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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウム

セッション 1G  農業
日時: 2017年6月28日(水) 13:50 - 15:30
部屋: 蓬莱
座長: 寺田 努 (神戸大学)

1G-1 (時間: 13:50 - 14:10)
題名高精度な分光画像を収集する撮影システムの検討と評価
著者*増田 貴大, 坂川 涼, 洞井 晋一, 東田 光裕 (西日本電信電話株式会社)
ページpp. 187 - 192
キーワードスペクトルカメラ, 撮影手法, タブレット
アブストラクト本論文では, 圃場において収穫前のトマトの生育をスペクトルカメラによって撮影するための効率的な撮影システムの検討と評価に取り組んだ. まず, スペクトルカメラを固定する三脚キットおよび制御用パソコンを中心とした撮影キットからなる撮影システムを開発し, 屋内撮影で性能を評価した. 本撮影システムを使用することで, 従来に比べて32%の撮影時間短縮ができており, 圃場で分光画像を撮影するのに効果的な事を確認した. その後撮影システムを圃場へ持ち込み収穫前のトマトの分光画像の収集をおこなった結果, のべ30日の撮影で2969枚の分光画像を収集することができた. 次に, 収集した画像の質を評価するために実験室環境で撮影した画像とNDSI 値を指標として比較評価したところ, 実験室環境および圃場それぞれで撮影した分光画像から計算されるNDSI値の差はサンプル全体のNDSI値の変化量に対して小さく, サンプル全体のNDSI値の変化を検証するためには十分な品質が達成されている事を確認した.

1G-2 (時間: 14:10 - 14:30)
題名分光画像を用いたトマトの収穫時期予測に関する研究
著者*東田 光裕, 増田 貴大, 坂川 涼, 洞井 晋一 (西日本電信電話株式会社)
ページpp. 193 - 198
キーワードスペクトルカメラ, 分光画像, 収穫時期予測, 予測関数
アブストラクト農業分野において農業経営の安定化・収益向上が課題となっており,農家にとって収穫時期と収穫量の予測が品質と価格の安定や収穫作業に必要となる労働者数や運搬・発送用資機材のロス軽減などコストの低減につながる.本稿では,果菜類の一つであるトマトを対象にスペクトルカメラにより撮影された分光画像を用いた生育過程の観測と,分光画像の解析により得られたスペクトル特性を利用した収穫時期予測について述べる.

ヤングリサーチャ賞 / Young Researcher Awards
1G-3 (時間: 14:30 - 14:50)
題名深層学習を用いた植物の水分ストレス推定手法の検討
著者*若森 和昌, 柴田 瞬 (静岡大学大学院総合科学技術研究科), 峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/JSTさきがけ)
ページpp. 199 - 206
キーワード農業, 水分ストレス, 機械学習, CNN
アブストラクト近年,熟練農家の経験と勘に基づく高度な栽培技術の形式知化に関する研究が進められている.栽培技術の中でも植物への潅水を適切に制御するストレス栽培は,高糖度な果実を生産でき,農産物市場の活性化に繋がるため,形式知化が期待されている.ストレス栽培の形式知化では,植物が受ける水分ストレスを高精度に推定し,植物への潅水タイミングを適切に定義する必要がある.しかし,植物が受ける水分ストレスは栽培環境に応じて複雑に変化するため,水分ストレスの手軽かつ高精度な推定手法は実現されておらず,既存手法を用いて手軽に高糖度な果実を栽培することは困難だった.本研究では,手軽に収集できる草姿画像に深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークを適用することで,植物の水分ストレスを高精度に推定する手法を検討する.トマト栽培実験環境下で収集したデータを用いて基礎評価を行ったところ,提案手法はOptical Flowと機械学習を用いた既存手法に比べMAEで約21.9%の推定誤差削減を実現でき,ストレス栽培の再現に有効な水分ストレス推定手法であることを確認した.

1G-4 (時間: 14:50 - 15:10)
題名分光画像と機械学習を用いたトマトの収穫時期予測に関する研究
著者洞井 晋一, *増田 貴大, 坂川 涼, 東田 光裕 (西日本電信電話株式会社)
ページpp. 207 - 212
キーワードスペクトルカメラ, ディープラーニング, 収量予測
アブストラクト農作物を効率的に流通・販売するために収穫時期の正確な予測が求められている. 特にトマトの収穫時期を予測することは,様々な要因が複雑に関係しているため困難であることが知られている. 我々はトマトの成熟に伴って変化する成分値変化に着目し,スペクトルカメラによって撮影した分光画像をニューラルネットワークを用いて解析した. 千葉・熊本の協力農家で撮影したトマトの分光画像と,TensorFlowを用いたニューラルネットワークによる解析の結果, 5日前のトマトであれば誤差2日以内で予測可能であることが分かった. また,多段のニューラルネットワークを用いてもそれほど効果は見られず, 糖度などの成分値を反映していると考えられる近赤外線の領域を学習しても大きな効果は見られなかった. これらの結果から,5日より以前の予測精度を高めるためには,ニューラルネットワークの再設計と, トマトそのものの大きさなどを考慮する必要があると考えられる.

1G-5 (時間: 15:10 - 15:30)
題名ウェアラブルセンサを用いた農作業推定アルゴリズムの開発
著者*阿久津 樹輝 (仙台高等専門学校広瀬キャンパス), 千葉 慎二 (仙台高等専門学校ICT先端開発センター)
ページpp. 213 - 216
キーワードウェアラブルセンサ, ICT農業, Iot, 行動推定
アブストラクトICT技術が農業にも応用されている中、ICT機器に不慣れな農作業者には機器の操作が負担となることが少なくなかった.本件では、これまで農作業者の日常的な情報機器操作を必要としていた農作業データ記録を自動化することで、農作業者の負担軽減を実現する手法を提案した.本提案手法では農作業者に加速度を計測するウェアラブルセンサを装着して農作業活動量を測定することで農作業内容を推定する.センサはテキサスインスツルメンツ社のセンサタグCC2560とユニオンツール社のmyBeatを使用した.BLE通信でゲートウェイであるRaspberry Pi3またはAndroid端末にセンシングデータを送信し、MQTTを用いてクラウドサーバ上のMongoDBにデータをアップロードする.MongoDBに蓄積されたデータから主成分分析等の数値解析によって農作業の推定が行われる.本件では農作業者のウェアラブルセンサ装着位置の検討のため、農作業者の複数個所にセンサを装着し、それぞれの計測データを比較検討した.その後、耕起・苗植え・肥料散布の各農作業の推定に提案手法を適用し、センサデータから農作業の判別が可能かを検討した.