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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム

セッション 2E  ウェアラブル(1)
日時: 2015年7月8日(水) 15:50 - 17:30
部屋: 北上
座長: 榎堀 優 (名古屋大学)

2E-1 (時間: 15:50 - 16:10)
題名鼻部皮膚温度計測によるストレス評価システム
著者*安福 寛貴 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
ページpp. 374 - 380
キーワードライフログ, 精神的ストレス認識, 温度センサ, 鼻部皮膚温度, コンテクストアウェアネス
アブストラクト日常生活におけるストレスは自身では気づきにくいにも関わらず健康被害をもたらす.ストレスの要因が分かればその要因に対する対策を講じることができるので,ストレスを生体情報から自動的に検出することは健康管理における有力なツールとなる. ストレス評価は一般に脈波,脳活動,呼吸などの生理指標を用いて行われるが,計測装置が高額で,操作に専門知識を要するため,日常生活で使用することは難しい. そこで本研究では,センサ付きメガネを用いた日常的に利用できるストレス記録システムを提案する.提案システムでは,鼻部皮膚温度がストレスによって低下する性質に着目し,メガネに装着した温度センサの値変化からストレスを検出する. 本研究では,装着性とストレス検出精度を考慮した適切な温度測定箇所を調査し,提案システムの認識精度を調べるために予備実験を行った結果,ストレス以外の要因による鼻部皮膚温度の変化を区別でき,ストレス区間を検出できることが分かった.

2E-2 (時間: 16:10 - 16:30)
題名装着型センサを用いた生体温熱モデルにおける日射熱のモデル化とパラメータ調整法の提案
著者*濱谷 尚志, 内山 彰, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
ページpp. 381 - 391
キーワード熱中症, 深部体温, 生体センシング, 生体温熱モデル, 装着型センサ
アブストラクト近年,緊急搬送される熱中症患者が急増するなど,熱中症の予防や早期検知が社会的に大きな課題になっている.深部体温を常時計測することが熱中症の予防において有効であるが,直腸や鼓膜など活動中の測定が困難な部位での体温測定が必要である.そこで,本研究では腕時計型センサなどでリアルタイム計測可能な心拍数と皮膚温度を用いて,身体の熱移動をモデル化したGaggeの生体温熱モデルに基づき,深部体温を高精度に推定する.生体温熱モデルには,発汗量や血流量など個人差や体調による差異が大きいパラメータが複数存在する.提案手法ではユーザに適したパラメータを特定するため,これらのパラメータ値を網羅的に生成し,リアルタイムに計測している皮膚温度に最も近いパラメータ値の組を特定することで,個人差を考慮した深部体温推定を実現する.本研究では日射によって受ける熱量を生体温熱モデルで考慮するため,幾何的なモデル化を行った.実際に暑熱環境下で7人の歩行データを合計94時間分収集して性能評価を行い,モデルの標準パラメータを用いる場合と比較して深部体温の推定精度を最大12%向上できることを確認した.また,日射を考慮することで推定精度向上が見られたが,皮膚温度における実測とシミュレーションの上昇傾向の違いによりその効果は限定的であることが分かった.

2E-3 (時間: 16:30 - 16:50)
題名腕時計型デバイスを用いた指さし先共有システムの設計と実装
著者*杉谷 拓哉 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
ページpp. 392 - 399
キーワードウェアラブルコンピューティング, 腕時計型デバイス, 指さし先共有, 加速度センサ, 地磁気センサ
アブストラクト指さし動作は「あれ」や「それ」などの指示語と組み合わせることによって 即座に対象の方向とおおよその位置を相手に伝えることができる情報提示手段の一つである. しかし,指さし情報提示者と指さし情報享受者との視線にはずれがあり, 提示者の指さし先がどこなのか享受者が即座に理解できない場合があるという問題点があった. この問題を解決するために,腕時計型デバイスを用いることで指さし先を共有するシステムを提案する. 提示者と享受者は共に腕時計型デバイスを手首に装着し,目と腕時計型デバイスと指さし先の対象が一直線になるように指さしを行う. その際の腕時計型デバイスの加速度センサと地磁気センサから,両者の指さし先をそれぞれ取得し, 振動による情報提示を用いて両者の指さし先のずれを提示することで,指さし先を共有する. 実験では,提示者と享受者が同じ場所に立っているときの指さし先を共有するアプリケーションを実装し,3種類の情報提示手法の指さし先共有速度を評価した. その結果,指さし先のずれを垂直方向と水平方向の二段階にわけて提示する手法が最も早く指さし先を共有できることがわかった.

2E-4 (時間: 16:50 - 17:10)
題名振動のアクティブセンシングによるウェアラブル把持物体認識システム
著者*河田 大史 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
ページpp. 400 - 406
キーワード振動, アクティブセンシング, 把持, 腕時計型デバイス, 指輪型デバイス
アブストラクト把持状態の認識はさまざまな面において,HCI への発展に寄与するものと考えられおり,これまでに数多くの研究が行われている.それらの多くの研究は,把持する物体にセンサを装着するものであるが, あらゆる物体にセンサを装着するのは現実的でない.そこで本研究では,近年普及しつつある腕時計型デバイスと指輪型デバイスを装着した環境を想定し,振動によるアクティブセンシングを用いて把持物体を認識するウェアラブルなシステムを提案する.提案手法では,ユーザは腕時計型デバイスおよび指輪型デバイスを装着する.腕時計型デバイスが振動するとその振動は指輪型デバイスで検知される.このとき,把持している物体によって振動特性が変化するため,その振動特性の違いから把持している物体を認識する.認識精度の評価実験では,スマートフォン,財布,コップ,ペンを把持した状態と非把持状態の合計5状態を対象に正解率を調査し,平均86% の正解率であった.