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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 2H  コンシューマシステムとモニタリング
日時: 2015年7月8日(水) 15:50 - 17:30
部屋: リゾートセンター2
座長: 神山 剛 (株式会社NTTドコモ)

2H-1 (時間: 15:50 - 16:10)
題名aFloodEye: 浸水予測ネットワーク実現のための実観測データを用いた浸水の自動モニタリングシステム
著者*廣井 慧 (名古屋大学未来社会創造機構), 井上 朋哉 (北陸先端科学技術大学院大学 高信頼ネットワークイノベーションセンター), 仲倉 利浩 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科), 河口 信夫 (名古屋大学未来社会創造機構)
ページpp. 456 - 465
キーワードセンサネットワーク, 災害情報, 浸水推定
アブストラクト都市域で頻発する内水氾濫による水害の減災には,市街地の多地点での水位観測と,観測値を用いた浸水の発生予測が必須となる.しかし大河川に用いられる既存の観測機器は,1)導入コストが高く, 2)中小河川や水路のような環境変化の起きやすい場所で観測を行うことが難しい.そこで,市街地の浸水予測を実現するために,フレキシブルな設置,観測を目的とした自動モニタリングシステムaFloodEyeを提案する.aFloodEyeは,観測点への設置後,特別な設定を行うことなく,自動的に浸水発生をモニタリングし,実観測データを用いた解析により,その地点での浸水発生を自動的な予測に活用する.はじめに,コモディティな機器を組み合わせ安価で小型な観測機器を構成する.次に近赤外線画像を用いて,クラスタリングを行い,水面や堤防面を推定することで,中小河川や水路の環境においても事前の調査や調整の必要がない浸水モニタリングを実現する.中小河川や水路付近の8地点のaFloodEyeの撮影画像を用いて本提案の処理を行ったところ,既存手法より精度よく水面と堤防面を推定した.その結果,市街地の高密度な観測と,浸水予測が可能な浸水予測ネットワークの形成に向けて,既存の観測機器で困難であった,市街地内の植物が植生する環境や夜間帯においても観測を行える可能性を示した.ただし,市街地の環境では外部からの光が外乱となった際,推定精度が低下するため,観測を実現するためには,外れ値の検出や補正のしくみを検討する必要がある.

2H-2 (時間: 16:10 - 16:30)
題名CSIRT活動におけるインシデント対応支援システムの提案(その1)現場対応サブシステムと状況把握サブシステム
著者*山田 淳司, 原田 健司, 佐々木 良一 (東京電機大学)
ページpp. 466 - 473
キーワードCSIRT, 情報共有, Android, 活動支援
アブストラクトサイバー攻撃の増加や悪質化に伴い,CSIRT(Computer Security Incident Response Team)活動の重要性が増大している.本研究は,CSIRT活動のためのインシデント発生時の対応を支援するシステムに関するものであり,本稿では,CSIRTとセキュリティインシデントの初期対応に当たる者を支援して,インシデントレスポンスを円滑に進めるシステムの提案と開発を扱っている.システムの提案にあたって,先行研究である天野らのガイドライン総合支援システムを改良,拡張することで検討を行った.システムは,初期対応に当たる者に対し,インシデント対応のためのガイドラインをAndroid端末で表示する.また,端末の入力インターフェースにより被害状況を入力,送信し,現場の状況把握をCSIRTが行うものである.オンライン化の改良を行った本研究のシステムでは,CSRITがインシデント把握に必要な追加情報を,初期対応に当たる者へ要求し通信する機能を持つ.また,CSIRTが,初期対応に当たる者から収集した被害状況のデータを,組織の責任者や各部門へ送信する機能を持つ.本研究では,さらに現場対応,状況把握システムのプロトタイプの開発と評価を行い,システムの基本的有用性を確認した.

2H-3 (時間: 16:30 - 16:50)
題名CSIRT活動におけるインシデント対応支援システムの提案(その2) インシデント時情報共有サブシステム
著者*原田 健司, 山田 淳司, 佐々木 良一 (東京電機大学)
ページpp. 474 - 481
キーワードCSIRT, 情報共有
アブストラクト近年,様々な組織を対象としたサイバー攻撃が増加している.これらのサイバー攻撃への対策の一つとして,CSIRT(Computer Security Incident Response Team)と呼ばれるセキュリティ担当するチームを設置する組織が増えた.CSIRTの役目は組織に届けられたインシデントを吟味し,対応すべきインシデントを判断した後に組織内に知らせ,インシデントへの対処を行うことである.インシデントや各組織の規模によりインシデントの対応は外部に委託することもあるが,どの規模の組織においても,初めに組織内の情報共有を行わなければならない.当研究室の天野は発生したインシデントに対してインシデントの初期対応を行うファーストレスポンダーの情報収集ツールとして,「デジタルフォレンジック研究会」の作成した「証拠保全ガイドライン」の内容をAndroid上で表示し,証拠情報を収集するアプリケーションを開発した.そこで,当アプリケーションに情報共有への特性を与えることで,収集した情報を組織内で活用し,より実用化させることができると考えた.本稿では情報共有システムを構築し,当アプリケーションに関わるシステムに適用させた場合の構成の検討およびプロトタイプの開発を行った.被験者を組織におけるCSIRTの者の役を演じさせ,送信する情報および,このシステム本体の評価を行ってもらったところ,組織での有用性は存在すると言える結果となった.

2H-4 (時間: 16:50 - 17:10)
題名大脳視覚情報処理に基づく衛星画像内の遮蔽を含む物体を事前知識なしに認識する手法
著者*松田 雄馬, 小川 雅嗣 (日本電気株式会社/中央研究所), 矢野 雅文 (東北大学/電気通信研究所)
ページpp. 482 - 485
キーワード衛星画像, 物体認識, 遮蔽, 事前知識なし, 大脳視覚野
アブストラクト本稿では,衛星画像からの物体認識手法を提案すると共に, 遮蔽を含む物体の認識手法についての考察を実施する。 衛星画像は,背景などの様々な条件が自在に変化する環境下であり, 高精度の認識を実現する為には, そうした条件などの知識を事前に十分に考慮する必要がある。 しかしながら,物体認識を実施する際に, 必ずしも十分な事前知識が得られるとは限らない。 例えば, 背景などの条件が自在に変化する環境下においては, 物体の一部が遮蔽され,ノイズが充填し, そのうえで幾何的な変形が生じるという状況が考えられる。 そうした状況下においても高精度な物体認識を実現するため, 著者らはこれまで, 生物の大脳視覚野の持つ物体認識の仕組みを参考に, 環境に対する事前知識が不十分な状況下でも利用できる 物体認識技術``One Shot Detector (OSD)"を研究開発してきた。 さらに,本技術を衛星画像に適用することで, 衛星画像内に含まれる物体を精度よく認識することを実証してきた。 しかしながら,これまでの実証は, 複雑な背景を含む画像を扱っていた一方, 物体の形状全体が含まれる場合に限られており, 一部に遮蔽が生じている場合において, 検討や考察が不十分であった。 本稿では,OSDを用いて遮蔽を含む物体の認識を実施する手法について, 衛星画像に含まれる物体情報を分析することで考察を実施する。