題名 | パーソナルファブリケーション時代におけるBlockchainを用いた製造情報保存システム |
著者 | *阿部 涼介 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 斉藤 賢爾 (慶應義塾大学SFC研究所), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部) |
ページ | pp. 1045 - 1054 |
キーワード | パーソナルファブリケーション, 製造責任, 知的財産権, Blockchain |
アブストラクト | デジタルファブリケーションの普及を背景に,インターネット上で公開された設計図データを入手し,個人の環境に合わせて改変,製造を行うといった,パーソナルファブリケーションと呼ばれる個人的な製造が積極的に行われている.そうした中で,個人で製造物の製造者,設計者のデータを管理しておくことは困難である.パーソナルファブリケーションにおける製造物のデータ管理においては公開性,完全性,追跡可能性の3点が求められる.そこで,本研究ではP2Pネットワーク上でデータが検証されたことを合意し公開台帳を形成するシステムであるBlockchainを用いて製造物の情報の保存を行うことで3点の要件を担保できると考えた.実験システムとして,Raspberry Pi3で3Dプリンタの制御を行いプリント実行時にEthereum Blockchain上に製造物の情報を保存するシステムを実装した.上記3点の要件に対して評価を行い,要件が満たされていることを確認した. |
題名 | アナモルフォーズとプロジェクションマッピングを用いたMR組立作業支援システム |
著者 | *水流添 弘人, 重野 寛 (慶應義塾大学理工学研究科), 岡田 謙一 (情報通信メディア研究所) |
ページ | pp. 1055 - 1061 |
キーワード | Mixed Reality, アナモルフォーズ, プロジェクションマッピング, 組立作業支援 |
アブストラクト | 近年,複合現実感(Mixed Reality: MR)を用いた組立作業支援の研究に注目が集まっている.そうした,MRを用いた組立作業支援において,最もよく用いられるデバイスがHMD(Head Mounted Display)である.しかし,HMD頭部への疲労や解像度の違いによる映像酔いなどの問題点もある.そこで,本論文ではHMDを用いずにMR環境を構築する手法として,アナモルフォーズとプロジェクションマッピングという2つの技術に着目し,それらを用いたMR組立作業支援システムを提案する.アナモルフォーズとは,ある平面に描かれた絵を特定の角度から見ると,立体的に見せることのできるトリックアートの1種である.この技術により,組立作業の指示を空間に表示させ,ユーザの作業を支援する.ただし,アナモルフォーズのみでは,正確な位置を伝達出来ないため,細かい位置姿勢の指示を作業物に対するプロジェクションマッピングで行う.提案システムは,この2つの指示を組み合わせることで,組立作業支援を実現している.HMDを用いたシステムとの比較実験の結果,本提案システムが有用で扱いやすいシステムであることが分かった.これより,提案システムがHMDの問題点を解決した有用なMR組立作業支援システムを実現できたといえる. |
題名 | 生産現場における作業監視のためのイベント遷移パターンの設計手法 |
著者 | *中田 侑, 木下 雅文, 宮田 辰彦 (日立製作所) |
ページ | pp. 1062 - 1067 |
キーワード | イベントログ, 行動分析, モデル, IoT, 製造業 |
アブストラクト | 近年IoT 技術が注目され、製造分野でも生産現場の作業監視等で適用されている。しかし、センサー等の設置やネットワークのシステム構築コストが大きくなる問題があった。そこで、工作機械等の設備が保守用に出力する、設備の内部動作(イベント)が記載されたイベントログから、人の作業を捉える手法を検討した。これまで、イベントと作業の対応関係の定義と、イベントから作業を特定するプログラムの設計に時間を要し、開発コストが高くなる問題があった。これに対し本研究では、イベントログと作業の対応関係を示すモデルと、そのモデルに基づく設計開発手法を提案し、プログラムの作成期間を1/20に抑えらることを確認した。これにより、イベントログから作業を捉えるための人件費を抑え、低コストな作業監視の実現に貢献する。 |
題名 | 文字列をなぞることによる古地図の探索 |
著者 | *渡邉 悠一, 寺沢 憲吾, 角 康之 (公立はこだて未来大学) |
ページ | pp. 1068 - 1074 |
キーワード | 古地図, 文字をなぞる, 地図探索, ワードスポッティング |
アブストラクト | 古地図は,歴史的背景を知るうえで重要な手掛かりの一つである。そのため,地図から文字領域を抽出することができれば地図同士を対応付けることができ,地図を比較することで新たな発見につながる.しかし,古地図は文字の向きがバラバラで様々な向きの文字列が書かれている.さらに縦書きや横書きの文字列が含まれているため,機械的に光学文字認識(OCR)を適用するのは難しい.そこで本研究ではユーザが文字の向きに沿ってなぞることで文字を切り出しマッチングを行うシステムを提案する.手法としては,ユーザが地図中の文字列を文字の向きに沿ってなぞり,なぞった線上に存在するラベリングされた固まりを文字をみなすことで文字列を切り出す.マッチングは切り出した文字をスリット状に切り出し,その勾配分布特徴量を用いて行う.また本研究では,ユーザがなぞった文字をデータベースに追加するシステム構成とする.そうすることでなぞった文字は新たな検索対象となり,データベースの拡張につながる.なぞった文字というのはユーザの興味の対象であり,それらを登録していくことでデータベースは集合知としての価値を持つ.本稿では提案したシステムを用いて古地図から読み取れたことについての利用例をシナリオで示す. |
題名 | 深層学習を用いたピクトグラム画像への情報補完手法の提案 |
著者 | *吉田 雄大, 伊藤 一成 (青山学院大学社会情報学部) |
ページ | pp. 1075 - 1080 |
キーワード | 深層学習, 機械学習, ピクトグラム, コンテンツクリエーション, メタコンテンツ |
アブストラクト | ピクトグラムとは日本語で絵記号,図記号と呼ばれるグラフィックシンボルであり,意味するものの形状を使ってその意味概念を理解させる記号である.しかし,ピクトグラムのデザインは国,文化,風習の違いから,しばしばピクトグラム単体での意味概念の理解は困難である.そこで,本論文では深層学習を用いてピクトグラム画像を解析し,ピクトグラム画像から,情報表現を想起させることで,ピクトグラムの解釈を補完する手法の提案と評価を行った.評価の結果,深層学習によるピクトグラム分類器は学習データに各分類1枚の白黒画像を元に画像処理で拡張を行ったデータセットを用いても十分な正解率を得ることができた. |