題名 | 携帯電話の取出し動作に基づく画面ロック解除手法 |
著者 | *出田 怜 (神戸大学大学院工学研究科), 村尾 和哉 (立命館大学情報理工学部), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科/科学技術振興機構さきがけ), 磯 俊樹, 稲村 浩 (NTTドコモ先進技術研究所), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科) |
ページ | pp. 124 - 131 |
キーワード | 認証技術, 行動的特徴, 加速度センサ, 圧力センサ |
アブストラクト | スマートフォンやタブレット端末といった高機能な携帯端末の普及にともない,携帯端末内には多くの重要な情報が記憶されるようになり,悪意のあるユーザから情報を保護する必要性が年々高まっている.端末内の情報保護の方法として画面ロックが第一に挙げられるが,携帯端末は画面ON/OFFの回数が多く,使用するたびに画面ロック解除を行なう必要があるため,携帯端末には煩雑な操作を必要としない画面ロック解除手法が有用であると考えられる. 本研究では画面ロック解除のための特別な操作を必要としない画面ロック解除手法として,携帯端末に搭載された加速度センサと圧力センサを用いて,携帯端末をポケットから取り出す動作の加速度と端末の把持圧力から個人認証を行い,画面のロック解除を行なう手法を提案する.端末の取出し動作と端末把持圧力といった行動的特徴を用いるため,認証性能は文字列パスワードや指紋などと比較して低くなると考えられる.従って,提案する手法では,FARが低くなるようにセキュリティレベルを設定したときの認証性能が重要であり,サービスとしては,一日の認証試行のうち数回は端末をポケットから取り出した時点で画面ロックが解除されているような認証システムを想定している.また,提案手法では,仮に認証に失敗したとしても,そのまま従来の認証システムを使用することができるため,ユーザに負担はかからない.評価よりEER=0.40となり,FAR=0.05のとき,FRR=0.94であった.約20回の認証試行のうち1回はポケットから取り出した時点で画面ロックを解除できる.認証性能を向上させるためには,加速度データと圧力データの関係を詳細に分析し,それらの関係性を踏まえた動作区間の切出しや特徴量の算出方法を構築する必要があると考えられる. |
題名 | ArKs: PCタイピング音解析による動作の推定 |
著者 | *村瀬 慶祐 (青山学院大学大学院理工学研究科), 斉藤 裕樹 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科), 戸辺 義人 (青山学院大学大学院理工学研究科) |
ページ | pp. 132 - 138 |
キーワード | sound, keyboard, activity recognition |
アブストラクト | 近年,人の行動や状態をセンシングし,システムの挙動に反映させる動きが広がっている.その中でも集中度のセンシングは,数多くの研究がなされている.しかし,いずれの研究も被験者がセンサに気をとられ集中度を正しく測定することが困難であるという問題がある.そこで我々は,被験者の気を逸らすことなく集中度を測定するために音に注目し,センサとして世間に普及したスマートフォンの内蔵マイクを用いることにした.本稿では、集中度を測定する第1段階としてリアルタイムにキーボードのタイピング音を取得し、解析することでユーザのPCに対する動作を推定するシステムArKsを提案する。本稿では、ArKsの概要、設計、Androidスマートフォンに対する実装と評価について述べる。 |
題名 | ポータブル人検知センサーの家屋内設置箇所推定 |
著者 | *志垣 沙衣子, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科) |
ページ | pp. 139 - 148 |
キーワード | スマートホーム, 行動検出 |
