題名 | LPWAを活用した簡易地震計の開発に関する研究 |
著者 | *東田 光裕, 増田 貴大 (西日本電信電話株式会社) |
ページ | pp. 338 - 341 |
キーワード | 地震計, LPWA, IoT |
アブストラクト | 数十年以内の発生が危惧されている南海トラフ巨大地震などの自然災害に対して,災害発生後の初動対応は極めて重要である.初動対応の迅速化には適切な状況把握が必要不可欠であるが,現在の震度計の設置数は十分とは言えない.一方で従来の地震計は一般の家庭に設置するには高価であり現実的ではない.本稿ではLPWA(Low Power Wide Area)を利用したリアルタイムデータ通信機能を備えた小型で安価な簡易地震計の開発について述べる. |
題名 | 土中温度差発電駆動型土壌水分プロファイルプローブの実装 |
著者 | *池田 夏輝, 繁田 亮 (東京大学大学院情報理工学系研究科), 塩見 淳一郎 (東京大学大学院工学系研究科), 川原 圭博 (東京大学大学院情報理工学系研究科) |
ページ | pp. 342 - 348 |
キーワード | エネルギーハーベスティング, 熱電発電, 熱回路網 |
アブストラクト | 土壌センサシステムを電池駆動する場合,大規模かつ継続的な運用には電池交換による人的コストが大きな問題となるため,エネルギーハーベスティング(EH)を用いたバッテリーレス化が期待されている.日射や大気の影響を受けにくい土中の温度変化は小さい一方で,その影響を直接受ける地表面付近の温度変化は大きいため,地表面付近と土中には温度差が生じている.本論文では,温度差を電力に変換できる熱電素子を用いることで,いかなる圃場においてもバッテリーレスで駆動可能な土壌水分プロファイルプローブの開発を行った.様々な種類の圃場における地表面付近と土中30cmの実測温度データと,熱・電気回路網を利用した提案システムのモデル化を通じ,圃場において平均80uW - 725uWの電力を得られることを示した.また,提案システムを実装し,圃場環境を再現した状況下での実験にて検証したところ,発電可能な電力はモデル化により求まる理論値の50% - 70%前後であった.近年の無線通信機能付き超低消費電力マイコンは,待機時消費電力が2.1uW,1回のセンシングに要する電力量は100uJ前後であるため,土壌センシングで一般的な1~時間周期の測定は十分可能である.以上のことから,地表面付近と土中との温度差で駆動される,バッテリーレス土壌センサシステムの実現可能性が示された. |
題名 | ビッグロール工法下で設置可能な土壌センサのための薄膜アンテナ設計 |
著者 | *西保 匠, 繁田 亮, 川原 圭博 (東京大学大学院情報理工学系研究科) |
ページ | pp. 349 - 355 |
キーワード | 土壌センサ, 土中通信, 薄膜アンテナ, 薄膜センサ, 無線通信 |
アブストラクト | サッカースタジアムなどのスポーツ施設ではスポーツ用の芝(スポーツターフ)を通年で常緑に保つことが求められており,日々細かなメンテナンスが行われている.芝の成長には,日照量に加え,芝の根部の温度と水分量が重要な役割を果たしているため,それらのデータを根部の存在する地下 5 cm で直接計測可能な完全埋没設置型の無線センサが必要とされている.スタジアムでは場所によって日当たりなどの影響により温度等は大きく異なるので,粒度の細かいセンシングを行うには多数のセンサが必要となる.現在は芝を一時的に切り抜いてセンサを一つずつ埋設する必要があるため,センサの密度を増やすために設置過程の簡単化が期待されている.また,芝を切り抜いての設置は芝への負担も懸念されるため,芝の張替えなど施設の更新時にセンサ設置も一括して行えることが望ましい.現在スポーツターフの現場では,養生期間が短くて済み,短期間で張替えを行えることから,ビッグロール工法と呼ばれる芝の敷設方法が使われている.ビッグロール工法は,圃場で生育している芝を根部から下を剥ぎ取ってロール状にし,それを移送して張替え先でロールを戻して芝を敷設する方法である.そこで,本研究では,芝をロール状にする際にロールの根側に貼りつけ,張替え作業と並行して効率的に設置を行える薄膜実装土壌センサを提案する.このような埋没設置型の無線センサでは,土壌環境の変化等を考慮したアンテナ設計を行わなければ,地上で用いた場合に比べ通信距離・安定性が大きく低下することが知られている.そこで,本稿では薄膜土壌センサに搭載する薄膜実装ダイポールアンテナの設計を行った.薄膜上に実装したエレメント幅の異なるアンテナを直接芝の下に設置して伝送特性を計測し,モノポールアンテナとの比較で評価を行った.実験の結果,モノポールアンテナよりも伝搬損失が 10dB 以上少ないアンテナを選定できた. |
題名 | マイクロ波を用いた洗濯物の含水率の推定 |
著者 | *木村 洋文, 長谷川 達人 (福井大学大学院工学研究科情報・メディア工学専攻) |
ページ | pp. 356 - 361 |
キーワード | マイクロ波, 含水率推定, 機械学習 |
アブストラクト | 近年女性の社会進出やライフスタイルが大きく変化してきている.日常の洗濯について着目してみると,天候などに左右されない部屋干しはそれに左右される屋外干しと比べると楽であると考えられ増えてきている.しかし何の配慮もなしに部屋干しを行うと結露や菌の繁殖の原因となる.これらの原因は洗濯物を取り込むタイミングであると考えられる.そのため本研究では洗濯物の乾燥時間の推定のための第一段階として洗濯物の含水量について実験を行った.提案手法ではマイクロ波を洗濯物に透過させ,機械学習を行うことにより,洗濯物の含水量の推定を行う.含水量の推定手法はいくつか存在するが,提案手法では洗濯物に非接触でありリアルタイム計測が可能であるマイクロ波を用いた含水量の推定を行う.予備実験としてタオル一枚で推定を行ったところ,平均平方二乗誤差は8.65となり9g程度の誤差で推定できた.このことよりマイクロ波を用いた衣類の含水量推定は可能であると考え,5つの衣類に対して推定を行ったところ,平均で5.4となり6g以内の誤差で回帰できた. |
題名 | 電気インピーダンス変化に基づき位置識別を行う布型タッチインタフェース |
著者 | *関森 広大 (筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻), 志築 文太郎, 高橋 伸 (筑波大学 システム情報系) |
ページ | pp. 362 - 368 |
キーワード | ヒューマンコンピュータインタラクション, タッチインタフェース, スマートテキスタイル, 電気インピーダンス |
アブストラクト | 本研究では、電流を印加した導電布をタッチした際の電気インピーダンス変化を利用して,タッチ位置識別を行う布型タッチインタフェースを提案する.ユーザは布表面をタッチパッドのように扱うことができ,様々なインタラクションを行うことが可能となる.プロトタイプとして,導電布,波形発生器,ブレッドボード上の電子回路およびArduinoを使用したハードウェアを作成し,機械学習を利用した認識ソフトウェアを開発した.開発したプロトタイプを利用してタッチ位置の識別精度の評価実験を行った. |