題名 | WiFi APを用いたセンサノード測位に向けたRSS観測手法 |
著者 | *泉 幸作, 石田 繁巳 (九州大学), 田頭 茂明 (関西大学), 福田 晃 (九州大学) |
ページ | pp. 843 - 848 |
キーワード | 測位システム, センサネットワーク, 異種無線間通信, ZigBee, WiFi |
アブストラクト | 筆者らは,測位基準ノードを新たに設置することなくセンサノードを測位する手法を確立するため,WiFiアクセスポイント(AP)を測位基準ノードとして利用するセンサノード測位システムの実現を目指している.これに向けた第1歩として,本稿では,センサノード上でWiFi APのRSSを観測する手法を示す.センサノードでWiFi信号を直接受信することはできないため,ある制約条件を満たすビーコン周期を各APに設定し,ZiFiで報告されたシンプルな信号処理手法を応用する.センサノードMICAzを用いてWiFi APのRSSをリアルタイムに観測するシステムを実装し,実証評価を通じてWiFi APを間違えることなく識別しながらRSSを測定できることを確認した. |
題名 | バンドパスフィルタを用いた音波による屋内測位方式の検討 |
著者 | *岩崎 改, 五百蔵 重典 (神奈川工科大学 情報工学専攻) |
ページ | pp. 849 - 854 |
キーワード | 測位, 音波 |
アブストラクト | 屋内での測位は,屋外での測位より要求される精度が高い.しかし,現状よく用いられる電波を用いた測位方法では,3mから10m程度の測位精度である.そこで,我々は,より高精度化が期待できる音波,特に一般の人には聞こえにくい20kHz付近の音波を用いた屋内測位手法を提案する.本提案システムでは,4個以上のスピーカから異なる周波数の音を発音し,その音波をスマートフォンに内蔵されたマイクで録音する.録音した音をバンドパスフィルタにより,各周波数の音に分解し,受信時間の差を求めて測位する.正確には,スピーカの遠近問題により音を分離することができないことが先行研究で分かっているため,時分割で発音している.本システムの利用者は,特別な機器を用意する必要が無く,スマートフォンを所持していれば,測位システムを利用できる.また,スマートフォンで測距に必要な計算をするため,サーバとの通信が必要なく,電波の使用を制限される場所でも測距できる.評価実験では測距誤差1.84cm,標準偏差0.36cmでの測距に成功しており,測位実験では平均誤差10.60cmで側位できることを確認している. |
題名 | スマートフォンに適したRSSIフィンガープリンティングとそれを利用する緊急時避難誘導システムの実機性能評価 |
著者 | *山田 拓哉 (大阪大学大学院情報科学研究科), 柴田 直樹 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 孫 為華 (滋賀大学経済学部), 冨永 拓也 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 下條 真司 (大阪大学大学院情報科学研究科) |
ページ | pp. 855 - 865 |
キーワード | 避難誘導, RSSIフィンガープリンティング, 屋内位置推定, スマートフォン, Wi-Fi |
アブストラクト | 地下街や大規模建造物の被災時には, 崩落や浸水などの被害を避けるために外部へと迅速に避難する必要がある. 避難の際唯一の目印となる避難誘導灯は意味がわかりにくく, 目印として十分でない.また, 停電が起きた際に光量を確保できないという問題もある. 我々は被災時に停電が起きた場合を考慮し, わかりやすい避難誘導灯と光量の確保を同時に実現する避難誘導システムを提案してきた. 提案システムでは,スマートフォンに搭載されている発光機器を用い避難者の周囲を照らす. 避難口に遠いスマートフォンから順に強く点滅させ, 避難方向に向かって光が床の上を流れるかのように見せ避難者を誘導する. 提案システムはアンカーノードとスマートフォンで構成される. スマートフォンはアンカーノードとの通信を通して自らの位置を推定し, 避難口までの距離と点滅のタイミングを把握する. 位置推定手法としてRSSIフィンガープリンティングを用いる. しかし, スマートフォンには受信信号のRSSIを計測できないという特徴があり, 既存のRSSIフィンガープリンティング手法をそのまま適用することはできない. 本稿では,提案システムの実装に必要なスマートフォンに適したRSSIフィンガープリンティングを提案し, それを利用して提案システムを実機に実装した. しかし, 実装した提案システムを複数人が同時使用したところ, 位置推定精度が低下し想定していた推定誤差を上回った. 我々はスマートフォンの送信電力が周辺環境に合わせて自動的に変動することが位置推定精度低下の原因であると考え, 送信電力が変動する場合であっても位置推定可能な手法について考察した. |
題名 | プライバシーを考慮した匿名位置情報データセットのデータ効用の評価 |
著者 | *丹生 智也, 南 和宏 (統計数理研究所), 真野 健 (NTT), 丸山 宏 (統計数理研究所) |
ページ | pp. 866 - 873 |
キーワード | 位置情報プライバシー, 匿名化, 制約充足問題 |
アブストラクト | 軌跡情報を含む位置情報をプライバシーを考慮しつつ公開する方法としては,匿名化が知られている. 特に複数の人が同じ場所で出会う場所であるミックスゾーンで,各ユーザーの仮名をランダムに交換する動的仮名方式が,安全かつデータ効用が大きい匿名化手法として有望であると考えられる. しかし公開されるデータは,各ユーザーの軌跡情報がミックスゾーン間で分断されるため,交換回数が多すぎるとデータ効用が小さくなる. 本論文では,実際の軌跡情報を用いた評価実験を通して,このプライバシーとデータ効用のトレードオフに関して評価を行った. その結果,我々が提案している匿名化方式を用いた匿名位置情報データセットが,ユーザーのプライバシーを十分に確保しつつ,ある程度の長さの軌跡を公開できる可能性を示すことができた. |