アブストラクト | 居住者の位置行動に応じて照明空調制御や行動推薦などの家庭内サービスを提供するスマートホームが徐々に普及しつつある.一方で,そのようなスマートホーム機能を有さない大多数の既存家屋に対して同様の機能を導入する場合,家屋への埋め込み設置工事等が不要なポータブル型の人感センサーなどがコストの観点からも有効である.しかし,それらの設置位置を決定するためには,家屋の空間的な詳細情報(障害物の有無等)を考慮した設置位置の調整作業ならびにセンサー位置登録作業を行う必要がある.これらは特に高齢者などにとって煩雑であるため,センサーを適当に配置するだけでそれらの作業が完了することが望ましい.本稿では,配置が容易なポータブル型の人感センサーおよびスマートタップ(電力モニター)を用い,人感センサーが家庭内の居住者のどのような移動や滞在(廊下,寝室,キッチンなど)を補足しているかを推定する手法を提案する.提案手法では,人感センサーの数日分程度の反応情報を教師なし機械学習により分類し,それらがキッチンや寝室などの滞在型の場所あるいは廊下などの動線のいずれを捉えているかを判別するとともに,複数の居住者により生じる誤り要因を排除し,正しいセンサーの相対位置関係を推定する.加えて,スマートタップの電力情報から家電推定を行い,反応情報と対応付けることで,家庭内における位置の推定を行う.独自に開発した人感センサーならびに市販の電力モニターを実在する3人家族の戸建住宅に約2ヶ月間導入し,それらの設置位置推定を行ったユースケースを紹介する. |
題名 | 超音波による路上障害物形状の認識手法の提案 |
著者 | *中村 一輝 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 中村 嘉隆, 高橋 修 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部) |
ページ | pp. 149 - 156 |
キーワード | 位置情報, 自動運転, 超音波, 情報共有, 端末間通信 |
アブストラクト | 自動車を対象にした自動走行技術の発達に伴い,将来的には自転車やセグウェイといったパーソナルモビリティも自動走行の開発対象になると考えられる.現在,開発が進められている自動車の衝突回避技術として,画像処理技術や各種センサを用いて路上にある障害物を検知するものがある.また,障害物回避技術は自動車だけでなく,ロボットや視覚障害者向けの白杖に応用されている.しかし,これらの技術は検知のための装置が大きく,複数の箇所に取り付ける必要があるため,比較的スペースの限られた個人用自転車等の移動体に用いるには困難である.また,画像認識技術を用いる場合には,天候や障害物の色などによって認識結果が影響を受けやすい.そこで本研究では,スマートフォンのような小型で普及率の高い端末と超音波センサを用いた手頃な端末によって路上障害物情報を検知し,端末間通信によって共有することで,より精度の高い路上障害物情報の取得手法を提案する. |
題名 | 俯瞰画像における被写体サイズ推定モデルに基づく群衆人数推定手法の提案 |
著者 | *小島 颯平, 内山 彰, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科) |
ページ | pp. 157 - 165 |
キーワード | 群衆人数推定, 俯瞰画像, 被写体サイズ推定モデル, 動体検出, 二値化 |
アブストラクト | 本研究では,スマートフォンを有する協力者がビルの2階など比較的高所から群衆を撮影した俯瞰画像が提供されるものとし,その画像からの群衆人数推定を行う手法を提案する.画像からの群衆人数推定方式として,特徴量に基づく人物形状の検出を行う方式があるが,群衆内の人は身体の境界が明確に現れにくいため,高精度に特徴量を得ることは難しい.そこで本研究では,群衆が存在する領域の面積に基づく群衆人数推定法を提案する.提案手法では,群衆が移動していることを仮定し,短い時間間隔で撮影された2つの画像の差分を取ることで群衆が存在する動体領域を抽出する.1人あたりの占有面積は,撮影高度や撮影傾度,画像内での位置および移動ベクトルにより異なるため,本研究では3次元物体移動シミュレーションの可視化データの分析結果に基づき被写体サイズ推定モデルを構築し,高精度な群衆人数推定を実現させる.また,高密度な場合に起こる動体領域の重なりを考慮するため動体領域面積が一定以上の場合には事前に求めた面積と人数の関係に基づく推定を行う.性能評価のため,Unityで群衆の動きを再現し,得られた画像に対して提案手法を適用したところ,群衆人数が30人までの低密度の場合に対しては検出人数の平均絶対誤差が17.6%となった.また,30人を超える高密度な場合でも,200人以下であれば平均絶対誤差が15.0%となることが分かった. |