題名 | State Magic: Androidスマートフォンの状態推定システム |
著者 | *長谷川 達人 (東京医療保健大学医療保健学部), 平橋 智史 (金沢大学大学院自然科学研究科), 越野 亮 (石川工業高等専門学校電子情報工学科), 木村 春彦 (金沢大学大学院自然科学研究科) |
ページ | pp. 1053 - 1060 |
キーワード | スマートフォン, コンテキストアウェアネス, 状態推定 |
アブストラクト | 本研究では,スマートフォン標準搭載のセンサを複合的に用いることで,スマートフォンがどのような状況にあるかを推定するシステムState Magicを提案する.スマートフォンの状況が推定できることで,ポケットの中での誤動作防止や,状態に応じた通知方法の自動変更など,様々なコンシューマサポートが実現できる.本研究ではスマートフォンが取りうるであろう6状態をポケットの中,鞄の中,手の中,机の上,布団の上,スマートフォンスタンドの上と定義した.被験者6名に対して,歩行や走行,直立,着座などの様々な動作からデータを計測する実験を行い,自己データを学習させないLeave-one-subject-out Cross-Validation(LOSO-CV)で推定精度を評価した結果,87.0%の精度で6状態を識別できることを確認した.また,分析を経て,センサを複合的に用いることで推定精度が向上する点や,利用者が動いているという状況においては,利用者の状態に依存せず頑健に識別が実施できている点も明らかにすることができた. |
題名 | アクティブ音響センシングを用いたジェスチャ認識手法 |
著者 | *渡邉 拓貴 (神戸大学大学院工学研究科/日本学術振興会), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
ページ | pp. 1061 - 1068 |
キーワード | ウェアラブルコンピューティング, ジェスチャ認識, アクティブ音響センシング, 行動認識 |
アブストラクト | 本研究では,人体に超音波を伝播させ,人体の姿勢や動きによって伝播の特性が変化することを利用したジェスチャ認識手法を提案する. ウェアラブルコンピューティング環境においてジェスチャ認識技術は重要な技術の一つである. 一般的にジェスチャ認識には,加速度センサやカメラが用いられる.しかし,前者は力の入れ具合や皮膚表面への圧力など,人体内部/表面の変化を取得することはできない. 後者はカメラが取得可能な限られた範囲でのみのジェスチャ認識であり,ウェアラブルコンピューティング環境においては望ましくない. 本研究では,対象物に音響信号を流しその伝播応答から対象物の状態を識別する,アクティブ音響センシングを人体に適用した手法を提案する.具体的には,ユーザは身体にコンタクトスピーカとコンタクトマイクを装着する.スピーカから超音波を発信し,身体を伝播した超音波をマイクで取得する.身体の姿勢や動作,力の入れ具合によって超音波の伝播特性が変化し,ユーザの姿勢,ジェスチャ,力の入れ具合等の複数の情報が単一のセンサで取得できる. 本手法の有効性を検証する評価実験を行った結果,2人の被験者に対して14種類のジェスチャを,腕へのデバイス装着の場合平均80.14%で,脚へのデバイス装着の場合平均54.18%で識別できた. |
題名 | 街中の道路異常検出のための歩行者の回避行動認識 |
著者 | *石川 剛, 佐伯 翼 (東京農工大学大学院工学府情報工学専攻), 藤波 香織 (東京農工大学大学院工学研究院先端情報科学部門) |
ページ | pp. 1069 - 1077 |
キーワード | ユビキタス情報処理, 行動認識, 位置情報, プローブセンシング |
アブストラクト | 路面破損を始めとした街中に点在する道路異常の自動検出のための,歩行者の回避行動認識手法の提案を行う. 歩行者の回避行動の認識結果を収集することにより道路上の異常が検出できると仮定した. 回避行動認識のため,道路異常の回避時に生じる進行方向の方位角変化に着目した 機械学習ベースの認識枠組みを考案した. 直進歩行と 6 種の回避行動を定義し,スマートフォンを用いて取得した方位情報を用いて Random Forestsにより分類を行った結果,F値0.87の分類性能を得た. また,分類モデル生成時における使用データの個人差,端末格納場所を考慮した分析を行い,分類性能向上に関する知見を得た.さらに,特徴量の評価により回避行動認識に有効と考えられる特徴量の傾向を得た. |
題名 | 道路・踏切横断場面におけるスマートフォン使用抑制システムの開発 |
著者 | *佐伯 翼 (東京農工大学 大学院 工学府 情報工学専攻), 藤波 香織 (東京農工大学 大学院 工学研究院 先端情報科学部門) |
ページ | pp. 1078 - 1083 |
キーワード | スマートフォン, 地図情報, 慣性センサ, 自律航法, 位置情報 |
アブストラクト | スマートフォンの普及に伴い,ユーザが強く依存する状況が近年増加した.特に歩行時のスマートフォン利用は周囲への注意力を著しく低下させ,中には死亡事故に至ったケースも存在する.この対策として歩行状態での使用抑制が考えられるが,事故発生の可能性が高い危険時にのみ抑制を実施し,端末使用への抵抗感を最小限に抑えることが望ましい.使用抑制にあたり,危険場面を事前に予測する枠組みが必要となる.本稿では交通事故が多発する道路・踏切横断場面を危険場面と定義し,これを予測するアプローチをとる.具体的には,慣性センサ及びGPSを入力情報とし,慣性センサを利用した高精度な現在状態推定を通じて5秒後の移動点である次点を予測する.現在位置・方位及び次点の情報を利用し,横断可能性を判定することで端末の使用抑制を実施する枠組みを開発した.同枠組みを用いて実際の歩行収集データを用いた評価実験を行い,危険場面での判定一致率として0.75の精度を得た. |