御などといったものが挙げられ,様々な分野において活用されている. スマートスピーカはその1つであり,ユーザの音声入力を基に,対話型音声アシスタントから様々なサービスを提供することができる. アシスタントは,設定された命令のみを実行するものもあれば,自然言語処理を用いたスマートスピーカ独自のAIアシスタントなど,種類は多岐にわたる. これらのサービスは,スマートスピーカ独自のものではなく,他のIoTデバイスと連携して提供されることが多い. しかし,スマートスピーカには以下のような欠点がある ・他者との会話中に誤反応することがある ・ユーザの指示が必要 これらの課題を解決するために,エージェント型IoTシステムを用いたスマートスピーカの設計を行い,ユーザの行動と身の回りの環境情報を取得することで,ユーザの状況に応じたサービスを提供するスマートスピーカの提案を行う.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
5C-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名ニューラルネットワークをベースとしたIoTデバイス指向型認証モジュールとその評価
著者*野崎 佑典, 吉川 雅弥 (名城大学)
ページpp. 936 - 941
キーワードPUF, エッジコンピューティング, ニューラルネットワーク
アブストラクト人工知能技術は,幅広い分野で使用されており,近年ではエッジコンピューティングでの利用が期待されている.一方で,これらのIoTデバイスに対する不正な攻撃の危険性が報告されており,認証などのセキュリティ対策を施すことは非常に重要である.しかし,IoTデバイスでは利用できる回路規模に制約があるため,人工知能技術であるニューラルネットワーク(Neural Network:NN)や認証技術であるPhysical Unclonable Function (PUF)の専用ハードウェアをそれぞれ実装することは難しい.そこで本研究では,NNと認証技術を併用させた,新たな認証モジュール(PUF)を提案する.提案PUFでは,デバイス固有の製造ばらつきにより生じるNNの計算時間の違いを抽出し,これを認証に利用する.そして,Field Programmable Gate Array (FPGA)を用いた評価実験では,安定性や差異性,ユニーク性などの代表的なPUFの性能指標について検討し,提案PUFの有効性について定量的に評価する.

5C-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名選別一体化を目的とした再生可能資源の自動選別機試作による実用性の検討とその評価
著者*板垣 弦矢, 撫中 達司 (東海大学 情報通信学研究科)
ページpp. 942 - 946
キーワード再生可能資源, 自動, 選別, 分別, 画像認識
アブストラクトリサイクルに掛かる費用が自治体の財政を圧迫し問題となっている.中でも効率的な選別が課題であり,昨今自治体による選別作業を省略し再商品化事業者に直接搬入をする選別一体化が検討されているが,選別率が下がり再商品化される物の品質が落ちることが懸念され具体的な実証実験などはまだ殆ど行われていない.収集の時点で選別率を保証する方法としてはゴミ箱に自動選別機能をもたせる方法があり,これまでに幾つか研究が報告されてきた.しかし,それら研究の多くは選別率を評価軸として使用したセンサや学習アルゴリズムが有効であるかなどの検証に焦点を当てており,実用性についてはほとんど言及されていない.実際に自動選別機を社会に投入した場合,様々なシチュエーションで様々な人が利用することを想定する必要があり,選別率だけでなく実利用に向けた検討(実用性)も重要である.本報告では,実用性を機能性や効率性,経済性,明瞭性,環境性,安全性などの評価軸で定義し,試作した自動選別機においてこれにつき評価した結果を示す.結果として,試作機については機能性,経済性,明瞭性,環境性,安全性,効率性については実用性に足るものであったが,効率性が今後の検討課題である.

5C-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名マルチユーザー・マルチモーダル・近距離通信を実現するデジタルサイネージ向け音声コミュニケーションデバイス
著者*後藤 直, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
ページpp. 947 - 953
キーワードマルチユーザー, マルチモーダル, 近距離通信, デジタルサイネージ, 音声対話システム
アブストラクト我々の研究室ではパソコン向け音声インタラクション構築ツールキット,MMDAgenを用いて,双方向音声案内デジタルサイネージシステムの研究を行なっている.ユーザに一方的に情報を表示する一般的なデジタルサイネージとは違い,3Dキャラクタが画面に表示され,3Dキャラクタとユーザ間で音声による双方向の情報のやりとりが可能であるといった特徴がある.公共空間における音声入出力デジタルサイネージは,騒音環境での利用や難聴の方の利用など音声情報の伝わりにくい場合があることや,情報が伝わったとしても,録音などをしていない場合情報を確認する方法がないといった問題点が挙げられる. これらを解決するために近接性保証機能,返答文字列取得・送信機能,掲示板形式のインタラクション履歴表示機能を持つ携帯端末とサイネージの連携方式を提案する.本論文では提案システムに基づいて実装したプロトタイプシステムについて述べる.そして,プロトタイプシステムと従来システムを用いて評価実験を行った. その結果“ 従来システムより情報を得やすいと感じる ”という5段階のアンケート項目について,静かな環境では 4.89,騒音環境では 5.00 という評価が得られた.この提案システムが従来システムよりも情報提供に効果のあるシステムであることが分かった.

優秀プレゼンテーション賞 / Presentation Awards
優秀論文賞 / Paper Awards
5C-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名セラミックス製品を対象とする人工物メトリクスのための機能性材料の開発
著者*藤川 真樹, 原 万里子, 小山 紗季 (工学院大学), 渕 真悟 (青山学院大学)
ページpp. 954 - 962
キーワード機能性材料, 真正性判定, セラミックス, ガラス蛍光体, 色相と発光強度
アブストラクト人工物に複数の特徴情報を持たせることにより真正性(本物であること)の確度と偽造困難性を高めるマルチモーダル人工物メトリクスは,マルチモーダルバイオメトリクスからヒントを得て創出された偽造防止技術のひとつである.本研究では,セラミックス製品に2つの光学的な特徴情報(色相と発光強度)を持たせるために,新しいタイプのガラス蛍光体を開発する.当該蛍光体は赤外線励起により可視光を発光し,ひとつのサンプルにおいて観測点ごとに異なる色相と発光強度を示すが,このようなアップコンバーション蛍光体はこれまでになく新規性がある.この蛍光体を粉末状に加工し,セラミックス製品の表面に少量溶着させることで,従来の方法よりも真正性の確度と偽造困難性を高めることができる.著者らが2 種類の酸化希土類の配合率を探索した結果,上記の発光特徴を持つガラス蛍光体が作製できることを確認した.また,この特徴は母体ガラスの組成が異なっても変わらない.