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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 5F  コンテンツ処理
日時: 2015年7月9日(木) 10:30 - 12:10
部屋: まきば
座長: 水野 慎士 (愛知工業大学)

5F-1 (時間: 10:30 - 10:50)
題名パルス射出による香り提示手法への吸気誘導の応用
著者*本間 秀太郎, 松浦 絵理, 松本 紗也加, 堀口 翔平 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部)
ページpp. 1084 - 1090
キーワードパルス射出, 嗅覚ディスプレイ, 香り, 吸気誘導
アブストラクト嗅覚器官は他の感覚と異なり大脳辺縁系に直接刺激が伝わる構造であるため,人間の記憶や情動と密接な関わりを持っている.そのため嗅覚器官は感覚的な情報を伝えやすく,視覚情報や聴覚情報とともに嗅覚情報を利用することで,臨場感を高める効果があるといわれている.これより,香りをエンターテインメントとして用いる機会がみられるようになった.例えば香り付き映像の研究などがあるが,映像の変化と同時に香りの変化を感じさせるためには呼吸のタイミングを指示する必要がある.そこで本研究では,映像の瞬間的な変化に対応できる香りの提示法の確立を目指し,吸気誘導を利用した香りの提示手法を調査する.その吸気誘導の手法として送風を利用した方法を採用する.また,映像の切り替え時に香りを付加するために微小時間の香りの提示を行う必要がある.本研究ではまず,吸気誘導と微小時間の香り提示を組み合わせた場合の最適な香りの提示法について調査する.次にその香りの提示手法を映像への香りの付加に利用することで,より臨場感を高める方法を検討する.シーンの転換時などにおける香りの提示手法が構築されることで,香りを用いた情報の提示が幅広く可能になることを期待する.

5F-2 (時間: 10:50 - 11:10)
題名快適な読書体験のためのパーソナライズされたテキストを提供するシステムの提案
著者*池田 輝政 (愛知工業大学), 炭竃 桂輔, 遠藤 正隆, 中嶋 裕一, 三浦 哲郎 (リオ), 菱田 隆彰 (愛知工業大学)
ページpp. 1091 - 1094
キーワードタブレット端末, 読書支援, テキストコンテンツ
アブストラクトタブレット端末の登場により,テキストコンテンツがディジタルデータとして提供,閲覧される機会が増加している.「テキストを読む媒体」としてのタブレット端末をより普及させていくためには,紙面では出来ない表現方法や使い勝手を創造,提供することが不可欠である.タブレット端末が持つ利点として,ユーザ側でコンテンツを変更出来ることが挙げられる.それを利用することで,紙媒体では実現が難しい「不特定多数のユーザの属性に応じてパーソナライズされたテキストコンテンツを提供する」ことが,少ないコストで提供出来るのではないかと考えた. そこで,ユーザ自身が行ったテキストの構成素に対する変換履歴を蓄積し,それらを不特定多数のユーザ間で共有することで,元となるテキストをユーザの属性に合ったものに書き換えて提供するシステムを提案する.そして,そのシステムの実証として,WEB サービスサーバ「Lazy Translator」を製作した.また,Lazy Translator を利用するためのクライアントアプリケーションとして,iOS アプリ「梟(ふくろう)」を製作し,動作を検証した.

5F-3 (時間: 11:10 - 11:30)
題名情報表示端末における締切時刻を持つP2Pコンテンツ配信方式の検討と実装による評価
著者*矢田 堅志郎, 西本 翔, 舟阪 淳一 (広島市立大学大学院 情報科学研究科), 井上 博之 (広島市立大学大学院 情報科学研究科/情報通信研究機構)
ページpp. 1095 - 1102
キーワードデジタルサイネージ, コンテキストアウェアネス, コンテンツ配信, P2P, BitTorrent
アブストラクト情報表示端末は,表示端末周辺の状況すなわちコンテキストによって表示コンテンツを動的に変更することができる.コンテンツの選択に用いるコンテキストは,可能な限りコンテンツ切り替えの直前の情報であることが望ましい.コンテキストの判断とコンテンツの選択は配信に要する時間の前に行う必要があり,そのコンテンツの表示開始時刻がコンテンツ配信における締切時刻となる.さらに,視聴者の目を惹く動画コンテンツが一般的になっており,動画の場合はコンテンツ全体が完成していなくとも再生が間に合うようにコンテンツを取得できればよく,締切時刻について再生タイミングを考慮して決める必要がある.また,同一システム内の情報表示端末同士で過去に同じコンテンツが配信されている可能性があることから,端末間でコンテンツを直接配信でき,スケーラビリティに優れたP2P配信方式が有効であると考える.本研究では,BitTorrentをベースとした締切時刻を持つP2Pコンテンツ配信方式として4方式の検討を行い,検証システムに実装し評価した.従来の希少性の高いピースを優先して取得を行うRarest First方式と比較して,ピースごとの締切時刻と希少性を考慮して取得を行う方式を用いることで,ファイルの取得までの時間を大幅に延ばすことなく,動画コンテンツが再生可能になるまでの時間を短縮できることが確認できた.

5F-4 (時間: 11:30 - 11:50)
題名音高情報のオクターブ圧縮によるピッチ推定アルゴリズムの提案
著者*竹渕 瑛一 (神奈川工科大学大学院博士後期課程), 井上 寛生 (神奈川工科大学大学院博士前期課程), 徳弘 一路, 速水 治夫 (神奈川工科大学)
ページpp. 1103 - 1109
キーワード高速フーリエ変換, Chroma Vector法, ピッチ検出アルゴリズム
アブストラクト楽器の音響信号から,演奏された音高(音の高さ)を推定するアルゴリズムのことを,PDA(Pitch Detection Algorithm)と呼ぶ.PDA では,録音された音響信号より音高を推定する研究が中心とされており,実時間性に優れたアルゴリズムが少ない現状がある.本研究では,楽器により演奏された音高を実時間で検出するためのアルゴリズムについて研究を行った.提案手法は,Chroma-Vector 法が音階の畳み込みを行っていることに着目し,オクターブごとの畳み込みを行うことによって,最低音となるピッチの検出について高速化を行った.これにより,最低音のピッチを検出するO(1) アルゴリズムを実現できた.評価実験より,O(1) アルゴリズムとなっているか複数のFFT サンプル数で計測したところ,FFT サンプル数に関わらず,平均約319 キロ・サイクルで安定して動作することがわかった.また,提案手法の検出精度についても検証を行った結果,提案手法の精度は平均67.3%とかなり低い検出の精度となったが,検出の候補を3 つまで含めると,平均99.1%と高い精度を示した.提案手法は,振幅の大きい2 倍音や3 倍音を誤検出することが多かったため,K-means 法やSupport Vector Machine などを用いて,振幅の大きい基本周波数を含めた倍音をクラスタリングして,精度を改善する必要があると考えられる.