題名 | 異種無線システムを考慮したカバレッジ最適化に関する一検討 |
著者 | *松山 拓紀 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 河野 圭太 (岡山大学 情報統括センター), 木下 和彦 (徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部), 渡辺 尚 (大阪大学 大学院情報科学研究科) |
ページ | pp. 1555 - 1559 |
キーワード | Self Organizing Network (SON), Capacity and Coverage Optimization (CCO), 異種無線システム |
アブストラクト | 移動端末による通信量の増加に対して,現在WiMAX,WiFi,Cellularといった様々な無線通信システムが発展し,異種システム間での基地局切替が促進されている.一方で,Cellularネットワークにおいて運用を自動化し,自己組織的な最適化による通信容量向上を図るSelf Organizing Network(SON)技術が注目を集めている.しかし,SONではWiFi等の異種無線システムの存在が考慮されていない.そのため,個々のユーザが高いスループットを得られる無線システムを選択すると,Cellularシステムのユーザのみを考慮したSONによる最適化は必ずしも最適なものとはならない.そこで,本稿ではCellularシステムだけでなくWiFiのユーザ接続状況も考慮したカバレッジ最適化について検討する. |
題名 | 密集ユーザを適応的に収容するLTE基地局のカバーエリア制御方式の提案 |
著者 | *森田 基樹, 松尾 大輔, 信清 貴宏, 松永 泰彦 (日本電気株式会社 クラウドシステム研究所) |
ページ | pp. 1560 - 1565 |
キーワード | モバイルネットワーク, 無線・移動体, LTE, スモールセル, ビームフォーミング |
アブストラクト | 急増するモバイルトラフィックを効率的に収容するためには,スモールセル基地局の高密度設置が有効である.しかし,基地局設置場所の確保やユーザが密集する場所の変動により,単純な高密度設置では,トラフィックが一部のスモールセルに集中してしまい,ユーザスループットが大きく低下してしまう.そこで,我々はセル共通参照信号にビームフォーミングを適用することで,スモールセル基地局のカバーエリアとなるセルのカバレッジを動的に調整する方式を提案する.具体的には,スループット予測に基づいてセル共通参照信号のビームを自セルに継続収容する密集ユーザに向けることで,当該ユーザの受信品質を改善しながら,それ以外のユーザを効果的に隣接セルにオフロードさせる.本制御により,従来困難であった負荷分散と受信品質の改善の両立が可能となるので,ユーザスループットの改善が期待できる.LTEシステムを想定し,ユーザが密集する環境で評価した結果,負荷分散と受信品質の改善の両立により,ユーザスループットの下位5%値が最大1.7倍に改善することを確認した. |
題名 | 公共LTE網の大ゾーン化に向けた適応フーリエ変換窓タイミング制御を用いる繰り返し等化の検討 |
著者 | *二木 康則 (日本電気/グリーンプラットフォーム研究所), 石井 直人 (日本電気/クラウドシステム研究所) |
ページ | pp. 1566 - 1571 |
キーワード | モバイルネットワーク, OFDM, 適応等化, LTE, 大ゾーン |
アブストラクト | 近年,LTEを公共用モバイルネットワークに適用する動きが高まっている.米国ではFirstNetを創設し,全米をカバーするPublic SafetyネットワークをLTEベースの技術により構築することが決定されている.公共モバイルは,平常時はユーザ密度が低く,経済性および災害耐性の観点から大ゾーンセルが適していると考えられる.一般に大ゾーンセルでは通信距離が長くなるため,マルチパスによる遅延広がりが大きくなると共に伝搬損失が増大する.LTEではOFDMベースの伝送方式を採用しており,マルチパス対策としてOFDMシンボルの先頭にCPを付加する.しかしながら,マルチパスの遅延広がりがCP長を超過するとISIおよびICIにより受信特性が大幅に劣化する.本稿では,カバレッジの制約となる上りリンクPUSCHに着目し,標準仕様を変更せずに基地局受信特性の改善により大ゾーンセルへの対応を検討する.提案方式の受信機は,マルチパス遅延広がりの課題に対してISIおよびICIを繰り返し除去する構成を採用する.さらに伝搬損失の課題に対して有効信号電力を回収すべくフーリエ変換窓長を拡大させる.計算機シミュレーションにより,提案方式の受信機はMMSE受信機と比べて音声通信エリアを約15〜30 %拡大でき,セル半径50 km程度の大ゾーンセルに対応できることを示す. |
題名 | 動的に負荷分散可能なモバイルコア網向けゲートウェイの性能評価 |
著者 | *秋好 一平, 水越 康博 (日本電気株式会社 クラウドシステム研究所) |
ページ | pp. 1572 - 1575 |
キーワード | モバイルネットワーク, ゲートウェイ, 負荷分散, SDN |
アブストラクト | 近年,NFV (Network Function Virtualization)の登場により,モバイルコア網の仮想化が注目されている.これにより,VM (Virtual Machine)を増減することで,モバイルコア網を構成するノードのリソースを動的にスケールさせることが可能となった.しかし,モバイル網の持つAlways Onコンセプトにより,スケールされたノードのリソースに合わせて,ユーザエクスペリエンスを損なうことなく,既存の処理負荷を分散させることができないという課題がある.特に,モバイルコア網を構成するエンティティのうち,S-GW (Serving Gateway)は地理的な局所性を持つアンカーとなっているため,さらに地理的なトラフィック変動も影響を強く受けるという課題がある.我々は,これまでS-GWにおいて動的にトラフィック処理負荷を分散可能なアーキテクチャを提案および機能検証を行い,動的に処理負荷が分散可能であることを示してきた.本稿では,SDN (Software Defined Networking) controllerの観点から,動的にトラフィック処理負荷を分散可能なS-GWの性能評価結果について報告する. |
題名 | Intelligent Water Dropアルゴリズムによるモバイルロケーションマネジメントの最適化 |
著者 | *王 旭, 沼尾 雅之 (電気通信大学大学院 情報理工学研究科情報・通信工学専攻) |
ページ | pp. 1576 - 1581 |
キーワード | ロケーションマネジメント, レポーティングセル, IWD, 最適配置, 位置登録 |
アブストラクト | 近年、モバイル端末数の増大に伴い、ロケーションマネジメントコストの最適化についての研究はますます重要になっている. 本稿では,等方性セルラーネットワークにおけるレポーティングセルの最適配置問題について扱う.移動端末はレポーティングセルに入った時に位置登録・更新を行うためレポーティングセルの配置は,端末を探す時のページングのコストに深く関係している.われわれは,このセルの配置方法を最適化問題として定式化して求める. 最適化アルゴリズムとしては,最近巡回セールスマン問題において有効性が確認されているIWD(Intelligent Water Drop) アルゴリズムを用いて,準最適解を求める.また,ページングコスト計算のための仮定として, 端末が存在する可能性のある全セルに対してページングを行う一斉ページング法と, レポーティングセルから順次ページングを行う順次ページング法についても比較する.この結果,様々な設定の下でのセル最適配置問題を解くために,IWD による最適化計算が有効であることが確認された。 |