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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 8E  行動ログ
日時: 2015年7月10日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 北上
座長: 梶 克彦 (愛知工業大学)

8E-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名Bluetoothによる近接性を用いた実空間人間関係抽出手法の実装と評価
著者*石塚 宏紀, 小野 智弘 (株式会社KDDI研究所/データマイニング応用グループ), 山本 直人, 伊藤 昌毅, 瀬崎 薫 (東京大学 生産技術研究所)
ページpp. 1721 - 1728
キーワード人間関係, Bluetooth
アブストラクト近年,ソーシャルメディアにおける人間関係分析に関わる研究が盛んに行われている.一方で実空間における人間関係の研究においてもRFIDやBluetooth通信などを用いて,学会会場や学内など限定的なエリアにおける関係性抽出手法などが提案されている.本研究では,スマートフォンのみを利用してBluetooth通信による近接性を収集し,MANET(Mobile Adhoc Network)におけるネットワーク疎通確認を用いた時空間共有分析手法とコミュニティ推定手法を提案する.本提案システムは,スマートフォン間の近接性を常時収集する実空間近接関係収集アプリと収集したセンサ情報を分析し,人間関係を抽出する実空間人間関係サーバから構成され,実空間人間関係サーバ内では,時空間共有度推定とコミュニティ推定を行う.本論は,オフィス空間デザインを工夫することでオフィス内のコミュニケーションを活性化する取り組みにおいて,効果検証手法が乏しい点に着目し,既存技術とは異なる汎用的なスマートフォンを用いて,実空間人間関係を抽出することで,コミュニケーションの活性化度合いを測るシステムを提案した.本論の評価として,実ユーザによる評価実験を通して,提案手法の有効性を検証し,実空間コミュニティを複数発見することができた.

8E-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名効率的な動物間通信のための行動検知
著者*牧山 紘, 瀬崎 薫 (東京大学生産技術研究所), 小林 博樹 (東京大学空間情報科学研究センター)
ページpp. 1729 - 1735
キーワードウェアラブルデバイス, Human Computer Biosphere Interaction, フィールド調査, 環境モニタリング, 動物間通信
アブストラクトフィールドでの環境調査は,ヒトと自然が互いに影響を及ぼし合い,安全かつ効率的に行うことが難しいが,ヒトと共存が可能である野生動物同士のコミュニケーションを用いることでこうした問題を解消できる.動物間マルチホップ転送システムはウェアラブルなセンサを用いることで大規模な動物間ネットワークを構築できる.この中のデータ通信交換(共有)の部分においては,長期運用を考慮して動物の習性を利用した省電力な通信機構が開発されているが,体系的な評価がなされていない.このため本研究ではまず再現実験を行い,映像データとセンサの同期処理を通じたデータ共有システムの評価を行った.その後,個体差を考慮する正確なヒトの運動変化の検知手法をこのシステムに導入し,その精度を確認した.この結果,既存のデータ共有システムはF-measure指標で50%前後という精度となり,改善の余地があることが分かった.また,ヒトの変動検知を導入すれば,F-measure 80%前後という精度で通信制御が可能であり,導入が有効であることが示せた.

8E-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名長期取得音からライフログとして残したい音の抽出方法
著者*笠井 昭範, 原 直, 阿部 匡伸 (岡山大学大学院自然科学研究科)
ページpp. 1736 - 1740
キーワードライフログ, マルチセンシング, 自動抽出, 音, 思い出
アブストラクト日常生活の中で長期間にわたり取得した音からライフログとして相応しい音を抽出する.音は画像や動画と違い,スマートフォンやIC レコーダを持ち歩くことで自動的に取得が可能である.しかし,大量の音を全て聴き返すことは現実的で無いため,何らかの方法でユーザにとって有意な場面を抽出する必要がある.そこで本報告では,思い出として残すに相応しい音として「会話」に着目する.会話における音を聴き返すことで,コミュニケーション中の感情や場の雰囲気を思い起こすことができると考えられる.そのため,音声認識器を用いて音に含まれる発話量を推定することで,大量の音の中から会話のある場面のみを抽出する.さらに,音と同様に自動取得が可能なGPSデータと加速度を用いることで,ユーザにとって非日常的な珍しい場面を推定する.提案手法の評価として実際に5人の被験者により約2週間分のデータを取得した.加速度を使った客観評価では,イベントの時間長に依存しない場面分割の有効性を確認した.また,GPSと会話場面それぞれについて主観評価を行った.その結果,被験者にとってより珍しい場所かつ会話のある場面がライフログとして残したい音であることを確認した.

8E-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名LiBS:発見と気付きを可能とするライフログブラウジング方式
著者*難波 敦也, 原 直, 阿部 匡伸 (岡山大学大学院自然科学研究科)
ページpp. 1741 - 1748
キーワードライフログ, GPS, 可視化, 発見, 気付き
アブストラクト振り返りに用いられるライフログデータの一つにGPS(Global Positioning System)による位置データ(GPSデータ)がある. GPSデータは,GPS機能を持った端末を持っているだけで常に自動的に位置データが取得されるため,手軽に自分が意識していない行動を記録することができる. 本報告では,無意識な行動の中から新しい発見や気付きなどを得る際に役立つ,GPSデータを用いたライフログのブラウジングシステムとして,「LiBS(Lifelog Browsing System)」を開発した. 「LiBS」ではGPSデータから自分の過去の行動を地図上とタイムライン上へアニメーションとして可視化することで,自ら意識していなかった行動も振り返ることができる.また,可視化することで他者との経験の共有も可能であり,例えば旅行した日などの思い出を誰かに伝える時にも活用できる. 本システム「LiBS」の有効性を検証するため,被験者8名(4組)による主観評価実験を行った.本システムのユーザビリティの評価,思い出を誰かに伝える上でのシステムの有効性評価で高い評価が得られ,本システムの有効性が示された.