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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 8A  統一セッション: 都市情報
日時: 2015年7月10日(金) 10:30 - 12:10
部屋: 竜ヶ森1
座長: 重野 寛 (慶応義塾大学)

8A-1 (時間: 10:30 - 11:10)
題名(招待講演) 移動体ビッグデータの時空間解析
著者*河口 信夫 (名古屋大学未来社会創造機構/位置情報サービス研究機構(Lisra))
ページp. 1618
キーワード可視化, ビッグデータ, 時空間, 移動体, データバンク
アブストラクト持ち運び可能な情報端末にGPSや様々なセンサが搭載され,インターネットなどを通じてこれらの端末から,大量の位置情報付データが容易に収集できるようになりつつあるが,その利活用は十分とはいえない.実世界に存在するデータにはデータそのものに加えて,その発生位置と時刻が自動的に付与できる.しかしデータと同時に位置と時刻を分析する「時空間解析」という枠組みは十分に整備されているとは言いがたい.また,従来とは異なる規模のビッグデータを扱うための方法論も十分とはいえない.実世界から続々と得られる移動体ビッグデータをどのように分析・利用するか,という点においてはまだまだ大きな課題が存在しているといえる.本講演では,我々が取り組んできた移動体ビッグデータに関するデータ処理や時空間解析について述べる.解析対象とするデータとしては,バスデータ,タクシーデータ,プローブカーデータなどの自動車関係,イベント会場などでの歩行者データを挙げる.基本的な解析は,生データのアニメーションに基づく可視化によって実現する.WebGLなどのGPU活用技術によって,通常のノートPCであっても,数万〜数百万のデータがリアルタイムでWebブラウザ上に可視化可能である.可視化の際にも,様々な工夫が可能である.例えば,現時点ではプローブ数が足らず,十分なデータが得られていないようなプローブデータについては,時間方向に重ね合わせることにより,データ数が不十分であってもデータ全体の傾向をつかむことが可能になる.また,異なる日であっても,同じ時間帯で重ね合わせすれば,時間帯の傾向をつかむことができる.このようにデータの密度や量によってデータ処理に工夫を重ねることにより,単なる生データの可視化よりも高度な解析が実現できる.

8A-2 (時間: 11:10 - 11:30)
題名OpenStreetMapとイラストマップを用いたFocus+Contextマップ描画手法
著者*大橋 洋介, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻)
ページpp. 1619 - 1625
キーワードOpenStreetMap, Emma, イラストマップ, Focus, Webマップサービス
アブストラクト近年急速に普及しているWebマップサービスは,観光地やテーマパークの施設など特定の地域に関する詳しい情報が不足しがちである.また,観光地やテーマパークなどで利用されるイラストマップは,周辺の地域に関する詳しい情報が不足しがちである.本研究では,Focus+Glue+Contextマップを用いた従来のWebマップシステムEmmaのContext領域にOpenStreetMapを表示し,さらにFocus領域内の特定の領域にイラストマップを表示する手法を提案する.提案手法によってユーザは,特定の領域の情報をFocus領域に表示したイラストマップから,また周辺の領域の情報をContext領域に表示したOpenStreetMapから同一画面上で同時に得ることができる.本論文では提案手法に基づくプロトタイプシステムを,愛・地球博開催時の園内イラストマップを用いて実装する.

8A-3 (時間: 11:30 - 11:50)
題名交通機関のアクセスポイントを考慮したFocus生成機能を有するFocus+Glue+Contextマップの実現
著者*平児 祐樹, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻)
ページpp. 1626 - 1631
キーワードWebマップ, 位置情報システム, ビジュアライゼーション, コンテキストアウェアネス, 地理情報システム
アブストラクトFocus+Glue+ContextマップEMMAは,大縮尺の注目領域(Focus) と小縮尺の周辺領域(Context),および,縮尺差により生じる歪みを吸収して両者を結ぶ領域(Glue)からなる視認性と一覧性に優れたWeb マップである.Web マップの使用目的として,現在地から駅やバス停等の交通機関のアクセスポイントまでの経路の詳細を調べることがある.本稿では,現在地から周辺の駅までの経路を含むFocusを生成する機能を有するFocus+Glue+Contextマップシステムを提案する.FocusとContextの縮尺の違いにより,Focus 内に必要の無い領域を多く含むと,画面内に表示されるContextは大幅に減少してしまう.よって提案手法では,Focusを現在地から駅までの経路の確認に必要な領域のみを含むような形状とする.また,Focusを生成する際の基準となる点をFocusの中央に配置し,Focusの頂角を平滑化することによって,Glueにおける歪みを軽減し,視認性を向上させた.

8A-4 (時間: 11:50 - 12:10)
題名観光行動モデリングのためのプローブパーソンデータと位置情報付きSNSから得られたPOIの比較
著者*望月 崇廣 (静岡県立大学経営情報学部), 川原田 茜, 大久保 誠也, 斉藤 和巳, 武藤 伸明, 湯瀬 裕昭, 渡邉 貴之 (静岡県立大学大学院ICTイノベーション研究センター)
ページpp. 1632 - 1639
キーワードPOI, GPS, 観光情報
アブストラクト観光客の観光行動をモデル化し,ユーザの現在位置に即した情報の提供・推薦を行うためには,あらかじめ多数の観光客の行動履歴データを収集し分析する必要がある.従来から行われてきたデータ収集の方法に,プローブパーソン調査がある.一方で近年,GPS 測位機能を搭載した携帯電話やスマートフォンが一般化し,尚かつ位置情報付きデータを投稿可能なSNS が普及したことによって,それらのデータを基にした観光行動の分析に注目が集まっている.本論文では,プローブパーソン調査によって収集したロガーデータと写真共有SNS サイトから得られたデータを基に,観光客が興味を持って訪れた場所であるPOI(Point of Interest)と,POI 間の回遊を表すPOI ネットワークを抽出し,それらについて比較する.結果として,位置情報付きSNS から得られたPOI ネットワークは,プローブパーソン調査によって得られたPOI ネットワークと類似した傾向があることを示す.