題名 | 計算機システムエミュレーションにおける再現性の評価 |
著者 | *福意 大智 (早稲田大学), 水本 旭洋, 西本 真介 (スペースタイムエンジニアリング), 金田 茂, 高井 峰生 (Space-Time Engineering, LLC), 木村 啓二 (早稲田大学) |
ページ | pp. 1481 - 1486 |
キーワード | QEMU, ネットワークシミュレータ, 計算機システムエミュレータ, 再現性, repeatability |
アブストラクト | ネットワークに関する多くの研究において,実験のためにネットワークシミュレータが利用されている.しかし,ネットワークシミュレータを用いてシミュレーションを行うためには,アプリケーションなどの評価対象のモデルをシミュレータに実装する必要があり労力が掛かる.また,モデル化による誤差のために実際とは異なる結果が得られる可能性がある.モデル化の労力と誤差を軽減してシミュレーションを容易にするためには,シミュレータと計算機システムエミュレータを組み合わせ,評価対象を仮想マシン上で直接実行することが有効であると考えられる.しかし,仮想マシン上ではアプリケーションの実行時間が実行毎に変動する.そこで,仮想マシン上で実行時間が変動する要因,および,スナップショットを利用してアプリケーションの実行環境を再現した場合の実行時間の変動を調査した.調査の結果,仮想マシンのタイマとI/O制御が実行時間の変動に影響を与えていることを確認した.また,スナップショットを利用しない場合と利用する場合では,利用しない場合で400usから20ms,利用する場合で10 us から70 us,アプリケーションの実行時間に変動が生じることを確認した. |
題名 | ノード機能に着目した構造変化に対する影響度指標 |
著者 | *伏見 卓恭, 佐藤 哲司 (筑波大学), 斉藤 和巳 (静岡県立大学), 風間 一洋 (和歌山大学) |
ページ | pp. 1487 - 1495 |
キーワード | PageRank, 機能, 構造変化, 動的ネットワーク, 影響度 |
アブストラクト | 実社会で観測されるネットワークは,しばしばその構造が変化する. 本稿では,ネットワーク構造の変化が与える影響を定量化することにより, 発生した重要な変化を抽出することを試みる. ネットワーク構造の変化は,ノードやリンクの追加・削除,あるいは,それらの組み合わせによる リンク張り替えからなる. これらの変化がネットワークに与える影響は,ネットワークの末端部で発生した場合は小さく, 逆にハブノードなどの重要な役割を果たすノードを含む場合は大きいと考えられる. そこで,各ノードが果たす機能に着目し,上述した変化がネットワークに与える影響を定量化する指標を提案する. 各ノードの機能をPageRank収束曲線により定義し,構造変化がネットワークに与える影響を算出する. 評価実験では,構造同値性に基づく指標,HITSアルゴリズムに基づく指標と比較する. 評価に用いるネットワークに人工的な変化を発生させ,提案指標の有効性を評価する. さらにTwitterのコミュニケーションネットワークに提案指標を適用し, 意味のある変化を検出できるか検証する. |
題名 | 広域分散エージェントリポジトリに対する管理運用機構の開発 |
著者 | *加藤 義隆, 打矢 隆弘, 内匠 逸 (名古屋工業大学大学院工学研究科), 木下 哲男 (東北大学電気通信研究所) |
ページ | pp. 1496 - 1501 |
キーワード | エージェント, リポジトリ, 情報共有 |
アブストラクト | 近年分散処理技術の発展に伴い,ネットワーク上で動作するプログラムが増加し,環境の動的な変化への対応できる柔軟なソフトウェアの開発手法としてエージェント指向プログラミングが注目されている.エージェント指向プログラミングによるソフトウェア開発を支援するエージェントフレームワークが存在する.本研究では,DASHというリポジトリ型エージェントフレームワークについて取り扱う.DASHの特徴は,リポジトリと呼ばれるエージェントを蓄積する機構を持ち,蓄積されたエージェントから動的に構成を変更可能という点である.しかし,従来のDASHの問題点として,各開発者が開発したエージェントは開発者のリポジトリに蓄積されるだけであり,全リポジトリを網羅する一元的なエージェントの蓄積が行われていない.そこで,広域分散環境に存在する各リポジトリから情報を取得し一元化し,エージェントの検索と呼出をユーザまたはエージェントに提供することで,広域分散環境に存在するエージェントの活用を支援する機構を提案し,開発を行った.動作検証を行い,提案機構によって広域分散環境における単体エージェントの検索と呼出が可能であることを示した. |
題名 | アプリケーションの処理性能評価によるソフトウェアFTのフィージビリティに関する一考察 |
著者 | *車谷 駿介, 笠江 優美子, 鶴岡 行雄, 森下 慎次, 赤間 浩樹, 高橋 寛幸 (日本電信電話 NTTソフトウェアイノベーションセンタ) |
ページ | pp. 1502 - 1508 |
キーワード | 分散コンピューティング, 性能, 評価 |
アブストラクト | 近年24時間のサービスを提供するEC サービスなどのサーバシステムにも仮想マシンが利用されつつある.これらのシステムは,事前予測の難しいシステム障害によるサービスダウンに備えるため,故障発生後も Web アプリケーション (Web AP) の処理が継続できるように,予め Web AP の設計段階で備えておくべきである.しかし,故障の原因の多さからすべての障害に対応する設計を行うには幅広い知識や技術が必要であり,設計段階で障害に備えることは困難であるのが実情である.それらの障害へ対処する方法としてソフトウェア FT (Fault Tolerance) 技術へ注目している.ソフトウェア FT 技術は仮想マシンレベルで冗長化することで耐障害性を確保する概念である.ハードウェアの故障やそれに起因するエラーを外部システムに対して隠蔽するため,外部システムとのセッション情報を論理的に維持することができる.本稿では,KVM に対するソフトウェアFT 方式の一実装である Micro Checkpointing を対象に,MediaWiki を一例としてWeb AP の応答速度に対する影響について評価した.その結果 Micro Checkpointing 方式は,仮想マシン処理性能に対するオーバヘッドが許容でき,クライアントからの要求に対する応答のために別途ネットワーク出力を要しない Web AP に対して,可用性向上を実現する手法として適用を検討する余地がある. |