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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 4E  ウェアラブル(2)
日時: 2015年7月9日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 北上
座長: 梅澤 猛 (千葉大学)

4E-1 (時間: 8:30 - 8:50)
題名ウェアラブルセンサを用いた心肺蘇生法その場教示システムの開発
著者*山本 晃大, 大村 廉 (豊橋技術科学大学)
ページpp. 809 - 817
キーワードユビキタスシステム, ウェアラブルセンサー, 行動認識, 救急医療, 心肺蘇生
アブストラクト救急医療の現場において,患者が心肺停止状態に陥った場合,その場にいる人(バイスタンダー) が心肺蘇生法を実行することにより,患者の蘇生率を飛躍的に高めることができる.しかし,実際に救急現場に直面した際に正しい心肺蘇生法を実行できる人はそう多くはない.そのため,本研究においては,ウェアラブル加速度センサを利用することにより心肺蘇生法実行者の動作を認識し,その場で適切な心肺蘇生法を教示する方法を提案する.日本赤十字社により示されている胸骨圧迫中の重要となる項目を参考にして予備実験を行った.それにより,適切な胸骨圧迫の強さ,押込みのテンポ,胸骨圧迫中の姿勢を認識するための特徴を抽出した.その特徴を利用し,システムの実装を行った.4人の被験者に対し,評価実験を行った結果,押し込みの強さの平均適合率が95.0%,平均再現率は92.4%を達成し,姿勢認識に関しては平均適合率が83.2%,平均再現率は90.9%を達成することができた.また,テンポの認識が可能か確かめるために100回の押込み回数のデータに対して,システムにより押込み回数の判定を行った結果±2回の範囲で押込み回数を取得することができた.

4E-2 (時間: 8:50 - 9:10)
題名スケート運動中の特定の動作に対する自動コーチングの実現
著者*尾崎 惇史, 誉田 雅彰 (早稲田大学大学院スポーツ科学研究科)
ページpp. 818 - 820
キーワードセンサデータ処理, 教育システム, エキスパートシステム, 機械学習, インラインスケート
アブストラクト本研究では,スポーツの動作を自動的にコーチングするシステムの実現を目指す.スポーツにはさまざまな局面があり,その都度求められる動作が異なってくる.そこで.運動データから運動の状態を推定することで局面を切り出し,適切なコーチングを行うことができると考えた.具体的には,インラインスケート滑走中のコーナー滑走局面の状態を,センサで取得した運動データから推定し,抽出した.更に,抽出した運動データからコーチングを行うための運動の特徴値の抽出を行った.

4E-3 (時間: 9:10 - 9:30)
題名SwiftTouch: 手首装着型センサを用いた競技かるたにおける札取得者判定システム
著者*山田 浩史 (神戸大学大学院工学研究科), 村尾 和哉 (立命館大学情報理工学部), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
ページpp. 821 - 830
キーワード判定, 加速度センサ, 角速度センサ, 競技かるた, 時刻推定
アブストラクト「畳の上の格闘技」とも形容される競技かるたは,百人一首を用いた対人競技であり,近年,高校生を中心として競技人口が増加している.競技かるたは基本的に審判がつかず,判定は競技者間で行う.しかし,札取得の動作は高速で,目視での判定が困難な場合があり,口論になることも少なくない.一般的なスポーツの判定にはビデオ映像が用いられることが多いが,競技かるたではひとつの大広間の会場で複数の試合が同時に行われるため,物理的にも金銭的にも困難である.そこで本研究では,競技かるた競技者の手首に加速度センサと角速度センサを装着して,札取得の動作から札取得者を判定するシステムSwiftTouchを提案する.提案システムは競技中に得られる未知のセンサデータと,事前に競技者から採取した札取得動作のセンサデータおよび札を取得した瞬間の時刻からなる正解データを比較することで札取得時刻を推定し,札取得者を判定する.また,判定結果の確信度も同時に算出する.評価実験より,提案手法による札取得時刻の誤差は平均7.5ミリ秒であった.提案システムを競技かるたの試合に導入し,実践環境における評価実験を行った結果,システムによる判定の正解率は82.4%,確信度の高い時のみの正解率は93.3%となった.また,札取得の時間差が僅差の場合は,正解率は60%となった.

4E-4 (時間: 9:30 - 9:50)
題名布センサによる肘関節角度推定における日常生活姿勢を用いたズレ補正手法の検討
著者*榎堀 優, 林 大雅, 間瀬 健二 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
ページpp. 831 - 836
キーワード肘関節角度推定, 布センサ, ウェアラブル, 日常継続計測, 装着位置ズレ補正
アブストラクトウェアラブルデバイスによる身体データの継続的な計測は,見守り・看護・医療などの多様な分野で活用され始めている.その一つに衣類型センサを用いた肘関節角度の継続計測がある.しかし,衣類型センサを用いた計測では,日常的に発生する衣類のズレに起因する誤差が発生する.そのため,日常生活中における継続的な再キャリブレーション,又は,補正が必要となる.そこで我々は,日常生活中で肘関節角度がおよそ一定となる動作に着目し,その動作時のデータを用いてズレによる推定精度低下を補正する手法を検討した.本研究では,飲水動作ならびにドアノブを用いたドアの開閉動作に着目した.モーションキャプチャを用いた解析の結果,各動作における肘関節角は,被験者毎の標準偏差がそれぞれおよそ1〜3.5度,およそ6度の範囲に収まりと比較的安定していることが判明した.また,両動作時のセンサ出力値と肘関節角度の関係を持って,補正効果を検証したところ,最大で103.6度の誤差削減に成功し,最大で36.5度の誤差拡大を招いた.平均補正量は13.5±28.0度であった.

4E-5 (時間: 9:50 - 10:10)
題名歩行動作のミクロパラメータを用いた多変量解析による歩幅推定
著者*根岸 拓郎 (法政大学大学院 情報科学研究科 情報科学専攻), 藤田 悟 (法政大学 情報科学部 ディジタルメディア学科)
ページpp. 837 - 842
キーワードスマートフォン, Android, デッドレコニング, 歩幅推定, 加速度センサ
アブストラクト近年,携帯端末内蔵センサを用いて累積的に屋内歩行者の位置推定を行うデッドレコニングの研究が盛んに進められている.これは,スマートフォンが一般的に普及したことで,様々なセンサを搭載した携帯端末を誰でも利用出来るようになったのが大きな原因である.例えば,屋外であればGPSを利用し現在地から目的地への経路を示し, ナビゲーションを行う等のアプリケーションが利用されている.一方,屋内では建物の壁などによる電波の遮断等の問題からGPSによる位置推定が困難であるため,デッドレコニングを用いた屋内位置推定のニーズが高まっている.従来研究では,携帯端末の所持状態(手振りや手持ち等)に応じた進行方向推定や,歩行判定手法の高精度化については成果が上がってきている.しかし,歩幅の推定は未だに決め手となる手法が見つかっていない. 本研究では,歩行時の加速度センサやジャイロセンサの値を詳細に分析し,歩幅と相関の高いパラメータを探索する.すなわち,詳細な歩行動作と加速度の関係を分析し,より特徴的なパラメータをセンサ値から取得する.それらのパラメータを重回帰分析する事で,精度の高い歩幅の推定を目指す.特に,身長等の事前情報を必要とせずに,携帯端末から自動で得られる情報だけで歩幅を推定し,GPSや地図情報,無線LAN基地局等の外部インフラに依存せず,携帯端末だけで歩幅を正確に推定することを目指す.