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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 8H  ユーザ心理とユーザインターフェース
日時: 2015年7月10日(金) 10:30 - 12:10
部屋: リゾートセンター2
座長: 八槇 博史 (東京電機大学 情報環境学部)

8H-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名インターネットサービスの利用に際する安心意識調査結果に対する一考察
著者*山本 太郎 (NTTセキュアプラットフォーム研究所)
ページpp. 1807 - 1815
キーワードインターネット, 安心, 不安, 社会調査
アブストラクトインターネットサービス利用における安心の概観をつかむ為の調査を実施した.その結果の一部について紹介し,考察を提示した. インターネット利用に限らない「安心」のイメージは,不安の解消といった動的・相対的なものだけでなく,静的・絶対的なものも多いことが示唆された.また,「安全」「信頼」とのイメージの近さから混同が懸念されることが改めて示唆された. 次に,利用開始前より利用開始後の方が,安心に思う者が増え,不安に思う者が減っている傾向が見られた.また,テキスト系ソーシャルメディアや金銭関連サービスでは,利用開始前は安心に思う者の数より不安に思う者が多かったが,利用開始後は逆転している.これらより,利用開始時の障壁の高さをクリアすれば,顧客満足につながる可能性が高いことが考えられる. また,インターネットサービス利用開始前の安心理由としては,評判・信頼・リスクの小ささ(主観評価)が,利用開始後の安心理由としては,良好な利用実績・利用継続による不安の鈍化(・提供者または利用者への信頼向上)が重要視されることが示唆された. 一方,ネットサービスの評判の情報ソースや提供者・利用者に対する信頼条件は,ネットサービスごとに異なり,それぞれのネットサービスごとに対応する必要が考えられる.信頼向上ソリューションのポイントとして有力なものは、評判の向上ではないかと考えられる.

8H-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名全周囲型メンタルローテーションCAPTCHAの提案
著者*藤田 真浩 (静岡大学創造科学技術大学院), 池谷 勇樹 (静岡大学大学院情報学研究科), 西垣 正勝 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
ページpp. 1816 - 1822
キーワードCAPTCHA, メンタルローテーション, 画像認識, 3DCG
アブストラクト人間の高度な認知能力を利用したCAPTCHAの一つとして,メンタルローテーションを利用したCAPTCHAが提案されている.しかし,既存のメンタルローテーションCAPTCHAには総当たり攻撃と画像中の特徴量抽出を利用した攻撃に対する耐性に課題を残していた.本稿では,既存のメンタルローテーションCAPTCHAが有する課題を克服した「全周囲型メンタルローテーションCAPTCHA」を提案する.提案方式では,向き(正面と背面)を有する3次元コンピュータグラフィックスモデルN体を,それぞれ鉛直方向を軸にしてランダムに回転し,それらを2次元平面に投影した画像群(N枚)をユーザに提示する.ユーザは提示された画像群を,正面(回転角0度)を基準として,回転角度の昇順になるよう並び替える.正しい順序に並び替えることができたユーザを正規ユーザとして判定する.提案方式でユーザに求めているメンタルローテーションタスクは「異なるオブジェクトN体の回転角度をそれぞれ認識し,回転角度順に並びかえる」というタスクである.これにより,総当たり攻撃,および,画像中の特徴量抽出を利用した攻撃に対する十分な耐性をメンタルローテーションCAPTCHAに与えることが可能となる.

8H-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名気象情報を用いた服装情報提示システムの実装
著者*中野 裕貴, 西岡 大, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
ページpp. 1823 - 1828
キーワード心理的要因, 服装情報, clo値
アブストラクト本研究では,気象情報に基づく服装情報提示システムのための,clo値を用いた服装提示に関する調査とプロトタイプシステムの実装を行う.clo値とは,着衣の断熱・保温性を示す指標である.気象条件からclo値を求め,clo値から服装情報を決定する手法が一般的に用いられる.clo値から服装を決定するには,気象条件からclo値を求め,求めたclo値に収まるように単品衣類に定義されているclo値を組み合わせる.しかし,既存の調査では,寒冷地においてclo値から服装を算出する定義がなされていない.我々は,寒冷地である岩手の,秋期と冬期の服装調査を実施し,調査結果に基づきプロトタイムシステムを作成した.本研究では,秋期と冬期におけるclo値と服装の関係を明らかにするとともに,プロトタイムシステムの実装について記す.

8H-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名オンラインショッピングにおける情報セキュリティ技術に関する安心感を図るための安心メータの検討
著者*西岡 大, 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
ページpp. 1829 - 1834
キーワード安心, 情報セキュリティ, オンラインショッピング
アブストラクト本研究は,情報セキュリティの分野において曖昧に捉えている「安心感」に着目し,セキュリティ技術がユーザに与える安心感を計測し,視覚的に表示する「安心メータ」の指標作成に向け,必要な調査を行うことを目的とする.先行研究では,オンラインショッピングにおける情報セキュリティ技術に対する安心感について,質問紙を用いてユーザの主観調査を実施し,安心感の要因と構造を明らかにしてきた.本稿では,ユーザに視覚的に安心度が解る安心メータの実現に必要な質問項目の設定を実施した内容について述べる.

8H-5 (時間: 11:50 - 12:10)
題名動作が認識されにくい身体部位を用いた認証方式の提案と実装
著者*諸戸 貴志 (中京大学情報科学研究科), 濱川 礼 (中京大学工学部情報工学科)
ページpp. 1835 - 1840
キーワード筋電位, 足趾, ショルダーハッキング
アブストラクト本論文では,動作が認識されにくい身体部位を用いた入力手法の提案とその実装方法について述べる. 近年,スマートフォンの普及により機密度の高い情報を持ち歩く機会が増え,背後からパスワードの入力を盗み見るショルダーハッキングにより情報が漏えいする危険性がある. そこで第三者から認識されにくい動作が可能である身体部位を用いて認証を行うことでこの問題を解決しようと考えた.しかし,第三者から認識されにくい動作が可能である身体部位は大きな動きが出来ないため入力が困難である.僅かな動きでも筋肉の伸縮の際に発生する筋電位を測定することで入力を行うことが可能であると考えた. ユーザーは筋電位センサを取り付けた部位を動かし入力を行うことで第三者から認識されにくい入力が可能となる.筋電位センサを用いた認証方式により従来の問題であったスマートフォンのパスワードの覗き見を解決することが本研究の目的である. 認証の際の入力補助として一定のテンポを提示し,テンポに合わせて入力を行うことを考えた.それによりユーザーはリズムを覚える感覚で記憶可能であると考えた. 本システムの有効性の評価としてのぞき見によるハッキングに耐性の有無の確認を実施した.その結果は,1 視点からのぞき見を行っても認証時の入力を盗み見ることが困難であり従来のロックシステムと比較して耐性があると分かった.